http://homepage3.nifty.com/hirorin/yanagida09.htm
<そもそもトール・ハンマーは一撃で何隻の戦艦を沈められるのだろうか?
原作1巻では「イゼルローン要塞主砲群の直撃をうけた百余隻は、瞬時にして消滅した」という描写がある。「1000隻」ではなく100隻なのだ。このことから、原作版のトール・ハンマーは少なくとも100門以上の砲から構成されていると思われる。>
山本氏は上記の引用を根拠にして「トール・ハンマーが一撃で沈められるのは100隻」と断定していますが、山本氏が引用した記述には続きがあります。
黎明篇第五章Ⅳ(ノベルズ版1巻P132下段)
<爆発が生じたのはその後方、帝国軍の第二陣、あるいは直撃を受けなかった左右の艦列においてであった。さらにその外側に位置していた艦も膨大なエネルギーの余波を受けて無秩序に揺れ動いた。>
上の引用文を見ていただければ、直撃を受けて消滅した艦以外にも、直撃を免れたものの爆発した艦が多数存在する事が描写されている事がお分かりいただけると思います。つまりトゥールハンマーの一撃で「消滅」したのは確かに「百余隻」ですが、「沈められ」たのは爆発した艦を含めればもっと多いのです(当初は「直撃を受けて消滅した艦」のみを取り上げ、「直撃を免れたものの爆発した艦」は山本氏はカウントしていないのか?とも思ったのですが、「そもそもトール・ハンマーは一撃で何隻の戦艦を沈められるのだろうか?」と、はっきり明記していますのでこの解釈も成り立ちませんね)。
さらに分かりやすいのが、ヤン不正規隊によるイゼルローン再奪取作戦時の下記の記述です。
怒濤篇第五章Ⅲ(ノベルズ版7巻P120上段)
<一月一二日、ルッツは麾下の全艦隊をひきいてイゼルローン要塞を進発した。艦艇数一万五〇〇〇隻以上>
怒濤篇第五章Ⅳ(ノベルズ版7巻P126上段)
<九億四二〇〇万メガワットのエネルギーが全開放されて五秒にもみたぬ間に、ルッツ艦隊は全兵力の一割を永久に失い、さらに一割を傷つけている。直撃をこうむった艦は乗員もろとも気化し、その外側に位置した艦は爆発し、さらに外側の艦では内部で火災を発生させ、乗員は恐慌にわしづかみされつつ消火に狂奔した。>
これを見れば、ルッツ艦隊はトゥールハンマーの一撃で「百余隻」どころか全兵力の一割(約1500隻)を失っています。
それに要塞と攻撃対象である艦隊との距離や、艦隊の陣形及びその厚みなどの諸条件によってトゥールハンマーによる被害数も変化するでしょうし、「そもそもトール・ハンマーは一撃で何隻の戦艦を沈められるのだろうか?」という疑問への答えが「100隻」というのは変なのではないでしょうか?
>平松さん
科学考証メインの話ということもあって、今まであまり関心がなかったのですが、件のコラムをよくよく読んでみると、他にもおかしいと思しき箇所がいくつかありますね。
<そもそも宇宙戦艦に最高速度があるというのが変だ。空気抵抗のない宇宙空間では、エネルギーの許す限り、宇宙船は加速を続けられる。限りなく光速に近づけるはずではないか。
たとえば原作1巻には、接近中の同盟軍艦隊について、キルヒアイスが「距離二二〇〇光秒、このままの速度ですと、約六時間後に接触します」と報告するシーンがある。二二〇〇光秒とは6億6000万km。それを6時間で移動できるのだから、同盟軍艦隊は少なくとも時速1億1000万km出せることになる。当然、帝国軍戦艦も同程度の性能があるだろう。>
こんなことを言っていますけど、実は銀英伝の作中にはこんな記述があったりするんですよね↓
銀英伝2巻 P125下段
<彼の旗艦の前には、グエン・バン・ヒュー少将の指揮する三〇〇〇隻の集団が息を潜めて攻撃命令を待っている。左右と後背に展開する味方も。
「彼我の距離、六・四光秒、キロにして一九二万……」
オペレーターの声も、ささやくように低い。
「敵はわが軍と垂直方向、右から左に移動しつつあり、速度は〇・〇〇一二光速、キロにして一秒間に三六〇〇、恒星系内速度限界にちかし……」
照明の抑えられた薄暗い艦橋内を、オペレーターの声の他は、わずかな呼吸音だけが支配している。>
一秒間に3600㎞の航行速度ということは、時速(3600秒)に換算して1296万㎞、光秒に変換すると43.2光秒で、なおかつこれが「恒星系内速度限界」とされています。
「宇宙戦艦に最高速度があるというのが変だ」「同盟軍艦隊は少なくとも時速1億1000万km出せる」という山本弘の主張は、またしても田中芳樹の「アルマゲドン並に頭の悪いバカな描写」によって裏切られているわけです(爆)。
<2つの要塞が「30万kmまで接近した」なんて説明は、アニメにはない。それどころか、イゼルローンの地平線越しにガイエスブルクが丸く見えるカットが何度もある。もし距離が30万km(地球-月間の距離の0・78倍)もあるなら、直径40km(月の直径の0・012倍)にすぎないガイエスブルクは点にしか見えないはずではないか。>
え~、銀英伝アニメ版でイゼルローンとガイエスブルクが対峙している図はこんなものらしいのですが↓
http://image.blog.livedoor.jp/tea_house/imgs/c/1/c17e2270.JPG
そして、銀英伝3巻の要塞対要塞におけるイゼルローンとガイエスブルク間の距離は、作中にもはっきりと描写されていまして↓
銀英伝3巻 P174下段
<ガイエスブルク要塞の中央指令室では、六〇万キロをへだてたイゼルローン要塞の姿をスクリーンにながめながら、総司令官カール・グスタフ・ケンプと副司令官ナイトハルト・ミュラーが会話をかわしている。>
30万㎞の距離で「ガイエスブルクは点にしか見えないはずではないか」などとイチャモンをつけている山本弘は、その倍の60万㎞先から視認しても点になっていないガイエスブルク移動要塞の、これまた「アルマゲドン並に頭の悪いバカな描写」についてどのように考えておられるのでしょうか(苦笑)。
こんな惨状で柳田理科雄氏のことを、
「どうもアニメ版の1巻と9巻しか見ていないらしいのだ」
「もちろん原作なんて読んでいない」
「彼にとって「検証」とは、「ありえない」とバカにすることなのだ」
などと罵倒したところで、「お前が言うな」としか言いようがありませんし、山本弘的理論から見て「アルマゲドン並に頭の悪いバカな描写」が乱立している銀英伝をアルマゲドンと同水準で罵倒しないのは、やはりダブルスタンダードでしかありえないのですけどね~(^-^)。
>科学考証メインの話
銀英伝に科学考証でツッコミ入れても仕方ない気がするんですけどね。柳田理科雄みたいに「ツッコミを笑いのネタ」にするくらいならともかく。真剣に罵倒している「大将軍様」のやること(しかも好き嫌いで作品を差別するし)は、さっぱり理解できないですな。「何で同じように他の作品を罵倒しないのだ」と逆にツッコミ入れられる危険性が分からんというのも、「自省する回路」がない人の習性なんですかねぇ。そういう意味では「大将軍様」もヨシーリン尊師も同じですか。
<こんな惨状で柳田理科雄氏のことを、
「どうもアニメ版の1巻と9巻しか見ていないらしいのだ」
「もちろん原作なんて読んでいない」
「彼にとって「検証」とは、「ありえない」とバカにすることなのだ」
などと罵倒したところで、「お前が言うな」としか言いようがありませんし、山本弘的理論から見て「アルマゲドン並に頭の悪いバカな描写」が乱立している銀英伝をアルマゲドンと同水準で罵倒しないのは、やはりダブルスタンダードでしかありえないのですけどね~(^-^)。>
まあ「『銀英伝』ファン」を自認していながらこれでは、「お前が言うな」とツッコまれても仕方がないでしょうね。
それにかつて山本氏は「トンデモ本の逆襲(宝島社文庫・と学会編・2000年)」のP319で、下のような文を書いています。
<スギヤマ氏は一三二ページで、「人を侮蔑する本を書く場合、嘘はもちろん調査不足は絶対に許されない」と書いている。まったくそのとおりである。>
「そのとおり」だと思うのなら、柳田氏を批判する前に「銀英伝の小説版を詳しく読み直す」くらいの「調査」はした方がよかったのではないかと思います(『銀英伝』ファン」を自認しているとあれば尚更です)。
>不沈戦艦さん
<銀英伝に科学考証でツッコミ入れても仕方ない気がするんですけどね。柳田理科雄みたいに「ツッコミを笑いのネタ」にするくらいならともかく。真剣に罵倒している「大将軍様」のやること(しかも好き嫌いで作品を差別するし)は、さっぱり理解できないですな。「何で同じように他の作品を罵倒しないのだ」と逆にツッコミ入れられる危険性が分からんというのも、「自省する回路」がない人の習性なんですかねぇ。>
まあ銀英伝を科学考証で考える、ということにもやり方次第では面白い物に仕上がるとは思うのですけど、あのキチガイ会長はただ単に柳田理科雄氏の論の揚げ足取りと人格攻撃に終始しているだけでしかありませんからね~。しかもそれでいて、自分はそれ以上の誤謬とダブルスタンダードを犯しまくっているのが何とも……(>_<)。
あんなのが「創作のプロ」を名乗り、他人の著書をトンデモ本認定していくその光景こそが、本当の意味での「創作活動全般に対する愚弄」ではないかと私は思うのですがね。
>平松さん
<「そのとおり」だと思うのなら、柳田氏を批判する前に「銀英伝の小説版を詳しく読み直す」くらいの「調査」はした方がよかったのではないかと思います(『銀英伝』ファン)を自認しているとあれば尚更です)。>
いや、あの大将軍様はちゃんと「調査」自体はしたと思いますよ。
何しろ、本人もこう主張していることですし↓
<僕は原作の該当箇所(新書版第3巻、文庫版だと5~6巻)を読み直し、アニメ版のビデオも見直したが、「両要塞間を、戦艦が2時間ぐらいで行き来していた」という記述を裏づける描写はまったく発見できなかった。またしても勝手な柳田設定である。>
つまり山本弘は、「原作の該当箇所(新書版第3巻、文庫版だと5~6巻)を読み直し、アニメ版のビデオも見直し」てもあの程度の検証しかできないのです(爆)。過去にもザ・コア論評の元となった作中描写が根本的に間違っていたこともありましたし、文章読解能力も作品観賞眼も根本的に欠落している山本弘の検証能力は「調査」をやってもあの程度、と考えるのが妥当な話ではありませんか(笑)。
それにしても、ここまで検証能力もないキチガイな自称SF作家に田中芳樹ファンを名乗られ、田中芳樹を擁護する論陣を展開されるのでは、当の田中芳樹もたまったものではないでしょうね。こんな「無能な味方」を抱え込む羽目になった田中芳樹に、私は心から同情せざるをえません(>_<)。
まあそれも、元を遡れば創竜伝8巻文庫版対談で山本弘とニコニコ対談などをやらかした田中芳樹の自業自得でしかないのですけどね。件の対談は、双方にとって甚大な不幸をもたらす結果にしかならなかったようです。
こちらには始めましてです。MOHです。
冒険風ライダー様のレスでなんとなく思い出しました。
>無能な味方
ほとんど、「味方につけば心細いが、敵に回せば面白い」スレイヤーズの白蛇のナーガですね。
山本氏の作品は「妖魔夜行」、「ラプラスの魔」、あと短編をいくつか読んだ程度ですが、SF,ファンタジーなら「悪くない」程度の作品は書けるんですよね。変なところに色気出さずに、切磋琢磨してくれれば、今でも追いかける作家の一人にはなったかもしれないのに、本の虫の一人として少し残念です。
>柳田理科雄氏の論の揚げ足取りと人格攻撃
「柳田理科雄のここが間違っているぞ!」くらいはいいんですよ。おかしなツッコミ入れていることもあります(ヤマトの波動砲の反動の話とかね。テレビ版ヤマト2の12話「ヤマト、空洞惑星に死す!?」の回で、波動砲の反動を吸収している「重力アンカー」なる謎の装置を切って、発射の反動でデスラーの罠の磁力線から脱出するエピソードがあるのに、柳田氏はそれは知らないらしく反動がどうのこうのというツッコミを入れてましたので)からね。いくら「先にやられて悔しい」からって、そこまで個人攻撃に走らなくてもいい気はしますけど、妬み嫉みを一旦持つと我慢がならない人格の人は、そういう風には考えられないんでしょうね。
<いや、あの大将軍様はちゃんと「調査」自体はしたと思いますよ。
何しろ、本人もこう主張していることですし↓>
いや、見た限りでは山本氏はノベルズ版の一巻と三巻辺りしか読み直していないとしか思えず、それでは「調査」と呼ぶに値しないと思ったので(^^;)。
>不沈戦艦さん
<「柳田理科雄のここが間違っているぞ!」くらいはいいんですよ。おかしなツッコミ入れていることもあります(ヤマトの波動砲の反動の話とかね。テレビ版ヤマト2の12話「ヤマト、空洞惑星に死す!?」の回で、波動砲の反動を吸収している「重力アンカー」なる謎の装置を切って、発射の反動でデスラーの罠の磁力線から脱出するエピソードがあるのに、柳田氏はそれは知らないらしく反動がどうのこうのというツッコミを入れてましたので)からね。いくら「先にやられて悔しい」からって、そこまで個人攻撃に走らなくてもいい気はしますけど、妬み嫉みを一旦持つと我慢がならない人格の人は、そういう風には考えられないんでしょうね。>
山本弘の場合、柳田理科雄氏がやっている「作品の設定を無視して科学考証を行う」という手法を、口では批判しておきながら、実際には自分も全く同じことを柳田理科雄氏をはるかに上回る醜悪さでやっている上、恣意的な基準を用いてそれを適用したりしなかったりというダブルスタンダードをやらかしているのが問題なんですよね。肝心要の作品検証能力もあのザマですし。
何よりも、柳田理科雄氏は山本弘の空想科学読本批判の本も含めた外部からの批判を受け入れ、作中の記述について訂正を行うだけの度量があります。対する大将軍様が己に向けられた批判についてどういう態度を取るかといえば、もう言うまでもないわけで(苦笑)。
ネタを振った本人として二つほど紹介します。前回の書き込みの後、久しぶりに読み返したくなり、以前買った小説誌の箱をひっくり返してみたところ、すんなり見つかったのがあるので。
「ブラックホール・ダイバー」
SFですが、比較的良作と言っていいと思います。銀河のはずれに位置するブラックホールの観測ステーションのAIと女性パイロットとの交流を描いています。AIの一人称で書かれ、死ではなく命の燃焼に向かって突き進む人間を観察し理解しようとしています。
で、この作品のあおり文は「本格ハードSF」なんですよね。しかし、内容的には「ライトSF」のほうがふさわしいと思います。「本格」、「ハード」と称するにはちょっと物足りないです。実際、掲載紙もライトノヴェル系ですし。「本格ハード」とつけてほしかったのかな、と想像してみるわけです。
「妖魔夜行」-戦慄のミレニアム・序章ー
「妖魔夜行」はシェアード・ワールド・ノヴェルで、現代に棲息する妖怪の物語です。世界中の古典的なモンスターから都市伝説まで含みます。
今回読み直した作品はニューヨークの一角を舞台に、人間を食い物にする妖怪と人間を守ろうとする妖怪が激突し、世界規模の陰謀の一端が現れる、という作品です。
人間サイドのメンバーとしては、動くティラノサウルスの骨格標本、対戦車ライフル並みの妖銃とその使い手である少女、大型バイクの変化である美女、などで、そのチーム名は”Xヒューマーズ”で、指揮を執るのは”ミスターW”。
この時点で大半の方が「ちょっと待て」と言いたくなっていると思いますが、これを山本氏が書いているのは間違いありません。どう見てもこれ、”X-メン”・・・読み返してて笑っちゃいました。
両作品とも小説としては十分に読めるレベルですが、その基本コンセプトを考えたとき、アルマゲドン論争のときの「オリジナリティ」発言は十分に問題ですね。
本当に、作家に徹してくれれば良かったのに・・・・・・