民主主義(シビリアンコントロール)とは違いますが、
軍人と政治家の在り方として、WWIIのドイツにおける、ヒトラーに対するマンシュタインの態度は興味深いものがあります。
軍の中にはナチスに傾倒するものもいましたが、
多くのドイツ軍人は職業軍人として時の政府(すなわちナチス党)に従ったまでで、
特別、ヒトラーの思想に敬服していたわけではありません。
その最たる例がマンシュタイン元帥です。
彼はプロフェッショナルとしてヒトラーに度々進言しています。
有名な「マンシュタイン作戦」(アルデンヌの森を突破しフランスを電撃的に陥落させた)にしても、
軍事的見地から「決戦を求めずに最終的勝利は得られない」と言い続け、
博打的要素を恐れるヒトラーに了承させることに成功しています。
また、対ソ戦においてもドン軍集団司令官としてその責任を全うしようと度々ヒトラーと衝突しています。
しかしヒトラーの不興を買い、解任されました。
彼の回想録を読んで印象深いのは、まず熱心に手紙を書いているという点です。
ヒトラー宛に何通も、作戦に関する自分の見識やどのようにすれば最善であるか、また、さしあたり必要な処置などを懇切丁寧に書き送っています。
さらに部下や自分自身がヒトラーの元に赴き説明をすることもしばしばで、
なんと半日もヒトラーの説得に費やすこともありました(結局、そのような説得が功を奏したことは一度とて無かったが)。
マンシュタイン自身、そのような作戦外の「手間」にウンザリしていることを書き記していますが、
それでも彼は最後まで、自分の責任を放擲することはありませんでした。
果たして、たとえ相手が独裁者と雖も自分に負わされた将兵達の運命に対して最後まで諦めなかったマンシュタインと、
民主国家の軍人でありながら、「給料分の仕事はしたさ」で簡単に諦めてしまうヤンとでは、
どちらが「与えられた責任を投げ出そうとしない」(byフレデリカ)と言えるのでしょうね。
冒険風ライダーさん
> 「神々の黄昏」作戦当時の脱出者の場合は「フェザーン自治政府や同盟の要人」といったような「政府高官の地位」についている人が多かったのでしょうから、一般の亡命者と並べて論じるのは少し無理があるでしょう。それにフェザーン占領行政と亡命者に対する統制とでは「有事」と「平時」の格差がありますから政策の徹底度も統制の内容も全く違いますし、第一、ゴールデンバウム王朝時代の軍隊と異なり、軍規が厳しいラインハルト率いる帝国軍は買収や賄賂がほとんど効きません。
> だから平松さんが出した例は亡命問題の比較としてはあまり参考にならないのでは?
なるほど。ですが30隻の中で200人が摘発されたという事は、1隻あたり6、7人ということですから、これから考えれば平時の時でも亡命の際に密かに載せられる人数もあまり大した数ではないと思いますが。いくら平時でもこの100倍以上の数を看過してしまうとは考えにくいのでは?
> 共和主義者や平民階級の不平分子が亡命していく事自体は、帝国にとってもそれほどのマイナスポイントにはならないでしょう。「所詮は下賎な平民や叛逆者どもだから」と帝国の首脳部は考えるでしょうし、彼らを「処分」する手間も省けますしね。むしろ彼らが帝国内部で同盟と呼応した民主運動を展開される事のほうがはるかに危険です。だから帝国の内部を固めるためにも、不穏な分子は同盟に追いやってしまった方が却って良いと帝国政府は考えたのでしょう。ちょうど今の北朝鮮と同じような考え(国家基盤を固めるためには人口を1000万辺りまで減らす必要がある、と某首領様はのたまったとか)であったと考えれば分かりやすいでしょうか。
> むしろ「亡命を食い止めなければならない」という観点から見れば、帝国の貴族や皇族といった「帝国の支配階級者」の亡命の方がはるかに帝国の支配体制にとっては有害なものでしょう。支配階級でさえ亡命してくるという事実は、同盟側にとって帝国の支配体制が磐石なものではない事を宣伝するための絶好な好材料となりえるからです。現実世界でも、北朝鮮の政府高官や要人が外国へ亡命してくる事が話題になるたびに、北朝鮮の支配体制に対する疑問の声が出てくるという事例があります。
> 亡命問題で特に重要視されるのは「亡命者の質」であって、すくなくとも逃亡される側にとって「数」は全く問題ではないのです。どれほど多くの亡命者が出たとしても、政治的に何ら影響を受けないのであれば放任されるし、逆に「一人の亡命者」が政治的に大きな影響を与えるというのであれば、たとえどんな無理をしてでも妨害しようとするでしょう。亡命問題というのはそういうものなのですよ。
それにしても、惑星上なら亡命者も散り散りになって身一つで逃げれますから、逃がした側も「やむを得ない」と諦められるでしょうが、宇宙船以外に逃亡の手段もなく、航路もある程度限定されている宇宙空間で、それだけ大量の亡命を許してしまうと言うのは、国家の税関や入国管理などのチェックシステムの衰弱・腐敗をあからさまに露呈してしまう事になりますから、少しまずいのでは?
> これは全くその通りなんですけど、帝国内における共和主義者たちは常に社会秩序維持局あたりからマークされていたでしょうから、謀略や詐術がまともに使える余地があったのかどうかさえも怪しいんですよね。そもそもそんな環境下では資金集めにも相当苦労することでしょうし、まともな内部工作自体が現実問題としてできたかどうか……。
> そんな状態では、いっそ帝国にたいして忠誠を誓った方が良いと考える平民階級もいたでしょう。貴族階級に対する嫌悪感を持った人が多かったのは間違いなかったでしょうけど、そこから「帝国打倒」にまで持っていくには、相当に現実性の高い政治的構想と強大なカリスマ性をもった政治的指導者が必要です。そして共和主義者の間には、ついにそのような人物が現れる事はなかったのでしょう。
ほんとに、彼らはゴールデンバウム王朝成立以来の500年間何をしていたんでしょう?
>小牧 哲治さん
一連の「反対意見」なるものを読んでみたのですが、どうも私の主張の内容を正確に把握してはいらっしゃらないようで、引用にも反論内容にも「?」と考えてしまう個所が多数見うけられます。
まず、私がこのスレッドの最初でアレほどまでに強調しておいたはずの「立法府(議会)」の存在が反論文の中から完全に欠如しています。私が主張したシビリアン・コントロールの基本概念について反論するには、この「立法府」の存在を無視してもらっては困るのですけど。
私がこのスレッドで何度も主張したように、民主主義国家におけるシビリアン・コントロールというものは、立法府・行政府・軍部の3つによる「相互牽制(3すくみ)」によって成り立っているものです。そして私は軍部以上に行政府が構造的に暴走しやすいものであるとも言ってきました。その暴走しやすい行政府に対して、軍部が立法府を介して軍事的見地に立った意見を主張する事は、国家存続のためにも、ひいては健全な民主主義を守るためにも必要不可欠な事であると述べたわけです。
したがって、
<地位と名声を得ている軍人が民衆を扇動するような行為は
かのヨブ・トリューニヒト議長となんら変わりもせず
それに軍人が政治を正すという名目で権力を握ることは
軍事独裁政治を引き起こす一因になりかねないのではないでしょうか。>
という類のことを私は別に一言も述べていませんから、反論としては見当ハズレなシロモノですね。
<あくまでも政治の腐敗は民衆が正さなくてはいけないと思います。
たとえ軍人が軍隊に関することを要求してもそれは一意見として
とれえることしかできないと思います。
軍部の要求を際限なく取り入れればそれは軍事力の肥大化となり
国家予算の大半をつぎ込むことになりしいては国家を崩壊させかねないということです。>
あの~、私が言っているのは「軍部は軍事専門家として、議会に対して軍事的見地に立った意見を主張しなければならない」ということであって、それを聞いた側が軍部の意見を全面的に受けいれるべきである、とは一言も言っていないのですけど。
議会が軍部の意見を採用するか、行政府の政策を支持するかは、結局のところ議会の判断に委ねられているのです。軍部の意見が愚かであると議会が結論づけたならば軍部の意見は却下されるでしょうし、行政府の政策の方が不当であると認識すれば軍部の意見が採用され、行政府の政策は是正される事になるのです。議会だってバカではないのですから、軍部の意見を100パーセント受けいれて行政府を掣肘するなんて事はありえないでしょう。
ただ、行政府は構造的に強大な権力を掌握している事が多いですから、その権限を利用して軍部に対して様々な政治的介入を過剰に行う可能性が極めて高く、だからこそ、行政府の暴走を食い止め、行政府に対する軍部の反発を抑えるためにも、軍部が議会に対して軍事的見地に立った意見を述べる事が、シビリアン・コントロールの観点からも必要になってくるわけです。
これでもまだ、軍部が国防問題に関して意見を述べる事は不当であると言うのですか?
<なぜ政府から無謀な要求でもそれを是正できなかったかといえば
それは最高会議で決定されたことであり、そこにいたるところで
軍部が(フォーク准将が)私的ルートで要求したことを政治的
判断で決めてしまったことであり、軍部としては今更変えることが
できなかったということがあるはず。
そこでいかにヤンウェンリーであろうとも、ビュコック提督でも、出兵を
拒否することはできないはずです。
それは民意(多分に政治家の思惑があるが)が決めたことを
軍部が無視できないということです。
そこでできることは、戦場の戦術レベルで最低限の被害ですむように
しなければならなかったのにそれを怠り、あまつさえ負担ばかりを増やして
結局のところ帝国に焦土作戦を成功させた一因であるでしょう。>
この帝国領侵攻作戦こそ、行政府が何らの歯止めもなしに暴走してしまった典型例のひとつであると私は主張してきたはずなのですけど。そもそもあの帝国領侵攻作戦は「最高評議会幹部の選挙目当て」で強行されたものであり、実は何ら民意に基づいたものでもなければ、国家や国民の利益を考えて実行されたものですらないのです。それを食い止めるためにも、軍部はそのような遠征が軍事的見地からしていかに無謀なものである事を述べなければならないし、議会もまたそのような愚行を強行する行政府を掣肘しなければならなかったはずです(同盟で立法府がまともに機能していたかどうかは疑わしいものですが)。
それに帝国領侵攻作戦においては戦術レベルの末端に至るまで政治が過剰なまでに介入していました。帝国軍が撤退した地域の住民に食糧を与えるなどという愚行は、同盟軍の軍事行動に非常に悪い意味での政治的・人道的配慮がかなり混入していた何よりの証拠です。つまり軍部は自分達が管轄しているはずの戦略・戦術レベルに至るまで軍事的利益と相反する政治的要素に束縛されていたわけで、こんな惨状では負けて当たり前ではないですか。
これでも軍部は政府の命令に異議を唱えず、ただひたすら黙って従っていなければならないと言うのでしょうか。
<必ずしもヤンの行動が民主主義の行為に沿っているとは言い難い部分もありますが
それでも今ある、政治形態を守るために戦ったことは
これまた事実であります。それに同盟が崩壊した原因は何もヤン一人の
責任ではない筈。なぜならそこまでにいたる中で腐敗してきてそれに追い討ちを
かけていたのですから、民主制は独裁と違いどんなことでも変えるためには
時間がかかるものなのです。ですから一人がその国を崩壊させた
というのはあきらかに間違えではないでしょうか>
あのですね、ヤンが同盟の軍人としての責任を果たさなかったために発生してしまった「同盟崩壊の原因」というのが結構あるのですよ(特に銀英伝6巻の騒動に至っては「ヤンの行動が全ての元凶」であると言っても過言ではない)。私はこのスレッドの最初にそれについて言及しておいたはずなのですけど、そこら辺はきちんと読んでいただけたのでしょうか?
ヤンは自分のなすべき軍人としての義務を果たさず、そのために同盟が滅亡してしまった以上、同盟崩壊におけるヤンの責任は非常に大きなものであったという考えは別に不自然なものではないでしょう。第一、同盟崩壊の原因に「腐敗」という非常に抽象的な概念を持ち出していますが、これは一体何のことを指しているのですか? 私はこの「腐敗」についてもこのスレッドの論争で言及していたはずなのですけど。
それに「民主制は独裁と違いどんなことでも変えるためには時間がかかるもの」というのは明らかに大ウソですね。アメリカなどは代表的な民主主義国家のひとつですが、あの国は政治的決断を下すスピードが非常に速いではないですか。これは行政府の権限が強いからです。そして「行政府の権限が強い」ということと「民主主義」とは何ら矛盾するものではありません。むしろ「権力の弱い民主主義」なるシロモノの方が、却って強大な権力を行使できる独裁制を招来させる危険な体制なのです。
「権力が弱い=民主主義」という思想がいかに間違ったものであったか、ヤンは少し考えてみるべきだったと思うのですけど。
<エル・ファシルやイゼルローン共和政府は
時間が無さすぎでした。(イゼルローンはその後がわからんが)
民主制というものは時間がかかるものなのです。自由惑星同盟でさえ
最初は、民衆の意志でなく指導者がトップに立ちました。
ですからその後民主制に移行することはできる筈です。
最初に民主制でないからといって、そこに木がないからといって緑がない
といっているのと同じではないでしょうか。>
ではなぜヤンは、バーミリオン会戦における同盟政府の無条件停戦命令に「政府の命令に従う事がシビリアン・コントロールだから」という理由で黙って従ってしまったのでしょうか? あの場合で選べる選択肢のひとつのしては、政府の命令にあえて背いてラインハルトを吹き飛ばし、同盟政府を解体してしまった上で一時的に独裁体制を築き上げ、然る後に「民主制」に移行するという方法だってあったはずなのですけど。
「最後に民主制が確立すればそれで良い」というのであれば、ヤンやヤン・ファミリー一党はいくらでも非常手段が取れたはずなのですけどね~。
それにエル・ファシル独立政府にせよ、イゼルローン共和政府にせよ、民主主義国家として独立し、帝国と戦うというのであれば、せめてその事の是非について問う国民投票ぐらいはやっても良かったのではないですか? 特に独立問題の方は国家体制を確立するためにも非常に重要な事項ではありませんか。現実世界においても、カナダのケベック州がカナダからの分離独立の是非を、ケベック州住民による国民投票で決めたという事例があるのです(過去に2回投票が行われて2回とも独立反対派が勝利しましたが)。「民主共和政体」を自称するのであれば、せめて国家体制の確立の是非を問う国民投票ぐらいは当然行って然るべきでしょう。ましてや、わざわざ平和の道を捨ててまで独立し、帝国と対立する道を選ぶというのであればなおの事です。帝国の支配下における平和を望む人だって大勢いるのかもしれないのですから。彼らの「民意」は無視してかまわないのですか?
イゼルローン共和政府に至っては、ヤン・ファミリーをはじめとする首脳部が帝国との戦いを継続する事を何ら民意を問わずに決めたばかりか、それに反対する連中は出ていってかまわないとまで放言する始末です。これのどこが自称「民主共和政体」のやる事なのでしょうか? 私にはイゼルローン共和政府が「排他的な独裁体制」にすら見えるのですけど。アレほどまでに「民主主義の理念」にこだわったヤンの遺志を継ぐというのであれば「民主主義的な手続き」を無視してはならないでしょう。
「民主主義の理念」に基づいて同盟を崩壊に追いやったヤンやヤン・ファミリー一党が、「民主主義の理念」を何ら実現していないエル・ファシル独立政府やイゼルローン共和政府のために戦い、しかもその事に何ら疑問を覚えないというのは少しおかしいのではないかと思うのですけど。
>平松さん
<ですが30隻の中で200人が摘発されたという事は、1隻あたり6、7人というこ とですから、これから考えれば平時の時でも亡命の際に密かに載せられる人数もあまり大した数ではないと思いますが。いくら平時でもこの100倍以上の数を看過してしまうとは考えにくいのでは?>
居住性をあまり考慮しないでよいのであれば、ひとつのコンテナに人をたくさん詰め込み、「貨物」になりすまして乗船するという方法もあります。これは日本に流れてくる不法入国者達がよく使う手なのだそうですけど。
他にも船をすこし改造して亡命者を匿うための専用の部屋を作り、それに対熱・対赤外線探知装置などの防御対策を施して偽装するとか、帝国の捜査網をかいくぐる手段は結構色々とあるものです。そして帝国の方も、それほど本気になって同盟への亡命者を取り締まろうとはしなかったのでしょう。帝国軍の軍規も相当乱れていたでしょうから、賄賂や買収もかなりの効果があったでしょうし、貴族に対して反感を覚えていた平民階級の兵士や将校が亡命者を匿い、亡命に協力したという事情もあったかもしれません。
フェザーン占領時の時は帝国軍が駐留して逃亡者が出ないよう徹底的に監視していましたから、そもそもよほどの事情がないかぎり、そんな時期にフェザーンから逃亡しようと考える人間はまずいないでしょう。フェザーンから出ていくにしても、普通はまず帝国の占領政策がそれなりに緩んでくる時期を待つはずで、だからフェザーン占領時の時はそんな余裕がなかった200人「しか」拘束されなかったのでは?
<それにしても、惑星上なら亡命者も散り散りになって身一つで逃げれますから、逃がした側も「やむを得ない」と諦められるでしょうが、宇宙船以外に逃亡の手段もなく、航路もある程度限定されている宇宙空間で、それだけ大量の亡命を許してしまうと言うのは、国家の税関や入国管理などのチェックシステムの衰弱・腐敗をあからさまに露呈してしまう事になりますから、少しまずいのでは?>
帝国は建前上「人類社会における唯一絶対の支配国家」であると自称していますし、ダゴン星域会戦で同盟に敗北するまではその建前が完全に事実であると信じこんでいたのですから、そもそも「国家の税関」だの「入国管理などのチェックシステム」なんて存在していなかったのではないでしょうか。そして、そのような事情もあったからこそ同盟に亡命しやすかったという事情もあったのかもしれません。
そして何よりも帝国側は亡命者の検挙にそれほど熱心ではなかった、これが大量の亡命者が同盟に逃げ込めた一番大きな理由だったでしょうね。
冒険風ライダーさん
> 帝国は建前上「人類社会における唯一絶対の支配国家」であると自称していますし、ダゴン星域会戦で同盟に敗北するまではその建前が完全に事実であると信じこんでいたのですから、そもそも「国家の税関」だの「入国管理などのチェックシステム」なんて存在していなかったのではないでしょうか。そして、そのような事情もあったからこそ同盟に亡命しやすかったという事情もあったのかもしれません。
> そして何よりも帝国側は亡命者の検挙にそれほど熱心ではなかった、これが大量の亡命者が同盟に逃げ込めた一番大きな理由だったでしょうね。
第四巻(トクマノベルズ)のP15には、エルウィン・ヨーゼフ二世を誘拐(救出)する為にオーディンに潜入したランズベルク伯とシューマッハ大佐がフェザーン自治政府発行の旅券と入国査証を有していた事が書かれているので、フェザーンへの入国管理や税関などのチェックシステムが存在した事は確かです。それなのに社会秩序維持局にマークされているはずの共和主義者が大量に亡命できるのでしょうか?また、同じく第四巻のP154からP155にはゴールデンバウム朝における最後の社会秩序維持局局長であったハイドリッヒ・ラングは職権を濫用して私服を肥やさなかった為に門閥貴族から変人扱いされ、「猟犬」と評されるほど職務に熱心で忠実であった事が書かれていますので、同盟に亡命する共和主義者だけを見逃していたとは考えにくいのでは?
<第四巻(トクマノベルズ)のP15には、エルウィン・ヨーゼフ二世を誘拐(救出)する為にオーディンに潜入したランズベルク伯とシューマッハ大佐がフェザーン自治政府発行の旅券と入国査証を有していた事が書かれているので、フェザーンへの入国管理や税関などのチェックシステムが存在した事は確かです。それなのに社会秩序維持局にマークされているはずの共和主義者が大量に亡命できるのでしょうか?また、同じく第四巻のP154からP155にはゴールデンバウム朝における最後の社会秩序維持局局長であったハイドリッヒ・ラングは職権を濫用して私服を肥やさなかった為に門閥貴族から変人扱いされ、「猟犬」と評されるほど職務に熱心で忠実であった事が書かれていますので、同盟に亡命する共和主義者だけを見逃していたとは考えにくいのでは?>
平松さんが挙げているのは「フェザーンへの」ではなく「帝国への」入国管理や税関ですね。これはむしろありえる事ですよ。帝国へ入りこもうとする同盟やフェザーンあたりの不穏分子やスパイなどを摘発するためにも、また帝国が掲げている単一国家としての矜持にかけても「帝国へ入る人間に対する入国管理」は厳重に行う必要性があります。そもそも帝国から出国・亡命していく者はたくさんいるでしょうが、わざわざ入国しようとするような人間は商売目的のフェザーン人以外はあまりいないでしょうから、なおのこと「帝国に入るための入国管理」は徹底しておく必要性があるわけです。
しかし「帝国から出国する」となればそんな心配は全くないわけですし、亡命者達の件にしても、余程の事情でもない限り彼らはかつて一回入国してきたフェザーン商人の艦船に乗りこんでいるわけですから、それほどチェックも厳しくなかったのでは? あまり商人に対する監視を強化すると、フェザーン商人とフェザーン自治政府の帝国に対する態度が硬化してしまう恐れがありますから、それほどチェックを厳しくもできないのですよ。フェザーン商人と関係のある帝国内の商人や貴族からの圧力もあったでしょうしね。
したがって、入国と出国とでは帝国の管理体制が違ったのではないでしょうか。
それから共和主義者に対する取締りの件ですが、いくら社会秩序維持局が共和主義者を監視し、取締らなければならないとはいえ、何も全ての共和主義者を捕まえてくる必要性もないわけですよ。「処分の手間」がかかりすぎますし、そもそも現実問題としてそんな事はまず物理的に不可能ですから。
ですから、彼らが捕まえなければならない共和主義者とは、
1. 実際に帝国に対するテロ・ゲリラ活動を行った実行犯
2. 1の実行犯に指示を下した共和主義者の教唆犯ないしは組織的リーダー格
3. 密告によって挙げられた共和主義者
4. 社会秩序維持局の捜査官にマークされた共和主義者
(3・4には無実の人間も含まれる)
といったところでしょう。そして必要な時期に彼らを捕まえ、社会秩序維持局の存在感をアピールすれば、それで社会秩序維持局や帝国の面目も保てますし、共和主義者に対する示威・威嚇・抑止活動としても充分な効果を発揮します。
もちろん、上記に挙げた共和主義者たちは絶対に逃してはいけません。彼らの逃亡を許してしまったら社会秩序維持局や帝国政府の面目まる潰れですから、彼らに対しては何ら容赦なく捜査の手が加えられ、検挙されていった事でしょう(それでも逃亡に成功した者はいるかもしれませんが)。
しかし特に前科もなく、帝国の目をはばかって自分の意見表明を何ら行っていない「隠れ共和主義者」たちや「潜在的な不満分子」には、さしもの社会秩序維持局といえども手の出しようがないでしょう。彼らを検挙する理由が全くないですし、しょっちゅうそんなことをやってるような余裕もないですからね。だからそのような人達には監視の目は緩く、したがって亡命もしやすかったというわけです。
もっとも亡命者に対する威嚇として、時々思い出したように艦船に対する大規模かつ徹底的な臨検や共和主義者の大量検挙などがあったのかもしれません。警察の「ねずみ取り」のようなものと同じであると考えれば分かりやすいでしょうか。あまり効果があったとは思えませんけど。
冒険風ライダーさん
> 平松さんが挙げているのは「フェザーンへの」ではなく「帝国への」入国管理や税関ですね。これはむしろありえる事ですよ。帝国へ入りこもうとする同盟やフェザーンあたりの不穏分子やスパイなどを摘発するためにも、また帝国が掲げている単一国家としての矜持にかけても「帝国へ入る人間に対する入国管理」は厳重に行う必要性があります。そもそも帝国から出国・亡命していく者はたくさんいるでしょうが、わざわざ入国しようとするような人間は商売目的のフェザーン人以外はあまりいないでしょうから、なおのこと「帝国に入るための入国管理」は徹底しておく必要性があるわけです。
> しかし「帝国から出国する」となればそんな心配は全くないわけですし、亡命者達の件にしても、余程の事情でもない限り彼らはかつて一回入国してきたフェザーン商人の艦船に乗りこんでいるわけですから、それほどチェックも厳しくなかったのでは? あまり商人に対する監視を強化すると、フェザーン商人とフェザーン自治政府の帝国に対する態度が硬化してしまう恐れがありますから、それほどチェックを厳しくもできないのですよ。フェザーン商人と関係のある帝国内の商人や貴族からの圧力もあったでしょうしね。
> したがって、入国と出国とでは帝国の管理体制が違ったのではないでしょうか。
入国時のチェックが厳しいのならば、出国のチェックを厳しくした所でフェザーン側の反発が生じるとは考えにくいのでは?出国時にしても、亡命者の摘発以外にも機密漏洩の防止やスパイ網の連携への牽制など、厳重なチェックを行う大きなメリットはあると思うのですが。
> それから共和主義者に対する取締りの件ですが、いくら社会秩序維持局が共和主義者を監視し、取締らなければならないとはいえ、何も全ての共和主義者を捕まえてくる必要性もないわけですよ。「処分の手間」がかかりすぎますし、そもそも現実問題としてそんな事はまず物理的に不可能ですから。
> ですから、彼らが捕まえなければならない共和主義者とは、
>
> 1. 実際に帝国に対するテロ・ゲリラ活動を行った実行犯
> 2. 1の実行犯に指示を下した共和主義者の教唆犯ないしは組織的リーダー格
> 3. 密告によって挙げられた共和主義者
> 4. 社会秩序維持局の捜査官にマークされた共和主義者
> (3・4には無実の人間も含まれる)
>
> といったところでしょう。そして必要な時期に彼らを捕まえ、社会秩序維持局の存在感をアピールすれば、それで社会秩序維持局や帝国の面目も保てますし、共和主義者に対する示威・威嚇・抑止活動としても充分な効果を発揮します。
> もちろん、上記に挙げた共和主義者たちは絶対に逃してはいけません。彼らの逃亡を許してしまったら社会秩序維持局や帝国政府の面目まる潰れですから、彼らに対しては何ら容赦なく捜査の手が加えられ、検挙されていった事でしょう(それでも逃亡に成功した者はいるかもしれませんが)。
> しかし特に前科もなく、帝国の目をはばかって自分の意見表明を何ら行っていない「隠れ共和主義者」たちや「潜在的な不満分子」には、さしもの社会秩序維持局といえども手の出しようがないでしょう。彼らを検挙する理由が全くないですし、しょっちゅうそんなことをやってるような余裕もないですからね。だからそのような人達には監視の目は緩く、したがって亡命もしやすかったというわけです。
> もっとも亡命者に対する威嚇として、時々思い出したように艦船に対する大規模かつ徹底的な臨検や共和主義者の大量検挙などがあったのかもしれません。警察の「ねずみ取り」のようなものと同じであると考えれば分かりやすいでしょうか。あまり効果があったとは思えませんけど。
第六巻のP195ではブルームハルトが「祖父は単なる不平屋だったのに、共和主義思想家という事にされ帝国内務省に捕らわれて獄死した」と言っていますので、内務省内の社会秩序維持局は結構節操なく、証拠もなしに「共和主義者」を摘発していたのではないでしょうか。そもそも他者を監視し、抑圧する事を目的として設立された組織が些細な事例でそんな慎重に共和主義者の摘発にあたっていたでしょうか?充分な証拠もなく他者に罪を着せるのこういった組織(特高やゲシュタポなど)ではよくある事なのでは?むしろノルマ達成のために偏執的に共和主義者を摘発していた可能性が高く、ささやかな情報にも過敏になっていたと思うのですが(でなければ密告を奨励している意味がない)。
<入国時のチェックが厳しいのならば、出国のチェックを厳しくした所でフェザーン側の反発が生じるとは考えにくいのでは?出国時にしても、亡命者の摘発以外にも機密漏洩の防止やスパイ網の連携への牽制など、厳重なチェックを行う大きなメリットはあると思うのですが。>
それだと帝国の貴族や皇族までが亡命できている事の説明がつかないのですよ。特に「機密漏洩の防止」という点では、彼らが亡命する事の方がよっぽど帝国にとって深刻な事態を招来させてしまうではないですか。何しろ彼らはかつて「帝国の中枢」にいて、帝国の内情についての詳細な情報を握っているはずなのですから。その彼らが大量に亡命できている事自体、帝国の出国チェックがそれほど厳しくなかった(あるいは「臨検側の規律が緩かったために相当に手が抜かれていた」)という何よりの証明でしょう。
それに亡命者を輸送する立場にある亡命者輸送業者達(よく考えてみたら、これは何もフェザーン商人だけであるとは限りませんね。帝国内の商人や亡命者を斡旋する「蛇頭」のような非合法的組織などもあったでしょうし)も帝国の臨検や捜索に対する対処のノウハウぐらいは身につけているでしょうし、臨検する側も亡命者輸送業者達からの賄賂や贈与に相当な期待をかけていたはずです。まあこんな事を期待する事自体、帝国政府や帝国軍の規律が相当に緩んでいる証明なのですけど、こんな事情があれば、余程重大な非常事態(重大事件の指名手配犯が逃走中で、彼らを逃すと自分たちの責任が問われかねないとか)でもない限り、出国に関しては臨検がおざなりで、そこを亡命者輸送業者達に巧妙に突かれてしまうために、大量の亡命者が出た可能性が高いのではないでしょうか。その程度の才幹を亡命者輸送業者達に期待しても良いはずです(でないと商売になりません)。
表面だけは厳しいように見えるが実態はいくつもの抜け道がある、というのはよくある事です。帝国の亡命者取締りの事例もそれに当てはまるのではないでしょうか。
<第六巻のP195ではブルームハルトが「祖父は単なる不平屋だったのに、共和主義思想家という事にされ帝国内務省に捕らわれて獄死した」と言っていますので、内務省内の社会秩序維持局は結構節操なく、証拠もなしに「共和主義者」を摘発していたのではないでしょうか。そもそも他者を監視し、抑圧する事を目的として設立された組織が些細な事例でそんな慎重に共和主義者の摘発にあたっていたでしょうか?充分な証拠もなく他者に罪を着せるのこういった組織(特高やゲシュタポなど)ではよくある事なのでは?むしろノルマ達成のために偏執的に共和主義者を摘発していた可能性が高く、ささやかな情報にも過敏になっていたと思うのですが(でなければ密告を奨励している意味がない)。>
私が言っているのが「全ての共和主義者を摘発するのは物理的に不可能である」という事にあるのは分かっていただけているのでしょうか? それに私は「隠れ共和主義者」とか「潜在的な不満分子」といった言葉を使っていたではないですか。公然と運動していたり、あるいは密告や社会秩序維持局に何らかの形でマークされているような人間であればともかく、そうでない者が自分の正体を隠すのはそれほど困難な事ではありません。ましてや、言論の自由がない帝国では「表面的には帝国に忠誠を誓っているフリをして実は……」という処世術を身につけていた人間も多かったでしょうしね。人間の内心なんてそんな簡単に分かるものでもないでしょう。
いくら社会秩序維持局が辣腕を振るったところで、彼らのような人間を全部監視・摘発するのは現実的にも物理的にも不可能です。彼らにできる事は、それがどのような形であれ(もちろんこれは「密告や捜査員の主観に基づいた摘発」も含まれます)、あくまでも「表面に出てきた容疑者」を監視・摘発する事だけなのですよ。そして、その辺りの隙を突いて「隠れ共和主義者」や「潜在的な不満分子」達が大量に同盟に亡命していったと私は考えているのですが。
冒険風ライダーさん
> それだと帝国の貴族や皇族までが亡命できている事の説明がつかないのですよ。特に「機密漏洩の防止」という点では、彼らが亡命する事の方がよっぽど帝国にとって深刻な事態を招来させてしまうではないですか。何しろ彼らはかつて「帝国の中枢」にいて、帝国の内情についての詳細な情報を握っているはずなのですから。その彼らが大量に亡命できている事自体、帝国の出国チェックがそれほど厳しくなかった(あるいは「臨検側の規律が緩かったために相当に手が抜かれていた」)という何よりの証明でしょう。
果たして亡命者の中に機密を握っている皇族や貴族がどれだけいたのでしょうか?エルウィン・ヨーゼフ二世やマンフレート亡命帝は亡命時は幼少で自由意志で亡命した訳ではありませんし、門閥貴族で亡命にフェザーン経由で亡命した人物についての記述は記憶にありません。フリードリヒ四世の弟であるクレメンツは長兄であるリヒャルト皇太子を冤罪に陥れたのが発覚した為、同盟に亡命しようとしましたが、途中「偶然の事故」で死亡しています(おそらく謀殺)。おそらくは「帝国の中枢」にいた帝位継承権の高い皇族や門閥貴族の亡命の成功率は低かったでしょうが、皇族の庶流や中級以下の貴族は、平民と大して変わらない確率で亡命出来たのでは?むしろ資金やつてなどで、平民よりも有利であったとも考えられます。シェーンコップの祖父母は男爵家の傍流で、友人の借金の保証人になって破産してしまい亡命したのですが、その時も親戚が旅費を提供していますし。
> それに亡命者を輸送する立場にある亡命者輸送業者達(よく考えてみたら、これは何もフェザーン商人だけであるとは限りませんね。帝国内の商人や亡命者を斡旋する「蛇頭」のような非合法的組織などもあったでしょうし)も帝国の臨検や捜索に対する対処のノウハウぐらいは身につけているでしょうし、臨検する側も亡命者輸送業者達からの賄賂や贈与に相当な期待をかけていたはずです。まあこんな事を期待する事自体、帝国政府や帝国軍の規律が相当に緩んでいる証明なのですけど、こんな事情があれば、余程重大な非常事態(重大事件の指名手配犯が逃走中で、彼らを逃すと自分たちの責任が問われかねないとか)でもない限り、出国に関しては臨検がおざなりで、そこを亡命者輸送業者達に巧妙に突かれてしまうために、大量の亡命者が出た可能性が高いのではないでしょうか。その程度の才幹を亡命者輸送業者達に期待しても良いはずです(でないと商売になりません)。
> 表面だけは厳しいように見えるが実態はいくつもの抜け道がある、というのはよくある事です。帝国の亡命者取締りの事例もそれに当てはまるのではないでしょうか。
わずかずつの人数での亡命ならともかくとして、100~1000人単位の大量亡命の成功率はそれほど高くないのではないかと思うのですが。それだけの大量亡命を頻繁に許してしまう時点で、臨検する側の責任がいつかは厳しく問われてしまうのでは?
> 私が言っているのが「全ての共和主義者を摘発するのは物理的に不可能である」という事にあるのは分かっていただけているのでしょうか? それに私は「隠れ共和主義者」とか「潜在的な不満分子」といった言葉を使っていたではないですか。公然と運動していたり、あるいは密告や社会秩序維持局に何らかの形でマークされているような人間であればともかく、そうでない者が自分の正体を隠すのはそれほど困難な事ではありません。ましてや、言論の自由がない帝国では「表面的には帝国に忠誠を誓っているフリをして実は……」という処世術を身につけていた人間も多かったでしょうしね。人間の内心なんてそんな簡単に分かるものでもないでしょう。
> いくら社会秩序維持局が辣腕を振るったところで、彼らのような人間を全部監視・摘発するのは現実的にも物理的にも不可能です。彼らにできる事は、それがどのような形であれ(もちろんこれは「密告や捜査員の主観に基づいた摘発」も含まれます)、あくまでも「表面に出てきた容疑者」を監視・摘発する事だけなのですよ。そして、その辺りの隙を突いて「隠れ共和主義者」や「潜在的な不満分子」達が大量に同盟に亡命していったと私は考えているのですが。
無論、全ての共和主義者を逮捕・監視するのが物理的に不可能だという事は承知しています。にしても、「隠れ共和主義者」や「潜在的な不満分子」は、いかに内心を秘めていても他の一般市民よりも挙動や発言の違いが微妙に生じてくるでしょうし、完全に他者の不審の目から正体を隠し通せる程の演技力を保ち続ける事が出来るでしょうか?出来る人物がいたとしてもありふれてはいないでしょう。自分が先に示したブルームハルトの祖父の例に見られる社会秩序維持局の偏執ぶりや密告が奨励されていた事を考えれば、「隠れ共和主義者」や「潜在的な不満分子」が、わずかな尻尾を見せただけでも反応を示しそうに思うのですが…。
そもそも「隠れ共和主義者」や「潜在的な不満分子」といった人々が「一斉に」亡命しようという動きを起こした時点で社会秩序維持局にマークされてしまうのではないでしょうか。
お二人の亡命問題に関する議論に私も参戦(笑)。
まず、出入国といいますが、基本的に帝国は他の国を認めていません。
同盟はあくまで「帝国内の叛乱勢力」ですし、
フェザーンも「帝国内自治領」です。
さらにフェザーンに駐在するのが「高等弁務官」であるのも注目すべきです。
もともと弁務官は自治領や保護国に対して置かれるものです。
大使とは違います。大使(特命全権大使)は外交使節ですが、
弁務官は自治領の政治・外交を指導する役人なのです。
これらのことから、帝国がフェザーンとの人の行き来をどう捉えていたかはおおよそ想像できると思います(これはかつての大英帝国とその自治領との行き来と同様なものではないでしょうか)。
ですから、外国に対するような出入国管理が行なわれていたかは疑問です。
次に亡命者の流れですが、
まず、帝国内の諸惑星→フェザーンへの移動が一点目。
次にフェザーン→同盟領への移動が二点目。
一点目ですが、チェックポイントは二つ。
フェザーンに入国するときのフェザーン宇宙港。
次に、フェザーン行きの船に乗り込むときの諸惑星の宇宙港。
前者はフェザーン自治政府の管轄ですから、
帝国政府自らが手を出すことは出来ませんので、
厳しい管理はそもそも無理です。
後者は上段理由により、厳しい管理にも限度があります。
さらに、もともと「他国」が存在し得ないのですから、
各宇宙港の管理室は国内の犯罪者の移動を防ぐために設置されたものと見るのが妥当でしょう。
したがって、最初から対亡命者としての機能が無く、
帝国本土と自治領の関係から、フェザーン政府発行の正式旅券などがあり、かつ指名手配でもされてなければ、それ以上の審査は不可能でしょう。
二点目は航路の臨検以外手がありませんが、
それほど熱心だったとは思えません。
フェザーンの裏の副業として亡命者移送業の他に三角貿易があります。
もし、帝国が本気でこれら人とモノの流れを止めたいと思うなら、
フェザーン回廊同盟側出口の航路を臨検すればよく(航路なんて決まり切っているから容易なはず)、
大量に捕捉できたはずです(のちに明らかになりますがフェザーン回廊は非武装中立という明文はない)。
したがって、フェザーン→同盟領への移動は、
帝国内の諸惑星→フェザーンへの移動よりなお簡単だったのではないでしょうか。
また、フェザーンの存在自体が、帝国の建前論の隙間に立脚し、
その立場を利用して暴利を得ていたことに注意すべきです。
帝国本土へのその手の働きかけ(臨検等を厳しくしないよう根回しするとか)も当然行なわれていたでしょう。
以上の理由から、私は亡命は比較的容易であったと考えます。
また、一斉亡命の件も帝国内の諸惑星→フェザーンは大人数では無理があるでしょうが、
一度フェザーンに到達してしまえば、フェザーン→同盟領はまとめて移送することも可能だったのではと思います(臨検の有様については、ユリアンが地球に赴くときに書類を見るだけで立ち入り検査をしない情景がありました。おそらく、フェザーン回廊内の臨検もあのような体たらくだったと思われます)。
もっともそれでも千人単位は無理があるように思いますが。
問題は帝国政府の亡命者に対する態度です。
これは帝国内共和主義者の活動とも関連するのですが、
帝国末期において亡命者は犯罪者・没落貴族の占める割合が高く、
まともに取り締まる気を起こさせなかったのではないでしょうか。
共和主義者を逃がしたとあれば、同盟を利するだけですが、
犯罪者・没落貴族ならせいぜい厄介者払いができたという認識で済むでしょう。
(情報の漏洩に関しては、平松さんの言うとおりだと思います。
貴族といっても全てが要職に付いているわけではありません。
帝国軍三長官とかの要職にでも付いていなければ、亡命者一人が持っている情報量にも限度があります。
ましてや平民、あるいは平民に近いレベルならまったく痛痒を感じないでしょう)
おそらく真の共和主義者はルドルフ死後の叛乱失敗と、
ダゴン星域会戦直後の大量亡命でほとんどいなくなり、
末期の帝国内の共和主義者とは、共和主義に名を借りた犯罪組織か似非アングラ組織しかなかったのではないでしょうか。
(なお、大量亡命はダゴン直後にのみ可能だったと思われます。
この時まで帝国は同盟の存在を知らなかったわけですから、止める手立てがないです)
ですから社会秩序維持局も、単なる不平屋を共和主義者だといって捕まえなければならないほどだったのでは?
だからこそ社会秩序維持局に対する憎悪が高かったのでは?
(まともに共和主義者を摘発していたのなら、どうしてリヒターやブラッケのような開明派が非難するのでしょうか。ラングの「職務に忠実」とは、社会秩序維持局という組織を維持する職務という意味だったのでは?)
以下、冒険風ライダーさんの意見に対して少し。
>ちなみにこれは銀英伝2巻に書いてあったのですが、貨物船で客を「貨物」として登録・輸送すれば、
>客船の十分の一以下の旅費で宇宙船に乗れるのだそうです(その代わり、人命補償なども一切ありませんが)。
>そのようなテを使えば、値段の方もそれほどはかからなかった事でしょう。
あれは地球に向かう巡礼団とか、帝国領内の移動に関する話ではなかったですか?
亡命にそのまま適用できるとは思えません。
それなりに容易であったとはいえ、やはりリスクを伴うのですから(やはり非合法行為なのですから)、
高額な手数料を取ったと思います。
ただ、輸送形態に伴う若干の上下(隠し部屋で一人を運ぶのとコンテナにすし詰めにするのでは違うでしょうね)はあったと思いますが、
格安になることはなかったでしょう(現実にコンテナすし詰めの密入国者は結構な手数料取られています)。
>それに亡命者を輸送する立場にある亡命者輸送業者達(よく考えてみたら、
>これは何もフェザーン商人だけであるとは限りませんね。帝国内の商人や
>亡命者を斡旋する「蛇頭」のような非合法的組織などもあったでしょうし)
帝国内の諸惑星→フェザーンへは競合する商人や組織があったと思いますが、
ことフェザーン→同盟領へはただフェザーン商人のみが移動可能です。
ですからその点においてフェザーンは暴利を得ることが可能ではないでしょうか。
う~ん、Merkatzさんに亡命問題の大半がうまくまとめられてしまった(^^;;)。
帝国・フェザーン・同盟の入出国事情と社会秩序維持局の事情に関しては異論はありません。それらについてはMerkatzさんの意見が一番筋が通っているように思われます。
ところで、この論争の過程ですっかり区別が曖昧になってしまっていたのですが、一口に「亡命問題」といっても「ダゴン星域会戦直後」と「それ以降」とでは亡命の実情が全然違うでしょうから、この2つは別々に論じる必要性がありますね。
そんなわけで、それぞれ場合分けして論じてみる事にしましょう。
1. ダゴン星域会戦直後の亡命事情
この時期はダゴン星域会戦による帝国軍の敗北によって帝国内の共和主義者の亡命気運が活発になっていて、帝国内の不平分子も含めてかなりの数の亡命志望者が存在していたものと思われます。
また当時の帝国内では、極めて短期間にマクシミリアン・ヨーゼフ一世・グスタフ「百日帝」と2人もたて続けに皇帝が入れ替わった事に象徴されるように、ダゴン星域会戦の敗北による影響と宮廷内の皇位争いによって内政的にもかなり混乱しており、この時期は同盟への亡命者に対する対処などまともに講じる余裕などなかったのではないかと思われます。
このような事情から、当時の帝国では亡命者輸送業を商売とする組織が乱立し、多くの亡命者を大量に輸送しつつ、帝国軍に監視されているイゼルローン回廊を使わずに同盟に辿り着ける回廊探しのために様々な試行錯誤が繰り返されたものと考えられます。フェザーン回廊が発見されたのもその時の副産物でしょう。
ダゴン星域会戦当時はまだフェザーン自治領は存在しておりません。フェザーン自治領が成立したのは、帝国の支配体制がとりあえず安定し、同盟に対して一度も軍事侵攻を行うことがなかったマクシミリアン・ヨーゼフ2世の時代であると考えられます(銀英伝の中でも「フェザーンの歴史は100年そこそこ」と言われていましたから、時期的にもちょうど一致します)。
マクシミリアン・ヨーゼフ2世の時代の後半あたりになると帝国の支配体制も次第に安定していき、また大量亡命者対策がある程度整備された事や平民階級に対する善政が行われた事もあって、帝国内における亡命気運も次第に下火になっていったものと思われます。
したがって、ダゴン星域会戦直後からマクシミリアン・ヨーゼフ2世の統治時代の半ば辺りの頃までが同盟への大量亡命が可能であった時期であり(だいたい約10年ぐらいでしょうか)、この時期に帝国内の大半の共和主義者や不平分子が同盟に亡命していったと考えられます。
2. それ以降の亡命事情
帝国の支配体制がとりあえず安定し、また大半の共和主義者たちが初期のラッシュ時に同盟へ亡命していったものの、まだまだ帝国内には慢性的に共和主義者や不平分子が発生する余地が充分過ぎるほどにあります。何しろ平民階級は常に貴族階級に対する不満を抱えていましたし、貴族階級はその平民階級に対する苛烈な圧政を展開していましたから、貴族の圧政に耐えかねた平民階級から同盟への亡命志望者が発生する余地はいくらでもあったわけです。
また下級・中級クラスの貴族階級もまた、様々な事情から同盟への亡命を希望する者も多かった事でしょう。あるいは帝国政府から指名手配された犯罪者が亡命を希望するケースもあったかもしれません(もっとも、そのような人物はさすがにマークされていたでしょうけど)。したがって、亡命に対する需要はかつてのピーク時ほどではないにせよ、まだまだ充分にあったと見るべきです。
亡命についての入出国事情等についてはMerkatzさんの説明で充分だと思いますので、問題なのは「その時期に一斉亡命が可能であったか?」という事だけですね。これについては、
1. 銀英伝世界における艦船はかなり大きく(全長400~1000mくらい?)、
艦内に隠蔽工作のための仕掛けが施しやすいこと
2. 銀河帝国全体の人口(約250億)からすれば、500~1000名クラスの
集団亡命はあまり大したものでないと考えられていた事
で説明できるのではないでしょうか。
日本の不法入国者の入国手口について少し調べてみたのですが、一隻の漁船や貨物船の中に50~100人ほどの密航者が潜伏していて、しかも彼らは巧妙に隠された船内の隠し部屋等に隠蔽されているというケースも多いそうです。そうであるのならば、それよりもはるかに大きい銀英伝世界の艦船で、500~1000人くらいの人間を隠すための仕掛けを施すことは技術的にはそれほど難しいことでもないでしょう。
また、銀河帝国の人口250億の観点から見ると、500~1000というクラスの集団はそれほど脅威にも映らないのではないでしょうか。500~1000という数字は、現代からするとかなりの集団であるように見えますが、全人口400億で、それもたった3つの国家しかなく、しかも大きな宇宙艦船が飛び交っている銀英伝世界においてはそれほど多い人数であるとも思われず、「たかが500~1000」と帝国側が考えたとしても別におかしくないのでは?
また、これは以前にも言った事ですが、一回の航行で多くの亡命志望者達を乗せたほうがコストパフォーマンスも上昇し、乗せる側にとっても効率が良くなるという要素もあります。むしろ少ない人数の方が却って効率が悪く、亡命者輸送業者にとって大損になってしまう可能性が高いのではないでしょうか。
<あれは地球に向かう巡礼団とか、帝国領内の移動に関する話ではなかったですか?
亡命にそのまま適用できるとは思えません。
それなりに容易であったとはいえ、やはりリスクを伴うのですから(やはり非合法行為なのですから)、
高額な手数料を取ったと思います。
ただ、輸送形態に伴う若干の上下(隠し部屋で一人を運ぶのとコンテナにすし詰めにするのでは違うでしょうね)はあったと思いますが、
格安になることはなかったでしょう(現実にコンテナすし詰めの密入国者は結構な手数料取られています)。>
私は単純に「居住空間」のみを問題にしていましたから「非合法的行為に基づく手数料」という要素は入れ忘れていました。確かにこれを入れるとそれなりの高額になってしまいますね。
ただそれでも、亡命者を大量に輸送する事によって一人当たりのコストをある程度下げる事は可能であると思いますが。
冒険風ライダーさん
> う~ん、Merkatzさんに亡命問題の大半がうまくまとめられてしまった(^^;;)。
> 帝国・フェザーン・同盟の入出国事情と社会秩序維持局の事情に関しては異論はありません。それらについてはMerkatzさんの意見が一番筋が通っているように思われます。
同感です(^^;;;)。Merkatzさんにうまくまとめて頂けましたね。
> 1. ダゴン星域会戦直後の亡命事情
については、充分に蓋然性がある説明だと思いますので特に異論はありません。
> 2. それ以降の亡命事情
> 帝国の支配体制がとりあえず安定し、また大半の共和主義者たちが初期のラッシュ時に同盟へ亡命していったものの、まだまだ帝国内には慢性的に共和主義者や不平分子が発生する余地が充分過ぎるほどにあります。何しろ平民階級は常に貴族階級に対する不満を抱えていましたし、貴族階級はその平民階級に対する苛烈な圧政を展開していましたから、貴族の圧政に耐えかねた平民階級から同盟への亡命志望者が発生する余地はいくらでもあったわけです。
> また下級・中級クラスの貴族階級もまた、様々な事情から同盟への亡命を希望する者も多かった事でしょう。あるいは帝国政府から指名手配された犯罪者が亡命を希望するケースもあったかもしれません(もっとも、そのような人物はさすがにマークされていたでしょうけど)。したがって、亡命に対する需要はかつてのピーク時ほどではないにせよ、まだまだ充分にあったと見るべきです。
> 亡命についての入出国事情等についてはMerkatzさんの説明で充分だと思いますので、問題なのは「その時期に一斉亡命が可能であったか?」という事だけですね。これについては、
>
> 1. 銀英伝世界における艦船はかなり大きく(全長400~1000mくらい?)、
> 艦内に隠蔽工作のための仕掛けが施しやすいこと
> 2. 銀河帝国全体の人口(約250億)からすれば、500~1000名クラスの
> 集団亡命はあまり大したものでないと考えられていた事
>
> で説明できるのではないでしょうか。
> 日本の不法入国者の入国手口について少し調べてみたのですが、一隻の漁船や貨物船の中に50~100人ほどの密航者が潜伏していて、しかも彼らは巧妙に隠された船内の隠し部屋等に隠蔽されているというケースも多いそうです。そうであるのならば、それよりもはるかに大きい銀英伝世界の艦船で、500~1000人くらいの人間を隠すための仕掛けを施すことは技術的にはそれほど難しいことでもないでしょう。
> また、銀河帝国の人口250億の観点から見ると、500~1000というクラスの集団はそれほど脅威にも映らないのではないでしょうか。500~1000という数字は、現代からするとかなりの集団であるように見えますが、全人口400億で、それもたった3つの国家しかなく、しかも大きな宇宙艦船が飛び交っている銀英伝世界においてはそれほど多い人数であるとも思われず、「たかが500~1000」と帝国側が考えたとしても別におかしくないのでは?
確かに250億人という人口から考えれば、1000人という数は大した事はないでしょうけど、それでも単純に考えれば1000人という数は大きく、前にも言った様に頻繁に見逃してしまうとなれば臨検する現場の人間が帝国の上層部から「平民どもが何人逃げようが痛痒など感じないが現場の責任は問わねばならない」という論法でいつかは責任を取らされるでしょうから、むしろ帝国の上層部よりも臨検を行う現場の人間が大量亡命の阻止に懸命だったかもしれません。
>また、これは以前にも言った事ですが、一回の航行で多くの亡命志望者達を乗せたほうがコストパフォーマンスも上昇し、乗せる側にとっても効率が良くなるという要素もあります。むしろ少ない人数の方が却って効率が悪く、亡命者輸送業者にとって大損になってしまう可能性が高いのではないでしょうか。
いくらコストパフォーマンスを高めるためとはいえ、500~1000人以上も乗せてはリスクが大きすぎるでしょう。せいぜい100人ぐらいなら利益も充分でしょうし、リスクもそこそこで済むでしょうから、乗せる側としては利益の際限ない拡大よりも、慎重に自らの保身を優先させたのでは?でなければ長い期間無事に亡命者運送業なんて商売を続けられるはずもありませんし。
<確かに250億人という人口から考えれば、1000人という数は大した事はないでしょうけど、それでも単純に考えれば1000人という数は大きく、前にも言った様に頻繁に見逃してしまうとなれば臨検する現場の人間が帝国の上層部から「平民どもが何人逃げようが痛痒など感じないが現場の責任は問わねばならない」という論法でいつかは責任を取らされるでしょうから、むしろ帝国の上層部よりも臨検を行う現場の人間が大量亡命の阻止に懸命だったかもしれません。>
中国などは日本に大量の不法入国者を送り込んでいる国のひとつですが、あの国が不法入国を斡旋している「蛇頭」などに対する取締りを本格的に行っているなどという話は聞いた事がありません。少数民族の反乱を弾圧したり、言論の自由が一切認められていないあの中国でさえこのありさまなのです。「蛇頭」が一体どれだけ多くの中国人たちを海外に脱出させているか、彼らが知らないはずがないにもかかわらずですよ?
帝国の場合もこれと同じで、自分達に反抗するのであればともかく、ただ単に逃亡していくだけであるのならば、せいぜい表面に出てきた事件を摘発してある程度の示威行為を行うだけで、それほど厳しい監視の目を向けてはいなかったのではないでしょうか。10万人クラスの大量亡命でもあればさすがに本格的に摘発せざるをえないでしょうが、1000人なんて帝国の人口比率からすれば大した人数でもないのですし。
それと「平民どもが何人逃げようが痛痒など感じないが現場の責任は問わねばならない」というのは意味がよく分かりません。帝国政府が大量亡命に何ら痛痒を感じないのであれば、そもそも現場の責任を問う必要性もまたなくなってしまうのではないかと思うのですけど、なぜこんな論法が出てくるのか説明していただけませんか?
<いくらコストパフォーマンスを高めるためとはいえ、500~1000人以上も乗せてはリスクが大きすぎるでしょう。せいぜい100人ぐらいなら利益も充分でしょうし、リスクもそこそこで済むでしょうから、乗せる側としては利益の際限ない拡大よりも、慎重に自らの保身を優先させたのでは?でなければ長い期間無事に亡命者運送業なんて商売を続けられるはずもありませんし。>
銀英伝世界においては、帝国から同盟まで移動するのにかかる時間が最低1ヶ月以上かかります。ということは亡命者輸送業者が亡命志望者を搭載して彼らを同盟に到着させるるまでにかかる時間は、往復で最低2ヶ月以上、場所によっては半年近くかかってしまう事もあるかもしれません。
これから考えると、格安で亡命志望者を大量に輸送しようとするのであれば、むしろ一度の宇宙航行で最低500~1000人程度は輸送していかないと却って亡命者輸送の過程で損害が出てしまう可能性がありますし、そもそも供給が需要に追いつかなる事態さえ起こりえます。そうなればただでさえ高い亡命費用がますます高騰し、一般の平民が同盟に亡命する事が全くできなくなってしまうかもしれないのです。これでは亡命者輸送業が全然商売にならなくなってしまいます。
それに銀英伝の艦船事情からも、500~1000人程度の人数を隠蔽することは技術的にそれほど困難なわけではないのですから、亡命者輸送業者達は採算性を取るためにも、むしろ積極的に大量亡命に荷担していったと考えるのが自然なのではないでしょうか。
初めて書きこみさせていただきます。
よろしくお願いします。
冒険風ライダーさんは書きました
> 銀英伝世界においては、帝国から同盟まで移動するのにかかる時間が最低1ヶ月以上かかります。ということは亡命者輸送業者が亡命志望者を搭載して彼らを同盟に到着させるるまでにかかる時間は、往復で最低2ヶ月以上、場所によっては半年近くかかってしまう事もあるかもしれません。
> これから考えると、格安で亡命志望者を大量に輸送しようとするのであれば、むしろ一度の宇宙航行で最低500~1000人程度は輸送していかないと却って亡命者輸送の過程で損害が出てしまう可能性がありますし、そもそも供給が需要に追いつかなる事態さえ起こりえます。そうなればただでさえ高い亡命費用がますます高騰し、一般の平民が同盟に亡命する事が全くできなくなってしまうかもしれないのです。これでは亡命者輸送業が全然商売にならなくなってしまいます。
> それに銀英伝の艦船事情からも、500~1000人程度の人数を隠蔽することは技術的にそれほど困難なわけではないのですから、亡命者輸送業者達は採算性を取るためにも、むしろ積極的に大量亡命に荷担していったと考えるのが自然なのではないでしょうか。
ふと思ったのですが、
帝国の「亡命輸送業者」が
数百人から千人規模の亡命者を集めるさい、
いったいどのような手段を使ったのでしょうか?
帝国から同盟へ人を運ぶにしても、
それをいったんどこかの惑星で積まなければならない。
ヴェスターラントの例を持ち出すまでもなく
一般の平民が貴族領の惑星から脱出することは
まずほとんど不可能だと思いますし、
そうなると「亡命輸送業者」は各惑星を巡って
亡命希望者を拾っていかなければならない。
これはコストとリスクが大きくかさむ行為ですから
冒険風ライダーさんがおっしゃるような大量輸送には向いていません。
この点はどうお考えでしょうか?
# 貴族が運営する貴族領の「領民」と
# 帝国(皇帝)が運営する直轄地の「臣民」とでは
# 帝国内の旅行の自由に大幅な違いがあり、
# 「臣民」はわりと楽に亡命できたのかもしれませんが…。
# 銀英伝の中で貴族領の平民と直轄地の平民とで
# 待遇に格差があったという記述を見かけた記憶は
# 残念ながら無いのですけれども。
なんだか美味しいところを摘み食いしたような気分(笑)。
これが横レスの奥義か!?
>1. ダゴン星域会戦直後の亡命事情
そうですね。
あと、私、すっかりフェザーン成立とダゴン星域会戦の順番を忘れていました。(^^;;
>2. それ以降の亡命事情
>「その時期に一斉亡命が可能であったか?」
問題が絞られてきましたね。
># 貴族が運営する貴族領の「領民」と
># 帝国(皇帝)が運営する直轄地の「臣民」とでは
># 帝国内の旅行の自由に大幅な違いがあり、
># 「臣民」はわりと楽に亡命できたのかもしれませんが…。
># 銀英伝の中で貴族領の平民と直轄地の平民とで
># 待遇に格差があったという記述を見かけた記憶は
># 残念ながら無いのですけれども。
また、初カキコの方から以上のような疑問も出ましたので、
帝国領内の移動の自由について、ちょっと推測してみたいと思います。
まず、領民と臣民で差があったかどうかは、そのような記述はなかったと私も思います。
宇宙航行が常態化した世界で、移動の禁止を前提としたというのも有り得ないと思いますので、
おそらく、帝国領内の移動は自由だったのではないでしょうか。
もし移動を禁じれば、親戚に会いに行くことすら出来なくなってしまいますから。
(同盟とフェザーンではあるが、親戚が別惑星に居住する例としてイワンとボリスのコーネフ一家の例がある)
ただ、IDカードみたいなものはあったのでは?
(アメリカとかがそうですよね?なんて言うんでしたっけ?)
自分が誰の何兵衛で、何惑星のものだという事が記載してあるカードが全帝国民必携だったとしてもおかしくありません。
それで各惑星の宇宙港におけるチェックをしていたのではないでしょうか。もちろん、それを見せて宇宙船のチケットも買うわけです。
このように、各帝国惑星間の移動が普通のことであったとするならば、
亡命業者が各惑星に亡命者を拾いに行くという事をしなくてもいいわけです。
旅行と称してフェザーンに移動すれば済むことですから。
ただ、どうしてもフェザーンへ移動できない人の為に特別に現地まで赴くことはあったでしょう。
犯罪者であるとか、大集団だとか、皇族の亡命とか。
そうすると、亡命業といっても、ほとんどフェザーン→同盟領の移動であり、
帝国内の移動はほとんど関係ないことになります。
つまり、亡命者は(旅行などを装って)フェザーンまで赴いた後、しかるべき筋を通して亡命業者と連絡。
亡命業者はある程度の人数に達したら、日時を連絡して移送、という手順を踏んだのではないでしょうか。
また、亡命業者の船が、亡命者「だけ」を載せていると考えるのは実は間違いかも知れません。
つまり、実際に荷物を積んでいれば、書類の上でも「貿易のため」とかなんとか真っ当な理由が付きますし、
万が一臨検されても、船倉に実際に荷物があるわけですから怪しまれずに済みます。
また、これなら、荷物を運ぶついでに亡命者を運ぶことになりますから、
亡命者が一人でも全然損にはなりません。
そうすると亡命業というのはかなり美味しい商売だったと言えるでしょう。
つまり、亡命者がいないときは、普通の商船として荷物の搬送にあたり、
亡命者がいるときは、プラス亡命手数料が「通常の荷物を運ぶついでに」儲かるわけです。
もちろん、違法行為ですからリスクは負いますが、当の帝国がほとんど取り締まりに関心がないものですから、
臨検されるのはかなり「運が悪い」ことだったのではないでしょうか。
また、亡命者移送業がそのように易い仕事だったからこそ、
ボリス・コーネフのような一見まともな商船ですら、ユリアン達を運ぶという仕事を引き受けたのではないでしょうか。
(少なくともまったくノウハウの無いことなら、ボリスがそのような仕事を引き受けるはずがない。
以前から亡命者を移送していたから、依頼を引き受けたのだろう)
まとめますと、2つに分かれると思います。
1.亡命者がフェザーンまで移動出来る場合
旅行としてフェザーンまで移動。しかるのち亡命業者と連絡。
業者は都合の良い日を後に連絡。
この場合、同じ客が集まるまで待つこともあり。
ただし、それでも数週間以内か?
最低一人でも移送。
表向きは貨物の運送。実際に同盟領に荷物を送り届ける。こちらは表の仕事。
亡命業者は正規の仕事料に、亡命手数料まで儲かる。
(ボリス・コーネフ等、ほとんどの業者がこれにあたると思われる。
また、このような形で亡命できる帝国人は借金問題で夜逃げとか、
家族問題で亡命を薦められたとか、
きわめて個人的問題絡みだと思われる)
2.亡命者がフェザーンまで移動出来ない場合
フェザーン商船自らが該当惑星まで移動。
やはり表向きは貨物の搬送。
ただし、当該惑星向けの貨物が都合よく有るとは限らないので、
その時々の状況によりお出迎え料金に高低あり。
後は当該帝国惑星→フェザーン→同盟領と「貨物の搬送」を装って移動。
ただし、この場合はある程度の大人数か、さもなくば大貴族で大金を出せるかでもないと、
採算に合わないだろう。
ここまでやれるのは、かなり腕に自身がある亡命業者だけだろう。
(エルウィン・ヨーゼフ二世の亡命に関わったボーメル船長は、こちらだろう。
なんとこの時はオーディンからフェザーンまで送り届けている。しかも同盟領ではなく「フェザーンまで」だったことを考えると、
実は帝国領内を移動する事の方が遥かに難しいことだったのだろう。
なぜならお出迎えパターンということは、そもそも当局にチェックされてフェザーンに自ら赴けないわけであり、
そのような人物を当局の目を盗んでフェザーンまで送り届けることは、
まさに亡命と呼ぶにふさわしい難事であったろう。
おそらく臨検とは、当局にチェックされた人物を密かに運んでいないかどうかを「帝国領内で」監視するものだったのではないか。
そしてこのようなパターンを取る亡命者とは、皇族・大貴族・犯罪者であろう)
それからひょっとしたらフェザーン回廊の臨検はまったく行なわれていなかった可能性もあります。(特に同盟側出口)
なぜなら、そもそも同盟領方向に船を動かすこと自体が理由の如何に関わらずアウトのはずです。
同盟領は、帝国の辺境でありますが帝国臣民は住んでいないからです。
叛徒しかいない辺境に、荷物だろうが何だろうが持っていくこと自体がおかしいわけですから。
それに一応、フェザーン回廊が戦場になることもないわけですから、
哨戒する必然もありませんし。
冒険風ライダーさん
> 中国などは日本に大量の不法入国者を送り込んでいる国のひとつですが、あの国が不法入国を斡旋している「蛇頭」などに対する取締りを本格的に行っているなどという話は聞いた事がありません。少数民族の反乱を弾圧したり、言論の自由が一切認められていないあの中国でさえこのありさまなのです。「蛇頭」が一体どれだけ多くの中国人たちを海外に脱出させているか、彼らが知らないはずがないにもかかわらずですよ?
> 帝国の場合もこれと同じで、自分達に反抗するのであればともかく、ただ単に逃亡していくだけであるのならば、せいぜい表面に出てきた事件を摘発してある程度の示威行為を行うだけで、それほど厳しい監視の目を向けてはいなかったのではないでしょうか。10万人クラスの大量亡命でもあればさすがに本格的に摘発せざるをえないでしょうが、1000人なんて帝国の人口比率からすれば大した人数でもないのですし。
うーん、中国と銀河帝国では事情がまた異なるのではないでしょうか。ご存知の通り中国は人口が12億人と、地球上の全人口の5分の1を占めるほどで、一人っ子政策など人口増加の抑止に様々な手を取っていますので、むしろある程度の大量の人口流出は願ったりかなったりなのではないでしょうか。それに対し銀河帝国はかつて3000億人いた人口が9割以上も失われたのですから、おそらくは人口増加は多産少死の形態で帝国政府も人口増加を奨励していたと思われ、例え「わずか」数千~数万人単位でも人口流出は歓迎すべき事ではなかったのでは?年に平均二回の割合の戦闘で何十万人も死んでいるという事もありますし。
> それと「平民どもが何人逃げようが痛痒など感じないが現場の責任は問わねばならない」というのは意味がよく分かりません。帝国政府が大量亡命に何ら痛痒を感じないのであれば、そもそも現場の責任を問う必要性もまたなくなってしまうのではないかと思うのですけど、なぜこんな論法が出てくるのか説明していただけませんか?
この場合は、「痛痒を感じない」というのは帝国政府の要職についている上流貴族達の心情の事を指して書いたつもりだったのですが、説明不足でした。ですが、組織的に考えれば1000人単位の大量亡命を頻繁に看過してしまうのは明らかに責任を問われるべき事であり、上層部としては、内心はともかく組織の威信と運営の為にも綱紀粛正のために現場の人間に処罰を下さざるを得ないのではないか、という事です。いわゆる「痛痒を感じないという心情」が「私」で、「現場の責任を問わざるを得ないという判断」が「公」という事です(小林よしのりみたいな論法になってしまいましたね(^^;))。
> 銀英伝世界においては、帝国から同盟まで移動するのにかかる時間が最低1ヶ月以上かかります。ということは亡命者輸送業者が亡命志望者を搭載して彼らを同盟に到着させるるまでにかかる時間は、往復で最低2ヶ月以上、場所によっては半年近くかかってしまう事もあるかもしれません。
> これから考えると、格安で亡命志望者を大量に輸送しようとするのであれば、むしろ一度の宇宙航行で最低500~1000人程度は輸送していかないと却って亡命者輸送の過程で損害が出てしまう可能性がありますし、そもそも供給が需要に追いつかなる事態さえ起こりえます。そうなればただでさえ高い亡命費用がますます高騰し、一般の平民が同盟に亡命する事が全くできなくなってしまうかもしれないのです。これでは亡命者輸送業が全然商売にならなくなってしまいます。
> それに銀英伝の艦船事情からも、500~1000人程度の人数を隠蔽することは技術的にそれほど困難なわけではないのですから、亡命者輸送業者達は採算性を取るためにも、むしろ積極的に大量亡命に荷担していったと考えるのが自然なのではないでしょうか。
それでも頻繁に500~1000人単位の輸送は、定員の数倍に達する数ですから、いくらなんでも無理があるでしょう。食料や酸素も大量に消費されるわけですから、わずかな日数の内に頻繁に補給を行わねばならず、それによって発覚する可能性も高まるのでは?隠し倉庫や酸素供給システムなどの設備を整えるにしても金がかかりますし、それによって臨検の目を引く可能性もあるのではないでしょうか。
snow-creamさんに対する返答を考えている間に、また例によってMarketsさんに上手くまとめられてしまった(^^;;;)。そんなわけで私は少々の補足ぐらいしかする事がなくなってしまいましたが、とりあえず返答しておきましょう。
>平民階級の帝国国内移動事情
これについては私もMarketsさんと同じ意見で、平民階級でも帝国領土内における移動すること自体は自由であったと思います。商人や輸送業者の船に乗りこんで移動する事に関してはそれほどの制約があったとは考えられませんし、そのような記述もありません。
ただ一方で、普通の平民階級にとって宇宙船は手に届かない非常に高価なものだったでしょうし(平民が独自の宇宙船を所有しているという描写が全くない)、帝国政府もまた艦船運営のノウハウを独占して平民階級が独自に宇宙船を持つ事を制限していたでしょうから、平民が自分の力のみで惑星から脱出する事はほとんど不可能で、必然的に亡命はフェザーン商人や帝国の商人、それに「蛇頭」のような非合法的な亡命斡旋業者達の力を借りる事になります。
ヴェスターラントのような事例では、惑星の治安の悪化を懸念した商人や業者たちが惑星から離れていたために一隻の宇宙船すら惑星上に存在せず、そのため叛乱を起こした平民階級は惑星から脱出できなかったのでしょう。
>大量亡命の事情
亡命者輸送業の実態が従来の商売との兼業であるというMarketsさんの意見は私もその通りであると思います。エルウィン・ヨーゼフ2世を輸送したボーメル船長の場合も「貨物と四人の密航者をおろした」(銀英伝4巻 P83)という描写もありましたし。
ただ、亡命者を亡命者輸送業者が拾っていくという事に関しては、実は惑星上の亡命者を拾い上げるために、何も亡命者輸送業者の船自らがいちいち惑星に下りる必要性もないのではないでしょうか。商船が進む航宙航路を亡命者が待っている惑星の近くを通るように設定し、惑星上から別の船に亡命者を乗せて出発させ、その船と宇宙でピンポイント会合して搭載するという手段を何回も繰り返して亡命者を集めていけば良いのです。これは「蛇頭」が不法入国者たちを日本に輸送する際によく使う「乗り換え」手段の改良版なのですけど。
これなら惑星に散らばっている亡命者を搭載するためにいちいち惑星上に降りる手間も省けますし、リスクもかなり分散させる事ができます。ついでにその時に亡命者に対する肉体的・精神的なケアや食糧補給なども一緒に行えば一石二鳥ですね。ひとりではなく大量に亡命者を輸送するとなれば、こちらの方がはるかに効率的でしょう。そしてそのようにしてフェザーンに到着する頃には、船に搭載されている亡命者達の数が500~1000人クラスにまで膨れ上がっているというわけです。
あと、ひとつの惑星上で事前に何百人もの亡命志望者を(もちろん非公然に)徴募しておいて、船が惑星上に到達し、出発する頃を見計らって集合させ、一気に搭載させてしまうという手も結構使えます。特に貴族が苛烈な圧政を行っている惑星などは、一万人単位で亡命志望者がいたとしても全然不思議ではないですしね。この場合は惑星内で亡命者を集め、匿い、情報をやり取りするための組織を惑星内に常駐させておく必要がありますが、「時間厳守で船をすみやかに発進させる事ができる」という点ではかなり有効な手段です。この場合も補給などは宇宙空間における他船とのピンポイント会合にて行います。
フェザーンまで旅行者を装って移動するという方法は私も考えたのですが、この方法はあまりにも簡単すぎると思ったので却下したんですね(^^;;)。まあこれができるのであれば大量亡命についていちいち難しく考える必要もないわけですけど。
>平松さん
<中国と銀河帝国では事情がまた異なるのではないでしょうか。ご存知の通り中国は人口が12億人と、地球上の全人口の5分の1を占めるほどで、一人っ子政策など人口増加の抑止に様々な手を取っていますので、むしろある程度の大量の人口流出は願ったりかなったりなのではないでしょうか。それに対し銀河帝国はかつて3000億人いた人口が9割以上も失われたのですから、おそらくは人口増加は多産少死の形態で帝国政府も人口増加を奨励していたと思われ、例え「わずか」数千~数万人単位でも人口流出は歓迎すべき事ではなかったのでは?年に平均二回の割合の戦闘で何十万人も死んでいるという事もありますし。>
実は銀河帝国における「何十万単位」という死傷者の人口比率は、日本の人口に対する交通事故死亡者率よりも少ないんですよね。はっきり言って一万分の一以下の割合でしかありません。その程度の死傷率で帝国の人口基盤を揺るがすような事態はありえないのではないでしょうか。ましてや「たかが亡命者1000人を逃す」程度では……。
しかも亡命志望者達は帝国政府の立場から見れば「叛逆者に荷担する連中」にしか見えないでしょうから、亡命者を捕らえたところでせいぜい「見せしめのために処刑する」とか「強制労働させる」ぐらいしか使い道がないでしょう。そうなると、捕らえるだけ労力の無駄でしかありません。
さらに帝国の犯罪者に対する刑法体系は中国のような「九族皆殺し」の方式を採用していますから、ひとりの亡命者を捕らえると、その家族や親戚などまでまとめて刑罰(場合によっては処刑)を科さなければならなくなってしまいます。「人口保全」の観点から見ればこちらの方が却ってヤバイのでは?
<それでも頻繁に500~1000人単位の輸送は、定員の数倍に達する数ですから、いくらなんでも無理があるでしょう。食料や酸素も大量に消費されるわけですから、わずかな日数の内に頻繁に補給を行わねばならず、それによって発覚する可能性も高まるのでは?隠し倉庫や酸素供給システムなどの設備を整えるにしても金がかかりますし、それによって臨検の目を引く可能性もあるのではないでしょうか。>
前にも言いましたが、銀英伝世界における艦船は全長400~1000mにまで達していて、現実世界における豪華客船などよりもはるかに大きいものなのです。そのような巨大な艦船における定員がたったの100~200人程度でしかないというのは少しおかしくはありませんか? 今時カーフェリーだって300人と20台の自動車程度は搭載できるでしょう。このような事情からすると、銀英伝世界における艦船の収容限界人数は最低でも3000~6000前後はあるのではないでしょうか。それからいくと、1000人という数字は船の搭載量からしてもそれほど多い人数であるというわけでもないのですよ。
それに「隠し倉庫や酸素供給システムなどの設備を整えるにしても金がかか」るというのであれば、むしろその元を取るためにも大量の亡命者を輸送しなければならないでしょう。しかも元を取ってしまったら後は儲け一辺倒ではないですか(まあ整備費用が若干かかるでしょうけど)。
大量の亡命者を隠蔽するための技術的手段は艦船の大きさと搭載量が解決してくれるでしょう。だからその点に関してはあまり心配はいらないのでは?
食糧補給については上の「大量亡命の事情」を見てください。