専業主婦志向を経済の観点のみで否定する拝金主義者の論理
2012年12月15日に発表された内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」。
以前にも紹介したように、この調査では、専業主婦志向の人間が男女問わず、また若年層になるほどに増えているという結果が出ています。
しかし、これまで男女共同参画社会とやらを推進してきた面々にはよほどに納得のいかない結果だったのか、現実を見ないおかしな珍論を彼らは出しまくっています↓
http://megalodon.jp/2013-0210-1122-55/r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20130207-00028165-r25
> 約52%。何の数字かわかるだろうか。じつはこれ、内閣府の調査で「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に「賛成」と答えた人の割合。92年にこの質問を始めて以来、賛成はずっと減り続けてきたのに、一転して前回より10ポイント以上も増えたのだ。とくに男性の賛成が約55%と目立ち、20代が急増している。なぜ男性の「専業主婦派」が増えたのか。
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> 「妻には家庭にいてほしいと思っても、経済状況や雇用環境を考えると現実的ではない。実際には共働きを選ばざるを得ない世帯が増えている分、逆に専業主婦への憧れが高まったのでは」。こう話すのは内閣府男女共同参画局の松崎さん。
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> たしかに「夫は外で働き、妻は家庭を守る」というのは長いあいだ日本に定着してきた家族観。その考えを反映したのが専業主婦世帯の課税所得を優遇する配偶者控除だ。妻の所得が38万円以下(給与収入では年収103万円以下)なら年間38万円の所得控除を受けられる。
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> ただし、経済面だけを考えたら“専業主婦”を選ぶメリットはほとんどない。全国消費者実態調査(09年)によると、妻が30~34歳の専業主婦世帯の年収は540万円で共働き世帯は599万円。毎月の貯蓄額も、専業主婦世帯の1.1万円に対し共働き世帯は4.3万円もある。また、ひと月の可処分所得は専業主婦世帯の33.2万円に対し、共働き世帯では38.5万円と、年換算で63.6万円も違う。さらに女性が30歳で“専業主婦”になると生涯賃金は3000万円だが、正社員として働き続ければ生涯賃金は1億7800万円、非正社員でも8200万円―。経済的には共働き派の圧勝といえるのだ。
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> もっとも、様々な不安から専業主婦に夢を抱くのもわかる。ある結婚相談所の調査では、未婚男性1135人のうち「妻の収入が多ければ専業主夫になってもいい」と答えた20代男性が61.7%もいたという。男にとって幸せな結婚とはどんなカタチ…なのか!?
> (押尾銅山)
……何というか、これを書いた人ってカネの亡者か金銭至上主義者だったりするのではないか?とすら疑いたくなってきてしまいますね(苦笑)。
そもそも、引用記事の内容を見てさえ、経済事情と専業主婦志向が何の関係もないことが丸わかりですし。
「経済面だけを考えたら“専業主婦”を選ぶメリットはほとんどない」にもかかわらず、何故「何ら経済的な恩恵がない」はずの専業主婦志向が増えているのかについて、引用記事は結局何の説明もできていないのですから。
第一、貧乏だけど子供の面倒を見るために妻が専業主婦をやっている家などについては、一体どうやって引用記事のごとき論理を適用することができるというのでしょうか?
専業主婦は別に「金持ちのステータス」というわけではないのですし、家の維持や子育てなども「外へ働きに出る」のと同じかそれ以上の苦労があることなんて、誰の目にも明らかであるはずなのですけどね。
赤子の面倒を見る際にノイローゼを患ったり、「家事や子育てをやりたくないから外へ出て働きに出る」などと言い切ったりするような女性までいるほどに、専業主婦というのは大変な一面もあるというのに。
この手の「専業主婦否定論」や「女性の社会進出推進論」などを色々読んでみると、あるひとつの傾向がはっきりと見て取れます。
それは、妻と夫が常に階級闘争史観的な二項対立の構図になっていることが前提としてまずあり、かつ家族全体や子育てなどの観点から見た視点や意見が完全に無視されていることです。
保育園神話や夫婦別姓推進論などはまさにその典型例なのですが、これらの主張には子供のことなど全く眼中にないか、下手すれば邪魔者扱いしているかのごとき論調が非常に目立つんですよね。
子供がある程度成長し分別を持つような年代になったのならばともかく、親の保護下に置かれるべき幼少期の子供は、親が親身になって面倒を見るべきか弱い存在であるはずでしょう。
しかし、責任のある仕事を持ちながら子供を育てるなんてのは、よほどの超人でなければ自分ひとりだけでは到底できるものなどではありません。
しかも、幼少時における子育ては、その後の子供の性格形成にも大きく影響を与えるものとなりえるのです。
家族や子供が大事だから。
外に出て働きに出ることで、自分の子供には寂しい思いをさせたくない。
親が子供を見てそういったことを考えるのは、別に不自然なことでも何でもないでしょう。
ましてや、専業主婦志向が増えたという20代は、特に自分自身が親の共働きの影響で放置されていた経験を持つ人も少なくないのですからなおのこと。
共働き「しなければならない」事情があって【さえもなお】専業主婦志向が増大する、というのは、むしろそういった「家族や子供への思い」の方が理由としては強いでしょう。
そんな簡単な理由に目を背け、あたかも拝金主義者のごとき生涯賃金を持ち出してくるとは、男女平等思想も一体どこまで捻じ曲がっているのかと、つくづく思えてならないところなのですけどね。
第一、ここ20年近くも続く不況では、正社員でさえもリストラの脅威に晒され、誰もが生涯働けるという保証すらないのが実情だというのに。
共働きで本当に利益を得るのは、安価な労働力を確保し、かつさらに労働単価を値切ることを可能とする企業でしかないのですし。
その企業利権を確保したいからこそ、男女平等イデオロギーは推進されているのではないのかとすら、昨今の歪んだ男女平等事情を鑑みると勘ぐらざるをえないところなのですがねぇ。
男女平等というのは元来「男女共に平等に【不幸になる】」ことを目的としたものではないはずなのですが、現状はまさにそうなってしまっているとしか言いようがありません。
家族観や子育ての観点から抜本的に見直した、全く新しい男女平等の概念を考えるべき時期に、いいかげん来ているのではないですかね?
ぽろん
はじめまして。
興味深く読ませていただきました。
現在妊娠中の専業主婦です。妊娠を理由に仕事はクビになりました。とはいえ、在職中の度重なる残業や、ストレスによる心療内科への通院と言う過去もあり、結果よかったなと今では思っています。
独身時代は、
"共働き=ダブルインカム=経済的に余裕のある生活"
と言うイメージを抱いていました。ですが、実際は違いました。
"二人合わせてちょっとだけ余裕のある生活"
でしかありませんでした。ですので、外食も中食も控え、節約する毎日・・・・・・・。
ですので、理想と現実のギャップを感じていました。
ところが、紹介していただいた記事を読んで、妙に納得してしまいました。
女性が働き続ける理由の多くは、経済的理由とのこと。
一方で、女性が働き続ける理由の私の個人的なイメージとして、"自己実現のため""キャリアの維持""仕事が好きだから"などがありました。
私自身はは経済的理由で仕事続けていたため、後ろめたさがあったのですが・・・・・・。
平均値とはいえ、私は逆に共働き家庭と片働き家庭との収入の差が思いのほか小さいことに驚いています。
決して少なくはありませんが、極端に大きくもないように、私は感じました。
夫婦や家族の時間や家庭という安らぎの場の確保のために、この差額がつかわれているのであれば、むしろ少なすぎるではないかとも感じました。
働く女性というと、優秀なキャリアウーマンばかりに目が行きがちですが、私のようなフツーのOLも労働市場には大勢います。
(過去のコメント欄でのやりとりのなかでも、例に挙げられるのはごくごく限られた優秀なキャリアウーマンばかりでした。)
後者の人間に対しても、企業や世間は"社会に出て働くべきだ"と本当に考えているのでしょうか。
いわゆる産休切りを経験した今、純粋に疑問を感じています。