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映画「探偵はBARにいる」感想(DVD観賞)

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映画「探偵はBARにいる」をレンタルDVDで観賞しました。
2011年9月に劇場公開された日本映画で、北海道を舞台に繰り広げられるハードボイルド・ミステリー作品です。
今作は普通に熊本でも劇場公開されていたのですが、タイミングが合わずに見逃していたことに加え、2013年5月に続編映画「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」が公開されるという事情もあり、今回のレンタル観賞と相成りました。
作中では闇世界ならではの殺し描写があったりするためか、劇場公開時に今作はPG-12指定されていました。

今作の主人公は、実は名前が一切作中で明示されることがありません。
一人称は俺、自ら名乗ることもなく、自己紹介は北海道の繁華街「すすきの」にある「KELLER OHATA(ケラーオオハタ)」というバーの名詞を差し出すという形で行います。
他の登場人物達も、主人公を呼ぶ際には名前も苗字も言うことがなく、「探偵」という職業名、もしくは「お前」「あなた」等の二人称代名詞しか使っていなかったりします。
映画のタイトルにもある「探偵」というのは、主人公の職業だけでなく、主人公そのものをも指す言葉だったりするわけですね。

さて、そんな主人公は物語冒頭、雪高く積もる北海道・札幌の街中で、複数人のガラの悪いチンピラに追われていたりします。
必死の逃走もむなしく、前後から挟撃され、逃げ場を失ったた主人公は絶体絶命の危機に晒されます。
その時、突如チンピラ達の後方から奇襲をかけ、アッというまにチンピラ達を倒してしまったのは、主人公の運転手兼相棒的な存在である高田でした。
再度起き上がったチンピラ達は再び2人に攻撃を仕掛けてきますが、既に2人の敵ではなく、2人はあっさりと蹴散らしてその場を後にします。
その後、主人公はとあるホテルの立食パーティの会場で、北海道日報の記者である松尾と出会い、最初に主人公を追っていたチンピラ達から騙し取ったらしいネガを見せつけます。
その写真には、松尾が同性の男とキスしたり、ベッドで同衾したりしている光景が写し出されていおり、主人公は松尾からネガを奪い取るよう依頼を受けていたのでした。
主人公は報酬として30万を受け取り、さらに何か依頼を頼む際にはここに電話してくれと、「KELLER OHATA」の名刺を渡すのでした。

ちょうど同じ頃、札幌のとある裏路地で、クルマから降りてきて女性を拉致しようとしていたチンピラ達に、女性を助けようとしていた北海道の大手企業社長の霧島敏夫が殺害されるという事件が発生します。
そして1年後、この事件を重要なキーワードとして、主人公は大いに振り回されることになるのですが……。

映画「探偵はBARにいる」のストーリーは、事前には全く予想もつかない展開が延々と続いています。
序盤は謎が謎を呼ぶ展開な上に、依頼主は電話の会話の中だけの存在でしかありません。
簡単な依頼と称して10万単位のカネを振り込み、しかもいざ依頼を実行してみれば生命の危機に直面するという惨状を呈するありさま。
しかしそれでも、主人公はあくまで律儀に依頼を受け続けます。
口ではやたらと文句を言いまくっている上に不平満々な態度を隠そうともしていないのに、それでも依頼を受けるのは、依頼主が女性だからなのか、自分の仕事に誇りを持っているからなのか、何とも判断に苦しむところではあるのですが(苦笑)。
主人公は一応格闘戦に関してはそれなりの心得を持ってはいるものの、別に超人というわけでもなく、不意打ちに遭ってあっさりやられてしまったりする脆弱さも持ち合わせています。
運転手兼相棒の高田と手を組むと、対集団戦でもかなりの強さを発揮するのですが、その高田も相当なまでに性格に難がある上、主人公の危機に駆けつけるのがやたらと遅いですし。
特に物語後半で主人公がまたしても不意打ちの拉致を食らった際には、主人公が姿を消したことにラーメン屋を出るまで気づかなかった上、ようやく主人公を見つけた時には既に主人公はスタボロにされた挙句に実行犯も姿を消しているありさま。
ただそんな高田も、彼なりに主人公のことを「唯一の親友」とは認めているようですし、不器用ながらも心配する様子も見せてはいるのですが。
この2人、一体どのような経緯を経て相棒関係になったのか、つくづく興味をそそられるところですね。

今作で披露されたミステリー要素の集大成であるラストの展開も、かなりの意外性があってなかなかによく出来たものではあります。
その手前の「一見真相に見せかけたフェイント」は、ラストの展開を見ると笑えるくらいに的を外した推理でしたし。
物語序盤は謎だらけの伏線や演出が施され、終盤に近づくにつれて真相が明らかになっていく、というのがミステリーの売りであり爽快感を伴うものでもあるのですが、今作のそれは充分に合格点に達していると言えるでしょう。
また、本場ハリウッドに比べればやや劣りはするものの、格闘戦メインのアクションシーンもそれなりにあります。
これまで私が観賞した映画で言えば、「アウトロー」にコメディとお笑いの明るい要素をふんだんに盛り込んだ作品という感が多々ありますね、今作は。
アレも何やかや言って、アクションよりもミステリー要素が強い作品ではありましたからねぇ。

2013年5月公開予定の続編映画も今から楽しみですね。
当然、私も観賞する予定です。

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