優馬です。
「悪役列伝」にアンネローゼ? 優馬は何をトチ狂ったかとお考えのアナタ。ご不審はごもっとも。ですが、まぁちょっと私の話を聞いてください。
「けぶるような金髪に青玉色の瞳、白磁の肌」・・銀英伝最高の美女にして、ラインハルト/キルヒアイスの神聖不可侵のアイドル、アンネローゼ。愛されこそすれ憎まれるはずのない彼女をなぜ「悪役列伝」などで取り上げるのか。
クレオパトラの鼻がもう少し低かったら歴史が変わっていただろう、と言ったのはパスカルでしたっけ?
こういう春秋の筆法をもってすれば、「銀英伝」世界の史家は後世、「ゴールデンバウム王朝を倒した美貌の寵姫・アンネローゼ」と書いたに相違ありません。彼女の絶世の美貌がフリードリヒ四世に見初められなかったら、それに怒った弟・ラインハルトが帝国打倒に立ち上がることもなく、リップシュタット戦役もヴェンターラントの虐殺もなく、救国軍事会議のクーデターも同盟の亡国もなく、ローエングラム王朝の成立もなかったわけです。ゴールデンバウム朝はいずれ崩壊したにせよ、アンネローゼの存在がなければ、その経過は「銀英伝」世界の正史とはまったく異なったものになっていたでしょう。言ってみればアンネローゼの美貌こそがゴ朝末期の動乱の原因となっているわけで、私だったら絶対、「銀河を転覆させた美貌」と歴史書に特筆大書します。(だってその方が面白いじゃん。)
確かに、一連の動乱で数十億の民が殺されたからといって、アンネローゼに責任があるわけではありません。第一に悪いのはフリードリヒ四世のスケベ心であり、次に悪いのはラインハルトの異常な姉に対する執着です。
しかし、アンネローゼは、たまさか天才の姉だったばっかりに、そしてそれがまた、たまたま皇帝の思い人となって後宮にはいって弟を引き立てたばかりに、大きな大きな歴史の歯車を偶然に回してしまった可哀相な女性なのでしょうか。
これって、なんかアンネローゼの美貌に対して失礼な言い方ですよね。
彼女はやはり「傾国の美女」と呼ばれるのがふさわしい。
いや「銀河転覆の美貌」です。
人類の歴史上最高最大の美女として、記録されるべき存在なのです。
アンネローゼというと、銀英伝の中ではラインハルトやキルヒアイスの回想の中にばかり登場するので、なんだか「金髪の妖精」的イメージが強いし、後半ローエングラム朝の成立後はなぜかほとんど動かなくなるフシギなキャラクターになっています。「聡明で気丈ではあるが、万事に控え目で穏やかな性格」だからということなのですが、どんな性格してるんでしょうか、彼女は?? 私はこのアンネローゼのキャラ造形は非常に不自然だと思います。
皇帝の後宮で長年にわたって寵姫であり続けることがどういうことであるか考えてみましょう。例えば酒見賢一の「後宮小説」(新潮文庫)(<傑作です。読んで損はナシ。)、決して顔が綺麗なだけで「のほほん」としていられるような世界ではありません。嫉妬と策謀、「表」の政治の世界以上に陰湿な権謀術数が渦巻く世界です。
また可愛いだけの「お人形さん」に、移り気な皇帝がいつまでも寵愛を続けるはずがありません。皇帝にとってアンネローゼを後宮に入れたことは、道端で花一輪、摘んだほどのことでしかないのですから。
何のバックもないアンネローゼが、身ひとつで後宮に放り込まれ、自分の美貌と才覚だけを頼りに後宮を生き延びることが、さらには皇帝のNO.1寵姫となりおおせるということがどれほど困難であったことか想像に余りあります。それは本当に素手で垂直な岩壁を登るような、苦難の道であったに違いありません。それに比べれば、ラインハルトなんて最初から「皇帝の(寵姫の)庇護」がついているんだから楽勝です。アンネローゼが、美貌はともかく心弱い女性であったと見るのは、大いに疑問です。絶対メチャ苦労人だって、あの人。
ラインハルトがその狷介な性格にもかかわらずスピード出世ができたのは、皇帝の庇護によるものでした。アンネローゼは、弟が失脚しないように、移り気で忘れっぽくて根気のない老人を必死で操作していたはずです。口で言えないような手練手管も使ったことでしょう。人の善意だけしか知りません、という銀英伝的アンネローゼ像とは大いに矛盾する人間像だと思います。
実際、後宮の中で生き延びる、ただそれだけのためであっても、仲間を作る必要もあるし、ライバルと戦わないといけない。ぼやぼやしていたら一服盛られて冷たくなって実家に帰るという憂き目を見かねません。「グリューネワルト夫人」と呼ばれる女性は、もはや「夢見る少女」アンネローゼではありえなかったと言わざるをえません。
このように、「グリューネワルト夫人」を歴史的実在として考えていくと、銀英伝におけるキャラ造形が非常に薄っぺらなものであることに気がつかされます。要するに「ラインハルトに帝国打倒の動機を与える」というため「だけ」のキャラクターになっているわけで、キャラクターとしての深みに欠けます。(しかし「帝政打倒」の動機が「シスコン」というあたりが、あまりにも80年代的で泣けます。)
もしラインハルトたちが「帝国打倒」に立ち上がるときに「グリューネワルト夫人」に相談していたら、どうなっていたでしょうね。私は、間違いなく「尻の青いヒヨっ子さんたち、何を血迷われたの?」と一蹴されていたと思います。彼女にしてみれば、さんざん苦労したあげくに将軍にまで出世させた可愛いい弟たちが、そんな夢想的冒険主義に走ろうとしていたら、身体を張ってでも止めるに決まっています。「私が誰のために苦労してきたと思うの!」と言って泣き崩れるかも。シスコン・ラインハルトとしては、にっちにもさっちにもいかなくなったでしょうなぁ。
アンネローゼも、「ストーリー構築のための『役割』でしかない」(=血肉を備えた人間として描かれていない)という意味で、前回取り上げたアーサー・リンチと共通します。かたや醜悪、かたや美貌ですが、抽象的な「役割」を生きているので、極端に特徴が誇張されているという点も同じです。アンネローゼに振られたのは「憧憬という名の偶像」という役割でした。偶像は、崇拝されることが本質であって、自分の意志をもって行動することはできないのです。
P.S.
私は「苦労人」グリューネワルト夫人のキャラクター、結構好きです。則天武后とか中国史によるあるタイプで、暴走するとキケンですけど(笑)。「反銀英伝」で人質にされている彼女ですが、タフでしたたかなグリューネワルト夫人ならば、自力で脱走してくるという可能性もありそうで。「どうやって脱出されたのですか?!」「あら、歩いてに決まっててよ」なんて会話があったりしてね。ではでは。
こんにちわ、恵です☆
アンネローゼが“悪役”かぁ…ビックリしました、すごい着眼点ですね、優馬さん(;_;)。
>いや「銀河転覆の美貌」です。
人類の歴史上最高最大の美女として、記録されるべき存在なのです。
「後世の歴史家」たちがそう記述したとしても、まったくおかしくありませんね。ここに至るまでの優馬さんの考察、わたしも賛成です。
>このように、「グリューネワルト夫人」を歴史的実在として考えていくと、銀英伝におけるキャラ造形が非常に薄っぺらなものであることに気がつかされます。要するに「ラインハルトに帝国打倒の動機を与える」というため「だけ」のキャラクターになっているわけで、キャラクターとしての深みに欠けます。
う~ん、わたしにはアンネローゼが深みの欠けるキャラだとは思えないんです。その理由は、
♯アンネローゼがラインハルトとキルヒアイスにとっての「偶像」だったのは事実ですが、自分のために「宇宙を手にする」野望を持った弟に、彼女は複雑な思いを持っていたと思います。作中でも、すでに寵姫となったアンネローゼと対面するラインハルトは、常に帝国打倒の野心を姉に隠そうとしていますが、彼の野心を察しているかのようなアンネローゼの言動があったような憶えがあります。そのシーンから「もともとの原因が自分にある限り弟を止めることができないし、止めても弟は引き下がらないのでは…」というアンネローゼの内なる葛藤を、わたしは読みとることができました。積極的に彼女が行動したことはなかったかもしれませんが、単なる「美しいだけのお人形さん」ならそんな葛藤とは無縁のはずではありませんか?
>さんざん苦労したあげくに将軍にまで出世させた可愛いい弟たちが、そんな夢想的冒険主義に走ろうとしていたら、身体を張ってでも止めるに決まっています。「私が誰のために苦労してきたと思うの!」と言って泣き崩れるかも。
弟たちが「出世した」のは結果であって、アンネローゼの目的ではなかったと思います。アンネローゼの配慮は、血気盛んに戦場に出たがる弟を、できるだけ守ってもらうように皇帝に要請することだったはずです。ただ、その結果として戦場から帰ってくるたびに彼が武勲を上げてしまうので、「寵姫の弟」という立場もあって、彼女の思惑とは別に急スピードでラインハルトが出世してしまった、というのが真実ではないでしょうか?「危ないことはしないで」という彼女の台詞に、ラインハルトが矛盾を感じていた描写もあったと記憶しています。「純粋に弟を見守る」のが彼女の基本スタイルであって、「寵姫の立場を利用して弟を出世させる」ではなかったと思います。
わたしの印象では、アンネローゼは「誰に対しても本当に言いたいことがどうしても言うことができなかった女性」というイメージが強いです。特に、ラインハルトとキルヒアイスには、立場や性格上、言えなかったことが余りにもありすぎて、後半ではその後悔からあえて日陰の存在になってしまったんじゃないでしょうか。後宮内での「苦労」は間違いなくあったと思いますから、「苦労人」だとはわたしも思いますけど(笑)。
こんにちは、KURと申します。
悪役列伝にアンネローゼを登場させるという着眼点は、さすがに
優馬さんですね。
非常に興味深く文章を読ませて頂きましたが、
考えようによっては、アンネローゼのあの性格のままで
後宮で生き抜くことも不可能ではないということを思い付きました。
それには、まず皇帝というキャラクターの見直しが必要なんですが…
銀英伝本編ではとかく無能扱いされる皇帝ですが、ところどころに
出てくる描写を見ると、単なる馬鹿ものとも思えないんです。
たとえば、ラインハルトの野心を知りながら、それを許容している
節があるし、外伝においては一対一で、精神的にラインハルトを圧倒するという
偉業を成し遂げています。
で、ときどき聡明になる皇帝の台詞の端々を見ますと、どうも
滅びというものをさほど恐れてはおらず、むしろ華麗なる死を
遂げたがっている様子があるような気がするんです。
で、思ったのが、実はラインハルト達の出世というのは
アンネローゼの嘆願によるものではなく、皇帝自身がそれを
望んでいたのではないかということです。
つまり
「皇帝はラインハルトの野心を知りつつ、自分(ゴールデンバウム王朝)を
華麗なる業火の中にうち倒すであろう若い覇者の誕生を願っていた」
という可能性です。
もし皇帝に主体的な意志と高いレベルの知性があるとすれば、
アンネローゼはさほど弟たちのことや自分の保身に気を使うことなく、
後宮で暮していけるんじゃないかという気もするんですが、
いかがなものでしょうか?
長文駄文失礼しました。
> こんにちは、KURと申します。
はじめまして、KURさん。恵と言います☆
> もし皇帝に主体的な意志と高いレベルの知性があるとすれば、
> アンネローゼはさほど弟たちのことや自分の保身に気を使うことなく、
> 後宮で暮していけるんじゃないかという気もするんですが、
> いかがなものでしょうか?
鋭い意見ですね。その可能性、実はわたしも考えていました。ただ、仮に皇帝に「主体的な意志と高いレベルの知性」があったとしても、具体的にどんなアクションでアンネローゼたちを保護していたのか?という疑問があるんです。外伝だったと思いますが、アンネローゼが宮廷内の陰謀に巻きこまれて命を狙われたことがありますが、それを実質的に阻止したのはラインハルトとキルヒアイスであって、皇帝・フリードリヒ四世ではありませんでした。確かに、ただ暗愚なだけの人ではなかったかもしれませんけど、「主体的な意志と高いレベルの知性を備えていた」と判断できる材料はとても少ない気がするんですよね。実際、ラインハルトを武勲の度に昇進させたこと以外に、何か特別なことをしたというわけでもなさそうですから。
アンネローゼが戦場に赴くラインハルトを心配するのと同じくらい、宮廷内の陰謀に巻きこまれることを、ラインハルトも心配していたはずです。もしも、フリードリヒ四世が主体的・積極的な保護策を講じていれば、少なくともラインハルトとキルヒアイスはその点だけはそれなりに安心できたと思うんですけど(実際はもちろん違います)、いかがでしょうか?
はじめまして、恵さん
> 鋭い意見ですね。その可能性、実はわたしも考えていました。ただ、仮に皇帝に「主体的な意志と高いレベルの知性」があったとしても、具体的にどんなアクションでアンネローゼたちを保護していたのか?という疑問があるんです。外伝だったと思いますが、アンネローゼが宮廷内の陰謀に巻きこまれて命を狙われたことがありますが、それを実質的に阻止したのはラインハルトとキルヒアイスであって、皇帝・フリードリヒ四世ではありませんでした。確かに、ただ暗愚なだけの人ではなかったかもしれませんけど、「主体的な意志と高いレベルの知性を備えていた」と判断できる材料はとても少ない気がするんですよね。実際、ラインハルトを武勲の度に昇進させたこと以外に、何か特別なことをしたというわけでもなさそうですから。
> アンネローゼが戦場に赴くラインハルトを心配するのと同じくらい、宮廷内の陰謀に巻きこまれることを、ラインハルトも心配していたはずです。もしも、フリードリヒ四世が主体的・積極的な保護策を講じていれば、少なくともラインハルトとキルヒアイスはその点だけはそれなりに安心できたと思うんですけど(実際はもちろん違います)、いかがでしょうか?
そうですね。私もその点を整合できずに困っていたところなんです。
おもいっきりフリードリヒのおっちゃんをかいかぶってしまえば、
「すべて(ラインハルトの行動を含めて)は彼の手のひらの上」
ということになりますでしょうか。
しかし、いくらんでも皇帝をそこまで高く評価はできません。
(物語の主役が変わってしまいます(笑))
結局、あの件に関しては、フリードリヒは無力だったと言わざるをえないでしょう。
ただ、アンネローゼがあの性格で後宮でやっていけるはずがないという
優馬さんの指摘ももっともだと思うんで、その辺の落しどころを
どうさぐるかですね。
ただ、ラインハルトの栄達が皇帝自身の意志だとすれば、
少なくともアンネローゼが皇帝を説得する必要はなくなるんで、
負担はだいぶ減るでしょうね。
…うーん、何か一種の反銀英伝みたいになってきましたな。
> 皇帝の後宮で長年にわたって寵姫であり続けることがどういうことであるか考えてみましょう。例えば酒見賢一の「後宮小説」(新潮文庫)(<傑作です。読んで損はナシ。)、決して顔が綺麗なだけで「のほほん」としていられるような世界ではありません。嫉妬と策謀、「表」の政治の世界以上に陰湿な権謀術数が渦巻く世界です。
> また可愛いだけの「お人形さん」に、移り気な皇帝がいつまでも寵愛を続けるはずがありません。皇帝にとってアンネローゼを後宮に入れたことは、道端で花一輪、摘んだほどのことでしかないのですから。
ちょっと女性が来ているかもしれない場所で書くのはなんですが・・・
そういう可能性もありますよ。
つまり、えーと、ようするに露骨に書くと物凄く具合がいいということもありえます。そしてそれだけで権力を持つ人も。
人間、快楽には弱いですから。それがある程度聡明ならいいですが、まったくの色好みという人間も中にはいます。ましてやそれが美人なら。
まあ、それでもいつかは飽きられるんでしょうが、飽きられる前にどうにかなってしまった、ということも考えられますし。
もし皇帝がサディスティックな性格だったら、弟の口添えに必死の女性を苛めることはかなり楽しいことでしょうし。
てんてん dance with penguin
恵です☆
またまた思ったことを少し書きますね。
> そうですね。私もその点を整合できずに困っていたところなんです。
> おもいっきりフリードリヒのおっちゃんをかいかぶってしまえば、
> 「すべて(ラインハルトの行動を含めて)は彼の手のひらの上」
> ということになりますでしょうか。
> しかし、いくらんでも皇帝をそこまで高く評価はできません。
> (物語の主役が変わってしまいます(笑))
> 結局、あの件に関しては、フリードリヒは無力だったと言わざるをえないでしょう。
>
> ただ、アンネローゼがあの性格で後宮でやっていけるはずがないという
> 優馬さんの指摘ももっともだと思うんで、その辺の落しどころを
> どうさぐるかですね。
>
> ただ、ラインハルトの栄達が皇帝自身の意志だとすれば、
> 少なくともアンネローゼが皇帝を説得する必要はなくなるんで、
> 負担はだいぶ減るでしょうね。
>
> …うーん、何か一種の反銀英伝みたいになってきましたな。
ちょっと思ったんですけど、銀英伝の歴史って、いろんな要素がかみ合った「結果」によって出来上がっていて、“アンネローゼの美貌”も“フリードリヒ四世の内なる願望”も“ラインハルトの天才的な戦争能力”もそれぞれ一つだけでは「ゴールデンバウム王朝の打倒」につながらなかったんじゃないでしょうか?そこが(わたし的には)「銀英伝」という物語の重厚さというか、奥の深さにも感じるんですけどね(^-^;)
あと、アンネローゼの性格では宮廷内でやっていけないのでは?という疑問ですが、現実としてアンネローゼに対して嫉妬に狂った何とか夫人(ごめんなさい、名前忘れました(^-^;;)の陰謀にも巻きこまれたりもしてましたし、常にそうした危険とアンネローゼは紙一重の状態であったと思います。だからこそ、ラインハルトも汚らわしい皇帝(笑)はもとより、ドロドロした宮廷の世界から姉を救い出そうと赤毛のキルくんと躍起になって頑張ってたんじゃないかなぁ、とも思ったりしますけど、どうでしょうか?
優馬です。
>
> ちょっと女性が来ているかもしれない場所で書くのはなんです・・・
> そういう可能性もありますよ。
> つまり、えーと、ようするに露骨に書くと物凄く具合がいいということもありえます。そしてそれだけで権力を持つ人も。
> 人間、快楽には弱いですから。それがある程度聡明ならいいですが、まったくの色好みという人間も中にはいます。ましてやそれが美人なら。
> まあ、それでもいつかは飽きられるんでしょうが、飽きられる前にどうにかなってしまった、ということも考えられますし。
> もし皇帝がサディスティックな性格だったら、弟の口添えに必死の女性を苛めることはかなり楽しいことでしょうし。
>
> てんてん dance with penguin
あっはっは。てんてんさんったら。
お若いですね~(笑)。
皇帝って、爺さんですもん。いくら美味しいビフテキだって、そんなに毎日食べられませんって(笑)。
もともと、閨房術というものは、物理的な刺激に終始するものではなく、男女間のあらゆるコミュニケーションにわたる洗練されたヒューマン・リレーション・アートであったと言われています。この点、バックのないアンネローゼは、后妃を輩出してきたた大貴族出身者に比べて不利。紫式部とか清少納言っていうのは、藤原家が総力を挙げて結集した「姫様に帝の寵愛ゲット!!」プロジェクトチームの「文化・教養担当」だったわけでしょ。そのチームの中には必ずや「ねやごと」担当の素敵なお姉さまがいらっしゃったに違いないと見ておるのですが、事柄の性質上、一時資料が伝わっていないのが残念。(ちなみに平安時代というのは妙な時代で、ねやごとは煩悩を滅却させると説いたトンデモ仏典「理趣経」が書かれたりしています。確か真言密教立川流の聖典。)
歴史上、身分低い出身で権力者の寵愛を長く保持した女性って、美貌プラス魅力的な人柄であるというケースが多いような気がします。(いちばん多いのは、身分の高い出身+美貌+勝ち気な性格というパターンで、でもこれってあんまり面白くない。)
さて、アンネローゼのキャラクターをできるだけ保持して、かつ皇帝の寵愛を得る方法がないものか、ちょっと考えてみますね。ではでは。
> 皇帝って、爺さんですもん。いくら美味しいビフテキだって、そんなに毎日食べられませんって(笑)。
そうですか?年を取ってからなお・・・というのは怪物的人物にはつき物のエピソードです。
> もともと、閨房術というものは、物理的な刺激に終始するものではなく、男女間のあらゆるコミュニケーションにわたる洗練されたヒューマン・リレーション・アートであったと言われています。
いつ、どの時代の話をしていますか?私が知ってる限りだと江戸時代の遊郭というのはそういう意味合いが強かったらしいですね。
>紫式部とか清少納言っていうのは、藤原家が総力を挙げて結集した「姫様に帝の寵愛ゲット!!」プロジェクトチームの「文化・教養担当」だったわけでしょ。そのチームの中には必ずや「ねやごと」担当の素敵なお姉さまがいらっしゃったに違いないと見ておるのですが、事柄の性質上、一時資料が伝わっていないのが残念。
平安時代の後宮というのは確かに後宮の体系は取っていましたが、どちらかというとサロンです。文化的サロン要素が強く、教養担当というよりは遊び相手として女官が入りこんでいました。
> 歴史上、身分低い出身で権力者の寵愛を長く保持した女性って、美貌プラス魅力的な人柄であるというケースが多いような気がします。(いちばん多いのは、身分の高い出身+美貌+勝ち気な性格というパターンで、でもこれってあんまり面白くない。)
美貌でなくて、というのならわかります。例えばクレオパトラは実際はそれほど美人ではなかったというのが最近の説です。むしろ教養と英知でのしあがった、と。
逆の例をあげましょう。マリーアントワネットはどうですか?彼女は確かに政略結婚の一面も持ち合わせていましたが、教養と英知がそれほどあったとは思えません。でもルイ16世はおぼれましたよね。
歴史を紐解くと、美貌はないかわりに教養と英知で寵愛を受けるパターンと美貌だけで寵愛を受けるパターンがあります。両方を兼ね備えていた例なんてのはほとんどありません。
んで、ちょっと変な話になりますが、いわゆるサディズムというものを考えたときに、前にも書いたとおり、弟思いの姉を自由にするってのは最高のシチュエーションとなります。私はこちらの説を推したいですね。
優馬です。
> そうですか?年を取ってからなお・・・というのは怪物的人物にはつき物のエピソードです。
太祖・ルドルフ大帝ならそうでしょうけど、フリードリヒ四世は「消極と沈滞の人」と呼ばれていたところを見ると、あんまり脂ぎった感じではなかったのではと愚考する次第。
脱線しますけど(しかも大昔のアニメ話で恐縮ですが)、私にとってルドルフのイメージって「新造人間キャシャーン」の敵ボス・ブラッキン総統なんですよ。キャシャーンの父ちゃんが開発したんですが、自らロボットの軍団「アンドロ軍団」を組織し人間に反乱を起こすロボットなんです。これがまた、ロボットのくせに筋骨隆々、えらの張った濃ゆい濃ゆい悪人ヅラでありまして、キャシャーンの父ちゃん、設計ミスったのはもちろん、デザインについても大間違いしでかしとります。
> 逆の例をあげましょう。マリーアントワネットはどうですか?彼女は確かに政略結婚の一面も持ち合わせていましたが、教養と英知がそれほどあったとは思えません。でもルイ16世はおぼれましたよね。
えーっと、ツヴァイクの伝記を読んだ感じですと、ルイ16世というのは今で言う「おたく」のはしりみたいな人で、錠前鍛冶としてはプロはだし、宮中に立派な仕事場をもっていたそうです。女性全般に興味が薄かったらしく、アントワネットとの夫婦生活についてまわりが色々苦労したようです。スペインのお医者さまに手術してもらったとか。(何を?)政治にも漁色にもあまり興味がなかったヒトで、それで革命運動に適切な対応することができなかったということのようです。
なんか話がバラバラですね・・・。すみません。
アンネローゼの政治的影響力を考える「アンネローゼの影響を排除することに腐心するオーベルシュタイン」の姿が見えてきます。
オーベルシュタインがほとんど合ったこともないであろうアンネローゼをよく理解していたとは考えられませんが、長らく後宮で寵姫の座を射止めていたアンネローゼの政治的能力を考慮しないとは思えません。
それに何と言っても政戦双方の天才であるラインハルトの姉でもあるのですから。
当然ながらオーベルシュタイン以外にも大勢の人間が「アンネローゼの口出し」の可能性を考えて、何とか彼女を政治から切り離そうとしたでしょう。
その結果生じたのが
・キルヒアイスへの処遇
オーベルシュタインがキルヒアイスをナンバー2から格下げするようにしつこく進言したのは、確かに「ナンバー2不要論」が主因でしょうが、もう一つの理由としてアンネローゼの影響排除が考えられます。
ラインハルトは仕方ないとしても、ナンバー2であるキルヒアイスまでアンネローゼの言うことを聞くのでは、アンネローゼが政治に口出ししてきた時にそれを止めるのが極めて難しくなります。それを避けるためにキルヒアイスを格下げする必要があったのではないでしょうか。
・アンネローゼのイメージ
銀英伝がローエングラム王朝正史として考えると、そこに描かれているアンネローゼ像はラインハルトの憧憬と、彼女を「美しい人形」としてしまいたい、オーベルシュタインらの意向の反映と解釈できます。
・銀英伝後半のアンネローゼの行動
ご存じのように銀英伝の後半、アンネローゼはほぼ世捨て人に近い行動ですが、これも本人の意思というよりも、彼女を政治の場から取り除きたいという思惑が働いていたと見ることが出来ます。
アンネローゼに配偶者がいないのも、仮に子供が出来たとき彼女が自分の子を帝位につけようとして内紛を引き起こすことを恐れたとも考えられます。
等々、アンネローゼとの政治の関わりという視点で眺めるとかなりおもしろいものが見えてきます。
恵です☆
ホント、見方によってアンネローゼのいろんな解釈が生まれて面白いですよね。言い出しっぺで、きっかけを作ってくださった優馬さんに感謝♪(^-^)
> ・銀英伝後半のアンネローゼの行動
> ご存じのように銀英伝の後半、アンネローゼはほぼ世捨て人に近い行動ですが、これも本人の意思というよりも、彼女を政治の場から取り除きたいという思惑が働いていたと見ることが出来ます。
> アンネローゼに配偶者がいないのも、仮に子供が出来たとき彼女が自分の子を帝位につけようとして内紛を引き起こすことを恐れたとも考えられます。
>
オーベルシュタインの政治的な思惑は、北村さんのおっしゃる通りだと思います。ただ、一つだけつけ加えさせていただきたいのは、後半のアンネローゼの世捨て人的な行動は、「彼女自身がそうなることを望み、それが都合良くオーベルシュタインの思惑と一致した結果」なんじゃないでしょうか?
北村さんは本人の意思ではないとおっしゃいますが、彼女が引きこもったのはキルヒアイスの死の直後です。オーベルシュタインが未来のオーエングラム王朝運営のために手を打った、というには時期が早すぎる気がするんです。「後半の行動」といっても、キルヒアイスが死ぬのは2巻の最後で、この時点からオーベルシュタインはそこまで未来を見据えていたとは、わたしには思えません。”宮廷からの解放”、そして“キルヒアイスの死の衝撃”が彼女を世捨て人とさせたのであって、オーベルシュタインはそれを政治的に利用しただけのように思います。ラインハルトは、軍人になってからずっと姉と自由に会えない状況を強いられますが、最初は政治的な理由で、最後は精神的な理由からでした。ラインハルトには、「(キルヒアイスを死なせたことで)姉上は自分を許してくれるだろうか?」という怯えもあったと思います。
また、ラインハルトの性格を考えると、「いい機会です、閣下の姉君には隠棲していただきましょうか」などとオーベルシュタインの方から進言などしたら、烈火のごとく怒ったに違いありませんし、受け入れなかったと思います。アンネローゼの隠棲は本人の意思で、それが結果として後の政治的混乱の原因を未然にとりはらうことになったと解釈した方が自然じゃないでしょうか?
> オーベルシュタインの政治的な思惑は、北村さんのおっしゃる通りだ
>と思います。ただ、一つだけつけ加えさせていただきたいのは、後半
>のアンネローゼの世捨て人的な行動は、「彼女自身がそうなることを
>望み、それが都合良くオーベルシュタインの思惑と一致した結果」な
>んじゃないでしょうか?
これについては意図的にうがった見方をしてみました。
つまりアンネローゼが小説とは異なる「政治的なしたたかさ」というものを持った女性だったとすれば、その隠遁にも「小説に描かれていない裏の事情があったかもしれない」と考えたわけです。
アンネローゼが家族同然であったキルヒアイスの死に動揺して、隠遁したのは自分の意志でしょう。
(実際、歴史上でも大勢の政敵を武力や謀略で葬ってきた人間が、家族の死をきっかけに隠居することは結構あったことです)
しかし彼女は華やかな宮廷で何年も皇帝の寵姫というもっともスポットライトの当たる地位にいた人間です(あくまでも自分の意志で寵姫の座に居続けたとして)。
とすればやはり何年か後に、また表舞台に復帰しようとしてくることは考えられます(間違いなくオーベルシュタインはその可能性を考えたはずです)。ならばオーベルシュタインはアンネローゼの周りに息のかかった人間を多数送り込んで、政治の事に関心を持たせないよう誘導すると同時に「美しい人形」「皇帝の逆鱗」のイメージを一般に流布させて、担ぎ上げる人間が出ないようにはかるでしょう。
またアンネローゼの方にしても、自分が表に姿を見せることは政治的混乱を招き望ましくない、と表舞台に出ることを諦めたとも考えられます(「したたか」であっても「エゴイスト」ではないでしょうから)。
つまり言いたかったのは「意思に反してムリヤリ」ではなく「意思がどうあれそれ以外に選択肢は無かった」ということなのです。
あえて言えば「後世の歴史家にはそういう解釈をする者もいるだろう」というところでしょうか。
>アンネローゼの隠棲は本人の意思で、それが結果として後の政治的混
>乱の原因を未然にとりはらうことになったと解釈した方が自然じゃな
>いでしょうか?
勿論、小説の筋立てからはそれがもっとも合理的な解釈ですし特に異論はありません。
脱線へのレスで恐縮ですが、キャシャーン最終回にブライキングボスと
同型のアンドロイドが復興作業に従事していましたが、朴訥で割と愛嬌
のある感じでしたよ。
あれの問題は造型ではなく落雷で生じたバグによる心がけの悪さだと思います。
最も敵の目を欺くためとはいえ息子の鞭打ちを高笑いしながら見物した
事のある東博士は相当危ない人だとは思います。
本筋の話でアンネローゼとラインハルトとの離別には、ある一点でアン
ネローゼとオーベルシュタインの間に偶然の意見の一致も成立していた
のではないでしょうか。
統治者の過剰な私情が社会に莫大な悪影響を及ぼすというのがそれです。
例を言えば、キルヒアイスに対してラインハルトの思い入れがもう少し
穏当なものであれば、オーベルシュタインのナンバー2不要論は進言の
必要もなかったでしょうし、ヴェスターラント直後の2人の不和の主要
因はラインハルトの『甘え』でした。
キルヒアイスの死後、期せずしてあの2人はその事に気付いて偶然の協調を行ったとも思えます。
どうも、優馬さん。太郎です。
また面白いネタを提供くださってありがとうございます。
ここしばらくはロムに回っていたのですが、久しぶりにちょっとだけ書き込んでみようかと思います。ホントちょっとだけ。
さてアンネローゼといえばキルヒアイス死後、ほとんど世捨て人のようになってしまうというのは既に他の方も指摘されてますが、そんなアンネローゼもヒルダの懐妊後、表に出てきます。これはいったい何故でしょう?
まあ善意に考えれば、とても家庭を持てそうもない(持ちそうもない)弟が、何はともあれ結婚、その上奥さんは妊娠中とくれば、肉親の情、愛情、私が助けないで誰が助ける、みたいな気持ちが湧いても不思議ではないといえるかもしれません。(笑)
しかしここはあえて斜に構えた見方をすると、アンネローゼはヒルダの懐妊に「奇貨」を見たという言い方が出来るのかもしれません。これまでは何しろラインハルト一人が権力者であり、ラインハルトが倒れればその権力も失われるという非常に有る意味不安定な状態でしたから、下手に近づけず、世捨て人となった。しかしヒルダが懐妊し皇帝の配偶者となるということは権力の基盤が制度化されつつある状態へ移行することを意味します。そこで千歳一隅のチャンスとしてまた世に出てきたわけです。
つまり「皇帝一人の姉」という不安定な立場から「皇帝家の長者」というより安定的な立場が得られることになるので、山を降りたという見方は成り立たんでしょうか?
また「落日篇」柊館炎上においてアンネローゼが地球教徒に対して奮戦したのはそういった裏事情があったのではないでしょうか?
まあかなり妄想も入っていますが、それを補足する事実もあります。
アンネローゼはなんと憲兵指揮官であるケスラーと自分の友人であるマリーカとの仲を取り持っておるのです。ご存知の通り、ローエングラム王朝は武断の性格を持ってますから軍人の権力というのは大きいです。憲兵はその軍人を取り締まることが出来るのですから(まあそう単純ではないにしても)、憲兵を味方につけるということは軍事力を持たないアンネローゼにはかなりのプラスになるのは間違いないです。
かようにアンネローゼは蜘蛛の巣を張るように人脈を広げてじわじわと自分の権力を確立させていったのでした。絡新婦よろしく。
なんてね。
優馬です。
アンネローゼ論にみなさん色々反応してくださって嬉しいです。
みなさんの文章を読みながらアレコレ考察(妄想?)していたのですが、ひとつ、非常に素朴な疑問に突き当たって悩んでいます。それは、
グリューネワルト氏って、いったい誰だ?!
言うまでもなくアンネローゼは「グリューネワルト夫人」、ということは、(形式上なりと)夫たる「グリューネワルト氏」がいないといけないのですが、そんなヤツ、銀英伝にいましたっけ? さっぱり記憶にない。どころか、手元にある「公式ガイドブック」の登場人物事典にも記載がありません。
グリューネワルト氏のことが気になりますのは、形の上だけとはいえアンネローゼの夫であったわけで、これってずいぶんと危険な立場だと思うからです。ラインハルトの嫉妬がもろ、向けられる可能性もあったわけですし、カイザーとなったラインハルトに「不愉快極まる」家名として記憶されるというのは、とんだ災難ではないかと。
そもそも、皇帝の愛人なのになんでわざわざ既婚婦人にしないといけないんですかね? ブルボン朝の事例にならったのでしょうか。確かポンパドゥール夫人とか、そんな派手な人がおりましたですなぁ。
> グリューネワルト氏って、いったい誰だ?!
>
> 言うまでもなくアンネローゼは「グリューネワルト夫人」、ということは、(形式上なりと)夫たる「グリューネワルト氏」がいないといけないのですが、そんなヤツ、銀英伝にいましたっけ? さっぱり記憶にない。どころか、手元にある「公式ガイドブック」の登場人物事典にも記載がありません。
>
> グリューネワルト氏のことが気になりますのは、形の上だけとはいえアンネローゼの夫であったわけで、これってずいぶんと危険な立場だと思うからです。ラインハルトの嫉妬がもろ、向けられる可能性もあったわけですし、カイザーとなったラインハルトに「不愉快極まる」家名として記憶されるというのは、とんだ災難ではないかと。
>
グリューネワルトってアンネローゼの住んでた屋敷か城の名前なんじゃないですか。
つまり、グリューネワルト城に住んでいる皇帝の夫人という意味ではないでしょうか。
もしくはグリューネワルトという土地を領地にしていたんじゃないでしょうか。
私はそういう意味だとずっと思ってました。
日本の天皇の名前にもそういう例はあるし。
豊臣秀吉の子供を産んだ淀君もたしか淀城に住んでいたからそう呼ばれようになったはず。
日本の例しかなくてすいませんが確か外国にも似たような例があったと思います。
正確には「グリューネワルト夫人」ではなく
「グリューネワルト伯爵夫人」ですね。
原作にアンネローゼの後宮内の友人に
~男爵夫人(名前失念)という人が居て
彼女は独身で男爵家当主だけど女性なので
男爵夫人となっているという記述がありました。
アンネローゼも同様に伯爵家当主だけど
伯爵夫人だと言うことなのでは?
いくらなんでも皇帝の側室に(形式的とはいえ)
旦那がいるわけはないかと(^^;
恐らく男尊女卑社会である銀河帝国においては
女性は実質的当主であっても当主は名乗れず
何々男爵夫人とか伯爵夫人としなければ
ならなかったのではないかと…
> アンネローゼも同様に伯爵家当主だけど
> 伯爵夫人だと言うことなのでは?
同感。グリューネワルトは惑星名じゃないかと思います。
で、当主であっても女性と男性では通常称号が違いますから、そのへんを区別して「グリューネワルト惑星を統治する女性の伯爵」という意味でグリューネワルト伯爵夫人なのでしょう。
ちょっと異なりますが江戸時代に武家に入る民間女性を一時他の武家屋敷に逗留させてそこで養女にしてから結婚というケースがありました。
この爵位も皇帝の後宮に入った女性が民間人であってはまずいということで付けられたのではないでしょうか。
てんてん dance with penguin
> 正確には「グリューネワルト夫人」ではなく
> 「グリューネワルト伯爵夫人」ですね。
「伯爵夫人」や「侯爵夫人」や「大公妃」はこのお話における単なる用語です。
確か、このお話の中で、伯爵家の当主が女だったら「伯爵夫人」と称し、侯爵家の当主が女だったら「侯爵夫人」と称し、大公家の当主が女だったら「大公妃」と称します。
仮にキルヒアイスが死ななかったとしたら、夫婦揃って大公家の当主になっていたでしょう。
アンネローゼは皇帝の愛人になって、グリューネワルト伯爵家(と、多分伯爵家の財産)を貰いました。ついでに苗字がミューゼルからグリューネワルトに変わりました。
当主がいなかった頃のグリューネワルト伯爵家の財産はどういう扱いだったんだろうか?
> 原作にアンネローゼの後宮内の友人に
> ~男爵夫人(名前失念)という人が居て
確か、マグダレーナ・フォン・ベストパーレです。
かつて第2次世界大戦前のドイツで国会に不審火が発生し、どこかの国の共産党員が不審人物として捕まった。
そのときヒトラーは大々的に共産主義者等の弾圧を行い、そのことがナチス政権樹立への大きな足がかりとなった。
であるなら先の国会の不審火もナチスの仕業であるように思われるが、戦後の研究によると(戦後ドイツの傾向は反ナチ)あれは自然発火だったらしい。「神の視点」でかつ結果を知っている我々読者及び視聴者からすればあたかも必然もしくは意図的に見える事もあるかも知れないが、登場人物で「神の視点」を持った人はいないのではないだろうか(歴史家になりたかったあのお方も含めて)。
「源氏物語」で桐壺更衣は時の天皇に寵愛されたが、その子光源氏は天皇になるどころか臣籍に降下するはめになった。
いくら皇帝の寵愛を受けようが強力な後ろ盾のいない寵姫など大した驚異とはみなされず(どんな美少女でもいつかはおばさんになる)その弟が軍で出世してもゴールデンバウム王朝は門閥貴族の力関係で動いているものと思われるから何ら大勢には影響がないと思われていたのではないだろうか(その弟が彼らの想像を超えた人物だったからああいう結果になったが)。
則天武后はかつて皇帝の妻の一人だったが、そのときは鳴かず飛ばずでその皇帝の崩御と共に出家せざるをえなかった。その次の皇帝が強引に還俗させて妻の一人にした時から彼女の権力への道は始まった。
「先帝の寵姫」なんて本人も動きづらいし、周囲も扱いに困るのではないだろうか。
今の日本の政界では海部俊樹、羽田孜両氏がそれにあたるのでは。
優馬です。
みなさま、ご教示ありがとうごさいました。
そうか、Countessのことなんですね。
伯爵夫人、というか「女伯爵」の方が本当は正確なんでしょうな。
というわけで、カイザーラインハルトの目線に怯える可哀相なグリューネワルトさんというのはいなかったとわかって安心しました。
これでゆっくり寝られます(笑)。
なんとなく特殊な例を選んで出しているような気がするのですが、気のせいでしょうか。
一般的には皇帝の後継ぎを産める立場である以上、警戒されるでしょうし、また後継ぎが一人しか産まれなければ政治的に圧倒的有利な立場になると思いますが、いかがでしょうか。
> なんとなく特殊な例を選んで出しているような気がするのですが、気のせいでしょうか。
でしたら特殊でない例をお教えいただけないでしょうか。それと特殊とそうでない例の違いも。
アンネローゼを寵愛していた皇帝が崩御したとき、かれには男の子が1人と女の子が2人いた。
序列からいえば男の子だが、その子の母親の実家は他の2人のそれと比べて力が弱かった。で時の宰相はラインハルトに支援を要請したという記憶があります。
ましては一応貴族とはいえ平民すれすれの帝国騎士の娘など(ゴールデンバウム王朝では政治は門閥貴族が独占していたはずだが、皇位継承という最重要事項にラインハルトを関与させたことがゴールデンバウム王朝の滅亡の重要な要因の一つではないだろうか)。
かつて源氏と平家が争い、源義朝は平清盛に敗れて殺されました。
そのとき当時の常識からすれば源義経(後の)は殺されているはずでしたが義経の母が平清盛にその身を差し出すことによって命だけは助けられました(出家が条件でしたが)。
後に源義経は壇ノ浦で平家を滅亡させましたが、義経の母は「平家を滅亡させるための手をうった」のでしょうか。
> でしたら特殊でない例をお教えいただけないでしょうか。それと特殊
> とそうでない例の違いも。
色々読み直していて気づいたのですが、どうも私は魂のよしりんさんが言いたいことを勘違いしていたかもしれません。
私は「アンネローゼは脅威とならないし、脅威とも思われていなかった」と言いたいのだと思っていましたが、違うようです。何故なら出てくる例、出てくる例、全て「アンネローゼが脅威だった」を補足するものばかりですから。
そういうわけで、申し訳ないのですが、魂のよしりんさんの主張を簡潔に表現していただけませんでしょうか。
以下に私の主張を記述し、魂のよしりんさんの出された例をもってその補強をさせてもらいます。
結果を知らない(神の視点を持たない)ものにとってはアンネローゼは充分脅威でした。
その理由は「寵愛を受ける」=「世継ぎを産む可能性がある」からです。いくら貴族勢力が強いとはいえ、皇帝の遺言でアンネローゼの子を嫡子とすると言われたらひっくり返る可能性だってあります。
世継ぎとなりうる子を持たないものにとっては、はなはだ危険ですし、そもそも皇帝の寵愛を受ける(=自分が寵愛を受ける回数が減る=世継ぎを産める可能性が低くなる)だけで充分他の寵姫、およびそれにくっついている貴族にとって脅威です。
上記の補強として、まずは源氏物語の例を。
桐壺の話。身分が低いにも関わらず寵愛を受けたため恨みを買い、その精神的な苦痛のせいで体調を崩し、心配した天皇の寵愛を深め、光源氏を産みます。この光源氏が本来の第一皇子を差し置いて皇帝になるのではないかという噂が流れ、さらに陰湿ないじめを受けます。桐壺はその後死んでしまうのですが、光源氏の降格はその後の話です。あれ、なんかアンネローゼのケースに酷似していませんか?ちなみに降格された理由も後ろ盾を失った光源氏が暗殺される危険があったからです。
源義経の例。彼が脅威となるとわかっていたために殺されそうになったのを母が身を差し出すことで助けました。つまり、脅威となると意識されていたのが源義経。三男にも関わらず。
則天武后。後継ぎを産んだあと、ライバル潰しのために皇女を自ら殺し、その罪をライバルに着せたり暗殺を駆使したり。後継ぎを産んだのなら磐石の構えでいられたはずなんですが。ちなみに夫の高宗は九男という、序列から言って皇帝になれないはずの人物でした。つまり高宗は皇帝の子である以上は皇帝となりうる危険があるという好例です。
てんてん dance with penguin
> 同感。グリューネワルトは惑星名じゃないかと思います。
グリューネワルト伯爵家の当主は流石にグリューネワルト伯国の領主という意味じゃないと思いますよ。
(それじゃあ某星界の戦旗です。)
フリードリヒ4世は愛人のアンネローゼにグリューネワルト伯爵家(名誉)とグリューネワルト伯爵家の財産(金)を賜ったというだけの話でしょう。