1980年ごろのSFアドベンチャーに李家豊氏が連載されていた
短編連載「炎の記憶」・「夜への旅立ち」とはどのようなものか
ご存知の方はいらっしゃるでしょうか。
創竜伝の原型だという話しなのですが、この頃からすでに
社会評論の嵐だったのでしょうか。
ちょっと気になりましたので…
結局完結しなかった様で、この頃から田中氏の無責任ぶりは
培われていたのかな?
こんにちわ、皆様お久しぶりです☆
> 1980年ごろのSFアドベンチャーに李家豊氏が連載されていた
> 短編連載「炎の記憶」・「夜への旅立ち」とはどのようなものか
> ご存知の方はいらっしゃるでしょうか。
luluさん、はじめまして。
ご質問の短編は、1995年に徳間ノベルズから「夜への旅立ち」というタイトルの短編集の中に収録されています。収録内容は、「冬木涼平シリーズ」、「黄金の翼」(銀英伝外伝)、「トラブル・トライアングルシリーズ」他、単独の短編が2つです。
ご質問の「炎の記憶」と「夜への旅立ち」は、「冬木涼平シリーズ」の一話目と二話目にあたるものですね。確か内容は、幼い頃に大火傷を負った大学院生の主人公が、謎の皮膚を移植されたおかげで超常的な力を手に入れ、その秘密を知った日本政治の影の黒幕(笑)に狙われることになり、同志の少女と一緒に戦うようになる…、といったものだったと思います。今と較べると、ちょっと文体や雰囲気作りがまだ若いかな?という気もしますけど、創竜伝とは違い、社会評論がほとんどないおかげで、とても作品に瑞々しい空気を感じたことを記憶しています。ただ、学生運動の気配が作品のあちらこちらに残っていて、全体的に70年代チックに感じるのも、今となっては逆に新鮮に感じられる作品かもしれませんね(笑)
> 創竜伝の原型だという話しなのですが、この頃からすでに
> 社会評論の嵐だったのでしょうか。
> ちょっと気になりましたので…
前述の通り、社会評論はほとんどなかったと思います。ジュニア小説としては、まだ田中氏が荒削りな時期に書かれたものではありますが、特定人物を極端に卑小化したりとか、偏向した社会評論もないので、ジュニア小説と銀英伝が大好きな人にはおすすめできる一冊だとわたしは思います。
> 結局完結しなかった様で、この頃から田中氏の無責任ぶりは
> 培われていたのかな?
これに関しては、田中氏ご自身が理由として「主人公(冬木涼平)が真面目すぎて書きづらい」と、こぼしていたそうです…f(^-^;)。
書き止めた動機はともかく、この頃の田中氏は「連載作家予備軍」のような存在だったはずです。「冬木涼平シリーズ」もシリーズ物の読み切りを何話かSFアドベンチャー誌に掲載してもらった(もしくは、途中で打ち切られた?)という感じだったのではないでしょうか?デビュー前後の読み切り作品にいろんな要素をプラスして、後に連載化されるというのは、漫画などではよくある話ですし、個人的にはこれはOKじゃないかな~、と思います(^-^)
ちょっとこの頃の連載の経緯がはっきりとわからないので、公約破りのはしりかどうか判断するのは難しいかもしれませんね。原型作品が徳間で、創竜伝が講談社であることを考えると、いろいろ憶測したくなるところですけど(笑)。この作品に関しては、「やっぱり創竜伝に社会評論は必要ない!」ことを再認識させてもらういい材料だったということで、わたしは納得していますけど、他の皆さんはどうでしょうか?
恵様、お答えありがとうございます。
かつて「ウォーロック」誌に連載されていた神月摩由璃のSF&FTガイド
の中の創竜伝紹介の中に出てきたので気になったものです。
摩由璃嬢が87年のSF大会の銀英伝の部屋にて、この作品の続きを
書いてくれませんかと頼んだところ、
「今のところ銀英伝他の予定が一杯で…、再来年以降にならないと、
書けそうにありませんね…」と答えられたそうです。
ちなみに摩由璃嬢の創竜伝の紹介は
「コミカルで破天荒なストーリーと、時には辛辣な刺をも含む
テンポのよい筆致。権謀術渦巻く銀英伝執筆でたまったストレスを
一気に解消させているんじゃないかと思えるほど、竜堂兄弟を
取り巻く人々や社会に対する作者のスタンスは過激で容赦が無い。
けれど、それでいて突き放したような冷たさが感じられないのは、
やはり作者である田中芳樹氏の優しい人柄がにじみ出ている
せいなのでしょうか」とか。
この人の紹介した作品は正統なSFやFTが多く、私も影響されて
魔法の国ザンスからあしべゆうほのクリスタルドラゴンまで
紹介された本を次々と購入して読んだのですが、
この創竜伝だけはなんとなく違和感があって、二巻以後は
読みませんでした。(7巻まで一気に買ったのに抛りっぱなし)
今にしてみるとその他の紹介された作品と比べるのも
おこがましいような気がします。