相変わらず深刻な地域間の映画格差事情
第85回アカデミー賞で脚本賞と助演男優賞の栄冠を手中にし、日本でも2013年3月1日から劇場公開されている映画「ジャンゴ 繋がれざる者」。
この映画は熊本の映画館でも宣伝が行われており、映画館での映画の宣伝は「その映画館でいずれ上映されることになる作品」を意味するものでもあることから、私も当然のごとく公開に合わせて観賞する計画を立てていました。
ところが何と、この映画は土壇場で熊本県内の劇場公開予定が全て消失してしまい、熊本では観賞することすら完全に不可能とされてしまったのです。
「熊本の映画館で宣伝されていたのだから」と熊本での劇場公開を確信し、3月1日のファーストデイの公開に合わせて観賞する予定だった私の計画は簡単に頓挫(T_T)。
これまでの慣習から考えればありえない事実に驚愕し、すぐさま公式サイトの上映劇場一覧を確認した私は、この映画が熊本どころか、日本の47都道府県中わずか20都道府県でしか上映されていないという事実を知ることに。
熊本で公開する気がないのなら、そもそも最初から熊本の映画館でCMなんか流すなよ、と私は腹いせも兼ねて大いに地団太を踏む羽目となってしまったのでした(T_T)。
映画「ジャンゴ 繋がれざる者」は、レオナルド・ディカプリオ等の大物スターが出演し、ジャンルもアクション映画、さらにはクエンティン・タランティーノ監督製作映画の中では最もヒットした部類に入るとされる作品です↓
http://www.cinematoday.jp/page/N0049501
> [シネマトゥデイ映画ニュース] 映画『ジャンゴ 繋がれざる者』が、北米におけるクエンティン・タランティーノ監督最大のヒット作になったことが明らかになった。オープニング週末だけで3,000万ドル(約24億円)を超える興行収入を記録した同作は、18日までに1億3,012万ドル(約104億960万円)を稼ぎ出している。(数字はBox Office Mojo調べ・1ドル80円計算)
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> これまで最大のヒット作だったのは、2009年の映画『イングロリアス・バスターズ』。ブラッド・ピットとタランティーノ監督の初タッグ作となった同作は、北米で興行収入1億2,050万ドル(約96億4,000万円)を記録している。公開館数だけでいえば『ジャンゴ 繋がれざる者』は3,010館と、『イングロリアス・バスターズ』の3,165館には及ばなかったものの、公開後1か月足らずでタランティーノ監督のキャリア史上最大のヒットとなった。
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> レオナルド・ディカプリオが残忍な悪役を演じていることでも話題の本作は、先日発表された第70回ゴールデン・グローブ賞を助演男優賞(クリストフ・ヴァルツ)と脚本賞(クエンティン・タランティーノ)の2部門で受賞。アカデミー賞でも作品賞を含む5部門でノミネートされており、脚本賞での受賞が有力視されている。(編集部・福田麗)
しかも日本での劇場公開は、ちょうど第85回アカデミー賞の発表直後ということもあり、タイミング的にもこれ以上ないほどのベストと言って良いポジションにもあったはずなのです。
ところが、そういった好条件が重なっていてさえ、前述のような公開状況でしかないということは、つまるところこの映画は、日本における映画配給会社の間では「ヒットしない」という評価が下されているということになるわけです。
事実がそうなのか、日本の映画配給会社の目が救いようのないレベルで明後日の方向を向いているのかは分かりませんが、こんなことが続くと、作品毎における「観賞機会の格差」、および都会と地方の映画格差は拡大する一方です。
カネをかけて大々的な宣伝がかけられる映画は全国公開されることでますます大ヒットする一方、知名度のない作品はたとえどんなに内容が優れていたとしても観賞する機会すら与えられずマイナーなままで終わる、という構図は、あまり良い環境とは言えないのではないのかと。
また、2012年の1年間で日本全国で公開された映画総本数が983本なのに対し、熊本県内で公開されたそれは150本にも満たない数値でしかないという事実が示すように、地方で公開されない映画の存在は地域格差を拡大させる元凶でしかありません。
製作サイドにとっても映画ファンにとっても害にしかならない、この金儲け至上主義な映画館事情とそれに伴う都会と地方の映画格差の拡大は、いいかげんどうにかならないものなのでしょうかねぇ(-_-;;)。