イタリアの原発反対国民投票と原発廃止の試算
イタリアで原発の再開を問う国民投票が行われ、投票率57%の反対93%でイタリア政府の原発再開計画が否決されました↓
原発反対派がここぞとばかりに「日本も原発廃止のバスに乗り遅れるな!」と気炎を上げそうな記事ですね。
しかしヨーロッパ諸国では、国家間で不足分の電力の融通が自由に行えるという特殊な事情があります。
特に原発大国フランスは各国に多くの電力を融通しており、イタリアもその恩恵を多々受けているのです↓
イタリアで反対されたのは「自国内に原発を誘致し自国内で発電する」ことについてのみであり、フランスの原発からの電力融通は現行通りそのまま継続されるわけです。
結局イタリアの「脱原発」というのは、本来自国が背負うべきリスクと負担をフランスに押し付け、恩恵だけを得ようという極めてエゴイスティックなシロモノなのです。
こういうのって「偽善の脱原発」でしかないのではないでしょうか?
また、経済産業省所管の日本エネルギー経済研究所が、全ての原発が停止して火力発電で代替する場合、1ヶ月あたりの標準家庭の電気料金が1000円値上がりするとの試算結果を発表しました。
石炭・天然ガス・石油の調達コストが3.5兆円分も新たに発生するためで、さらに夏場では、発電能力が最大消費電力を7.8%下回り、全国規模の電力不足に陥る可能性があるとのこと↓
http://megalodon.jp/2011-0614-0957-20/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110613-00000156-jij-bus_all
「標準家庭で1ヶ月1000円の電気料金値上げ」ということは、企業や工場・公共機関などではさらに大きな経費負担になることは自明の理です。
それらは標準家庭の数万~10万軒以上もの電力を使っている事例も珍しくないのですから。
製品の製造費も当然上がるわけですし、列車などの公共交通機関の経費なども上昇せざるをえなくなります。
電気料金が上がるということは、電気を使う製品や消費財全ての経費もまた上がるということをも意味するわけで、これでは全体的な物価上昇は避けられないでしょう。
ただでさえ冷え込んでいる経済に、さらに追い討ちをかけるような事態は論外もいいところなのですが、今の感情的な原発忌避の「空気」ではそれも是認されてしまいそうな雰囲気です。
どうせ料金値上げにすぐ耐え切れなくなり、今度は「電力を安定供給しろ!」「電力料金を値上げするな!」と叫び出すことなど最初から目に見えているのですが。