「神は沈黙せず」発売を記念して立ててみました。 アニメ特撮の話もいいですが、やはり作家としての山本先生にファンの立場から作品の事を色々訊いてみたいと思います。
質問の内容にネタばれがある時はタイトルに表記していただけるとありがたいです。 |
No.15298 - 2003/11/03(Mon) 03:45 [61-205-1-61.eonet.ne.jp]
| 早速質問してみたいと思います。
質問「どうしてハードカバーで出版されたのですか?」
主な読書時間が週末遊びに行く時の電車の中の私には、 ハードカバーは重くてかさばるし、収納場所にも困るし値段は高いと良い事無しなのですが。
買いに行っても手違いで入荷しなかったとか言われて、 隣の店に一冊だけ入荷してたから取りに行ってくれ、とのことでなんとか買えましたが、 てっきり平積みで置いてあると思っていた私は拍子抜けしました。 これがスニーカーだったら平積みだっただろうにと思ったのですが。 |
No.15299 - 2003/11/03(Mon) 04:02 [61-205-1-61.eonet.ne.jp]
| どうも、M-Goblinともうします。 今朝5時ごろ読了いたしました。大変面白く、未読分の厚みが減っていく事に寂しさを覚えるのは久しぶりです。それこそ”はてしない物語”以来かもしれません。と学会の活動がこんな形で昇華されるとは、さすがとしか言い様がありません。 はね。さんへ この内容はスニーカー向きではないと思いますよ。それに1300枚だから、多分3分冊になっちゃいます。1冊あたり600円前後としたら、値段的にも大差はありません。
本の内容についての質問は……あるのですが、最終章がらみなので、到底ここではできません。 科学的な部分については、自分の中で消化しないといけないので今はまだ無理です。 というわけで、スレッドの意に反した内容になってしまいました。ごめんなさい。 |
No.15300 - 2003/11/03(Mon) 09:21 [219-103-044-008.ap.canvas.ne.jp]
| 申し訳ないのですが、私は今まで山本先生の小説は読んだことがありませんでした。しかし、このサイトでの内容紹介があまりに面白そうだったので発売予定日に地元の大型書店を行脚。しかし入荷していないとのことで翌日にようやく入手。寝食を忘れて読み耽り、日付が変わるころには読み終えていました。これはさして速くない私の読書スピードからすれば異例のことです。私はSF者ではないのでこの作品がSF史の中でどう位置付けられ、どう評価されるのかは判りません。ただ、一読者として最高の時間をプレゼントしてくださった山本先生に一言お礼が言いたくて書き込みしました。 キャラクターの魅力、アイデアの壮大さ、考証の細やかさ、どれを取っても非のうちどころがありません。 アイデアの核はショートショートなどで類似のものを見ますが、それをここまで拡張させ、考証も絡めて読み応えのある大作に仕立てるなど想像もできませんでした。 超自然現象に関する考察も興味深く、ここだけでも一冊の本になりえると思います。これはアイデアを思いついたからといって簡単にできる仕事ではなく、もともとの知識の集積があればこそですね。 本当に楽しい時間を過ごさせていただき、深く感謝しております。
考証面に関する質問があるのですが、ネタバレ回避のため、日を改めてということにさせていただきますね。
ではあまり本筋と関係のない質問をいくつか。
加古沢のキャラクターについてですが、南京大虐殺をめぐる論戦における彼はとても礼儀正しく、その後の彼の挑発的な言動にややそぐわない様に思えてなりません。これは意図があってのことでしょうか? ちなみに南京大虐殺に関する加古沢の主張自体には異論はありませんし、その手の論争に首を突っ込む気はありません。
それから、この本の内容に多くの影響を与えているであろうドーキンスの著作が参考資料に挙がっていないのはどうしてですか? ともすれば誤解を招きかねないドーキンスの主張を山本先生はきちんと理解しておられる様にお観受けしましたので未読とは思えないのですが。
重箱の隅を突付くような話ばかりですみません。 もちろん、これらの疑問がこの作品の素晴らしさをいささかでも損なうものではないことは言うまでもありません。 |
No.15305 - 2003/11/03(Mon) 13:09 [p3252-ip01kyoto.kyoto.ocn.ne.jp]
| はねさん、こんにちは。
>質問「どうしてハードカバーで出版されたのですか?」
内容的にスニーカー向きじゃないのは歴然としていますから。 最初は確か「角川ホラー文庫で」という話もあったような気もするんですが、いつの間にかなんとなくハードカバーということになっちゃいましたね。 2分冊というのも考えたんですが、編集さんによれば、このボリュームでどんと見せたほうがインパクトがあるとのこと。作中で言及されている「情報の重み」というものを実感していただければ幸いです(^^;)。
のづちさん、こんにちは。
>加古沢のキャラクターについてですが、南京大虐殺をめぐる論戦における彼はとても礼儀正しく、その後の彼の挑発的な言動にややそぐわない様に思えてなりません。これは意図があってのことでしょうか?
加古沢というのは礼儀正しいんじゃなく、「勝つためにはどうすればいいか」を冷静に判断できる男なんです。掲示板での議論で勝つためには、決して相手を不必要に愚弄してはいけないことを知っている。相手が興奮してわめきちらしてきても、自分は徹底して冷静な態度を崩さないことで、自分の方がフェアであることを第三者に見せつけられる……と計算しているんです。 逆説的に言うと、彼はわざと愚弄しないことによって、先輩作家を見事に愚弄してみせたわけです。 そもそも、彼は最初から「天地人」の正体を知っていたわけで、論戦を挑んだのは、先輩作家を叩き潰して株を上げてやるという動機もあったのです(そうでなきゃ、最後に正体を明かしたりはしません)。そのためには、第三者に嫌悪感を抱かせないよう、フェアに振舞う必要があったのです。 その後、彼は自分のサイトで政治家や役人をバカにしますが、わざと過激な言動を連発することによって、今の日本に不満を持つ読者を惹きつけられる……という計算が働いています。彼が礼儀正しくなるのも、挑発的になるのも、怒ってみせたりするのも、すべて計算ずくのことなのです。(ただひとり、良輔に対してだけは、本心から憎悪を見せてしまいましたが)
>それから、この本の内容に多くの影響を与えているであろうドーキンスの著作が参考資料に挙がっていないのはどうしてですか?
ドーキンスの著書自体は読んでないんですが、彼がミームという概念を提唱した「利己的な遺伝子と利己的な模伝子」という文章は、ホフスタッター&デネット編『マインズ・アイ』(TBSブリタニカ)の第10章に収録されているので、それで読んでいます。 作中でも言及していますが、『マインズ・アイ』からはずいぶんアイデアをいただいています。チューリング・テストの話とか、「中国語の部屋」とかは、みんなこの本が元ネタです。 |
No.15308 - 2003/11/03(Mon) 14:10 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| 内容に関してはネタバレになるのでアレなんで控えます。 読みごたえがありまくりでしたんで。
ネタバレにならないレベルでの一番の疑問はアンケート葉書が「アニメ・コミック事業部行」な事ですね(笑) |
No.15312 - 2003/11/03(Mon) 15:43 [FLA1Aau013.aic.mesh.ad.jp]
| 皆様、こんにちは。
「神は沈黙せず」、本日アマゾンより発送メールが届きました。 到着は水曜日くらいでしょうか、楽しみであります。
しかし、これは福岡だけのことかも知れませんが、周辺の郊外型本屋は、CDやDVDも売っているくせに本の品揃えが少なくって並んでいるのはそれこそ、山田 悠介「リアル鬼ごっこ」松岡○○の「○里眼」シリーズばかり(笑)というつまらないところだらけになってしまいました。
以前、サブカル関係が無闇に充実していた福岡大学近くの某店(場所柄でしょうか)までもが、商品構成を大幅に変更してこういう“頭の悪い本屋”に変わってしまってもうがっくり。
唐沢 なをきさんの「さちことねこさま」、ラズウェル細木さんの「酒のほそ道 宗達、東京下町呑んベえ散歩 」が天神まで出なくちゃ(福岡一の繁華街)買えないなんて、そんなの21世紀じゃないやい。
アマゾンを使えばいいのですが、たくさんの本に囲まれて思いもかけなかった本にめぐり合う、この快感はネット通販じゃ味わえないですからね。 |
No.15318 - 2003/11/03(Mon) 18:27 [ntfkok008192.fkok.nt.isdn.ppp.infoweb.ne.jp]
| 最新作『神は沈黙せず』早速買いました。 休日とはいえ、500ページもある分厚い本をその日のうちに読み切ったのは久しぶりだ……
久々の山本長編SFということで、随分期待していましたが、スケールの壮大さからぎっしり詰め込まれたオカルトネタ、ハードSFアイデアまで、期待にたがわぬものでした。
質問したいことは、ネタバレになるし、内容をまだ整理しきれていないので、タイトルについて一つお願いします。
『神は沈黙せず』からは、遠藤周作の『沈黙』が当然に連想されますが、これを意識したタイトルなんでしょうか。 |
No.15322 - 2003/11/03(Mon) 21:28 [p1057-ipbf27osakakita.osaka.ocn.ne.jp]
| エロの冒険者さん、こんにちは。
> しかし、これは福岡だけのことかも知れませんが、周辺の郊外型本屋は、CDやDVDも売っているくせに本の品揃えが少なくって並んでいるのはそれこそ、山田 悠介「リアル鬼ごっこ」松岡○○の「○里眼」シリーズばかり(笑)というつまらないところだらけになってしまいました。
福岡だけじゃありません。初版部数が少ないせいかもしれませんが、うちの近所の3軒の本屋にはどこも置いてませんでした。そのくせ『リアル鬼ごっこ』は山積みになってます(笑)。
胡乱さん、こんにちは。
>『神は沈黙せず』からは、遠藤周作の『沈黙』が当然に連想されますが、これを意識したタイトルなんでしょうか。
意識してません。つーか、『沈黙』読んでませんし(^^;)。 実は執筆中のタイトルは『神のメッセージ』でした。ところが書き上がっていよいよ出版予定が決まった頃に、「タイトルを変えて欲しい」と言ってきたんです。このタイトルだとニューエイジ系の本や宗教書と間違えられるかもしれないから、と。まあ確かに精神世界系の棚に行ったら、似たようなタイトルが並んでますよね。 で、さんざん悩みました。僕はタイトルを考えるが苦手なたちなんです。とりあえず「神」ははずせないので、「神の××」「神は○○」というパターンのタイトルをいっぱい考えたんですが、どれもしっくりこない。出版予定が迫ってるんで、そろそろ正式タイトルを決めなきゃいけない。やけになって、「『神は沈黙せず』なんてどうですか!?」と出したら、「それ、いいじゃないですか」と、一発で通っちゃいました。 まあ、そういう苦し紛れにつけたタイトルなんで、あんまり深い含みはないです、はい。 |
No.15336 - 2003/11/04(Tue) 11:40 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| 皆さんこんにちは。一度読了しまして今2回目です。
まさに「山本作品の集大成」ですね。山本作品に共通するテーマ「自分らしく生きる」もあり、超常現象に関する薀蓄あり、SF的ワンダーあり。購入 してから読了するまで、これ以外の本は読みませんでした。
> 2分冊というのも考えたんですが、
2分冊だと、259ページ、 >「私の手の中で曲がったんです--忘れもしない、一九七四年五月一五日にね」
で上巻の終わり、ということになるのでしょうか。うわ、こんな所で切られたらたまらんですね(^^;。一冊でよかったです。 |
No.15341 - 2003/11/04(Tue) 19:47 [ngy2007n007.ppp.infoweb.ne.jp]
| 土曜日に購入してその日のうちに読みました。 質問ですが、帯のコピーだけ見るとSFではなく、トンデモ本かと誤解されそうなのですが、これはわざとなのでしょうか? 内容についての疑問もあるのですが、クライマックス部分なのでやめておきます。
私の近所での入荷状況です。県内1の郊外型店舗(自称西日本最大級)は今日1冊だけ入荷したみたいです。ただ有名デパート内の紀伊国屋では土曜に5冊以上入荷してました。買いたい人は紀伊国屋に行きましょう。 |
No.15347 - 2003/11/04(Tue) 21:47 [ca9d61-026.tiki.ne.jp]
| 早速の返信ありがとうございました。加古沢のキャラに関しては言われてみれば当たり前で、自らの不明を恥じております。 さて、ドーキンスは未読とのことですが、それに関して少々。
ドーキンスの著作はいずれも面白く、特に「利己的な遺伝子」「ブラインド・ウォッチメイカー」は必読です。また、科学を擁護した「虹の解体」ではオカルト批判に多くのページを割いており、「本来偶然にすぎないのに、なにか関係があるように見える事象の集合」を指す「ペトワック」という造語も披露しています。 しかしミーム関連に限定して言えば彼はあまり多くを語っていないので(そのわりにいくつも重要な指摘をしているのは流石ですが)、スーザン・ブラックモアの「ミーム・マシーンとしての私」をお薦めします。最後の方で急に禅の話が出てくるなど、やや野心的すぎるきらいもありますが、ミームを扱った本の中では最良かと。序文はドーキンス。ちなみに著者は臨死体験を詳細に調査した「生と死の境界」も書いてます。 「神は沈黙せず」に関連の深い領域の本としては、最近出たスティーブン・ピンカーの「心の仕組み」が出色です。主に「心の計算理論」と自然淘汰を援用してヒトの心の謎を探るのですが、神経回路の仕組みといった下位レベルの事象から感情や意識に至るまで、圧倒的な知識を駆使して実にわかりやすく説明されています。「一体どうやったらこんなに広範囲をフォローできるんだ!?」と思うくらい学際的な内容で、その視野の広さにはただただ驚嘆。私は「中国語の部屋」はこの本で知りました。この本でもデーモンという言葉がキーワードになってます。
ちなみに進化論周辺の学者は神について語ると辛口で面白いんですよ。少し紹介すると・・・(引用は少し省略している部分もあります)
リチャード・ドーキンス: 「神様は多くの徳を備えておられるだろう。良心を目覚めさせたり、死に臨んでいる者や遺族への慰めを与えるはかり知れない尊いものだが、有機的複雑さの説明には単純に無能である。有機的複雑さを説明しようとしているのだから、説明の中で有機的で複雑なものがそれを作るとすることはばかげている」 ・・・さらに宗教というのはミーム版のウィルスであると指摘し、「『この本を信じなさい。そしてあなたの子供達に信じさせなさい。さもないと、死後に地獄と呼ばれるとても不快な所へ行くことになりましょうぞ・・・』こういうのが、非常に有効な自己複製暗号(COPY ME CODE)の一例だ。もちろん、指令をすぐ受け入れるほど馬鹿なやつはどこにもいない。もう少しさりげなく、もっとうまい方法で装いを凝らす必要がある。もちろん、私が何について話しているかお解かりでしょう」と言ってます。
スーザン・ブラックモア: 「科学者の中には、自らの科学的な考えと日常生活を切り離したままにしておくことを選ぶ人もいる。月曜日から土曜日までは生物学者で日曜日に教会に行く人もいれば、終生にわたって物理学者でありながら天国へ行けると信じる人もいる。しかし私は、自分の科学と自分の生き方を切り離すことはできない」
ダニエル・デネット: 彼は「ダーウィンの危険な思想」の中で非常に面白いことを言っています。 一見もっともらしくても実は信念に立脚したアイデアを、空中に突然出現した足場という意味で「スカイフック」、事実を一歩一歩積み重ねて構築され、地に足のついたアイデアを「クレーン」と呼んで区別し、神の存在というスカイフックについて二つの巧みなアナロジーで説明しています。 要約すると・・・ 「もしあなたが外国で犯罪に巻きこまれ、目の前で家族を惨殺されたとしよう。犯人は逮捕され、裁判にかけられる。だがこの国では証人として友人たちを呼べることになっており、犯人の友人たちは『彼がそんなことをするはずがない』『私は無罪を信じます』と熱心に述べる。裁判官は心を動かされて検察側の証拠よりもその証言を信じようとしている。こんな国に住みたいと思うだろうか?」 さらに「信仰は理屈を超えており、検証にはなじまない」とするよくある反論に対し、議論のやりとりをテニスに例えてこんな風に答えています。 「ああ、確かに『理性的判断という名のネットを張ってテニスをする』というルールを勝手に作ったのは悪かったね。じゃあネットは下げていいよ。理性的判断抜きでプレイしよう」 そして相手がどんなサーブを打とうと「要するに神様ってアルミホイルに包まれたハムサンドってことだね。尊敬する気にはならないよ」という、わけのわからない答しか打ち返さない、と。 そこで相手が「意味がわからない」と論理的説明を求めてきたら、「えっ、君は自分のサーブではネットを下げるのに僕のリターンではネットを張れっていうのかい? ネットはきちんと張られているか下げられたままかのどっちかだよ。下げたままならルールなしなんだから誰でも好きなことが言えるよ。私としてはそんなの時間の無駄だから暗黙のきまりを守ってきたんだけどなぁ」
・・・かっこいいなぁ・・・ サイエンスライターの沼田寛による「進化論はキリスト教の天敵として発達したので、ソフィスティケートされていても有毒な匂いが潜んでいる。それを見つけるのはほとんど快感」という指摘を思い出してしまいました。
全然質問じゃない上に長文でスレ汚しして申し訳ありません。 そうそう、「神は沈黙せず」、保存用に2冊目買いました。 |
No.15348 - 2003/11/05(Wed) 01:58 [p0935-ip01kyoto.kyoto.ocn.ne.jp]
| 今貧乏なので、文庫化されてから買おうと思ってたんですが、近所の本屋で平積みになっていたこともあり、思い切って買いました。
で、たった今読み終わりました。テイストでなく設定できちんとSFしてる日本SFが読めたのは久し振りです。買って正解でした。
山本先生の作品では、本作といい『戦慄のミレニアム』といい、終末論信者はろくな死に方できないんですが、私の場合、終末論にはなんとなくシンパシイを感じる部分もあるので(さすがに、それで人生棒に振る気にはなれませんが……)、〈昴の子ら〉のUさんや楢林貴恵の描写には、ほろっとなってしまいました。
ところで、ネタばらしになるので詳しくは書けませんが、やっぱり着想の元ネタの一つとして、「ライフゲーム」とかが頭にあったんでしょうか? |
No.15349 - 2003/11/05(Wed) 03:41 [eAc1Adz072.osk.mesh.ad.jp]
| FANLOSさん、こんにちは。
>質問ですが、帯のコピーだけ見るとSFではなく、トンデモ本かと誤解されそうなのですが、これはわざとなのでしょうか?
いや、内容を率直に表現してるだけなんですが(^^;)。 もっとも、この帯に興味を抱いた読者に対して、その固定観念を片っ端から突き崩してやろうという、意地悪な意図もちょっとはあるんですが。
のづちさん、こんにちは。
>しかしミーム関連に限定して言えば彼はあまり多くを語っていないので(そのわりにいくつも重要な指摘をしているのは流石ですが)、スーザン・ブラックモアの「ミーム・マシーンとしての私」をお薦めします。
『ミーム・マシーンとしての私』は読んでます……ああ、しまった、巻末の参考文献リストに入れるの忘れてる! 僕のおすすめはトール・ノーレットランダーシュの『ユーザーイリュージョン』(紀伊國屋書店)です。「意識という幻想」という副題からも分かるように、僕らの抱いている「意識」という概念に関する固定観念を打破してくれる新発見、新説・珍説のてんこ盛りです。「意識は0.5秒遅れてやってくる」というのは驚きですね。中にはかなり疑わしい説や、トンデモっぽい説もあるんだけど、SFのネタには使えそうです。 (つーか、すでにイーガンは使ってる……さすが!)
>そうそう、「神は沈黙せず」、保存用に2冊目買いました。
ありがとうございます!
カスガさん、こんにちは。
> ところで、ネタばらしになるので詳しくは書けませんが、やっぱり着想の元ネタの一つとして、「ライフゲーム」とかが頭にあったんでしょうか?
ライフゲームはあんまり関係ないですね。確かに『ドーキンズ・ガーデン』はライフゲームっぽいですが。
あのメインアイデアについては、SFの世界ではそれほど斬新なものではありません。クラークや星新一氏の小説に、似たような発想のものがありました。フレドリック・ブラウンの有名な作品もありますね。(タイトル名を言っちゃうとネタバレになるのでごかんべん)。 |
No.15351 - 2003/11/05(Wed) 17:54 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| 皆様、こんにちは。
「神は沈黙せず」読了いたしました。久々にスペキュレイティブ・フィクションとしてのSFを堪能したという感じです。
他の皆様と同じく、質問したいところはあれど、ネタバレになってしまいますので、それはまた後日ということで。
この本、高校生くらいの時に読んでいたら内容まるごと信じちゃったかもしれません。いやいや大学生でも危なかったかも(笑)。 |
No.15361 - 2003/11/06(Thu) 18:19 [ntfkok011211.fkok.nt.isdn.ppp.infoweb.ne.jp]
| >>山本先生
どうも、お返事ありがとうございます。
ライフゲームは、カオティックなセルの明滅の中に、人為的にセルの生成パターンにそぐわないセルの反転(言うなれば、“奇跡”)を持ち込んでやることで、安定して存在していたパターンを瞬く間に崩壊させてしまったり、小さなパターンを巨大なランダム模様に大発展させてしまったり出来るあたり、『神は沈黙せず』のテーマとの類似性を感じたんですが、違いましたか。
ところで、読み終わってしばらくしてから疑問に思ったんですが、『神は沈黙せず』の執筆にあたっては、18世紀フランスの小説『カンディード』が念頭にあったんでしょうか?
御存知の通り、『カンディード』は不可知論者ヴォルテールの手により、当時流行していたライプニッツの楽観論への、痛烈な反論として書かれた小説です。そういった意味でも、『神は沈黙せず』の出版状況と似ています。あの時代に不可知論者である事を貫き通すためには、精神的な面でも社会的な面でも、大変に勇気が要ったことでしょう。
『カンディード』の物語の中で、自分や他人を絶え間なく襲い続ける理不尽な災厄に、身も心もぼろぼろになりながら、「理由」を求めて放浪を続ける主人公カンディード(“天真爛漫”の意味)の姿は、『神は沈黙せず』の和久優歌の姿と、あまりにもそっくりでした。
たとえばある場面では、自分たちの恩人である再洗礼教徒が目の前で溺れ死のうとしているのを、必死で助けようとするカンディードを制止して、楽観主義者である彼の師パングロスは、ア・プリオリにこう証明してみせます。「リスボンの入り江はこの再洗礼教徒が溺死するように特にできているのだ」と――。
その証明の間に、恩人は溺れ死にます。
この世のあらゆる辛酸をなめ尽くし、物語の最後にささやかな生活を手に入れたカンディードへ、なおも世界の最善を信じるよう勧めるパングロスに、静かに言い放つカンディードの一言は、『カンディード』という物語の総括であると同時に、『神は沈黙せず』の主題を雄弁に語っているような気さえします。
山本弘は山本弘だし、ヴォルテールはヴォルテールだし、山本先生にヴォルテールのような作家になってくれとは思いませんが、いつまでも今のような、辛辣であり、なおかつ熱い作家であり続けてください。 |
No.15362 - 2003/11/06(Thu) 20:00 [eAc1Adz072.osk.mesh.ad.jp]
| 某書店にて 北長「あのー、山本弘さんの「神は沈黙せず」を捜しているんですが」 店員「え?」(一瞬、なにそれ、って顔にる)(メモを取り出し) 「山本?」 北長「弘です」 店員(「ひろし」とメモする)「お調べします」 店員、パソコンで検索する。 店員「申し訳ありません。当店ではお取り扱いしておりません。お取り寄せいたしましょうか?」 北長「お願いします。どのくらいかかりますか?」 店員「一週間ほどお待ちください」 北長、絶句。 よく見ると角川書店のハードカバーは極端に少ない気がする。もうちょっと売り込んでよ、角川さん。 この書店、「と学会」や「百鬼夜翔」シリーズは揃っているのになあ。ちなみに山田某氏の本は4冊とも平積みされてました(泣) というわけで、未読。来週以降、書き込ませて下さい。 |
No.15364 - 2003/11/06(Thu) 22:01 [p2181-ipad05oomichi.oita.ocn.ne.jp]
| こんにちは、カンタロス星人のカンタロウです。
「神は沈黙せず」先ほど読み終わりました。 いやはや、すごい作品です。 一気に読んでしまいました、仕事に支障をきたすほど。
まさに直球ド真ん中ストレート。 見事に切って落とされました。
今までほとんどROMでしたが、これはカキコむべきと思いました。 いや、思い知らされました。かな?
これから2回目を読んでみます。 こんどはじっくりと。
なんかこう・・・色々言いたいんですが、ネタバレしそうで怖いです。 ちょっと興奮して、舞い上がっていますね、オレ。
こんな興奮と感動をもらえるなら、ガンガン応援させてもらいます。 これからもがんばって下さい。 乱筆・乱文ですみません。 |
No.15367 - 2003/11/07(Fri) 07:06 [OFSfa-01p7-175.ppp11.odn.ad.jp]
| カスガさん、こんにちは。
> ところで、読み終わってしばらくしてから疑問に思ったんですが、『神は沈黙せず』の執筆にあたっては、18世紀フランスの小説『カンディード』が念頭にあったんでしょうか?
『カンディード』のストーリー自体は『世界の奇書』(自由国民社)の解説で知っていますが、実物は読んでいません。 というか、僕は「人生で大切なことはすべてSFから学んだ」人間ですので(^^;)、文学作品はほとんど読んでないです。読んだ作品にしても、モーパッサンの「オルラ」とか、ホーソーンの「ラパチーニの娘」とか、ボルヘスの「不死の人」とか、SFやホラーの境界線上にある作品ばっかりです(「オルラ」なんて、もろにSFなんですけどね)。 いや、中高校時代には文学に挑戦してみたこともあるんですよ。「作家になるためには、やはり世界の名作を読んでおかないといけないのでは」と思って、シェークスピアやゲーテやヘッセを読んでみました。 ところが、読んでも読んでも面白くならない。読み進むのが苦痛でたまらなくて、とうとうギブアップ。 で、こんな教訓を得ました。
「いくら世界の名作であっても、自分にとって面白くなければ価値はない!」 「読んで楽しくない作品からは何も身につかない!」 「自分に正直になれ! 読む気のないものを無理に読むことはない!」
実際、同時期に大量に読んだSF作品のストーリーは鮮明に覚えているのに、ヘッセの『車輪の下』のストーリーはまったくこれっぽっちも思い出せません(^^;)。 だから僕にとっての感動的な世界の名作は、ヤングの「ジョナサンと宇宙クジラ」や、ゴドウィンの「冷たい方程式」、クラークの『渇きの海』、筒井康隆の『脱走と追跡のサンバ』、かんべむさしの『サイコロ特攻隊』などなど……なのです。限られた人生の中で読める本の数なんて限られてるんだから、自分の好きなものを読むだけで精いっぱい、他のジャンルまで手を伸ばしている余裕なんてありません。 だから、小説の中で加古沢が言ってる国語教育批判は、半分ぐらいはマジ。いわゆる「名作」なんかじゃなく、現代の子供にとって面白いものをまず読ませる。そこから過去の名作に進むかどうかは本人の自由。とりあえず本好きの子供を育てることを重視すべきではないかと。
ちなみに、うちの子には寝る前にお話を読んで聞かせてるんですが、今のところ受けが良かったのは『クレヨン王国の十二か月』と『空中都市008』。反対に、『セロ弾きのゴーシュ』『トム・ソーヤーの冒険』『くるみわり人形』あたりはさっぱりダメでした。 |
No.15375 - 2003/11/07(Fri) 16:52 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| 「神は沈黙せず」を楽しく読んでいます。昨日購入してあと、僅か80ページを残すところです。 細かな遊びが忍ばせてあるのが面白いですね。
興味深かったのは作中でデノミによってすでに新円が発行されていることと、ビッグクラッシュです。 ただ、超常現象やオカルトに比較して経済問題へのツッコミや描写は甘いのではないかと思います。巻末に挙げられている参考図書のリストでも経済問題関係は4冊しかありません。(「日本の国家予算」と「日本経済の罠」は是非入れてほしかったところです)
作中の描写で特に致命的だと思われるのはサイレントレボリューションを可能にする納税者による所得税の納入拒否です。 日本では、所得税は納税者が税務署に納めるのではく、源泉徴収といって、給与が支払われるときは自動的に天引きされるシステムになっていますので、納税者は事実上所得税への拒否権がありません。これは元々日中戦争・太平洋戦争の戦費を工面するために当時の政府が税収を自動的に確保する仕組みとして導入したものなので、強力です。 だから、納税者による所得税の納入拒否をトリガにするということは、ちょっと考えにくいですね。
また、所得税が激減しても、政府にはまだ間接税の収入があるし、いざとなれば日銀による国債の直接引き受けでなんとか歳入を工面できないこともないので、あっさり政府が倒壊することはないでしょう。
まあ、こんな所にツッコミを入れる読者は少ないと思いますが、 加筆される際には是非以上の問題点をなんとかクリアしていただきたいと思います。 |
No.15385 - 2003/11/08(Sat) 19:46 [acykhm007061.adsl.ppp.infoweb.ne.jp]
| どうも、三回目の書き込みです。いや、時間が経てば経つほど語ってみたくなる本ですね、これは。
>>山本先生
「読みたい本から読ませよ」という意見には大賛成します。実は、私が『カンディード』に目を通したのも、「『ミクロメガス』の作者の本だったから」という理由によるものでしたし。
ヴォルテール自身もこう言っています。「愚者は名高い作者のものならなんでも賞賛する。私はただ自分のためだけに読む」と。
ところで、もう一度主要場面を読み返していて、引っ掛かった点があります。11章で世界が神のシミュレーションである可能性として、「従来のコンピューターでは無理だが、量子コンピューターでは可能だ」みたいな考察が行われていましたが、そもそも人間の世界の物理法則を、“神”の世界の物理法則に適用できるのでしょうか?
このあたりの考察は、喩えるなら、30f/sで作られたコンピューターRPGの主人公が自我を持ったとして、「プレイヤーの世界の時間も30f/sだから、普通の手段で我々の世界をシミュレートできるはずがない」と主張するぐらい、ナンセンスな気がします。
救いの日に月の光は太陽の光になり、太陽の光は七倍になって七つの日の光となるように、ひょっとしたら“神”の世界の光速(そういう物があるとすれば)は無限であり、プランク定数(そういう物があるとすれば)は限りなくゼロに近いかもしれません。
物語の根幹に関わるほどの欠陥ではありませんが、和久良輔ほどの知性なら、その可能性に思い至らない筈がないと思うのですが。
最後に、世界の実体が明らかにされるにつれ、「それはシニフェとシニファンが等価であることを意味するのか」と言語学者たちが思い悩むくだりがありましたが、そこを読んでいて思い付いたしょーもないネタ。
「これは……シニ……シニフェ」 「?」 「ちょっと時々ごっちゃになるねん」 「はあ……」 「わかってるねん、わかってるねんで? バカにしたあかん。 今喋ってるのはシニフェ。 それがごっちゃに……」 「今喋ってるのはシニファンです」 「わかってるねんで!?」 |
No.15386 - 2003/11/08(Sat) 21:23 [eAc1Adz072.osk.mesh.ad.jp]
| カスガさん、こんにちは。
> ところで、もう一度主要場面を読み返していて、引っ掛かった点があります。11章で世界が神のシミュレーションである可能性として、「従来のコンピューターでは無理だが、量子コンピューターでは可能だ」みたいな考察が行われていましたが、そもそも人間の世界の物理法則を、“神”の世界の物理法則に適用できるのでしょうか?
すみません。そこらへんは良輔に説明させるのを忘れてました。 僕の設定では、神の基になったのは、もともと我々の世界に似た物理法則を持つ宇宙で、地球に似た惑星上に発生した知性体です(具体的な姿などは考えていませんが、人間とはぜんぜん似ていない生物でしょう)。 なぜそれが推測できるかというと、たとえ神でも、どんな世界が知性体を生み出すのか(シミュレートしてみるまでは)分からないはずだからです。ということは、知性体を生み出そうとする場合、成功の確率を高めるために、自分の知っている世界、つまり自分が存在する世界をモデルにするはずです。 良輔が言うように、神が存在するのはビッグバンから何千兆年も経った宇宙かもしれない(もちろん、すでに恒星の大半は燃え尽きているので、別のエネルギーによって生存しているのでしょうが)。けれど物理法則そのものが根本的に違っているはずはありません。特にプランク定数とか光速度とかのパラメータは、生命の活動に深く関係してくるので、大きく変えるわけにはいきません。それでは進化がうまく進まず、知性が生まれない可能性があるからです。
(ここから先は良輔の知らない設定) もっとも、神の生まれた惑星は、生命の進化にとって地球ほど理想的な環境ではなかったのです。そのままシミュレートしても進化速度が遅い。たぶん神が進化シミュレーションを行なうのは今回が初めてではなく、何度も試行錯誤しているはずです。その中で、進化速度が最大になるような条件を発見したのでしょう。 ただ、それ以外の点は同じに設定してあります。神にとって重要なのは、進化の過程でもなければ知性体の姿形でもない。だからそれらが過去の自分のそれと同じである必要はない。大切なのはミームなのですから。 神がわざわざ星空を用意し、人類に世界の真相を隠していたのも、それが理由です。神は自分が広大な(本物の)宇宙に存在することを知っている。それに対し、人類が早い時期から自分たちが住んでいるのが偽物の宇宙であるということに気づいていた場合、ミームの進化に影響が出るかもしれない。だから人類がそれに気づくのが遅れるようにしたわけです。 もっとも、ウェッブほどの高解像度の宇宙望遠鏡が実現するぐらいの文明レベルに達していれば、インターネットも普及し、すでに×××××・××××が誕生しているはずだから、その時点でバレてもかまわない。だから星空はそんなに緻密に作る必要はなかったわけですね。 |
No.15398 - 2003/11/09(Sun) 16:34 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| カンタベリーさん、こんにちは。
> ただ、超常現象やオカルトに比較して経済問題へのツッコミや描写は甘いのではないかと思います。巻末に挙げられている参考図書のリストでも経済問題関係は4冊しかありません。(「日本の国家予算」と「日本経済の罠」は是非入れてほしかったところです)
まさにその通りです。僕は経済に詳しくありません。だから今回もそこでいちばん苦労しました。にわか勉強したものの、「たぶん経済に詳しい人からツッコまれるだろうなあ」と思いながら書いていました。 ただ、解説ページでも書いたんですが、この小説は最初から未来予測を放棄し、「ありえない未来」を描くというコンセプトを貫いています。ストーリー上必要だった日本経済の破綻も、そこからの再建も、現実にありえるもの(経済学の本に書いてあるようなシナリオ)には絶対にしたくなかった。 そこで、逆に「AVPがきっかけとなる円暴落」「日本政府民営化論」という荒唐無稽なもの、そんなことありえないと思えるアイデアを導入したわけです。作者としては、こんなものがうまくいくわけないのは百も承知です(AVPがインフレに強いなんてくだりは、自分で書きながら「嘘くせーっ!」とツッコんでたぐらいで(^^;))。 だから、超光速宇宙船やタイムマシンみたいなSFガジェットだと思っていただければ幸いです。SF作家としては、とりあえず話の都合上、アイデアとその原理を提示してみせただけで、細部まで考えていませんし、実現するとも信じていません。というか、不可能でしょう、たぶん。
源泉徴収については……いや、おっしゃる通りですね。すみません。 |
No.15400 - 2003/11/09(Sun) 16:56 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| お久しぶりです。 『神は沈黙せず』面白く読ませていただきました。いや、ミクロコスモスネタは数あれど、ここまで風呂敷を広げた上で最後まで、一切の逃げ無しに剛速球ど真ん中真っ向勝負で書ききられるとは凄いですね。 女の子の名前が紗奈、といった細かい遊びにも楽しませていただきましたが(^^;;
ただ、ちょっとクライマックスに引っかかる質問になってしまいますが、個人的に引っかかったのは加古沢の最終目的です。ネタバレを避けるために抽象的な書き方になってしまいますが、よく考えたら仮に加古沢の仮説が全部正しくても、彼の最終目的って達成されないのでは? 逆に加古沢の仮説が、その最終目的まで含めて全部達成されるなら、それはそれで彼の意図とは正反対の結果になるような……。いろいろ問題はあるにしても、あれだけの知性と洞察力を持った人間であるところの彼が、こんな勘違いを犯したと言うのはやや信じられないところです。
まあ最初の仮説を思いついたところで舞い上がってしまい彼らしくもなく検証を怠った、あるいは否定的な結論が出ることを恐れて無意識に検証を避けたと言う可能性もありますが。
>カンタベリー様 >源泉徴収問題
源泉徴収税を納税拒否できるか? という問題だけでしたら源泉徴収税は国が直接天引きするわけではなく
給与振替金融機関→自治体→国
という流れで収納されますので、金融機関が口座引落しと地方自治体への納付を拒否すれば納税拒否は可能です。作中では銀行への根回しは済んでいたようですから、十分可能ではないかと。 まあこの場合、
1.納税拒否する気がない人間の納税も拒否してしまう。 2.そもそも銀行だけ取り込めばいいので、国民に納税拒否を呼びかける必要がない。
という問題が新たに生じますが(苦笑)、
1.そもそも国民全員に納税拒否させることが目的なのだからその方が都合がいい。 2.国民に参加意識をもたせないとまずい。
というフォローも可能ですし。 |
No.15401 - 2003/11/09(Sun) 17:51 [zaqd378a680.zaq.ne.jp]
| 「神は沈黙せず」の内容について、細かい事ですが、いくつか気になった点が有りました。(長文ですいません)
1.遺伝的アルゴリズムの扱いに関して、学生の頃に、遺伝的アルゴリズムについて少し齧った事が有るのですが、どちらかと言うと数値計算の一手法と言う印象を受けました。 それなので、「神は沈黙せず」の中での遺伝的アルゴリズムの扱いについて、「それほど大したものだったかな?」と言う疑問が浮かびました。 (私が不勉強なだけかもしれませんが)
2.遺伝的アルゴリズムでコンピュータソフトを開発する話が少しでてきますが、この方法だと、アルゴリズムの中身がブラックボックス化してしまうので、テスト工数が増えそう(有りうる全てのケースをテストしないと信用できない)、メンテナンス(バグ対策、バージョンアップ、仕様変更への対応など)が大変になる、作成したプログラムの他への流用などが難しそう、などのデメリットが有りそうなので、限られた分野でした使えないような気がするのですが。
3.宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブの位置が地球と太陽のL2点と有りますが、ラグランジュ点の内、L1~L3は、あまり力学的には安定で無いらしいので、太陽熱の影響が少ないとしてもL2点がジェイムズ・ウェッブの位置として、最適かどうか疑問があるのですが。
4.11章の初めにでてきた「偽りのピーク」ですが、工学分野で、似たような問題(局所的最適解)について述べる場合、ピークじゃなくて谷底とか穴の底の比喩を使う場合が多かったと記憶しています(繰り返し計算をやってる内に局所的最適解が求められるようなアルゴリズムを、ボールなどを転がしている内に谷底や穴の底に落ち込む様子に譬える)。 谷底や穴の底の比喩の方が直感的に判りやすいと思うのですが、なぜ、ピークに譬えられたのでしょうか? |
No.15403 - 2003/11/09(Sun) 18:45 [kaad380.airnet.ne.jp]
| >>あまね様
>源泉徴収税を納税拒否できるか? という問題だけでしたら源泉>徴収税は国が直接天引きするわけではなく > > 給与振替金融機関→自治体→国 > > という流れで収納されますので、金融機関が口座引落しと地方自治体への納付を拒否すれば納税拒否は可能です。作中では銀行への根回しは済んでいたようですから、十分可能ではないかと。
申し訳ありませんが、源泉徴収を行うのは金融機関ではなく、 源泉徴収義務者(人に給与を支払っている企業や個人)です。 「男はつらいよ」シリーズに出てくる場合だと、印刷会社の 従業員であるヒロシさんの給与から所得税を天引きして、税務 署に納めるのは、タコ社長です。原則として、翌月の10日ま でに税務署に納めることになります。 大企業の場合もこれと同じです。 果たして彼らが税務署を敵に回して、所得税の不払いを宣言 するかどうか、厳しいですね。 徴税する側としては、、市民一人一人を相手に納税のお願い をしなくても良いので徴税のコストがかからない上に、市民が 納税者の自覚を持つ機会がほとんど無いのですから、便利なこ とこの上ないシステムです。 |
No.15404 - 2003/11/09(Sun) 19:28 [acykhm007061.adsl.ppp.infoweb.ne.jp]
| >カンタベリー様
そうですね。 言われてよくよく考えてみたら、『特徴市民税』と勘違いしてました(汗)。はい。 市民税はともかく所得税がわざわざ自治体経由する訳がないですね。
まあ、サイレントレボリューションに同調した主要企業は『税務署を敵に回して、所得税の不払いを宣言』したような気もしますが、それだけでは、旧政府があっさり倒壊する程のダメージにはならないのではないかと言うカンタベリー様のご意見はもっともだと思います。 |
No.15408 - 2003/11/09(Sun) 21:19 [zaqd378a680.zaq.ne.jp]
| >長 高弘様
1について: 私はコンピュータには疎いのですが・・・ 遺伝的アルゴリズムというのは何しろ究極の汎用マシンである生命体が採用している手法なので「大したもの」だと思います。 生命のような複雑系というのは乱暴に言えば「分析するより作った方が早いもの」ですから、遺伝的アルゴリズムによる生命進化のシミュレーションは有望でしょう。 逆に工学の様に実用的な使い方ではそのダイナミズムは見えてこないのかもしれません。
2について: 工学上のデメリットについてですが、一見、デメリットに見える冗長性こそが実は生命の持つフレキシビリティーの鍵だったりするのでそれなりの意味はあるのではないでしょうか。 とはいえ、どんなソフトの開発にも使えるというわけではないでしょうから、分野が限られてくるというのはその通りでしょう。 遺伝的アルゴリズムは生命科学の分野には本当に向いているのでそっち系の学者さんが大騒ぎしてしまい、工学系の方との間に温度差が生じているのかもしれませんね。
4について: 生物学の世界では伝統的に適応地形は登るものとされている様です。生存率や繁殖率が『高まる』とか、適応度が『上昇する』といった表現から来たイメージなのでしょう。 確かに谷底に『落ちる』という表現には、『上昇』につきまとう何者かの『意思』や『意識的先見性』のイメージを喚起しない、盲目的で自動的な過程を思わせる含みがあっていいですね。 しかし、この上昇モデルと下降モデルは同じ地形の上下をひっくりかえしただけのものです。生物が高みをめざすと仮定するか、重力に引かれて落下すると仮定するかは恣意的な問題に過ぎないのではないでしょうか。 |
No.15414 - 2003/11/10(Mon) 12:19 [p4180-ip01kyoto.kyoto.ocn.ne.jp]
| いや、全然質問は無いのですが、今日たまたま書店で「面白そうだな」と手に取った本が「神沈」でした。 まだ1ページも読んでいませんが、なんかその本の厚みと値段からw「集大成」のような気がします。楽しみです。 掲示板をさささっと読んでいくと僕の好きなドーキンスとかミームとかライフゲームとか、バンバン出てきて期待が高鳴りまつ。 題名からも「神」という概念を何らかのカタチで料理している事が伺われるので、ドーキンスが利己的遺伝子で提唱した「ミーム」に関する見解「神様はミームっしょ」というの話が何らかのカタチで絡むのかな?と予想してみる。
んっ、ライフゲームは関係ない・・。と書いてあるか、とにかく読みまつ。
あっ、質問があった。もしかしてこの本、「神に迫るサイエンス」で瀬名さんが最近の「SF」に関して言及されていた話への解答ですか?・・・違うか、深読みですね。というか読んでから物言えって感じですよね。読みまつ。 |
No.15416 - 2003/11/10(Mon) 18:52 [pc2.chaordic-unet.ocn.ne.jp]
| のづち 様>
> 1について: > 私はコンピュータには疎いのですが・・・ > 遺伝的アルゴリズムというのは何しろ究極の汎用マシンである生命体が採用している手法なので「大したもの」だと思います。 > 生命のような複雑系というのは乱暴に言えば「分析するより作った方が早いもの」ですから、遺伝的アルゴリズムによる生命進化のシミュレーションは有望でしょう。 > 逆に工学の様に実用的な使い方ではそのダイナミズムは見えてこないのかもしれません。
遺伝的アルゴリズムってのは、計算コストがかかるため、遺伝的アルゴリズム以外の方法で解ける問題に、遺伝的アルゴリズムを適用すれば、結局、メモリと計算時間の無駄遣いに終わる可能性が高いです。
逆に、工学分野で遺伝的アルゴリズムが有効なケースは正攻法で解いたら、どう考えても遺伝的アルゴリズムより時間がかかるような場合や、正攻法で解くのが難しい場合になります。
たとえば、ある関数f(x1,x2,…,xn)を最小化(または最大化)するような変数(x1,x2,…,xn)の組を求めるたい。 でもあり得る(x1,x2,…,xn)の組み合わせすべてでf(x1,x2,…,xn)の値を調べるしか求める方法ない上に、nの数が増えたら、あり得る組合わせの数も、指数関数的に増えていく。 と言うような問題が工学分野では結構有りますが、「神沈」で言う「偽りのピーク」でも良いので、実用上使える値を計算したいと言う場合は遺伝的アルゴリズムは有効になります。
ついでに、元工学屋の端クレとしては、もう一つ遺伝的アルゴリズムに抵抗を覚える点が有ります。 それは「美しくない解法」だと言う事です。 運任せの方法だ、と言う意味で「美しくない」のでは無くて、経験的にしか決められないパラメータ(個体数、突然変異の発生率など)が多いと言う点に、どうしても、 「何だかなー、使えりゃ良いってもんじゃねぇーだろ」 と言う事を思ってしまいます。 (もっとも、私の遺伝的アルゴリズムに関する知識は研究室の同僚とか、自分の研究分野に関連する論文で読んだ位で、しかも5年以上前の知識なので、現在は状況とかが変ってるかもしれませんが)
> 2について: > 工学上のデメリットについてですが、一見、デメリットに見える冗長性こそが実は生命の持つフレキシビリティーの鍵だったりするのでそれなりの意味はあるのではないでしょうか。 > とはいえ、どんなソフトの開発にも使えるというわけではないでしょうから、分野が限られてくるというのはその通りでしょう。
停止した場合は多くの人の迷惑がかかる(または偉い人の首が飛ぶ)ようなシステム(銀行のオンラインとか)の場合は、どうしても実績のある物を流用すると言う場合が多いです(バグが出尽くした事が期待できるから)。 ですので、そう言うシステムの場合、新しいものは、かなり大きなメリットが無い限り導入されにくい、と言う傾向があります。 また、効率の良いプログラムやバグの少ないプログラムの作成と言う点では、開発技法・開発ツールなどの改良によってカバーできる部分が、結構、大きそうですので、プログラム開発に遺伝的アルゴリズムを導入するメリットは、それ程あるのかな、と言う気がします(もちろん、私の経験的なものなので、それが正しいとは言いきれませんが)。
> 4について: > 生物学の世界では伝統的に適応地形は登るものとされている様です。生存率や繁殖率が『高まる』とか、適応度が『上昇する』といった表現から来たイメージなのでしょう。 > 確かに谷底に『落ちる』という表現には、『上昇』につきまとう何者かの『意思』や『意識的先見性』のイメージを喚起しない、盲目的で自動的な過程を思わせる含みがあっていいですね。 > しかし、この上昇モデルと下降モデルは同じ地形の上下をひっくりかえしただけのものです。生物が高みをめざすと仮定するか、重力に引かれて落下すると仮定するかは恣意的な問題に過ぎないのではないでしょうか。
これについては、遺伝的アルゴリズム=数値計算法の一種と言う思い込み(?)が有ったせいで、「穴とか谷の譬えの方が判りやすい」と考えたのかもしれません。
#数値計算の手法や、工学関係の問題の場合、求める値を「穴」とか「谷」に譬えると、 #直感的に理解しやすい場合が結構有るので、そう言う風に考えてしまう癖が #ついてたのかもしれません。 |
No.15418 - 2003/11/10(Mon) 21:05 [kaad579.airnet.ne.jp]
| 山本さん、皆さん、初めまして。
『神は沈黙せず』。SF読者としては、かなり不真面目な私ですが、久しぶりに「SF」の面白さを堪能させて頂きました。
『時の果てのフェブラリー』を読んだ時や、『サイバーナイト』を読んだ時にも感じたんですが、山本さんのSF小説は「サイエンスフィクションのドキドキ感」をきっちり持っていて好きです。願わくば、短編ではなく長編を一年か二年に一本ぐらい読みたいと…(笑)
質問ですが、当たり障りのないところで2つほど。
中で「未来に出た本」であることを前提に書かれている為に「その世界では常識だから説明を一切されていない造語」が幾つかありますよね。ポケタミ、OSMなんかがそれに当たると思うのですが、それらの正式名称を知りたいです。
もう一つ、加古沢が学校と教育に関してぶった一説は、山本さん自身の考えがどれぐらい入ってるものなのでしょうか?(色々考えさせられる「言葉」でしたので)。
で、これは質問ではなく、限りなく望み薄の希望なんですが…『仮想天球』と『時の振り子』をマジに読みたくて仕方ないです(笑) |
No.15419 - 2003/11/10(Mon) 21:19 [ia232.ia16.iad.parkcity.ne.jp]
| 月刊ニュータイプ12月号、207ページにも紹介記事とコメントが掲載されておりますね。 |
No.15420 - 2003/11/10(Mon) 23:05 [Ctk219DS19.tk2.mesh.ad.jp]
| >>あまねさん どうも、はじめまして。
>ただ、ちょっとクライマックスに引っかかる質問になってしまいますが、個人的に引っかかったのは加古沢の最終目的です。ネタバレを避けるために抽象的な書き方になってしまいますが、よく考えたら仮に加古沢の仮説が全部正しくても、彼の最終目的って達成されないのでは?
あ!(ポン) あまねさんの言いたい事、私にも分かってしまいました!
その辺の問題については、ルーディ・ラッカーやグレッグ・イーガンといった作家が、かなり深く突っ込んでますね。
加古沢がその問題に気付かなかったというのは考えづらいので、妥当な解決案としては「加古沢はあくまで超人であり、凡人が求めるような意味での●●でなくても、別に構わなかった」というのはどうでしょう? |
No.15422 - 2003/11/11(Tue) 00:25 [eAc1Adz072.osk.mesh.ad.jp]
| 遅ればせながら、昨日読了しました。 いろいろ感想はありますが、あまり詳しく書くとネタバレになってしまいますのでひかえます。
ただ、この掲示板でのご経験が、かなり反映されている部分を読んだときは(その騒動の時にリアルタイムでROMしてましたので)読みながらつい笑ってしまいました。
久しぶりに、きちんとしたSFを読んだ気がしました。 |
No.15423 - 2003/11/11(Tue) 01:07 [ntfkok046193.fkok.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp]
| >カスガ様 >その辺の問題については、ルーディ・ラッカーやグレッグ・イーガンといった作家が、 >かなり深く突っ込んでますね。
そして山本さん自身、『サイバーナイト』で考察しています。 だから加古沢が、あんな所(『仮想天球』のクライマックス)で思考停止してしまったのが腑に落ちないんですよ(苦笑)。
>「加古沢はあくまで超人であり、凡人が求めるような意味での●●でなくても、別に >構わなかった」
それだと、クライマックスの対決で優歌に勝ち目が無くなってしまう可能性もあるような……(^^;; それ以上に、加古沢がそこまで深く考察していたとするなら、彼の行動や人格も変わってくる可能性がありますし、結果として優歌との対立も生じず、そのままハッピーエンド直行と言うことも(笑)。
あ、これはあくまでお遊びとしての思考実験です。突っ込みは歓迎しますが、わたし自身『これが全面的に正しい』などとは思っていませんので。 |
No.15428 - 2003/11/11(Tue) 12:49 [hisfw-b.hitachijoho.com]
| 長 高弘さん、こんにちは。
質問1について、 遺伝的アルゴリズムについては、おもにスティーブン・レビー『人工生命』(朝日新聞社)と星野力『進化論は計算しないとわからない』(共立出版)を参考にしています。ですから、43~46ページの解説は誇張なしの事実です。正確なことをお知りになりたいのでしたら、これらの本を読まれた方が早いと思います。
質問2について おそらく遺伝的アルゴリズムで生まれるプログラムは冗長性が大きいでしょう。ちょっとしたバグでフリーズするような代物なら、たちまち進化競争で淘汰されてしまうでしょうから。「バグがない」のではなく、「多少のバグがあっても支障なく動く」というもののはずです。(実際、生物の遺伝子はそうなっています) だからそれを実際に運用しようとしたら、従来の常識を捨ててかかる必要があるでしょう。うまく動作しない時でも、メンテナンスやバグ取りをするんじゃく、さらに学習・進化させ、失敗を少なくさせる。 「プログラムに欠陥があったら人間の手で修正する」という発想は、生命の進化とのアナロジーで考えると「遺伝子操作」ということになります。つまり現在のプログラムは遺伝子操作によって進化している。それを遺伝子の交差と適者生存による進化という自然のやり方に戻してやるのが遺伝的アルゴリズムだ……と僕は解釈しています。 げんに遺伝的アルゴリズムによって進化してきた自然界の生物は正常に機能しているのですから、同じやり方を模倣してうまくいかないと考える根拠はないでしょう。
質問3について ジェイムズ・ウェッブの位置L2に設定したのは僕じゃありません。実際にそういう計画なんです。 詳しくはこちらのページを、
http://www.jwst.nasa.gov/FastFacts.htm http://www.stsci.edu/jwst/overview/design/orbit.html
ちなみに、小説中に書かれているデータは、かなり嘘ついてますんで、信用なさらないように。
質問4について 進化のイメージは普通、「上昇」です。進化系統樹などもたいてい、いちばん下に原始的な単細胞生物、時代が進むにつれて「上」になるよう描かれています。また、「環境への適応度の高さ」という表現もします。 もし「穴」の比喩を用いたなら、環境への適応度が「高い」ものほど「落ちて」しまうということになり、混乱します。登山のアナロジーを使用する方が、それこそ「直感的にわかりやすい」と思います。 |
No.15429 - 2003/11/11(Tue) 15:30 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| あまね@大阪さん、こんにちは。
> ただ、ちょっとクライマックスに引っかかる質問になってしまいますが、個人的に引っかかったのは加古沢の最終目的です。ネタバレを避けるために抽象的な書き方になってしまいますが、よく考えたら仮に加古沢の仮説が全部正しくても、彼の最終目的って達成されないのでは?
たぶん、僕が考えているのと同じ問題、「物質電送機で受信機の側で再生された人間は、送信機に入って分解された人間と同一人物か否か?」についておっしゃっておられるのではないかと思うのですが、ちがうでしょうか? これは難しい問題です。僕は「同一人物じゃない」という立場なんですが、げんにSFの世界で物質電送機が何の抵抗もなしに使われているところを見ると、「同一人物だ」と考える人も多いでしょう。どっちが正しいとも言い切れません。加古沢も「同一人物だ」と考える立場なのです。 小説の中ではごまかしていますが、もし彼が即死するんじゃなく、じわじわと苦しみながら死んでいくんだとしたら、死ぬまでの長い時間に考えが変わるかもしれません。「やっぱりここにいる俺が本当の俺だ」と。『マインズ・アイ』の中にも引用されているルディ・ラッカーの『ソフトウェア』の中に、そういう場面がありました。
Funさん、こんにちは。
>中で「未来に出た本」であることを前提に書かれている為に「その世界では常識だから説明を一切されていない造語」が幾つかありますよね。ポケタミ、OSMなんかがそれに当たると思うのですが、それらの正式名称を知りたいです。
ポケタミは「ポケット・ターミナル」の略で、高度に進化したモバイルです。実際には「携帯」とか「PDA」という呼称がそのまま使われる可能性が高いと思いますが、小説の中では現在の携帯電話とは機能が段違いであることを示すために、あえて別の名前を設定しています。 OSMは「オリジナル・ストリーミング・ムービー」で、ストリーミング放送用に製作された映画のこと(OVAからの連想です)。 POLPは「パーソナル・オンライン・パブリッシング」で、個人で行なう電子出版のこと。 メガストリームは、画像1コマが1メガバイトに達するほどの(実際には達してないことも多いんですが)高解像度のストリーミング。 HMCは「ホログラフィック・メモリー・カード」で、ホログラムの原理によって擬似3次元空間に大量のデータを記憶できる記録媒体(原理は詳しく訊かないで(^^;))。 えーと、他にも何かあったかな……? |
No.15433 - 2003/11/11(Tue) 16:56 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| 山本 弘 様>
> 質問1について、 > 遺伝的アルゴリズムについては、おもにスティーブン・レビー『人工生命』(朝日新聞社)と星野力『進化論は計算しないとわからない』(共立出版)を参考にしています。ですから、43~46ページの解説は誇張なしの事実です。正確なことをお知りになりたいのでしたら、これらの本を読まれた方が早いと思います。
了解しました。機会があれば、読んでみます。
> > 質問2について > おそらく遺伝的アルゴリズムで生まれるプログラムは冗長性が大きいでしょう。ちょっとしたバグでフリーズするような代物なら、たちまち進化競争で淘汰されてしまうでしょうから。「バグがない」のではなく、「多少のバグがあっても支障なく動く」というもののはずです。(実際、生物の遺伝子はそうなっています)
ご存じかもしれませんが、念のため。 現在のプログラム開発や運用自体も「バグが無いプログラム」は作るのは、まず無理で、障害が有ったらどう対処するか、と言う点が重視されてます。(参考になるのはこちら→http://www.amy.hi-ho.ne.jp/~lepton/program/p3/prog306.html)
#ついでに、重大なバグの原因はコーディング時じゃなくて、それ以前の #時点(プログラムの仕様を決める時とか、システムの全体的な設計を行う時とか)に #有る場合が多かったりするので、変な言い方ですが、バグの少ないプログラムを #開発する手法だけでは、バグの発生を減らすには限界が有るかもしれません。
あくまで、妄想ですが、オープンソース系の開発手法って遺伝的アルゴリズムと似てるかも。
> げんに遺伝的アルゴリズムによって進化してきた自然界の生物は正常に機能しているのですから、同じやり方を模倣してうまくいかないと考える根拠はないでしょう。
逆の見方も有りまして、現在のプログラム技法は、問題は有るけれど、それなりにうまく機能してますし、色々なノウハウも蓄積されており、様々な改良も加えられ続けています。 それを、今までと全然やり方の違う、遺伝的アルゴリズムに変えるのは、はっきり言えば怖い訳です。(それなりにうまくいっており、長所も弱点も判っている方法を使い続けると言うのは、安全策としては、間違っていないかと)
ですので、現在の手法に限界が来るか(自分の経験とかを考えると、限界が来るとしても、かなり先になると思いますが、異論が有る方も当然、いらっしゃるかと)、現在の手法より遺伝的アルゴリズムが圧倒的に有利だと言うのが証明されない限り(どう言う基準で「圧倒的に有利」かどうかを判定するのか? と言う問題も有りますが)、遺伝的アルゴリズムを用いたプログラム開発は広まらないような気がします。
> 質問4について > 進化のイメージは普通、「上昇」です。進化系統樹などもたいてい、いちばん下に原始的な単細胞生物、時代が進むにつれて「上」になるよう描かれています。また、「環境への適応度の高さ」という表現もします。 > もし「穴」の比喩を用いたなら、環境への適応度が「高い」ものほど「落ちて」しまうということになり、混乱します。登山のアナロジーを使用する方が、それこそ「直感的にわかりやすい」と思います。
前に投稿した内容とかぶりますが、多分、私の思い込みとか、そう言う風に考える癖がある為に、大元の投稿に書いたような印象を受けたのだと思います。 工学分野では、何か解決すべき問題が有った場合、その問題を評価関数f(x1,x2,…,xn)を最大化もしくは最小化する(x1,x2,…,xn)を求める、と言う形に変形する場合があります。 で、この評価関数を最小化する値を求める数値計算方法には、ボールを転がしてくと、自然に「穴」や「谷底」に辿り着くと言う風に譬えると理解しやすいものが多い(ニュートン法とか)のと、物理の力学などからのアナロジーで、評価関数をポテンシャル関数、最適値を求める事をポテンシャル関数を最小化する、と呼んだりします。
それなので、ピークの譬えは、大学時代は工学部に通ってた私からすると、ちょっと違和感が有りますが、どちらが判りやすいかは、人によるんでしょうね。
#のづち様が書かれてるように #「引っくり返せば同じ」 #と言うのが、一番、妥当な結論かもしれませんが。 |
No.15443 - 2003/11/11(Tue) 20:35 [kaad222.airnet.ne.jp]
| 山本 弘 様>
書き忘れた事が有りましたので補足まで。
> 質問1について、
> ですから、43~46ページの解説は誇張なしの事実です。正確なことをお知りになりたいのでしたら、これらの本を読まれた方が早いと思います。
学生の頃、人工知能(パターン認識)がらみの研究をやってたのですが、人工知能分野では、当初は、画期的な方法と思われてたけれど、結局、そこそこ使えるけれども、当初の期待ほどでは無い、と言うものがかなりありました(ニューラルネットとか)。 ですので、自分としては、どうしても、○○○ができる、と言われても、それだけじゃ信用できない、出来ない事や向いてない事も当然も有るよなぁ、と思ってしまう傾向があります。 ですので、個人的には、遺伝的アルゴリズムも、全くダメダメな手法ではないけれど、物凄く画期的な、魔法のようなものではないだろう、と思っています。
ですが、紹介いただいた本は読んでみます。 #紹介していただいた本ですが、時間とプログラムの知識があれば、 #書いてある事例の追試程度はできるような内容でしょうか? |
No.15445 - 2003/11/11(Tue) 21:50 [kaad222.airnet.ne.jp]
| 山本弘様
遅ればせながら「神は沈黙せず」非常に興味深く拝読いたしました。
トンデモ本の世界シリーズ→トンデモノストラダムス→こんなにヘンだぞ!「空想科学読本」と読んでいき、こんなにヘンだぞ!~で紹介されていた「竜の卵」を読んで活字SFの楽しさに気付き(理解しているかはさておき)、その後Webで名作と賞されているSFを何冊か読みました。
そして仕事が激務の中、神は沈黙せずを読み終わって、何て読み易いんだろう!!と驚嘆しています。やっぱり私には翻訳家の力量って大切だなと思いました。今まで読んだ作品は全て海外の作品でしたから(きっと私には「変容風の吹くとき」は読破できないでしょう!!)。これで日本人作家のSF作品を好きになれそうです。
大げさな言い方ですが、今までほとんど知らなかったSFというジャンルを紹介していただいたことは、貴方の読者になって一番良かった事と思っています。
非常に長い前置きで申し訳ございません。
私はまだまだ活字SFに慣れていませんので、凄く新鮮に、 『なるほど。こんな考え方もあるのか!!』 と驚きっぱなしでした。読み終えて、心地よいセンス・オブ・ワンダーを感じています。特に、P487辺り兄の説明(●●●●●・●●●●について等)の部分は面白かったです。 自然科学全般(ただし啓蒙書)は好きでしたので、人工生命や心と脳のことを念頭に読んでいきました(昔完読するのに挫折した「皇帝の新しい心」でも読み返してみようかな)。
気になった箇所と言えば、主要登場人物が全員聡明なところです。 みんな1を聴いて10を知るような人たちだったので、しばしば以前のページに戻って読み返していました(笑)。もっと精進しなければと自分に渇を入れた次第です。 しかし、実は彼ら彼女らもスーパースターにあらず、心の通った(!)人間味溢れる一面を持っていたのが、それ故になんとも魅力的でした。特に私には大和田氏の生き方が非常にすばらしく感じました。
皆様のように語るほど他のSF作品にも、自然科学にも詳らかではありませんので、 『面白いSFをどうもありがとうございました!!』 と言わせてください。
読書の晩秋。さて、今度はどんなSF読もうかな。。。 |
No.15447 - 2003/11/11(Tue) 23:24 [proxy26.rdc1.kt.home.ne.jp]
| こんばんわ。たつのすけといいます。 神は沈黙せず、読ませていただきました。 とても面白くて、何度も読み返しています。
遺伝アルゴリズムに関しては「本当にプログラムなんてできるのか?」と思ってたのですが、いろいろ調べてみると「遺伝的プログラミング(genetic programing)」という研究分野があるようです。 どうもまだまだ人間がやったほうがはやそうですが。(^^; とはいえ、2010年には実用化されててもいいかもしれません。
遺伝的アルゴリズムが万能のように書かれているように私も最初は感じましたが、もしもできなかったとしても、小説の中のフィクションとして考えるので、私は気にしていません。(^^; |
No.15448 - 2003/11/12(Wed) 00:29 [h219-110-113-001.catv01.itscom.jp]
| Funさん、ごめんなさい。もうひとつの質問の方にお答えするのを忘れておりました。
>もう一つ、加古沢が学校と教育に関してぶった一説は、山本さん自身の考えがどれぐらい入ってるものなのでしょうか?(色々考えさせられる「言葉」でしたので)。
学校と教育に関するくだりは、僕が普段から考えてたことを、ちょっと過激にアレンジして言わせてます。特に「独学は学校の授業より3倍も効率がいい」というのは、僕自身の体験から確かだと思っています。 加古沢のキャラクターは、最初は僕自身と同じようなことを言わせておいて、それをだんだん悪の方向にずらせてゆくという手法で創り上げていきました。僕自身が納得できないようなことを言わせても説得力ありませんから。 加古沢と僕の最大の違いは、あいつは読者の受けを取るためなら自分が信じていないテーマ(『仮想天球』や『時の振り子』など)でも平然と書けるということです。僕にはそれができません。
>で、これは質問ではなく、限りなく望み薄の希望なんですが…『仮想天球』と『時の振り子』をマジに読みたくて仕方ないです(笑)
いやー、僕は『ベアトリス&ポリー』シリーズが読みたくってしょうがない(笑)。絶対面白いと思うんだけどな、これ。 ちなみに『赤道の魔都』は一時、自分で書こうと思ってた話で、そのための歴史考証(ブラヴァツキーとウォーレスが同じ時期に南米に行ってたこととか)なんかもちょっとだけやったことがあるんですが、結局、僕の手に余る内容だと判断して断念しました。加古沢は僕よりもずっと頭がいいから、あいつなら書けるだろうと。 『時の振り子』もかなりの知識と筆力を要求される話で、加古沢ぐらいの天才でないと書けないでしょうね。 あと、『ふにふにコンタクト』がやってみたいです!(笑) |
No.15457 - 2003/11/12(Wed) 12:35 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| やっと購入できました。一気に読んでしまいました。面白いのなんの!! 本当はじっくり読むべき作品なんでしょうけ。というのは、膨大な事例が引用されているんですが、これのどこまでが事実でどこからが作者の創作なのか、知識がないのでかなり混乱しましたから。いきなり「サールの悪魔」が出てきたと思ったら、「ウエップの網目」って、なに? 膨大な知識や資料が消化されて、見事な話に仕上がっていると思います。 「パイオニア減速問題」とか、『その手があったか!』とうならせる設定が盛りだくさん。アニメネタとか、『分かる人だけ受けてください』(たぶん、私も分からないネタが沢山あると思うけど) もあって、そっちからも楽しめました。 で、個人的に気になったのは社会の変化。 経済予想にはかなり無理があると思うのですが、まあ、現在の経済ってのは「神の見えざる手」の時代より遙かに複雑怪奇で、本職の経済学者だって予測をバンバン外してますから、デノミも含めて、こういう不況がことが起こらないとは言えない。 で、それを頭のいい加古沢が利用して自分の思う社会を作り上げていく課程は理解できます。 問題は直接民主制。国民の意見がダイレクトに繁栄される政治で『誰もが戦争を望んでいない』状況、にもかかわらず勃発してしまう戦争。たぶんに偶発的だとはいえ、ちょっと無理があるんじゃないかと思いました。 まあ、大した問題じゃないかもしれませんが。サイレント・レヴォリューションには大和田氏が異論をはさんでますし。 そう、一つの考え方があり、それに反対の論も筋道立てて説明する。この平衡感覚が気に入りました。作者は知識があるだけじゃなく、ものをよく考えていると感服しました。 人物がまた魅力的。特に大和田氏と優歌がいい。 気に入らないのは『九州弁が出て』しまうこと。だからー、そんな方言ないって! 他の事件は地名が明記されてるのに、出身地だけが九州北部としか記されていないのは、やはり台風被害が生々しいから? まだまだ書きたいことは多いのですが、既に長くなっているのでここまでとします。 追記 近所の本屋にも入荷しました。表紙を前にして棚に並べるのは何というんですか、話題の新刊のコーナーにおいていました。山田某氏の新刊はその下に積まれていました。何となく優越感 |
No.15464 - 2003/11/12(Wed) 15:02 [p5236-ipad02oomichi.oita.ocn.ne.jp]
| 只今「神は沈黙せず」を読了いたしました。 冬コミの原稿が終わるまで読もうにも読めない状態だったのですが・・・
ああっ! ようやくこのスレを読むことが出来た!(笑)
他の方も書かれていますが、久し振りに「論理と検証で展開するSF」を読んだ気がします。 就寝する際、暗い部屋の中で「読後の興奮」と「少し怖い想像」を覚えてしまい、 恥ずかしい話ですがしばらく寝れませんでした。 それほど印象に残り、面白い作品であると他の人にも自信を持ってオススメできる内容だと思います。
ただ、ちょっとだけ(本当にちょっとだけ)不満を述べさせてもらえれば・・・ 「妖魔夜行/戦慄のミレニアム」にあった記述(「空飛ぶ帆船」や「空の戦闘」の件り)と ほぼ同じ説明部分が「神は沈黙せず」にもありますよね。 両方読んでるファンとしては、ちょっと文章を変えて欲しかったなぁ・・・と。 ものすごい些細な不満で申し訳ないですが(こんな事気にするのは私ぐらいな者でしょうし・・・)。
そう云えば「●●●●●・●●●●」は「シリアル エクスペリメンツ レイン」という アニメでも、同じような概念がチラッと冒頭の説明に出てきましたね。 こちらの方は御覧になった事はあるんでしょうか? |
No.15466 - 2003/11/12(Wed) 16:01 [YGNfi-01p2-188.ppp11.odn.ad.jp]
| ●山本先生
>特に「独学は学校の授業より3倍も効率がいい」というのは、僕自身の体験から確かだと思っています。
一応、教育関係者なもので、反論というか、補足をさせてもらいます。
「独学」のメリットは、「自分の意志とペースで、自分の興味を持ったことを自由に勉強できる」ことですね。 「意志と興味があれば、勉強の能率アップ」は、ぼくも否定しませんので、山本先生の体験はそのとおりだと思います。
ただ、「独学」には以下のデメリットもあるので、万人に推奨するのは危険だと考えます。
1.意志の弱い人や、好奇心・知識への興味の薄い人は続かない。 2.勉強内容が、自分の関心ある分野に偏りがち。 3.「他人から教わる」「自分の意見を他人に示す」という過程を通じてのコミュニケーション能力が育たない。
以上、3点のデメリットを考えると、「教育機関」の役割を否定するのはどうか、と考えます。 とりわけ小中学校の義務教育はおろそかにできないでしょう。基礎教養がなければ、独学もできないってことで。
一応、「学校教育は広く浅く」「独学はせまく深く」かなあ、と考えますが、 「ある分野で、自分より知識のある人から話を聞いて教わる」のは、「独学では得られない醍醐味」でしょうね。自分にとっては、この掲示板がそういう場所になっていたりもするし。 |
No.15471 - 2003/11/14(Fri) 14:01 [hccd37dcd1c.bai.ne.jp]
| 北長六功さん、こんにちは。
> 気に入らないのは『九州弁が出て』しまうこと。だからー、そんな方言ないって! 他の事件は地名が明記されてるのに、出身地だけが九州北部としか記されていないのは、やはり台風被害が生々しいから?
そうです。あの災害は実際にあったものであるうえ、描写がショッキングなので、具体的に地名まで出してしまうと、もし偶然に同じ土地で被災した方が読まれたら不快に感じられるかもしれないと思い、わざと場所をぼかしました。 なお、方言で喋るシーンについては、僕が標準語で書いた原稿を清松みゆきに頼んで直してもらいました。
砂上城さん、こんにちは。
>「妖魔夜行/戦慄のミレニアム」にあった記述(「空飛ぶ帆船」や「空の戦闘」の件り)と >ほぼ同じ説明部分が「神は沈黙せず」にもありますよね。 >両方読んでるファンとしては、ちょっと文章を変えて欲しかったなぁ・・・と。
確かにその通りです。それだけじゃなく、超能力についての解説は、「穢された翼」とかなり重複しています。でも、書かなかった場合、片方だけしか読んでない読者にとっては不親切になりますし……難しいところです。 ちょっと解説しておきますと、『神は沈黙せず』の執筆を開始したのは1999年の初頭。途中で何度か中断し、結局、書き上げるのに4年かかりました。その間に書いたのが「穢された翼」と『戦慄のミレニアム』。つまり、もともと『神は沈黙せず』のために読んだ資料を、『妖魔夜行』にも流用したという色合いが強いです。 ストーリーやテーマにしても、2000年の時点ですでに『神は沈黙せず』のラストの構想はできていました。それを先に『戦慄のミレニアム』のバレンタイン牧師の言葉として使っちゃったので、『戦慄のミレニアム』を先に読んでいた人は「またか」と思われたでしょう。まあ、僕としてはこれが最終結論だと思うので、あえて変える必要はないと思いました。2回ぐらいだったら許してもらえるだろうと(さすがに3回やったら顰蹙だろうから、もうやりませんけど)。
>そう云えば「●●●●●・●●●●」は「シリアル エクスペリメンツ レイン」という >アニメでも、同じような概念がチラッと冒頭の説明に出てきましたね。 >こちらの方は御覧になった事はあるんでしょうか?
2回ぐらいしか観たことありません。どうもあの手の暗いアニメは苦手なもので。 冒頭の説明……すみません、記憶にないです。たぶん、僕が参考にした本と元ネタが同じなんでしょう。 |
No.15472 - 2003/11/14(Fri) 14:33 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| 今ごろになって読みました、 さすがですね、面白いです、良く出来ています。 ハードカバーに関してはハードカバーで良かったと思います。 それぐらいの内容ありました。
でも、ちょっとだけ 政治経済問題に関しては専門家にお手伝いをお願いすべきでは? 所得税の税収が0になったぐらいで倒れるほど国家はヤワじゃありませんよ。 消費税も納税拒否したんでしょうか?
それと、官僚社会が加古沢に対して何らかの攻撃をしなかったのは 不自然な気もしましたが
>サイレントレボリューションに同調した主要企業は『税務署を敵に回して、所得税の不払いを宣言』 これに関しては合法的に行う方法が存在します。 社員と雇用関係を解消して業務依託関係になってしまうのです つまり、企業と社員が源泉徴収の義務を負わない関係になってしまう 今まで所得税として計上していた物はそのまま社員に支払ってしまい 所得税は社員の皆様、各自で申告してくださいとしてしまう。 各自はさらに諸経費を計上して見た目上の所得を0にします。 1億人が所得0新円で申告に来られたら税務署の対応能力を超えるでしょう 納税拒否する大企業数百社に対して強制執行することは出来ても 1億人に強制執行は出来ないでしょうから。
ただし、私が税金を集める側の幹部なら見せしめに 加古沢を個人攻撃します 加古沢を脱税で逮捕して投獄してしまいます。 もっと卑怯な手段なんでも有りなら抹殺することすら可能です。 |
No.15488 - 2003/11/15(Sat) 19:14 [PPPa98.saitama-ip.dti.ne.jp]
| >>亜留間 次郎さま
>これに関しては合法的に行う方法が存在します。 >社員と雇用関係を解消して業務依託関係になってしまうのです。
これはわたしも考えました。 要するに全国のサラリーマンが、会社に対して契約によって業務委託を受ける下請け企業化してしまえば良い(納税者=徴収義務者になる)わけです。 が、長期雇用の正社員を前提とした日本の企業の雇用形態が完全に代わってしまうわけですからら、退職金とか企業年金とかこれまで企業におんぶにだっこしていた部分も変わってしまいます。 日本が大不況から立ち直る過程で、正社員がほとんどいなくなり契約社員化するプロセスを延長して「1990年代末から顕在化していた現象だが・・・・」と少し詳しく書き込めば、なんとか読者を誤魔化せるのではないかと思います。優歌の兄貴とか、優歌を育ててくれた伯父夫婦の話として触れたらいいのでは? (伯父夫婦の話が途中から全然出てこなくなるのが、不満なもので)
>ただし、私が税金を集める側の幹部なら見せしめに >加古沢を個人攻撃します。
実は読んでいる間中、ずっとこのことが頭から離れませんでした。 「政府がその気になれば、オフィス加古沢の法人税が過少申告されていたと称して、税務署から脱税容疑で査察入れれば、簡単に加古沢の活動を妨害できるよなあ」と思いながら読んでました。私が政府の人間だったら絶対そうします。 オフィス加古沢のサーバーやパソコンやらを捜査資料として押収してしまえば、何もネット活動できなくなるし、それを予想して加古沢がよそにバックアップのサーバを確保していたのなら、「事務所の帳簿に記載されていない隠れ資産があった」として本人の逮捕に踏み切ってしまいます。もちろん、帳簿に載っていたとして不慣れな捜査員が「たまたま」見落としていて、半年経ってから間違いに気づいて当局は遺憾なミスをがあったことを陳謝するわけですが。 オフィス加古沢の社員(元社員でも可)の一人を薬物取締法違反で検挙することとか、いろいろ汚い手はあると思いますが、それらに対して加古沢が有効な防御手段を打っている気配がしないのがちょっと残念ですね。
|
No.15489 - 2003/11/15(Sat) 22:53 [acykhm027138.adsl.ppp.infoweb.ne.jp]
| http://webmagazine.gentosha.co.jp/otsuichi/otsuichi.html 人気作家乙一さんが日記にて神は沈黙せずについて言及していました。 |
No.15492 - 2003/11/16(Sun) 01:09 [x066069.ppp.dion.ne.jp]
| もしも、世界が加古沢の考えどおりなら 神にセーブされた人間はロードされるとどうなっているんでしょう? それって、紺碧の艦隊の世界か? 前世の記憶の正体は神のセーブデータ? |
No.15519 - 2003/11/17(Mon) 18:30 [AIRH03276025.ppp.infoweb.ne.jp]
| 亜留間次郎様 >神にセーブされた人間はロードされるとどうなっているんでしょう? 「ルパンvs複製人間」。マモーの屋敷みたいに、廊下をヒトラーなんかが歩いてるのかと思ってました。マモーは神を名乗ってたし(笑)。 山本様 いささか無礼な書き込みにもかかわらず、丁寧にご返答頂きありがとうございます。 調子に乗って、もう一つお教え願えないでしょうか? 以下、やむを得ずネタバレ含みます。未読の方、ご注意。 大和田氏は魂が存在するのかを確かめるため、当人しか知り得ない情報を死後に知ることが出来るか、という手法を使いました。 なるほど、他界した妻がパスワードを大和田氏に伝えたら、死後に魂が存在する証明にはなるでしょう。 しかし、伝わらないからといって、魂が存在しない証明にはならないでですよね。作中でも大和田氏は何年も結論が出せなかった訳だし。 優歌に死後の自分がパスワードを伝えることが出来るかどうかを託すのはいいとしても、期限を2週間とする根拠は希薄ではないでしょうか? 大和田氏の幽霊が何も語らなかったからと云っても、たまたまということもあり得るわけで、魂が存在しない証明にはならないと思います。 魂が存在するかどうか、証明する手段はあるのでしょうか? 私としては、アジモフ博士のように「死んだら消えてしまう」を支持したいのですが、それを証明する手段を持ちません。 |
No.15539 - 2003/11/18(Tue) 23:21 [p5246-ipad05oomichi.oita.ocn.ne.jp]
| 昨日、電車の中で読み続けていた「神は沈黙せず」、やっと読み終わりました。読後の余韻に浸りながらの帰宅でした。「ありえそうな話」から「ありえない話」へ飛躍していくその課程が丁寧に描かれていていること、前向きなラストなど言いたいことはいろいろありますが、ひとこと、
「面白かった」
です。
ところで山本先生に質問です。劇中に「木崎一磨(きざき・かずまろ)」という人物がちょっとだけ出てきますが、表記としてはこれで正しいのでしょうか?
私の本名が「一磨(かずま)」で、表記・呼ばれ方両方において、初対面の方には高確率で「一麿(かずまろ)」と間違われた経験をもつので気になった次第です。 ほかの方に比べるととるに足らない質問ですがご回答願います。
PS:ところで「木崎カズマ(和馬)」だと、確か市川裕文氏の漫画「混淆世界ボルドー」の主人公の名前だったような… |
No.15546 - 2003/11/19(Wed) 13:32 [P219108006189.ppp.prin.ne.jp]
| はじめまして。 「神は沈黙せず」大変楽しく読ませていただきました。
ただ、疑問に思ったことがあったので、質問させていただけますか?
果たして良輔の仮説は証明されたのでしょうか? おそらく自分 で行ったシミュレーションの結果から仮説を思いついたと思うの ですが、それは単に「矛盾無しで説明できる」というレベルのも のでしかなく、それは加古沢の信じていた「仮説」とレベルの差 は無いような気がするのですが。
それどころか、なんせ超常現象が日常化している世界ですから、 他の宗教やオカルト信者の説だって、同じレベルで「無矛盾」と いえる物があってもおかしくないような気がします。
そもそも、あの世界の中の住人である良輔が、あの仮説を証明す る術が存在するのでしょうか?
私は何故か加古沢に感情移入して読んでしまったため、クライ マックスでの加古沢のあきらめの良さがどうしても納得できず、 こんな疑問が湧いてきてしまいました。
ご返答いただけると、光栄です。 これからも頑張ってくださ い。 |
No.15553 - 2003/11/19(Wed) 23:51 [nthkid019043.hkid.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp]
| こんばんは。流星です。 「神は沈黙せず」、読了いたしました。近所の本屋に殆どハードカバー小説が置いていないため、取り寄せと言う形になりましたが、注文の翌日に到着。最近の本屋さんは仕事が速いです。
直接手で取って中身を確かめられないため、ネットで書評を調べてみたのですが、絶賛しているところが多く、また一方では酷評もありました。これを読むとなおさら期待が涌いてきたのです。万人受けする小説より、賛否両論分かれるもののほうが、はまると抜け出せない良作が多いもので。
結論から言って、大正解でした。二千円の(学生にとっては)大金を払ってなおも釣りが来る内容でした。
今日、この本を手にとってまず思ったのは「作文用紙1300枚というのは、この程度の厚さなのか」ということです。これなら普通の「大長編」レベルで、今日1日でも読めると。 かくして、お気に入りのフォーク・ソングのCDをBGMに(その中には「帰って来たヨッパライ」もありました)、珈琲を啜りながら、3時間近い至福の時を過ごさせて頂きました。
本を開いてまず驚いたのは、最初の膨大な薀蓄。そこだけ見れば啓蒙書と思ってしまうほどです。その情報の波に翻弄されたのです。 今その狙いを考えてみると、実に見事と言わざるを得ません。「小説のような奇妙なトンデモ実話」の嵐が、その後のフィクションとしての超常現象に、違和感を感じさせないのです。 そしてもう一つ、あれだけの情報量ですから、実話と虚構の区別がつきづらい。これは、小説として読んでいなければ、すべて事実と信じてしまったかもしれないほどです。 思えば、小説というのも一つの仮想世界であると言えますし、その内容は小説家の頭の中で行われたシミュレーションの記録、とも言えます。そのシミュレーションと現実の境界が、ちょうどその間に位置する奇妙なトンデモ談により曖昧になり、私は素直に小説というシミュレーションの世界に入っていけたのです。
そして本編では、「この世界は神のシミュレーションだった」という(劇中人物にとっての)劇的な真相を迎えます。わざわざ「劇中人物にとっての」と書いたのは、現在の私達にとっては、これは既に陳腐なネタだからです。たとえSFファンでなくとも、「ループ」「マトリックス」の2つくらいは、多くの人が頭に浮かべるのではないでしょうか。 そして私が思ったのは「ループ」です。そう。これはあまりに「ループ」そのままです。そう……そのまますぎる。 その時、逆説的な考え方ですが、私は思ったのです。 「この『ループ』との奇妙な一致は偶然ではない。おそらくはそれを踏まえて、それ以上のものを用意している……第一、まだ中盤だし」 大正解でした。 加古沢の思想が「ループ」的な世界観にのっとったものでありましたが、優歌はそれを明確に否定してみせたのです。そしてそれは私に快哉を叫ばせました。 思えば、この手の小説は今まで、「ヒト」を中心に見ていました。だからこそ、「人間観察が目的」などという結論が多かった訳です。それは1つの思いあがりでしょうが、しかし殆どがそうです。 良輔が失望したのも良く分かります。ヒトが欲する神は「ヒト」のため、もっと言うなら「自分のため」の神であろうからです。現世利益や、あるいは死後の安寧を謳う宗教が強いのは、その証左でありましょう。究極的には「自分」にたどり付く。 そしてこの物語は「神の前でヒトはあまりに卑小である」という古くからの命題を、あまりに残酷な形で示した訳です。
もう1つ……私が凄いと思ったのは、あくまでこれが「人間」の物語であることです。この手の小説では、「神へのアプローチ」がテーマとなる事が多いです。それをしないで、あえて「神の実証とシュミレーションであることを知った人々の行動」に徹した(もっとも、最後のオチを考えれば、それが必然であるわけですが)のは、素晴らしいと思いました。 神があっても世界がシュミレーションでも、日常は進行する。その日常の変容を描くのは、「世界」とか大きいものばかり追求する小説を読み慣れた身には新鮮でした。これは一種のパニック小説(極限状態において露出する人間性の追及)とも言えると思います。
キャラとして好きなのは葉月ですが、物語の構成部分として秀逸だと思うのは加古沢です。「一見正しそうに見えて、どこかひっかっかる」という彼の論理。それが彼と言うキャラクターの本質を表し、また物語の重要な要素となっていると思います。
さて、 >「いくら世界の名作であっても、自分にとって面白くなければ価値はない!」 >「読んで楽しくない作品からは何も身につかない!」 >「自分に正直になれ! 読む気のないものを無理に読むことはない!」 という事を山本様ご自身が仰っておられるのであえて言うのですが、私は「ハードSF」というのが苦手です。 私は岩波文庫や新書が大好きで、古典名作もよく読みます(最近読んだ中では新渡戸稲造の「武士道」が良かったです)。でも、スニーカーやファンタジア、電撃などのラノベも同じくらい好きです。南京虐殺関連の本もかなり読みました。図書館の係の人に「全く違う人が借りてるみたいな節操の無さだ」と言われたほどです。 でもその一方で、直木賞を取るような作品は、わりと性に合わないらしく、文芸作品というものはほとんど読んでません。ハードSFも、相対性理論などをうまくごまかす楽しみ……というものには殆ど関心がなく、故に読んでいません。なぜなら、小説や読書はやはり「娯楽」で、嫌いなものを無理に読む必要はないと思うからです。
でも、「SF」そのものは嫌いでないのです。むしろ好きです。それは多分子供の頃の体験が影響しているのでしょう。 もう題名は忘れてしまいましたが、発想が実に大胆な作品が多々ありました。宇宙人の大船団による「宇宙震」の話。液体そのものが知性を持っているエイリアンの話。絶対〇度になると人体が分子サイズに分解されてしまうという話(ンな馬鹿な!)。そう言えば「レンズマン」なんてのも中学生の頃夢中になって読みました。 私が好きなのは、難しい数式の穴を突くSFではなく、この大胆な「SF的発想」なのです。最近読んだSFには、どうもこの手の大胆さと言うか、「進歩した科学は魔法と区別がつかない」ような作品が少なかったのです。 だからこそ、サイバーナイトを読んだ時に、私は喜んだのです。そこに出て来る数々のネタは、まさに私が子供の頃熱中したSF,科学と言う夢物語だったからです。小学生の頃と同じように私は、クローンとの対決や異なる価値観を持つ者とのコンタクト、そしてエンターナに心躍らせたのです。 そして「神は沈黙せず」で、私はそれを超える興奮を味わうことができました。「不条理」という疑問が、「ヒト」という発想を越えて、そして最後には「ヒト」に回帰するラストが、私を心行くまで楽しませてくれました。個人的にベストと思っていた「ビンセント・ホフマンシリーズ」「ギャラクシートリッパー美葉シリーズ」を超えたと思います。
良作を頂き、本当にありがとうございました。 |
No.15555 - 2003/11/20(Thu) 01:21 [ntibrk049161.ibrk.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp]
| 亜留間次郎さん、こんにちは。
> もしも、世界が加古沢の考えどおりなら >神にセーブされた人間はロードされるとどうなっているんでしょう?
仮にそうだとすると、空白の世界にロードするだけじゃ、面白くも何ともない。その人間にオリジナリティのある行動を発揮させるようなフィールドを設定するのではないでしょうか。 たとえば、マシュー・ホプキンスを天国で再生するとしたら、彼の犠牲になる娘たちも用意してやって、毎日毎日、好きなように拷問させてやるとか……ああっ、天国なんだか地獄なんだかよく分からん!(^^;) 加古沢の場合はどうなんでしょうね。小説家と医者は、天国でやることなさそうですが……。
おずまろさん、こんにちは。
>ところで山本先生に質問です。劇中に「木崎一磨(きざき・かずまろ)」という人物がちょっとだけ出てきますが、表記としてはこれで正しいのでしょうか?
どんなルビつけるかで編集者から「かずま」と「かずまろ」の両方を提示されて、「うーん、やっぱり『かずまろ』かな」と思ったのですが、だめでしょうか? 我が子に変わった読み方の名前をつける親はいくらでもいるんで、「かずまろ」と読ませる親もいていいと思うんですが。
北長六功さん、こんにちは。
> 大和田氏の幽霊が何も語らなかったからと云っても、たまたまということもあり得るわけで、魂が存在しない証明にはならないと思います。 > 魂が存在するかどうか、証明する手段はあるのでしょうか?
まったくその通りです。厳密には「魂が存在しない証明」はできません。 同様に、「ネッシーが存在しない証明」「宇宙人が地球に来ていない証明」「神が存在しない証明」もできません。今のところ「宇宙が半径1光年のプラネタリウムではない証明」も「この世界がコンピュータ・シミュレーションではないという証明」もできません。とりあえず「そうだという証拠はない」ということぐらいしか言えないんです。だからその気になれば無限に結論を先送りできます。 でも、結論をいつまでも引き延ばすのも不誠実です。いつかは決着をつけなくてはいけない。「ない」と言い切るかどうかは、論理的に導かれた結論というより、その人の決意しだいでしょう。大和田氏はその決意をしたわけですね。
こやさん、こんにちは。
>果たして良輔の仮説は証明されたのでしょうか? おそらく自分 >で行ったシミュレーションの結果から仮説を思いついたと思うの >ですが、それは単に「矛盾無しで説明できる」というレベルのも >のでしかなく、それは加古沢の信じていた「仮説」とレベルの差 >は無いような気がするのですが。
これも先の説明と同じく、厳密には証明されたわけではありません。しかし、プロローグでも言っているように、他にもたくさんある説に比べて、この説だけが矛盾がなく、事実に合う。だから信憑性が高いということなんです。 一般相対性理論にしても、他にライバル理論はいくつもありました。ブランス-ディッケの理論とかホワイトヘッドの理論とか。しかし、それらはみんな観測事実に合わなかったので敗退しました。結局、矛盾がなくて観測事実に合うアインシュタインの理論が生き残ったのです。 だから、最終的に科学の世界で良輔の仮説が受け入れられる可能性は高いと思います。それを宗教界が受け入れるかどうかは、別問題ですが。 |
No.15562 - 2003/11/20(Thu) 15:42 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| 山本先生、レスありがとうございます。
>どんなルビつけるかで編集者から「かずま」と「かずまろ」の両方を提示されて、「うーん、やっぱり『かずまろ』かな」と思ったのですが、だめでしょうか?
誤植でなく、山本先生の意図どおりでしたら問題ありません。「磨」でも「まろ」と読ませることがあるのはわかっていますし、人名はどんな読みでも登録可能なのは知っていますので。これで一安心です。
>我が子に変わった読み方の名前をつける親はいくらでもいるんで、「かずまろ」と読ませる親もいていいと思うんですが。
実在の名前で騎士(ないと)とかいましたね。『こち亀』の電極十(ぷらす)、一(まいなす)兄弟も理屈の上では可能だったりするわけで(もっとも役所が許可するかが問題ですが)。 |
No.15568 - 2003/11/21(Fri) 01:57 [218.231.136.223.eo.eaccess.ne.jp]
| 私の後輩で、当て字で「アトム」と読ませる人がいますが、まあそれはともかく。
前回は興奮そのままに愚文書き連ねて申し訳ありませんでした。折角の機会ですので、二点ほどお答えいただければ幸いです。
まず、クライマックスでのヨブ記の解釈について。あれは一般には「異説」とされているようです。それをあえてクライマックスに持って来たのは、 「こちらの説のほうが正しいと思った」 「トンデモ説だと思ったが、物語の道具立てとしてあえて採用した」 のどちらなのでしょうか。
それともう一つ、「神は沈黙せず」の続編を出す御予定はおありでしょうか。
以上2点、お答え頂ければ幸いです。 |
No.15587 - 2003/11/23(Sun) 00:16 [ntibrk049161.ibrk.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp]
| 喜び組ども、これが現実だ。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/books/4048734792/customer-reviews/ref=cm_cr_dp_2_1/249-5855750-7521940
褒め称えてるのは信者だけ、誰も参考にしてない。 そもそも本屋で見たこと無い。現実を直視すべきだな。 |
No.15588 - 2003/11/23(Sun) 01:41 [la-ce2.lausd.net]
| 通販で頼んだのが先日来て、今朝読み終わりました。小説を読みなれてない自分でも、先が気になってぐいぐい引き込まされてしまいました(^^)。すごい面白かったです。
それと序盤の校長先生のくだりは以前、特別室の方の掲示板での議論が異常に白熱してた時にアップされたものでしたよね。あんな所でこの作品の要所が読めたなんてラッキーでした。 |
No.15590 - 2003/11/23(Sun) 01:59 [r223202.ap.plala.or.jp]
| ゲームライターの野安ゆきお氏の日記で『神は沈黙せず』が紹介されていました。 ふだんはミステリーしか紹介されないのですが、コンシューマーゲームが重要な作品だったからでしょうか。 http://plaza18.mbn.or.jp/~noyasu/ |
No.15591 - 2003/11/23(Sun) 05:56 [ca9d61-031.tiki.ne.jp]
| 流星さん、こんにちは。
> まず、クライマックスでのヨブ記の解釈について。あれは一般には「異説」とされているようです。それをあえてクライマックスに持って来たのは、 >「こちらの説のほうが正しいと思った」 >「トンデモ説だと思ったが、物語の道具立てとしてあえて採用した」 >のどちらなのでしょうか。
僕はヘブライ語はさっぱり分からないので、マイルズの説が正しいかどうかは判断できません。「私自身を」という箇所が原文にない、というのは本当らしいですが。 『ヨブ記』の解釈について、他にも何冊も本を読みましたが、どれも納得できるものではありませんでした。英訳や日本語訳を元に論じる人や、7章に出てくる牧師のような解釈をする人が多いんです。唯一、マイルズの説だけが納得できたので、それをさらに自分なりに拡大解釈してラストに持ってこようと思いました。 『ヨブ記』の解釈は他にもいろいろと可能です。たとえば、物語の外枠(最初と結末)を構成する散文の部分は、本文とは別の作者によって書かれたように見えます。外枠は本文を補うために後からつけ加えられたのか、あるいは外枠の物語が最初にあって、それに挿入する形で本文が書かれたのか。どちらの解釈を採用するかで、読み方がまったく変わってきます。
>それともう一つ、「神は沈黙せず」の続編を出す御予定はおありでしょうか。
絶対にありません! あの結末に何をつけ加えても蛇足になるだけです(エピローグをつけるという構想もあったんですが、結局、やめにしました)。 それに、こんな手間のかかる小説、二度とごめんです(笑)。コストパフォーマンス、悪すぎますもん。 続編だったら、まず『サーラ』と『ウェンズデイ』書かなきゃ。 |
No.15592 - 2003/11/23(Sun) 11:17 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| 普段ROMのnWo検校です。 沈んでいるスレッドですが、今日読み終わりましたのでカキコします。 感想を最初に言えば「充分に面白かった」です。割と見慣れた世界観から徐々に異形の世界にシフトしていく様は読みながら何度もニヤリとさせられました。 しかしながら「世界の真実の姿」は予想範囲内だった事もあって、ミステリーの如く最後に全てをコロンとひっくり返してくれたらな、とは思いました。(経済関係の描写については何度も言及されていますので割愛します) 質問としては ・参考文献の『ウルトラQ伝説』はどの部分の参考ですか? ・表紙は大変分かりやすいんですが裏表紙の「土塊で出来た十字架」には何か意味があるのですか?
あと書き間違いかな?とも思うのですが ・『人工無能(P371)』と『人工無脳(P163)』の使い分けについて ・P303『生保も国民保険も~』は『国保も国民保険も~』では? 生命保険は老後の備えの為に入るんじゃないですし。 ……です。 よろしくお願いします。 |
No.15910 - 2003/12/13(Sat) 22:25 [210-194-166-165.home.ne.jp]
| >山本さん。
超遅レスで申し訳ありません。いくらなんでももうネタバレしても大丈夫だろうと思うので(苦笑)以前した話についての続きを書かせていただきます。
>「物質電送機で受信機の側で再生された人間は、送信機に入って分解された人間と >同一人物か否か?」
半分はそうです。オリジナルが残るにせよ抹殺されるにせよ、バックアップから新規に再生された加古沢は果たして同一人物といえるのか(言えなかったら加古沢のやっていることはまったく的外れになってしまいます)という問題が一つ。 そして残り半分は
「果たして加古沢の仮説が完全に正しかったとして、セーブされるのは彼一人だけなのか?」
という問題です。
生物種としての『ヒト』は(一応)単独で存在しえますが、『人間』はあくまで関係性に依存した存在であり、周囲の世界とのかかわり無しに自己同一性を保つことはできないとわたしは考えています。また、実際のゲームやシミュレーションで考えてみても、セーブされるのは常に『環境全体』であり、特定のファクターのみがセーブされるということはありません(MMORPGについては話がややこしくなるのでとりあえず割愛します)。 これはつまり、キャラクターは単独では意味を持ちえず、周囲の世界とセットで初めてそのキャラクター足りえるということを意味しています。 となると……。
「加古沢の仮説が正しいとしても、セーブされるのは彼ではなく『太陽系全体』である」
という可能性もある訳で……これじゃ意味ないやん、という(苦笑)。 まあ自分だけがセーブされて他の世界に投入されることを考えていたのかも知れませんが、果たして『日本語の存在しない世界』で彼に一体何ができるでしょうか?(^^;;
とまあこんなことを考えてしまったので、加古沢の『セーブもされないボンクラ』という科白を見た瞬間「こ、こいつここまで頭悪かったっけ?!」とそれまでの彼に対するイメージがガラガラと……(苦笑)。 |
No.15911 - 2003/12/13(Sat) 22:58 [zaqd378a5dc.zaq.ne.jp]
| 大変面白く読ませて頂きました。友人は、星雲賞は取れないだろうとか言ってましたが。問題は蘊蓄についてらしいので、アシモフの科学エッセイや、シルヴァーバーグの『地上から消えた動物たち』を読んだことのないSFファンには辛いのかも。 ところで、201ページに「ナビエ・ストークス方程式~分子一個一個の」という部分がありますが、ナビエ・ストークスは連続体力学の方程式で、分子一個一個をシミュレーションするのはMD法(分子動力学法)のような離散系のシミュレーションではないでしょうか。 また、ウェッブの網目については、電磁波の解像限界でちょっと引っかかりました。でもイメージとしては非常に面白いですね。逆ジョルダーノ・ブルーノ?という思想転換も素晴らしいと思います。 |
No.15917 - 2003/12/14(Sun) 12:01 [eatkyo183180.adsl.ppp.infoweb.ne.jp]
| 山本先生こんにちは。
> >それともう一つ、「神は沈黙せず」の続編を出す御予定はおありでしょうか。 > > 絶対にありません!
そうなんですか…。てっきり「アーフは沈黙せず」って 出るのかと。創造者に勝手されてたまるかってストーリー を予想してたんですが。 大作、楽しく読まさせてもらいました。 |
No.15927 - 2003/12/14(Sun) 21:19 [p6fa238.ngnont01.ap.so-net.ne.jp]
| nWo検校さん、こんにちは。
>・参考文献の『ウルトラQ伝説』はどの部分の参考ですか?
ははあ、それに気がつかれましたか。 えーとですね、実はある章に4ページに渡る隠しギャグが仕掛けてありまして、そのための参考資料なんです。ちなみに、まだそれをすべて解き明かした読者はいません。『ウルトラQ』本編を観ていることはもちろん、参考資料まで読んでないと分からないネタも含まれていますので。 なんで隠しギャグなんか入れたかというと、なんせシリアスで長い作品なもので、書いていて陰鬱でしょうがない。途中で書くのがつらくなってきて、気分転換に「いっちょここでお遊びでも入れてやれ!」と思ったわけです。もちろん、おふざけだということに読者が気づいたら作品の雰囲気が壊れてしまうので、わざと分からないようにしてあります。 別のページにある『宇宙鉄人キョーダイン』のパロディは、気がついた人がいるんですが。
>・表紙は大変分かりやすいんですが裏表紙の「土塊で出来た十字架」には何か意味があるのですか?
知りません(^^;)。
>あと書き間違いかな?とも思うのですが >・『人工無能(P371)』と『人工無脳(P163)』の使い分けについて
すみません、書き間違いです。
>・P303『生保も国民保険も~』は『国保も国民保険も~』では? 生命保険は老後の備えの為に入るんじゃないですし。
いちおう大手保険会社もいくつも破綻して、疾病障害保障や老後保障などを受け取れない人が増えている、という設定です。
あまね@大阪さん、こんちには。
> 生物種としての『ヒト』は(一応)単独で存在しえますが、『人間』はあくまで関係性に依存した存在であり、周囲の世界とのかかわり無しに自己同一性を保つことはできないとわたしは考えています。
加古沢にその発想はないでしょう。天才である彼は、自分が他人より絶対的に優れていると思い上がっており、世界のすべてを見下しています。他人からはすでに学ぶものはなく、自分という人間は他者との関係抜きに存在できると思っているのです。彼にとってのこの世界とは、捨て去っても悔いのないものなのです。
>また、実際のゲームやシミュレーションで考えてみても、セーブされるのは常に『環境全体』であり、特定のファクターのみがセーブされるということはありません
『ダーウィンズ・ガーデン』では、ゲーム途中の環境全体のファクターだけではなく、個々のアーフがセーブでき、それを用意したフィールドの上で遊ばせることができます。それが加古沢を惑わしています。『ダーウィンズ・ガーデン』のアナロジーにとらわれてしまっているんです。 彼が考えている死後の世界は、ファーマーの『リバーワールド』のような世界なのでしょう。 彼の結論は論理的に導かれたものではありません(本人は論理的だと思っているだけです)。彼のエリート意識、世界に対する侮蔑、それに永遠の生命への願望が生み出した妄想です。彼もまた「自分の信じたいものしか信じない」という枠を超えられなかったんです。
SHADO工作員への1号さん、こんにちは。
>問題は蘊蓄についてらしいので、アシモフの科学エッセイや、シルヴァーバーグの『地上から消えた動物たち』を読んだことのないSFファンには辛いのかも。
うーん、一見さんを拒否するような難解なハードSFが嫌なんで、科学用語や鍵となる概念にはすべて説明をつけたはずなんですが、それでも難しすぎますか?
>ところで、201ページに「ナビエ・ストークス方程式~分子一個一個の」という部分がありますが、ナビエ・ストークスは連続体力学の方程式で、分子一個一個をシミュレーションするのはMD法(分子動力学法)のような離散系のシミュレーションではないでしょうか。
すみません、そこは間違いですね。重版の時にでも訂正しておきます。 |
No.15944 - 2003/12/15(Mon) 14:44 [zaq3dc0692b.zaq.ne.jp]
| >うーん、一見さんを拒否するような難解なハードSFが嫌なんで、科学用語や鍵となる概念にはすべて説明をつけたはずなんですが、それでも難しすぎますか?
最近、知識欲というものは、権威の崩壊や不在に関係した特異な精神活動ではないかと思うようになりまして、7・80年代のSFブームは、敗戦・安保闘争といった権威の失墜がもたらした歴史的必然であり(^^;)、今は通常の状態に戻っただけなのではとかうねうねと考えたりしています。 そんなわけで、あまり良いことは言えないのですが、そこらに手軽な権威がごろごろしている時代に、明日使える無駄知識以外の、使えない知識(何らかの"目的"に沿わない知識)は必要ないと思っているんじゃないですか?難しいとかじゃなくて。少なくとも、件の友人と、彼がイメージしているSFファンはそうだと思います。 |
No.15954 - 2003/12/16(Tue) 01:51 [eatkyo233072.adsl.ppp.infoweb.ne.jp]
| 山本弘さん、こん××わ。
》 えーとですね、実はある章に4ページに渡る隠しギャグが仕掛けてありまして、そのための参考資料なんです。
なるほど、隠しギャグとは! パラパラ読み直してみましたが、分かりませんでした(そもそも『ウルトラQ伝説』って結構レアな本では……)。残念。
》知りません(^^;)。
分担としては装丁さんの分担ですしね(^^;)。 御返事、ありがとうございました。 |
No.16007 - 2003/12/20(Sat) 23:05 [210-194-166-165.home.ne.jp]
| 超・遅くなりましたが、ようやく読めました。予約してもなかなか入らず、ようやく手に入れ、その日に読了しました。いや~~、面白かったです。あまりSFを読む習慣はなかったのですが、こんなに面白いとは……。他のSFもチャレンジしてみよっかな♪ とりあえず、と学会関連書籍はほとんど読破していたので、更に面白さ倍増。「と」のエッセンスが濃縮されていて、学会ファンとしましては、読みながらいちいちうなずいたり、ニヤニヤしたり……
極々微量ですが、不満を感じたのは、やはり加古沢の真の目的です。あたかも神が『ダーウィンズ・ガーデン』の飛行生物をセーブしていた自分のように、優秀で個性的な人間をセーブすると信じこんでいたことです。あれだけ聡明な加古沢が、検証もナシに(って、なかなか出来ないだろうけど)そこで思考停止してしまったのが、ちと不満ですね。ブッダやキリストもセーブされてるって、なんかラエリアン・ムーヴメントみたいだな。やはりセーブされた者同士で抱擁しあうのだろうか?(笑) 彼はセーブデータが自分と同一であるかとか、ヒトとしての種がどうなるかとか、考えてなかったように思うのですが(思考停止しているから)。「神に選別される」ことを目的とした、究極の自己満足に浸るつもりだと。あ、でも「永遠の命」って言ってたし……どうなんでしょ?
超常現象研究家の大和田省二なる人物が、作中でかなり良い味を出し、良い仕事をしていたのですが、モデルとかあるのでしょうか? トンデモを研究している事と、名前から考えて「UFO特異日」のあの方かと思っていたのですが、どうも違うようで。もしかして、「トンデモ世紀末の大暴露(イーハトーヴ出版)」の前書きで紹介されてました 松居桃樓氏がモデルではないかと考えたのですが……? 同じトンデモを研究してはいても、反骨精神を持ち、大勢に流されず、それでいてヒューマンな姿勢を貫くところなど、共通点も多いと思うのですが。元教師との設定ですし。 間違っていたら、どもすみません。「黙示録の秘密」は、読んでみたいけど未読です(見つからん!)。
最後に、大変満足できる作品を、どうもありがとうございました。 |
No.16023 - 2003/12/21(Sun) 23:17 [pc3295.chukai.ne.jp]
| > 『神は沈黙せず』からは、遠藤周作の『沈黙』が当然に連想されますが、
先生は北都住宅公団の汚職事件とは関係ないようです。 「山本」違いでしたね。 |
No.16029 - 2003/12/22(Mon) 11:30 [p6fa238.ngnont01.ap.so-net.ne.jp] |