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映画「ラム・ダイアリー」感想

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映画「ラム・ダイアリー」観に行ってきました。
故ハンター・S・トンプソンによる同名の自伝小説を原作とし、親友のジョニー・デップが故人のために企画・製作・主演の全てを担った伝記ドラマ。
作中ではセックス描写があることから、映画館ではR-15指定されています。

舞台は1960年。
アメリカ・ニューヨークの喧騒に疲れ果てた今作の主人公ポール・ケンプは、カリブ海に浮かぶ南アメリカ・プエルトリコの新聞社サンフアン・スターで記事を書くために移住してきたジャーナリスト。
神経過敏気味の社長兼編集長のロッターマンとの面談で履歴に偽りがあることを指摘されるものの、とりあえずは採用が決定します。
ポールは、ロッターマンからボブ・サーラという社員を紹介され、彼から仕事について色々教えてもらうよう指示されると共に、新聞の紙面を埋める占い記事執筆の仕事を任されることになります。
ボブ・サーラはサンフアン・スター社の将来に悲観的で、ポールと共に飲んでいる酒場?で、あの会社は間もなく潰れるだろうという不吉な予言を開陳したりするのでした。
そんなある日、ロッターマンから暫定的にあてがわれていたホテルのプールでポールが泳ごうとしたところ、ホテルの従業員に制止されてしまいます。
何事かとポールが問い質したところ、ホテルのプールでは、最近プエルトリコに進出してきたらしいユニオンカーバイドという会社が貸し切りでパーティをしているとのこと。
プールで泳ぐ当てが外れてしまったポールは、仕方なく足漕ぎボートを出してひとり寂しく夜の海辺に出て行きます。
そこでポールは、夜の海を素っ裸で泳ぐひとりの金髪の女性と運命の出会い?を果たすことになります。
その時は、名前を教えてくれというポールの要求を拒否して女性はその場を後にしています。
さらにその後、今度はマイアミに出張して市長?のインタビューを取って来いと指示され、プエルトリコの空港へと向かうことに。
しかし、空港で飛行機便を待っている間、ポールは非専属の不動産業者サンダーソンと出会い、飛行機便がキャンセルされてしまったことを告げられます。
その告知通りに搭乗予定の飛行機便がキャンセルになったことを確認すると、ポールはサンダーソンと一緒にサンダーソンが所有する海辺の別荘?へと向かうことに。
そこで彼は、ホテルの海辺で出会い、サンダーソンの婚約者となっている女性シュノーと再会することになるのでした。
サンダーソンはポールに対し、現在は演習地として使われているアメリカ軍の賃貸契約が間もなく切れる島の開発計画で新聞記事を使い協力するよう依頼してきます。
ポールはその後のゴタゴタもあって、なし崩し的にサンダーソンの協力者となりつつ、シュノーとの交流を重ねていくことになるのですが……。

映画「ラム・ダイアリー」は、どうにも全体的にあまりパッとしないイメージが拭えないですね。
主人公ポールがラム酒を手放せないアルコール中毒の新聞記者、というのはまだしも、物語中盤まではその場その場の雰囲気に何となく流されているだけの意志薄弱な様相を呈しています。
そして物語も終盤に差し掛かり始めたところでようやく自立行動し始めたかと思えば、今度はその努力が全て空回って何ら成功に結びつくことすらなく、最後はサンダーソンの船を盗んでアメリカに戻るだけという、あまりにも盛り上がりに欠ける展開が延々と続いていたりするんですよね。
ヒロインであるシュノーはシュノーで、サンダーソンとセックスを繰り広げたかと思えば、ポールを誘惑したり、地元のクラブで筋肉隆々の男達と一緒にストリップダンスを踊ったりと、あまりにも浮気性な実態を晒しまくっています。
挙句、当然のごとくサンダーソンに捨てられ、ポールの元に転がり込んできて一緒になったかと思えば、ポールを置いてひとりだけプエルトリコを出国してアメリカに向かってしまい、しかもその後作中では全く登場することなくモノローグだけで結末が語られるという始末。
主人公はやることなすこと全部グダグダかつ結果すらも出せず、ヒロインは主人公と一緒になって互いに支え合うでもなく自己中心的に活動していただけと、まるで良いところが見出せないのですが。
ストーリー的にも、延々と谷間が続いているだけで全く山場がない状態ですし。
ポールが作中で明確に出したといえる成果が、サンダーソンの船一隻奪っただけというのは正直どうなのかと。
今作で企画・製作・主演を担っているジョニー・デップは、ヒロイン役のアンバー・ハードと熱愛関係にあると報じられているようですが↓

http://megalodon.jp/2012-0630-2109-04/news.mynavi.jp/news/2012/06/30/007/
> アンバー・ハードが、長年のパートナーと破局したことが報じられている。
>
>
アンバーは、ジョニー・デップと急接近していることが理由で、アーティストで写真家のガールフレンド、ターシャ ・ヴァン・ リーと数カ月前に別れたという。ある関係者はイン・タッチ・ウィークリー誌に「もう2人は付き合っていません」と明かしている。
>
> バイセクシャルのアンバーは、2008年からターシャと交際しており、先日ロサンゼルスで開催されたゲイ・レズビアンの団体「GLAAD」の25周年記念パーティーに2人で出席していた。先の関係者によれば、2人は破局後も友人同士であり、ターシャはハリウッドのバー・マーモントで再度の独身生活をエンジョイしているという。先の関係者もこう続けている。「(ターシャは)何人かの綺麗な女性たちと笑っておしゃべりを楽しんでいましたね」
>
> 一方のジョニーは、14年越しのパートナーであるヴァネッサ・パラディとの破局を先日公表したばかりだが、半年前から別れたのではないかという噂はあった。その間
ジョニーは、2013年公開予定の最新作『ザ・ローン・レンジャー』を撮影しており、アンバーに馬をプレゼントし、一緒に乗馬を楽しんだと報道されていた。
>
> ジョニーとアンバーが共演した新作『ラム・ダイアリー』は6月30日(土)から日本公開予定だ。

こういう話を見ると、ジョニー・デップ個人が好き勝手にすることを目的にこの映画は作られたのではないか、という勘ぐりすらどうにも抱かざるをえないところですね。
いや、それならそれでまだ映画としての出来が良いのであれば文句のつけようもないのですが、如何せんあのストーリー仕立てでそれは無理というもので……(-_-;;)。

この映画は、根っからのジョニー・デップのファンな方々か、1960年代当時のアメリカやプエルトリコの雰囲気を堪能したいという人以外には、全くオススメのしようがありませんね。
すくなくとも、ハリウッドスタンダードなストーリーを期待して観に行ったら、痛い目に遭うこと間違いなしです。

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コメント

KLY

ジョニーの映画で毎度思うこと。
ジョニーの演技は上手い、そして素顔のジョニーはカッコいい。
要するに彼自身に非は無いけれど詰まらない場合は大抵脚本が詰まらないことが多いと思うんです。
ただこの作品はジョニー本人が製作。しかも親友への追悼とあらば彼も脚本には大きく関わっているでしょうから、彼の責任も大きいかな。
とりあえずボート盗んだ結末ぐらいみせなさいよと言いたいですわ(苦笑)

冒険風ライダー(管理人)

>KLYさん
映画は「終わり良ければ全て良し」「ラスト30分のまとめが全体の評価を決める」というのが私の持論なのですが、この映画はまさにラストで大幅に点数を落としてしまっている感がバリバリにあるんですよねぇ(-_-;;)。
仮にこれが原作通りであるにしても、もう少し上手いまとめ方はできなかったのかと。
確かに今作では、主演のみならず企画・製作まで担ったジョニー・デップの責任は免れないですね。
非公開で個人的な追悼のみに留めるだけならともかく、客に見せることを想定する映画として作るのならば、カネを払って映画を観る客のことも少しは考えて欲しいよなぁ、と。

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