映画「ドライブ・アングリー」感想(DVD観賞)
映画「ドライブ・アングリー」をレンタルDVDで観賞しました。
日本では2011年8月に劇場公開されたアメリカ映画で、ニコラス・ケイジおよび映画「ラム・ダイアリー」にも出演したアンバー・ハードの2人が主演を担うカーアクション物。
劇場公開当時は映画タイトルの後に「3D」の文字がつくほどに3Dメインの作品だったようですが、DVD観賞では何の意味もないですね(苦笑)。
作中にはセックスシーンや血が飛び散る残虐シーンがあることから、映画館ではR-15指定を受けていました。
物語の冒頭では、3人組の男が何者かの影に怯えながら車で逃げている様子が描かれています。
後ろを振り向いて追手がないことにようやく安堵した3人の前に、まるで嘲笑うかのように出現し道路をふさぐ1台の車。
道をふさがれた3人組の車は吹き飛ばされ、3人組は道をふさいだ車から降りてきた謎の男にとあるカルト教団の教祖ヨナ・キングの所在について尋問された後、情け容赦なく殺されてしまうのでした。
ここで舞台はとあるレストランの日常風景に変わります。
そのレストランでパート?のウェイトレスとして働いていたパイパーは、ニート状態で働きに出ない夫との関係に悩む、気性の激しい女性。
そして物語は、いつものように働いていたパイパーのレストランで冒頭の男が入店したことから動き始めます。
レストランにおける2人の会話は、男がパイパーの車について尋ねたこと以外では特にこれといった要素もなく、あくまでも客とウェイトレスとしての接触に終わります。
しかし、レストランのコック?がセクハラ行為を働いたことに腹を立て逆襲したパイパーは、コックの解雇をちらつかせた脅迫にブチ切れてしまい、その場で「今日限りで辞める」と宣言し店を出て行ってしまいます。
結果として、いつもよりも早く自宅に帰ることになったパイパーは、パイパーが留守であることをいいことに知らない女と不倫セックスに勤しむ夫の姿を目撃することになります。
当然ここでもブチ切れ、夫と不倫女に当たり散らすパイパーでしたが、夫は夫でパイパーの態度に逆ギレ。
ウザいパイパーを半殺しにすべく、物理的なドメスティックバイオレンスを振るいまくります。
そこに現れたのは、レストランでパイパーの車について尋ねてきた冒頭の男でした。
夫を逆に半殺しにした男と、職を失くし夫にも愛想を尽かしたパイパーは、パイパーの車でその場を後にするのでした。
男の名はジョン・ミルトンといい、自分の娘を殺し、娘が生んだ赤子を生贄に捧げんとするカルト教団に復讐をすべく行動しているのだとか。
パイパーは、ジョン・ミルトンに纏わる様々なトラブルに巻き込まれつつ、彼と共に共にカルト教団を追っていくことになるのですが……。
映画「ドライブ・アングリー」は、タイトルを見ても分かるようにカーアクションをメインに物語が展開されていきます。
冒頭のシーンからラストまで車が少なからず登場し、追撃戦や奇襲などで大活躍することになります。
カーアクションのための映画、と言っても過言ではないですね。
また、敵がカルト教団だからというわけではないのでしょうが、主人公も含めた作中の登場人物達にはオカルティックな現象がしばしば発生しています。
たとえば主人公ジョン・ミルトンは、カルト教団のアジトに押し入った際に銃で左目を至近距離で撃たれているにもかかわらず、死ぬことなく意識を取り戻して信者達に逆襲していますし、彼を追う監察官も、橋の上から車もろとも転落しているにもかかわらず、大破した車から平気な顔で出てきたりしています。
この謎については物語の終盤近くで出てくるのですが、実はジョン・ミルトンは既に故人で、死後の世界の地獄にある牢獄から脱獄してわざわざ現世にやってきているんですよね。
そしてFBIに化けている監察官の正体は、彼を地獄へ連れ戻しにきた番人ということになります。
既に死んでいるからこそ、いくら身体に傷を負っても死ぬことができないわけです。
何でもジョン・ミルトンは、地獄で自分の身が痛めつけられることよりも、自分の娘が拷問され殺されていく光景を見ることの方が我慢ならなかったのだとか。
またジョン・ミルトンは、脱獄する際に地獄から「神殺しの銃」を奪い取っており、これがカルト教団の教祖ヨナ・キングを滅ぼすのに必須のアイテムとなります。
本人の主張するところによれば、ヨナ・キングは悪魔と契約していて、生者では彼を殺すことができないのだそうで。
この辺りは、同じニコラス・ケイジ主演の映画「デビルクエスト」にも通じるところがありますね。
少し疑問だったのは、物語の序盤ではジョン・ミルトンを捕まえるために人を操ったり自ら追跡したりして行動を妨害ばかりしていた監察官が、後半になると逆に影ながら間接的に支援する協力者になっている点ですね。
橋の上で「神殺しの銃」を突き付けられてそれまでの考えが変わった、というところなのかもしれませんが、妨害者から協力者になっていく過程が描写されていないため、初めて観た時は「何故?」と戸惑わざるをえなかったところでして。
監察官自身、自分のことについて語るようなタイプの人物(?)ではありませんでしたし。
監察官にしてみれば、どんな手段を使ってでもジョン・ミルトンを捕縛できさえすればそれで良かったのでしょうが、ならば序盤における彼の行動は一体何だったのかと。
警察官達を操ってジョン・ミルトンを襲撃したところで、警察官達の武器ではジョン・ミルトンを殺せないことを、彼は最初から知っていたはずなのですが。
序盤の彼の行動は、結果的にジョン・ミルトンと何の関係もない人間を無駄に死に追いやっただけでしかなかったのではないのかと。
カーアクションと爽快感が得られるストーリーが好きな方には、イチオシの作品となるでしょうか。