映画「イノセンス・オブ・ムスリム」の謎だらけな制作工程と意図
その上映が中東のイスラム諸国で反米暴動を頻発させ、リビアでは駐アメリカ大使ら4名の殺害事件を引き起こすに至った、アメリカの反イスラム映画「イノセンス・オブ・ムスリム」。
この映画は、イスラム教では禁忌とされているムハンマドを、それも反イスラム的に描いたことでイスラム教国から猛反発を受けているわけですが、その制作過程にも色々とキナ臭い要素が漂いまくっているみたいですね↓
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120914/amr12091401240003-n1.htm
> 【ニューヨーク=黒沢潤】リビアの米領事館襲撃事件など、中東での反米デモのきっかけとなった米映画だが、その制作の過程や背景は謎に包まれている。
>
> ネット上で公開された14分間の映像は、イスラム教では描くこと自体がタブーとされている預言者ムハンマドを暴力的で好色な人物として描いている。
>
> AP通信などによれば、同映画は約100人のユダヤ人から500万ドル(約4億円)の寄付を募り、3カ月かけて制作された。59人の俳優が出演し、今年初めにハリウッドの映画館で1度だけ上映された。
>
> また、米紙ロサンゼルス・タイムズによると、先週になってアラビア語版がネット上に掲載され、エジプトのテレビ局が取り上げた。また、せりふが差し替えられるなど撮影時とは異なった作品になっており、出演者は激怒しているという。
>
> 肝心な制作に関わった人物について情報は錯綜(さくそう)しているが、AP通信は13日、米当局者の話として米カリフォルニア州在住の55歳の男性が映画制作者だと報じた。男性はエジプトのキリスト教の一派であるコプト教徒で、エジプト系米国人の可能性があるという。ただ、イスラエル系米国人との説もある。
>
> 一方、動画投稿サイト、ユーチューブを傘下に持つグーグルは13日までに、問題の映像にリビアとエジプトでアクセスできないよう措置をとったと発表した。アフガニスタン当局も同日、ユーチューブの無期限遮断を同国内の全てのプロバイダー(接続業者)に命じた。
映画の製作費の観点から言っても上映回数から見ても、「イノセンス・オブ・ムスリム」は大作映画とは到底言い難いですね。
1ドル=80円レートで換算して4億円程度の製作費であれば、日本でさえ中規模以下の映画と見做されるレベルですし、映画の上映回数自体もハリウッドの映画館でたった1回って……。
この映画がこれほどまでに騒動の種になっているのは、映画の内容そのものよりも、映画の宣伝やネットの影響が大きいのではないでしょうか?
上映回数が1回、それもハリウッドの映画館限定というのでは、実際に映画を観た人もかなり少ないものがあるでしょうし、ましてやイスラム教徒で実際に観賞した人なんて果たしてどれほどいたのかと。
まあ、映画の宣伝動画が過激極まりないものであれば、それだけでもイスラム教徒にとっては激怒もののシロモノにはなりえるのでしょうけど。
出演者まで騙し、撮影の後にセリフの編集を行うなど、映画の製作者は一体何を考えてこのような映画を作ったというのでしょうか?
たった1箇所1回の上映で500万ドルの制作費を全て回収するなどまず不可能でしょうし、すくなくとも興行収益の獲得を狙っての映画製作ではないようなのですが……。
ここまでイスラム諸国で紛糾の種になり、暴動まで引き起こした経緯を鑑みると、映画「イノセンス・オブ・ムスリム」が日本で劇場公開になることはまずなさそうですね。
単純に内容を見ても、日本とはあまりにも縁がない上に政治的・宗教的要素が濃いテーマですから、興行収益が期待できないという問題もありますし。
下手に映画を劇場公開してイスラム教徒の恨みを買う、という事態も、映画館側としては避けたいところでしょうしねぇ。
レンタルDVDでも観賞できるか否か微妙なところですし。
個人的には「怖いもの見たさ&ネタ収集」の観点から観賞してみたいと考えなくもないところではあるのですが、日本公開の行方は果たしてどうなることやら。