凄まじい暴論に思わず失笑してしまいました!w>不沈戦艦様殿
フェザーンが何故存在できたのか?それはあなたがキチンと立証してますよ。
田中氏が軍事に暗い?そうですかそうですかw
私に言わせればあなたの方が余程軍事に暗いと思います。
では、その理由を挙げていきましょう。
1 銀英伝の中でルビンスキーが明言しています。フェザーンと同盟の宇宙戦力を併せれば帝国にほぼ匹敵し、フェザーンと帝国の宇宙戦力を併せれば同盟を圧倒できるとね。
これが銀河英雄伝説の第一巻の状況だった筈です。
2 「仮に私が同盟の指揮を取るとしたら、ヤンのイゼルローン奪取直後にフェザーンへの侵攻を行います。それによって同盟はイゼルローン・フェザーン両回廊を押さえた上、フェザーンからの借款を棒引きにでき、フェザーンの経済力も同盟の国力に取り込めます。」と書いてありますが?そうだったと思えるならかなりいかれてますね。
戦力的に劣ってる方が、更に弱い戦力と潰しあいをして、その上で二正面作戦を冒すんですか?それが本当に正しいと?
ナチスドイツがあれほど有利であったヨーロッパでの戦いに敗れたのは、戦力的に優越していたソビエトとの二正面作戦に踏み切ったからだと言うのは「最低限の軍事知識」だと思うのですが?
第一巻の時点で、帝国軍の方が優勢なんですよ?同盟が効果的に防衛行動を行えていたのは正面が一つしかなかったからです。私が同盟軍を指揮してたら、こんな賭博的な行為は絶対に行いません。
「それによって同盟はイゼルローン・フェザーン両回廊を押さえた上」
そうですか?押さえたは良いが維持できるんですか?フェザーンに帝国の主力が集まったらイゼルローンほどに効果的に防衛できますか?
多分、普通に艦隊戦が行われて、イゼルローン方面以下の戦果しか期待できません。私なら普通にその様な状況は遠慮します。考慮にすら値しないです。
「フェザーンからの借款を棒引きにでき、フェザーンの経済力も同盟の国力に取り込めます。」
これほどとんでもない借金の棒引きを企む国家でまともな経済活動ができる訳ないと思います。フェザーンの経済で公益船を動かす商人達は皆離反して居たでしょうね。祖国を蹂躙されてる訳ですから。自由商人等は公然と同盟の敵となったでしょう。
「当然アムリッツァ会戦もありません。その後、皇帝が死んで帝国では内戦が発生する訳ですから、適宜に介入すれば、簡単に同盟による銀河の統一がなったでしょう。」
多分、アムリッツアの戦いなどとは比較にならない消耗戦が想像されますね。そして、その消耗を回復する経済力をフェザーンは提供してくれなかったでしょう。
後日の皇帝の死はあの時点では誰にも予測できなかった筈です。それを同盟の勝利の要件に入れるのは間違っています。ご都合主義でしかない。
内戦も発生しなかったでしょう。帝国の存亡の危機の時に、戦略と戦術両方に長けたラインハルトならやはり二正面作戦は避けた筈です。
フェザーンの存続は両軍が敵を圧倒する状況にない事によって確定していたのですよ。
ラインハルトがフェザーンを占領したのは、帝国軍が主力を集結したならば同盟がなにをどうしようと抵抗不可である状況にまで持っていけたからです。
立場上、戦力上の問題からイゼルローンに逼塞するしかないヤン艦隊、総力で動員しても帝国軍主力の3分の1すら実現できない同盟軍主力、そして長々とにらみ合いを続ける事を望まないラインハルト、これらの条件が揃って後にフェザーンは併合されています。
それに至るまで物資と装備、人員を蓄積し続けたラインハルトこそが軍事に明るい存在なのではないでしょうか?
何と言うか、ラインハルト田中に比べて、不沈戦艦さんとやらはせいぜいフォーク准将の遥か下あたりくらいと評価せざるをえないですね。
初めまして、ポルトエシュタードと申します。横レスですが、失礼させて頂きます。
さて、貴方の投稿を読んで疑問に思ったのですが、『反銀英伝・思考実験編1-A同盟軍、フェザーン侵攻作戦(1)』の中にある『不沈戦艦さんの投稿文:反銀英伝構想(No.362)』について検討されましたか?貴方が引用しているのは、最初の投稿文『田中芳樹は軍事は暗いのではないか?(No.216)』でしょう。その後、不沈戦艦さんは、あの状況における選択肢の一つとしてNo.362を投稿されています。であるならば、No.362に対して意見を述べられた方が対比しやすいと思うのです。
私はあの不沈戦艦さんの投稿No.362を読んで感銘を受けましたが、反対の意見も見てみたいと思います。是非、No.362に対する貴方の見解をお願いします。
はい、読みました。私の友人達も大笑いしながら読みました。
「帝国暦488年8月2日、銀河帝国軍務省発表。銀河帝国軍最高司令官エーリッヒ・フォン・タンネンベルク元帥指揮下の銀河帝国軍部隊は、ヴァルハラ星系外縁部宙域で行われた戦闘にて、キルヒアイス上級大将及びミッターマイヤー大将指揮下の賊軍部隊三万八千隻のうち、二万隻余りを撃滅した。タンネンベルク元帥直率の艦隊戦力の被害は一千隻程度と極めて軽微、交換比で二十倍以上の敵を撃滅し、銀河帝国軍部隊の圧勝に終わっている。この戦闘を『ヴァルハラ星系外縁部会戦』と命名する」
こういう戦いはあんまり例がないんですよねぇ。
正面からがっぷりと組み合った戦闘で交換比率20対1と言う想定事態が空想と言うか妄想と言うか。
そういう稀な例が名将キルヒアイス相手に出現すると言うのはありえないと思われます。意図的に作者がキルヒアイスに知的な障害を与えない限りは。
全軍の半数を失うまで座視している事もありえないと思われます。
ウランフ提督も全艦隊の2割が失われた時点で強行突破、退却を試みていますし。
戦史における一方的な虐殺的勝利では、ハンニバルのカンナエにおける包囲殲滅が有名です。
凡そ5万弱のカルタゴ軍が共和制ローマの軍8万のうち7万弱(うち1万は遊軍であり、有効活用されなかった)を階段状の包囲陣形で囲んで6万以上を半日がかりで死傷、あるいは降伏させた戦いがありますが、それとても、カルタゴ軍のうちで8千強が戦死したと言われています。
包囲殲滅でりんごの皮をゴリゴリと剥いて行くような戦い方でさえそれほどの被害を被る訳です。
近代戦と言わず、準備できている敵に向かう時にはある程度以上の損害を覚悟しなければなりません。
準備できている敵を叩くのは強襲です、準備できていない敵を叩くのが奇襲です。
20対1と言うスコアは奇襲の最善の場合にのみ想定できるスコアであり、その交換比率は近代以降では出現していません。
20対1などと言う奇襲でさえもありえない交換比率を提示する時点で思考停止とそしられても仕方ありませんね。
ヤンが帝国軍と回廊の戦いの前哨戦でラインハルトを撃退するまでにヤン艦隊は2万隻余から1万5千隻を少し上回るところまで磨り減っています。
圧倒的に有利な地形でカンナエ同様にビッテンフェルトとファーレンハイトをゴリゴリとすり潰し、退却の退路に罠を張っておいてそのスコアです。
それから、タンネンバウムなどと言う帝政ドイツ陸軍最大の戦闘での勝利を名前に使っているくらいなのですから、不沈戦艦氏は当然、ロシア軍と帝政ドイツ軍の戦いの推移もご存知でしょう。
泥濘地に誘引し、有利な地形からやはり包囲殲滅を行ったドイツ陸軍はサムソノフの軍団を打ち破り捕虜九万二千、死傷二万の戦果を得ました。しかし、自軍の死傷者も一万五千以上負っています。
捕虜の大部分は脱出先がわからない内にドイツ軍の包囲部隊と出会い武装解除された、泥濘地の中でさまよっている間に体力を使い果たした。脱出に際して武装をほとんど失い抵抗の気力を失った。それらが原因のようです。
彼の作文については、経過を無視して無理やりにキルヒアイス軍に勝った後でタンネンベルグ氏がいかに優秀であったかを読者に対して印象つける、これ以外の意図が見当たらないために論外との判定を下しております。
まあ、人質と自分を頼りにしてくれる将兵とのどっちをキルヒアイスが取るかと言えば、私には後者だろうなと思える訳ですし。
普通は優秀な将が卑劣な脅迫に弱いとはとても思えないので。
キルヒアイスが戦端を開いた途端にアンネローゼを殺害する訳にもいかないでしょうし。
人質は生きていないと価値がないのでねぇ。(ここらもみんなで爆笑してたとこでした。惰弱な名将など存在するのかとね。)
よって、普通に考えたらキルヒアイスは反撃を手控えたりはしなかった筈です。
何と言うか、その前のそもそも論からですが、キルヒアイスの艦隊は確かにオーディンの近くにいたんでしょうね。
アルテナでレンテンベルグ要塞を落としたのが5月くらいで、キフォイザーでリッテンハイムが死んだのが7月だった筈ですから。
そこで疑問です。
オーディンに至るまでにキルヒアイスの哨戒線に何故触れなかったのか?
ヴァルハラ星系は言って見たら帝国の要でしょう?その周囲にキチンとした哨戒線がなかったのは何故かなのか。
ヴァルハラ星系にキルヒアイスの軍団を迂回して到達できたのがそもそも不思議。
後方の兵站線の中枢であり、様々な物資の蓄積や集積の運営全てを行っている筈の首都に、何の警戒線にも民間の宇宙船、フェザーンの交易船、地方星系の警備隊にも全く見つからずに来れると言うのは不思議です。
幾ら大兵力が駐屯していないとは言え、確保した星系に監視部隊と通報部隊を行いほどラインハルト陣営が楽天的だとは到底信じられないですし。
むしろ、要塞を後ろに控えた大貴族連合よりも補給線が長い分だけシーレーン(この言葉良くないか?)の護送などの必要性から、各星系の連絡と哨戒は密だったのではないかと思えるので尚更ですね。
加えて、あの猜疑心の強いリッテンハイム卿が全軍の何割もの艦隊をほいほいと貸し出して、しかも、その艦隊(編成と言うものがそもそも存在しない寄せ集め)を短期間に掌握できたのか。
人物的に更に妄想すれば、リッテンハイム卿ならば、どう考えてもタンネンベルグの案件を聞けば「自分でやろうとした筈」だと私は思うのです。
ぽっと出てきた頭の良い、軍事に優れた誰かさんにいいところをさらわれてしまうのには、某金髪の小僧以来懲りていると思われますのでぇぇ。
何と言うか、論評に値しない作文なんですが、ちょっと叩けばすがすがしい程に埃が出るのが良い感じです。
無関係かも知れないけど、昔々、小学低学年だった時に「俺のウルトラマンはこんなに強いぞ!」「俺のはその倍だ!」って叫んでた自分の姿が何故か脳裏を過ぎりました。
何故だかは知らないのですが、そういう連想が浮かんでしまいました。
反対意見と言うよりもこれも粗探しなんですがね。
何と言うか、粗を探そうと思えば何に対してでも粗くらい探せるのですよ。
あんまり建設的でないですが、たまには面白いですね。
梵天丸さん、それは不沈戦艦さん作・銀英伝題材の2次小説「反銀英伝 大逆転!リップシュタット戦役」に対する見解でしょう。私が聞いているのは、それではなくて、ザ・ベストの『反銀英伝・思考実験編1-A同盟軍、フェザーン侵攻作戦(1)』の中にある『不沈戦艦さんの投稿文:反銀英伝構想(No.362)』にある①~⑧について、どう思いますか?ということです。
一瞬、貴方のレスは私宛ではないのかと思うくらい混乱してしまいました。あと、最初から聞いていないことをレスされても答えようがありません。小説についての感想は、それぞれの思いによって色々解釈はされると思いますので、ここでどうこう言う気はありません。それでは、改めてレスをお待ちします。
それと、もう一点。貴方は不沈戦艦さんに個人的な恨みでもあるのですか?無意味に嫌みな表現を使用していますが、本人だけでなくROMされている人も不快に感じるでしょう。少し考えて頂けませんか?
ああ、その掲示板のレス番号は他のものだったので。
索引の仕方が間違ってたのかと思ったのですよ、申し訳ない。
ちなみにですが、悪意についてはわざとやってるのですよ。
最初から最後まで友人達と一晩中ここの掲示板を見てみたのです。
そして思ったんですよね。
このサイトの論評は悪意に満ちているとね。
僕の話し方は普通はそこまで悪意に満ちてはいないのですよ。
評論に関する論議にはルールが幾つかあります。
例えば、他人の言葉のオウム返しはしない、揚げ足を取らない。
そう言う人品にかかるルールですね。
このサイトのログにはえげつないとしか言えない揚げ足取りが多かったので、それらに対する意味で敢えてえげつないやり方をしてみました。
あなた宛の悪意と取るのはそうなってしまっても仕方ないかも知れないです。
悪意と言うのは他人を不安にしますからね。
確かに私は多少の悪意を込めて文章を綴りました。それは間違いないです。
見る人全てを不安にする文面であったかも知れないですね。
私自身は不沈戦艦さんに恨みなどありませんよ。
ですが、どうもこのサイトには田中芳樹氏に私怨に近いものを持った人が居るかな、もしかすると集まっているかなとは思います。
よって、戦理に明るいと言いながら、むちゃくちゃに穴だらけの不沈戦艦さん宛に反論をしただけです。
(なにげに私はリアルで傲慢なタイプは拳固で態度を仕込んでしまう方なので。)
フェザーンについての考察には今後はもう少し普通にお返事を致しましょう。
お話がかみ合わなかった事、そして、ちと薬程度にと思った悪意にあなたが当てられてしまった事にはお詫びを致します。
> ①実施時期はヤンのイゼルローン奪取直後
> この時期しかありません。アムリッツア後では同盟の国力、軍事力ともに衰えすぎで、何かを出来る能力を有していませんから。同盟市民も「帝国を倒せ!」と戦争熱に浮かれていましたから、世論の支持も大きいものです。反戦派にひっくり返されることもありますまい。
ありえないですね。
帝国に攻め込む時にまがりなりにも退路にイゼルローンがあるからこそ、帝国領侵攻作戦はイゼルローンからになったはずです。
> ②侵攻目標の完全な秘匿
> 「同盟軍、フェザーン奇襲」でなければなりません。実際の方法はラインハルトのラグナロック作戦の真似です。つまりイゼルローン回廊を通って帝国討伐の軍を起こす、と大々的に触れ回って、フェザーン回廊に関しては無関心、無防備にさせるのです。電撃的な奇襲がいかに効果を発揮するかは、通過不能な筈のアルデンヌの森を抜けてダンケルクにまで至ったドイツ国防軍。真珠湾を奇襲した帝国海軍。いや、銀英伝自体の作中にも前述のラグナロック作戦で示されています。ほとんど無防備なフェザーンを電撃占領できれば、帝国に与える衝撃は小さなものではありませんし、同盟内の戦争熱に浮かれた連中も、巨大な軍事的成果に満足するでしょう。形ばかりとはいえ、フェザーンは「帝国領」ですから。オーバーロード作戦(ノルマンディー上陸作戦)を徹底的に秘匿した連合軍を見習わなければなりません。謀略も駆使して。この時、英国首相チャーチルは、偽の作戦計画書を持たせた海軍将校の死体を、フランスの海岸に漂着させる、という事まで行っています。これにすっかりドイツは騙されました。
問題は意図を最初に隠すと言うよりも、帝国領侵攻と言うものがヴァルハラ恒星系を陥落せしめるところまで持って行けるのか、どうかと言う事でしょうね。
何と言うか多分に戦術的な移動を可能にせしめるための謀略と、発動によって二正面作戦を余儀なくされるフェザーン侵攻は要件が全く相違していると言う事です。
初手でイゼルローン経由の侵攻は大成功でした。問題はいずれにしても維持が困難であった。その点に尽きます。
一作戦のギミックでしかない様々な行動を例にあげるのは間違いかなと思うのです。
> ③フェザーン占領後の兵力配置
> イゼルローンに一個艦隊、フェザーンに残りの全艦隊を配備します。どちらも任務は防衛だけ。なぜなら、フェザーンを占領した直後ではまだ同盟の国力は回復していません。経済力の半分は帝国側との通商ですから、その余剰人員を同盟のマンパワーとして取り込む作業を優先させます。無理に強制連行しなくても、余った人材を高給で釣れば、同盟の仕事の希望者は殺到することでしょう。例えば余った商船をフェザーン駐留の同盟軍に対する補給任務に駆り出したりする訳です。そして、両回廊ともに防戦に徹し、決して回廊から出戦しません。フェザーン奪取という大戦果を挙げた訳ですから、同盟の市民も満足するでしょうし、「政治業者」たちも、フェザーンの富の収奪に血道を上げるばかりで、他の事に目が行かなくなること請け合いです。大量の餌を与えられた獣、ってとこですから、当分喰うことだけで手一杯でしょう。
笛吹けど踊らずだと思います。<フェザーンの商人
多分同盟の市民も納得しないかと。
外伝の螺旋回廊ではフェザーンの婚約者を頼って行く同盟の女性が描かれています。
投資先のフェザーンは多分凄く重要な存在だったと思います。
金の卵を産む鶏をひねって食べた同盟を同盟市民も許さないかなと思います。
アメリカが日本に対する国債償還の問題で日本を占領したら世界中がパニックになるのと同じ理屈ですね。
> ④帝国軍、ラインハルトの反撃はフェザーンに行わざるを得ない。しかも失敗する。
> 形の上とはいえ帝国領、しかもかなりの人口を抱えている経済的先進地域を奪取されたのですから、皇帝から「フェザーン奪還」の厳命が下ることでしょう。いくらラインハルトが戦争の天才でも、かなりきつい任務です。この条件では、同盟軍はフェザーン回廊から出てこないんですから。まだ「防御攻勢」の段階ですからね。「攻勢防御」に移るのは、時間が経って、同盟の国力がある程度回復してからです。穴ぐらに籠もった穴熊相手の戦いでは、アムリッツアの圧勝はありません。消耗戦に引きずり込まれ、そのうち撤退するのが関の山でしょう。
問題は全艦隊を動員して防衛だけを行うと言う事ができたかと言う事ですね。
どの国の軍隊も防衛だけでは市民を納得させられない事を知っています。だからこそ、フォークも帝国領侵攻をでっちあげた訳ですし。
最悪の場合では、フェザーン市民の内通とかで防御側の配置が丸見えになってしまったりすると、効果的に防衛などできないかなと。
> ⑤皇帝死去
> 当然ラインハルトは何の成果も上げられないまま、フェザーン回廊から退却です。
これについては想定外の出来事であり、天佑を頼む神がかりな軍隊以外では想定しないでしょう。
> ⑥帝国内に内戦勃発。しかし、同盟には何も起こらない。
> ラインハルトがリンチ元少将を使う謀略を仕掛けても、誰も乗ってきません。救国軍事会議のクーデターは、アムリッツアの敗戦後に同盟の先行きに深刻な危機感を持った軍人たちが起こしたものです。仮にリンチがグリーンヒル大将に会いに行っても、相手にもされないでしょう。しかし、皇帝の死によるリップシュタット戦役は確実に発生します。リヒテンラーデ公がラインハルトを取り込んでブラウンシュバイク公に対抗する、という構図はそのままですから。
多分、不満分子の多いフェザーンに何かの謀略が起こったかなと。
利に聡いフェザーンの市民は多分同盟の全軍ですら帝国に効果的に防衛はできないと踏んでいる筈です。
よって帝国からの扇動に何等かの形で乗ったでしょう。
最後にですが、経済力と言うのは平和の配当と言う無形の代物(経済的に平和であれば士気が高まります)が大きなウェイトを占めています。
同盟軍がフェザーンを戦場に設定するなら、平和のためにフェザーンの市民は戦うようにも思えます。
少なくとも、コーネフ船長を見ていると、大人しく屈服するたまはフェザーンでは少数派に思えます。
> ⑦リップシュタット戦役に同盟軍介入
> 戦っている相手の後ろから撃つんですから、楽なもんです。もちろん主目標はラインハルト軍。先ずは辺境平定に乗り出したキルヒアイス軍を討てばよろしい。同盟軍が使用できる戦力の方が大きいですから、仮にキルヒアイスを戦死させれば(キルヒアイスの性格なら、最後まで戦場に止まりそうだからその可能性は大きい)ラインハルトは大打撃です。友の戦死に我を忘れて攻め掛かってきたらしめたもの。後ろから貴族連合軍がやって来てラインハルト軍は袋の鼠。戦争の天才の一巻の終わり、という訳です。その後は一時フェザーンに撤退ですね。ラインハルトの死で、攻勢防御段階終了。
多分ですが、帝国の非主流派であり、名将であり、民主主義に対して理解も示せるラインハルトの方が同盟軍と結んで利益を得ようとする筈です。
リンチを使って同盟に内戦まで起こしてみせたラインハルトが有効活用できる同盟軍を利用しようと動かない訳はないです。
と言うよりも、この様な状況でラインハルトが内戦を起こそうとするかと言うとはなはだ疑問です。
> ⑧回復後に全面侵攻
> 残るは軍事に無知に近い、内戦でガタガタになった貴族連合軍だけです。同盟軍が回復した後なら楽勝でしょう。艦隊決戦で圧勝した後、あっさりオーディンが陥落。帝国は同盟に降伏せざるを得ません。
まあ、ここまで行けば後は普通に勝てるでしょうね。
問題は、大貴族連合が反乱軍と手を組もうとするかどうかですが。
想定に著しい無理があるような・・・。
> 以上、反銀英伝「同盟軍フェザーン侵攻」編でしたが、いかがですかな?これを実行する場合、最大の問題は同盟の意思統一だけですね。まあ、リップシュタット戦役の時のシュターデン提督の「一軍を持って敵を迎え撃ち、別働隊でオーディンを陥とす」に近いものがあるとは思いますが。銀英伝に書かれている同盟政府の能力では無理でしょう。でも、「反銀英伝」としては面白いでしょ?
意思統一についてはフォークが頭越しにやってしまってますので、手順としてはフォークのやり方で行けると仮定はできます。
問題はやはり賭博性が強すぎる事、更に相手の内情を完璧にわかっていないとこの手のアクロバット的な手段に踏み切れない事。
でしょうか?
最後にですが、あれほどの数の軍事要塞(つまり策源地、根拠地)を多く持つ帝国領の占拠にどれ程の出血があるのやら見当もつかない事ですね。
皇帝や、その後継者がヴァルハラ星系にずっと居てくれたら良いですが、もっと防御力の強いガイエスブルグ要塞とかに艦隊と共に篭城されたら大変かなと思えます。
何と言うか、田中氏の好きな中国の歴史では皇帝がまだしも敵の勢力の及びにくい江南とか、酷い時には海の上まで逃げてますし。
ともかく、広大な帝国領の占領維持が不可能な同盟軍なのです。普通にそれらの事態を同盟軍作戦本部は恐れるでしょう。
フェザーン占領案もまた「まともでない作戦案」なのでしょう。
梵天丸さん、初めまして。少々疑問点を述べさせていただきます。
<1 銀英伝の中でルビンスキーが明言しています。フェザーンと同盟の宇宙戦力を併せれば帝国にほぼ匹敵し、フェザーンと帝国の宇宙戦力を併せれば同盟を圧倒できるとね。
これが銀河英雄伝説の第一巻の状況だった筈です。>
どの辺りで明言しているのでしょうか?ノベルズ版1巻P74上段(黎明篇第三章Ⅰ)ではフェザーンの軍隊は「少数の警備艦隊のみ」と書かれていますし、
<帝国とフェザーンの勢力を合すれば、同盟より有利な立場となるが、それでも同盟を滅ぼすのは困難である>
とも書かれております。
<ウランフ提督も全艦隊の2割が失われた時点で強行突破、退却を試みていますし。>
ノベルズ版1巻P210上段(黎明篇第八章Ⅵ)
<第一〇艦隊の戦力はつきかけていた。艦艇の四割を失い、残った艦の半数も戦闘不能という惨状である。
艦隊参謀長のチェン少将が蒼白な顔を司令官に向けた。
「閣下、もはや戦闘を続行するのは不可能です。降伏か逃亡かを選ぶしかありません」>
この文章を見る限り、ウランフ提督が退却を決意したのは四割が失われ、残りの半数も戦闘不能に陥ってからです。
<ヤンが帝国軍と回廊の戦いの前哨戦でラインハルトを撃退するまでにヤン艦隊は2万隻余から1万5千隻を少し上回るところまで磨り減っています。
圧倒的に有利な地形でカンナエ同様にビッテンフェルトとファーレンハイトをゴリゴリとすり潰し、退却の退路に罠を張っておいてそのスコアです。>
ノベルズ版8巻P82上段(乱離篇第四章Ⅱ)
<宇宙暦八〇〇年、新帝国暦〇〇二年の五月三日、六時三〇分、銀河帝国軍は皇帝ラインハルトの直接指揮のもと、イゼルローン回廊に進入を開始する。(中略)これに対し、ヤン・ウェンリー軍はすでに二万隻を割りこみ、数の上ではもはや比較のしようもない。>
「回廊の戦いの前哨戦」で撃退したのはラインハルトではなく、ビッテンフェルトとファーレンハイトでしょう。それに上記を見た限り二万隻を割り込んだとは書いてはありますが、「2万隻余から1万5千隻を少し上回るところまで磨り減っ」たと言う記述は、自分が読んだ限りでは見当たらないのですが…。
<まあ、人質と自分を頼りにしてくれる将兵とのどっちをキルヒアイスが取るかと言えば、私には後者だろうなと思える訳ですし。
普通は優秀な将が卑劣な脅迫に弱いとはとても思えないので。
キルヒアイスが戦端を開いた途端にアンネローゼを殺害する訳にもいかないでしょうし。
人質は生きていないと価値がないのでねぇ。(ここらもみんなで爆笑してたとこでした。惰弱な名将など存在するのかとね。)
よって、普通に考えたらキルヒアイスは反撃を手控えたりはしなかった筈です。>
ノベルズ版4巻P19下段(策謀篇第一章Ⅰ)では、
<こと姉であるグリューネワルト伯爵夫人アンネローゼに関しては、ラインハルトの感情はつねに理性に対する勝者となるのだった。>
と書かれています。親友であり、少年の頃からアンネローゼに強い憧憬を抱いていたキルヒアイスの心境もこれに準ずると考えられるので、個人的には「大逆転!」でのここの描写はそれほどおかしくはないと思います(人によって意見も分かれるでしょうけど)。
<加えて、あの猜疑心の強いリッテンハイム卿が全軍の何割もの艦隊をほいほいと貸し出して、しかも、その艦隊(編成と言うものがそもそも存在しない寄せ集め)を短期間に掌握できたのか。>
リッテンハイム侯が「猜疑心の強い」というのはどの辺りに書かれているのでしょうか?管見の限りではそういった記述は見当たらないのですが。
他者を批判なさるのは結構だと思いますが、その場合、きちんと用いる資料の内容を把握・確認なさった方がよろしいかと。そうでないと、せっかくの文章も説得力を失うと思います。
初めまして、梵天丸さん。私はななえと申します。
ポルトエシュタードさん宛ですが、横レス失礼いたしますね。
< 最初から最後まで友人達と一晩中ここの掲示板を見てみたのです。
そして思ったんですよね。
このサイトの論評は悪意に満ちているとね。 >
まず確認したいのですけど、「このサイトの論評は悪意に満ちている」という言い方は「悪意に満ちた論評は他にも多々ある」という意味ですよね? 違いますか?
上記の意味で言わてれるなら梵天丸さんに下記の通りに申し上げます。
「梵天丸さんとあなたのご友人が“悪意に満ちている”とお考えになる論評」のもっとバラエティに富む多数の具体例(データ)を物的証拠として提示してくださいませんか。
この掲示板を最初から最後までご覧になられたなら、梵天丸さんもご友人も当然ご存じでいらっしゃるでしょう?
具体例(データ)も提示しない批判者は「単なる中傷者」と見なされ、マトモな扱いを受けない程度の事くらいは。
「このサイトの論評は悪意に満ちている」とまで言い切るのであれば、もっとバラエティに富んだ多数の証拠を提示して見せていただけないと、「このサイトの論評は悪意に満ちている」との梵天丸さんの発言には全く『真実味』が感じられませんし、梵天丸さんの発言が『このサイトの掲示板参加者全てに対する“無差別攻撃”とも言える中傷』と一体どこがどう違うのか、私にはさっぱり見分けがつかないものですから。
まあ、「単なる中傷者だ、と評価されても全然差し支えない」と梵天丸さんがお考えでしたらスルーしてくださって私は一向に構いませんが。
< 僕の話し方は普通はそこまで悪意に満ちてはいないのですよ。 >
梵天丸さんの話し方が悪意に満ちている、と感じるかどうかは、梵天丸さんが自己申告することではなくて、『梵天丸さん以外の他人が判断と評価すること』だと私は思いますが、いかがでしょう?
少なくとも私なら「私の話し方は普通はそこまで悪意に満ちてはいないのですよ」なんて、ぬけぬけと言う気にもなりません。
ええ、恥ずかしくたまりませんからね、そんな事は。
< 評論に関する論議にはルールが幾つかあります。
例えば、他人の言葉のオウム返しはしない、揚げ足を取らない。
そう言う人品にかかるルールですね。
このサイトのログにはえげつないとしか言えない揚げ足取りが多かったので、それらに対する意味で敢えてえげつないやり方をしてみました。 >
梵天丸さんが言われる“他人の言葉のオウム返しはしない”“揚げ足を取らない”とかいう、「評論に関する論議のルール」の根拠・出展は何ですか? 書籍でしょうか? ホームページでしょうか? よもや「事実無根のデッチアゲ」をなさった訳でも無いでしょう?
無学者の悲しさで、梵天丸さんが言われた「評論に関する論議のルール」を私は寡聞にして知らないものですから、後学の為に教えていただけると助かります。
「このサイトの論評は悪意に満ちている」と他人の態度を槍玉に上げながら、梵天丸さんも『悪意に満ちた物言い』をする。
「このサイトのログにはえげつないとしか言えない揚げ足取りが多かった」と他人の事をあげつらいながら、梵天丸さんも『えげつないやり方』をする。
苦言や批判という行為は、他人の悪行や愚行を指摘しても「自分は同じ悪行や愚行はしない」からこそ、『説得力』というものが生じるのではありません?──違いますか?
他人の“悪意に満ちた物言い”や“えげつないやり方”がどうのこうの言いながら自分も“悪意に満ちた物言い”や“えげつないやり方”をすれば所詮は「同じ穴のムジナ」でしかないでしょうに。
ええ、梵天丸さんは誰の目にも明らかな「ムジナ」ですし、私もまた「ムジナ」なんですけどね(笑)。
あなたがなさった事は苦言や批判・反論などと到底呼べた代物では無く「単なる嫌がらせ」にしか過ぎませんし、私も梵天丸さんに対して「単なる嫌がらせ」をしているに過ぎないのですよ。
< あなた宛の悪意と取るのはそうなってしまっても仕方ないかも知れないです。
悪意と言うのは他人を不安にしますからね。
確かに私は多少の悪意を込めて文章を綴りました。
それは間違いないです。
見る人全てを不安にする文面であったかも知れないですね。 >
梵天丸さんの悪意に満ちた文章は「不安にする」というよりも、「“不快”にする」というほうが的確だと私は見ておりますし、ポルトエシュタードさんも「不快」とハッキリ明記なさっているんですけどね。↓
(5610番 Re:梵天丸さんへ、より抜粋)
< それと、もう一点。貴方は不沈戦艦さんに個人的な恨みでもあるのですか?無意味に嫌みな表現を使用していますが、本人だけでなくROMされている人も不快に感じるでしょう。少し考えて頂けませんか? >
更にもう一つ。
(5608番 Re:梵天丸さんへ ポルトエシュタードさんのログより抜粋)
< さて、貴方の投稿を読んで疑問に思ったのですが、『反銀英伝・思考実験編1-A同盟軍、フェザーン侵攻作戦(1)』の中にある『不沈戦艦さんの投稿文:反銀英伝構想(No.362)』について検討されましたか?
貴方が引用しているのは、最初の投稿文『田中芳樹は軍事は暗いのではないか?(No.216)』でしょう。 >
…と、はっきり明記されているにも関わらず、なにゆえに
「反銀英伝 大逆転リップシュタット戦役」
…と、梵天丸さんはアサッテな箇所にある文章を見ているのです?
これぐらいの文章も的確に読み取れもしないのに、どの程度的確に読解できた上で梵天丸さんの「反論」がこれまでに述べられていたのかが私には大いに疑問ですね。
ついでに申し上げますけど私は梵天丸さんに対して…
「確かにわざと多少の悪意を込めて文章を綴っているのですよ(笑)」
…こう言えばOKなんですよね? 梵天丸さん。
さて、最後に。
明日8日は割合早くにレスができるのですけど、9日以降は3日から6日ほど遅れると思いますので、予めご了承ください。
応答してくださいますよね?
私は梵天丸さんが、「書き逃げ」なんてみっともないマネなどなさらない方だと信じておりますから。
それではごきげんよう。
ご丁寧な解説、ありがとうございます。また、貴方が文面について改善してくださったことに対しても嬉しく思います。それでは、私の見解を示したいと思います。
> > ①実施時期はヤンのイゼルローン奪取直後
> > この時期しかありません。アムリッツア後では同盟の国力、軍事力ともに衰えすぎで、何かを出来る能力を有していませんから。同盟市民も「帝国を倒せ!」と戦争熱に浮かれていましたから、世論の支持も大きいものです。反戦派にひっくり返されることもありますまい。
>
> ありえないですね。
> 帝国に攻め込む時にまがりなりにも退路にイゼルローンがあるからこそ、帝国領侵攻作戦はイゼルローンからになったはずです。
確かに後方に何らかの拠点がなければ、侵攻作戦は極めて難しいでしょう。では、フェザーン占領における拠点はないのでしょうか?ない訳ありませんよね、同盟とフェザーンは繋がっているのですから。フェザーンから同盟側は全て同盟領です。拠点となるものは掃いて捨てるくらいあるのではないでしょうか?一つも拠点がないような暗黒宙域なら、フェザーンと同盟との貿易が成り立ち難くなりますので、考え方として普通に拠点的なものは存在していると判断します。よって、フェザーン侵攻作戦自体は構築可能と思います。
> > ②侵攻目標の完全な秘匿
> > 「同盟軍、フェザーン奇襲」でなければなりません。実際の方法はラインハルトのラグナロック作戦の真似です。つまりイゼルローン回廊を通って帝国討伐の軍を起こす、と大々的に触れ回って、フェザーン回廊に関しては無関心、無防備にさせるのです。電撃的な奇襲がいかに効果を発揮するかは、通過不能な筈のアルデンヌの森を抜けてダンケルクにまで至ったドイツ国防軍。真珠湾を奇襲した帝国海軍。いや、銀英伝自体の作中にも前述のラグナロック作戦で示されています。ほとんど無防備なフェザーンを電撃占領できれば、帝国に与える衝撃は小さなものではありませんし、同盟内の戦争熱に浮かれた連中も、巨大な軍事的成果に満足するでしょう。形ばかりとはいえ、フェザーンは「帝国領」ですから。オーバーロード作戦(ノルマンディー上陸作戦)を徹底的に秘匿した連合軍を見習わなければなりません。謀略も駆使して。この時、英国首相チャーチルは、偽の作戦計画書を持たせた海軍将校の死体を、フランスの海岸に漂着させる、という事まで行っています。これにすっかりドイツは騙されました。
>
> 問題は意図を最初に隠すと言うよりも、帝国領侵攻と言うものがヴァルハラ恒星系を陥落せしめるところまで持って行けるのか、どうかと言う事でしょうね。
> 何と言うか多分に戦術的な移動を可能にせしめるための謀略と、発動によって二正面作戦を余儀なくされるフェザーン侵攻は要件が全く相違していると言う事です。
> 初手でイゼルローン経由の侵攻は大成功でした。問題はいずれにしても維持が困難であった。その点に尽きます。
> 一作戦のギミックでしかない様々な行動を例にあげるのは間違いかなと思うのです。
少々、お待ちください。第一目標はフェザーンの占領です。フェザーン占領からダイレクトにヴァルハラ恒星系攻略をする訳ではありません。また、二正面作戦を余儀なくされることもありえません。何故なら、イゼルローンは抑えているのですから、実質フェザーン方面のみの作戦です。今後の戦略を防御と攻撃のどちらを選択することも可能という点も考慮してもフェザーン占領は有効と考えます。
> > ③フェザーン占領後の兵力配置
> > イゼルローンに一個艦隊、フェザーンに残りの全艦隊を配備します。どちらも任務は防衛だけ。なぜなら、フェザーンを占領した直後ではまだ同盟の国力は回復していません。経済力の半分は帝国側との通商ですから、その余剰人員を同盟のマンパワーとして取り込む作業を優先させます。無理に強制連行しなくても、余った人材を高給で釣れば、同盟の仕事の希望者は殺到することでしょう。例えば余った商船をフェザーン駐留の同盟軍に対する補給任務に駆り出したりする訳です。そして、両回廊ともに防戦に徹し、決して回廊から出戦しません。フェザーン奪取という大戦果を挙げた訳ですから、同盟の市民も満足するでしょうし、「政治業者」たちも、フェザーンの富の収奪に血道を上げるばかりで、他の事に目が行かなくなること請け合いです。大量の餌を与えられた獣、ってとこですから、当分喰うことだけで手一杯でしょう。
>
> 笛吹けど踊らずだと思います。<フェザーンの商人
> 多分同盟の市民も納得しないかと。
> 外伝の螺旋回廊ではフェザーンの婚約者を頼って行く同盟の女性が描かれています。
> 投資先のフェザーンは多分凄く重要な存在だったと思います。
> 金の卵を産む鶏をひねって食べた同盟を同盟市民も許さないかなと思います。
> アメリカが日本に対する国債償還の問題で日本を占領したら世界中がパニックになるのと同じ理屈ですね。
物語の中ではフェザーン人は国家に執着せずに逞しく生きています。物語では帝国に占領されたときは従順していましたが、反対に同盟に占領されたら抵抗すると考えるのは変ではないでしょうか?それと、確かにフェザーンに投資をしていた可能性はありますが、投資が無駄になるのはフェザーンの国家に対する投資のみでしょう?フェザーンの国家が同盟内に持っている債権の方が大きいと思いますので、同盟としては占領してもマイナスになるとは考え難いです。また、銀英伝の中では3国しかない訳ですから、1国が1国を占領してもパニックになるのは、残りの1国でしょう。
> > ④帝国軍、ラインハルトの反撃はフェザーンに行わざるを得ない。しかも失敗する。
> > 形の上とはいえ帝国領、しかもかなりの人口を抱えている経済的先進地域を奪取されたのですから、皇帝から「フェザーン奪還」の厳命が下ることでしょう。いくらラインハルトが戦争の天才でも、かなりきつい任務です。この条件では、同盟軍はフェザーン回廊から出てこないんですから。まだ「防御攻勢」の段階ですからね。「攻勢防御」に移るのは、時間が経って、同盟の国力がある程度回復してからです。穴ぐらに籠もった穴熊相手の戦いでは、アムリッツアの圧勝はありません。消耗戦に引きずり込まれ、そのうち撤退するのが関の山でしょう。
>
> 問題は全艦隊を動員して防衛だけを行うと言う事ができたかと言う事ですね。
> どの国の軍隊も防衛だけでは市民を納得させられない事を知っています。だからこそ、フォークも帝国領侵攻をでっちあげた訳ですし。
> 最悪の場合では、フェザーン市民の内通とかで防御側の配置が丸見えになってしまったりすると、効果的に防衛などできないかなと。
ヤンがイゼルローンを陥落させるまでは、帝国にイゼルローンを拠点とされて同盟領の宙域で迎撃作戦を展開してきた訳です。それに比べるとフェザーン回廊において防御するのは、普通の宙域よりは狭隘な宙域で迎撃できるということを考慮しますと、格段に少ない戦力で防御できると考えます。また、内通云々に関しては篭城戦の場合にはあり得ますが、宇宙戦争には関係無いと考えます。
⑤以下については、色々な可能性があり不確定要素が多いと思いますので、私も計りかねます。ただ、不沈戦艦さんは、イゼルローン方面のみに限定された戦いをずっと繰り広げて来た帝国軍・同盟軍の司令部の不思議さを指摘して、IFとして今回の戦略を提案されただけです。そして、上記のように検証してみますと、少なくとも銀英伝の史実と比べると同盟が勝利するための戦略としては、はるかに現実的と言えるのではないでしょうか?
まあ、実際には色々難しいところもあるとは思います。それは、下記↓のとおり不沈戦艦さんも自覚されていますから。
> 以上、反銀英伝「同盟軍フェザーン侵攻」編でしたが、いかがですかな?これを実行する場合、最大の問題は同盟の意思統一だけですね。まあ、リップシュタット戦役の時のシュターデン提督の「一軍を持って敵を迎え撃ち、別働隊でオーディンを陥とす」に近いものがあるとは思いますが。銀英伝に書かれている同盟政府の能力では無理でしょう。でも、「反銀英伝」としては面白いでしょ?
過去の議論を読んでみて、積極的で冒険的な議論が展開されているのを見ると、自分もそうした行為に参加してみたいと考えるようになった。
すなわち、自由惑星同盟によるフェザーン「征服」と「侵略」の実行可能性について、である。
まず先に、侵略と統治、そして征服について、私なりの定義を行っておく。
まず侵略。これは純軍事的な行為であり、統率された暴力によって他に己の意志を強要する行為である。
次に統治。これは純政治的行為を主として、軍事的行為を従とする。おおむね官僚などによる文治を以ってする特徴を持つ。
そして征服。これは単純に軍事力のみで行えるものではなく、また文治のみで行えるものでもない。文字通り、征を以って他を服せしめる行為であり、侵略と統治をつなぐ役割を持つ。
ここでは特に、自由惑星同盟がフェザーン自治領を征服しえたか、あるいはフェザーン自治領に侵略しえたか、を論述する。
まず考えなくてはならないのは、対外的に兵力を用い、軍事的目標の達成を以って征服とはいえないという事である。
ラインハルト軍はフェザーン自治領を侵略した。先鋒はミッターマイヤー上級大将率いる艦隊である。
確かにこの段階で、軍事的目標である惑星フェザーンの支配権を確立し政治的にも支配下においた。だが、これを征服とは言えない。単に軍事的な支配権が確立したのみだからであり、これはあくまで侵略に留まる。
この後、ラインハルト軍がフェザーン自治領を征服しえたのは、他の存在とは異なって絶対的な存在を有したからである。
長大な征旅によって為された自己の侵略行為の正当化と、他を服せしめた後に来る将来の展望とを同時に示しえる者、ラインハルト・フォン・ローエングラムの存在である。
ラインハルトの示した未来は希望に満ち、それに参加する事が最高の正義であるとフェザーンの民衆は感じた。無論、利にさとい彼らがそれだけを理由に動いたなどとは言えない。だが、これまでの利とそれまでの現実に固執して抵抗したりはせず、征服者が展望した新しい世界に希望と功利を見出し、ラインハルトの下に多くが進んで参加したのもまた事実だ。
征服の成功は、円滑な統治へと発展した。新宮廷ルーヴェンスボルンの建設はその象徴である。
一方、自由惑星同盟は帝国辺境領征服に失敗した。これを「食料及び生活物資の供給失敗によるもの」と考えるのは、一知半解との批判をまぬがれまい。
考えてみればいい。帝国辺境領を侵略した同盟軍は、通り一遍の理想を説いたものの、現実には食料と生活物資を用いてしか辺境住民を引きつけ得なかった。このまま行けば同盟は、延々と物資を供給して、モノで帝国辺境領を釣り続けなければならなかっただろう。財政力の限界に挑戦して、これを繰り返すのだろうか。
あるいは生産手段を与え、最終的に物資を自給自足できるようになれば己が訴える理想が浸透し、帝国辺境領は同盟辺境領となる――
それは本当だろうか。現実は過酷だった。物資不足となった同盟軍は、帝国からの攻撃を受ける前から、口先の理想など簡単にかなぐり捨て、守るべき民衆から自ら供した物資を奪い、更なる略奪を以って侵略の果実をまかなおうとし、自ら求めて帝国辺境民衆の敵となった。
すなわち、同盟の提示した「未来」とは、物不足という現実の前には簡単に雲散霧消するものでしかない事を、自らの行動で示したのである。
帝国辺境領の征服に失敗した同盟が、フェザーン自治領征服には成功する、理由はラインハルト軍が成功したからだ――などという言説は、現実的ではない。
何? 人はパン無くして生きる事は出来ない。だから、パンを用いて民衆の耳目を自らに向けるようにしたのだ。物資の供給は理想追求の為の方便に過ぎない。フェザーンならば物資は自給できているし、初めから高邁なる理想を論じればよい。
乞食の問答と断じて良かろうか。さもなくば盗賊の説く理とでも言おうか。
少なくとも侵略した後、自己の軍事力を維持する為に、一時的にはフェザーンの富――すなわち高い生産力を有するフェザーン民衆の自由を奪い、搾取を企図するわけである。富の蓄積度に差はあれど、帝国辺境領で窮した同盟軍と、何ら変わらない行動だろう。これを糊塗するに口先の理想を以ってする同盟軍の軍事支配を、フェザーンの住民は納得して受け入れるだろうか? 同様の状況で帝国辺境の住民は抵抗したが。
フェザーンの生産力を使う事は無い。後方は安全である。よって、後方からの物資がつけば事足りる――本当に?
それでは帝国辺境征服と同じである。動機と経過が同じなのだから、結末も変わらない。限界を超えた同盟の経済力はやがて崩壊し、軍は短期的には後退するか略奪するかを選択し、最終的には撤退する。結果、フェザーンは独立を回復する。
人はパンのみにて生きるにあらず。現在の自由とある程度まで保証された将来と自らの才覚で上げた収益と、何よりも独立不羈の誇りとを、侵略行為と偏狭な実無き理想で奪った者達を、フェザーン市民は許さないだろう。かくてラインハルト軍による逆侵攻がなり、そうして新帝国の版図フェザーンが確立される。フェザーン市民は諸手を上げて、人類の再統一を果たすローエングラム朝銀河帝国の建設を推し進める。
歴史は変わらない。
とどのつまり、ここで仮定される「自由惑星同盟」とは、初めから物資を求めて征服を企図する盗賊国家だったという事になろう。さもなくば、征服に際して国民の富を吸い上げる吸血国家か。
どちらにしても救いがたい話ではないか。
物さえあれば何とかなる。富める者は最後に勝利する。こんな議論は、少なくともアーレ・ハイネセンやグエン・キム・ホアの前ではしない方がいい。奴隷としてパンを受け取っていれば彼と同志たちは当面の生を(あくまで一時的にだが)得る事が出来た。だが彼らはあえて理想を説き、食料と物資の不足など及びもつかないほどの過酷な現実に立ち向かった。犠牲は多く、その阿鼻驚嘆は想像を越えるが、結果としてそれを現出せしめたアーレ・ハイネセンとその与党に対し、奴隷でいればそれほどの苦しみを味わう事無く済んだ愚昧な民衆を扇動して惑わし支配して壮絶な苦難に追いやった、と非難する者はいない。出来ようはずも無い。
専制に屈して奴隷として死ぬならば、民主共和政の理想を達成する為に数多の苦難を乗り越えて毅然たる生を求めよう、と正しく唱えて自らを厳しく律し長征を断行し、そして最後には正しく理想を実現する事に成功した彼らは、その乗り越えた苦難故ではなく、高い理想を以って現実に挑むという、人としての生き方を示した事で称えられるべきであろう。
こうして生まれたのが自由惑星同盟である。
彼らの長征とは、単に長旅だったのではない。過酷な現実を超克し、理想を遂げる為に行われたものだったはずだ。
征服とは、単に武力の優越や富力による建設ではない。そこにいる人々の心をこそ征し、服させなくてはならないはずだ。その基準に照らせば、アーレ・ハイネセンもまた、偉大なる征服者の一人だろう。
区々たる理想の名の下に、論ずるにも値しないほどの暴挙を為す自分達の子孫達について、真の意味で理想に殉じた先人がどう評するか、いっそ試みてみたいものだ。
――興奮して筆が踊り、思いがけず、論述が長くなった。
自由惑星同盟によるフェザーン自治領侵略の可能性については別に論じる事としよう。
前回の予告どおり、今回は自由惑星同盟によるフェザーン自治領侵略の可能性について論述する。
侵略とは、他に対して自己の意思を強制する為に、統制された暴力を用いる行為である、と言う解釈を示しておいた。
これはすなわち、軍事力を行使して、相手を屈せしめる事を意味する(これがすなわち戦争である、とは言わない。軍事力の行使はさまざまな形がある為である)。
ただ、現実の侵略は、おおむね敵地における軍事力の展開とこの直接的な行使を以ってする――すなわちこれを戦争という。
さて、同盟のフェザーン侵略には、絶対に議論されねばならない、非常に重要な問題がある。
自由惑星同盟が民主共和政によって民衆を統治する国家である、という事実がそれである。
奇しくも、同盟がフェザーンを侵略するに対して、地球で行われた第一次・第二次世界大戦において、二度とも侵略の対象になった国を上げ、その正当性を実証するかの言説があったのを記憶している。
ベルギーは、ドイツ・フランスの二大国と陸上でつながり、更に海上ではイギリスと国境を接する、大国角逐の地である。
見よ、大国間の戦争において、良心の発露などありえない。一方的に宣戦布告され、一方的に蹂躙されるのである。このような実例があるから、長期にわたる大戦において小国の存続は困難である――
。
しかし、この主張には重大な瑕疵がある。
一度目の大戦で、ベルギーに侵略したのは、専制君主制帝国であり、二度目の大戦で侵略したのは、民主共和政を簒奪した全体主義・民族差別主義政権であった。彼らは、個の権利を制限もしくは無視する、法治国家とは言いがたい国家であった。何よりも、法的な制限を受けない権力者が国家の全権を握る、という点で、両者は特徴的な共通点を持つ。
一方、第一次大戦末期に専制君主制帝国を打倒する革命を起こして発足したワイマール共和国、あるいは、全体主義政権が戦争によって破綻した後に生まれたドイツ連邦共和国は、ベルギーを侵略、征服する事を実行していない。
両者の特徴は、権力の分散と、権力者を掣肘する法を持つ民主共和政国家であり、国民個々人の基本的人権を法によって保障している。
無論、後者が前者ほど普遍的に好戦的でないという保証は何も無い。
しかし、現実問題として、ある一つの地域に成立した国家が、もう一つの国家に対して侵略した歴史をもつのは、前者であって後者ではない。
これを重要な示唆を為す。
民主共和政――万人が等しく侵害されるべからざる政治的権利を有する事を国是とした国家は、そうでない国家に比べ、侵略の実行に対する障害が大きいのである。
当然であろう。外交において、大国には小国の権利を侵害する当然の権利がある――そんな事を、主張できるかどうかの違いなのだ。
自由惑星同盟が、フェザーン自治領を侵略する為には、小国と大国にかかわらず、相手側に、侵略に値する理由がある、という実証を行う必要がある。
この実証は、外交交渉という形で行われる。
外交無くして行われた侵略が、必ず破綻するとはいえない。なんとなれば、侵略とは軍事力の行使を以ってし、そこで道義的側面は配慮されないからである。
しかし、現実の民主共和政国家は、侵略するに際して外交交渉を欠く事が出来ないのだ。相手の権利を尊重する、という理由ゆえに。
何? 非常の時である、非常の法を取るべし。なるほど、かような説はしばしば通用するかも知れない。何より簡便なるが故に。
ではこういう事になろうか。
刑事犯と見込まれる人間を逮捕・拘束するに令状は不要であり、また彼を裁くに法を以ってする必要は無い。非常の時なのだ。
隣家との経済問題を解決するに、訴訟を以ってする必要は無い。非常の時なのだ。実力を以って解決すべし。
……これを無法国家と呼ばずしてなんと呼ぼう。
ここで仮定される「自由惑星同盟」とは、このような国家なのだ。このような自称「民主共和政国家」が存立する価値があるのだろうか。
軍事的、政略的に有効なフェザーンへの無外交開戦奇襲――侵略は、こうして歴史上最大の民主共和政国家を崩壊させる原因となる。
ローエングラム朝銀河帝国が人類圏を征服・統治する歴史は、変わらないのだ。「自由惑星同盟」の自壊によって。
さて、これまでの論述で、自由惑星同盟によるフェザーン自治領の征服と侵略は、実質的に不可能である事を主張した。
次回の論述では、奇矯なる「銀河帝国」について論述してみたい。
「自由惑星同盟」によるフェザーン「征服」に際して、現実の銀河帝国では誰がどのような形で、前線で兵を統帥するのだろうか。
今回は、前回の予告どおり、銀河帝国フェザーン自治領奪還軍についての論述を行う。
ここで為された、興味深い思考実験がある。
自由惑星同盟が軍を持ってフェザーンに侵攻し、これを攻略した場合、銀河帝国宇宙艦隊副司令長官ラインハルト・フォン・ローエングラム伯爵元帥に奪還の勅命が下る。イゼルローン回廊失陥よりも重大な事態であり、自国が承認した自治領への侵攻であるから、これは優先される。
後方に控えた国務尚書リヒテンラーデ侯や、帝国軍三長官は、出兵したラインハルト軍に対して、軍事的支援を行わず、兵力で劣るラインハルト軍は、豊富な物資を有する根拠地を得た自由惑星同盟軍との戦いに奔命させられ、疲労困憊の末、皇帝崩御の事態に遭遇し、奪還の実無く帰還を命じられ、処罰されて終わる――。
自由惑星同盟軍の征服や侵略の実態を考慮すると、このような想定の前提が成り立つ事すら考えがたい事は既に論述したが、それ以上に、殊更常識的に考えがたいのは、過小な兵力で、ラインハルト軍が敵前孤立する事だろう。
ここに至る前の時空間に戻ってみよう。
ヤン・ウェンリーによるイゼルローン要塞無血占領という、劇的な事態が発生し、イゼルローン回廊は自由惑星同盟軍によって陥落した。これに接して、帝国軍三長官は全員が同時に、引責辞任を表明している。
だが、これはラインハルトの提案により、撤回された。
奇矯なる「銀河帝国」では、この事実が等閑視される。まるでその後起きたフェザーン回廊失陥の全責任が、宇宙艦隊副司令長官ラインハルト・フォン・ローエングラム伯爵元帥に課せられたかのように、勅命が下る。直隷の軍のみを以って、フェザーン逆侵攻を実施せよ。遅滞は許されない。
当然、かような事が、まともな国家で起こりえるはずも無い。
一方の回廊が失陥した際に下位者からの助言で引責を免れた重臣が、もう一方の回廊を失陥した際にはその下位者自身を頤使して奔命せしめ、自滅させる――。
これが栄光ある「銀河帝国」諸侯の為し様なのだ。かような重臣が帝権を輔弼してよくぞ五世紀も命脈を保ちえた、と、いっそ賞賛したくなる。
夜郎自大の為した厚顔無恥の生きた実例として、百科事典にさえ掲載されるだろう。
無論現実の銀河帝国では、かような厚顔無恥は通用しない。
アムリッツァ会戦後、宇宙艦隊司令長官グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥は辞任する。
政治的理由での辞任であり、また彼自身、内戦に巻き込まれる事を恐れてした、文字通りの現役引退であるが、無論、国権と軍権の中では当然の辞任でもある。
上位者がした失態の結果生じた国家領域の侵害を、下位者が克服したのだ。
下位者の功を報いる以上に、上位者の罪を罰する為の人事である。
結果、空位となった宇宙艦隊司令長官は、功労者に与えられる。
銀河帝国軍宇宙艦隊司令長官、ラインハルト・フォン・ローエングラム侯爵元帥の誕生である。
さて、本論に戻ろう。
現実の銀河帝国で、国権と軍権の中で、同盟軍のフェザーン回廊占拠という事態を、帝国軍三長官が責任を負わぬはずも無い。なればこその権力であり、地位なのだ。
当然、皇帝フリードリヒ4世は、これを踏まえて勅令を発する。
帝国軍三長官は軍を直率してフェザーン自治領を奪還せよ。他に優先して、可及的速やかに。
また、皇帝の代理人として、国務尚書はこれに同行し、その職権を以って政軍の統一を果たして、フェザーン自治領奪還を効率たらしめよ。
さらに、宇宙艦隊副司令長官は、直率する軍を以って帝都オーディンに残留して叛乱軍のイゼルローン回廊方面からの侵攻に備えよ。
なお、委細は軍三長官と国務尚書に一任する。
……この結果、軍三長官と門閥貴族軍はフェザーン回廊周辺に結集する。なぜ門閥貴族軍なのか。それこそが、政軍統一の実を為す為にリヒテンラーデ侯が派遣された所以なのだ。
国家の総力を挙げ、フェザーン自治領を回復しなくてはならない勅命の下令により、文字通り、可能な限りの兵力を、フェザーンに結集せざるを得ない。数のみ充たして編成上混乱した門閥貴族軍を巧みに調整・統制するには、軍権を掌握する三長官のみでは不足である。国務尚書の手腕が必要になる。
一方のラインハルト軍は、勅命ある限り忠実に帝都警護を行う為、前線には出兵出来ない。無論、過小な兵力しかないラインハルト軍は援軍など送らない。否、送れない。勅命では、副司令長官は直率の軍を以って帝都守護を為す事を求めているのだ! いわば高みの見物である。
これが想定され得る、現実の銀河帝国軍の戦闘序列なのだ。
(もはやこう評してよかろう)エセ思考実験とは逆に、現実は、ラインハルト軍が戦力を温存し、門閥貴族軍が大損害を被る!
無論、奪還の如何を問わず、三長官は辞任する。一方の回廊が失陥した際に、もう一方の回廊が失陥する事に対策しなかったのは明らかな三長官の失策である。この罪を問うに、辞任以外の何かがあるだろうか。
あげく、帝国軍で最初に皇帝死没の事実に接するのは、ラインハルト・フォン・ローエングラムとなる。この事態ははなはだ大きい。
今回、件名にはあえて、その一と記した。
無論、ラインハルト軍がその総力を挙げて「自由惑星同盟軍」からフェザーン自治領を奪還しなくてはならない事態も想定される。
次回は、エセ思考実験の参加者諸氏が熱望して止まない、ラインハルト軍によるフェザーン奪還作戦における戦闘序列を考えてみたい。
……フェザーン回廊は、同盟軍の死屍で舗装されたり……
前回、銀河帝国が取り得るフェザーン自治領奪還作戦時の人事を論述してみた。無論、それまでの三長官と国務尚書への懲罰的な出兵の勅命が出ず、ラインハルトに奪還の勅命が下る可能性も否定は出来ない。
この場合についての論述を行う。
フェザーン回廊失陥は、イゼルローン回廊失陥から敷衍して発生した事態ではない。しかし、一方の回廊が「外敵」によって陥落した場合、もう一方の回廊への「外敵」の攻撃が行われる可能性は考慮されるべきであったかも知れない。そう判断されれば、国家の要職にある者が、その責任を問われるのは当然であろう。
重大な事態の発生に、帝国軍三長官は辞任に追いやられる。またこの際、リヒテンラーデ国務尚書の辞任も考えられるが、もう一つの可能性として、史実に先んじて、宰相として国政の全権を握る可能性もある。リヒテンラーデは皇帝の寵臣で、かつ最も信頼された人物でもあるからだ。
空席となった三長官の内、宇宙艦隊司令長官はラインハルトが任命される。作戦については全権が委任される。
他の長官職を誰が占めるか、おそらくそれは政治的に中立と考えられる人間で、年功序列に基づいて任命され、ラインハルトの実権を侵害しない人物、あるいはラインハルトの独裁的作戦遂行を支援する人物が選ばれる。
ラインハルトは、宇宙艦隊副司令長官に、ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ上級大将を任用する。その配下には、諸侯軍を配置する。そして、勅命によって副司令長官は帝都オーディン守護を命じられる。
ラインハルト軍を中核とする宇宙艦隊は、全力を挙げてフェザーンに向けて出撃する。
――帝都守備にメルカッツを置いて大丈夫か。あるいはキルヒアイスを副司令長官にして配置すべきではないか。
後者の場合、人事的ないくつかの問題が生じる。三長官を実質的にラインハルト寄りの人間で占めた場合、ラインハルト軍のナンバーツーたるキルヒアイスが副司令長官になるのは帝国の既存秩序への配慮上、好ましい事ではない。また、司令長官が「外敵」との最前線に出た場合、副司令長官は帝都に残って、司令長官に万一の事があった場合の、軍の指揮権掌握を図らねばならない。
その為、キルヒアイスを副司令長官として、最前線に同行させる訳には行かない。かといって、同職に任命して帝都に残しても、諸侯の私兵を統帥下に置くには不安が残る。平民の副司令長官に従わない諸侯の存在は当然考えねばならない。何より人的資源の無駄使いだ。
その点、メルカッツならば、軍歴と実績から副司令長官としても十分。ラインハルトの与党ではないので政治的配慮にも適合される。また、帝国随一の宿将である彼ならば、諸侯軍を統帥して帝都守備を行う程度ならば難無くこなせる。また、諸侯も彼の指揮下でならば一定の従属をする。副司令長官職は勅命によって下されるから、当人も政治的配慮から拒否する事は考えられない。何より、彼は政治的野心が無いからラインハルトとしても皇帝の身を擁して権力を振るうとの心配が無い。私心の無いメルカッツならば安心できる。
ほう、では私心がありすぎる諸侯達の私兵が帝都を守備するのは良いのか。帝都が混乱して、後顧の憂いだらけだ。
軍の実権はラインハルトが統括している。帝都が混乱しても作戦指導には影響が無い。実際の兵站補給線はメルカッツなど、中央に残した人物が保護する。混乱の極、皇帝の身を武力で抑え、勅命を以って自己の権力を確立しようと図るかもしれない――その心配は無い。諸侯は他の諸侯の下風につくのを嫌う。それぞれが牽制しあい、闘争はともかく、実際の奪権は出来まい。メルカッツもいる。また、状況次第では慰留されたリヒテンラーデ宰相を敵に回す事にもなる。
あるいは乱脈の極、諸侯が相打つ状況になった場合、ラインハルトには願ったりかなったり。フェザーン奪還後、共食いで弱体化した諸侯軍を一撃で粉砕する。
さて、実戦において、フェザーン奪還を図る事が出来るかどうか。
既に論述したように、同盟はフェザーンを征服できない。そして、無理やりな侵略によって民衆を敵に回す。事と次第によっては、フェザーン市民だけでなく、同盟市民まで。同盟には反戦派が一定の数いるのだという事を忘れてはいけない。彼らが無法なフェザーン侵攻を肯定するはずも無い。
急戦してあえて損害を恐れず、早期の攻略を計るもよし。
持久して損害を避けながら、同盟軍の攻勢限界点で攻撃を図るもよし。
フェザーンに関する情報をフェザーン市民から獲得できる限り、選択権はラインハルトの手にある。
同盟軍が情報封鎖をすれば更にフェザーン市民の自由を奪わざるを得ない。不幸にも、同盟への反発が強まる。
どうあれ、帝国軍の全力を挙げた攻撃に、同盟軍の損害は尋常ならざるものとなろう。
……かくてフェザーン回廊は、叛乱軍の死屍で舗装されたり……
同盟軍がイゼルローン側から帝国領に侵攻する事は無いか。辺境領を占領下に置く事はありえる。が、それは一時的なものだ。主力軍をフェザーンで失い、フェザーン回廊からの帝国軍侵攻が考えられる事から、辺境領を撤退してこれに対応しなくてはならないだろう。しないというなら、フェザーン奪還を果たした宇宙艦隊が、返す刀で攻撃する。長駆、帝国領を侵攻した場合、帝国軍の補給線を遮断する事は、一時的には可能だろう。しかし、自身の補給線の維持もまた困難だ。同盟軍がこれに固執すれば、遠征軍は自滅する事だろう。
戦後、論功行賞で、ラインハルト侯は三長官職を独占する事になる。軍の人事は彼のほしいまま。
リヒテンラーデ公は宰相に残る。
一方、展開次第では、諸侯軍は帝都で相互不信に陥り、各個に反ラインハルト―リヒテンラーデ枢軸と対峙し――ラインハルト軍に各個撃破される。
そして最後に、ラインハルト対リヒテンラーデの対決が起きる。
歴史は、さほど変わらないのだ。
これで論述を終了したい。
現実を踏まえて議論する限り、仮想歴史を検討しても、実際の歴史とはさほど違いが無いのだ、という結論を残して。