山本弘 |
レビュー |
この本の欠点の第一は、初歩的な間違いが目立つこと。
>太陽から一番近い恒星系はケンタウルス(β-プロクシマ)(P.20)
トム・ゴドウィン「冷たい方程式」
>ワクチンが届かないと何万人もの人が死ぬ(P.93)
西澤保彦『七回死んだ男』
>この本はなんと主人公が何度も殺されながら、本人が真相に近づいていくという、メチャクチャな設定(p.131)
ロバート・L・フォワード『竜の卵』
>質量は太陽の一〇〇倍以上(P.139)
>私の記憶では、一九七〇年代にナノテクを中心とした(わりとチマチマした)作品や、サイバーパンクと呼ばれるアクションものが多く発表されました。(P.151)
などなど、本当に記憶に頼って書いているらしい、珍妙な記述の数々。SFファンでありながら「アルファ・ケンタウリ」を知らないというのはおおいに問題だし、「冷たい方程式」や『七回死んだ男』などは本当にちゃんと読んだのか疑問である。読んだうえでこんな紹介が書けるのなら、かなり器用な勘違いとしか言いようがない。
そもそも「冷たい方程式」を「リーダーのジレンマ」の問題として紹介するのはどうか。娘を放り出さなければパイロット自身も死ぬのだから、むしろ「カルネアデスの板」の方が適切ではないのか。
第2の欠点は、記述が古臭いこと。1970年代に書かれた本なら、これでも十分に通用した。しかし、21世紀の本としては決定的に時代遅れだ。
一例を挙げると、ロボットについての解説。拙作『アイの物語』を褒めてくださっているのは嬉しいが(^^;)、だったらなおのこと、ロボット工学三原則などというものが時代遅れの概念であることを知っていないとおかしいのだが。
ロボットに限ったことではないが、ページ数の関係か、あるいは初心者向けという配慮なのか、個々の章の考察がどれも浅すぎる。紹介されている作品にしても、数行のあらすじ紹介と単純な感想の羅列で、その魅力を十分に伝えているとは言えず、読んでいてもどかしい印象を受けることが多い。
初心者向けならこれでもいいという声もあるかもしれないが、少なくとも僕はおすすめしない。SFというジャンルが薄っぺらく思われてしまう危険があるからだ。
SFというのはもっと面白いし、奥の深いものである。 |
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テル |
レビュー |
SF小説のガイド本かと思ったら、それだけではありませんでした。とある大学の講義をまとめたものですが、こんな講義があるなら僕も受けてみたい。
SF小説を様々な分野(時間旅行とかロボットとか異星人との接触とか)に分けて、お勧めSF小説の紹介、そのSF小説が言いたかったこと、その他のお勧めのSF小説の紹介と進めて行きます。SF小説にエンターテイメントの他にこんなに奥深いことを言っているのかと興味が湧きました。
随所にネタばらしがありますが、ガイド本なのでしょうがないですし、作者も言っていますが、SF小説はネタばらしをしてしまっても面白さが減ることは無いです。
巻末にはお勧め小説のランキングが掲載されています。自分が一番だと思っていたのがそうじゃなかったと納得できない所もあります。しかし実はもっと面白い小説があるのだと受け止めて読んだことのないSF小説を読んでみようと思います。
題名のようにSF小説を読んでみようと思う人にお勧めです。 |
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異星人 |
レビュー |
これは本日購入してきた本で、日記にも記載していますが「海外・日本のSF小説を元に、インタビュー形式の討論内容」の本です。
懐かしい作品や新しい作家さんなど「講義形式」で紹介しています。
SF(サイエンス・フィクション。或いはスペース・ファンタジー)は取っ付きづらいとお思いの方はご安心を。
内容は至ってシンプルで判り易い内容ですので。
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