初代管理人の本論5 関連議論集4

「画一的教育」という問題の本質

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コンテンツの総収録投稿数32件の内、28~32件目の投稿を掲載

収録投稿28件目
board4 - No.565

初めまして

投稿者:えたな
2001年08月13日(月) 05時00分

教科書問題を検索していて、たまたまこのサイトを見つけま
した。田中芳樹さんの本は、銀英伝・外伝全巻、創竜伝11巻
以外の既刊全巻、及び「夏の魔術」シリーズ既刊全巻を所持
してます。
ほぼ、10年くらい前からの読者で、これからも未完作品で所
持しているシリーズの続編は買い続けると思います。
と、いっても田中作品全肯定派ではないつもりですが。
このサイトを見て、漠然と感じていた不満が、精密に解説さ
れていてとても勉強になりました。とても良いサイトだと思
います。

管理人さんの本論を読ませていただいて、全体的な趣旨には
ほぼ同感できるのですが、一点のみ、ちょっと気になりまし
たので、のこのこ出てきました。

本論5の教育理論に関するもので、

>要は彼はこういいたいのであろう。
>「文部省は子供の個性を圧殺して、画一化することを企んでいる。

という部分ですが、文部省が画一化することを企んでいるかどうか
はともかく、文部(科学)省が教育に関する権利を独占していること
によって、日本の教育が画一的であるのは間違いの無い事実だと思い
ます。
また、その教育の「画一的過ぎる」ことが、現在生じているさまざま
な教育問題の主要な原因になっていると、私は思っています。
この掲示板の趣旨から外れた教育論にになってしまうので、これく
らいにしますが、浅学な私の教育論はおくとしても、

>(前略)人間が多様であるように教育も多様であるはずだ。のび
>のび教育とかスパルタ教育とかいろいろなやりかたがある。花を
>育てるにしても、寒い地方で春に咲く花と、熱帯雨林に咲く花と
>を、同じ栽培法で育てるわけにはいかない。

というのは、素晴らしい考え方だと思いますし、論旨にも誤りは無い
と思います。

また、後半部分の「ぴるる」という表現が、本当に子供の教育にと
ってのぞましいかどうかという問題ですが、それも人によって考え
方は色々だと思います。子供の内はキチンとした定型表現を覚える
べき、と考える人も当然いるでしょうが、そんなことは無いと考え
る人もいるはずです。一番の問題は、文部科学省が決定することに
よって選択の余地がなくなることだと思います。
そもそも、教科書検定が本当に必要なのか、という議論もあるわけで、
イギリス人の教師に「何故、日本は自由に好きな教科書を使うことが
できないのか」と質問されたこともありました。イギリスのように
検定を無くして、国民が自由に教科書を選べるようにする、という選
択肢が「悪」ということは無いと思います。
ので、この部分に関する田中芳樹氏の文部省批判の叙述は、それほど
荒唐無稽なものではないと思うのです。

無論、小説の中に教育評論を入れることについての是非についてや、
引用しているのに出典を書かないのはパクリだという批判については、
は同感です。ですから、その部分についてのみ、批判が展開されていた
なら、私も気にならなかったのですが。

ただ、この評論に関しては、内容が良い(私の理想の教育論に近い)
だけに、他のトンデモ評論と「その内容までも」が同列に扱われている
のが残念です。
これに関しては、評論の中身についてはまともだと思うのですが、
どうでしょうか。ひょっとして、細かい教育論になってこの掲示
板の趣旨から外れていたらすみません。お手数ですがご削除くださ
い。

収録投稿29件目
board4 - No.566

Re:初めまして

投稿者:本ページ管理人
2001年08月13日(月) 12時04分

こんにちは。はじめまして。

> という部分ですが、文部省が画一化することを企んでいるかどうか
> はともかく、文部(科学)省が教育に関する権利を独占していること
> によって、日本の教育が画一的であるのは間違いの無い事実だと思い
> ます。
> また、その教育の「画一的過ぎる」ことが、現在生じているさまざま
> な教育問題の主要な原因になっていると、私は思っています。

 文部省が画一的だと言うことですが、これは確かにその通りなのです。
 但し、田中芳樹が意図しているのとはまったく違った意味で、ですが。
 田中芳樹はゆとり教育やら子どもの創造性やらを、今もっとも声高に言い立てているのが、文部省(作品に合わせてあえて旧称を使います)であるという事実にほおかむりしています。
 田中芳樹が妄想するのとは違って、「多様性」や「創造性」を「画一的」に押し付けられるポルポト的矛盾が、画一的教育の本質でしょう。
 この点、文部省も日教組も現代思想の大枠を守ろうとしている時点ではまったく一致しています。
 繰り返しますが、教育の画一性はその通りです。しかし、それを文部省がウヨッキーな軍国主義思想を画一的に押し付けていると解釈していることが決定的にダメなのです。

> 一番の問題は、文部科学省が決定することに
> よって選択の余地がなくなることだと思います。
> そもそも、教科書検定が本当に必要なのか、という議論もあるわけで、
> イギリス人の教師に「何故、日本は自由に好きな教科書を使うことが
> できないのか」と質問されたこともありました。イギリスのように
> 検定を無くして、国民が自由に教科書を選べるようにする、という選
> 択肢が「悪」ということは無いと思います。
> ので、この部分に関する田中芳樹氏の文部省批判の叙述は、それほど
> 荒唐無稽なものではないと思うのです。

 教科書検定については、検定によってダメージをもっとも受けているのが、いわゆる「つくる会の教科書」である現在の事実が、田中芳樹(竜堂司)の評論が彼の頭の中の妄想日本の中でしか通用しないことを物語っていますね。
 ちなみに、私個人は教科書検定廃止に賛成です。

> >(前略)人間が多様であるように教育も多様であるはずだ。のび
> >のび教育とかスパルタ教育とかいろいろなやりかたがある。花を
> >育てるにしても、寒い地方で春に咲く花と、熱帯雨林に咲く花と
> >を、同じ栽培法で育てるわけにはいかない。
> い。

これは別に問題ないとは思うんですが、共和学園の教育自体が寒い地方の花をむりやり暖かい地方(ほのぼの教育)の育て方で育てようと固執しているように思えてなりません。
一回でも、寒冷地の栽培法(スパルタ教育)が肯定されたことがあったでしょうか。

収録投稿30件目
board4 - No.569

Re:初めまして

投稿者:えたな
2001年08月13日(月) 18時15分

どうも、初めまして。お忙しいところ、私の些細なこだわりに、丁寧にお答え
下さいまして、ありがとうございます。

>  文部省が画一的だと言うことですが、これは確かにその通りなのです。
>  但し、田中芳樹が意図しているのとはまったく違った意味で、ですが。

つまり、日教組的極左ゲリラ集団?としての画一性が文部省の本質的問題で
あるのに、軍国主義的ファシスト集団としての画一性という架空の画一性を
でっち上げているところに問題があるわけですね。

>  田中芳樹はゆとり教育やら子どもの創造性やらを、今もっとも声高に言い立てているのが、文部省(作品に合わせてあえて旧称を使います)であるという事実にほおかむりしています。
>  田中芳樹が妄想するのとは違って、「多様性」や「創造性」を「画一的」に押し付けられるポルポト的矛盾が、画一的教育の本質でしょう。

すみません、田中芳樹さんの妄想までは読み切れていませんでした。
今の文部省の問題は、おっしゃる通り、ゆとりの押し付け、創造性の
押し付け、全ての生徒に対する、ありとあらゆる公平平等な押し付け。
補助金と許認可権を人質に、すべての学校に文部省印の平等金太郎飴的
教育方法を押し付け、他の教育方法を完全に排除している点にあります。
この体制から多様性など、間違っても生じる筈がありません。
この体制下で生じるものは、画一性と怠慢(退廃でもよし)だけです。
規制緩和と地方分権、どこの分野も似たような改革が必要ですが、
教育分野における改革は特に大急ぎでやらないと、怖いことになると
でしょうね。余談でした。

>  この点、文部省も日教組も現代思想の大枠を守ろうとしている時点ではまったく一致しています。
>  繰り返しますが、教育の画一性はその通りです。しかし、それを文部省がウヨッキーな軍国主義思想を画一的に押し付けていると解釈していることが決定的にダメなのです。

この文を読んだ後、創竜伝6巻18ページの引用部分の前後を読んで、やっと本論5で
何が問題点なのか、やっと理解できました。遅すぎ。
私の認識では、今の文部省が左よりという意識はあまり無かったもので。(右よりと
も思ってませんでした。ただのOOと思ってました)
ゆとりと創造性重視も、左的思想からというより、一般の声に形式上迎合
したからかと思ってました。

>  教科書検定については、検定によってダメージをもっとも受けているのが、いわゆる「つくる会の教科書」である現在の事実が、田中芳樹(竜堂司)の評論が彼の頭の中の妄想日本の中でしか通用しないことを物語っていますね。
>  ちなみに、私個人は教科書検定廃止に賛成です。

まあ、でも、結局検定通ったわけですから、田中芳樹氏は、文部省=「軍国主義的ファシストの集団」
とする考えを強固にしたのでは?
文部省の陰謀で、採択に反対する選定委員がクビになったとか書いてくれそうな気がします。
ここの常連さんなら、創竜伝13巻で今回の教科書問題がどのように描写されるか、面白
くて、精緻なシュミレーションが可能でしょうね。

> これは別に問題ないとは思うんですが、共和学園の教育自体がは寒い地方の花をむりやり暖かい地方(ほのぼの教育)の育て方で育てようと固執しているように思えてなりません。
> 一回でも、寒冷地の栽培法(スパルタ教育)が肯定されたことがあったでしょうか。

これは、共和学園内でほのぼのとスパルタの二種類の教育方法があっても良いという
意味ではないと、私は解釈しています。
ほのぼの教育をする学校もあれば、スパルタ教育をする学校もあって良い、という意味
なのではないでしょうか。大事なのは、自分にとってどちらの教育が向いているか、
「選択できる」ということだと思います。

勿論、竜堂司はスパルタ教育否定派であり、自分の学園でスパルタ教育
を施すことなど認めないでしょうし、ほのぼの教育が理想であり、それに
固執しておられるはずです。
ただ、スパルタ教育を行う他の学校がもしあっても、その学校の教育方針
を否定することは無い、という意味なのではないでしょうか。
その根拠としては、創竜伝6巻17ページからの竜堂司のセリフなどが
挙げられると思います。以下引用します。

「はやりすたりで教育事業をおこなっているわけではない。他の学校も
同じようにしろといっているわけでもない。うちにはうちの教育方針が
あって、それに賛成してくれる人が通ってきてくれる。それを変えよう
とは思わんよ」

今、現実の世界で、「共和学園」や「スパルタ学園」などを作ろうとしても
おそらく文部省が学校として認可してくれないし、補助金も下りないでしょう。
まぁ、スパルタやほのぼのの程度次第では可能かもしれませんが。

少なくとも、全部の教師が竜堂始のようであるような「共和学園」や
答えを間違えたら竹刀でケツをどつかれ、不真面目な態度を取ろうものなら
全身を乱打されるような「スパルタ学園」(中学時代に通っていた塾がこう
でした)は許可されないでしょうね。

色々な学校があって、もし入った学校が自分に合わなくても、いくらでも
別の選択肢があり、どこかに自分に合った学校がある、というのはとても
素敵な教育環境だと思うのです。

ですから、本論5で、管理人さんが引用された部分「だけ」を素直に
読むとですね、次の二点に要約されていると思ったのです。

・文部省は画一的教育を押し付ける悪の存在である。
・多種多様な教育のあり方が理想である。

良いこといってるのに、なんで批判されるのかな、と思ったわけです。
右向き画一教育か、左向き教育画一教育かというのは、引用部分だけ
では分かり難かった(私にとっては)です。

強く要望するわけではありませんが、私のような社会問題音痴の田中
芳樹カブレの読者にも、問題点が良く分かるよう、何か付記されては
いかがでしょうか。まぁ、こんな馬鹿は私くらいかもしれませんが。

長文にお付きあいさせてしまってすみませんでした。

収録投稿31件目
board4 - No.572

Re:初めまして

投稿者:本ページ管理人
2001年08月16日(木) 11時39分

>つまり、日教組的極左ゲリラ集団?としての画一性が文部省の本質的問題で
>あるのに、軍国主義的ファシスト集団としての画一性という架空の画一性を
>でっち上げているところに問題があるわけですね。

前半はちょっと違いますね。右か左かと言う問題ではありません。(現代思想の
枠内にいる限り)右も左もさして違わないということです。
だから、相手を貶すためには件のようなほおかむりをしなければいけないわけで、
その意味から、後半の架空の画一性についてはその通りです。

>これは、共和学園内でほのぼのとスパルタの二種類の教育方法があっても良いという
>意味ではないと、私は解釈しています。
>ただ、スパルタ教育を行う他の学校がもしあっても、その学校の教育方針
>を否定することは無い、という意味なのではないでしょうか。

よしんば、もしその通りだとしても、「学校と刑務所の区別が付いていない云々」とい
う類の表現が頻出する創竜伝だけに説得力があまり無いんですよね…
これも一種の、地の文評論の悪影響でしょうか。

>強く要望するわけではありませんが、私のような社会問題音痴の田中
>芳樹カブレの読者にも、問題点が良く分かるよう、何か付記されては
>いかがでしょうか。まぁ、こんな馬鹿は私くらいかもしれませんが。

いえいえ、ご意見ありがとうございます。

収録投稿32件目
board4 - No.575

Re:初めまして

投稿者:えたな
2001年08月17日(金) 00時20分

> 前半はちょっと違いますね。右か左かと言う問題ではありません。(現代思想の
> 枠内にいる限り)右も左もさして違わないということです。

ここでおっしゃられている現代思想というのは、いわゆる戦後民主主義とか、ゴーセンの小林
よしのり氏がおっしゃるところの「うすらサヨク的思想」のことという解釈でよろしいでしょうか。
すみません「現代思想の枠」というのが理解し難かったみたいです<自分

> よしんば、もしその通りだとしても、「学校と刑務所の区別が付いていない云々」とい
> う類の表現が頻出する創竜伝だけに説得力があまり無いんですよね…
> これも一種の、地の文評論の悪影響でしょうか。

今の問題校は刑務所とゆうより、動物園と化しているようで、上記のような評論は的外れな
上に、古くなりすぎましたね。

おっしゃる通り、田中芳樹さんの思想体系から想像すると、説得力は無いかもしれません。

ただ、この部分に関しては、引用文のみを読めば、非常に立派なことをおっしゃってるんで、
勿体無いと私は思ってしまいます。「田中芳樹を憎んで、正論を憎ます」みたいな気分です。

創竜伝の他の部分も、これくらい立派なことを書いていたらそれほど問題はない気がしますが、
今となっては、朝日的論調の安易な評論が、私でも多少鼻につくところがあります。
(数年前まで私自身、スタンス的には毎日新聞的?な思想でした)

低レベルなお話にお付き合いいただき、有難うございました。

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