エントリー

テレビドラマ「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」 最終話感想

全10話で構成されるTBS系列の金曜ドラマ「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」。
いよいよ最終回となる今回は、2012年12月14日放映分である第10話の感想となります。
前回第9話の視聴率は、最低記録を更新した前々回第8話と同じ7.0%。
結局、視聴率的には下から数えた方が早い低調な番組ということになりそうですね、今回のテレビドラマ版「大奥」は。
もっとも、一連の「大奥」シリーズは元来映画こそが本命なのでしょうから、「映画の番宣」としてはそれなりのものはあったかもしれないのですが。
なお、過去の「大奥」に関する記事はこちらとなります↓

前作映画「大奥」について
映画「大奥」感想&疑問
実写映画版とコミック版1巻の「大奥」比較検証&感想

原作版「大奥」の問題点
コミック版「大奥」検証考察1 【史実に反する「赤面疱瘡」の人口激減】
コミック版「大奥」検証考察2 【徳川分家の存在を黙殺する春日局の専横】
コミック版「大奥」検証考察3 【国内情報が流出する「鎖国」体制の大穴】
コミック版「大奥」検証考察4 【支離滅裂な慣習が満載の男性版「大奥」】
コミック版「大奥」検証考察5 【歴史考証すら蹂躙する一夫多妻制否定論】
コミック版「大奥」検証考察6 【「生類憐みの令」をも凌駕する綱吉の暴政】
コミック版「大奥」検証考察7 【不当に抑圧されている男性の社会的地位】
コミック版「大奥」検証考察8 【国家的な破滅をもたらす婚姻制度の崩壊】
コミック版「大奥」検証考察9 【大奥システム的にありえない江島生島事件】
コミック版「大奥」検証考察10 【現代的価値観に呪縛された吉宗の思考回路】
コミック版「大奥」検証考察11 【排除の論理が蠢く職業的男性差別の非合理】

テレビドラマ「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」
第1話感想  第2話感想  第3話感想  第4話感想  第5話感想  第6話感想  第7話感想  第8話感想  第9話感想

最終話は、原作4巻P34~P57までのエピソードで構成されています。
女版家光が死ぬまでのストーリーであり、また同時に次作映画「大奥 ~永遠~ 右衛門佐・綱吉篇」の布石ともなる話でもあります。
この区間は、テレビドラマ版には全く登場しない神原家のエピソードが少なからぬページが割かれているいるため、今話における原作ストーリーは実質ほとんど存在せず、当然のごとく今回もテレビドラマ版オリジナルエピソードが中心となっています。
今回のオリジナルエピソードは以下の通り↓

・女版家光の出産の朗報に接し、姫であることを最初は嘆くが、報告者の発言で考え直し喜ぶ玉栄。
・玉栄に出産祝いを述べつつも、どこか突き放したかのような態度を取る有功。
・徳子姫(後の徳川5代将軍綱吉)を相手に子煩悩ぶりを発揮し可愛がる玉栄。
・「有功との間に子供が生まれていたら……」という仮定の話をする女版家光。
・長女の千代姫(後の徳川4代将軍家綱)と次女長子姫(後の徳川綱重)が学問を学んでいるシーン。
・千代姫の教育を女版家光から依頼される有功。
・澤村伝右衛門と共に静かに酒を酌み交わすシーンで、「出家しろと言われたのに何故大奥に留まったのか?」と質問される稲葉正勝。
・徳子姫と戯れている最中に突如病に倒れる女版家光。
・女版家光の「わしは死ぬのか?」という問いに対し、自分の娘をダシにするお夏の方と玉栄、そしてただ小さく頷く有功。
・後継者問題について「長幼の序」を説く有功。
・大奥の男達を吉原に送り込んだ政策の結果を報告する有功。
・徳子姫が次代の将軍に選ばれなかったことを嘆き悲しみ、有功に八つ当たりする玉栄。
・女版家光への殉死後、息子の亡霊と会話を交わす稲葉正勝の亡霊。
・亡き稲葉正勝の手紙を稲葉家に届ける澤村伝右衛門。
・出家して桂昌院となった玉栄との別れの際、礼を述べる有功。
・自身の死に際、「共に死のう」という以前の約束を破棄して有功に千代姫の後見を依頼する女版家光。

原作ではほとんど「やっつけ仕事」だったかのごとく駆け足かつ省略し過ぎな女版家光の晩年でしたが、テレビドラマ版は相当程度のエピソードを追加していますね。
何しろ原作では、たったの1ページで女版家光は唐突に病死してしまっていましたし(苦笑)。
物語的な必然性がどうとかいう以前に、単なる史実との辻褄合わせのために死んだとしか思えない描写でしたからねぇ、原作における女版家光の死は。
その点テレビドラマ版は、女版家光が死に至るまでの過程をきちんと描いていて、原作の補完としてはそれなりのものがありはしますね。
女版家光死後の後継問題も「いつの間にか決まっていた」的な扱いでしたが、こちらでは有功の助言で女版家光が決断するという形で描かれていましたし。
ただ、結果として玉栄の意を踏みにじる形となった有功を、よくまあ玉栄は恨むことすらなく別れの挨拶ができたものだよなぁ、とは思わずにいられなかったですね。
玉栄は、アレだけ徳子姫を将軍にすることを熱望し、お夏の方への対抗意識に満ち満ちていたわけなのですから、その道を阻んだ有功に対して殺意すら抱いてもおかしくなかったのではないかと思えてならなかったのですが。
徳子姫が後に5代目の将軍になれる未来なんて、あの当時の玉栄に分かるはずもないのですし。
徳子姫の存在があってさえ、とことん有功を尊崇してやまないのですねぇ、玉栄は。

それと、前話で有功と女版家光の双方から「死ぬな」と言われていたにもかかわらず、稲葉正勝は結局原作同様に殉死してしまっていましたね。
稲葉家というオリジナルな存在も登場していたのですし、テレビドラマ版では実家に戻って余生を過ごすシナリオでもあるかと当初は予測したりもしていたのですが。
澤村伝右衛門と酒を酌み交わしたシーンでのやり取りが、そのまま稲葉正勝の死亡フラグとなっていました。
原作にもあった、殉死後の稲葉正勝に対する有功の発言「あなたも…上様に恋した男の一人だったのでしょうか…」は、テレビドラマ版では愛情ではなく忠誠心という形で発露されており、この落としどころは上手いものがあるのではないかと思いました。
原作では何を意図していたのかも不明な台詞でしたし。
原作補完という点から言えば、テレビドラマ版「大奥」はまずまずの出来であると言えるでしょう。

しかし、女版家光の死の間際における玉栄とお夏の方との張り合いぶりは、正直笑わずにいられないものがありましたね。
両者共、女版家光ではなく自身および娘の今後の権勢にばかり目が向いていることが誰の目にも分かる対応ぶりでしたし。
まあアレがあったからこそ、ただひとり淡々と女版家光のことを思いやる有功の言動が光もするわけですが。

今回でテレビドラマ版「大奥 ~誕生~ 有功・家光篇」は完結を迎え、次の舞台はいよいよ2012年12月22日公開映画「大奥 ~永遠~ 右衛門佐・綱吉篇」へと向かうことになります。
全体的に暗い話が続いていたテレビドラマ版とはまた違った面白さがあちらにはありそうではありますが、さて肝心の出来は一体どうなることやら。
当然私も、次作映画は観賞する予定です。

ページ移動

トラックバック

【大奥~誕生~[有功・家光篇]】第10話 最終回 統括感想 from ドラマ@見取り八段・実0段

そなたは生きよ。千代が四代将軍となった時、そなた以外父親代わりの後見は思いつかぬ。千代のため…いや…わしのために生きよ…。亡き後もわしのためだけに…。      大奥~誕生~[有...

  • 2012/12/15 04:40:00

ドラマ「大奥~誕生[有功・家光篇]」第10... from ◆◇黒衣の貴婦人の徒然日記◇◆

大奥総取締りに、有功が---------!!ついに今期一番、毎週楽しみにしていた今作も最終回。最後まで、役者さんの演技で見せきってくれたなぁという感じでした。ついに玉栄の子供が誕生...

  • 2012/12/15 08:14:00

大奥〜誕生[有功・家光篇]第10話:あなたのためだけに生きる from あるがまま・・・

わしにとっての特別(┯_┯) ウルルルルル最終回は、三人の姫さま、千代姫@庵原涼香・長子姫@牛島七菜子・徳子姫@古野本二葉の誰が上様の跡を継ぐのかという話がメインで、もう有功さまと家光さまのツーショットシ...

  • 2012/12/15 10:25:00

大奥〜誕生[有功・家光篇]第10話(終)★家光(多部ちゃん)「たとえ体のつながりがなくとも・・」 from 世事熟視〜コソダチP

大奥〜誕生[有功・家光篇]第10話「あなたのためだけに生きる」家光(多部未華子)が第三子となる姫を産みました。父親である玉栄(KAT-TUN田中聖)は、托鉢の僧侶・隆光(ピース又吉)にお前は将軍の父となると言われた日を思...

  • 2012/12/15 11:56:00

「大奥~誕生[有功・家光篇]」最終話 from またり、すばるくん。

最終話「あなたのためだけに生きる」    

  • 2012/12/15 14:02:00

大奥~誕生[有功・家光篇] 第10話(最終話) from ドラマハンティングP2G

第10話「あなたのためだけに生きる」2012年12月14日 OnAir 有功(堺雅人)が大奥総取締役になり、新生大奥が誕生して一年が過ぎた。家光(多部未華子)は、玉栄ことお玉(田中聖)の子を出産した。残念ながら今回も姫君だったが、...

  • 2012/12/15 14:37:00

「大奥 〜誕生[家光・有功編]」第10話。 from Flour of Life

逆転大奥も最終回を迎えました。いよいよ今生の別れ…

  • 2012/12/15 19:24:00

大奥~慶安四年のフィナーレ~1651年と書いていろこいと覚えるのじゃ(多部未華子) from キッドのブログinココログ

年号を覚えるにはゴロあわせが一番である。 なくよ(794年)うぐいすへいあんきょうである。 徳川幕府三代将軍家光の死亡年がテストに出ることはまずないと思うがこの年は由井正雪が慶安の変を起こす年でもある。 女・将...

  • 2012/12/15 20:37:00

『大奥〜誕生[有功・家光篇]』最終話 from 悠雅的生活

あなたのためだけに生きる

  • 2012/12/15 20:43:00

大奥〜誕生〜[有功・家光篇] 第10話(最終回) from レベル999のgoo部屋

『あなたのためだけに生きる内容大奥総取締役となった有功(堺雅人)それから1年後。。。。家光(多部未華子)は玉栄(田中聖)との間に子を産む。今回も姫であったが、もしも男であっても。。。と素直に喜ぶ玉栄。...

  • 2012/12/15 21:26:00

大奥 誕生&めだかボックス from スポーツ瓦版

12月15日 大奥 誕生&めだかボックスアメブロが5月15日よりTB廃止する事が発表されましたので5月15日以降に更新した記事では当ブログでTBを受付ます当ブログに ...

  • 2012/12/15 21:59:00

「大奥 〜誕生〜 [有功・家光篇]」 第10話(最終話) あなたのためだけに生きる from トリ猫家族

 差し出した手の上に、安心するように重ねられた家綱様の小さな手、その手を導きながら有功様は、この大奥で生き続けてゆくのでしょう。それが、この大奥という場所で、悩み苦 ...

  • 2012/12/15 22:22:00

大奥〜誕生 最終話 from emitanの心にうつりゆくもの

最終話 「あなたのためだけに生きる」有功(堺雅人)が大奥総取締役となり1年。

  • 2012/12/15 22:50:00

大奥~誕生[有功・家光篇] 最終回(第10話)の感想 from オタクと呼ばないで

TBS系で放送された「大奥~誕生[有功・家光篇]」最終回(第10話)の感想などさすがに最終回とあって、家光(多部未華子さん)の臨終シーンはしみじみ・・。有功(堺雅人さん)に手を握られながら事切れます。玉栄(...

  • 2012/12/16 00:51:00

大奥~誕生~[有功・家光篇] 最終回 from ぷち丸くんの日常日記

有功(堺雅人)が大奥総取締役になり、新生大奥が誕生して1年が過ぎます。家光(多部未華子)は、お玉(田中聖)の子を出産します。今回も姫さまでしたが、お玉は手放しで大喜びです。数年が過ぎ...

  • 2012/12/16 14:29:00

大奥 ~誕生~[有功・家光篇] - 堺雅人 多部未華子 from 新ドラマQ

大奥 ~誕生~[有功・家光篇]金曜 22:00 TBS2012年10月12日~12月14日(10回)[キャスト]堺雅人 多部未華子 田中聖 (KAT-TUN) 平山浩行 南沢奈央 尾美としのり 段田安則 内藤剛志...

  • 2012/12/16 14:48:00

《大奥~誕生【有功・家光篇】》#最終話 from まぁ、お茶でも

家光は玉栄との子を難産の末産んだ。徳子姫と名付けられた。この姫は、快活で、おてんばで、痛みにも強かった。姉たちの長女千代姫は、算術が苦手だった。有功に和歌や詩歌を習うときは楽しいが、と答えるのを見て有...

  • 2012/12/17 02:31:00

大奥~誕生~[有功・家光篇] 最終回 from のほほん便り

「あなたのためだけに生きる」って、最初は、扇子でバシバシのドSな多部ちゃんに度肝を抜かれたけれど、有功(堺雅人)の魅力と人柄の前、彼の前では、しおらしくなる、ツンデレぶり。そして、次第に自らの運命を自覚...

  • 2012/12/17 09:44:00

大奥~誕生~[有功・家光篇] 最終回 from のほほん便り

「あなたのためだけに生きる」って、最初は、扇子でバシバシのドSな多部ちゃんに度肝を抜かれたけれど、有功(堺雅人)の魅力と人柄の前、彼の前では、しおらしくなる、ツンデレぶり。そして、次第に自らの運命を自覚...

  • 2012/12/17 09:49:00

大奥~誕生[有功・家光篇](終) from ドラ☆カフェ

視聴率は 8.3%・・・前回(7.0)よりあなたのためだけに生きる

  • 2012/12/17 11:59:00

大奥~誕生~[有功・家光篇] 最終回 from のほほん便り

「あなたのためだけに生きる」って、最初は、扇子でバシバシのドSな多部ちゃんに度肝を抜かれたけれど、有功(堺雅人)の魅力と人柄の前、彼の前では、しおらしくなる、ツンデレぶり。そして、次第に自らの運命を自覚...

  • 2012/12/18 07:32:00

トラックバックURL

https://www.tanautsu.net/blog/index.php/trackback/842

コメント

  • コメントはまだありません。

コメント登録

  • コメントを入力してください。
登録フォーム
名前
メールアドレス
URL
コメント
閲覧制限
投稿キー(スパム対策に、投稿キー を半角で入力してください。)

ユーティリティ

2024年12月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ページ

  • ページが登録されていません。

新着画像

新着トラックバック

Re:デスクトップパソコンの買い換え戦略 ハードウェア編
2024/12/04 from refreshable braille display
Re:デスクトップパソコンの買い換え戦略 ハードウェア編
2024/11/19 from ヘッドレスト モニター 取り付け
Re:映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」感想
2014/11/27 from 黄昏のシネマハウス
Re:映画「プリンセストヨトミ」感想
2014/10/22 from とつぜんブログ
Re:映画「ひみつのアッコちゃん」感想
2014/10/19 from cinema-days 映画な日々

Feed