2012年映画観賞総括 洋画作品編
2012年の新作映画観賞97本中55本を占める洋画作品。
今回はその中から、各種部門別に個人的な私的評価に基づいて選別した作品をピックアップしていきたいと思います。
■ 洋画年間ベスト作品&アクション映画部門
まずは洋画年間ベストも兼ねるアクション映画部門の作品から。
並居る強豪がひしめく2012年の洋画作品の中で、見事ナンバー1の座を獲得したのはこの作品です↓
この作品一番の魅力は、やはり何と言ってもシルヴェスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリスという、ハリウッドアクション映画を代表する3巨頭が一斉に横に並び銃を乱射して敵をなぎ倒していくというシーンですね。
昔からハリウッドアクション映画に慣れ親しんできた人間としては、観客受けを狙ったあざとい演出であることが分かりきっていてもなお感動的なシーンと言って良く、これだけでも必見の作品と評価できます。
ハリウッド映画のファンであれば誰もが名前と顔は知っている大物俳優を集めた一種の「お祭り映画」と言える作品ではありますが、それだけに誰もが安心して観賞できる一品です。
今作は3部作の2作目ということで、次回作でいよいよ完結するとのこと。
是非次回作でも、今作に勝る出来を期待したいものです。
ただまあこの作品、来年発表予定のラジー賞候補にノミネートされるのはほぼ確実の映画ではあるでしょうね。
何しろ「アメリカ版『と学会』」と揶揄されるあの賞は、シルヴェスター・スタローンを敵視でもしているかのごとく、彼の出演作品には問答無用で駄作認定を叩きつけるのが常なのですし(苦笑)。
一方、アメリカでは評価が高く、日本でも派手に喧伝されていた「アベンジャーズ」と「ハンガー・ゲーム」は、それなりに評価されるべき作品ではあったにせよ、その宣伝ほどにはどうにも感動的な要素が少なかった感が個人的には否めなかったですね。
「アベンジャーズ」は3部作の1作目ということもあったのでしょうが、味方の登場人物達が終盤近くまで延々と内輪揉めばかりに終始していた感がありましたし、敵側の描写が非個性的な上に「強大な脅威」なようにもあまり見えなかった点が若干マイナス点となりました。
一方の「ハンガー・ゲーム」は、サバイバルゲームの挑戦者達同士の心理戦や駆け引きが少なく、またゲームの主催者によるゲームへの介入やルール改竄があまりにも鼻につきすぎ、何かと引き合いに出されていた「バトル・ロワイアル」と比較しても設定が稚拙と言わざるをえませんでした。
今後も続編が出ることが既に決定しているシリーズ作品の1作目としてはそれなりの出来ではあるのでしょうが、作品単体としての評価ではややマイナスな部分が少なくない、といったところです。
その他の作品としては、ジェイソン・ステイサム主演の「SAFE/セイフ」が、マイナーながらも意外に高い評価となっています。
■ SFX&VFX映画部門
厳密に言うと、前述の「アベンジャーズ」や「ハンガー・ゲーム」もVFX映画のカテゴリーに含まれるのではないかと思われるのですが(^^;;)、まあここでの定義では「個人戦的なアクション演技が含まれない&メインではないVFX映画」ということで。
迫力ある映像が売りのSFX&VFXが売りの作品の中で見事栄冠を勝ち取った作品はこちら↓
ストーリー展開そのものはハリウッド映画スタンダード的なものではありましたが、そのお約束な展開も含めた安定的な展開と、近代的な戦いが封じられた中での頭脳戦や緊迫感溢れるシーンの連続などが高評価となりました。
この作品、エンドロール後に映し出された特典映像で続編があることを匂わせていましたが、果たして今後続編って出てくるのでしょうかね?
■ サスペンス映画部門
ここでは「頭脳戦メインで緊迫感ある展開が続く映画」という定義です。
この部門でのベスト作品はこちら↓
地味な映画の宣伝や前評に反して、意外な掘り出し物な出来だった今作。
序盤は主人公の行動の意図や動機がまるで分からず、その謎を追っていくというストーリー構成と、ラストで披露される全く意外な真相がツボを突いた作品でした。
サスペンス映画部門では、この作品と「アルゴ」のどちらを選ぶかで迷いましたが、最終的には「アクション映画的な展開がある」という点で「崖っぷちの男」が若干加点されてこちらに決定した、といった感じですね。
まあ、アクション展開が全くないのにアレだけの緊迫感が演出されていた「アルゴ」も、それはそれで高い評価を得て然るべき出来ではあったのですが。
■ コメディ映画部門
まあこれについては、今年はブッチぎりでこれに決定ですね↓
やはり、世界的に有名な一流コメディアンとしてその名を轟かせている「Mr.ビーン」ことローワン・アトキンソンのお笑い劇は伊達ではない、ということで。
あの上下に動く椅子のシーンをはじめ、観賞の最中に何度も吹き出してしまうこともしばしばでしたし、笑いのツボを凄くよく心得ていましたね。
アクション・コメディの「&シリーズ」の一翼を担う「Black & White/ブラック&ホワイト」や、久々に続編が出た「MIB3/メン・イン・ブラック3」も、お笑い要素では遠く及ばないですね。
まあ、相手は本職なのですし、露骨なギャグコメディをひたすら前面に出したアレとは比較できるものではないでしょうけど。
■ 人間ドラマ映画部門
「エクスペンダブルズ2」が公開されるまでは洋画総合1位だったのがこの作品↓
映画を見始めた序盤はそれほどでもなかったのですが、ラスト30分の大どんでん返しで評価が大きく変わった作品ですね。
あれほどまでの展開と感動は、そうそう味わえるものではなかったですし。
それ以外では、安心して観賞できる構成の「幸せの教室」や、修羅場の連続を描写しているはずなのに「ハワイ」な雰囲気がそう感じさせない「ファミリー・ツリー」などが個人的にヒットでした。
■ 洋画年間ワースト作品
大量に映画を観賞すれば、当然のごとく駄作を当ててしまう可能性も高くなるものですが、今年の洋画で一番の駄作はこれに決まりですね↓
最初から最後まで鬱々な展開が延々と続く上、ヒロインが途中でフェードアウト、さらには「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」とは逆に、ラスト30分における行動が全くの無駄でしかなかった点など、この作品のどこら辺に評価できる要素があるのか、全くもって理解に苦しむ作品でした。
今作より前では、マーガレット・サッチャーを扱っているにもかかわらず、その描写の半分近くが認知症絡みのシーンで構成されているという本末転倒な映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」が洋画1位の駄作な扱いだったのですが、それを余裕でブッチぎるシロモノでしたし。
観客に映画を見せるのであれば、せめてエンタメとしてきちんと成り立つ形で作って欲しいと、つくづく思わずにはいられなかったですね。
次回は邦画作品の部門毎評価を行います。