どうやら年内に新作が出そうなのでアルスラーン王と結ばれそうな人を考察し、挙げてみたいと思います。
1:エステル
王道と言うべきでしょうか。
アルスラーンの恋の相手の候補として作中でも触れられてはいま
したし。
ルシタニア人である事がネックな気もします。
ルシタニア人関係はドン・リカルドでもいけそうですし。
2:アイーシャ
アルスラーンの好みである「働き者の市井の娘」に該当している
と思います。
容姿が中々整っている事、教育を受けている事、王宮勤めである
事もプラスでしょう。
3:ファランギース
大穴、でしょうか。
アルスラーンは忠誠の対象でしかなさそうで、そもそももう一度誰かに恋をするのか、という疑問があります。
4:誰とも結ばれない
ある意味本命です(笑)。
ザッハークと刺し違えて死ぬ、という可能性もありますから。
みなさんはどうお考えですか?
5:エラム…っておいらは腐女子か(笑)
9巻以降は読んでないんですが、やっぱりどうもこう並べてみても田中作品の女性キャラには萌えが足りませんな。
「エトワールと呼ぶがよい!」とか言ってくれればいいのに。
10/6に「魔王再臨」が発売予定になっていますね。一応楽しみにしております。
アルスラーン戦記の新刊をゲットしてきました。
発売日、昼休みを抜け出して本屋に行ってみると残り数冊……
他にも待ち構えてた人がいるんだと勝手に解釈してレジへ。
やっぱり面白かったですね~。
「起承転結」で言えば「転」に当たりそうです。
アルスラーン戦記の執筆に専念して貰えれば良いんですが、そうはいかないんでしょうね……。
16翼将揃ったと思ったらいきなりザラーヴァント死亡ですが、何だか「無理矢理殺しました」感が否めなかったですね。いかに、元従兄弟だとしても、有翼猿鬼(つまり化け物)となった相手に、わざわざ後ろを見せて黙って殺されるのでは、無為無策にも程があるのではないかと。
エステル死亡については、「アルスラーンの嫁はエステル以外認めない!」とか言ってたのが居たのを前に2chで見た記憶がありますけど、普通に考えてパルスに苦難をもたらしたルシタニア人が「解放王」の王妃って訳にはいかんでしょう(側室ならともかく)から、死なせるしかなかったんでしょうね。それに、側室だとしてもアルスラーン当人が納得しないだろうし、エステルもあの潔癖さでは「異教徒に身を任せる」なんて無理でしょうから、どうやってもアルスラーンとエステルが結ばれることにはならんのでしょうよ。これも「あっさりし過ぎ」な感はありましたけど、「エステル死亡」はまあ仕方ないんでしょうね。
もう一つ、シャガード死亡(ヒルメスに殺された)は、何がやりたかったんだかよく分からなかったです。ナルサスを憎んでいるだけのシャガードが、何でヒルメスを出し抜こうとしたのか、意図が不明だし失敗してあっさり殺されたってのも、「だったらここまで引っ張る必要ないし。ここで殺すくらいなら、もっと早くさっさと殺しておいて良かったんじゃ?そんな重要キャラって程でもないでしょ」と疑問を持たずにはいられませんでした。
とは言っても、「現実に絡めた社会批評」が無い分だけでも、アルスラーンはまだいい方ですかね。今の田中作品としては。
<エステル死亡については、「アルスラーンの嫁はエステル以外認めない!」とか言ってたのが居たのを前に2chで見た記憶がありますけど、普通に考えてパルスに苦難をもたらしたルシタニア人が「解放王」の王妃って訳にはいかんでしょう(側室ならともかく)から、死なせるしかなかったんでしょうね。それに、側室だとしてもアルスラーン当人が納得しないだろうし、エステルもあの潔癖さでは「異教徒に身を任せる」なんて無理でしょうから、どうやってもアルスラーンとエステルが結ばれることにはならんのでしょうよ。>
その割には、純粋なルシタニア人であるはずのドン・リカルドを「ルシタニア系パルス人パラフーダ」としてアルスラーンが自軍に迎えたという描写があったりするんですよね。これができるのであれば、エステルも同じやり方で王妃として迎えることも不可能ではなかったと思うのですが。
元々「アルスラーンの十六翼将」については、8巻に以下のような記述があるんですよね↓
アルスラーン戦記8巻角川文庫版 P57
<なお、「十六翼将」と呼ばれる人々は、パルス王国の制度として存在していたわけではない。吟遊詩人が「解放王とその戦士たち」の事蹟を謳いあげるとき、とくに十六人の名があげられる。彼らは聴衆にむかって、「十六翼将の名を知るや」と問い、聴衆は指おり算えて答えるのだ。
「ダリューン、ナルサス、ギーヴ、ファランギース、キシュワード、クバード……」とつづき、「……エラム」で終わる。エラムが末席であるのは、彼が最年少であるからだ。だが、パルス暦三二四年十月の時点で、アルスラーンに臣属する者は十五名。まだ全員が顔をそろえてはいなかった。また彼らのうち、ジャスワントはシンドゥラ人、ジムサはトゥラーン人で、異国人もアルスラーンのもとで戦ったのである。>
「異国人もアルスラーンのもとで戦った」事例としてジャスワントとジムサしか挙がっていなかったので、「異国人はこのふたりで打ち止め確定だから、最後の十六翼将は確実にパルス人だろう」と考えていたら「ルシタニア系パルス人」などという「でっち上げ系の裏技」を使ってくれたものでしたからね~。正直、これを読んだ時は「やられた!」と思ったものでした。
ドン・リカルド改めパラフーダは、パルスの公式記録上ではパルス人ということになるのでしょうね。アルスラーンが公認してしまっていますし。
それ以外で、個人的に気になったのは以下の記述ですね↓
アルスラーン戦記13巻 P195下段
<「それがし個人のことではござらぬ」
ザラーヴァントは力説した。
「九月二十一日はアルスラーン陛下の御年十九のお誕生日、同時に陛下ご即位の四周年記念日でござる。この日までに王都の地下を完全に清掃しておかねば、安心して式典を開くこともできませんぞ」>
アルスラーンの誕生日および即位記念日って、9月21日ではなく9月29日だったはずなのですけど↓
アルスラーン戦記8巻角川文庫版 P8
<パルス暦三二四年九月二十九日。国王アルスラーンの十八歳の誕生日であり、三度目の即位記念日である。>
ただの誤字なのか、ザラーヴァントの死亡フラグとして「記憶力減退に象徴される思考能力の低下が始まっていた(だからナーマルド相手に無為無策で殺された)」という描写がしたかったのかは不明ですが。
> 16翼将揃ったと思ったらいきなりザラーヴァント死亡ですが、何だか「無理矢理殺しました」感が否めなかったですね。いかに、元従兄弟だとしても、有翼猿鬼(つまり化け物)となった相手に、わざわざ後ろを見せて黙って殺されるのでは、無為無策にも程があるのではないかと。
ザラーヴァントは基本的に善人として描写されておりますので、
「『見逃してくれ』と哀願する手負い(隻腕)の敵」+「哀れな従兄弟」への憐憫で「惨めな(化物の)姿を見ないで逃がす」+「まさか従兄弟(自分)に不意打ちもないだろう」
という憐憫が仇になったんでしょう。
事実死に際でさえ殺された屈辱より「哀れな奴」という科白がやるせなさを物語ってますし。
> 「エステル死亡」はまあ仕方ないんでしょうね。
冒険風ライダーさんもおっしゃる通り「王妃エステル」もない目ではなかったんでしょうが、むしろこれは「アルスラーン王朝は一代で終わる」伏線とも思えます。
> もう一つ、シャガード死亡(ヒルメスに殺された)は、何がやりたかったんだかよく分からなかったです。
ぶっちゃけ今の「アルスラーン戦記」にとって「ヒルメスのミスル国盗り物語」自体何の意味があるのかと思いますが、強いて考えれば「アルスラーン没後のヒルメス帰国に向けての身辺整理」とも取れなくもない気がしてきました。
確かに今更ナルサスへのシャガードの復讐にさく尺もないでしょうし。
実際ヒルメス本人の言うとおり前巻で「ザンデの死因の一貫」として斬ってしまっていた方がスッキリした気はしますが。
さて、蛇王復活はいいとして、弟子達が結構こだわってた「尊師復活」はこのままイルテリシュに喰われてフェードアウトでしょうかね?
> その割には、純粋なルシタニア人であるはずのドン・リカルドを「ルシタニア系パルス人パラフーダ」としてアルスラーンが自軍に迎えたという描写があったりするんですよね。これができるのであれば、エステルも同じやり方で王妃として迎えることも不可能ではなかったと思うのですが。
それにはちょっと異論がありますね。あくまで「部下」である将軍と、王家の血統に連なることになる「王妃(正室)」では重みが違いますよ。将軍はあくまで王の部下でしかないのだから、国民に支持されるとは限りませんし、「王以外の臣下は基本的には平等」であるようなアルスラーンの治世では「気に入らない奴が将軍になりやがったが、俺たちが奴にいついかなる場合も従わねばならんとは限るまい」で済みます。しかし、王妃ともなればそうはいかない。偉大なる「解放王」の正室に国民が敬愛と服従をもって接しない訳にはいかないのに、それがパルスを阿鼻叫喚の地獄に陥れたルシタニア人であることなど、到底許容できるものではないですよ。パルスは北朝鮮ばりの「独裁者による有無を言わせぬ圧政で、独裁者が連れ合いに誰を選ぼうが国民から問題視されない」ということはないでしょうから、アルスラーンがルシタニア人を王妃なんぞにしたら、下手すりゃ革命が起きかねないんじゃないでしょうか。そこまで行かなくても、旧体制支持派が「解放王などと称しているアルスラーンは、パルス人全員の憎き敵であるルシタニア人を王妃にするとんでもない奴である」と宣伝した場合、そちらの方が大きな支持を得てアルスラーンが王位から追われる、ということになっても不思議ではない。「愛人(側室)」として側に置く程度ならともかくね。
> アルスラーン戦記8巻角川文庫版 P57
> <なお、「十六翼将」と呼ばれる人々は、パルス王国の制度として存在していたわけではない。吟遊詩人が「解放王とその戦士たち」の事蹟を謳いあげるとき、とくに十六人の名があげられる。彼らは聴衆にむかって、「十六翼将の名を知るや」と問い、聴衆は指おり算えて答えるのだ。
> 「ダリューン、ナルサス、ギーヴ、ファランギース、キシュワード、クバード……」とつづき、「……エラム」で終わる。エラムが末席であるのは、彼が最年少であるからだ。だが、パルス暦三二四年十月の時点で、アルスラーンに臣属する者は十五名。まだ全員が顔をそろえてはいなかった。また彼らのうち、ジャスワントはシンドゥラ人、ジムサはトゥラーン人で、異国人もアルスラーンのもとで戦ったのである。>
>
> 「異国人もアルスラーンのもとで戦った」事例としてジャスワントとジムサしか挙がっていなかったので、「異国人はこのふたりで打ち止め確定だから、最後の十六翼将は確実にパルス人だろう」と考えていたら「ルシタニア系パルス人」などという「でっち上げ系の裏技」を使ってくれたものでしたからね~。正直、これを読んだ時は「やられた!」と思ったものでした。
> ドン・リカルド改めパラフーダは、パルスの公式記録上ではパルス人ということになるのでしょうね。アルスラーンが公認してしまっていますし。
身も蓋もないことをはっきり言うと、それ、書いた本人は全く覚えていないんじゃないでしょうか?(w 1991年発行ですから、すでに17年ほど前の話ですし。
最近の巻でドン・リカルド=パラフーダの「強さ」がしつこくアピールされていましたから、「16翼将目の本命」は普通に(単勝2倍台くらいか?)彼だと思っている人が多かったんじゃないでしょうか。「エステルを伴ってパルス方面に逃げた」ところで「16人目はこいつで決定だろうな」と思いましたわ。
> それ以外で、個人的に気になったのは以下の記述ですね↓
>
> アルスラーン戦記13巻 P195下段
> <「それがし個人のことではござらぬ」
> ザラーヴァントは力説した。
> 「九月二十一日はアルスラーン陛下の御年十九のお誕生日、同時に陛下ご即位の四周年記念日でござる。この日までに王都の地下を完全に清掃しておかねば、安心して式典を開くこともできませんぞ」>
>
> アルスラーンの誕生日および即位記念日って、9月21日ではなく9月29日だったはずなのですけど↓
>
> アルスラーン戦記8巻角川文庫版 P8
> <パルス暦三二四年九月二十九日。国王アルスラーンの十八歳の誕生日であり、三度目の即位記念日である。>
>
> ただの誤字なのか、ザラーヴァントの死亡フラグとして「記憶力減退に象徴される思考能力の低下が始まっていた(だからナーマルド相手に無為無策で殺された)」という描写がしたかったのかは不明ですが。
まあそれも「書いた本人がすっかり忘れていた」というのが真相なんでしょうけどね。「シャーロキアン的解釈」しないのなら。
<冒険風ライダーさんもおっしゃる通り「王妃エステル」も
ない目ではなかったんでしょうが、むしろこれは「アルスラーン
王朝は一代で終わる」伏線とも思えます。>
まあ、銀英伝でも血統による相続を否定していたラインハルトも結局は子供を残してその子が二代目になっていますし、今の所はまだ分からないですね。
<実際ヒルメス本人の言うとおり前巻で「ザンデの死因の一貫」
として斬ってしまっていた方がスッキリした気はしますが。>
個人的にはシャガードの末路は
「パルス軍と戦って死ぬ」
「ヒルメスに粛清される」
の二択だと思っていましたので、結末自体は意外ではなかったのですが、思っていたより早かったですね。ナルサスへの復讐を成就させるために、不満があってもひとまずはヒルメスに従うだろうと思っていましたので。
あと下の文章を読んで、個人的にふと思った事を一つ。
「蛇王再臨」<アルスラーン戦記13>(光文社)P34下段のイルテリシュの台詞
<このおれに、猿だの鳥だの犬だのの化物どもをひきつれて、エクバターナを陥し、パルスを征服しろというのか>
蛇王ザッハークの軍団を構成しているのは、
「有翼『猿』鬼」
「『鳥』面人妖」
「四眼『犬』」
「食屍『鬼』」
といった怪物たちですが、ひょっとしたらこれは「桃太郎」に引っ掛けた洒落なのでしょうか?(^^;)
> 蛇王ザッハークの軍団を構成しているのは、
> 「有翼『猿』鬼」
> 「『鳥』面人妖」
> 「四眼『犬』」
> 「食屍『鬼』」
> といった怪物たちですが、ひょっとしたらこれは「桃太郎」に引っ掛けた洒落なのでしょうか?(^^;)
まあ「爺さん」は「尊師」で賄うとして、あとは「婆さん」と「黍団子」ですかね(笑)。
<それにはちょっと異論がありますね。あくまで「部下」である将軍と、王家の血統に連なることになる「王妃(正室)」では重みが違いますよ。将軍はあくまで王の部下でしかないのだから、国民に支持されるとは限りませんし、「王以外の臣下は基本的には平等」であるようなアルスラーンの治世では「気に入らない奴が将軍になりやがったが、俺たちが奴にいついかなる場合も従わねばならんとは限るまい」で済みます。しかし、王妃ともなればそうはいかない。偉大なる「解放王」の正室に国民が敬愛と服従をもって接しない訳にはいかないのに、それがパルスを阿鼻叫喚の地獄に陥れたルシタニア人であることなど、到底許容できるものではないですよ。パルスは北朝鮮ばりの「独裁者による有無を言わせぬ圧政で、独裁者が連れ合いに誰を選ぼうが国民から問題視されない」ということはないでしょうから、アルスラーンがルシタニア人を王妃なんぞにしたら、下手すりゃ革命が起きかねないんじゃないでしょうか。そこまで行かなくても、旧体制支持派が「解放王などと称しているアルスラーンは、パルス人全員の憎き敵であるルシタニア人を王妃にするとんでもない奴である」と宣伝した場合、そちらの方が大きな支持を得てアルスラーンが王位から追われる、ということになっても不思議ではない。「愛人(側室)」として側に置く程度ならともかくね。>
一般のパルス人にそこまでの王室に対する関心ってあるのですかね? 「王妃がルシタニア人」という程度のことが問題になるのであれば、そもそもカイ・ホスローの血統を受け継いでいないアルスラーンがパルス国王に即位し、しかもそのことを公に発表した時点で民衆の武装蜂起が起こっても良さそうなものですが。
そもそも、パルス前国王だったアンドラゴラス3世の妃であったタハミーネも、生粋のパルス人ではなく旧バタフシャーン公国の、それも国主の妃であった上、周囲から「男を不幸にする不肖の女」呼ばわりされていたほどの人物でしたし、実際、彼女を巡って兄弟同士の対立が発生したりしているのですが、一般のパルス人がそれに異議を唱えたり反対の武装蜂起を起こしたりしていましたか? アンドラゴラス3世が国王即位後にタハミーネを妃に迎えた際も、特に混乱は起こっていなかったようなのですけど。
また、アルスラーン戦記の作中でナルサスが何度かアルスラーンの結婚問題について言及している箇所が存在しますが、ナルサスがエステルについて言及する箇所では、アルスラーン自身の心理について述べられているばかりで「エステルはルシタニア人であり、そのこと自体が結婚の障害になる」といった類の言及は一切ありません。アルスラーンの面前で「独身を売りにして他国との政略結婚を行う」などという構想まで述べている過去すらあるナルサスがその問題を無視するものでしょうか?
他の田中作品からの引用になりますけど、アルスラーン戦記における王室と民衆の関係って、これと同じなのではないかと思うのですけどね↓
マヴァール年代記2巻角川文庫版 P178
<「国は王のもの、民は税を納めるだけ」
極端にいえば、中世的な国家のありようとは、そのようなものである。善政とは、税が安く、また異国の異兵に畑を荒らされたり家を焼かれたりせぬ状態である。>
自分達の生活を保証し、恵みを与えてくれる者であれば、国王が誰であろうが、誰を王妃に迎えようが、大多数のパルス人は無関心か支持するかの二択に落ち着くのではないでしょうか。ナルサスも、作中でこういう類の論法を何度も展開したりしていますし。
<身も蓋もないことをはっきり言うと、それ、書いた本人は全く覚えていないんじゃないでしょうか?(w 1991年発行ですから、すでに17年ほど前の話ですし。>
いや、むしろ覚えているからこそ、「ルシタニア系パルス人」などという裏技を出しているのではないですかね? 何も覚えていなかったのであれば、素直に「ルシタニア人を自軍に招いた」という描写になりそうですし。
アルスラーン戦記の記述を読んでみると、過去の記載内容に対して相当な配慮をしながら執筆されている形跡が伺えるんですよね。たとえば12巻では、4巻で名前しか出てこなかったようなキャラクターが再登場&描写されたりしていますし、13巻の蛇王に関する描写も、過去の記述と比較して特に矛盾は見られませんでしたし。過去の描写と矛盾&破綻をきたしまくっている創竜伝とは雲泥の差ですよ、これは。
まあ、8巻に登場していた「烽火台と伝書鳩の連絡システム」がいつのまにか「なかったこと」にされていたり、エステルを死に追いやったルトルド侯爵の設定を(光文社ノベルズに移転した際に記載を書き換えた点も含めて)勝手に変更したりと、過去の記述と辻褄の合わないおかしな点もそれなりにありはするのですが。
> まあ「爺さん」は「尊師」で賄うとして、あとは「婆さん」と
> 「黍団子」ですかね(笑)。
黍団子はイルテリシュとレイラが飲んだ「魔酒」じゃないですか?
はじめまして。MOHと申します。
厳密には、だいぶ以前にこちらにお邪魔したこともありますが、なにぶん古い話ですので、改めてはじめましてと挨拶させてください。
> > もう一つ、シャガード死亡(ヒルメスに殺された)は、何がやりたかったんだかよく分からなかったです。
>
> ぶっちゃけ今の「アルスラーン戦記」にとって「ヒルメスの
> ミスル国盗り物語」自体何の意味があるのかと思いますが、
> 強いて考えれば「アルスラーン没後のヒルメス帰国に向けての
> 身辺整理」とも取れなくもない気がしてきました。
> 確かに今更ナルサスへのシャガードの復讐にさく尺もないでしょうし。
> 実際ヒルメス本人の言うとおり前巻で「ザンデの死因の一貫」
> として斬ってしまっていた方がスッキリした気はしますが。
この点は以前から気になっていて、書き込もうかと思っていたらS.K様に先に言われてしまいました。
実際、第2部になってからのアルスラーン戦記は直接関係のない話がばらばらに展開しているような気がします。
逆に言えば、最終巻できれいにまとまるのを期待したいところです。
> さて、蛇王復活はいいとして、弟子達が結構こだわってた
> 「尊師復活」はこのままイルテリシュに喰われてフェードアウト
> でしょうかね?
というか、ザッハークの憑依ってアンドラゴラスだったのでは?
7巻の巻末でグルガーンが明言しちゃってますが。
それなのに、生身で復活してますし。
アンドラゴラスの遺体も忘れられてはいないようですが、使い道がいまいちわからないです。
それにしても、パルス人には圧倒的な恐怖を与えているのに、異国人にはまったく知られていないザッハークってなんだかマイナーな気がしませんか?
1000年も支配したのに、異国人にはまったく怖がってもらえないんですよね・・・
ひょっとしたら、アルスラーンより知名度低かったして。
> というか、ザッハークの憑依ってアンドラゴラスだったのでは?
> 7巻の巻末でグルガーンが明言しちゃってますが。
> それなのに、生身で復活してますし。
> アンドラゴラスの遺体も忘れられてはいないようですが、使い道がいまいちわからないです。
確かに「アンドラゴラスをザッハークの憑依にして、イルテリシュを用いて尊師を復活」と言ってた筈ですよね。
ただアンドラゴラスの遺体は使うと思いますよ。
盗んで暗黒神殿で何かの儀式までして人骨の棺に入れて運んできたのはアンドラゴラスの遺体でしょうし、多分ザッハークは両肩の蛇が本体で、洞窟の鎖はオカルト的に言えばザッハークの霊体を縛鎖してたんでしょう。
それで蛇のついてた昔の人体部分はミイラにでもなってアンドラゴラスにお乗換え、という流れかと。
> それにしても、パルス人には圧倒的な恐怖を与えているのに、異国人にはまったく知られていないザッハークってなんだかマイナーな気がしませんか?
> 1000年も支配したのに、異国人にはまったく怖がってもらえないんですよね・・・
> ひょっとしたら、アルスラーンより知名度低かったして。
まあ神々にも縄張りがあって神代と作品時代の人界の交流範囲の差を考えるとそういう事はあるでしょう。
国さえ豊かならザッハークの治世でさえ一日2~6人以上の死人は出さないで済まそうと思えばそうできた筈なので無理に「外食」に出ないで済んでた、という事もあるでしょうし。
> 一般のパルス人にそこまでの王室に対する関心ってあるのですかね? 「王妃がルシタニア人」という程度のことが問題になるのであれば、そもそもカイ・ホスローの血統を受け継いでいないアルスラーンがパルス国王に即位し、しかもそのことを公に発表した時点で民衆の武装蜂起が起こっても良さそうなものですが。
> そもそも、パルス前国王だったアンドラゴラス3世の妃であったタハミーネも、生粋のパルス人ではなく旧バタフシャーン公国の、それも国主の妃であった上、周囲から「男を不幸にする不肖の女」呼ばわりされていたほどの人物でしたし、実際、彼女を巡って兄弟同士の対立が発生したりしているのですが、一般のパルス人がそれに異議を唱えたり反対の武装蜂起を起こしたりしていましたか? アンドラゴラス3世が国王即位後にタハミーネを妃に迎えた際も、特に混乱は起こっていなかったようなのですけど。
って、バタフシャーンはパルスを征服していないでしょ。征服されたのがバタフシャーンで、征服したのがパルスの方。ルシタニアに対するパルスの国民感情とバタフシャーンに対するそれが違うのは当然ではないのですか?「パルスがルシタニアを征服し、その後パルス国王がルシタニア人を妃にした」のなら特に問題はないと思いますが。
「ルシタニアとそれ以外」
を同一視するのは止めましょうよ。「骨髄の恨み」のあるルシタニアに対する「国民感情」が、そう簡単に払拭される訳もないですし。カイ・ホスローの血統かどうかということは、征服された混乱期で、それから救ってくれたのがアルスラーンという条件なら、そりゃ問題視される程のことでもないでしょうな。というか、これも「骨髄の恨み」とは比較対象できないものですから、根拠としては意味がないと思われますが。
> また、アルスラーン戦記の作中でナルサスが何度かアルスラーンの結婚問題について言及している箇所が存在しますが、ナルサスがエステルについて言及する箇所では、アルスラーン自身の心理について述べられているばかりで「エステルはルシタニア人であり、そのこと自体が結婚の障害になる」といった類の言及は一切ありません。アルスラーンの面前で「独身を売りにして他国との政略結婚を行う」などという構想まで述べている過去すらあるナルサスがその問題を無視するものでしょうか?
> 他の田中作品からの引用になりますけど、アルスラーン戦記における王室と民衆の関係って、これと同じなのではないかと思うのですけどね↓
>
> マヴァール年代記2巻角川文庫版 P178
> <「国は王のもの、民は税を納めるだけ」
> 極端にいえば、中世的な国家のありようとは、そのようなものである。善政とは、税が安く、また異国の異兵に畑を荒らされたり家を焼かれたりせぬ状態である。>
>
> 自分達の生活を保証し、恵みを与えてくれる者であれば、国王が誰であろうが、誰を王妃に迎えようが、大多数のパルス人は無関心か支持するかの二択に落ち着くのではないでしょうか。ナルサスも、作中でこういう類の論法を何度も展開したりしていますし。
果たしてナルサスを「一般的平均的パルス人の代表」として扱っていいんですかね?というか、かなりの「理想主義にこだわるひねくれ者」と思われますが。じゃなければ、奴隷解放だの国王の血統などどうでもいいだの、「時代背景」から先進的過ぎる「思想」を吹聴することはないでしょうよ。そういう「特殊な人」の意見を「パルス国民の平均的意見」としてしまうのは首肯できませんね。
「国民は国王が何をしようと気にしない」ということが本当にそうだと言うのなら、「ルシタニア系パルス人パラフーダ」なんて「ごまかし」で将軍に取り立てるのではなく、堂々と「ルシタニア人騎士ドン・リカルドを将軍にした」と宣言すれば良いではないですか。それをしないのはつまり、「パルス国民(特にエクバターナ住民)のルシタニアに対する怒りの感情」に配慮した為ではないのですか?そうでないのなら、アルスラーンの部下にはトゥラーン人の将軍も居るしシンドゥラ人の将軍も居るのに、何で彼らを「トゥラーン系パルス人」や「シンドゥラ系パルス人」にしないのでしょうか。で、それらの国とパルス軍が戦っていない訳でもないのに。上にも書きましたが、
「ルシタニアとそれ以外」
を同一視するのは止めましょうよ。「アルスラーン戦記におけるパルスの他国に対する感情はルシタニアに対してだけは別」ということは、前提条件として抜いてはいけないと思いますがいかがですか。
> <身も蓋もないことをはっきり言うと、それ、書いた本人は全く覚えていないんじゃないでしょうか?(w 1991年発行ですから、すでに17年ほど前の話ですし。>
>
> いや、むしろ覚えているからこそ、「ルシタニア系パルス人」などという裏技を出しているのではないですかね? 何も覚えていなかったのであれば、素直に「ルシタニア人を自軍に招いた」という描写になりそうですし。
> アルスラーン戦記の記述を読んでみると、過去の記載内容に対して相当な配慮をしながら執筆されている形跡が伺えるんですよね。たとえば12巻では、4巻で名前しか出てこなかったようなキャラクターが再登場&描写されたりしていますし、13巻の蛇王に関する描写も、過去の記述と比較して特に矛盾は見られませんでしたし。過去の描写と矛盾&破綻をきたしまくっている創竜伝とは雲泥の差ですよ、これは。
> まあ、8巻に登場していた「烽火台と伝書鳩の連絡システム」がいつのまにか「なかったこと」にされていたり、エステルを死に追いやったルトルド侯爵の設定を(光文社ノベルズに移転した際に記載を書き換えた点も含めて)勝手に変更したりと、過去の記述と辻褄の合わないおかしな点もそれなりにありはするのですが。
ま、正確なところは、本人ではないので分かりませんね。でも、「田中芳樹」って人は、「精緻に組み上げられた作中論理を貫き通し、矛盾のないように最後まで可能な限り注意して物語を書き上げる」という作家じゃないでしょ?特に長編では。そういう作家ではないことは、冒険風ライダーさんも今までの各作品の検証を通して十分ご存知の筈ですよね。「作中事実として発生したこと」についてかなりいい加減だし、ご都合主義だし、てめえの感情を優先して矛盾したことを平気で書き散らすし、というように。
「精緻に組み上げられた作中論理を貫き通し、矛盾のないように最後まで可能な限り注意して物語を書き上げなければならない」という冒険風ライダーさんの「信条」には別に文句はない(嫌みや皮肉のつもりはないです。というか、そうでも考えていなければ、創竜伝や薬師寺涼子の精密な検証など最初からしないでしょうから)ですが、だからといって「それを田中芳樹が実践しているかどうか」は、あなたの信条とは別問題でしょう。私は「田中芳樹は、そんなことを心がけている訳ないだろ」と思っていますので、「忘れているんだろうな」と判断しただけですわ。また「ルシタニア系パルス人」については、上に書いたの根拠があると考えていますので「作者が覚えているかどうか」とは別問題でしょうな。
<って、バタフシャーンはパルスを征服していないでしょ。征服されたのがバタフシャーンで、征服したのがパルスの方。ルシタニアに対するパルスの国民感情とバタフシャーンに対するそれが違うのは当然ではないのですか?「パルスがルシタニアを征服し、その後パルス国王がルシタニア人を妃にした」のなら特に問題はないと思いますが。>
タハミーネの場合、出自が旧バタフシャーン公国であることもさることながら、それ以上の問題として、それまですくなくとも特に問題が発生していなかったオスロエスとアンドラゴラス兄弟の仲を致命的なまでに悪化させた挙句、内戦寸前のところまで紛糾させたという前科がありますので、その辺りのことに対する反発は当然のことながらあるだろう、ということで事例に挙げています。実際、「タハミーネは男を惑わす不肖の女である」という評価は、国を問わず、アルスラーン戦記1巻から作中キャラクター達が公然と主張していましたし、そういう女をアンドラゴラス王が妃として迎える際に一切の反発がなかったとは考えにくいでしょう。
アンドラゴラス王の治世下で、すくなくとも表面的にタハミーネのことが問題にならなかったのは、アンドラゴラス王が軍隊の力を背景にした統治を行っていたことと、それ以上に政治的・経済的な繁栄をパルス国および民にもたらしたからでしょう。だからこそ王妃が「不肖の女」であっても、ルシタニアの侵攻があるまで、パルス国は安定していたわけです。
「自分達の生活を保証し、恵みを与えてくれる者であれば、国王が誰であろうが、誰を王妃に迎えようが、大多数のパルス人は無関心か支持するかの二択に落ち着く」という私の持論を、この事例は肯定しているように思えるのですけどね。
<果たしてナルサスを「一般的平均的パルス人の代表」として扱っていいんですかね?というか、かなりの「理想主義にこだわるひねくれ者」と思われますが。じゃなければ、奴隷解放だの国王の血統などどうでもいいだの、「時代背景」から先進的過ぎる「思想」を吹聴することはないでしょうよ。そういう「特殊な人」の意見を「パルス国民の平均的意見」としてしまうのは首肯できませんね。>
いや、ナルサスのその手の思考って、むしろ一般的な(特権階級以外の)大衆感情に基づいて作られたものなのではありませんかね? 作中にもこんな記述が存在しますし↓
アルスラーン戦記4巻角川文庫版 P55
<ダイラムは三年ほど前までナルサスという諸侯の領地であったのだが、若い領主は国王アンドラゴラス三世の宮廷から追放され、領地を返上して隠棲してしまった。その後、ダイラムは国王の直轄領となったのだが、この地方では、見たこともない国王より、旧領主のナルサスのほうに人気があった。>
アルスラーン戦記の世界には、当然のことながらテレビやラジオは存在しないわけですし、初歩的な新聞だって大都市にひとつあるかどうかというレベルのシロモノでしかないでしょう。そういう世界における大多数の民衆にとって、国王や王室など宇宙人と似たり寄ったりな他所の世界の住人でしかなく、「自分達の生活を保証し、恵みを与えてくれる者でありさえすれば、国王は誰でも良いし、王室がどうなろうが自分達には関係ない」という考えを必然的に持つようにもなるのではないでしょうか。
もちろん、一般のパルス人が持つ対ルシタニア人感情は、まさに自分達の生活をメチャクチャにしてくれたわけですから当然のごとく悪いでしょう。しかし、自分達の生活を保証し、恵みを与えてくれる者が国王になってくれているというのに、その自分の生活とは全く何の関係もない、場合によっては異次元世界の話ですらあるかもしれない王妃問題のことにそもそも関心を払うのか、またそれを口実に現在の王を追放することに利を見出せるのか、私はその辺りが疑問に思えてならないのです。
そしてナルサスも、こういう大衆感情の実態がよく分かっているからこそ、「奴隷解放」だの「王室の血統などどうでも良い」といった主張を展開しているのではないでしょうか。作中にもこんな記述が存在しますし↓
アルスラーン戦記7巻角川文庫版 P232
<エクバターナ市民の忍耐も底をついたのである。ようやくルシタニア軍の暴政から解放されたと思えば、えたいの知れない男があらわれて、これまでの国王を簒奪者よばわりし、自分こそ正統の国王と称する。あげくに、城壁をはさんでパルス軍どうしが争いはじめ、おかげで城門は閉ざされたままだ。食物もその他の物資も運びこまれては来ず、水不足もいっこうに解消されない。たまりかねた市民たちは、ついに決起してヒルメスの兵士たちを襲い、内側から城門を開いたのだった。かつて自分たちの手でルシタニア軍をたたきつぶした市民たちは、今度はパルス軍をたたきのめしたわけである。いずれの国の軍隊であろうと、民衆を苦しめる者にしたがう義務などないのだ。>
アルスラーン戦記7巻角川文庫版 P233~P234
<「おうい、エクバターナの衆! 食物ならここにあるぞ。王太子アルスラーン殿下のご命令でな、ギランから運んできたのだ。さあ、みんな、思いきり喰って飢えをみたせ」
朗々たる声は、ギランの海上商人グラーゼであった。千台の牛車と千頭の駱駝につんできた小麦、乾肉、茶、葡萄酒、米などを、押しよせる民衆たちに手渡し、放りやる。グラーゼの近くでは、ザラーヴァントが大声をはりあげている。
「王太子さまの御恩を忘れるなよ。みんなを飢えから救ってくださったのは王太子さまだぞ。権力ほしさに戦うばかりの奴らなど、王宮から追い出してしまえ」
多少あざといやり方ではあるが、これほど効果的な方法はないであろう。すべて軍師ナルサスの指示どおりであった。民衆を味方につけるのが、もっとも重要なのだ。彼らの胃袋にアルスラーンの名をきざみこみ、その上で英雄王カイ・ホスローと宝剣ルクナバードの名を持ち出すのである。
「民を飢えさせる王に、王たるの資格なし」
その痛烈な一言を、ナルサスは、アンドラゴラスとヒルメスの頭上に投げつけるつもりであった。>
一般大衆は、自分達に害を為す者であれば「正統な国王」であろうが牙を剥き、逆に自分達に利益を与えてくれる者であれば誰であろうが歓迎する。その事例をナルサスはただ主張するだけでなく実地で証明すらしてみせたわけです。
その点において、ナルサスの主張は一般的な大衆感情や心理を代弁したものである、と見做すことができるのではないでしょうか。そして、だからこそ王室や伝統にこだわるアンドラゴラス王やヒルメス、シャガードをはじめとする特権階級からは恨まれたわけで。
<「国民は国王が何をしようと気にしない」ということが本当にそうだと言うのなら、「ルシタニア系パルス人パラフーダ」なんて「ごまかし」で将軍に取り立てるのではなく、堂々と「ルシタニア人騎士ドン・リカルドを将軍にした」と宣言すれば良いではないですか。それをしないのはつまり、「パルス国民(特にエクバターナ住民)のルシタニアに対する怒りの感情」に配慮した為ではないのですか?そうでないのなら、アルスラーンの部下にはトゥラーン人の将軍も居るしシンドゥラ人の将軍も居るのに、何で彼らを「トゥラーン系パルス人」や「シンドゥラ系パルス人」にしないのでしょうか。で、それらの国とパルス軍が戦っていない訳でもないのに。>
この辺り、誤解しないで頂きたいのですが、私は別に「ルシタニアに対する怒りの感情」がパルス人には全くない、と言っているわけではありません。私の元々の主張は、ドン・リカルドを「ルシタニア系パルス人パラフーダ」としてパルス軍に迎え入れることができるのであれば、エステルも同じ方法、つまり「ルシタニア系パルス人」として迎え入れることは充分に可能なのではないか、というものです。
不沈戦艦さん自身も仰っているように、「ルシタニア系パルス人」などというシロモノは本来の身分を偽った「ごまかし」以外の何物でもありません。しかし、その「ごまかし」でドン・リカルドは「アルスラーンの十六翼将」の一員に列せられている上に、パルスの公式記録上もパルス人として扱われているわけです。ならば同じことをエステルにも適用すれば、エステルもまた公式記録上は「パルス人」として迎えることが(本人が承諾するか否かはともかく、すくなくとも理論的には)できるし、パルス人の大部分が抱く「対ルシタニア人感情」もスルーできるようになる、というのはそれほど不自然なものなのでしょうか。
その程度の「ごまかし」が通るということは、ルシタニア人を自分達の陣営に迎え入れるという問題は、その程度のことで簡単に解決するレベルの問題でしかない、ということになるのではないでしょうか。前述のように、平民階級(パルスでは「自由民」というそうですが)を中心とした一般的なパルス人の大部分は、王室問題にそれほど興味も関心もないでしょうし、パルスの特権階級は元々アルスラーンに仕えている者以外はアルスラーンの諸改革で最初から敵に回っているようなものなのですから、すくなくとも敵が増える懸念は全くないのではないかと思うのですが。
それに、前の投稿でも述べたように、アルスラーンの結婚問題に対して他国との政略結婚話も含めてそれなりの言及をしているはずのナルサスが「エステルはルシタニア人である」ということから派生する問題について何の懸念も示さない事例がありますし、13巻でも以下のようなやり取りが行われているくらいですからね↓
アルスラーン戦記13巻 P142上段~下段
<功を偸もうとせぬところが気にいったぞ。おぬしにはいろいろ話を聞きたい。どうせ王都にいくことになるから、陛下のお許しをいただいて、一献かたむけよう」
ダリューンにそういわれて、ドン・リカルドはとまどい、ためらい、短く尋ねた。
「いいのか」
「何がだ」
「おれはルシタニア人だぞ」
その言葉が何を意味するか、パルス人なら容易にわかる。
「それがどうした。陛下の麾下には、シンドゥラ人もトゥラーン人もおる。ルシタニア人ひとりを容れることもできぬほど、陛下の御心は狭くない」>
ルシタニア人を自分達の陣営に招き入れること「自体」が「パルス国民全体の目に」どのように映るか、という視点が、アルスラーン陣営の面々には全くないようにしか思えないんですよね。アルスラーン戦記の世界では本当に大した問題ではないのか、それとも本当は重大な問題なのにそのことに気づいていないのかは知りませんが。
<ま、正確なところは、本人ではないので分かりませんね。でも、「田中芳樹」って人は、「精緻に組み上げられた作中論理を貫き通し、矛盾のないように最後まで可能な限り注意して物語を書き上げる」という作家じゃないでしょ?特に長編では。そういう作家ではないことは、冒険風ライダーさんも今までの各作品の検証を通して十分ご存知の筈ですよね。「作中事実として発生したこと」についてかなりいい加減だし、ご都合主義だし、てめえの感情を優先して矛盾したことを平気で書き散らすし、というように。>
もちろん私も、そのような田中芳樹のいいかげんぶりについては熟知しているのですが、ただアルスラーン戦記の場合、「忘れている」というのとは少し違うのではないかと思うんですよね。前回の投稿でも言及したルトルド侯爵の件などは、6巻の記載が角川文庫版と光文社ノベルズ版で異なっているわけですが、これは予め知っていなければできることではありませんし。
アルスラーン戦記の場合、私が読んでいて「こんな昔の巻の細かいところまでよくフォローしているなぁ」と感心するくらいですし、昔の巻との辻褄も結構合致するところが多いので、すくなくとも創竜伝や薬師寺シリーズに比べればそれなりの配慮はしているように見えるんですよね。ただその上で、やはりフォローしきれていない設定忘却の部分と、知っている上での確信犯で記載を変更している箇所もまた存在している、といったところでしょうか。
> ザッハークは両肩の蛇が本体で、洞窟の鎖はオカルト的に
> 言えばザッハークの霊体を縛鎖してたんでしょう。
> それで蛇のついてた昔の人体部分はミイラにでもなって
> アンドラゴラスにお乗換え、という流れかと。
なるほど。確かにありそうですね。解放=完全復活と直結させていました。
> まあ神々にも縄張りがあって神代と作品時代の人界の交流範囲
> の差を考えるとそういう事はあるでしょう。
> 国さえ豊かならザッハークの治世でさえ一日2~6人以上の
> 死人は出さないで済まそうと思えばそうできた筈なので無理に
> 「外食」に出ないで済んでた、という事もあるでしょうし。
いくら国が豊かでも、RPG的ラスボスのようなキャラクターが、「俺が食うものはあるし、わざわざ侵略しなくていいや」で1000年は情けないのでは?
確かに食人、それも脳というのはおぞましくはありますが、それはザッハーク個人の非道であって、パルスを支配する王としての非道とは少し違うかと。
作中でザッハークの悪事はほとんど「脳を食らった」に終始しているのが問題なんですよね。後はジャムシードを惨殺したぐらいですし。
具体的に描かれている悪事が個人レベルな上、異国人には「ザッハーク?だれそれ?」扱いではアルスラーン戦記の最後を飾る強敵としてはちょっと残念なわけです。
> いくら国が豊かでも、RPG的ラスボスのようなキャラクターが、「俺が食うものはあるし、わざわざ侵略しなくていいや」で1000年は情けないのでは?
ラスボスである以前にザッハークは「邪神」ですからね。
「地元に居座って臣民の脳を喰らうだけ」の行為を、「めんどくさい」だけか、「力を蓄えて『絹の国』まで食人蛇頭を居ながらにして伸ばせる様にする為の準備」か、にわかに判断の難しい所ですから。
> 確かに食人、それも脳というのはおぞましくはありますが、それはザッハーク個人の非道であって、パルスを支配する王としての非道とは少し違うかと。
まあ「忌神」なのか「妖物」なのかはさておき「人と相容れない思考と倫理の強大な敵」な事は、一部ネジのとんだ神秘主義者や現世破壊を是とするテロリスト的存在以外には疑う余地のない事実でしょうから。
> 作中でザッハークの悪事はほとんど「脳を食らった」に終始しているのが問題なんですよね。後はジャムシードを惨殺したぐらいですし。
> 具体的に描かれている悪事が個人レベルな上、異国人には「ザッハーク?だれそれ?」扱いではアルスラーン戦記の最後を飾る強敵としてはちょっと残念なわけです。
第2部については「ザッハーク」に限らず「動乱に利を求める周辺諸国と、『邪神』を奉じてまで世を憎むテロリスト魔道士やその悪意」との戦いと、アルスラーンなりの解答が描かれればまずは上出来ではないかと個人的には思います。
ただ私ヒルメス好きなので、ヒルメスが物語上無意味な人物に(現在のところ)転落したツケの分はキッチリ割り引く気でおりますが(苦笑)。
遅レスすみません。
まあ、ザッハークの設定自体は一貫していますし、
> まあ「忌神」なのか「妖物」なのかはさておき「人と相容れない
> 思考と倫理の強大な敵」な事は、一部ネジのとんだ神秘主義者や
> 現世破壊を是とするテロリスト的存在以外には疑う余地のない
> 事実でしょうから。
>
> 第2部については「ザッハーク」に限らず「動乱に利を求める
> 周辺諸国と、『邪神』を奉じてまで世を憎むテロリスト魔道士や
> その悪意」との戦いと、アルスラーンなりの解答が描かれれば
> まずは上出来ではないかと個人的には思います。
上記の辺り、特に異論もありませんので、このあたりで撤退したいと思います。
「・・・な気がする」レベルの感覚主体の話題にこまめにレスをしてくださったS.K様、ありがとうございました。
> ただ私ヒルメス好きなので、ヒルメスが物語上無意味な人物に
> (現在のところ)転落したツケの分はキッチリ割り引く気で
> おりますが(苦笑)。
確かに、ヒルメスが好きな方にとって今の扱いは・・・
ヒルメスなどに対してもそれなりに納得できる結論が出ることを期待したいですね。
> 確かに、ヒルメスが好きな方にとって今の扱いは・・・
> ヒルメスなどに対してもそれなりに納得できる結論が出ることを期待したいですね。
はじめまして。最近になって第二部を読み始めている者です。
自分的に、ヒルメスについては、むしろよくぞここまで成長したという感じですね。
イリーナを亡くしてからは、仮面兵団を経て、全く縁も所縁も(恩も恨みも)無い土地で新たな出会いを経てという感じで。
ブルハーンやラヴァンも好きですが、やはり最大はフィトナ。
とにかく「女」と「参謀」に縁の無かったヒルメスにとってまさかそれが一緒になって出てくるところとか。
モデルとしては「マムルーク朝エジプト」という感じですが、果たして彼が再びパルスの土を踏む時が来るのか。