初めまして。「チャーリー」と申します。
このサイトに初めて来て、皆さんの熱い議論に圧倒される思いです。
私が原作のヤンやユリアンに感じた違和感を見事に批判してくださっており、非常に胸のつかえが降りた気分です。
特に私が興味を引かれたのが「トリューニヒト再評価論」でした。確かに民主主義者としても軍人としても中途半端だったヤンより彼のほうがよっぽど政治家としては有用なのかもしれませんね。
「ヤン―トリューニヒト連合」というのも興味あるIFですね。
何処だったか忘れましたがパーティーかどこかの席上で、トリューニヒトはヤンを「いずれは従わせるか排除するかしなくてはならない…出来るなら前者を選びたいものだ。そうすれば自分は頼りになる協力者を得ることになる」…みたいな言葉で高く評価してます。そして腹心のはずのネグロポンティやボネを「飼い犬のような連中」と軽蔑しています。
これはつまり、ヤンをもっとも正当に評価していたのはトリューニヒトなのではないか、ともいえるかも知れません。(もちろん感情的な好き嫌いはあったでしょうが、それに振り回されるほどトリューニヒトは馬鹿ではないでしょう)内心の嫌悪を隠してヤンが協力を申し出ていれば
トリューニヒトが応じた可能性は十分にあったと思います。
そうすれば救国軍事委員会のクーデターを防ぐことも出来たでしょうしアムリッツアであそこまでの大敗を喫することもなかったでしょう。
そしてもっと大きな可能性として、バーラトの和約の時点でもしトリューニヒト政権が存続していたら…というIFも考えることが可能です。(アムリッツア後もサンフォード政権が存続するとは思えないんでレベロなりホアンなリ民衆受けのいい政治家を「看板」として担ぐ必要はあるでしょうが)つまりバーラトの和約の時点でレベロのような小心者ではなくトリューニヒトのようないい意味でのずうずうしさを持った人間が政権にあったら、レンネンカンプのヤン抹殺指令に対し、オリベイラの底の浅い策謀を採用することもないでしょう。おそらく最も正解に近い反応―すなわちレンネンカンプの無法をラインハルトの意思であるかのように情報操作して全宇宙(特に旧同盟市民)に公表し、ラインハルトの評判を落すという手段―を取ることが出来たかもしれません。「卑怯者」といわれることを何よりも恐れる金髪の坊やですから、これは上手くすればローエングラム王朝にとって大きななダメージになるでしょう。
そしてヤンに向かって「同盟政府はヤン提督を全力をあげて保護する。どうか戻ってきて欲しい」とメッセージを送れば……そのときこそトリューニヒト―ヤン同盟の成立の時、かも?
チャーリーさま、初めまして。
トリューニヒトとヤンが組むとしたら、レンネンカンプによるヤン逮捕命令が出た後では遅いのではないでしょうか。というのも、バーラトの和約を結んだ時点で、トリューニヒトがいくら「ハイネセン市民の生命を守るために、やむなく降伏を決断した」と言っても売国奴扱いされるのは必至で、政治生命はその時点で終わりでしょう。だからこそ、彼は帝国に亡命したのでしょうし。
私は、救国軍事会議のクーデターが起こって、地球教徒に匿われていたときに、「ラインハルトによる銀河統一→新銀河帝国で実権を握り、宇宙支配」という考えを地球教徒からトリューニヒトは吹き込まれたか洗脳されたと思っています。そう考えないと、銀河帝国正統政府の一件はトリューニヒトにしてはあまりにも稚拙過ぎる失敗だと思われます。
クーデター後のトリューニヒトのヤンと組みたいと言う発言は、ラインハルトによる覇権成就を念頭に置いた発言だったのではないでしょうか。同盟市民に人気が高く、ラインハルトも一目置くヤンを味方につければ、ラインハルトに接近するチャンスが増える上、帝国議会開会の時にも自分の政党の人寄せパンダとしても利用出来ると、トリューニヒトは考えていたと思います。
同盟の存続を前提にするなら、トリューニヒトとヤンが組む機会は帝国領侵攻作戦が閣議決定した後が最後のチャンスだったと思われます。おそらく、その時点では同盟による帝国打倒→全銀河支配をもくろんでいたトリューニヒトにとって、帝国領侵攻作戦によって同盟軍の戦力ががた落ちになるのは望まなかったはず。帝国領侵攻作戦が帝国による策謀であることが事前に明らかとなり、サンフォード政権がそれで倒れれば、トリューニヒトにとってはもっとも望ましいシナリオになるはずで、そのための協力はトリューニヒトも惜しまなかったでしょう。
> レンネンカンプのヤン抹殺指令に対し、オリベイラの底の浅い策謀を採用することもないでしょう。
おもいっきり横道にそれるけど、オリベイラって本当に大学教授なんだろうか。
いくら難しい時期だといっても何の罪も無い人間を殺すようなことをレベロに助言するなんて、まるでどこかの過激派かテロ集団の人間のようじゃないか。
もし言うにしても死んだかのように見せかける策ならわかるし、それならヤンも協力したかもしれないのに。
> チャーリーさま、初めまして。
こちらこそ初めまして。私の分かりにくい文にレスを頂き、ありがとうございます
>私は、救国軍事会議のクーデターが起こって、地球教徒に匿われていたときに、「ラインハルトによる銀河統一→新銀河帝国で実権を握り、宇宙支配」という考えを地球教徒からトリューニヒトは吹き込まれたか洗脳されたと思っています。そう考えないと、銀河帝国正統政府の一件はトリューニヒトにしてはあまりにも稚拙過ぎる失敗だと思われます
> クーデター後のトリューニヒトのヤンと組みたいと言う発言は、ラインハルトによる覇権成就を念頭に置いた発言だったのではないでしょうか。同盟市民に人気が高く、ラインハルトも一目置くヤンを味方につければ、ラインハルトに接近するチャンスが増える上、帝国議会開会の時にも自分の政党の人寄せパンダとしても利用出来ると、トリューニヒトは考えていたと思います。
なるほど。それは気付きませんでした。目からうろこが落ちる思いです。
つまりアムリッツアであそこまでの惨敗を喫するというのはトリューニヒトにとっても予想外の事であったと言うことですね。
トリューニヒトが予想していたのはほどほどの(つまりサンフォード政権を崩壊させるための攻撃材料となりうる程度の)負けであり、あそこまでの惨敗を喫してしまったことでトリューニヒトは同盟の将来を見限った。そしてその後の救国軍事委員会のクーデターで地球教にそそのかされ、ラインハルトによる立憲帝政のもとで政治家を目指す道を選んだ…だからこそ同盟の滅亡を早めると知りながらエルウィン・ヨーゼフを受け入れた。確かに考えられますね。
>トリューニヒトとヤンが組むとしたら、レンネンカンプによるヤン逮捕命令が出た後では遅いのではないでしょうか。というのも、バーラトの和約を結んだ時点で、トリューニヒトがいくら「ハイネセン市民の生命を守るために、やむなく降伏を決断した」と言っても売国奴扱いされるのは必至で、政治生命はその時点で終わりでしょう。
それもそうですね…ならばこういうのはどうでしょう。
アムリッツアの大敗の報を聞いてトリューニヒトは考えた。
(まさかここまでの大敗を喫するとは…フォークという男がここまで無能であったのは正直予想外だ…。確かにこれでサンフォードは退陣、私が議長となるだろう。しかしここまでの大敗を喫してしまってはもはや帝国打倒など望むべくもない。それどころか同盟の存続すらも危うい……同盟が滅びるのは仕方がないとしてその道連れにされるのはぞっとしないな。)
考えた結果トリューニヒトは議長への選出を辞退、代わりにジョアン・レベロを議長に推薦した。
その後はレベロを操って(小心なところのあるレベロならホワンよりは操りやすいでしょう)予定通り(笑)エルウィン・ヨーゼフ受け入れ、ラグナロック作戦の発動と進め、帝国軍の侵攻を招きます。そして講和受け入れの責任を全てレベロにかぶせて放逐、自分が議長につくのです。(或いは一度下野してレベロを操るのは部下に任せ、レベロの失脚とともに自分に対する待望論が高まるように工作する、というのもいいかもしれません)
就任後の記者会見か何かで「彼はすばらしい政治家であったが…与えられた責任の重さが彼を変えてしまった。私も何度も諌めたのだが聞き入れてもらえなかったよ」
とか何とか言いながら深刻な顔をして見せればOKです(笑)
そして後は帝国における同盟側の統治責任者として頭角をあらわしていけば…
おまけ
ふと頭に浮かんだネタを
レンネンカンプよりのヤン逮捕指令。トリューニヒトは表面上は恐縮したように聞きつつ、内心では笑みを浮かべていた。
(帝国も思わぬ失策をプレゼントしてくれたものだ…おそらく我々の手でヤンを処断させようというのだろうが……おそらくあの金髪の坊やの意思ではあるまい。高等弁務官殿の独走か…或いは軍務尚書あたりの謀略か…いずれにせよこれは大きなチャンスかも知れん)
そして翌日、ハイネセンの国営放送に登場したトリューニヒトは次のような言葉を同盟全土に発した。
「昨日、高等弁務官のヘルムート・レンネンカンプ上級大将閣下よりひとつの命令が届きました。なんと国民的英雄であるヤン提督を逮捕・拘禁せよというものです。今までのところラインハルト皇帝の統治は公正なものといえます。しかし市民の自由を守る同盟政府の首長としてこのような命令だけは受け入れられません。もと高級軍人とはいえ、退役して平穏な市民生活を送る一市民を逮捕拘禁せよなどという命令ははっきりとバーラトの盟約違反であります。私は帝国政府に対し、厳重に抗議いたします。そして同盟政府の全力を挙げてヤン提督を保護することを宣言いたします」
…さて、どうするでしょうね、金髪の坊や(笑)
> おまけ
> ふと頭に浮かんだネタを
> レンネンカンプよりのヤン逮捕指令。トリューニヒトは表面上は恐縮したように聞きつつ、内心では笑みを浮かべていた。
> (帝国も思わぬ失策をプレゼントしてくれたものだ…おそらく我々の手でヤンを処断させようというのだろうが……おそらくあの金髪の坊やの意思ではあるまい。高等弁務官殿の独走か…或いは軍務尚書あたりの謀略か…いずれにせよこれは大きなチャンスかも知れん)
>
> そして翌日、ハイネセンの国営放送に登場したトリューニヒトは次のような言葉を同盟全土に発した。
>
> 「昨日、高等弁務官のヘルムート・レンネンカンプ上級大将閣下よりひとつの命令が届きました。なんと国民的英雄であるヤン提督を逮捕・拘禁せよというものです。今までのところラインハルト皇帝の統治は公正なものといえます。しかし市民の自由を守る同盟政府の首長としてこのような命令だけは受け入れられません。もと高級軍人とはいえ、退役して平穏な市民生活を送る一市民を逮捕拘禁せよなどという命令ははっきりとバーラトの盟約違反であります。私は帝国政府に対し、厳重に抗議いたします。そして同盟政府の全力を挙げてヤン提督を保護することを宣言いたします」
>
> …さて、どうするでしょうね、金髪の坊や(笑)
落としどころを、トリューニヒトはどう考えているかをまず考えるべきでしょう。同盟の復活などという絵空事を、トリューニヒトはもはや信じてはいないでしょう。トリューニヒトの目的は、ヤンに自分が味方であると認識させ、なおかつ、ヤンの強力な同盟者として自らをラインハルトに売り込むといったところでしょうね。
つづき
トリューニヒトは早速、布告を発令した。
「同盟軍最高司令官である同盟議長として、ヤン・ウェンリー元帥の復帰を許可し、統合作戦本部長に任命する。また、第13艦隊を復活させ、アッテンボロー中将の復帰を許可し、その司令官に任ずる。また、シェーンコップ中将の復帰を許可し、統合作戦本部副部長に任ずる。また、帝国高等弁務官府と結託して、謀議を企んだ容疑で、ロックウェル大将とオリベイラ国立自治大学学長の逮捕を命じる」
「許可ね・・・」ヤン、アッテンボロー、シェーンコップらは官報号外を見ながら苦笑いした。彼らが復帰を求める前にトリューニヒトに先手を打たれてしまった形だ。「ハイネセンから逃亡しても行くあてはない・・・。仕方が無い。軍に復帰するか・・・」
翌日、国防委員会に出頭するヤン艦隊の面々を歓迎の大群衆が出迎えた。そして、ヤンはホワン・ルイ国防委員長から辞令を受け取ると、その足で議長公邸を訪れた。
「トリューニヒト議長。帝国軍から身を助けていただき、ありがとうございます。しかし、私個人の安全のために国家を危険にさらすのはどうかと・・・」
「ヤン元帥。あえて、誤解を恐れずに言えば、私は同盟はここで滅んでも良いと思っている」
「・・・!?」
「私の狙いは同盟ではなく、民主主義自体を後世に残すことだ。同盟の国力では、同盟の存続は絶望的だ。しかし、民主主義が、同盟と心中することは無い。」
「と、言いますと?」
「皇帝ラインハルトに一大決戦を挑み、帝国に議会制民主主義を導入させる。それと引き換えに、同盟を解散させても良いと思っている。同盟とともに民主主義が滅亡するより、そちらのほうがましだと思うが、いかがかな?」
「議長閣下。皇帝ラインハルトは、おそらく、人類が生んだもっとも最善の君主です。その下に暮らすことは全銀河人民にとって幸福でしょうし、歴史の発展法則にも合っているでしょう。しかし、彼の後を継ぐものがその心根も継ぐとは限りません。ラインハルト皇帝の下での議会制民主主義・・・それが人類にとって最善の政治形態でしょうね」
「わかったくれたか!」トリューニヒトはヤンの手を握った。「そして、首相になるのはこの私だが・・・」トリューニヒトは心の中で思った。
「レンネンカンプの越権行為にはほどがある!いつ、余がそのようなことを命じたか!」ラインハルトはトリューニヒトからの通告を聞いて激怒した。早速、レンネンカンプに謹慎を命じ、3元帥を自分のもとに呼んで、今後の方針を話し合ったが、彼の怒りはおさまらない。
「レンネンカンプを更迭し、新たな高等弁務官を派遣して、同盟の誤解を解くべきです」筋論を唱えたのは、ミッターマイヤーだった。
「なぜ、同盟の誤解を解く必要がある?レンネンカンプの非を認めることは、彼を任命したカイザーの非を認めることになる。帝国の威信にかかわる」オーベルシュタインはレンネンカンプの更迭に反対した。
「いや、非を自ら認めることこそ、王者の徳というものだ。ここはカイザーの懐の深さを同盟市民に見せつけ、人心を落ち着かせるべきではないか?」ロイエンタールはミッターマイヤーに同調した。
ラインハルトは即断を避けた。確かにレンネンカンプに対する怒りはおさまらないが、ここでレンネンカンプを切り捨て、ヤンを厚遇する姿勢を見せれば、帝国軍将兵のなかに不満を持つものも多く出よう。ラインハルトは、3元帥を下がらせると、ヒルダを呼んだ。
つづく・・・?
こんな感じでしょうか?
イッチー様
早速のレス、ありがとうございました。
>落としどころを、トリューニヒトはどう考えているかをまず考えるべきでしょう。同盟の復活などという絵空事を、トリューニヒトはもはや信じてはいないでしょう。トリューニヒトの目的は、ヤンに自分が味方であると認識させ、なおかつ、ヤンの強力な同盟者として自らをラインハルトに売り込むといったところでしょうね。
確かにトリューニヒトならそれぐらいのことを考えそうですね
ここでラインハルトに対抗しうる唯一の人材であるヤンを殺すという愚挙は彼は冒さないでしょう。
ならば彼の存在を最大限利用するために最高の待遇を用意するでしょうね。
>「レンネンカンプの越権行為にはほどがある!いつ、余がそのようなことを命じたか!」ラインハルトはトリューニヒトからの通告を聞いて激怒した。早速、レンネンカンプに謹慎を命じ、3元帥を自分のもとに呼んで、今後の方針を話し合ったが、彼の怒りはおさまらない。
> 「レンネンカンプを更迭し、新たな高等弁務官を派遣して、同盟の誤解を解くべきです」筋論を唱えたのは、ミッターマイヤーだった。
> 「なぜ、同盟の誤解を解く必要がある?レンネンカンプの非を認めることは、彼を任命したカイザーの非を認めることになる。帝国の威信にかかわる」オーベルシュタインはレンネンカンプの更迭に反対した。
> 「いや、非を自ら認めることこそ、王者の徳というものだ。ここはカイザーの懐の深さを同盟市民に見せつけ、人心を落ち着かせるべきではないか?」ロイエンタールはミッターマイヤーに同調した。
> ラインハルトは即断を避けた。確かにレンネンカンプに対する怒りはおさまらないが、ここでレンネンカンプを切り捨て、ヤンを厚遇する姿勢を見せれば、帝国軍将兵のなかに不満を持つものも多く出よう。ラインハルトは、3元帥を下がらせると、ヒルダを呼んだ。
>
> つづく・・・?
> こんな感じでしょうか?
では、僭越ながら私がイッチー様の話に続きを書かせていただきます。
「フロイライン…何故私が貴女を呼んだか、既に分かっているだろうな」
ラインハルトの言葉にヒルダは頷く。
「はい…此度のレンネンカンプ弁務官の暴走……についてでございますわね」
「ああ……レンネンカンプめ…いらぬことを考えおって」
「果たしてそうでございましょうか?」
ヒルダの言葉にラインハルトは目を上げる。
「どういうことだ?」
「レンネンカンプ提督は武人的性格をなさっておいでです…その提督があのようなどちらかと言えば狡知に類するような謀略を考え付くでありましょうか」
「…フロイラインの結論は?」
ラインハルトの言葉に、ヒルダは少し拗ねたように顔を歪めてみせる。
「もう……この程度の事を皇帝陛下がお分かりにならないはずはございませんでしょう」
ヒルダの態度に、ラインハルトは彼にしてはめずらしい表情―苦笑―で応じる。
「いや、すまぬ……フロイラインもレンネンカンプの背後にはあのオーベルシュタインがいるとお考えか」
「というよりもそれ以外に考えようがございません」
「そうであろうな……ま、それはよい。今大事なのは原因が何かではなく予がこの事態に如何に対処すべきかということだ。フロイラインの意見を聞きたい」
ラインハルトの言葉に、ヒルダは首を振って見せる。それは自分の思い通りにならぬことに対する諦めの表情が6割ほど入り混じっていた。
「秘書官としてのお答えならば決まっております……『ミッターマイヤー、ロイエンタール両提督の仰るとおり、新たな弁務官を任命し事態の収集に当たらせるべきです』とお答えするでしょう。しかしながら」
「しかしながら?」
「もはや皇帝陛下の御意志は決まっておいででしょう。あれほどヤン提督を実力で膝下に捩じ伏せることに拘っておられた陛下がこのような好機をお見逃しになるはずがございません」
ヒルダの言葉に、しばし意外そうに沈黙していたラインハルトだが、やがて愉快そうに笑い出した。
「ははは……どうやらフロイラインは予の事を誰よりもよく理解しておいでのようだ…おそらく予自身よりもな」
その笑い声の裏でラインハルトは決意した。この事態を奇貨として同盟の完全併呑を企図する軍を起こすことを。
…一旦送信します
先ほどの私のストーリーの続きです
そのころ、同盟軍統合作戦本部長執務室ではヤンが一人の人物の訪問を受けていた。
「予備役元帥アレクサンドル・ビュコック、現役復帰と同盟軍宇宙艦隊総司令官を拝命いたしましたので、ヤン本部長閣下にご報告に上がりました」
デスクに座る人物にしゃちほこばって敬礼すると、その老人―ビュコック―はにやりと微笑んで見せた。
「やめてくださいよビュコック提督、提督にそんな風にされたら背中が痒くなります」
デスクに座る人物、ヤン・ウエンリー統合作戦本部長の渋面を見て、ビュコックはその笑みをさらに深くした。
「しかし地位から言えば貴官の方が格上だ。諦めて儂の敬礼を受けることじゃな」
ビュコックのその言葉に、ため息とともにヤンが敬礼を返すとビュコックもやっと手を下ろす。
「冗談はここまでにして……どうだヤン提督、どの程度の兵力を動員できそうかね?」
「5個艦隊、といったところでしょうね。バーラトの和約の発効直後で戦艦の廃棄がそれほど進んでなかったことが幸いしました」
それとメルカッツ提督に預けた「シャーウッドの森」艦隊がありましたから、とは声にならないヤンの内心の声であった。
「微妙な数じゃな…楽観的になるには少なすぎる。かといって悲観的になる程少なくもない」
「そうですね。とりあえず第13艦隊はアッテンボローに預けるとして…
新たに第16,17,18,19の4艦隊を編成し、提督には第16、17の2艦隊を率いていただきます。そして残りの18,19の2艦隊を指揮していただくのが」
そこでいったんヤンは言葉を切り、イタズラっぽい目でビュコックを見る。
「いやに勿体ぶるが…誰だ?」
「ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ提督」
「何……?」
ビュコックの驚いたような顔に、ヤンは満足そうに頷いてみせる。
「彼は戦死したのでは……?」
「記録上では、です…しかし宇宙空間での戦闘においてはしばしば行方不明=戦死、とされる場合が多くて」
「なるほど。貴官の仕業じゃな……」
「さあ?何のことやら」
ビュコックの言葉に、ヤンはそら惚けて見せる。
「まあ、いい。総司令官は貴官でよいとして…総参謀長には誰を起用する?」
「私としてはチュン・ウー・チェン大将にお願いしたいと思っております」
「なるほどな『パン屋の2代目』と『穀潰し』のタッグか。栄光ある同盟軍随一の汚点じゃな」
「心外な言われようですね…私は彼ほどひどくはありませんよ」
………
……
…
こうして同盟軍の陣容は一応にも整った。
以下にそれを記す
総司令官 ヤン・ウエンリー元帥
総参謀長 チュン・ウー・チェン大将
第16,17艦隊司令 アレクサンドル・ビュコック元帥
第13艦隊司令 ダスティ・アッテンボロー中将
第18,19艦隊司令 ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ大将
…という感じでいかがでしょうか。
ただトリューニヒトがメルカッツの復帰をあっさり認めるかどうかという問題は残りますね。もしかしたらチュン・ウー・チェンが元帥に昇進し、18,19艦隊司令ということになるかもしれません。そうしたら総参謀長は大将に昇進したムライのおっさんということで(笑)メルカッツには中将のままビュコックの指揮下に入って16,17のどちらかの艦隊の司令になってもらいましょう。
> こうして同盟軍の陣容は一応にも整った。
> 以下にそれを記す
>
> 総司令官 ヤン・ウエンリー元帥
> 総参謀長 チュン・ウー・チェン大将
> 第16,17艦隊司令 アレクサンドル・ビュコック元帥
> 第13艦隊司令 ダスティ・アッテンボロー中将
> 第18,19艦隊司令 ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ大将
>
> …という感じでいかがでしょうか。
> ただトリューニヒトがメルカッツの復帰をあっさり認めるかどうかという問題は残りますね。もしかしたらチュン・ウー・チェンが元帥に昇進し、18,19艦隊司令ということになるかもしれません。そうしたら総参謀長は大将に昇進したムライのおっさんということで(笑)メルカッツには中将のままビュコックの指揮下に入って16,17のどちらかの艦隊の司令になってもらいましょう。
ランテマリオ星域会戦の際、同盟に残っていたのは第1艦隊・第13艦隊そして急造の第14艦隊・第15艦隊の4艦隊でした。このうち、第14艦隊は司令官が戦死してしまったため、バーラトの和約時に残っていたのは第1・13・15の3艦隊であると思われます。ですから、ヤンが復帰しても復活させられるのは、上記3艦隊のみで、あと「シャーウッドの森」艦隊を第16艦隊として、メルカッツを司令官にしても(トリューニヒトは認めるでしょう。拒む理由もないですし、帝国人だからとかこだわっている余裕はないはず)同盟軍に残されているのは4艦隊です。
同盟軍の布陣は
統合作戦本部長 ヤン・ウェンリー元帥
宇宙艦隊司令長官 アレクサンドル・ビュコック元帥
宇宙艦隊総参謀長 チャン・ウー・チェン大将
第1艦隊 パエッタ中将
第13艦隊 ダスティ・アッテンボロー中将
第15艦隊 ラルフ・カールセン中将
第16艦隊 ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ大将
となると思います。
バーラトの和約後、レンネンカンプではなく、たとえばロイエンタールが高等弁務官として着任していたらどうなっていたでしょうか。
オーベルシュタインの手回しあるいは同盟政府の危機感によって、ヤンの逮捕はおそらく実行されたでしょう。その後のレベロの拉致、ヤンの暗殺未遂、シェーンコップらによるヤンの救出、ヤンとレベロの取引が原作どおりに進んだとすると、その後の展開はどうなるのか。
そもそも、高等弁務官を人質にして、反対に提示する要求が脱出と元部下たちの安全の保証では割に合わないと思います。目的がそれだけならば、レベロでもよかったはずです。帝国と帝国軍を敵に回すリスクをとってまで弁務官を人質にするからには、ヤンの当初の目的は脱出以外にあったためではないでしょうか。たとえば帝国との直接交渉。同盟との関係修復を望むならば、さらに上位の帝国との交渉が最善と考え、人質というよりはネゴシエイターとしての役割を期待して高等弁務官をとらえたのではないでしょうか。
ところがレンネンカンプは自殺。ヤンは同盟からの脱出には成功したものの同盟も帝国も敵に回したまま、なまじ武力だけはある状況に陥っています。結果的にヤンの同盟脱出は同盟の解体を早める結果となりました。
ここで、到底自殺なんぞしそうにもないロイエンタールが本当に高等弁務官になればどうなっていたのか、皆さんの意見を伺いたいです。
<バーラトの和約後、レンネンカンプではなく、たとえばロイエンタールが高等弁務官として着任していたらどうなっていたでしょうか。
オーベルシュタインの手回しあるいは同盟政府の危機感によって、ヤンの逮捕はおそらく実行されたでしょう。その後のレベロの拉致、ヤンの暗殺未遂、シェーンコップらによるヤンの救出、ヤンとレベロの取引が原作どおりに進んだとすると、その後の展開はどうなるのか。>
いや、そもそもロイエンタールであれば、あれだけ毛嫌いしているオーベルシュタインの、それも全く必要性のない謀略や煽動にうかうか乗るとは考えられないでしょう。
あの逮捕劇自体、レンネンカンプが自らの出世欲をオーベルシュタインに煽られて暴走したのが発端だったのですし、ロイエンタールにはそんなことをしなければならない理由自体がありません。
ヤンを逮捕するにしても、ある程度の証拠固めを行ってからということになりそうですから、まずは同盟の艦艇多数を強奪した所属不明(実際はメルカッツの)艦隊の捜索を重点的に行う、ということになるのではないでしょうか。
<そもそも、高等弁務官を人質にして、反対に提示する要求が脱出と元部下たちの安全の保証では割に合わないと思います。目的がそれだけならば、レベロでもよかったはずです。帝国と帝国軍を敵に回すリスクをとってまで弁務官を人質にするからには、ヤンの当初の目的は脱出以外にあったためではないでしょうか。たとえば帝国との直接交渉。同盟との関係修復を望むならば、さらに上位の帝国との交渉が最善と考え、人質というよりはネゴシエイターとしての役割を期待して高等弁務官をとらえたのではないでしょうか。>
人質を盾にして逃げる、という選択を行うのであればレベロでは駄目です。
レベロを人質にしたところで、帝国側にレベロの身の安全を保証しなければならない義務はありませんし、場合によってはレベロもろともヤン一派を皆殺しにして全ての責任を「死人に口なし」とばかりにヤン一派に擦り付ける、という選択肢を取ることも可能です。
そもそもレベロがいなくなれば、それは同盟の統治機能が事実上マヒ状態になることを意味しますから、これ幸いと帝国側がヤン一派の討伐と同盟の実質的な支配に張り切って乗り出す危険性すらあります。
実際、レベロが拉致されたことを知ったレンネンカンプは、ヤンを処断し同盟の内政自治権を蚕食する絶好の好機とばかりに「バーラトの和約」を無視した軍事活動を展開しています。
そうでなくてもレンネンカンプは個人的な私怨からヤンを殺したがっていたのですし。
ヤン一派にとって、レンネンカンプ擁する帝国軍は最初から敵だったのであり、敵に回すリスクは最初から折り込み済みとして考えざるをえなかったのです。
レンネンカンプの捕縛は、普通に「盾」としての人質という役割以上のものはなかったでしょうね。
<バーラトの和約後、レンネンカンプではなく、たとえばロイエンタールが高等弁務官として着任していたらどうなっていたでしょうか。
オーベルシュタインの手回しあるいは同盟政府の危機感によって、ヤンの逮捕はおそらく実行されたでしょう。>
まず、ここは違うと思います。
ロイエンタールにはオーベルシュタインの扇動は通じないでしょう。
ガイエスブルグによる侵攻を「無名の帥」と断じてますし、レンネンカンプの事を「視野の狭い戦争屋」と皮肉る程度には視野の広さも持っています。
ヤンを監視する事も同盟側を威圧する事もなく、ヤンは隠遁生活を楽しめてたと思います。
< そもそも、高等弁務官を人質にして、反対に提示する要求が脱出と元部下たちの安全の保証では割に合わないと思います。目的がそれだけならば、レベロでもよかったはずです。帝国と帝国軍を敵に回すリスクをとってまで弁務官を人質にするからには、ヤンの当初の目的は脱出以外にあったためではないでしょうか。たとえば帝国との直接交渉。同盟との関係修復を望むならば、さらに上位の帝国との交渉が最善と考え、人質というよりはネゴシエイターとしての役割を期待して高等弁務官をとらえたのではないでしょうか。>
レベロでは帝国軍相手の人質にはならないでしょう。
全員まとめて殺して適当に理由をでっち上げ、更に帝国にとって都合のいい人間を元首に据えて終わりです。
事実を知っていても「同盟を存続させたいなら従え」と言われたら拒めないでしょうね。
< ここで、到底自殺なんぞしそうにもないロイエンタールが本当に高等弁務官になればどうなっていたのか、皆さんの意見を伺いたいです。>
全く同じ状況ならロイエンタールでも自殺したんじゃないでしょうか。
方向性は違う気がしますが、ロイエンタールも誇り高いですから。
でも上で書いた理由でロイエンタールが高等弁務官だったらそもそも問題は起こらなかったでしょうね。
> バーラトの和約後、レンネンカンプではなく、たとえばロイエンタールが高等弁務官として着任していたらどうなっていたでしょうか。
6巻時点の高等弁務官という役職は「敗戦国への賠償取立人 兼反抗掣肘者」という立場に留まるものであり、同盟滅亡後 の「『新領土』管轄者」までの重要性がない限り、帝国軍三役 であるオーベルシュタイン、ミッターマイヤー、ロイエンタール の赴任というのは妥当性かつ現実性を欠く人事と言っていい でしょう。
では、この3人とレンネンカンプを除いた他の提督はと言えば
> オーベルシュタインの手回しあるいは同盟政府の危機感によって、ヤンの逮捕はおそらく実行されたでしょう。
レンネンカンプ以外にオーベルシュタインの使嗾の乗る程度の器量でかつヤンに不倶戴天なまでのこじれた感情を抱きそうな高等弁務官相当の帝国軍将帥というのは、いないのではないでしょうか。
最大問題のありそうな線が「執務そっちのけで日々ヤンに戦術シミュレーションを挑んでは連敗を重ね深夜に絶叫するビッテンフェルト」か「意思疎通不全でレベロを本当に消化器系疾病で政界引退まで追い詰めてしまうアイゼナッハ」くらい の所でしょう。
>その後のレベロの拉致、ヤンの暗殺未遂、シェーンコップらによるヤンの救出、ヤンとレベロの取引が原作どおりに進んだとすると、その後の展開はどうなるのか。
であれば、ヤンが思い描いた十ヵ年計画を平穏の内に遂行できるか、でなければ当座その必要もない程平穏な推移を経て、地球教勢力の存在を切っ掛けに両者共闘・共存の道が開けるという非常にめでたい展開も有り得るでしょう。
> そもそも、高等弁務官を人質にして、反対に提示する要求が脱出と元部下たちの安全の保証では割に合わないと思います。
史実の時点でヤン達に必要かつ入手可能な最善の未来というのがその程度というのは妥当な判断です。
欲を言えば「『見逃すから全部なかった事にして日常業務に精勤してくれ』とレンネンカンプとレベロに言い含める」といきたかったでしょうが、流石にこれは有り得ないでしょう?
>目的がそれだけならば、レベロでもよかったはずです。
管理人さんやたかしさんが仰っておられますが、レベロでは「敵性勢力の内紛として治安維持の名目で両者処断」されて終わりです。
>帝国と帝国軍を敵に回すリスクをとってまで弁務官を人質にするからには、ヤンの当初の目的は脱出以外にあったためではないでしょうか。たとえば帝国との直接交渉。同盟との関係修復を望むならば、さらに上位の帝国との交渉が最善と考え、人質というよりはネゴシエイターとしての役割を期待して高等弁務官をとらえたのではないでしょうか。
流石にミスター・レンネンは「そこまでの逸材」ではないです。
> ところがレンネンカンプは自殺。ヤンは同盟からの脱出には成功したものの同盟も帝国も敵に回したまま、なまじ武力だけはある状況に陥っています。結果的にヤンの同盟脱出は同盟の解体を早める結果となりました。
実際オーベルシュタインはレンネンカンプが外した場合と最終的な成果として正に仰る通りの結果を狙って謀略をめぐらせたのであり、ヤンが全知ならぬ存在である以上は極めて順当な結果としか言えません。