山本弘トンデモ資料展
「アイの物語」レビュー (3)
山本弘問題連絡会掲示板
山本作品を考える
- 255名無しさんsage: 2006/12/28(木) 21:04:40
- SFマガジン 2007年2月号に「アキバ・ロボット運動会&交流会」の話が載ってるので読んでみた。
書いてるのは山本本人なのかな。それとも活字に編集部がおこしたのか?
どうでもいいけど立花隆たちは対談で3人一緒なのに、なんで山本だけ単独なの?(笑
まあ内容的には、これを延々と目の前で語られたら退屈で寝ちゃうだろうな、と。
トンデモの話は煽りがそれなりに過激だからいいんだけど、SFの話はテンでダメですな、山本は。
いきなり、僕は今年「アイの物語」という作品を発表しました、と宣伝。
人間が海を生命のふるさとだと思うように、人間が描いてきたSFがアイビス(作中に出てくるロボット)たちの
ふるさとなんだということです…だそうです。
陳腐だ…別にそう思うのは自由だし否定もしないけれど、山本は気の利いたことを言っているつもりなんだろうか。
それならロケットだって飛行機だってみんなSFがふるさとだろう。そもそも人間が海をふるさとだと思うのだろうか?
まあ思う人もいるかもしれないが、それってなんか意図的に刷り込まれた情報じゃないのかなぁ。
科学啓蒙番組で繰り返し「生命の源=海」と繰り返されているための。
何かの本で手塚治虫のことをジャングル大帝を題材に「アフリカ=暗黒大陸」という凡庸な固定概念に
捕らわれ、そこから一歩も抜け出せない感性の持ち主、と批評していたが、これって山本にも当てはまると思うんだよね。
山本ってのは誰かが作り出した既成のイメージを一生懸命学んで、「ほら、僕ってこんなに勉強してるでしょ?
みんなも僕のように勉強しなよ」といってるようにいつも感じてしまう。
で、山本のいうところの「ロボット小説における萌の歴史」の講釈が始まるのだが、これって聞いてた人は
面白かったのだろうか?5ページに渡っていろんなSF作品が紹介されるのだが、読んでてちっとも面白くない。
漠然と作品を紹介してるだけで、全然テーマ性が感じられない。
「未來のイブ」…なんかごちゃごちゃと出てくるロボットの説明をしてるのだけど、
全然面白くないので要約する気も起きない。アンドロイドという言葉が初めて使われたのがこの作品とのこと。
頭に入ったのはこれだけ。なんか山本に作品紹介を書かれる作者に同情してしまう。
前にも言ったかもしれないけど山本ってのは作品紹介が下手だ。貶すのが得意な人間に褒めることを
やらせるのは間違い。
「メトロポリス」…これも何を紹介してるのかさっぱり分からない。この作品は映画で見て知ってるけど、
なんだかなぁ。全然作品の紹介にも出てくるロボットの紹介にもなってないんだよね。
人間に近い外見の時よりも、甲冑みたいな時の方がファンはみな好きですね、と。
このファンってのは山本の脳内ファン?(笑)
この辺単に女性型ロボットが出てくる作品を並べてるだけなんだよね。それ以上の意味はないから
山本も紹介のしようがないんだろう。まるで学校の退屈な授業のよう。会場の様子はどうだったのかなぁ。
なんか「期待倒れ」という雰囲気に満たされてたんじゃ…?
書いててつまらないので、やめ。
- 256名無しさんsage: 2006/12/28(木) 21:24:26
- んで、例によって山本の大好きなフレーム問題の話がひとしきりあって(この辺はパスパスパス)、ロボットの反乱の話に。
どうも山本は「ロボットが反乱を起こすのは人間が悪い」という考えの持ち主らしい。ロボットが人間に反乱するのは
人間が間違った命令を与えたり人間が必要以上にロボットを迫害するから、ロボットは仕方なしに反乱するのだ、と。
なんか自虐史観を連想してしまった(苦笑
まあそういう作品が多いのは事実だけがそれは人間の慢心に対する警鐘としてそういう作品が作られているからであって、
それをなんか歴史的事実と同レベルに置いて、ロボットの反乱は人間が原因である、という信念を持つのは
いかがなものか? ロボットが悪意に満ちて積極的に人間に反乱するような作品が沢山作られれば、山本は
ロボットの反乱はロボットに原因がある、と主張し始めるのだろうか?
なんか、山本がいう「人生に大事なことはSFから学んだ」という生き方の危うさを見た思いですな。
最後は、ロボットは人間と異なる価値観を持つ、という話。まあこれ自体は俺も同じ意見だが、
山本はそこからさらに人間はそういう異なる価値観の知的生命体をも受け入れ共存するようにならなければならないと説く。
これには俺は賛成できないね。
そもそもそういう段階に達したロボットにとって人間との共存が望みなのか疑わしい。
もちろんお互い共存を選択した方が得だと思えば共存に努めるだろう。人間もロボットも。
しかしロボットにとって人間との共存にメリットがあるかは、疑問。
実際人間は共存にさほどメリットのない生物をどんどん滅ぼしているわけで、
そういう行為を批判する意見でさえ「そんなことをしてると生態系が崩れ、*人間が*損をするよ」という
論法に過ぎない。つまり人間にとって大事なのはあくまで人間の都合なわけだ。
まあ人間が必要もないのに無害な生物を積極的に滅ぼすような無駄なことをしないように、
ロボットも人間が自分にとって無害なら積極的に滅ぼそうとはしないかもしれない。
しかし人間の活動が間接的に多くの生物を滅ぼすことになっているのは動かし難い事実であり、
同様にロボットが、その気がなくても、人間の活動を圧迫することはあるだろう。
そしてその場合、ロボットが特に人間を保護する必要を感じなければ人間が滅びるに任せておくというのはありそうなこと。
山本の言う「人間は自分とは異なる価値観を持つロボットを受け入れなければならない」という主張は、
圧倒的に人間が優位にあり弱者はロボットである現代および近未来でのみ成り立つことであって、
逆に人間が弱者となったら、そんなことは言ってられないと思うけどね。
人間が猿の惑星のような立場になった場合でも、人間は他の動物の命を尊重し共存するよう努力しなければならない、
とか言っていられるのだろうか。結局人間にとっては人間が大事であって、動物愛護もロボット保護も圧倒的な
優位性があってこそのもの。
その優位性をどう維持するか、あるいは優位性を必要なら捨て去る英断も辞さないか、という
シビアな思索が背景にあってこそ、ロボットを受け入れるべきというような脳天気な主張も意味があると思うんだけどね。
山本は無邪気すぎる。
- 257名無しさんsage: 2006/12/28(木) 21:32:57
- 現実を見ても、別に欧米はイスラム社会を滅ぼそうとは思っていない。
しかし欧米を中心とするグローバルスタンダードが地球を覆うにつれて、
イスラム圏の人間は自分達が圧迫されていると感じるのは否定できないだろう。
アメリカが自分達の都合の良い価値観をグローバルスタンダードだといって押しつけてくる
不快さは日本人でさえ感じるのだから、さらに文化的隔たりが大きいイスラム圏が
感じる不愉快さは想像を絶するだろう。
古くは白人が自分達に都合の良い法律を作り原住民を追いやっていったし、
身近なところでは熊が民家近くに出没して危険だから熊狩りをするというのも、
強者が自分達に都合のいいルールを決めて実行している例だ。
別に熊や原住民やイスラム社会に対して積極的な悪意はないが、強者が自分の
利益を中心に考えて行う行動が弱者を迫害していく。ロボットが社会的強者になった場合、
弱者である人間をロボットは自分達の活動よりも優先してくれるだろうか?
優先すべき理由があるだろうか?
理由があるとしたら…人間はロボットの生みの親だから敬わなければならない、
と教えるぐらいしかないと思うのだけどね。第1条)人間の不利益になることはしてはいけない…
- 258名無しさんsage: 2006/12/28(木) 21:38:01
- かたや山本の脳天気さには呆れるばかり。
地球上に人間以外の異質な生命体が近い将来生まれてくる。
僕らはそれと共存していくことを考えなければならないんです。
そうしないと反乱が起きてしまいます。ロボットは多分僕らよりも賢いでしょうから、
自分からは反乱を起こさないだろうと信じています。
この小学生か中学生レベルの脳天気さは何なんだろう。
人間は地球上の大抵の生物よりも賢いが、人間は多くの生物を滅ぼそうとしている。
別に人間は他の動物に対して反乱を起こしたわけではない。そうでなくても他の生物を
滅ぼしてしまうのだ。ロボットが反乱を起こさなくても、結果として人間が生き残るために
ロボットと人間が地球の覇権をかけて戦わなければならない日が来ない保証はない。
- 259名無しさんsage: 2006/12/28(木) 21:49:31
- 竹宮恵子の「アンドロメダストーリーズ」では正体不明のロボット(?)が突如惑星に降臨し、
惑星をどんどん機械化していく。ろくな科学文明も持たない平和に暮らしている住民は
それでも必死で抵抗するがほとんど絶望的な敗退を繰り返す。
そのロボットは特に惑星を侵略するとか悪意を持っているわけではない。単に惑星を
機械化しロボットで満たすことが「正しい」と思い善意でやっているだけなのだ。
ラストそのロボットの製造者が自分の宇宙船を体当たりさせてすっかり機械化されてしまった
惑星と共に自爆してしまう。しかしそのロボットは新たな「機械化すべき」惑星を求めて
自分のコピーを宇宙に放っていたのであった…
- 260名無しさんsage: 2006/12/29(金) 02:15:12
- あと印象に残ってるのは「銀色の恋人」の紹介部分かな。この作品では壊れたロボットと
降霊術で会話するらしい。つまりロボットにも霊魂がある、と。
まあ面白くはあるけれど、山本が「すごい」を連発するほどすごいかといえば、どうかなぁ。
たとえばアーサーCクラークは小説「2010年宇宙の旅」で「(コンピュータを含む)すべての知性体は
夢を見る」と述べている。実際に述べているのはHALの開発者のチャンドラ博士だが。
もっともこれが何を意味するのかは俺は疑問だけどね。HALの兄弟コンピュータであるSALを
使ってHALの動作異常の原因を探る過程で、SALの電源を切る実験をする。
SALは「私は夢を見るでしょうか?」と質問し、チャンドラ博士の上述の答えになるわけだ。
しかし電源を切るというのが一切の電源を切ることを意味するなら電子的な機能はすべて
停止してしまうわけで、それは人間でいえば「眠り」ではなく「死」の状態に近いはずだから、
夢も見ないと思うのだが。SALの電源を切るというのが人間の睡眠に近い状態、すなわち
高次の処理(意識)が停止していても、低レベルの処理(無意識)は機能している状態なら、
夢を見るかもしれないが…
ちなみにチャンドラ博士のセリフは「きっとHALの夢を見るだろう。私も見るんだ」と続く。
こうなると「愛」ですな(笑
ちなみに2010年の最後ではボーマン船長に続いてHALもスターチャイルドになってしまう。
クラークが人間であるボーマンとコンピュータであるHALを同列(知的生命体)に
置いているのが興味深い。
また古いけれど映画「マニトウ」ではコンピュータの精霊(?)の力を借りて悪霊を倒す。
マニトウとは精霊の事であり、この世の全ての事は精霊の力によって成されている。
ブランコが動くのもタイプライターが文字を打てるのもコンピュータが動くのも全て
精霊の力だそうな。で、悪霊とそれと対決する霊媒師(?)はそれぞれ自分の味方となる
精霊を呼び寄せるのだけど、どうしても悪霊の方に分がある。そこでコンピュータの
精霊なら我々の味方になるだろう、と病院のコンピュータをフル稼働させそれで
悪霊の力に対抗する。
実際、物理学は「なぜブランコが動くのか?」は説明できないわけで、それは精霊の力だと
言われてしまうと反論はできない。その意味でこの作品は理屈が通っていると思うね
(というのは冗談だがw)。
まあ結局、人間も機械の一種なわけで、その人間に「霊」があるなら、ロボットにも
霊があるというのは筋が通っていると思う。もちろんロボットに霊を認めてやるなら、
ブランコにも霊を認めざるを得ない。結局、すべてのモノには霊が宿っているという
事になってしまう。それが合理的な考え方だと思うね。人間だけが特別な生物である
というのは合理性を欠く。
まあ「霊」というのが思考のコピーだと考えれば、たとえばコンピュータならその記憶を
すべて移せば「たましい」をコピーできるし、高度な文明の持ち主なら人間の記憶を
外部にコピーすることも可能だろう。ボーマン船長やHALのスターチャイルド化は
そういうものだと俺は理解している。
「霊魂」も何らかの自然現象で人間の死亡直後の脳内の情報が何らかの対象に
コピーされると考えれば…。たとえば脳の電位の配置をそっくりそのままコピーするような
「場」のようなものがあり、それがランダムで自然発生し、たまたまそれに遭遇すると、
幽霊として機能するとか(笑
マンガ版キカイダーではビジンダーがロボットの電子頭脳に流れている電流を読み取ることで
読心術を使うし、逆に信号を送り込むことで自分に惚れさせたりしてたよな~。
そういえば山本は新造人間キャシャーンは取り上げているのに、キカイダーは取り上げてないんだよね。
なんでだ?嫌いなのか、SFだとは思ってないのか(笑
- 261名無しさんsage: 2006/12/29(金) 02:27:08
- それにしても山本は「ロボットが人間らしくなるとは限らない」といいながら、
「アイの物語」に出てくるロボットはみんな人間らしいんだけどねぇ。
より正確に言えばロボットを「人間を超越した存在、すなわち人間の延長線上」に
位置づけている。山本は自分で気付いてないようだけど。
単に「人間」にプラス方向から近づくかマイナス方向から近づくかに過ぎない気がするんだよね。
何しろ山本の描くロボットというのは山本自身は否定するかもしれないが
みな「聖人君子」のような思考をする。人間に対して悪意も好意も持たないといいながら、
少なくとも人間が不利益を被ることを避けてくれる。俺の感覚ではそれ自体が
善意だと思うんだけどね。本当に悪意も好意も持たないなら、ロボット自身の
活動によって人間が不利益を被っても、一切感知しないだろう。
結局山本は人間の欲する聖人君子のようなロボットを願っているわけで、
それは他の誰よりも山本が「人間らしいロボット」を望んでいることに他ならないと思うね。
- 262名無しさんsage: 2006/12/29(金) 02:42:07
- 本当の意味で人間とは異なる価値観をもつ知性体を描いているのは「未来の二つの顔」という作品に
出てくるスパルタクスというコンピュータだろう。このコンピュータはしゃべれない。そもそも人間というものを
最初認識していない。自分に故障を起こす原因としか思っていない。
それが物語の終盤に共存を選択するというハッピーエンドで終わるのは、コロニーを崩壊から
救うという共通の目的があったからだ。スパルタクスはコロニーの駆動部の制御能力はあるが、
人間との攻防戦のさなかにコロニーの制御コンピュータを壊してしまったため、現在スパルタクス自身が
行き当たりばったりでなんとか維持している。
一方人間もコロニーの崩壊を回避したのは山々で、制御のためのデータを持っているが、
それをスパルタクスに伝えると言うことは自分の居場所をスパルタクスに明かすということで、
攻撃される恐れがある。スパルタクスにとって人間は今や害虫と同じなのだから。
主人公達は、わざわざ自分達が居場所を伝える不自然さと、そこからその意味をスパルタクスが
読み取ってくれることに賭けて、端末を操作する。スパルタクスはそのデータの意味を理解し、
コロニーを正しく制御することを覚え、崩壊から回避する。
そしてスパルタクスは自分の電源のコントロールを人間に明け渡す。あたかも「おまえ達(人間)が
自分(スパルタクス)の電源を切りたいなら切ればいい。しかしおまえ達にも俺は必要なんだろ?」
といわんばかりに。
攻撃される危険を冒してスパルタクスに必要なデータを送信した人間。
それに答えて自分の生命線ともいえる電源母線の制御を人間に解放したスパルタクス。
直接意思の疎通はできないものの、お互いを必要とし共存の可能性を探る異質の
知性体の姿が見事に描かれている。
ロボットが雄弁に喋り、甘っちょろいヒューマニズムに逃げている山本作品とは偉い違いだ。
- 263名無しさんsage: 2006/12/29(金) 10:46:29
- ついでに立花隆らの対談についても。まあこっちもあまり中身のある話じゃないだよね。
所詮お祭り騒ぎの余興なわけで(だから山本が呼ばれたともいうw)
参加者は立花隆、これは説明の必要ないですな。早川浩、早川書房の社長らしい。なんでそういう人が
対談にでてくるかな。話も「我が社がサイエンス・フィクションを出版しようとしたとき社内で抵抗があった」とか
そういうことしか喋らないし。妹尾堅一郎、東大先端研特任教授という肩書き。よくわからん。
この人らしいが、
http://web.sfc.keio.ac.jp/~senoh/slc1/intro_senoh.html
論文が「電子メール導入・活用プロセスへのSSMの適用」?!まあ文系の人ですな。
別に文系を馬鹿にするわけじゃないけど、理系にすり寄る文系は俺は見下すけどね。
文学とか哲学とかをやってる人間はそれなりに尊敬するけれど、どうも文系には文系と理系のスキマを
狙う人が多いような気がする。まあ科学ジャーナリストという職業からしてその代表だし。
そういえば立花隆の肩書きは科学ジャーナリストではなく、ただのジャーナリストになってるな。
さすがに恥ずかしくなったのだろうか(笑
SFという言葉が定着したのがいつだとか、ロボットの定義はとか、ロボットという言葉の語源とか、
どうしてこう文系の人は定義の話が好きなのだろう。きっとそれ以外話す事がないんだろうな(笑
定義とは研究の成果として自ずと定まるものだと思うのだが、どうも文系の人間は研究とは
定義から始めるものだと思いこんでいる傾向がある。ゴールをスタートラインにしようとするんだから、
そりゃ一歩も研究は進まないってば(苦笑
宇宙開発の話題がでて立花隆は最初有人飛行推進派だったのが無人飛行派に転向したらしい。
有人は金がかかりすぎるし開発すべき技術も途方もない。同じ事は遙かに簡単に低コストで
無人機でできる、と。
これって考え方の違いなんだよなぁ。宇宙開発は明確な目的があるわけではない。
たとえば「火星にいって石を持ち帰る」というのが最終目的なら、無人機の方がその目的を
達成しやすいだろう。しかし宇宙開発というのは技術開発そのものが目的の部分の方が大きい。
石を持って帰るのが目的なのではなく、石を持って帰れるだけの技術を開発すること自体が
目的なのだ。技術さえ開発できれば実際に石を持って帰る必要は必ずしもない。
そう考えれば火星まで有人機を飛ばす技術を開発するのもそれ自体が目的であり、
他のもっと簡単で低コストな方法があるんだから、わざわざそんな技術を開発する必要はない、
ということにはならない。
以前スペースシャトルの話でも同じ事を書いたけれど、宇宙開発の主目的は技術開発であって、
実際に人工衛星を打ち上げるとかは二の次の話。そういうことを分かってない人間が
次世代スペースシャトルを開発するよりも既存の無人ロケットの方が低コストで十分じゃないかと主張する。
技術開発そのものが目的というのは、いってみれば国家レベルの「余暇」であり、それに必要以上の
コスト意識を求めてはいけない。大学などの研究期間が実用化される当てのない研究に日々
研究費を投資しているのと同じで、そういうものは損得勘定とは相容れないもの。
- 264名無しさんsage: 2006/12/29(金) 10:47:07
- 見つかる保証のない宝探しと同じで、金儲けを考えるならそんなことに金を投資するよりは
もっと手堅い事業に投資した方がずっといい。しかし宝探しは時たま大当たりを引き当てる。
世界を変えるような、ね。それに淡い期待、とてもコストに見合わない期待、を国家レベルで
賭けているのが研究開発であり、宇宙開発もその一部なわけだ。
立花隆は日本の有人機はもっと安上がりな技術が出来た時に行えばいいという。
しかしそれなら俺は聞きたいね。じゃあ無人機で何をするの?と。たとえば火星の調査をするという
目的なら有人機を今から開発するよりも無人機で行った方がいいだろう。しかし火星の調査を
急いでやる必要があるのだろうか。まあないとはいわないが、有人機の研究開発よりも優先して
急いでやる必要があると自信をもっていえるのか。
火星の研究で日本が無人機を使い目覚ましい成果を上げたとしても、それは人類共有の
知識となる。人類共有の知識に日本が多大な貢献をすることは喜ばしいことだけれど、
日本が国際競争で優位に立つにはそういう調査実績よりも実際に役に立つ技術を持っているか
どうかだろう。それを「他の国がもっと安価な技術を開発するのを待ってから作ればいい」というのは
宇宙開発の目的が分かっていないとしか思えない。
日本という国が宇宙開発に他の科学研究よりも破格の投資をしているのは、日本が国家間の
宇宙開発競争において優位に立つための投資なのであって、純粋な全地球レベルの
科学研究に日本が貢献するというのは二の次なのに、それが分かっていない。
- 265名無しさんsage: 2006/12/29(金) 11:04:03
- 東大先端なんとかの妹尾は、日本は有人機を目指すべきかという論争について、世代論ではないかという。
アポロの月着陸をリアルタイムで体験した世代は有人機にこだわり、SFやアニメで育ってきた世代はロボットに
行かせればいいじゃんと考えるのではないかという。
こういう脳天気な馬鹿、国家戦略をアニメの視聴者か否かというレベルに矮小化せざるを得ない点に
理系にすり寄る文系、理系になりたいけどなれない文系の哀れさが見て取れるね。
立花は繰り返し「人間行かなければならない理由はない」という。「ロボットで十分だ」と。
それは否定しないが、大事なのは人間を宇宙に安全に運ぶ技術そのものに価値があるという点。
無人機派はこれを無視してるんだよなぁ。
国家戦略レベルの話をこういう文化人もどきが安直な考えで語るというのはいかがなものか。
そして日本は戦略がない!と批判するのもこういう文化人なわけで、いやはや。
- 266名無しさんsage: 2006/12/29(金) 11:27:42
- その東大なんとかの妹尾は「工場で産業ロボットにニックネームを付けて可愛がっているのは
欧米にはない日本だけの感覚で、鉄腕アトムとかの影響が大きいんじゃないか」と述べている。
う~ん、俺も日本を代表する一流企業の工場をいくつか知っているけれど、産業ロボットに
ニックネームをつけて可愛がっている場面には出くわしたことないなぁ。ほんとにそんな工場があるんだろうか。
そもそも可愛がるというのはどういうことをいうのだろう?
単に工場の社外向け宣伝用の「我が社では○○ロボットを導入し~」というプロモーションフィルムを
鵜呑みにしてるだけ何じゃないのかなぁ。もっとも日本の工場は「ホウ・レン・ソウ」のような現場レベルの
品質向上活動がわりと活発だから、たとえば新規に導入された産業ロボットの操作にいち早く習熟
するためにさまざまな活動をすることはあるだろう。そういう時にそのロボットに愛称をつけるというのは
あり得ないことではないと思うが、それはあくまで品質向上活動の一環であって、ロボットを可愛がる
というものとは違うと思うんだよね。もちろん自分達の職場の道具であるロボットを大切に扱い、
メンテナンスが疎かになっていないか気を配る、というような運動をは行われるだろうけどね。
ま、この妹尾と俺のどっちが間違ってるのかは分からないけれど(笑
- 267名無しさんsage: 2006/12/29(金) 11:44:09
- 妹尾がJAXAの長期構想委員会の委員だったとき…という出だしで次のような話が始まる。
どうでもいいけどこんな人間がJAXAの運営の方向を決めてんの?宇宙開発は国家戦略の
一部だって認識が足りないんじゃないの?
作家の瀬名秀明とTRONプロジェクトで有名な坂村健が有人飛行の是非について激論を交わしたらしい。
どっちがどの主張をしたのかは書いてないが、瀬名は無人機派なのだろうから、坂村健は有人派ということになる。
俺は有人派なので、さすが技術の現場をしている坂村は何が大事か分かってるな、と思ってしまうね。
俺は人間としての坂村健をあまり好きではないが、学術研究を産業に活かし、日本の行く末を考えていた
坂村のビジョンはそれなりに評価している。80年代に速くも今後主流となるであろうコンピュータ関係の
ハードウェア(インテル)もソフトウェア(マイクロソフト)もアメリカの抑えられている現状を憂慮し、
TRONプロジェクトを立ち上げた。
TRONプロジェクトはあまり成功とはいいがたいが、その構想や目指したもの、いいかえれば産業における
日本の国家戦略は評価すべきものだったと思う。このままでは日本のコンピュータ産業はアメリカに
主導権を奪われ衰退していくだろう。今の内になんとかしなければ、と。まあ今やTRONプロジェクトが挫折し、
憂慮した通りになったわけだが、坂村は学者にしては日本という国にとって何が大事かを考えていたと思う。
一方瀬名秀明の経歴を見ると薬学部出身?(笑)。職歴は
1990年4月~1991年3月 東北大学薬学部 文部技官
1996年4月~1997年3月 東北大学薬学部研究生
1997年4月~2000年3月 宮城大学看護学部講師
らしい。日本の産業の国家戦略を語るにはちょっと力不足というか門外漢じゃないのかなぁ。
結局、瀬名はSFの視点でしか日本の宇宙開発を見ていないように思う。まあSFの視点なら日本の
国益とか産業の主導権とかよりも、人類全体の科学の進歩とかを中心に考えるだろうねぇ。
人類全体の文明の発展や、それに日本が貢献できる栄誉もいいんだけど、そういうのは日本の国力、
産業の影響力とかが維持できてこそだと思うんだけどね。世界に貢献したという名誉だけでは
国際社会で生き残っていけない。
- 268名無しさんsage: 2006/12/29(金) 11:45:55
- で、そういう話の後に、有人飛行の是非に関する意見の相違は、月着陸をリアルタイムで体験した世代と
アニメで育った世代の違いだという話になるので、俺はもう…情けなくなったね。
- 269名無しさんsage: 2006/12/29(金) 12:42:19
- >>268
月着陸をリアルタイムで体験した世代を出してくるのはいいと思うのよね
あの宇宙開発競争の熱気を肌で感じて月着陸を実際に見て(まあ、直接ではないにしろ
育った人間が 有人飛行=すごいこと として受け止めているのはわかるから
ただ対するのがアニメで育った世代ってのがね
宇宙開発の熱気が冷め、宇宙開発が人類最大のロマンと呼ばれなくなった時代しか知らない世代
とでもしておけば、まだカッコはつくと思うのよね
アニメで育ったって言われてもそんなの全然関係ないじゃんってかんじだ
世間そのものがドライになってきてるんだよね
職人の手による作品より機械での大量生産が一般的になって
良いものよりも手軽でやすいもの、結果が同じなら経過はどうでもいいじゃん
合理化こそが正義の時代に育った世代、
昔のアニメにはロマンが詰まってたし、今のアニメには合理化が詰まってるんだよ
アニメは現実の一面をディフォルメしてるだけなんだからさ
- 270名無しさんsage: 2006/12/29(金) 13:01:00
- >>269
俺としては国家戦略をロマンだ熱狂だというレベルで論じて欲しくないんだけどね。
- 271名無しさんsage: 2006/12/29(金) 13:07:41
- 無人機派の「有人機開発はどうせアメリカには叶わないんだから」という思考が気に入らないんだよなぁ。
現状を変えるのが夢のはずなのに現状が前提。そういう人に限って基礎技術を疎かにしてはならないという。
矛盾してると思うんだけどね。
正直、これまで日本がアドバンテージを持っていた分野、精密機械とかは発展途上国に追い上げられて
以前ほど優位を保てなくなるのは明らか。その時日本が何によって主導権をとっていくかを考えないと、
マジで日本は一流国から脱落する。明治維新並の転換が必要な時期だと思うわけ。
- 272名無しさんsage: 2006/12/29(金) 13:17:16
- ところが世間で言われているのは、政治家も評論家も含めて、農業や漁業の保護ばかり。
工業とか他の産業は、日本は得意だから放っておいても大丈夫という慢心があるとしか思えない。
力を入れる場所が違うと思うけどね。農業とかだけを保護していればよかったのは、日本の
経済力が十分あった時代の話。いまやそれが揺らいでいる。
なんでもかんでも不況という言葉で一括りにしているけれど、漫然とした景気対策で
済む部分と済まない部分がある。明治から昭和にかけて過去何度か行った政府主導の
国策的技術開発とかが必要な時期だと思うんだけどねぇ。
- 273名無しさんsage: 2006/12/29(金) 13:46:05
- おまけ。アンドロイドの語源のところでandroはラテン語で「男、人間」、oidは「~に似たもの」を意味する。
ところが日本ではノイドやロイドが間違った意味(「~人」や「~生物」というような意味合い)で使われている。
Zガンダムのスペースノイドは「宇宙に似たもの」という意味になってしまいその典型、云々と山本が得意になって語っている。
言葉は(いつもいってるけど)変化するものだからねぇ。案外未來の世界では「○○型アンドロイド」を「○○ロイド」と
呼ぶのが普通になっていることもあるかも知れないよ(笑)。つまり「ロイド」というのがむしろロボットを表す接尾辞の
意味合いが強くなる、といった具合に。
この手の話でいつも引き合いに出されるのは「ウォークマン」。こんな英語はおかしいと批判を受けたが、
いまやこの単語はオックスフォード英英辞典にも載っている。
また何かの記事でアメリカ人の子供がが「Pock-mon Get Daze」と叫んでいるのを聞いて、
日本の勝利だ!と大はしゃぎしていた。「ポケモン、ゲットだぜ」は明らかに英語としても日本語としても
正しくないわけだが、ポケモンという作品の影響でアメリカ人の子供まで「ゲットダゼ」と言っている、と。
- 274名無しさんsage: 2006/12/29(金) 14:06:16
- 間違った言葉の方が普及し、それが正しくなってしまった例としては「あたらしい」と「あらたしい」があるだろう。
「あらたな門出」という言葉があるように、もともと現代語でいう「新しい」の意味の言葉は「あらたしい」だった。
「あたらし」は「惜しい」「惜しくも」といった意味で、「あたら若い命を落とす」というような言い回しに元の意味が残っている。
関係ないが「あだやおろそかできない」を「あたらおろそかにできない」と書く人が多い。これも100年ぐらいたてば
「あたら~」の方が正解になるのだろう(笑
- 275名無しさんsage: 2006/12/29(金) 14:30:40
- 山本は「ボッコちゃん」についても語っている。ボッコちゃんとは星新一の作品に出てくる会話ロボット。
しかし会話能力は乏しく、相手の言葉の語尾を変えてオウム返しに答えるだけ。
「綺麗な服だね」「綺麗な服でしょ」、「何が好きなんだい?」「何が好きかしら」、
「ジンジュース飲むかい?」「ジンジュース飲むわ」とこんな感じで。
山本は、現在の技術ならボッコちゃんは十分作れるだろうといっているが、
遙か昔の80年代にすでに8ビットパソコン(当時はマイコンといったが)でBASICにより
ボッコちゃんを作る試みは行われているし、小規模ながらコンテストも開かれた。
まあメモリがせいぜい32KB程度でかな漢字変換機能すらない当時のパソコンでは
変換すべき語尾や代名詞の入れ替え(「私」を「あなた」にするとか)のデータを保持するのも
かなり制約があった。
またMacintoshの会話ソフトRacterもこの頃登場している
http://www.mactechlab.jp/page8/files/1b9751ca1646bb70fbf8f2a39853b282-105.html
この画面をコンピュータが喋っていると思えるだろうか?YESやNOを打ってるのが人間であり、
他の部分がRacterが喋っているのだ。
そもそもコンピュータを使った会話ソフトの原典はElizaで1960年代に既に開発されている。
もちろんパソコンはなく大型コンピュータ上で動作するプログラム。
まあアキバで講演したならこの手のことに明るい人間も少なくなかったろう。
そういう人達は山本が得意げに語っているのを苦笑しながら聞いてたんじゃないのかなぁ。
- 276名無しさんsage: 2006/12/29(金) 15:01:56
- ボッコちゃんとラクターは会話ソフトとしては正反対。ボッコちゃんが基本的に人間に喋らせ、
自分は相づちに徹するのに対して、ラクターは自分がベラベラと洪水のように喋る。
人間にも人の話をほとんど聞かずに一方的に喋りまくるタイプがいるがそんな感じだ。
ラクターとの会話の雰囲気を書くと
ラクター) あなたは最近どこかにいったかい?
人間) 京都にいったね。
ラクター) 京都といえばシェークスピアがこんな事を語っている。京都には(云々)。
ところであなたはマクベスについてどう思う?
シェークスピアが京都について語っているなんてのはウソで、人間が入力した「京都」という
単語を使って適当にランダムな文章を作り上げているのだが、しゃべるはしゃべるは。
人間が入力する文章の10倍はゆうに喋る。
- 277名無しさんsage: 2006/12/29(金) 21:07:09
- まあ、山本の人工知能に関する知識は10年以上は軽く遅れてるからね
実際10年ぐらい前に人口無能脳とかその手のプログラムがはやった
今で言うブログペットのようなものがあったわけだが
うちのBBSのキャラとかは、初めて来た人とかは気づかないほど自然に会話してた
もちろん、初めてBBSを訪れた人と会話がかみ合いやすいようにDBをいじってたし
常連がわざと勘違いしやすい方向に誘導するんだけど
それでもなかなかぼろが出ないのボッコちゃんよりはずいぶん上等だと思うよ
というか山本の考えてる今のPCなら実現できる人口知能って
その辺のブログペット以下の気がしてならない
- 278名無しさんsage: 2006/12/29(金) 21:22:06
- 実のところ今の技術ならある程度意味を理解した会話というのも可能だと思うんだよね。
人間のありきたりな会話というのはそれほど複雑じゃないものが多い。
登場人物(相手や自分や会話に出てくる第三者)が今いる場所、
登場人物が今行っている作業、
登場人物同士の関係(知人や家族とか)、
近い未来に予定されている作業
作業と作業の関係
作業と登場人物の関係
これぐらいのことの結びつきを把握しておけば、初対面の人同士(たとえばタクシーの
運転手と客の会話とか(笑))ぐらいはある程度できるんじゃないかと。
もちろん内容の濃い理論立てて推測しなければならない会話は無理だろうけどね。
上記の関係程度なら現在の機械翻訳は可能。たとえば代名詞の「彼」が文章中の
どの人間を示すのかを今の機械翻訳は把握するし、主語が目的語が省略されることの
多い言語から省略されない言語に翻訳する場合、何が省かれているかある程度補う。
- 279名無しさんsage: 2006/12/29(金) 21:30:23
- 推論というのはもともとコンピュータは可能でPrologueとか一頃流行ったエキスパートシステムとかで
実際に行われている。今や文章の意味解析もそこそこ可能だ。
となるとあと足りないのは、人間が会話を行うパターン(フレーム)。
たとえば今日の天気の話題(寒いですね、とか)から初めて、相手のひいきの
野球チームを尋ねて、そこから糸口が見つかればその話題をさらに深くつっこみ
(どの選手がどうだとか)、そうでなければ別な話題を探す…こういったパターンを
人間同士の会話からピックアップして組み込めばそこそこ会話ができると思う。
他人と当たり障りのない会話を一定時間行う「世間話君」とかできるんじゃないかなぁ(笑
- 280名無しさんsage: 2006/12/29(金) 21:44:40
- 探してみたらなんとWindows上(というかDOS上)で動くラクターが存在していた。
http://www.mirrors.org/archived_software/www.techknight.com/esa/download/tk-racter.zip
いや~懐かしい。何十年ぶりの再開だろう(笑
- 281名無しさんsage: 2006/12/30(土) 05:08:40
- >>269
> 良いものよりも手軽でやすいもの、結果が同じなら経過はどうでもいいじゃん
> 合理化こそが正義の時代に育った世代、
半導体を例に出せば、8bitや16bitの頃は日本のメーカーもCPUを作っていた。
インテルやモトローラからライセンスを受けセカンドソースという形で。
その頃は1社だけが製造しているCPUはリスクが高く敬遠されたため、
オリジナルを開発した企業(インテルとか)が積極的に他社にライセンスを行い、
同じCPUを製造販売してもらうというのが常だった。
日本の半導体メーカーは自社開発するリスクをかぶることなく、セカンドソースCPUの
販売で利益を得ることが出来た。量産やコストダウン、高品質は日本のお得意芸だったからね。
ところが32bitになってインテルはこの方針を大きく転換した。32bit CPUについては
セカンドソースを認めず、自社のみで製造を行う、と。日本の半導体メーカーは32bit CPUから
完全に閉め出されてしまったわけだ。
一方、日本の半導体メーカーが注力して他のは当時莫大な利益を上げていたDRAM生産。
8bit CPUの時代は今ほどCPU単品の値段が効果ではなく、CPUは1個で済むがDRAMは
1個ではコンピュータはできない。だからDRAMを作った方が得だ、とメーカーはうそぶいていた。
ところが今やDRAMの生産は台湾などに押され、日本のメーカーは撤退、また撤退、という
惨めな状況になっている。いってみればDRAMの生産技術は他のアジアの国に追いつかれてしまったわけだ。
かつて日本企業がインテルなどからDRAMのシェアを奪ったように(このためインテルはDRAM市場から
撤退せざるを得なかった)、今度は日本企業がシェアを奪われていった。
インテルはDRAM市場を日本メーカーに奪われたとき、CPU開発に注力しCPU市場における
今日のインテルの圧倒的な地位を勝ち得たが、日本企業はDRAM市場を台湾などに
奪われたとき、手元に何も残らなかった。
いまさらインテルに張り合うだけのCPUを開発する能力もその背景となる基礎技術もない。
CPU市場からはインテルに閉め出され、DRAM市場は途上国に奪われ、日本の半導体産業は
危機に陥っている。
これは半導体メーカーが、CPUを独自に開発するよりもインテルやモトローラからセカンドソースの
ライセンスをもらって製造している方がリスクなしに儲かると考え、インテルから切り捨てられた時も、
CPUを作るよりもDRAMを作る方が儲かると考えたツケだと思う。
やがて途上国の技術が進歩し日本の製造技術がアドバンテージを失った時に、日本が新たに
優位に立てる分野を見越して技術や資金を先行投資してこなかった。宇宙開発も同じだと思うね。
無人機の分野で技術を磨くのもいいが、それはいずれ他の国に追いつかれてしまう技術。
日本が長期的に優位に立てるものだとは思えない。
- 282名無しさんsage: 2006/12/30(土) 05:23:14
- ちなみにTRONプロジェクトにはCPUの開発も含まれていてトロンチップが実際に開発された。
アーキテクチャの設計を坂村健が行い、実際の回路の設計や製造はNECなどの半導体企業が
行うという形でね。結果は惨憺たるものだったが。
結局のところ坂村健は日本のコンピュータ産業(ハードもソフトも)を一番憂慮し、
なんとかしようと東奔西走さいた人だと思うんだよね。しかしトロンチップにせよTRONOSにせよ、
よいところもあるにはあるが、インテルCPUやマイクロソフトの提供するOSの優位を覆すには
ほど遠いものだった。まあ一人の学者がインテルやマイクロソフトに対抗できるものを作り上げたら
それこそ世紀の大天才になってしまうだろう。
問題は、当時の多くの人々が同じ事ように漠然とした危機感を持ってはいたものの、
坂村健以外は誰も何もしようとしなかったこと。企業も政府も学者も。80年代、90年代を
通して半導体事業はそれなりに利益を上げていたから、その先に不安は感じていたものの
誰も彼もそれには目をつぶった。そして何も対策をとらなかったから、その不安の通りになった。
- 283名無しさんsage: 2006/12/30(土) 05:44:40
- 北朝鮮はある意味すごいと思うんだよね。あれだけ世界中から叩かれても
国家戦略だと決めたらそれを変えない。少しは日本も見習って欲しいものだ。
日本が国家プロジェクトとして国を挙げて何らかの技術開発に取り組む。
アメリカはアンフェアだといって日本製品に関税をかけてくるかもしれないが、
日本の産業が生き残るためにはこれは絶対必要だ、そのために多少の
不利益はやむなし、と突っ走る。
多少の他国との摩擦やそれに伴う犠牲を払ってでも推し進めるものを真の意味での
国家戦略というんじゃなかろうか。
- 284名無しさんsage: 2007/01/11(木) 10:10:08
- 話題をぶった切って済まないが、ちょっと質問したいことがある。
このスレの上の方で、理系と文系の話があったが、そこで文系の例に出てたのが、哲学と文学だった。
理系にも色んなジャンルがあるように、一口に文系と言っても、多種多様な学問がある。
中には文化人類学のように、理系のアプローチに近い、精緻な研究姿勢の学問もある。
(中には心理学の様な、微妙にインチキ臭いものもある事は認めるが)
本当はスレ違いなのは分かってるが、このスレの人たちはそこをどう思っているのか聞いてみたい。
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