反銀英伝・思考実験編
5-C

「バーラトの和約」締結後の逆転シナリオ(3)

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コンテンツの総収録投稿数118件の内、35~43件目の投稿を掲載

収録投稿35件目
board4 - No.1085

Re:も少し悪あがき

投稿者:S.K
2001年10月28日(日) 18時46分

> 確か第四・六艦隊の残存勢力に新規の兵力を加えて半個艦隊だったような。

 これはこちらの記憶違いですね、失礼。
 何分原作が手元にないもので。
> その後、帝国領侵攻作戦時に、第二艦隊の残存勢力を加えて
> 1個艦隊を整えたはずです。
> それにエルファシル時ヤン24歳、第五次イゼルローン攻略戦時は
> 知りませんがアスターテ時には29歳で間に五年の開きがありますし
> 黒星続きというのはちょっと違うのでは。

 イゼルローン攻略失敗→帝国軍侵攻→同盟軍反撃→帝国軍イゼルローンへ撤退→同盟軍イゼルローン攻略に着手といった悪循環がイゼルローン要塞設置以来続いていたと思いましたが。
 上記のうちの同盟軍反撃では9割方勝っていたようですが戦争の主導権が同盟にない状況下で辛うじて敵を食いとめていたような物ですから
勝ちのうちに入らないかと判断しました。

> だいたいヤンが中尉から准将に出世しているではありませんか。
> アスターテで同盟軍が打撃をこうむったのは確かです。
> ならば半個艦隊でイゼルローン攻略などという博打を打つよりも
> 確実に、大艦隊によってイゼルローン以外、例えば同盟領側の
> 帝国占領惑星の奪還などという作戦を立てるべきでは無いでしょうか。
> 普通失敗するであろう作戦を強行し、全滅したら軍部の失態は
> ぬぐいがたいものとなります。同盟軍の運用ですが、その直後に
> 8個艦隊を動員していますので、問題はなかったのではないかと。
>
 あの時点で帝国に占拠された同盟領がなかったのでしょう。
 逆に同時期に帝国がアスターテ会戦に気を良くして大規模な侵攻計画でも考案していたなら1回攻略失敗する度に2~3個艦隊規模の被害が出ていた通常通りのイゼルローン攻略はより大きな失態でしょう。
 逆に言えばシトレ元帥に打診されて「絶対できません」「どうやっても不可能です」とヤンが強硬に主張していれば「ジリ貧の現状維持路線」が採用されたのではないでしょうか。
「絶対出来ないとまでは実は言えない」とヤンも思い実行して結果成功した訳ですから「一つの方策だった」くらいは評価していいんじゃないでしょうか。

> だいたい乗組員がこの事を知ったなら叛乱でもおきかねないと
> 思うのですが、どうでしょうか。
>
 同じ現実問題でナチスドイツのUボート艦隊司令官デーニッツという人は名提督として周囲の信望の厚い立派な軍人でしたが、ヒトラーとの面談後は総統閣下のカリスマに当てられ御無理御尤もな指令も唯々諾々として拝領してしまっていたそうです。
“奇跡のヤン”なんですし個人のカリスマ乃至虚名は割と馬鹿にできません。
>
> 前提として、ヤンは目に見える勲功を立てたからこそ出世しているのです。
> 少佐から准将まで3階級、五年で出世するには早過ぎます。
> だいたいあの世界、ハイネセンから戦場まで移動に1ヶ月かかってますよ。
> 作品中に二回に一回は奇功を立てたと書かれていますし、
> ヤンの作戦立案などにおける才能は、一般に認められてしかるべきでしょう。
>
 アスターテでは裏技で2階級特進してますよね。
 ヤンにやや職務怠慢のきらいはありますが目に見える失態や失策がなければ人材不足の折でもありますし5年で3階級くらいはまあある話で
しょう。

>
> 例えばオペレーターが居眠りをして敵の接近に気がつかず惨敗したら、
> これはオペレーターは軍法会議ものでしょう。一中尉と言いますが
> どんな兵士にも果たす役割があり、その役割の中で、最大限の
> 成果をあげるために努力することを求められます。
> ヤンは当時リンチ少将の副官だったはずです。そしてエルファシル
> 近郊においての艦隊戦で惨敗を喫しました。
> この敗北をもたらしたのはリンチ艦隊の状況判断の甘さです。
> ヤンは副官として指揮官の喚起を呼び起こすべきだったのです。
> 「まだ終わったわけではありません、敵艦隊が再度攻撃してくる
>  可能性もあります。周囲の警戒を怠るべきではありません。」
> 副官としての職務を超えてはいますが、十分許容される範囲の
> ことでしょう。ですので、責任があるかといわれれば、
> 無いといえるでしょうが、しかし、有能とはとても評価できないです。
> だいたい副官なんて職務、ヤンには不適当ですぐに配置換えに
> なりそうなものですけど。
>
 おそらくリンチ少将もパエッタ中将同様ヤンと相性の良くない上司だったのではないですかね(見捨てて逃げられる位ですし)。
 進言して相手にされなかった可能性はあるでしょう。
 尤も当人も味方の命より自分の食い扶持を優先して「給料分の仕事はしたから後は黙った」可能性も高いですが(苦笑)。
>
>
> 軍隊とはそれで通るほど甘くは無いと思うのですが…
> 現代の軍隊において、職務に兵士の性格を加味するのは
> 当然のことです。ヤンの下で働いて巻き込まれた方はたまったもんじゃ
> ありませんから。前線ではなく、後方で書類整理にでも回されそう
> ですが、なぜか前線にとどまっていますね。
>
「デスクワークに廻したヤン」というのはどう考えても生ゴミ以上の存在価値を見出せないのですが……(書類に居眠り中の涎のシミを量産するだけの)。
「規格外集団の有効活用者」と思えばまあ帝国軍のオーベルシュタイン同様「組織内に広がりを与える“異物”」的な価値を認めてもいいんじゃないでしょうか。
 ただアレがスタンダードという世界には私とてあまり住みたくはないですが。

> 私はヤン個人への攻撃ではなく、そんなヤンが前線に出て出世できる
> 状況を主に攻撃しているつもりです。
> 責任ある立場につきながら責任を感じようとしないヤンへの
> 苛立ちもたしかにありますがね。

「肩の力の抜けた柔軟な思考の持ち主」が作品世界の主軸の一端を担うというのは「銀英伝」発表当時は大変新鮮に見えましたしある意味好感も持てました。
 時代が変わってそうした方式の亜流が増えた、現在の判断でアラが目立つからと言って手のひらを返すのも私個人に限っては不義理かなと思うので思いつく限りでヤンおよび銀英伝世界を擁護している次第です。

収録投稿36件目
board4 - No.1086

Re:ヤンを弁護……してみますか

投稿者:クロイツェル
2001年10月28日(日) 19時03分

 あんまり細かく枝分かれしても読み難いので、こちらに。

> パウルス元帥は42年の夏期攻勢が始まるまで、ずっと参謀勤務だった
> ので、実戦経験はほぼ皆無という生粋の事務屋でした。参謀としては
> バルバロッサ作戦の立案などを行い、有能な人物であったと
> いわれています。しかし、実戦指揮官としての能力は未知数でした。
> 彼は42年の冬のソ連軍の攻勢によって、ドイツ第六軍を率いて
> スターリングラードでソ連軍に包囲され最終的に
> 10万の死傷者を出して降服しました。彼が大兵力をスターリングラード
> に張りつけさせたため、その他のドイツ軍は態勢を立て直せたという
> 一面もあるのですが…
> スターリングラード攻防戦で検索すれば色々出てくるでしょう。

 ご説明、ありがとうございます。ちょっと調べてみましたが、彼も上からの横槍によって、ずいぶん苦労させられた口の様ですね。そういう所もヤンと重なりますなあ。

> 君ならできる、といった殺し文句で引き受けさせたことに
> なっていますが、そんな単純に半個艦隊もの戦力を動かせるなら
> 同盟の軍の腐敗はかなりひどいものだったでのしょうね。

 まったくです。これについては、私もluluさんの

> 現実問題、このような作戦は、例えば昭和17年時点で日本海軍に
> ハワイに空母一隻を基幹とする小艦隊を送りこんで占領しろと
> 言っているようなものです。幾ら無茶な旧軍令部であろうと
> そんな作戦にOKが出るはずありません。半個艦隊と言いますが、
> その中にも大勢の兵士が乗り組んでいるのです。

 に同意ですね。こういうのが認められるとしたら、ヤンが行ったような作戦案が先にありき、でないとおかしいでしょう。シトレの行動は、「切羽詰った」というよりも「とち狂った」用にしか見えません。

> 戦闘に参加すれば二回に一回は奇功を立てたという文が
> 作品中にあったはずです。それにエルファシル後、少佐に特進した後の
> 准将までの功績がはっきりしていません。
> 螺旋回廊では辺境に一時左遷されていた様ですが。
> 後、条件に一つ付け加えておきます。
>
> 4:ヤンの上司が作戦立案に関してヤンの意見を求めない
>   もしくは無視する。
>
> これもまたありえない話しですよ。

 そういえば、そんな記述がありましたねえ。忘れてました(苦笑)。むう、解釈が難しいですなあ。ちょっと思いつきません。

> ヤンは当時リンチ少将の副官だったはずです。そしてエルファシル
> 近郊においての艦隊戦で惨敗を喫しました。
> この敗北をもたらしたのはリンチ艦隊の状況判断の甘さです。
> ヤンは副官として指揮官の喚起を呼び起こすべきだったのです。

 少々レスが前後しますが、こちらについて。これ、やったかもしれませんよ。アスターテでも、新任参謀にもかかわらず、パエッタに進言してましたしね。
 だとすると、リンチの逆恨みは、実にはなはだしいですなあ(笑)。

> ですからいつもヤンがいいかげんな気持ちで前線にいることが
> できるというのが理解できないのです。普通、生き残るために
> 必死になりませんかね?

 こういう状況に身をおいた事が無いのでなんですが、思うに、生き残る確率を高めるべく必死になる人がいる一方で、どうせ生き死には運次第だと達観して自分の仕事を淡々とこなす人も出る様な気がします。ヤンは後者だったのではないでしょうか?

> 軍隊とはそれで通るほど甘くは無いと思うのですが…
> 現代の軍隊において、職務に兵士の性格を加味するのは
> 当然のことです。ヤンの下で働いて巻き込まれた方はたまったもんじゃ
> ありませんから。前線ではなく、後方で書類整理にでも回されそう
> ですが、なぜか前線にとどまっていますね。

 でも、実際には部下は不安を抱いていませんよね。ヤンは、態度こそアレですが、現実が見えて無い訳じゃないので、部下から見て不安は無かったものと思います。むしろ、部下や兵士からは、ヤンのアレは「泰然」に見えた事でしょう。
 実際、ヤンの部下掌握能力は大した物です。作戦能力にも不安はありません。ただ一つ、決断力が欠けていたばかりに、彼はあんな不幸な目にあったわけです。

> 私はヤン個人への攻撃ではなく、そんなヤンが前線に出て出世できる
> 状況を主に攻撃しているつもりです。
> 責任ある立場につきながら責任を感じようとしないヤンへの
> 苛立ちもたしかにありますがね。

 責任は、一応感じてたみたいですね。もっとも、現実に必要なほどの責任感は無かったようですが。これは、ヤン自身にそれだけの責任感を感じる能力が無かったという事ですから、その意味でも、ヤンを出世させたお偉方の責任は重いです。

収録投稿37件目
board4 - No.1087

Re:ヤンを弁護…できるかな?

投稿者:S.K
2001年10月28日(日) 19時12分

> はじめまして、S.Kさん。よろしくお願いします。
 こちらこそよろしくお願いします、涼さん。
>
> 「責任ある立場につきたくない」と、いわば責任を放棄したがって
> いるのに、そういう国家の大方針に関わること自体が無責任では。
>
 これについては「給料取りは辛い」で同情しますが。
 たまさか割り当ての仕事が国家の一大事だったというだけで、「なるたけ周囲に迷惑をかけずに辞めたい」とズルズル信頼を盾に押し付けられる仕事で深みにはまる社会人は多いでしょう。

> イゼルローン奪取の前には辞表は提出してなかったはずです。

 失礼、それはおそらく私の記憶違いです。

> しかも、シトレは13艦隊は「内定」で半個艦隊でイゼルローン奪取
> 計画が出来るかどうか聞いてます。ヤンが失敗すればシトレも失脚
> するのはヤンにも分かっているのですから、luluさんがコメント
> しているように、作戦案だけ教えて後はシトレにやらせれば良かった
> はずです。そして、その代償に前線司令官ではなく後方の統合作戦
> 本部勤務にでも配置転換してもらえば良かったでしょう。
>
「コツ」とか「ひらめき」までは計画書に落とせないという懸念はあったでしょう。
 本人が一から十まで面倒を見れば何とか出来るというレベルの事なら他人任せにした途端に大失敗というのは良くある話です。
 それこそ8巻以降イゼルローン独立艦隊は戦闘時によく「フィッシャー少将が生きていた頃の様に(艦隊運動が)上手くいかないものだ」というぼやきが聞かれる様になったがごとくに。
 ああいう実直な人が自分の仕事内容の説明に出し惜しみをしていた筈はありませんからやはり「最後は個人のセンス」という領域はあるのでしょう。

> 少なくとも、この時点まではヤンにはそれなりのフリーハンドが
> あったのですから、「責任ある立場」につきたくないのにそうなる
> 可能性を避けず(というか、自ら積極的にその可能性を選択し)、
> 「なりたくなかった」なんて言ってるのは無責任だろうと思って
> いるんですよ。
>
 口に出すあたりはヤンが一方的に情けないんですが「義理を果たして、正にその為により不本意な境遇に追い込まれた」というのは多少は同情しますが(そうならないためにはどこかで戦死して実は無能でしたと証明する他ないんですから)。
>
>
> イゼルローン奪取以後については、「ヤンの思考的矛盾」などで
> 示された事柄などが無責任さの証明かと。
> 救国軍事クーデターなどを予見しながらそれへの適切な対処を
> しなかったことなど、これから起こる事を正確に予見しながら
> 犠牲を最小限にする努力をしなかったのは疫病神と言われても
> 仕方ない所ではないでしょうか。
>
 私の意見としては
「確かに全力は尽くしていなかったろう。が、“滅私奉公”まで本人の自発的意図によらず強要していいものだろうか」
と言う所です。
 逆に言えば
「イヤイヤやったにしては上出来だが、もう少し体面良く頑張る気は無かったか?」
ともヤンには聞きたい所ですが。

収録投稿38件目
board4 - No.1088

Re:ヤンを弁護…できるかな?

投稿者:クロイツェル
2001年10月28日(日) 19時17分

> 「責任ある立場につきたくない」と、いわば責任を放棄したがって
> いるのに、そういう国家の大方針に関わること自体が無責任では。
>
> イゼルローン奪取の前には辞表は提出してなかったはずです。
> しかも、シトレは13艦隊は「内定」で半個艦隊でイゼルローン奪取
> 計画が出来るかどうか聞いてます。ヤンが失敗すればシトレも失脚
> するのはヤンにも分かっているのですから、luluさんがコメント
> しているように、作戦案だけ教えて後はシトレにやらせれば良かった
> はずです。そして、その代償に前線司令官ではなく後方の統合作戦
> 本部勤務にでも配置転換してもらえば良かったでしょう。
>
> 少なくとも、この時点まではヤンにはそれなりのフリーハンドが
> あったのですから、「責任ある立場」につきたくないのにそうなる
> 可能性を避けず(というか、自ら積極的にその可能性を選択し)、
> 「なりたくなかった」なんて言ってるのは無責任だろうと思って
> いるんですよ。

 イゼルローン奪取は、たまたま「渡りに船」だっただけでしょう。「あれが同盟の物だったら、戦争しなくてすむのになあ」ぐらいの思いは、常々抱いていたんだと思います。で、本人的には「最後のご奉公」とやるつもりだった、と。大功を立てれば辞められると思うあたり、軍組織をかなり甘く見てますが、本人の思考の流れ的にはおかしくないですね。

> イゼルローン奪取以後については、「ヤンの思考的矛盾」などで
> 示された事柄などが無責任さの証明かと。
> 救国軍事クーデターなどを予見しながらそれへの適切な対処を
> しなかったことなど、これから起こる事を正確に予見しながら
> 犠牲を最小限にする努力をしなかったのは疫病神と言われても
> 仕方ない所ではないでしょうか。

 私は、ヤンが無責任だったというより、ヤンにあれ以上の行動を取る能力そのものが欠けていたのだと思っています。はっきりいって、指揮官としてのヤンには、艦隊指揮官以上の職は不可能です。それ以上は、決断を迫られる範囲が大きくなりすぎ、彼の能力では十全な対応ができません。
 ヤンは「与えられた材料を上手に料理する」事は上手でも「一から献立を組み、客を満足させる」事はできないタイプだと思います。そんな彼が、いちから献立を組まねばならない立場に追い込まれたわけですから、そりゃあ献立の中身が保守的になってもおかしくはないと思いますが、どうでしょう?

収録投稿39件目
board4 - No.1089

Re:いかに帝国を乗っ取るか

投稿者:涼
2001年10月28日(日) 19時38分

> 例えば皇帝に子供ができて家庭的に変心しないとも限りません(爆)

マイホームパパラインハルト…一度だけみてみたいかも。
2度はいらない(笑)

> それに無意味な出兵はなんとしても周りが止めようとするでしょう。
> そう何度も繰り返すわけにはいかないと思いますが。

そうそう何度も繰り返されるとは思ってなかったんじゃない
でしょうか。どう見てもヤンが生き延びたのはラインハルト
が病気で撤退したっていう運がカギですし。

> しかし、工部尚書のシルヴァーベルヒなども言っていますが
> 敵対勢力が全くいなくなれば軍の発言権が大幅に縮小されます。
> その結果戦争の英雄は過去の人となり、引退し予備役となるでしょう。
> 相対的に経済分野、内政分野で活躍できる人間の発言力が増大します。
> 特にトリューニヒトは、おそらく軍部からの支持を受けることが
> できないため、帝国内で発言力を増すためにも軍の縮小を
> 画策するでしょう。

なるほど。
軍の力が強いと、政治に無用な干渉(アムリッツアのように)を
してくる可能性があるからかな、と思ったりもしてましたが、
たしかに発言力を増やす段階でも邪魔になりそうですね。

そういえば、シルヴァーベルヒに代表されるテクノクラート
たちは、カール・ブラッケのような開明派の政治家とあわせて
トリューニヒトにとっては上手く利用できそうですね。
初期の帝国は明らかに軍部中心型の政治ですから、それに
対する反発が↑の発言なのでしょうし。実は軍以外はすでに
ある程度の人脈を作っていた?

> と、ここまで考えたのですが、例えばミッタ-マイヤーが
> 国務尚書などという役職につくし、ケスラーの地位も
> そのままでしょう。戦争が終わって軍人が政治家になるのは
> よくあることだし、かえってライバルが増えるだけかも。
> と言うか、彼ら若すぎです!! 30そこそこで元帥って
> 今後どうするつもりじゃ~ 彼らが引退し無い限り出世できない、
> 適当な役職増設して対応するのか?それとも40前に引退か?
> それより適度な軍事的緊張がある中で、縮小された軍部に
> 彼らを飼い殺しにするほうがましかもしれません。

さすがにミッターマイヤーあたりが政治家に転身してきたら、
トリューニヒトにとっては強力な政敵になりますね。
しかもトリューニヒトより15歳は若いですし。先に立憲君主制
の行政最高位に就かれたら、相手が死ぬのを待つのすら無理っぽい。
同盟時代にしただろう、「ヤンが政治家に転身したら」という予測
を思い出すだけで、トリューニヒトには十分過ぎるくらいその危険
はわかるでしょうし。

そこまで予想して有能な司令官たちを全員軍隊内で飼い殺しに
するためにわざとヤンを生かしておいたのだとしたら、
トリューニヒトの政略への見識は言葉が出ない程の凄さです。

> どうも帝国はすでにあちこちから、無理やり成立したための
> 軋みが聞こえてきますね…大量の不満分子を抱え、制度も破綻寸前、
> ボスは3人とも死んだとはいえ陰謀家たちの残した組織は健在です。
> バラバラにはなっているでしょうが、再びまとめるような
> 野心家が現れないとも限りません。帝国の将来は暗い…

すでにテクノクラートやカール・ブラッケのような文官と、
七元帥を筆頭にする武官の軋みが聞こえてきそうです。
文官派の最高実力者シルヴァーベルヒは暗殺されましたが、
逆にいえば自分たちの期待の星を失った事で文官たちの
武官への対立感情は強まるかもしれません。
併合したフェザーンや同盟の反帝国感情もありますし。
立憲君主制というアイディアに賛同した帝国のトリューニヒト
閥メンバーや、経済支配を目指したルビンスキー閥の中から、
次の野心家が生まれてくるかも。

急速に膨張した大帝国の2代目というのは、たいていは先代が
未整備のまま放置した内政システムを構築するのに忙殺され
ますが、アレク皇太子やヒルダはそれができるかなぁ…

やはり、複雑怪奇なパワーポリティックスを操って様々な
利益集団を纏め上げる事が出来るトリューニヒトの能力が
失われたのは、かなり痛かったかもしれませんね。

収録投稿40件目
board4 - No.1090

Re:も少し悪あがき

投稿者:lulu
2001年10月28日(日) 22時10分

>  イゼルローン攻略失敗→帝国軍侵攻→同盟軍反撃→帝国軍イゼルローンへ撤退→同盟軍イゼルローン攻略に着手といった悪循環がイゼルローン要塞設置以来続いていたと思いましたが。
>  上記のうちの同盟軍反撃では9割方勝っていたようですが戦争の主導権が同盟にない状況下で辛うじて敵を食いとめていたような物ですから
> 勝ちのうちに入らないかと判断しました。

それを言うなら帝国側もイゼルローンから一歩も進めていません。
互いに戦略的勝利をものにできないままだらだらと戦争が
続いていたんですから。私は戦術的に負け続きではない
と言いたかっただけです。そしてそれは出世するには十分です。

>  あの時点で帝国に占拠された同盟領がなかったのでしょう。

ちょっと考えられませんね。わざわざ帝国軍がアスターテにまで遠征
してくるくらいですから。同盟軍の迎撃のタイミングからして、
イゼルローンからアスターテは結構距離があるはずです。
その間に戦略的重要性を持つ星系(有人で無くともよい)が
無いはずないです。イゼルローンを落せば自動的にそれらの星系は
手に入るので、それまではあえて無視していたのでしょう。

>  逆に同時期に帝国がアスターテ会戦に気を良くして大規模な侵攻計画でも考案していたなら1回攻略失敗する度に2~3個艦隊規模の被害が出ていた通常通りのイゼルローン攻略はより大きな失態でしょう。

帝国軍の再侵攻があるのならそれを迎撃すればよいのです。
別にそれは失態でもなんでもありません。

>  逆に言えばシトレ元帥に打診されて

ここからすでに間違っています。このような作戦を
計画したというだけで、シトレ元帥の指揮能力に疑問が出て
解任されることになるでしょう。

>  同じ現実問題でナチスドイツのUボート艦隊司令官デーニッツという人は名提督として周囲の信望の厚い立派な軍人でしたが、ヒトラーとの面談後は総統閣下のカリスマに当てられ御無理御尤もな指令も唯々諾々として拝領してしまっていたそうです。
> “奇跡のヤン”なんですし個人のカリスマ乃至虚名は割と馬鹿にできません。

この当時まだ奇跡のヤンでもなんでもありません。
エル・ファシルの英雄でしかないのです。
確かにヒトラーは素人ゆえ頓珍漢な命令を出すこともありましたが、
たいていはまともな命令、少なくとも完全に間違った命令を
出したことはほとんどなかったはずですが。
ただ単に守旧派の将軍が素人と悪口を言っているだけであったのでは。

それに比べて今回の命令ははっきりと死んでこいと
いっているようなものです。旧日本兵じゃないんだから…

>  アスターテでは裏技で2階級特進してますよね。
>  ヤンにやや職務怠慢のきらいはありますが目に見える失態や失策がなければ人材不足の折でもありますし5年で3階級くらいはまあある話で
> しょう。

アスタ-テでは准将から少将へ一階級上がっただけです。
二階級上がったのはエルファシルですね。
この時は中尉から少佐なので問題は起きませんが、
高級軍人への昇進はかなり厳重に審査されます。
ポストの問題でイゼルローンに大将が二人いたこともありましたね。
まあありえない話というわけではないのですが、やっぱり
目に見える勲功無しでは出世できないでしょう。

>  おそらくリンチ少将もパエッタ中将同様ヤンと相性の良くない上司だったのではないですかね(見捨てて逃げられる位ですし)。
>  進言して相手にされなかった可能性はあるでしょう。
>  尤も当人も味方の命より自分の食い扶持を優先して「給料分の仕事はしたから後は黙った」可能性も高いですが(苦笑)。

> 「デスクワークに廻したヤン」というのはどう考えても生ゴミ以上の存在価値を見出せないのですが……(書類に居眠り中の涎のシミを量産するだけの)。

それでも人畜無害でしょう。他人の命を任せるよりはましです。

>  時代が変わってそうした方式の亜流が増えた、現在の判断でアラが目立つからと言って手のひらを返すのも私個人に限っては不義理かなと思うので思いつく限りでヤンおよび銀英伝世界を擁護している次第です。

まあ、作品の矛盾に突込みを入れないことはお約束というとこですね。

収録投稿41件目
board4 - No.1091

Re:ヤンを弁護…できるかな?(まとめてレス)

投稿者:涼
2001年10月29日(月) 08時59分

まとめてレスしますね。

> > イゼルローン奪取
> (S.Kさん)
> これについては「給料取りは辛い」で同情しますが。

たしかに、士官学校に入ってからこの方、ヤンは給料取りの
悲哀を味わっていたのかもしれません。
しかし、「今回のように5桁の艦隊戦に参加した事は無かったが」
とアスターテで述べられていますから、イゼルローン奪取計画
こそが、ヤンがはじめて国家の大方針に関わるかどうかの選択を
迫られた場面だったのです。しかも、その選択はヤンが自由に
YESとNOのどちらでも選べるものでした。

そこで彼が
> (クロイツェルさん)
> 本人的には「最後のご奉公」とやるつもりだった、と。
> 大功を立てれば辞められると思うあたり、軍組織をかなり甘く
> 見てますが、本人の思考の流れ的にはおかしくないですね。

なんて考えでOKするのは自殺行為でしょう。
「エル・ファシルの英雄」なんて持ち上げられている今の自分を
見れば、これ以上尋常ではない功績を立てればどうなるかくらい
分かりそうなものです。

「権力を握る事で自分が変わるかもしれない」という恐れを
持っており、しかも「君子は危うきに近寄りたくない」と
思ってる人が、なぜそのくらいの「権力を持たされる危険性」
に気づかなかったか理解不能ですよ。

「これで平和になる」と期待してたなら、
> > 計画立案してシトレにイゼルローン奪取をやらせる

これで良かったはずです。

ここで、
> (S.Kさん)
> 「コツ」とか「ひらめき」までは計画書に落とせないという懸念

イゼルローン奪取計画にヤンしか出来ないコツや閃きが
必要かどうかはわかりませんけど、その懸念があったと
しても、それならなおさらヤンが実行するのはヤバイんじゃ
ないでしょうか。

なぜかというと、
> (S.Kさん)
> やはり「最後は個人のセンス」という領域はあるのでしょう。

だからです。ヤンが自分で艦艇率いて動けば動くほど、他人
からすればそういう評価を与えるしかないではないですか。
それで成功したらますます「責任ある立場」に首まで浸かって
いくのは自明だと思うんですけど。

そこまで行ってしまったら、それから逃げるためには、まさに、
> (S.Kさん)
> 「義理を果たして、正にその為により不本意な境遇に追い込まれた」
> というのは多少は同情しますが(そうならないためにはどこかで
> 戦死して実は無能でしたと証明する他ないんですから)。

と仰るように、可哀想にも死ぬしかありませんよ。

仮に、他人に自分が立案した作戦をやらせて失敗したら、作戦
実行者やその部下が死ぬでしょうね。それは嫌だから自分で
実行して責任を取らなくてはならないと思ってイゼルローン作戦
を実行したとしたら、それはダブルスタンダードとすら言えるでしょう。
そういった点では「高官としての責任」を発揮しながら、
犠牲を最小限にするためには「高官としての責任」を発揮
しないんですから。

で、まあ、ヤンが思いっきり楽観的予測でイゼルローン奪取計画に
OKして泥沼にはまったとして、

> > イゼルローン奪取以後
> (S.Kさん)
> 「確かに全力は尽くしていなかったろう。

ヤンの高官としての行動は、「確かに全力は尽くしていなかった」
で済むレベルではないと思いますが。

救国軍事クーデターが勃発した時に「この私だって、もっと
責任の軽い立場にいれば、形勢の有利な方に味方しよう、と
思ったかもしれない」などと高官としての責任に従って行動
しながら、ヤンは高官としての責務である、「被害を最小限
に抑える」ための行動は全然してないのですよ。
これでは高官として片手落ちもいいところでしょう。

しかも、もし、
> (クロイツェルさん)
> 私は、ヤンが無責任だったというより、ヤンにあれ以上の
> 行動を取る能力そのものが欠けていたのだと思っています。
> はっきりいって、指揮官としてのヤンには、艦隊指揮官以上
> の職は不可能です。それ以上は、決断を迫られる範囲が大きく
> なりすぎ、彼の能力では十全な対応ができません。
> ヤンは「与えられた材料を上手に料理する」事は上手でも

このようにヤンにはそもそも能力が無いとしても、それは
「ヤンの思想的矛盾」「シビリアンコントロールの実態」
示されたように、彼の思想的・心理的理由によるものです。
「単なる戦術家ではなく戦略家」で「謀略をする才幹はあった」
のですから、本来の能力はただの艦隊司令官よりはるかに上と
言えるでしょう。

ですので、責任は周囲ではなく、大人になれないモラトリアム
青年ヤンの方にあります。彼は同盟軍部に多かった無能の人材
でもなく、フォークのように精神に病があったわけでもありません。
周囲が、シトレのように「君にも才能相応の苦労をしてもらわんと、
第一、不公平と言うものだ」と思うのは当然ではありませんか。

それなのに変わる気も無く、様々な事を予見しながら犠牲を最小限
に減らす努力もせず、「給料分の働きはした」などと言ってる
ヤンは無責任の極みと非難されても仕方ありますまい。

さらに、どうしても変わる気が無いなら、
> (S.Kさん)“滅私奉公”
> まで本人の自発的意図によらず強要していいものだろうか」

> (クロイツェルさん)
> 「一から献立を組み、客を満足させる」事はできないタイプ
> だと思います。そんな彼が、いちから献立を組まねばならない
> 立場に追い込まれたわけですから、そりゃあ献立の中身が
> 保守的になってもおかしくはないと思いますが、どうでしょう?

そもそも、「民主主義の擁護」なんて分不相応なことをする
のが間違っており、無責任の極みでしょう。しかも、これは
ヤンが自ら選んだ滅私奉公です。私心では一日中ゴロゴロ
していたいのですから。

それなのに、その「民主主義の擁護」のために有効な策は取らず、
犠牲を無意味に増やしているのでは、そんなヤンに巻きこまれた
ヤン艦隊や旧同盟や帝国の人々こそいい迷惑で、「疫病神」と
思われても仕方ないと思いますが?

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board4 - No.1094

Re:いかに帝国を乗っ取るか

投稿者:lulu
2001年10月29日(月) 13時08分

> そうそう何度も繰り返されるとは思ってなかったんじゃない
> でしょうか。どう見てもヤンが生き延びたのはラインハルト
> が病気で撤退したっていう運がカギですし。

このことでもだいぶ一般兵から皇帝への信頼感が薄れたでしょうね。
皇帝への信頼感というのは、未だラインハルト個人の武勇によって
支えられた、危なっかしいものですから。

> そういえば、シルヴァーベルヒに代表されるテクノクラート
> たちは、カール・ブラッケのような開明派の政治家とあわせて
> トリューニヒトにとっては上手く利用できそうですね。
> 初期の帝国は明らかに軍部中心型の政治ですから、それに
> 対する反発が↑の発言なのでしょうし。実は軍以外はすでに
> ある程度の人脈を作っていた?

旧地球教勢力が影響力を持っていたのは旧支配層です。
ラインハルトが権力を握り、新進の人間が多く登用される中、
それは力を失い、それらを基盤とした政治力を振るうことは
難しくなっていったでしょう。とるべき手段として、
新規の人間の中に多くの部下を引き入れることがあります。
作品中にトリューニヒトが帝国内に人脈を作り始めていたことが
示唆されていましたので、そう言った新旧支配層にまたがる
人脈がすでにある程度存在していたのではないかと考えられます。

> さすがにミッターマイヤーあたりが政治家に転身してきたら、
> トリューニヒトにとっては強力な政敵になりますね。
> しかもトリューニヒトより15歳は若いですし。先に立憲君主制
> の行政最高位に就かれたら、相手が死ぬのを待つのすら無理っぽい。
> 同盟時代にしただろう、「ヤンが政治家に転身したら」という予測
> を思い出すだけで、トリューニヒトには十分過ぎるくらいその危険
> はわかるでしょうし。

トップの人間が十分若く、しばらく引退することがないのならば、
その下で働く人間のモチベーションは大幅に低下するものと
考えられます。出世の望みが薄いのですから。
それはトリューニヒト一人に限ったことではありません。
彼らをその地位から引き摺り下ろしたいという陰謀を企んだり
それを心情的に望む声は次第に大きくなるものと考えられます。
それを自らの勢力伸張の土壌に使えるかもしれませんね。

> そこまで予想して有能な司令官たちを全員軍隊内で飼い殺しに
> するためにわざとヤンを生かしておいたのだとしたら、
> トリューニヒトの政略への見識は言葉が出ない程の凄さです。

いやこれは偶然の結果でトリューニヒトの演出ではないでしょう。

> すでにテクノクラートやカール・ブラッケのような文官と、
> 七元帥を筆頭にする武官の軋みが聞こえてきそうです。
> 文官派の最高実力者シルヴァーベルヒは暗殺されましたが、
> 逆にいえば自分たちの期待の星を失った事で文官たちの
> 武官への対立感情は強まるかもしれません。
> 併合したフェザーンや同盟の反帝国感情もありますし。
> 立憲君主制というアイディアに賛同した帝国のトリューニヒト
> 閥メンバーや、経済支配を目指したルビンスキー閥の中から、
> 次の野心家が生まれてくるかも。

上で書いたように、武官の時代が終わって文官の時代が来ると
思っていた人間にとって、ミッターマイヤーの政治家への
転身はかなりの反発をもたらすと考えられます。

> 急速に膨張した大帝国の2代目というのは、たいていは先代が
> 未整備のまま放置した内政システムを構築するのに忙殺され
> ますが、アレク皇太子やヒルダはそれができるかなぁ…

考えてみればトリューニヒトもルビンスキーもいないですが、
ラインハルトの旧臣側にもそれに匹敵する人間がいません。
唯一対抗できそうなオーベルシュタインも死んでしまいましたし、
リヒターやブラッケでは少々役者不足です。
所詮は開明派貴族と言うだけで、経済専門家というわけでは
ないでしょう。ルビンスキー以外のフェザーンの専門家に
好い様にされてしまうだけのような気がしてきました。

> やはり、複雑怪奇なパワーポリティックスを操って様々な
> 利益集団を纏め上げる事が出来るトリューニヒトの能力が
> 失われたのは、かなり痛かったかもしれませんね。

ここで帝国の金融制度に関しての疑問が出てきます。
まず、帝国の基本的な経済システムがフェザーン成立前に
確立していたことに留意する必要があります。
そして経済のシステムチェンジは帝国の根幹を揺るがしかねません。
従って、フェザーン成立以後も大幅な変更はなかったでしょう。

まず帝国が近代的な金融制度の整った国家であったとします。
幾ら、後にフェザーンが経済分野において大きな力を持つことに
なったにせよ、 帝国独自の金融政策がなかったはずがありません。
帝国中央銀行が銀行券を発行し、市中銀行への融資を行い、
通貨、および経済市場の安定を図っていたはずです。
フェザーン成立以後でもユーロ、円、ドルの3通貨しかないような
世界ですが、 現実に交易が行われている以上、為替取引きや
株式の売買は 両国にまたがって行われていたことでしょう。
しかしその場合、貴族が多くの資産を独占し、経済界の発言力が皆無
という帝国の貴族政治の状況が説明できなくなります。

次に帝国が実際の中世の国家のごとく、主要な惑星以外は
農奴制がしかれているとしたらどうでしょう。
これもまたありえない話です。まず経済活動のできる市場が
発展しません。植民地をどんどん広げて「拡大するパイ」の上に
成立していた中期からの中世経済へは、銀河帝国には海外の豊かな
市場 が存在しないために、その段階へと進むことができません。
中世初期の収奪経済を続ける限り、同盟との戦争などという
巨大な消費活動を行えば、早急に経済が破綻します。
農奴の統制では、銀河帝国の星間国家であるという特殊性を考えても、
惑星から脱走は 難しいかもしれませんが、各惑星内に隠れ里を作り
隠れる、又は隠し田を作り生産を過小に報告するなどの余裕は
あるでしょうし、地方領主の中央への不服従も進むことでしょう。
この結果中央集権態勢の確立は難しくなります。
交易による富の独占、地方領主の勢力の衰退、これが絶対王政の
成立の条件です。銀河帝国が連邦の遺産を基に作られた点を加味して
元々の連邦にここまで強い中央集権態勢があったかどうかも疑問です。だいたいこの制度では通貨が意味を持ちません。それを使う人間が
いないですから。

ルドルフの作った経済システムとは一体どのようなものだったので
しょうか。貴族制であり、共和制へと進むことなく、巨大国家を
維持することのできる経済システム。

ナポレオン時代のごとく、金融制度の整った中世国家が、
拡大するパイの上以外に成立する可能性、しかもそれが近代的な
発展を妨げられたままで、というのはとても思いつきません。
銀河帝国成立から100年もしないうちに革命が起きて
再び連邦復活と言ったことになりそうな気がするのですが。

収録投稿43件目
board4 - No.1099

ヤンを弁護…だいぶ苦しくなってきた

投稿者:クロイツェル
2001年10月30日(火) 02時37分

> 「権力を握る事で自分が変わるかもしれない」という恐れを
> 持っており、しかも「君子は危うきに近寄りたくない」と
> 思ってる人が、なぜそのくらいの「権力を持たされる危険性」
> に気づかなかったか理解不能ですよ。

 これはもう、ヤンが「お馬鹿さん」だったとしか思えませんね(苦笑)。先にも書いた通り、ヤンは軍組織を甘く見すぎていたのでしょう。同盟内部に関しては、ヤンは異常な程の理念主義者ですから、自身の「職業選択の自由」が無視されるなどとは考えなかったのかもしれません。ま、どちらにしても、彼は自分の甘さのつけを支払う羽目になった訳です。

> 「これで平和になる」と期待してたなら、
> > > 計画立案してシトレにイゼルローン奪取をやらせる
>
> これで良かったはずです。

 まあ、あの場合はイゼルローン攻略の命を受けたのはヤンな訳ですから、それをシトレに返すのは不可能だったでしょう。その前に計画立案しなかったのは、彼の愚かさゆえでしょうね。やらせればなんでもやれるけど、自分からはやろうとしない。全く、困った御仁です。

> ですので、責任は周囲ではなく、大人になれないモラトリアム
> 青年ヤンの方にあります。彼は同盟軍部に多かった無能の人材
> でもなく、フォークのように精神に病があったわけでもありません。

 しかし、「大人になれないモラトリアム青年」というのは、十分指揮官失格の判断材料になると思いますけどねえ。指揮官なんて要職は、才能だけでできるような甘い物じゃありませんし。
 ヤンが責任を果さなかったのは事実ですし、それについて弁護する気は毛頭ありません。が、責任を果たせない人間をそうと判断できずに高級指揮官にしてしまった同盟高官の責任も、やはりある様な気もしますね。
 イゼルローンからアムリッツァまでの彼を見てそう判断するのが難しくとも、クーデター時のいいかげんさを見れば、適性不足は明らかです。少なくとも、彼を参謀部に配置転換するぐらいの事なら、アムリッツァ以降でも不可能じゃない筈でしたが。

 もっとも、あのアンドリュー・フォークを事前に排斥できなかった彼等にそれを期待する方が、間違っているのかもしれませんが。

> さらに、どうしても変わる気が無いなら、
> そもそも、「民主主義の擁護」なんて分不相応なことをする
> のが間違っており、無責任の極みでしょう。しかも、これは
> ヤンが自ら選んだ滅私奉公です。私心では一日中ゴロゴロ
> していたいのですから。

 まあ、この辺についてはおっしゃられる通りですね。ただ、ヤン自身が変わる必要性を認識していなかった以上、「変わろうともせず」なのは当然だと思うのですが。むしろ、いつまでたっても変わろうとしないヤンに対し、シェーンコップやキャゼルヌがなぜついていったか、の方が不思議なくらいです。

> それなのに、その「民主主義の擁護」のために有効な策は取らず、
> 犠牲を無意味に増やしているのでは、そんなヤンに巻きこまれた
> ヤン艦隊や旧同盟や帝国の人々こそいい迷惑で、「疫病神」と
> 思われても仕方ないと思いますが?

 ヤン艦隊の兵士にとって、ヤンが疫病神か?と言われるとちょっと違う様な気がします。
 作戦などにタッチできない兵士にしてみれば、自分が参加しなければならない戦闘で生き延びる確率をもっとも高めてくれる指揮官として、ヤンは理想だった筈ですから。確かにヤンが真面目にやっていれば、彼らが参加しなければならない戦闘の数は減ったでしょうが、そんなことは一回の兵士にわかる筈もありませんし。
 むしろ彼を疫病神と思わなければいけなかったのは、彼の無責任さのせいで仕事が増える羽目になった軍高官達ですからね。嗜好の方向が違ったとはいえ、彼を厄介物として諮問会まで行った政府高官のほうが、この点では正しかったとさえいえましょう(笑)。

 結論としては、「ヤンは高級指揮官として不適当な人物であり、彼が末期の同盟の軍事、及びぞの後の同盟残党の指揮をとっていたがゆえに、銀河には不要な血が流れる結果となった。しかし、これは彼のみの責任ではなく、彼を重用した軍幹部や、彼を制することのなかった側近達にも大いに責任がある所である。同盟は、自らの愚かさによって敗れたのだ」てなところでしょうか。

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