映画「シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語」感想
映画「シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語」観に行ってきました。
映画「タイタニック」「アバター」のジェームズ・キャメロン監督が製作を手掛けた、世界最高峰のパフォーマンス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」による人間の限界を超えたパフォーマンスショーと音楽を売りにする作品です。
映画の物語としては、一応は主人公となるらしいミアという女性が、田舎で開催されていた移動サーカス「マーヴェラス」へと足を踏み入れたところからスタートします。
ちなみにこの「ミア」という名前自体、作中で判明するのは物語も後半に入ってからのことだったりします。
彼女はサーカス会場を見物していく中で、ひとりのピエロからチラシを強引に押し付けられます。
そのチラシに掲載されていたのは、エアリアリストという名の空中ブランコショーの芸人。
ミアは彼の空中ブランコショーを観覧すべく、ショーが行われている会場へ足を踏み入れます。
エアリアリストの空中ブランコショーは途中までは順調に推移していたのですが、ショーを観覧しているミアと目が合い、微笑みかけたことから一瞬の隙ができてしまい、彼はブランコをハシゴすることに失敗、セーフティネットも張られていない砂の舞台へ真っ逆さまに転落してしまいます。
ところが、エアリアリストが砂に叩きつけられたその瞬間、突如砂がアリジゴクのごとくさらに下へと落下しはじめ、エアリアリストもそれに巻き込まれて姿を消してしまいます。
観客席にいたミアは思わず立ち上がり、エアリアリストの後を追って同じく砂の舞台の下へと落下することに。
そして、意識を失ったミアが目を覚ました時、そこは別世界としか思えない広大な大地が広がっていました。
ミアが辺りを見渡してみると、すぐ近くにサーカスのテントを連想させる、しかしその規模は相当なまでに大きな建造物が存在していました。
その中へ入っていったミアは、ピエロにもらったチラシを元にエアリアリストの行方を探し始めるのですが……。
映画「シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語」では、上映時間の大半が「シルク・ドゥ・ソレイユ」によるパフォーマンスショーに費やされており、登場人物達も作中ではほとんど何もしゃべることがありません。
作中で登場人物達がしゃべっているセリフは数えられる程度しかなく、しかもそれ自体、「助けて」とかいった類のちょっとした単語を口にしている程度でしかありません。
一応軸となるストーリー自体は「サーカスだけで構成されているような世界で、ミアがエアリアリストを探し出す」的な内容となっているのですが、その進行のほとんどをパフォーマンスショーのみで表現しています。
ミアがエアリアリストを探してあちこち回っている先々で、「シルク・ドゥ・ソレイユ」の団員達?が様々なパフォーマンスショーを披露していくという按配です。
パフォーマンスショーの中には、エアリアリストを捕縛したり刺客達と戦いを演じたりするものなどもありますが、物語進行とは全く何の関係のないものもあります。
一般的な映画とは楽しみ方がまるで異なっており、良くも悪くも「パフォーマンスショーと音楽のための映画」ですね。
登場人物による駆け引きや心理描写やストーリーの謎を追うなどといったコンセプトは全く見出しようがないのですし。
今作を観賞する際には、映画というよりもサーカスでも観覧しに行く的なスタンスで臨んだ方が良いでしょうね。