出版社や編集者の名前は伏せなきゃなんないし、下手すりゃ、こっちの今後の仕事にも影響は来る。それどころか、食っていけなくなる可能性まであるんだが……。まっ、いいか。
もうこの職業、辞めても未練がなくなってきているし。
ともかく「ヤバイ」と思われたら、管理人氏、削除して下さい。
好評(?)不定期連載(??)の『持ち込み体験記』続編だぁ。
某新刊紹介雑誌『D』の新刊ノベルズガイドを見たら、びっくり。
六月にQ社から出る架空戦記のタイトルが、以前、X社で出す寸前までいっておきながら、編集者との意見対立で出せなくなった拙稿とかなり類似(タイトルで、舞台とかもわかるんだし……)。しかもその著者はX社で出しているうえに、担当編集者も同一人物。
「アイデア無断盗用」と思っても、仕方がないでしょう?
怒り心頭で、X社にTEL。担当編集者を怒鳴りつけた。
すると先方、呑気な声で「見せたという証拠がないじゃありませんか」。
仮にそうであったとしても(こっちもそうであって欲しい)、「自分が疑われても仕方がない」という自覚がまったくないのが、こちらに油を注いだ形に。
その後、蒸し返したくはないが、以前のトラブルの話に戻る。
どこで揉めたかというと、拙稿のある部分の記述について。編集者は、
「我が社は文学を出しているんじゃなくて、ノベルズを出しているんです。だから文学的な表現は、全部排除して下さい」
別にこっちも文学的な表現を使ったわけではないが、そうしたほうが、作品的に盛り上がるから使っただけの話。それに、出来のいいエンターティメント小説には、ある程度文学的な表現とやらは使われている。
そのうえ、そこのシーン。こちらが取材中に、「本当に死ぬか」とまで思い詰めた場所だから、外したくはないこだわりもあった……。
それ以前から、その編集者の言動には「?」的な部分が少なくなかった。たとえば、
「取材なんかしなくてもいいから、想像力で書いて下さい」
「結末が重いから、ハッピーエンドにして下さい」
「貴方の作品には、こだわりが感じられない」
どれも編集者の意見としては、善意のアドバイスだろう。しかしこの人、クリエーターの神経を理解していない。
そもそもこだわりがあるから、取材をしているし、しかもその出費は、半端なもの(三〇〇万ぐらい)ではない。
またこだわりがあるから、問題になった部分は外したくなかった……。
こういう経緯があったから、こちらもその会社から出すのは止めたのだ。おそらくデビュー作としては、破格の待遇(印税8~10% 初版二万~二万五千)を聞いていたのだが、それすら蹴った。
そのうえ、執筆中は他の仕事も全部断っていたのだから、損失は六百万ぐらいにはなっている。
これだけやっておいて、どこに「こだわり」がないんだ?
「エンターティメント小説についての考えの違い」
ということで、X社から出すのを止めた。別にその決断は間違えたとは思わないし、編集者にも申し訳のないことをしたと感じつつも、仕方がないと感じていた。
しかぁーし。事態が悪化したのは、その後。
X社ノベルズから新人がデビューした。実は彼こそ、今回、疑惑のある作家なのだが、彼の作品に編集者が付けたキャッチコピーが次の通り。
「これは21世紀の戦争文学だ!」
おいおい。ノベルズ=エンターティメントだから「文学的な表現」は駄目でも、出せば「文学」と名付けてもいいのか?
俺は「文学」は書いちゃ駄目で、どうして彼はいいのか?
それとも「21世紀の文学」とは、「文学的表現のないもの」なのか?
こーゆーこと書かれて、不快感を抱かないほうが無理でしょ。
そのうえその架空戦記、著者が「荒唐無稽なシミュレーションの氾濫に業を煮やして」書いたそうだが、あらすじを読んだだけで「荒唐無稽」だということがわかるほど。そのうえシミュレーションとして、やってはいけない手を打っている。
人を馬鹿にするのにも、ほどがある……。
これがきっかけで、X社編集部には「今後、絶縁」と通告した。
で、このことを編集者に言った。
「かつてそんなことをした人間の言葉、信じられるかい?」
すると、編集者の返事がすごかった。
「いやぁ、キャッチコピーだから、(読者を騙しても)いいんじゃないですか」
ぶちぶちぶち。
「あのさぁー。そういう問題じゃ、ねーだろ。
その論理だと、「シミュレーション」として破綻しているものに、「シミュレーション」と名付けて売っているのも、別に構わないってことじゃないか!」
「……」
「それってさぁ、輸入肉に国産って表示した、どこかの食品会社と一緒じゃないの。
そこの会社は社会的責任から潰れたけど、あんたのところは、どうなんだい」
「……」
「小説ってさ、読者を騙していくらの商売だろ。しかし、そういう騙し方は、読者に失礼だよ」
「……」
「ふざけんなよ。そういうことをぬけぬけと言っていられる編集者なら、アイデア盗用ぐらいやっても、おかしくねーだろ!」
「……上司が返答したいとのことです」
これで、またキレた。
なぜならその上司には、以前から「文書による返答」を求めていたのだが、ほぼ半年にわたって督促しながらも、梨の礫。
「いままで散々待ってやっていたのに、いまさら答えたいとは、どういうことだ!」
「……」
「そのうえ文書じゃなかったら、記録に残らないだろ。
そんな返答なんか、いらねーよ」
こういうやり取りを三〇分ほど続けた。
電話が終わると、虚脱感が全身を覆った。立つのはおろか、椅子に座るのも苦痛になって、這いつくばってトイレへ。ストレス性の猛烈な下痢。おまけに体温を測ると、二度も上がっていた。
安定剤をがぶ飲みして、強制的に寝る。
実はアイデア盗用疑惑、これがはじめてではない。延べで四つの会社、合計三人の作家にやられた可能性がある。
それも全部、その会社に持ち込んだ後、同じ編集者が担当している作家が似たようなフレーズやアイデアを使っていた。こう何度も続くと作家不信、編集者不信。ひいては人間不信になって、当然だよ。
実際、それが高じて、昨年「(日常生活に支障が出るレベルの)重度の心身症」とまで診断された。
病状がもう少し進めば、たとえ○○したって、責任能力が問われないぞ!(←シャレになってないね)
まぁこういう連中が、ノベルズ編集部にいるってことですよ。いい作品なんか、できるわけがない。
そして作家デビューできる、できないは、作品の出来とはさほど関係がないみたい。むしろ作家としてのこだわりがない人間のほうが、現在では作家になり易いのかも知れない。
さらに情けないことに、熱心な読者ほど、こういう実情を知らない。「作品が面白けりゃ、いーじゃないの」って感じで。それは間違えていないんだけど、自分たちが立派なカモになっている自覚がない。
もっとも読者の批判能力を奪うように、作家や編集者が仕向けているんだけどなぁ。
惰性でざーっと書いたから、ペース配分を間違えた。
どうもキリが悪いので、おまけ「ノベルズ界 ちょっと怖い話」を書いておく。
全部当事者から聞いた話だが、本当にヤバイと思う部分は「ぴーっ」で隠すので、御容赦を。
1 オタク系架空戦記作家の「ぴーっ」さん。実は以前、その道でなかなか知られた大の架空戦記嫌い。
では、なんで書き始めたかというと、「ぴーっ」に巻き込まれたため。その後、「ぴーっ」に「ぴーっ」されたおかげで、かなり長く続いて売れたシリーズでも、印税がほとんど入らなかったとか。
それで、コンビニや居酒屋でアルバイトしていたそうだ……。
実はこのことを教えてくれたのは彼の友人からだが、聞いていると、同情したくなる部分もなきにしもあらず。ともかく三番目の「ぴーっ」が、一番悪いんだけど。
2 田舎暮らしと架空戦記でお馴染みの作家「ぴーっ」さん(複数)。実際は、ほとんど原稿を書いていないそうだ。
じゃあ誰が書いているかと言えば、言わずと知れた「ぴーっ」。つまり二人とも、「ぴーっ」しているってこと。
ちなみに昔、子供向け雑誌に「ぴーっ」を連載していた人ではない。
3 先年亡くなった、女流ミステリ作家の「ぴーっ」さん。この人が超わがままだったのは、有名な話。
それはともかく彼女が亡くなった第一報が「ぴーっ」社に入ると、編集者が全員集まって、「ぴーっ」三唱。
缶ビールで「ぴーっ」した後、最後のフェアや告別式の準備に追われていたそうだ。
↑みたいな連中が、ノベルズ界の中核にいるんだよなぁ。
もう日本では、いい小説なんか、出ないのかもしけない(しみじみ)。
横槍失礼いたします。
最終的には、ご記述のように管理人さんのご判断になるかと
思いますが、傍観者の一人として
ご記述された範囲の内容は、
ちょっと本HPの趣旨から離れる気がします。
また影口に近いことを曖昧に近い書き方されるのもいかがかと。
・・・TPOおよび記述記事の読み応えから、正直申しあげて、
お書きになった作品に興味を惹かれるより、
編集者の判断が妥当との認識してしまいます。
むしろ短編でもインターネット上で読める形で出されたら
如何でしょうか。
現在、かなりラリってますが、できるだけ正常を保ちます。
> 影口に近いことを曖昧に近い書き方されるのもいかがかと。
名前を出しても、いいんですか?
そのほうが、よほど問題だとも思いますが。
> ・・・TPOおよび記述記事の読み応えから、正直申しあげて、 お書きになった作品に興味を惹かれるより、 編集者の判断が妥当との認識してしまいます。
具体的に、どの部分が「妥当な判断」なのでしょうか?
当方は、拙作が出せなかったこと(これはビジネスだから、互いに仕方のないことです)に対してではなく、
「キャッチコピーだから、読者を騙してもいい」
と言ったばかりの編集者が、
「(アイデア盗用はやっていないと)信じてくれ」
と平然と言える神経に、憤りを感じているのです。
さらにそのような答え方をすれば、
「余計に疑われても仕方ない」
という自覚が、まったくないではありませんか。
貴兄もそういう人の言葉は、信じられますか?
小生の問題はさておいて、読者あっての小説でしょう。
その顧客であるはずの読者に対して「騙すのは仕方がない」、と言える人の言葉は、あまり信憑性がないと思いますが。
なお繰り返すようなうえに、矛盾しているようですが、小生だって、「偶然(タイトルがだぶった)」と信じたいのですよ。それが一番、穏便に済むことなのですから。
しかしやはり先の発言をする編集者は、人間として信じられないですね。
小生は、正直な話、小説の編集者は、もう誰も信じられません。ひいてはこの不信感が、日常的な人付き合いにまで拡がっている始末です。
ビジネス=小説の範囲ならともかく、そこまで編集者が、人を追い込むこともないでしょうに。
> むしろ短編でもインターネット上で読める形で出されたら
> 如何でしょうか。
アドバイス、有り難うございます。
鋭意検討……します(かなり消極的)。
ちなみにその拙稿は、某社から年内発売の予定でした。
しかし現状で出せば、事情の知らない読者が
「こちらがパクッた」
と思う可能性もある(これがどれだけ屈辱的なことか、ご理解いただけますでしょうか)ため、出すのを諦めようかと考えている次第です。
正直な話、生活もかなり厳しいですが、そんな屈辱を受けてまで出すぐらいなら、「お蔵入り」させたほうがマシですよ。
これももう二回目のことですし、それこそ小生の「こだわり」でもあります。
そして……そうすれば生活が厳しくなり、神経が蝕まれていく、という悪循環に陥っています。もっとも自分で選択したのだから、仕方のないことですが。
現在、某社から出す予定の二冊の書き下ろしを終えたら、さっさと転職しようかと、真剣に考えております。
しかしノベルズ界の現状では、真面目にやればやるほど逆に書けなくなってしまい、適当にやっている人のほうが注文が来るということは、やっぱりきちんと残しておきたいものです。
なお月曜から別の症状の検査のため、書き込みは日曜の午前中までしかできません。数日間ブランクが空く(復帰は15、6日から)ので、もしレスされる方は、あらかじめ御了承を。
追伸 その検査する病状も、実は心身症からの後遺症なのですよ。
そしてこれがまた、生活費を圧迫する原因になっています(薬代が高いんだ)。
そのうえ、日常生活まで制約が入るようになった。こういうのも、二重三重の怒りになっているのです。
それこそノベルズ界の実状暴露ネタには問題があり過ぎ、また管理人氏にも迷惑がかかるため、発表できないことだってあります。
出版社、作家、編集者の実名をあげた日にゃ……確実に小生は、出入り禁止どころか、抹殺でしょうな(個人としては、もうそうなってもいいですけど)。
なおこれは、やるんだったら、ちゃんと別のところでやります。
ノベルズで「ひどい作品」が出るということは、それ相応のひどい状況に置かれているということですし、そして怖ろしいことに熱心な読者を含めて、当事者たちほどその状況が理解できていないという悪循環に陥っています。
そのくせ『創竜伝』のように作品のなかで妙な世直しをぶち、自分たちがエリートのように思い込んでいる、ということですよ。
つまり従来の小説のように「主人公の行動」でカタルシスを得るのではなく、現在のノベルズでは「自分は作品を理解しているというエリート意識」で、読者はカタルシスを得ているようですね。
時代の流れかも知れませんが、すごく歪んだ考えだと思いますけど。
かつて管理人氏が書かれた、『創竜伝』のカリカチュアどころの騒ぎではありませんぜ、現実のノベルズ界は。
あれを実際見たら、出ているノベルズより数倍面白いけど、吐き気がしてきます。
なにかこの七、八年ほど、自分の作品とは別の部分で、ずーっと悩んでいるような気がします。
悩めば悩むほど逆に書けなくなり、反対に悩んでいないと思われる作家たちほど、小生を追い抜いていく……。抜かれることは構わない(作品の出来とは関係ないから)ですけど、世間的に見れば「才能がないから抜かれた」と思われるのが、やっぱり辛いですね。
さらにこういうことを発散できる場所が、現代の小説界にはない。仮に出せば、編集者からは反逆行為と取られるでしょうから。
最終的に削除する、しないは管理社人の判断に全面委任しております。
しかしこちらもこういう長いバックボーンがあるため、血迷ったことを書いたぐらい御理解していただきたいし、また「編集者の判断が正しい」などと軽々しく述べないで欲しいものです。
というところで、タイムアップ。
はじめまして。
私はアルスラーン戦記のファンで、アルスラーンが次にいつ出るかの情報が知りたくて検索してたところ、このページを見つけました。それ以来面白くてとてもはまってます。(議論は難しくてほとんどついていけませんが(汗))
はじめてのくせに横レスですみません<m(__)m>
> それこそノベルズ界の実状暴露ネタには問題があり過ぎ、また管理人氏にも迷惑がかかるため、発表できないことだってあります。
> 出版社、作家、編集者の実名をあげた日にゃ……確実に小生は、出入り禁止どころか、抹殺でしょうな(個人としては、もうそうなってもいいですけど)。
> なおこれは、やるんだったら、ちゃんと別のところでやります。
この問題がHPの趣旨に反するかどうかは管理人氏の判断に委ねるとして、個人的には見知らぬ世界の話で興味深かったです。
それと提案なんですけど、この件に関する手紙を田中芳樹氏に送り、涙ながらに現状を訴えるってどうでしょう?
田中氏は「いい人」のようですし、うまくいけばノベルス界の現状を憂えて、創竜伝中で「読者を平気で騙し…」とか散々にこき下ろしてくれるかもしれませんよ。
出版社等の実名がばれるような表現をされたとしても、田中芳樹氏のネームバリューに加え、あれはフィクションですから(笑)
名づけて『創竜伝逆利用計画!』ってだめかなぁ?
真剣に悩んでおられるようなのに、不愉快な思いをされたらすみません。
横レス失礼致します。
私もかえるくん(さん無しで失礼します)と同じ様に速水さんの書き込みには興味を覚えました。
普通の学生である私にはそう言う出版社などの裏事情などはわかりませんのでそう言う話はとても面白いです。
このHPの趣旨とは外れているかも知れませんが私自身はとても興味深く読ませていただきました。
特にこれと言って提案は無いのですがただかえるくんの提案は如何でしょうか?
田中芳樹氏がその速水さんが例に出されている人ではないという保障もありませんし、偏見かも知れませんが氏は自分や出版社に都合の悪いことは隠しそうな気がします。
あくまでも個人的な意見ですので気を悪くされた方はお許しください。
追伸 速水さん心身症は大丈夫でしょうか?私自身心身症になったことは無いのですが少し欝気味なのでとても大変なのはよく分かります。頑張ってくださいね。
かえるくん様、月華様
かえるくん様の提案は、ネタ的にはOK。しかし現実的には……ですね。
売れっ子作家の条件は、いい意味でも悪い意味でも、浮き世離れしているのですから、おそらく実状は理解できないでしょう。
むしろこちらが、そこまで吹っ切れれば、幸せなのかも知れませんが。
> 追伸 速水さん心身症は大丈夫でしょうか?私自身心身症になったことは無いのですが少し欝気味なのでとても大変なのはよく分かります。頑張ってくださいね。
先週は、二回しか外出できず。しかし腹の立つことはできるだけするなということで、ネットは弄れなかったということでした。
月華様、御心配かけて、申し訳ありません。
追記 拙作と「似たような作品」も本屋に並んでいた。
やはり題名から、舞台は中東。ストーリーも似ていないとは言えない(編集者に渡していた二巻以降の展開と似ている)。
こちらも疑いたくはない(そのほうが心身のダメージがない)が、疑われても仕方のないことを編集者がしているのだから、心は晴れない。
行きつけの医者も、「疑わないほうが(心身に)いいけど、そういう
応対をする相手(編集者)じゃ、疑っても仕方がないね」とのこと。