2005年12月17日
09:16
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1:
フィロ
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言いだしっぺの私から、僭越ながら失礼いたします。
つっこみたいところだらけで悩みますが、まずはここから。
「トンデモ本の世界T」(大田出版)の初版のp278~279です。
『実はハバートはカリフォルニアの初期代表的カルト団体であるOTO(東方聖堂会。バラ十字団の流れを組むヨーロッパ正統派カルトで、有名な英国の黒魔術師アレイスター・クロウリーがアメリカに布教した)に関わりを持ち、当時そのロッジ(支部)を牛耳っていたカリフォルニア工科大学の科学者でアメリカのロケット開発草創期の第一人者(そういう人物が黒魔術にはまっていたのである)だったジャック・パーソンズに、愛人との全霊を込めたセックスにより宇宙霊を宿した子供(ムーンチャイルド)を作ることを勧めながら、その愛人と駆け落ちしたという、いわくつきの怪人物であった。このOTOがアメリカにもたらした悪魔崇拝の正当な(?)後継団体がチャーチ・オブ・サタンであり、実践者がチャールズ・マンソンであるわけだ。』
>バラ十字団の流れを組むヨーロッパ正統派カルト
これはミスというよりは「認識不足」
OTOはフリーメーソン系の結社で、スコットランド系メーソンの認可証を得て設立されているんです(入手法はかなり反則かもしれませんが)。「聖堂」とあるように、(歴史学的根拠はうすいのですが)フリーメーソンはテンプル騎士団の秘儀を受け継いでいると言う思想があり、それに基づいた結社なのです。ですから、「テンプラリズムのフリーメーソン系結社」というのが正確です。ただ、(歴史学的根拠はないのですが)「バラ十字団もテンプル騎士団の秘儀をうけついでおり、この三者は仲間だ」という思想を持っているので、ミスとするのは言いすぎでしょうね。でも、団名に「聖堂」を持って来てる通り、テンプル騎士団のほうを押し出している。
>黒魔術師アレイスター・クロウリー
これはミスに限りなく近い「認識不足」
少なくともクロウリーは自分を黒魔術師だとは思っていませんでしたし、それは現在のセレマイストの方々も同様です。
一つ間違うと、たいへん失礼にあたります。
クロウリーの思想を知るには「魔術 理論と実践」(国書刊行会)の熟読が良いのですが、初心者にはしんどいかもしれません。
ですので、「もっと哲学がわかる神秘学入門」(富増章成 洋泉社)のp193~197に、要約がありますので、そこをお勧めします。富増さんは魔術ファンではありませんが、「日常の行動は別として、クロウリーの著作を読んでみると、なんとまあまじめな人なんだろうかとびっくるする」とあり、クロウリーの思想を真面目に調べれば、魔術ファンでなくても、多くの人がこういう感想を持つでしょう。
>このOTOがアメリカにもたらした悪魔崇拝
これはミス。
OTOは悪魔崇拝の結社ではありません。したがって、アメリカに悪魔崇拝なんぞもたらしていません。
>悪魔崇拝の正当な(?)後継団体がチャーチ・オブ・サタン
故A・ラヴェイによって設立されたサタン教会は、OTOの後継団体とは思えません。OTOとは無関係に設立された宗教団体でしょう。
OTOはフリーメーソン系の結社ですので、後継団体や支部を設立するには親団体の認可が必要なのです。OTOがラヴェイのサタン教会に認可を出したなんて話しは、聞いたことがありません。
(喧嘩して分裂という場合は別ですが、ラヴェイがOTOの団員で、そこから分派を作ったなんて話しも聞いたことないですね)
そもそもOTOは悪魔崇拝の結社ではないので、前提からして間違ってるわけですが。
>実践者がチャールズ・マンソンであるわけだ。
マンソンがサタン教会の思想の実践者だなんて言ったら、ラヴェイは間違いなく激怒するでしょうね。
ラヴェイのマンソン嫌いは有名ですから(例:「世界魔術大百科」(学研)のp154)。
マンソンの思想とサタン教会の思想は似てもにつきません。サタン教会は法律に触れるような行為を避けるように教えているのです。
マンソンについては資料はおびただしくあるので、サタン教会についての本を挙げますと、「悪魔教」(ブランチ・バートン 青弓社)が良いでしょう。
以上は氷山の一角であります。
PS:私はクロウリーの信望者でもサタン教会の信徒でもOTOの団員でもありません。
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2005年12月18日
18:16
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2:
如月
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OTOは日本にも支部があって、そこの彼等彼女らとお会いした事がありますが、真面目な人たちでしたね。ガタイが良いのが多いんで見た目怖かったけど。
クロウリー同様、彼等が悪魔崇拝者だというのは間違いでしょう。ごく普通?の西洋魔術実践者です。
まあ、クロウリーに関しては自分が黒魔術師として見られる事を面白がってマスコミや良識人を挑発すると言う悪い癖があったので、一概に一方的な被害者とは言えないと思うのですけれど。
これらの事は、書籍での確認という事であれば、国書刊行会のシリーズか、日本の各種オカルト・魔術団体が発行した会報を漁るのがベターだと思います。まあ、アレな内容が多いですが。
後は朝松健さんや、江口之隆さんのwebサイト経由でアクセス出来るでしょうね。つか、と学会会員なら志水さん経由で連絡取れるし。
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2005年12月19日
00:04
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3:
フィロ
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こんにちは。
RESありがとうございます。
私からもフォロー入れますと、クロウリーやセレマへの誤解に関しては、獣だの666だのアンチキリストだのバホメットだの、そういう単語が頻出するので、ある意味、誤解が生じるのも仕方ないことかもしれませんね
パーソンズに関する一連のエピソードについては、日本語で読める文献としては、「アレイスター・クロウリーの魔術世界」(F・キング 国書刊行会)がありますね。
なお、「と学会」の本には他にも、文系オカルトおたくからの突っ込み所はたっぷりなので、参考文献、ソースを明らかにしながら、やってゆきたいと思います。
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2005年12月19日
00:09
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4:
如月
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こんちは。
>OTOの日本支部の方とは、創立間もない頃に一度だけお会いしたことがあります。
おやあ、奇遇。ひょっとしたら、僕らもどこかでお会いしてるかも知れませんね。(個人名)や(個人名)は元気かなあ。(個人名)とは今でも年賀状のやりとり位はあるんですけどねー。
オカルト系は科学の範疇ではない部分がでかいので本来なら「と学会」のまな板には載らない――故に批判も再版論も難しいですが、やはりおかしな批判にはツッコミを入れるのが健全な有りようですね。
そんなわけで、頑張って下さい。
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2007年01月04日
17:44
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5:
きのこ
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ツッコミというか質問というか、ワタシが頭悪くて意味がわからないだけかもしれませんが、
山本会長のソロ作「トンデモ本?違う、SFだ!RETURN79ページ(いちおうタイトルにトンデモって入ってるからアリですよね?)
>火星人は地球人よりはるかに古い歴史を持っているけど、地球との戦争に敗北したという設定で、日本人にはズキンとくる話だな。
私もいちおう日本人のハシクレではありますが、ちっともズキンときませんでした。
それとも、ズキンとこない私は日本人ではないのでしょうか?
もしも現実の歴史上の戦争のことを言っているのなら、
ズキンとこなきゃならないのはアメリカ人なのではないでしょうか?
マジで。
ちなみに、中国は戦勝国だし、朝鮮に対しては植民地支配はしたけど朝鮮を相手に戦争したわけではありません。
素で何のこと言ってるのかわからぬ。
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2007年01月04日
20:04
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7:
ワカシム
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こんにちは^^
素の部分だけですが
>素で何のこと言ってるのかわからぬ。
アメリカより任本のほうがはるっかに歴史が長いのに・・・
地球人なんぞより火星のがはるっかに歴史が長いのに・・・
で、いま手元にリターンズないので何の話だったか想いだせませんが、その置き換えという意味かなと。
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2007年01月06日
11:03
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8:
山本弘
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> 僕らはすぐにその事実を忘れる。「○○人は××だ」と言う時、その主語は実際には「一部の○○人は」もしくは「多くの○○人は」なのに、すべての○○人を指すと思ってしまう。「○○人は××だ」という定義に当てはまらない、何百万という人間の存在を無視してしまう。
と、『と学会白書YERROW』のあとがきでも書いたんだけど、そんな当たり前のことをいちいち説明しなきゃいかんのですか。
僕の考えからすると、小説を読んでいて、差別される立場の者に感情移入すれば、胸が痛むのは当たり前で、それを「ズキン」と表現したのですが。
そりゃあ、すべての日本人が同じ感性を持つわけじゃないですけどね。
そもそも小山田きのこさんは「火星からの教師」をお読みじゃないようです(プロフィールを拝見しましたが、ぜんぜんSFファンじゃないようですから、『マイ・ベストSF』なんて読んでないだろうと推測します)。
読んでもいない作品で「ちっともズキンと」こないのは当たり前ですよね。
僕だって、読んでいない作品についてはどんな感情も抱けませんよ。
>ちなみに、中国は戦勝国だし、朝鮮に対しては植民地支配はしたけど朝鮮を相手に戦争したわけではありません。
という部分に関しては、「素で何のこと言ってるのかわからぬ」。
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2007年03月04日
23:43
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11:
きのこ
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↑
わかってて言ってる。
ずるいな。
>>そもそも小山田きのこさんは「火星からの教師」をお読みじゃないようです
あくまで、「トンデモ本?違う、SFだ!RETURN」を読んでの感想を言ってるのに、まるで読んでないものを読んだと言い張ってるイタイ人であるかのように印象を操作している。
「トンデモさん」と認定されてる人の中にも、本当はそれほどおかしなこと言ってるわけじゃないのに、
この手法でいかにもトンデモないこと言ってるかのように演出されてる人もいるのかもしれない。
やっぱり、一方の資料だけを信じるのではなく、もう一方の側もしっかり調べて比較検証しないとだめだな。
身を持って教えられた。
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2007年03月05日
00:24
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12:
きのこ
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差別される側の立場に感情移入すれば胸が痛むのは当たり前。
それはそのとおりなんだけど、それならなぜ「日本人なら」と特定の民族にのみことさら罪の意識を負わせようとするのだろう?
それは、どこかに「日本人だけが、世界の中でもずば抜けて差別的な民族だ」という、
まさに「日本人に対する差別」の意識があるからでは?
というのは、勘繰りすぎだろうか?
まぁ、自分で言っててもさすがに考えすぎだろうという気がしてきましたが。
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2007年03月05日
12:35
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13:
山本弘
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>それならなぜ「日本人なら」と特定の民族にのみことさら罪の意識を負わせようとするのだろう?
僕は日本人に罪の意識を負わせようなんてしていませんけど。
> イアンド・バインダーの「火星からの教師」(四一年)という短篇がある。地球の学校に赴任してきた火星人の教師が、様々な偏見や迫害にぶつかって苦しむという話で、被差別民族問題を描いている。火星人は地球人よりはるかに古い歴史を持っているけど、地球との戦争に敗北したという設定で、日本人にはズキンとくる話だな。
この文章のどこが、「特定の民族にのみことさら罪の意識を負わせようとする」とか「日本人だけが、世界の中でもずば抜けて差別的な民族だ」と読めるのですか?
この小説の中で、差別されているのは敗戦国である火星人、差別しているのは戦勝国である地球人(それもアメリカ人)なのですが、どうもきのこさんは根本的にストーリーを理解されていないように思います。
>まさに「日本人に対する差別」の意識があるからでは?
>というのは、勘繰りすぎだろうか?
はい、勘繰りすぎです。
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2007年03月05日
20:07
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14:
ヴィー
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>日本人にはズキンとくる話
だけども、日本人じゃなくてもズキンときてもおかしくない。
日本人であっても、ズキンとこなくても、
> 僕らはすぐにその事実を忘れる。「○○人は××だ」と言う時、その主語は実際には「一部の○○人は」もしくは「多くの○○人は」なのに、すべての○○人を指すと思ってしまう。「○○人は××だ」という定義に当てはまらない、何百万という人間の存在を無視してしまう。
ということで、何の問題もない。ということでよろしいのでは。
断定してても例外があるって話なんだから、突っ込むこと自体が間違いであるわけで。
個人的には「日本人」がアメリカ人より歴史が古いとは思ってないのとアメリカ人からことさら差別された覚えはないので、その意味ではズキンとこないでしょうが。
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2007年03月09日
14:11
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15:
ぶっちゃん
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『日本霊能史講座』なんですが、P228~229にかけて頻発する
「総本山増上寺」というのは間違いです。増上寺は当時
壇林筆頭でしかありませんでした。大本山になったのは、
明治以後です。総本山は知恩院ですし。
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2007年03月09日
15:31
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16:
近衛秀一
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>15
それが記されている文献などありますでしょうか?
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2007年03月09日
16:22
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17:
偽史学博士
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ぶっちゃん様
ご指摘ありがとうございます。
対談という形式上、煩瑣な説明をさけたかったので、現在の称号は明治以降のものであることを省略し、さらにp227で「江戸の」といれることで京都の総本山知恩院との違いを示そうとしたのですが、肝心のところでしくじりました。
今後の改訂の参考にさせていただくということで改めてお礼申し上げます。
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2007年03月09日
21:40
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18:
ぶっちゃん
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>>15
江戸時代の寺院本末帳、明治時代の寺院明細簿(帳)等で確認できるかと思います。
>>17
丁寧なレスありがとうございます。
もう一つ疑問があるのですが、P.152で、「法然に最も影響を
与えた人」という問いに対して、空也の名をあげていますが、
確かに説明通り念仏聖達の祖であることは確かですが、ここは
善導の名をあげるべきだったのではと思うのです。
空也が一遍に影響を与えたというのならわかりますが。
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2007年03月10日
00:32
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19:
偽史学博士
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>善導の名をあげるべきだったのではと思うのです。
浄土思想の受容・発展という見地からすればその通りなのですが、この本では日本列島内での行法の展開という視点から念仏を扱ったため、空也を優先させた次第です。
この本は日本列島内での霊能史にテーマを絞ったため、思想史上の重要な問題をいくつも割愛しています。善導の問題もその一つということでなにとぞご理解いただきたく願います。
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