ええと、急な話なんですが、以前からの宣言通り、ここに書くと立場的にマズくなっちゃいました。
具体的に書くとですね、小説家としてのデビューが、決まっちゃったんですよ。
まだ具体的に出版の日取りとかは決まっていないのですが、某社の編集会議は通ったということで、ほぼ内定みたい。
もっともここに残ることも出来るのですが、どうせ好きなことを言うのなら、匿名で言うより、内部で言ったほうがいいかなと。
そういうことで、勝手に卒業ということです。
管理人氏をはじめ、色々とお世話になりました。
立場は完全に変わりますが、皆さまの「いい小説を読みたい」という希望は、小生の「いい小説を出したい」と同じです。
これからはここで培ったことを肝に銘じて、執筆活動を行いたいと思います。
まだ『持ち込み体験記』などにも書き足らないこともあったのですが、最後だけをまとめて、また別の機会に。
それでは皆さま、機会がありましたら、どこかでお会いしましょう!
本来なら「死闘編」、「鉄血編」、「落涙編」などと続かせたかったのですが、上記の理由から、これが最後ということで。
以前、かなり馬鹿げた「持ち込み必勝法」を書きましたが、今度はかなりシビアに書きます。
1 自分の目標が「作家になる」なのか、「作家としてなにかを表現したい」なのかで、持ち込みする会社を変えたほうがいい。
1-1 「作家になる」
この場合、ノベルズなら「売れ筋」のもの(トラベル・ミステリと架空戦記)を集中的に出している、新興会社を狙うべき。なぜなら新興会社ほど、手持ちの作家はいない。まさに猫の手も借りたい状態。
出版条件(部数、印税)は悪いが、標準クラスのものを書けば、すぐにでもデビューできる。
1-2 「作家として表現したい」
即戦力を求めるノベルズでは、まず無理。まず中小で名の知れた出版社、かつ、そこのイメージと自分の作品が合いそうな会社に問い合わせてみる。
1-3 「将来的にはデビューしたいが、自分の実力がわからない」
これも、ノベルズではほぼ全滅。
しかし「自信を付ける」のが目的なら、逆に大手を狙ったほうがいい。出版の可能性は限りなく低いが、どうせ落とされるのなら、大きい相手のほうが納得する。また売り込みの最中に度胸も付く(これは得難い財産!)し、いい編集者に巡り会うチャンスもある。そういう人なら、ちゃんとどこがどう駄目なのかをアドバイスしてくれる。
2 実際に見た編集者列伝
2-1 超大手コミック担当
別の会社から小生の噂を聞き、問い合わせてきた編集者。会ってみると年下だが、かなりの切れ者らしい。
いきなり連載されるコミックのブレーンを頼まれる。その時、かなり人を食った様子で、こちらの知識を試しにかかる。
しかし先方が見ているのは「知識量」だけではなく、「知らない問題に遭遇した時の対処方法」だと判断。こちらがそれを答えると「採用」ということに。
いや、きついのなんの。しかしやりがいのある仕事ですね。
2-2 大手ノベルズ担当
『持ち込み体験記』に出た人だが、後日談。
デビューが決まったと報告すると、我がことのように喜んでくれた。
2-3 中堅ノベルズ担当
この人も『持ち込み体験記 激闘編』に出た。
最初はいい関係だったが、徐々に「アドバイス」が矛盾してくる。
もっとも「売れる小説」のための「アドバイス」であり、「小生が出したい小説」とは大幅に異なるもの。その誤差が顕著になるに連れ、関係か悪化した。
現在では、完全に絶縁している。
2-4 小規模ノベルズⅠ
ここは出している作品もひどいが、応対はもっとひどかった。
作品を預け、数日後に返送。書き出しで、読むのを止めたほど。
「ウチには合わないので途中で読むのを止め、返送します」
そういうことは普通、書かないものだがなぁ。
2-5 小規模ノベルズⅡ
ここも、応対がもっとひどかった。
電話で疑問点を聞くと、声を荒げてきた。
そこからはもう、喧嘩腰。あげくは先方から切ってきた。
2-6 まとめ
「中堅以下でノベルズを出している会社の応対は悪い」
これにはちゃんと理由があり、それを書くとマズイのですが……。
1-1と重複しますが、「売れ筋」ばかり出す会社って、実は経営的にヤバイ会社ってことなんですね。
「どうしてそうなるのか」という背景は、出版界の裏事情と関連するので細かくは書けませんが、そういう会社は「すぐに売れ、制作コストのかからない作品」を求めているため、編集者にも(新人を育成しようとする)余裕がないのですよ。
そういう意味でも、ノベルズデビューはお勧めしたくないのです。
ただ「作家になろう」と思っている人なら、このぐらいは自分の洞察力を働かせて、判断したほうがいいですね。
それが出来ないなら、無理とはいいませんが……、厳しいと思ったほうがいいのでは。
3 執筆前の心構え
これは大きい要素。
3-1 「あのぐらいなら、俺でも書ける」
ノベルズでデビューした作家に、こういうことをあとがきに書いている人もいますが、これは言っていい部分と悪い部分があります。
小説なんか、「早い者勝ち」の要素があるので、完成度が低くても、先に旗を揚げればいいのですよ。
ですから、『創竜伝』が売れたのなら、俺は五人兄弟で……とかじゃ、まず編集者が読んでくれない。
ただ、「あのぐらいなら、俺でも書ける。だが、俺はあの程度のものは書かない」というプライドは、持っておくべきでしょうね。
3-2 できるだけ多くの(職種の)人と会う
自分たちの世界で盛り上がる、オタク向け、ノベルズには関係のないことだけど……。
沢山の人に読んで貰うには、人物研究が大事。そのため、出来るだけ多くの人と付き合うこと。しかし似たような職種の人と会うよりも、別の職種の人と話すほうが獲るものが多い。
小生を例に取りますと、某国大臣や大使、将軍、空母の艦長、スポーツ選手(元サッカー日本代表。ほとんどの人が知っている名前)、大学の先生……と思ったら、ホームレスにも友人がいたり、ダフ屋さんと仲良くなったりしてます。
やっぱり人それぞれ、考えさせられますよ。
3-3 外国に行こう
とくにSFを書くとき、違う習慣などを想像するにも限界がある。それなら、まず外国に行って慣らしておいたほうがいい。
あんまり小説を書きたいという学生に、行動的な人は少ないみたいだが、学生時代は無理をしてでも一ヶ月ほど一人旅をしたほうがいい。
また小生は知り合いの作家から、
「小説は足で書く」
とも言われています。
機会を見つけては、旅行しましょう。
トラベルミステリの大家なんか、小生より旅行、してないはずですぜ。
以上、本当に急に纏めたので粗くなりましたが、作家になるための心構えでした。
しかし今日の不況では、かなり食べていくのは難しい状況です。
一番勧めたいのは、なにか仕事をしながら、副業で書くということですね。変に自分で職業の選択余地を狭めるよりも、そちらのほうが確実ですよ。
ともかくこれで作家になりたい方のお役に立てるかどうかはわかりませんが、小生の経験を基に書かせていただきました。
作家志望の諸君の、健闘を祈ります。
デビューおめでとうございます。
本が出たら是非読ませて頂きたいと思います。
速水さんにはこの掲示板にずいぶん風を吹き入れて頂き、感謝しています。この掲示板を卒業されるのは残念ですが、新たな門出としてお祝いしたいと思います。
もし、都合がつきましたら、是非いつでもお立ち寄り下さい。
<それでは皆さま、機会がありましたら、どこかでお会いしましょう!>
デビューおめでとうございます。
速水さんとは全くと言っていいほどお話は出来ませんでしたが、「持ち込み体験記」で語られている様々な苦労話は拝見していました。
心身を大切になさった上で、これから頑張って下さい。文筆家としての充実感と成功を手に入れられる事をお祈りします。
どうも、久しぶりのやっちでございます。
レスを読ませて頂きました。
小説家デビューおめでとうございます!!(レスが大変遅くなりましたが………)。
まさに「捨てる神あれば拾う神」ありという所でしょうか!
今まで大変だったでしょうが………たぶんこれからも大変でしょうが、志高く持って頑張って下さい。
さて、「田中芳樹を撃つ!」なので、田中氏関連で一つ。
僕は田中芳樹という作家は典型的な「潰された作家」だと思っています。
元々、長編小説を半年に一冊程度しか書けない遅筆の彼が売れてしまったため、数々の執筆依頼を受け、その過剰な依頼を引き受けているうちに筆が荒れてしまい、結局、「書けなくなってしまった」というのが真相のように思います(実際、あとがきで「缶詰め」され、仕方なく書きなぐったという文章もありましたし…………)。
彼が「創竜伝」と警察もの以外、コンスタントに書けなくなったのはそれが原因でしょう(彼がもっとも得意とした架空歴史小説はとてつもない構成力と筆力を必要とするジャンルですから)。
この前、久しぶりに彼の最近の作品(中国もの)を読みましたが銀英伝やマヴァール年代記の頃から見ると明らかに筆力が落ちていました。
10年かけて築き上げたものをあの数年で失ってしまった(彼の全盛期は、銀英伝を除けば、5年もないはずです)…………それと同時に彼は自分の志(良心)も見失ったのだと思います。
兼業作家で行こうと考えている速水さんがこういう事態にならないとは思っていますが、老婆心ながら書かせていただきました。
田中氏については、かつて僕の神様だったので温かい目で見ていこうと思います。
僕も彼の作品を読まなければ小説なんて書くことのなかった「田中の子」の一人ですし(笑)。
最後に一言。
そのうち、そちらに行くと思いますのでその時は仲良くして下さいね!(笑)
速水さんデビューおめでとうございます。
HNと同じ名前でデビューされるのでしょうか?
もしもそうでなければ何時の間にか速水さんの小説を読んでいるかも知れない訳ですね。
持ち込み体験記はとても参考になりましたし、面白かったです。
これからもお体に気をつけて頑張ってください。
応援しています。
御無沙汰でやんす。
作家としてデビューして以来、はじめての書き込みです。
うーん。作家になって、変わったことねぇ。
まず、よくなったこと。
1 作家の友人、知人が増えた
「当たり前やないか!」と、ツッコミを入れられそうですが、これは大きいですよ。
全然売れていない拙著にも、とんでもない作家から、推薦文が届きましたから。
先日も某SF大賞受賞作家と、変なところで意気投合しちゃたし。
2 雑誌のコメント料が増えた
当然ながら、肩書きも「ライター」から、「作家」になった。
3 行きつけのファミレスの姉ちゃんから、「先生」と呼ばれるようになった
自分でオチつけてますな。
反対に困ったこと、嫌なこと。これは、一つしかない。
1 嫌な会社=編集者とも付き合わないとならない。
前は選べたけど、それができなくなった。
収入は、微増ですか。
ともかく、本が全然売れない時代になってきている。
私ら駆け出しはともかく、実績のある作家も含めての話。
しかし売れている=注文に追われる作家も、現実にはいます。
では、このギャップは、どこにあるか?
「読者の要求に合わせるか、否か」
だけです。
実際、楽なんですよ、読者の要求に合わせるのって。
ひとことで書けば、彼ら=自分の願望を、そのまま書けばいい。
具体例をあげれば、超能力であり、破壊であり、恋愛も含めた肉欲であり、名誉=出世欲であり……。
こういうものを二つ以上組み合わせて、最低限の文章力さえあれば、誰でも「ベストセラー作家」になれますよ。
じゃあなぜ、お前はやらないのかって?
その質問には、簡単な答えがあります。
「私でなくても、書けるから」
作家ってみんな、「自分じゃなければ書けないもの」を書くために選択したはずなのに、「食えないから、誰でも書けるものを書く」じゃ、洒落にもなってませんね。
ほんとにここ数年が、日本出版界の正念場になるでしょう。
まあ、おかしくなった源流を辿れば、明治にまで遡らないといけないんですけど。
ともかく「読者側にも責任がある」と、私は声を大にして言いたい。
外国に比べると、日本の書籍事情は最高ですよ。しかしそれを認識していない読者が、多すぎます。
私が書くと変でしょうが、田中芳樹や佐藤大輔の「遅筆」は、充分、弁護の余地ありです。
そもそも一年で作家が四冊も出すなんて、異常事態です。外国でそんなペースで仕事をやっている作家なんか、三流作家ですよ。取材とかすれば、年二冊が、限度じゃないですかね?
むしろ日本の作家の執筆ペースがどうして速いかですけど、これは印税率が欧米の三分の一から四割で、「食べられない」からなんですね。
この理由は……長くなるので省略しますが、読者もいくらその作品が好きだからと言っても、「早く出せ」と催促するだけじゃなくて、我慢することも覚えないと。
なんか「完成度が低い作品を早く出す」という、一部バカ編集者の手に、もろに乗ってますぜ。
読者が本当に求めているのは、「完成度の高い作品」でしょうに。次の巻が出る間は、
「ど~ゆ~展開になるのかなぁ」
と推理、想像したり、別の作家を読めば、案外、半年ぐらい、すぐに経ちゃいますよ。
最後に、今年の予定です。
T社、K社からは研究書。S社からは旅行記がほぼ確定。
あと、K社で、小説を出す話が進んでいます。
そ~ゆ~ことで、機会があれば、皆さん、またどこかでお会いしましょう。
速水右近さんはじめまして。八木と言います。
> 御無沙汰でやんす。
> 作家としてデビューして以来、はじめての書き込みです。
作家デビューおめでとうございます。このレスが激闘編ということは、過去ログに初陣編があるのかな? 今度、探して読んでみます。
> 実際、楽なんですよ、読者の要求に合わせるのって。
> ひとことで書けば、彼ら=自分の願望を、そのまま書けばいい。
> 具体例をあげれば、超能力であり、破壊であり、恋愛も含めた肉欲であり、名誉=出世欲であり……。
> こういうものを二つ以上組み合わせて、最低限の文章力さえあれば、誰でも「ベストセラー作家」になれますよ。
これで「ベストセラー作家」になれるというのは、いくらなんでも極論じゃないですか? 最低限の文章力があるからこそ作家になれるものだと私は思うのですが。
速水さんの考えでベストセラーを取れるのなら、世の中はベストセラー作家で溢れてしまう気がしますが。逆に言えば、日本の作家は最低限の文章力(どの辺りが最低限かは解りませんが)すらない人が、ほとんど占めている、ということになってしまいますが……。
> ほんとにここ数年が、日本出版界の正念場になるでしょう。
> まあ、おかしくなった源流を辿れば、明治にまで遡らないといけないんですけど。
> ともかく「読者側にも責任がある」と、私は声を大にして言いたい。
> 外国に比べると、日本の書籍事情は最高ですよ。しかしそれを認識していない読者が、多すぎます。
> 私が書くと変でしょうが、田中芳樹や佐藤大輔の「遅筆」は、充分、弁護の余地ありです。
> そもそも一年で作家が四冊も出すなんて、異常事態です。外国でそんなペースで仕事をやっている作家なんか、三流作家ですよ。取材とかすれば、年二冊が、限度じゃないですかね?
> むしろ日本の作家の執筆ペースがどうして速いかですけど、これは印税率が欧米の三分の一から四割で、「食べられない」からなんですね。
全く筆が進まなくなった作家の言い訳みたいなことを書かないでください。まるで田中芳樹の言い訳みたいじゃないですか(笑)。
しかしそうなると、駆け出し作家の速水さんは、印税も低いはずですから、食っていくために少々質が悪かろうが年に数冊は書かないといけないことになりますね。逆に言えば、田中芳樹や佐藤大輔は今まで出した作品で充分な蓄えがあるからこそ、遅筆でいられることになってしまいます。アッ、そうか。だから田中芳樹は遅筆なのか……。
> この理由は……長くなるので省略しますが、読者もいくらその作品が好きだからと言っても、「早く出せ」と催促するだけじゃなくて、我慢することも覚えないと。
> なんか「完成度が低い作品を早く出す」という、一部バカ編集者の手に、もろに乗ってますぜ。
> 読者が本当に求めているのは、「完成度の高い作品」でしょうに。次の巻が出る間は、
> 「ど~ゆ~展開になるのかなぁ」
> と推理、想像したり、別の作家を読めば、案外、半年ぐらい、すぐに経ちゃいますよ。
私は、速水さん言われる「読者も催促ばかりしないでもう少し待つべき」という考えには賛成します。それでも1年に1~2冊は作品を出してもらいたいというのが読者の心情だと思います。
特に所謂ライト・ノベル系に分類される本を出している作家さんには、最低でも1年に1冊。欲を言えば半年に1冊は出してもらいたい。
ライト・ノベルの読者のほとんどが、中高生や大学生です。彼らは、小説のライバルとも言える漫画をよく読みます。漫画の場合、週刊連載なら3~5ヶ月に1冊。月刊連載なら6~8ヶ月に1冊のペースでコミックの新刊が出ます。もちろんスローペースの漫画家もたくさんいますが、かなりの数の漫画家が1年に1冊はコミックを出しています。
小説と漫画を比較するなと言われればそれまでなのですが、どうしても同系統の作品の場合などは比較してしまいます。なんで文章を書く方が簡単そうなのに(素人考えで)、絵を描く漫画よりも本が出ないの?って思う人が増えて、小説を手に取らなくなったらどうするんでしょう。
よくある後書きでの言い訳は別にいりません。作家さんには、出来る限り速く本を出すように努力をしてほしいです。私は、本の完成度と速く本を出すことは全く別のことだと思います。
> 最後に、今年の予定です。
> T社、K社からは研究書。S社からは旅行記がほぼ確定。
> あと、K社で、小説を出す話が進んでいます。
速水さん、年4冊の出版になりますね。完成度の高い作品を目指して頑張ってください。私も作家になることを夢見ましたから、影ながら速水さんのご成功を是非とも願います。出来れば、田中芳樹に作家同士として直にお話しをして、その内容をここのBBSに書き込んで欲しいです。