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内容を問わずサイトの順位を下げるパンダアップデートの構造的問題

サーチエンジン最大手のgoogleが定期的に実施しているパンダアップデート。
このパンダアップデート、一般的には「コピーサイトやアフィリエイトブログなど、低品質なサイトの順位を下げ、オリジナリティのある高品質サイトの順位を上げるためのもの」と解説されています。
しかし、実はパンダアップデートには意外に無視できない大きな陥穽があり、それが結果的には本来パンダアップデートが意図している目的の観点から言っても弊害にしかなっていないという実態があったりするんですよね。
今回はそんなパンダアップデートの問題点について少し。

2012年7月18日より日本でも本格的に導入されたパンダアップデートは、それまでのSEO(サーチエンジン最適化)に多大な影響をもたらしました。
それまで高順位を誇っていた少なからぬサイトやブログが、このパンダアップデートの導入で順位を低下させることになったのです。
まあ、ただそれだけならば私も他人事として笑っていられたのですが、問題なのはその中にタナウツまで含まれてしまっていたこと。
タナウツの1日当たりのユニークユーザー数は、この日を境に一挙に3分の1以下にまで激減し、私はその原因の究明と対策に追われることになったのです。
ところが、パンダアップデートがどういうものなのかについてまず調べた私は、その内容に愕然とせずにはいられませんでした。
何しろタナウツには、パンダアップデートによってペナルティを受けるべき要素がどこにも存在しなかったのですから。
コピーサイトでもなければアフィリエイトブログでもないのですし、しかもオリジナリティという観点から言えば、類似サイトが存在しないという点でもタナウツは相当なものを持っているはずなのです。
しかし実際問題として、パンダアップデートによってタナウツの検索順位が低下を余儀なくされ、アクセス数の激減が発生したのは厳然たる事実として存在するわけです。
何故タナウツはパンダアップデートに引っ掛かったのか?
その対策はどうすれば良いのか?
一般的なパンダアップデートの解説では全く解きようがないこの命題を、私は必死になって解明しようと様々な試行錯誤を重ねてきました。

もちろん、私も最初はパンダアップデートの公式解説や参照したSEOサイトなどの説明を元に、まずは自分のサイトに問題がないかを確認することを考えました。
パンダアップデート対策で最も有効とされていたのは、「サイト内に存在する内容重複のページや、文字数が少ないページを検索対象外とする」などといったものでした。
で、当然私もある程度それを実践してみたのですが、アクセス数は回復するどころか逆にますます下がるばかり。
3~4ヶ月ほどこの手の対策を行い続けて、「この対策はいくらやっても無駄どころか却って逆効果」という不毛極まりない結論に到達せざるをえなかった私は、発想を切り替えて今度は「タナウツを押さえて検索上位になったサイト」を調べてみることにしたんですよね。
すると、それらのサイトに意外な共通点があることに気づいたのです。
パンダアップデート後に上位表示されるようになったサイトは、その多くが「誰もが知っている有名な大手サイト」だったのです。
たとえば、「(任意の映画タイトル名) 感想」という検索ワードで検索すると、パンダアップデート前は個人の感想ブログなどが上位表示される傾向がありました。
ところがパンダアップデート後は、Yahoo!の映画レビューサイトや映画.com・シネマトゥデイなどの記事などが上位表示されるようになり、個人ブログの感想ページが検索上位に反映されにくくなっているのです。
この事実から、やっと私はパンダアップデートの本質と構造的な問題が理解できたんですよね。

実はパンダアップデートの順位変動は、内容の品質の高低を問わず、Web上に存在する全てのサイトが影響を受ける構図が存在します。
前述の通り、パンダアップデートは大手サイトを高品質サイトと見做して優遇し、それまで全く検索結果に上位表示されなかった特定の検索ワードでも、大手サイトを上位に引き上げて表示する傾向を持っています。
そして、パンダアップデートによる大手サイトの順位上昇は、当然のごとくそれ以下の順位となる全てのサイトに多大なまでの悪影響を与えることになります。
何しろ、サーチエンジンの検索では、検索結果の上位10位がアクセス数の90%を占めるという構図があります。
巷のSEOも、その最大の存在意義は「いかにして自サイトを検索結果の上位10位圏内に食い込ませるか」にあるのですから、検索結果の上位10位に入るか否かは、SEOの観点から言っても死活問題とならざるをえないわけです。
そんな環境の中で、突然複数の大手サイトが検索上位を独占すればどうなるのか?
当然、それまで検索上位を占有していた個人のサイトやブログは、大手サイトによって順位を大幅に下げることとなり、結果としてアクセス数も激減する、ということになるわけです。
このパンダアップデートによる大手サイトの検索上位急上昇は、当然それ以外の「全ての」サイトやブログを犠牲にする形で行われることになります。
パンダアップデートの条件に全く該当しないにもかかわらず、パンダアップデートの「巻き添え」を食らってしまう「低品質でない」サイトが、この構図では絶対に発生してしまうんですよね。
ペナルティ的な順位下落しか存在しないペンギンアップデートなどとは、ここが大きく違うところであるわけです。

パンダアップデートは低品質のサイト順位を下げる一方で高品質サイトの順位を上げる、と謳っています。
しかしその「高品質」の評価の実態は「大手サイト優遇」に等しいシロモノでしかなく、単に大手サイトの順位を引き上げることで個人のサイトやブログを締め出しているだけ、というのが現実なのです。
どおりでパンダアップデートの導入以来、googleの検索結果が支離滅裂な様相を呈しているわけですね。
如何にも美しげな理想を語っているかに見えるパンダアップデートの実態ってこんなシロモノでしかないのかよ、とつくづく私は考えずにはいられなかったのですけどね。

パンダアップデートについて色々な対策を語っているSEOサイトはいくつか存在しますが、パンダアップデートの本質が「大手サイト優遇」である、と喝破したサイトは皆無なんですよね。
どこの解説でも、「自分のサイトに問題がある」ということを前提としている内容ばかりですし。
まあ、そんな身も蓋もないことを言ったら、SEOサイトとしては一種の「売り」がなくなってしまうわけですし、そもそもそんな対策の取りようがないことを語ったところで読者を失望させるだけでしかないのですが。

パンダアップデートで順位が下落したサイトやブログは、自分のところの内容ではなく余所のサイトに原因がある可能性があります。
「大手サイト優遇」による検索結果の順位変更で、パンダアップデートのペナルティに該当しないはずのサイトでも、大手サイトの巻き添えを食らう形で大きく順位を下げアクセス数を大きく減らすことがありえるのですから。
このパンダアップデートの構造的な問題、結構根深いものがあると言わざるをえないですね。
まあパンダアップデート自体、実に未だ試行錯誤の最中にあって、日々検索評価の精度を上げることに汲々としている状況にあったりするのかもしれませんが、サイト運営者としては、一刻も早くパンダアップデートのおかしな構図を打開する方針なり技術なりを確立してもらいたいところです。

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