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外で働く女性達の「仕事と家庭の両立」の実態

外で働く女性達が子育てとキャリアの両立に悩まされている実態を綴った記事が、週刊誌「AERA」の2012年11月19日号に掲載されています。
記事は「働く女性に社会の理解が足りない」的な論調で締めくくっているのですが……↓

http://megalodon.jp/2012-1113-2049-37/zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121112-00000006-sasahi-soci
>  働きながら子育てする女性が増えた。しかし、子育てとキャリアの両立にジレンマを抱える女性も少なくないようだ。
>
>  思い詰めた表情で、小6だった娘が発した言葉が胸に刺さった。
>
> 「お母さん、仕事辞めてくれない?」
>
>  大手保険会社の女性課長(46)は昨年、娘の中学受験を経験した。塾では大量の宿題が出され、多くの子どもは専業主婦の母親が手取り足取りフォローをし、成績を伸ばしていた。なのに、自分は娘の宿題を見る時間はほとんどなかった。成績で決まる塾での席順は目に見えて後退した。娘も我慢を重ねていたのだろう。
普段は無理を言わない娘が、冒頭の訴えをしたのだ。
>
>  女性はちょうどその時、部門の抜本改革を担当するリーダーだった。「前代未聞の忙しい時期」だったこともあり、塾が終わる夜9時に娘を迎えに行くためダッシュで会社を出て、帰宅後家事を済ませると、深夜まで持ち帰り仕事をこなす日もあった。「娘の訴え」を聞いた受験半年前からは、朝5時に起き、娘とマンツーマンで2時間勉強をした。
>
>  女性は34歳で出産。育休から復帰後は、保育園やファミリーサポートを利用しながらフルタイムで働いた。
娘に不自由な思いをさせてまで働いているのだから成果を上げたいと思い、出産前より仕事へのこだわりが強まった。会社もそんな彼女を、キャリアアップしながら働く女性のモデルとして後押しした。出張を免除され、クリエーティブな仕事を与えられ、3年前に課長への昇進を打診された。
>
>  迷った。責任が増し、忙しくなるのは目に見えていた。メンター役の先輩ワーキングマザーに相談すると、
>
> 「自分の裁量が増すぶん、管理職のほうが働きやすくなる」
>
>  と応援してくれた。
>
>  だが、管理職は想像以上の大変さだった。二十数人の部下が適材適所で働けているか目を配り、相談に答えられるよう幅広く業務知識を身につけなければならない。
時間的にも精神的にも仕事のウエートが増した。夫は忙しい時の塾の迎えなどを担当してはくれたが、そこまでして母親が働く必要があるのかという態度が透けて見えたし、実母にははっきり批判された。
>
> 「父親が出世したら、なんで出世なんて、とは決して言われない。母親は出世したら周囲も自分もジレンマを抱える。ワーキングマザーの出世とはそういう複雑さを抱えています」
>
> ※AERA 2012年11月19日号

この手の話題が出る度にいつも考えざるをえないのは、「母親(女性)の都合しか述べられていない」ということに尽きますね。
もう一方の当事者であるはずの「子供」の考えはどうなのか、という問題意識がまるで語られないわけです。
この記事に登場している母親的には、別に子供をないがしろにしているつもりもなければ、子供に対して申し訳ない感情を抱いてもいるのでしょう。
しかし彼女は、それでも自分が外に出て働きカネを稼ぐことに固執していたわけですし、それが子供にどんなに寂しい思いをさせているのかについて「頭だけの理解」に留まっていたわけです。
この母親に対する子供の「仕事を辞めて欲しい」という訴えは、記事にあるような塾での成績の問題も当然あったでしょうが、それ以上に「もっと自分の相手をして欲しい」というシグナル的な意味合いもあるでしょう。
記事中の母親は別にシングルマザーというわけでもなく、夫や祖母も母親の仕事熱心ぶりに批判的ですらありますが、金銭的に切迫しているわけでもないのに「子供を構うことなく外での仕事に没頭する」的なスタンスを取っていればそうなるのも当然でしょう。
すくなくとも表面的に見る分には、まさに母親が育児放棄しているようにすらも解釈されてしまう余地も充分にあるのですし。
この母親の主張を見ても、自分の仕事の都合しか語っていませんし、仕事に没頭する母親が子供に「叛逆」されてしまったモデルケースと言えるものではありますね。

外へ働きに出る女性達は、必ずと言って良いほど「自分は子育てと仕事の双方をきちんと両立させている」と主張します。
しかしその実態は、子育てを他人の手に委ねたり施設に預けたりして自分は子供のことをロクに構わないのに、子供が不満を述べない(言えない)のを良いことに「自分に甘い評価」を下している事例がほとんどです。
件の母親も、娘のことを「普段は無理を言わない」と評していた辺り、似たような認識を抱いていた可能性が濃厚ですし。
ところが実際はかくのごとし、というわけで、「子育てと仕事の双方をきちんと両立させていた【つもりだった】」母親はさぞかしショックを受けていたことでしょうね。
そもそも、自分の子育てについてことさら自虐的に悪く言う親なんて、実際に誰の目にも不祥事を公然とやらかした子供を持つ親でなければ相当な変わり者の類でしょうし。
「ワガママを言わない子供」などというのは、子供が不満を持っていない証明になんてまるでならないのですし。
外へ働きに出る出ないに関わりなく、親の贔屓目や世間体の問題が少なからず絡んでくる「子育てに関する親の自己評価」など、到底当てにできるシロモノなどではないのですが。

外へ働きに出る女性が増えた背景には、男女平等イデオロギーが浸透していったこと以上に「共働きでなければ家庭を維持できない」という経済的な事情も決して少なくはないでしょう。
それも元を質せば、女性の労働力供給による労働単価の引き下げを企業が求めたことに原因が求められはするのですが。
しかし、親が子供に構わなくなることで子供が蒙る悪影響は、その子供の一生を左右するとすら言っても過言ではないほど深刻です。
特に幼少時の子供にとって、自分の母親というのは「世界の全て」とすら言って良いほどの存在です。
その母親から母性本能と愛情をもって育てられず、母親との信頼関係が構築できなかった子供は、母親以外との対人コミュニケーションでも多大な支障をきたすようになります。
自分と最も身近にいて「世界の全て」ですらある母親の愛情すらもらえない状態で、どうして世間一般のことを信じることなどできるのでしょうか?
もちろん、実際には母親以上に愛情を注いでくれる父親や知人の類に恵まれた人もいはするでしょうが、それはあくまでも「たまたま人間関係に恵まれていた」のであって「母親のことが信頼できないのが正常」であるわけではないのです。
母親の愛情に恵まれない子供は、「子供の自立心を養う」という観点から言ってさえも問題です。
子供は母親から愛情をもらうためなら何でもする存在なのですし、母親から虐待された子供がますます母親にしがみつくという事例も無数にあります。
子供が非行に走る有力な原因のひとつにも、「どんなことをしてでも親を自分に振り向かせたい」という動機があったりするのですし。
では、父親が母親の役目を代わりに担えば良いではないか、という反論もありはするでしょうが、しかし、特に幼少時の子供の育成において、子供に対して母親の役割を父親が代替で賄えるものはごく僅かなものであり、母親による子供の育児に勝るものはないのです。
母親が早期に亡くなったとか、母親の不祥事が原因で離婚して父親が子供を引き取ったとか、そういった特殊な事情でもない限りは、少なくとも幼少期の子供は父親ではなく母親がメインとなって面倒を見るべきなのです。

昨今の女性の社会進出は、子育てと子供の健全な成長を犠牲にすることで成り立っていると言っても決して言い過ぎではないでしょう。
子育てというものを大人の都合で安易に勘定し、下手すれば邪魔なものとしてすら社会的に扱ってきたことが、子供への悪影響、さらには非婚&少子高齢化の元凶にもなっているのです。
「働く女性に非ずんば人に非ず」的な働けイデオロギーを女性に強要しているような風潮が、男女平等には確実にあるのですが、それは子供はもちろん女性自身さえも不幸にするシロモノでしかありません。
そんな「女性の解放」でも目指しているとしか思えない一昔前の左翼なスローガン的男女平等思想は、マルクスとエンゲルスの共産党宣言ばりに時代錯誤な、前世紀どころか19世紀レベルの「古臭い」思想でしかないのですけどね。

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