映画「エクスペンダブルズ2」感想
映画「エクスペンダブルズ2」観に行ってきました。
シルヴェスター・スタローンを筆頭に、往年のハリウッド人気アクションスターが一堂に会した前作「エクスペンダブルズ」の続編。
今作も前作同様に序盤から血が飛び散りまくるアクションシーンがひたすら披露されているのですが、今回は前作のR-15指定から何故か一段階下がったPG-12指定となっています。
描写的なレベルは前作のそれとほとんど変わりなんてないはずなのですが、この辺りの規制は相変わらず何を基準にしているのかよく分からないですね。
物語冒頭の舞台は、ネパール北東部シンドゥパルチョーク地区。
その地区を牛耳っているらしい武装集団のアジトの工場内で、顔を隠され囚われの身となっている男が拷問まがいの尋問を受けていました。
正体不明の囚われの男は何もしゃべっていないらしく、業を煮やした尋問役が殺害を示唆します。
そこへ、突如としてやってきた3台の曰くありげな重武装の車輛。
その中の1台に搭乗しているのは、前作から消耗品軍団(エクスペンダブルズ)のリーダーを担っていたバーニー・ロス(シルヴェスター・スタローン)と相棒のリー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)。
3台の車輌は、厳重な門と武装した兵士によって守られていたアジトをあっさりと突破し、周囲に銃を乱射して死を撒き散らしつつアジトの奥へと突き進みます。
そして、アジトの奥にあった工場へ車輌を突っ込ませ、冒頭の男がいる部屋までなだれ込み、中にいた兵士達を全員打ち倒して制圧を完了する消耗品軍団の面々達。
そして彼らは、囚われの身となっていた男の顔を覆っていた布を取って正体を確認。
するとそこにいたのは、前作でもチラリと出演していたアーノルド・シュワルツェネッガーが扮する消耗品軍団のライバル傭兵会社のリーダー・トレンチだったのです。
思わぬ形で再会することになったバーニー・ロスとトレンチでしたが、しかしバーニー・ロスが救出の目的としていたのはトレンチではなく、彼と一緒に囚われの身として縛られていた中国人の富豪でした。
トレンチも同じ人物を救出する依頼を受けていたとのことで、彼にしてみれば仕事の成果が挙げられなかった上にバーニー・ロスに助けられてしまった形です。
「借りを作ってしまったな」とボヤくトレンチは、解放されて消耗品軍団の面々からゴツい武器をもらった後、待機しているという自分のチームのところへ戻るべく別行動を取ることになります。
その後も消耗品軍団の面々は相変わらずの強さを見せつけ、ターゲットの中国人富豪と一緒にアジトを脱出。
そして、今回からの新参で予め脱出ルートで待機していた狙撃手のビリー“ザ・キッド”ティモンズのサポートもあり、やや危ない局面がありながらも何とか脱出に成功するのでした。
一仕事を終え、アメリカ・ニューオリンズにある消耗品軍団の本拠地で、バーニー・ロスは新参のビリー“ザ・キッド”ティモンズから、恋人ソフィアのために今月一杯を目途に消耗品軍団から足を洗いたいと相談されます。
バーニー・ロスはそれを了承し、彼に飲み直してくるよう諭し、自らはバイクに乗り、アジトの脱出の際に使用された水上飛行機へと向かいます。
無人の飛行機の中でひとり考えに耽ろうとするバーニー・ロスでしたが、無人のはずの飛行機の中には先客が潜んでいました。
それは、前作でバーニー・ロスとトレンチに仕事の依頼を持ちかけた、ブルース・ウィリスが演じるCIAの上級職員のチャーチだったのです。
彼は、前作で消耗品軍団が暴れ回った上に、黒幕だったCIA元職員のジェームズ・モンローが死んだことで莫大な利益を失ったことについての責任を問い、バーニー・ロスに一つの仕事を脅し交じりに押し付けてきます。
その仕事の内容は、バルカン半島アルバニア共和国内にあるガザック山脈に墜落した中国機の中にある金庫から、とあるデータボックスを回収してくるというもの。
金庫は120秒ごとに解除用パスワードが変更されるという特別製であるため、チャーチはパスワード解除要員として、マギーという女性エージェントを一緒に連れて行くよう命令します。
「ベビーシッターは得意じゃない」とボヤきつつも、バーニー・ロスは彼女を引き連れ、他の消耗品軍団の面々と共にバルカン半島の墜落現場へと向かうことになるのですが……。
映画「エクスペンダブルズ2」は、前作もそうでしたがとにかく出演者の顔ぶれが「豪華」の一言に尽きますね。
シルヴェスター・スタローン、ジェイソン・ステイサムなどの前作からの主演メンバーはむろんのこと、前作では顔見せ程度の出番しかなかったブルース・ウィリスとアーノルド・シュワルツェネッガーも、今回は消耗品軍団と共にアクションシーンを披露しています。
特に物語終盤で展開された、シルヴェスター・スタローンとブルース・ウィリスとアーノルド・シュワルツェネッガーの3者が一堂に並び、敵に銃を乱射しながらゆっくりと前進していくシーンは「壮観」の一言に尽きます。
ハリウッドアクション映画のファンならば、あのシーンを見るためだけのために今作を観賞しても良いほどに感涙もののワンショットです。
特にアーノルド・シュワルツェネッガーは、今回が実に9年ぶりとなるアクションシーンの披露とのことですし、「いよいよ本格的に復活したのだなぁ」と感慨もひとしお。
アーノルド・シュワルツェネッガーは、既に2013年の日本公開が決定している映画「ラストスタンド」で主演を担い、アクションスターとして本格的に復活する予定となっていますが、今作はその前準備といったところになるでしょうか。
また、この両巨頭以外でも、チャック・ノリスとジャン=クロード・ヴァン・ダムという人気アクションスターが新たに参戦し、前者は消耗品軍団を助ける凄腕の一匹狼ブッカー、後者は犯罪武装集団「サング」を束ねるリーダー&ラスボスのヴィランと、それぞれ重要な役割を作中で演じています。
残念ながら私は、チャック・ノリスとジャン=クロード・ヴァン・ダムの出演作品は1作も観賞したことがないのですが、こちらはこちらで往年のファンにとっては興奮ものの内容でしょうね。
前作でも大いに話題となった「豪華アクションスターの競演によるファン垂涎のアクション映画」というコンセプトは、今作でも健在といったところになるでしょうか。
ただ今回、あえて問題点を指摘するとすれば、それは今回のラスボスであるヴィランと消耗品軍団との初対面のシーンですね。
あの場面では、ヴィランが消耗品軍団のひとりで今月一杯の引退を表明していたビリー“ザ・キッド”ティモンズを人質に取ることで、消耗品軍団の面々を武装解除させた上に目的のブツを手にするのですが、その際ヴィランは人質ひとりを殺害するだけでさっさとその場を後にしてしまいます。
このことに怒ったバーニー・ロスをはじめとする消耗品軍団は、ヴィランに対する復讐を決意することになるわけですが、しかし何故ヴィランはあの時、他の消耗品軍団の面々もついでに皆殺しにしなかったのでしょうか?
あの場面の中でさえ、人質を助けるために武装解除しようとするバーニー・ロスに対し、リー・クリスマスが「そんなことをしたら俺達も皆殺しになるぞ」と警告していましたし、その後のヴィランの「無慈悲な支配者」としての描写を見ても、彼が消耗品軍団の面々に対して殺害を決断してはならない理由自体がありません。
消耗品軍団を放置していたら、彼らが仕事と復讐のために自分達に牙を剥いてくるであろうことなど、彼らの立場から見れば最初から分かり切っていることであるはずなのですから。
ひょっとするとヴィランは、消耗品軍団の面々達の実力を実は高く評価していて、将来的に彼らを自分の下へスカウトするつもりだったのかもしれませんが、それだと今度は、わざわざ消耗品軍団の眼前で人質をこれみよがしに殺害した理由の方が理解不能となってしまいます。
ヴィランは旧ソ連が隠したプルトニウムを掘り出して大儲けする予定だったようですから、消耗品軍団をわざわざ怒らせることで自分を殺害させようなどという自滅願望があったわけでも当然ないでしょうし。
あの時のヴィランには、「消耗品軍団を放置していたら危険である」ということが全く理解できていなかったのでしょうか?
いくら何でも、相手がそこそこに腕の立つ裏稼業の人間達であることくらいのことは彼にも理解できていたでしょうに、何故あんな中途半端な措置で将来の禍根を残し自らの破滅を招いてしまうのかと。
作品的に見れば、この辺りの描写は主人公の怒りと悲しみによる復讐心を惹起させると共に、悪役が絶対に許せない存在であることを観客に明示するためのものではあるのでしょうが、それならば「作中におけるヴィランとしての立場から見ても妥当な行動と理由の必然性」も一緒に示して欲しかったところではあります。
「エクスペンダブルズ」シリーズは3部作ということで、既に3作目制作の準備が進められているようですね。
予定では2012年秋から撮影に入るとの情報もありますし↓
http://www.cinematoday.jp/page/N0040614
> [シネマトゥデイ映画ニュース] 映画『エクスペンダブルズ2』は全米では8月公開の予定だが、すでに『エクスペンダブルズ3』が秋から撮影されるという。
>
> これは、映画『エクスペンダブルズ』でセラピーを受けている繊細なトール・ロードに扮したランディ・クートゥアのインタビューで確認されたものだ。
>
> というのもシルヴェスター・スタローンは最初からこの作品を3部作ととらえており、当然のスケジュールなのだという。
>
> このシリーズは自ら消耗品「エクスペンダブルズ」と名乗る軍用銃のエキスパートであるバーニー・ロス率いる少数精鋭の命知らずの最強無敵の傭兵軍団がどこの国も合法的に手が出せないやっかいな事件を怒濤の超絶アクション満載で解決するというもの。
>
> 先日、スタローンはインタビューで『エクスペンダブルズ2』のレイティングが「R指定」(=17歳以下の観賞は保護者の同伴が必要)を受けるだろうと語っている。彼の考えは、それによってファンが期待している暴力シーンやFワードなど前作『エクスペンダブルズ』でファンが楽しんだ成人向け要素がすべて盛り込まれていることをファンに知らせたかったのではないか?
>
> まだまだあいつらは大暴れをしそうだ。(後藤ゆかり)
また、次回作では既に「ナショナル・トレジャー」シリーズや「デビルクエスト」「ドライブ・アングリー」で主演を務めたニコラス・ケイジの出演が取り付けられている他、クリント・イーストウッドやハリソン・フォードなどといった大物ハリウッド俳優とも交渉が進められているとのこと。
ニコラス・ケイジはジョン・トラポルタと共に、今作制作の際にも出演交渉が進められていたものの、どちらもスケジュールの都合で出演できなかったとのことで、「エクスペンダブルズ3」で晴れてその雄姿が見られることになるわけですね。
3作目がいつ、どのような内容と出来と豪華キャストで劇場公開されるのかはまだ分かりませんが、今から楽しみな話ではあります。
ハリウッドアクション映画のファンならば必見、映画で爽快感を覚えたいという方にもオススメな一品です。
KGR
>ヴィランとしての立場から見ても妥当な行動と理由の必然性
確かにその辺テキトーというか、弱い気がします。
大体ブルース・ウィリスの指示に従うのも
「捕まって監獄はいるの嫌じゃん」みたいな弱腰で、
危険なタスクとの天秤にかけるほどの事かって気がします。
「3」は本当にあるらしいですね。
ニコラス・ケイジの話は知りませんでしたが、借金苦と言われ、
このところ「なんにでも出るな」っぽいニコラス・ケイジなら
きっと二つ返事でしょう。