サーチエンジン「bing」のTDP問題
- 2010/07/21 19:10
- カテゴリー:タナウツSEO・SMO, サイト改造裏話
サイト&ブログのSEOを推進していく際、最悪のダメージを被る現象として最も恐れられるトップページ・ダウン・ペナルティ。
略称「TDP」と呼ばれるこの現象が発生すると、上位にランクされたトップページの検索順位が大幅に下落してしまい、最悪、サイト&ブログがサーチエンジンの検索結果に全く反映されなくなります。
サイトやブログのトップページというのは、基本的に一番アクセス数が多く、玄関口的な役割を果たしていることから、サイト&ブログ内全ページの中で最も高い評価をサーチエンジンから与えられるケースがほとんどです。
その検索順位が下落するのは、サーチエンジンを活用して集客しているサイト&ブログおよびその運営者達にとっては致命的な事態です。
TDPが発生する理由は様々で、サーチエンジンの検索アルゴリズムの変更、特定キーワードの大量埋め込みなどの過剰なSEO対策によるスパム判定など色々なものが考えられます。
そのため、特にこれといった特効薬はなく、サイト&ブログの地道な見直しが迂遠であっても一番の対策となるわけです。
実はタナウツでも過去に一度、このTDP現象が発生したことがあります。
2009年10月頃、Microsoft運営の旧MSNサーチエンジン「bing」で、それまで「田中芳樹」検索で3位表示されていたタナウツのトップページが突然100位以下にまで一挙に転落し、検索結果から事実上完全消滅。
検索結果から消失したのがトップページのみで、タナウツ内のサブページが引き続き上位10~20位内を維持していたことから、TDPが発生したと推察されました。
これを修正するには長い時間が必要でした。
bingは当時の日本におけるサーチエンジンのシェア的にはたかだか2%以下の勢力でしかなく、そこでTDPが発生しても、一見すると大した影響はないかのように見えます。
しかし、2009年7月末頃にMicrosoftとYahoo!が提携し、将来的にYahoo!がbingの検索システムを導入するという情報が大々的に報じられていました。
そのため、bingのTDP問題は「将来のYahoo!サーチエンジンになるかもしれないシステムの問題」として無視することはできなかったのです。
googleやYahoo!では特に問題が発生していないにもかかわらず、何故bingでのみTDPが発生したのか?
その原因について調べてみたところ、bingに登録されているトップページのURLがおかしいことが判明しました。
タナウツのトップページURL:https://www.tanautsu.net/
bingに登録されていたURL:http://tanautsu.net/
上記URLを比較すると分かるように、bingに登録されていたURLには先頭にWWWがありません。
この2つのURLは共に「同じサイト&同一ドメインのトップページ」にアクセスするのですが、サーチエンジン的には「別サイトOR別ドメインのURL」として認識してしまいます。
同じ理由で、URLの末尾に「index.html」があるかないかでも、両者は同じページのURLであるにもかかわらず、サーチエンジンでは別URLとして認識することがあります。
当然サーチエンジン側は、上記2つのURLにおけるアクセス数のカウントや評価を、2つのURLでそれぞれ別々に行ってしまいますし、それはSEO的にも大きく不利になります。
そのため、サイトのトップページURLを1つに統合し、かつそのことをサーチエンジンに認識させる必要が生じたわけです。
そこで私は「.htaccess」ファイルを使って301リダイレクト(強制移動)設定を行い、トップページのURLをひとつに統合。
具体的には以下のプログラムを「.htaccess」に書き込んだわけですね↓
RewriteEngine on
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^tanautsu\.net
RewriteRule (.*) https://www.tanautsu.net/$1 [R=301,L]
これは、WWWのないトップページURLでアクセスした場合、自動的かつ強制的にWWWのあるトップページに移動させるというもの。
ついでに以下のプログラムも書き足し、URLの末尾に「index.html」が存在するURLについても同様に強制移動するように設定しました↓
RewriteCond %{THE_REQUEST} ^.*/index.html
RewriteRule ^(.*)index.html$ https://www.tanautsu.net/$1 [R=301,L]
これで、「WWWのあるなし」と「index.htmlのあるなし」で実に4種類もの組み合わせが存在したタナウツのトップページは全て1つに統合されたわけです。
しかし、bingの検索結果でタナウツのトップページをようやく正しく反映されるようになったのは、TDP発覚から8ヶ月以上も経った2010年6月という遅さ。
しかもその時は5位という順位で、元の3位に返り咲くには7月初頭まで待たなければなりませんでした。
bingは元々サイト&ブログのページを登録してから検索結果に反映されるまでの時間が長い上に反映率も低いことで「使い勝手の悪いサーチエンジン」ではあったのですが、googleやYahoo!だと数日で変更が反映されることも珍しくないだけに、bingの評価はさらに下落の一途を辿りましたね。
タナウツのTDP問題は原因もはっきりしていましたし、発生したサーチエンジンもbingのみ、それもYahoo!提携前の小さなシェアの時に発覚したのが幸いして大勢に影響はほとんどありませんでした。
しかし、もしこれがgoogleやYahoo!で発生していたら……。
そう思うとぞっとせずにはいられなかった事件でしたね。