こんにちは。なかなか、ここに書く踏ん切りがつかなかったのですが、自分なりに言いたいこともまとまってきたので少し書いてみます。
田中芳樹が、いわゆる左翼系の知識人に分類されえることができ、国家より個人の利益を優先し、思想を組み立てており、それが作品に反映されていることは事実です。創竜伝の社会考察は間違いが多いので、そのれいとしては、ヤン・ウェンリー(楊文立をこう読むらしい)の、民主主義の思想と、民主主義国家としての同盟の存在が分断し得る思想が好例でしょう。
これは、一面の真理でもあるわけです。民主主義を補償するのが国家であるという考えも、国家はあくまで民主主義の実現のための一形態に過ぎないという思想もベクトルが違うだけである程度の説得力を有します。
私は、それなりに田中芳樹が好きです。このホームページを見ている人も、ちょっと斜めに見たファンサイトとしてここをとらえている人も多いはずです。
田中芳樹を創竜伝で撃つのは、簡単です。が、それ以外たとえば、最近出たアルスラーン戦記などにたいする批評が無いのが残念なのですが。私はけっこう楽しめたのですが。まとまりませんでしたね。
見学者さん、いらっしゃい。優馬と言います。
アルスラーンについてですが、こういう「架空歴史譚」を語らせると田中芳樹はやっぱり一流だと思いますよ。なにより、登場人物に「カッコイイ台詞」を言わせるために適当にエピソードでっち上げても、誰も文句を言いませんから。いやぁ安心して読める読める。
前にも書いたんですけれども、田中芳樹の架空歴史譚というのは、歴史物語の「美味しいとこ取り」なんですよね。登場人物がみんな格好良くて、バンバン気の利いたことを言ってくれ、ガンガンカッコイイこと(ワルでも印象深ければよし!)してくれますからね。
ただそれと同じ手法で「現代」を描いたら、そりゃ苦情が来ますって。
「創竜伝」というのは、特に社会評論の部分が、多少社会経験のある大人にはイタくてイタくてとても読むに耐えないものです。(ついでに言うと物語構成も相当に破綻していることは、当サイトで繰り返し指摘されていることです。)
それでも何とか読者を獲得しているのは、キャラクターづくりとその絡ませ方(竜堂家漫才)が面白いから。結局、ユーモア感覚だけでベストセラーにしちゃってるわけですから、これはある意味すごいかも。
> 私は、それなりに田中芳樹が好きです。このホームページを見ている人も、ちょっと斜めに見たファンサイトとしてここをとらえている人も多いはずです。
私の場合は、まあ当たっていますな。田中芳樹さん、個人的にはいい人だって知ってますし。だから、「愛のある批評」(<げろげろ)というのが私のスタンスです(笑)。
ところで、「同盟の民主主義」云々の部分、いささか理解しにくかったのですが。よろしかったらもう少し説明してください。
> こんにちは。なかなか、ここに書く踏ん切りがつかなかったのですが、自分なりに言いたいこともまとまってきたので少し書いてみます。
こんにちは、そしていらっしゃいませ、見学者さん。わたしは恵と申します(^-^)。
> 私は、それなりに田中芳樹が好きです。このホームページを見ている人も、ちょっと斜めに見たファンサイトとしてここをとらえている人も多いはずです。
そうですね。ここに来られる方は、田中作品の元ファンか、現役のファンが多いのは事実です。(わたしは一応、現役のファンのつもりなんですけど(^-^;)ここは、そういった人々が「こうしたらもっと田中氏の作品が良くなるのに」を遊びを交えつつ、論理的な議論を目指して意見交換している場だと、わたしは思っています。
> 田中芳樹を創竜伝で撃つのは、簡単です。が、それ以外たとえば、最近出たアルスラーン戦記などにたいする批評が無いのが残念なのですが。私はけっこう楽しめたのですが。まとまりませんでしたね。
最新刊が出たときには、ちゃんと何人かの方々が批評されていましたよ?そして、トップページから行ける「私の創竜伝考察シリーズ」でもアルスラーン戦記に関するログが残っています。まだご覧になってないのなら、どうぞ読んでみてくださいまし♪
アルスラーン戦記は、わたしが一番最初に田中作品に触れた作品でした。わたし自身は、ここで話題にしたことはありませんが、もしかすると田中作品の中で一番好きな作品かもしれません。文体も純粋に「物語」であることに徹していますし(創竜伝とは大違い)、個々のキャラクターたちの魅力、会戦シーンの臨場感、そして天野喜孝氏のヴィジュアルと一緒に織りなす独特の中世の世界観など、わたしはかな~り大好きです♪(個人的には、ちょっとナルサス頭良すぎ、という気もしますけどね(^-^;)
で、なぜこの掲示板では、アルスラーンやタイタニア等の良質の作品があまり話題にならないかというと答えは簡単で、ここが「批判サイト」だからです。誤解していただきたくないのですが、ここに書き込む人々は単純に田中氏の悪口を言いたいわけではありません。論理的・建設的に批判することで「田中作品がより良くなってほしい」という想いの人が圧倒的に多いはずです。つまり、批判の対象になるのは自然と創竜伝をはじめとする思想や社会評論等の「それはちょっと…」という部分が多い作品になるのです。
わたしはむしろ、この掲示板の人々が手当たり次第に批判しているわけではないことを知ったとき、その健全さに感銘を覚えたくらいでした。
最後に。優馬さんもおっしゃっていましたが、創竜伝を批判する例として銀英伝の民主主義を挙げておられる部分、わたしもちょっと意味と話のつながりがわかりにくかったです。よろしければ、またわかりやすく教えていただけると幸いです。
ではでは☆
どうもはじめまして、太郎と申します。
まあ「アルスラーン戦記」に対して、「創竜伝」に対するのと同様な「批判」をしろと言われても難しいのではと思います。ちょっと展開が「ご都合主義」に過ぎる感じはありますが、それも好き嫌いの範疇に入るものであるかと思います。
ある意味「創竜伝」、恐るべし。
でもまあ、「アルスラーン戦記」には、以前からちょっと気になっていることがあるので、それについて述べさせていただきたいと思います。
それは何についてかと言いますと、「蛇王ザッハーク」の存在についてです。
基本的に田中芳樹氏の作品の世界観は「近代合理主義」が根底にあります。(はたして「近代合理主義」というタームがふさわしいのか、あまり詳しくないのでちょっと自信がありませんが。)
それは、例えば、宗教への軽視ということにも現れております。(井沢元彦氏ではないけど。)
例えば作品中にあらわれる宗教にかかわる人々は、「狂信者」か「自分で物を考えようとしない素朴な庶民」か、さもなくば「宗教組織を単に道具として使う者」としか描かれていません。
人間の生きる意味を求めて、あるいは主題として宗教と(あるいは「神」と)対峙しているキャラクターはいないように見受けられます。(私も全部の作品を読んでいるわけではありませんので、見落としてるものもあるかもしれません。また、人生の主題として宗教と対峙することは、自己の確立ということである意味近代的テーマと言えると思いますが、少なくとも田中芳樹氏はそういったテーマでは描いてません。宗教と近代合理主義を切り離して考えていると思います。)
しかし、それはそれでよいのです。まあ「アルスラーン戦記」は舞台が舞台だけにもうちょっと行動原理に宗教が結びついていてもいいかと思うのですが、それはそれで仕方がないと思います。まったく描かれてないわけでもないし。
ただ、そこに「蛇王ザッハーク」が絡んでくると話は違ってくるのです。
例えばヒロイック・ファンタジーに登場する「神」(あるいは「悪魔」)はその世界観と密接な関係があり、その世界を構成する非常に重要な位置を占めております。(私のファンタジー観が偏っているのかもしれませんが。)
しかし「アルスラーン戦記」において「蛇王ザッハーク」がそのような存在だとは、ちょっと思えません。今のところあまり前面に出ていないだけで、後々「蛇王ザッハーク」の存在が、「近代合理主義」の価値観を根底から覆す、あるいは同じような重みを有する別の価値観を提示するような存在になる可能性もあるので、決め付けることはできませんが。ただ「涼子」シリーズ等を読む限り、田中芳樹氏の世界観では、今のままだと単に「強い獣」で終わってしまう可能性が大きいと思います。
もっとも「強い獣」を退治するという「妖怪退治譚」は「妖怪退治譚」で面白いものがあると思いますが、「アルスラーン戦記」のテーマとはちょっと違うのではないかと思います。
結局「蛇王ザッハーク」の存在は「アルスラーン戦記」の世界観からは非常に浮いたものになると私は感じるのですが、どうでしょうか?
まあ、ちょっと「思います」というのが多いので、あまり理論的な批判となっていないことは承知しておりますが、「叩き台」にでもなればどうかと思い書き込んでみることにします。それに耐えられず「叩かれ台」にしかならない可能性も大。(笑)
まあいずれにしろこれに対してご意見を頂ければありがたいと思います。
では。
太郎さん、いらっしゃい。優馬です。
> 結局「蛇王ザッハーク」の存在は「アルスラーン戦記」の世界観からは非常に浮いたものになると私は感じるのですが、どうでしょうか?
そうなんですよね~。ザッハークの狂信者を出してさんざん大仰な言葉で崇拝させてるわりに、実際に出てくるモンスター弱いし。
> 今のままだと単に「強い獣」で終わってしまう可能性が大きいと思います。
私もそう思います。アルスラーン普通に読んでいると「蛇王ザッハーク」って全然怖くないですもん。
これって、田中芳樹の「へなちょこ」さが端的に出ているところなんですよね。田中さんってば、すごい「いい人」なんですけど、(逆にそれだから)人間の邪悪さとか、生理的に気持ち悪い悪辣さとかが全然描けない。色っぽい女性が描けない、というのとも通底しておりますが。その結果として作品世界がたいへん合理的です。ただしこれは「子どもの合理性」ですな。どろどろした愛憎うずまく「大人の世界」から逃避しているわけなので。
良い例が「創竜伝」1巻の悪玉船津忠厳で、彼の怪物性を描くのに「ウイスキーに唾を吐いて部下に飲ませる」という、なんか情けない表現しか出来ないんですね。爺いの唾飲むのは十分にイヤではありますが、怖くはないぞ。そうやって苦労して立てた「不愉快系」キャラも一巻しか持たなかったものなー。船津老、アッサリ「竜種の血の暴走」で死ぬ。このあっけなさに「えー、ウソ!」と思ったのは私だけではないと信じます。創竜伝って主人公達が強すぎるから、「竜種の血を飲んだ半竜種」である船津のオッサンとかは、彼らに対抗しうる「軸」として残しておくべきキャラたったんですが。私としては、「バビル二世vsヨミ」(<古い!)的な「宿命のライバル」構造にした方が、物語の構造はなんぼか安定したであろうと思います。案の定、二巻以降「敵」の造形がうまくできなくて、物語が迷走しちゃってますから。
まぁアルスラーンにおいてザッハークてぇのは「敵モンスター製造マシン」でしょうなぁ。アルスラーンたちに苦労させて話を盛り上げるための道具。とりあえず、どんなご都合主義的展開も許容しますしね。
ほんと、田中芳樹って「安心して読める」んですよ。気持ちの悪くなるような残虐描写、不愉快な心理描写、後味の悪いブラックユーモア、・・この手の表現は、本能的に排除されてますから。だから絶対に「文学」ではないです。でも、個人的には、この「春風駘蕩さ」が決して嫌いではないんですよー。
優馬さん、レスが遅れてすいません。
> 気持ちの悪くなるような残虐描写、不愉快な心理描写、後味の悪いブラックユーモア、・・この手の表現は、本能的に排除されてますから。だから絶対に「文学」ではないです。
> でも、個人的には、この「春風駘蕩さ」が決して嫌いではないんですよー。
まあ、私もあまり残虐な描写は気分が悪くなるおこちゃま(笑)なので同感です。
> まぁアルスラーンにおいてザッハークてぇのは「敵モンスター製造マシン」でしょうなぁ。アルスラーンたちに苦労させて話を盛り上げるための道具。
結局、これに尽きてしまうのでしょうか・・・
まあ、妖怪退治譚は妖怪退治譚で面白いと思いますし、
例えば田中芳樹氏の著作の中でも、「黒竜の城」や「長安妖月記」などはそれなりに面白いのではと思います。
田中芳樹氏も妖異譚自体は結構好きみたいですし。
ただ、「アルスラーン戦記」のような大河(?)小説の場合、決してふさわしい題材ではないのではないでしょうか?
これが延々と築き上げてきた世界観を根底から覆すような存在、あるいはその世界観と同じくらいの重みをもって対峙する存在ならばともかく、単に「強い獣」でしかないのでは、むしろ邪魔なのではと思ってしまうんですよね。
これが外伝とかであれば別なんですけどね。
どうも、あまり書きこむ時間がないので手短に。
みなさんレスありがとうございます。ナンバー979の優馬さんの意見は私とよくにています。確かに、彼は、理想家だから、現実の話を書いたらむじゅうしますわな。いろいろかきたいのですが。この話題は後で。
言葉が足りなかったらしく、みなさんの疑問を買った下についてです。
> 田中芳樹が、いわゆる左翼系の知識人に分類されえることができ、国家より個人の利益を優先し、思想を組み立てており、それが作品に反映されていることは事実です。創竜伝の社会考察は間違いが多いので、そのれいとしては、ヤン・ウェンリー(楊文立をこう読むらしい)の、民主主義の思想と、民主主義国家としての同盟の存在が分断し得る思想が好例でしょう。
> これは、一面の真理でもあるわけです。民主主義を補償するのが国家であるという考えも、国家はあくまで民主主義の実現のための一形態に過ぎないという思想もベクトルが違うだけである程度の説得力を有します。
>
これは、ホームページの田中芳樹の左翼思想批判のとき、救国軍事会議との戦闘の際のヤンのセリフ、同盟を見捨てて独自の民主主義勢力を打ちたてようとするヤンの行動が、田中氏の思想の現実性のなさに対する批判として挙げられていたのをみて。それは違うんでないかいなと思って徒然なるままに書いてみたものです。文意は見たそのままです。思想を現実に適応するには国家システムが必要ですが、思想の継承には国家は必ずしも必須ではない。それは、民主主義思想の発展をみれば自明ではないかといいたかったのです。時間がないので詳しくは後で。
優馬です。太郎さん、お返事ありがとね。
> ただ、「アルスラーン戦記」のような大河(?)小説の場合、決してふさわしい題材ではないのではないでしょうか?
>
> これが延々と築き上げてきた世界観を根底から覆すような存在、あるいはその世界観と同じくらいの重みをもって対峙する存在ならばともかく、単に「強い獣」でしかないのでは、むしろ邪魔なのではと思ってしまうんですよね。
> これが外伝とかであれば別なんですけどね。
いやあ同感です。アルスラーンでは諸外国の侵略は至ってシリアスに描かれ、まこと「大河小説(?)」の趣きがあるのですが、ザッハークの描き方はまるでマンガ(<こんなこというとマンガに失礼ですな)、極めて迫力不足です。
だいたいこの手の暗黒大魔王の類いの連中は「わけがわからん」(正体不明、意図不明)からコワイのであって、描写すればするほどコワクなくなるものです。(クトゥルー神話が怖いのは、「人間に理解不能」のところだと思います。)まして、健全ジョブナイル作家の田中芳樹先生、ついつい魔物の類いも明朗に(?)描写してしまいます。全然不気味描写になっていません。説明可能な邪神、というのはコワクないなぁ。ホラー小説は、恋愛小説とともに、御大が手を出してはイカン分野なのだなぁとしみじみと思いますねぇ。
表現されたビジュアルも、正直センスがありません。
巨体はまだしも、両肩からヘビがにょろにょろしてるだけじゃ、ねぇ。
その姿を見たルシタニア兵士が、白髪で再起不能になるほどのものとはどうにも。
>ホラー小説は、恋愛小説とともに、御大が手を出してはイカン分野なのだなぁとしみじみと思いますねぇ。
まったく同感です(^-^;)。
ただ、「夏の魔術」や「夢幻都市」の頃のホラー作品は、それなりにドキドキして読めたと思うんですけどね。でも、夏の魔術シリーズも新しくなるほど「怖い」と思える雰囲気が薄まり、ホラーというよりもいつの間にか、耕平と来夢の魔術師(&妖怪)退治物語に変わっちゃってますもんね(^-^;)。
てんてんdwpです。
> これは、ホームページの田中芳樹の左翼思想批判のとき、救国軍事会議との戦闘の際のヤンのセリフ、同盟を見捨てて独自の民主主義勢力を打ちたてようとするヤンの行動が、田中氏の思想の現実性のなさに対する批判として挙げられていたのをみて。それは違うんでないかいなと思って徒然なるままに書いてみたものです。文意は見たそのままです。思想を現実に適応するには国家システムが必要ですが、思想の継承には国家は必ずしも必須ではない。それは、民主主義思想の発展をみれば自明ではないかといいたかったのです。時間がないので詳しくは後で。
えーと、思想だけを継承してそれで何ができるかというのは別物だし、現実として思想だけ継承することが可能かといえばそれは不可能ですよ。
例えば北朝鮮に民主主義が残らなかったというのが反証として挙げられます。国家がその気になれば思想を消滅させることも不可能ではないんです。
それ以外にもソ連の崩壊によってマルクス=レーニン主義というのが絶滅しかかりましたよね。国家として崩壊すればその思想は「間違った思想」とみなされ、消える可能性が高いんですよ。
そもそも銀英伝の同盟の成立からして帝国から「逃げる」ことで国家を作ったじゃないですか。帝国内のレジスタンスとしてではなくて。国家なき思想というものがいかに弱いものなのか田中芳樹氏が自ら示しています。
てんてん dance with penguin
どうも。
> > これは、ホームページの田中芳樹の左翼思想批判のとき、救国軍事会議との戦闘の際のヤンのセリフ、同盟を見捨てて独自の民主主義勢力を打ちたてようとするヤンの行動が、田中氏の思想の現実性のなさに対する批判として挙げられていたのをみて。それは違うんでないかいなと思って徒然なるままに書いてみたものです。文意は見たそのままです。思想を現実に適応するには国家システムが必要ですが、思想の継承には国家は必ずしも必須ではない。それは、民主主義思想の発展をみれば自明ではないかといいたかったのです。時間がないので詳しくは後で。
> えーと、思想だけを継承してそれで何ができるかというのは別物だし、現実として思想だけ継承することが可能かといえばそれは不可能ですよ。
> 例えば北朝鮮に民主主義が残らなかったというのが反証として挙げられます。国家がその気になれば思想を消滅させることも不可能ではないんです。
別に、私は、北朝鮮のスパイではありませんので、北朝鮮内部が一体どのようになっているかはまったく分かりません。だから、北朝鮮で民主主義が残っているかどうかは論じようがないように思えるのですが。国家が、本気になると思想が消滅させるのは不可能ではありませんが、実際消滅した思想は創アはありません。ガリレオだってキリスト教だって弾圧されましたが生き残りました。もちろん、銀英伝みたいな宇宙を統一した大帝国と一緒にしてはいけませんが。ルドルフも民主主義勢力を絶滅できなかったと設定されている銀英伝の世界で、思想の永続性を信じてもいいような気がします。というか、ヤンに取れる道は、自分が独裁者に民主主義国家もどきを存続させるか、思想の永遠性に書けるしかなかったのでは無いかと思うのですよ。
> それ以外にもソ連の崩壊によってマルクス=レーニン主義というのが絶滅しかかりましたよね。国家として崩壊すればその思想は「間違った思想」とみなされ、消える可能性が高いんですよ。
思想が否定され、それを支持実践する人が少なくなるのと、思想そのものがなくなることとは別のような気がしますが。最低でも、世界史に、マルクス主義というかつて世界を二分した思想があったことを知らない人は少ないでしょう。
> そもそも銀英伝の同盟の成立からして帝国から「逃げる」ことで国家を作ったじゃないですか。帝国内のレジスタンスとしてではなくて。国家なき思想というものがいかに弱いものなのか田中芳樹氏が自ら示しています。
たしかに、国家の保証無き思想は弱いです。しかし、逃げられる程度の実行力と組織力を有する集団が、専制国家である帝国内に弾圧のなか、存在していたという設定があることも事実です。
そういう設定の元なら、ヤンが宇宙の片隅にでも、民主主義思想を残した政体を存続させよう(ローエングラム王朝がふと気がついたら、イゼルローン無き今あっさりつぶされる)とした意味が燃えてくると思うのですが。
ザッハークですが。別にこれが無くてもアル戦の完成度は下がらないわけです。まだ、ザッハークは活躍してないのでわかりませんが、銀英伝の地球教徒程度だったら確かに残念です。
なにか意味があってだしたと信じたいところですが。ペルシャ神話を出してみたというだけかもしれません。
てんてんdwpです。
> 別に、私は、北朝鮮のスパイではありませんので、北朝鮮内部が一体どのようになっているかはまったく分かりません。だから、北朝鮮で民主主義が残っているかどうかは論じようがないように思えるのですが。
それはそのとおりですね。失礼しました。
>国家が、本気になると思想が消滅させるのは不可能ではありませんが、実際消滅した思想は創アはありません。ガリレオだってキリスト教だって弾圧されましたが生き残りました。
すみません、創アは何の略でしょうか?ちなみにガリレオというのは地動説のことですか?であるなら私の記憶では一度絶滅していますよ。記録だけ残って。のちにコペルニクスが科学的な証明をしたことで逆転するまで。そして今度は逆説的ですが、天動説は消えましたね?あれも思想なんですが。
何故島原の乱の死者がキリスト教によって殉死として認められないか知ってますか?ほんの数年の鎖国で日本のキリスト教はキリスト教もどきに変わっていたからです。つまり、彼らが信じていたキリスト教は亜流キリスト教みたいなもので、実際のキリスト教は死滅していた、という証拠です。民主主義が弾圧される世界において民主主義の思想が残るか?という例としてあげられるなら、私の答えは「民主主義とは異なる民主主義のようなものなら残るかもしれない」という答えを返します。
>ルドルフも民主主義勢力を絶滅できなかったと設定されている銀英伝の世界で、思想の永続性を信じてもいいような気がします。
ルドルフの時代はまだ出来なかった、だから逃亡させられた、とみるべきだと思います。実際、銀英伝中で帝国内で同盟に思想的な理由から亡命した人もいませんし、帝国内部で民主主義運動をして捕まった政治犯くらいいてもよさそうなのに、それもいない。小説としてはそのほうがドラマチックなんですけどね。つまり絶滅したとみていいでしょう。
>というか、ヤンに取れる道は、自分が独裁者に民主主義国家もどきを存続させるか、思想の永遠性に書けるしかなかったのでは無いかと思うのですよ。
上記より、思想の永遠性は途中で性質が変化して別物になるだけでしょう。
> 思想が否定され、それを支持実践する人が少なくなるのと、思想そのものがなくなることとは別のような気がしますが。最低でも、世界史に、マルクス主義というかつて世界を二分した思想があったことを知らない人は少ないでしょう。
ではその中にマルクス主義について説明できる人がどのくらいいますか?
ああ、そんな思想があったなぁ、で終わりです。世界を二分した思想なのに。
> たしかに、国家の保証無き思想は弱いです。しかし、逃げられる程度の実行力と組織力を有する集団が、専制国家である帝国内に弾圧のなか、存在していたという設定があることも事実です。
そして時と共に不可能になった。まさしく国家が思想を死滅させたわけです。
> そういう設定の元なら、ヤンが宇宙の片隅にでも、民主主義思想を残した政体を存続させよう(ローエングラム王朝がふと気がついたら、イゼルローン無き今あっさりつぶされる)とした意味が燃えてくると思うのですが。
政体とは国家の統治形態のことです。つまり国家なくして政体はありえません。
ところで、もともとの話は「思想の継承には国家は必ずしも必須ではない」だったはずなんですが、いつのまにか「宇宙の片隅に民主主義思想を残した政体(国家)を存続」に変わっていますね。であれば、私には異論はないです。
それはつまり「国家なくして思想はありえない」ことですから。
てんてん dance with penguin
S.Inoueです。今晩は。
ゴミ撒きに近い、重箱の隅穿り返し(ほじくりかえし)をお許し下さい。
> すみません、創アは何の略でしょうか?
単なる入力ミスで、「創アは」は「そうは」と書きたかったんでしょう。
> ルドルフの時代はまだ出来なかった、だから逃亡させられた、とみるべきだと思います。実際、銀英伝中で帝国内で同盟に思想的な理由から亡命した人もいませんし
1~10巻には出てきませんでしたが、外伝(螺旋迷宮だったか?うろ覚え)には過去にいた人物として出て来ます。
名前を忘れた・・・・
確か、帝国内に同盟に与するスパイ網を作った人です。
彼は後日同盟に亡命して同盟の中将待遇の軍属になったんだっけ?
>帝国内部で民主主義運動をして捕まった政治犯くらいいてもよさそうなのに、それもいない。
拙者が上に書いた過去の人は、政治犯たちが書いた発禁の書物を読んで影響を受けました。
(政治犯が直接お話に出演したわけではありませんが・・・・)
> それはつまり「国家なくして思想はありえない」ことですから。
拙者も国家がない思想は無だと思います。
<ちなみにガリレオというのは地動説のことですか?であるなら私の記憶では一度絶滅していますよ。記録だけ残って。のちにコペルニクスが科学的な証明をしたことで逆転するまで。そして今度は逆説的ですが、天動説は消えましたね?あれも思想なんですが。>
細かい事ですが、ガリレオとコペルニクスは逆じゃありませんか?確かコペルニクスはガリレオが生まれる前に既に死んでいたと思いましたが。
<実際、銀英伝中で帝国内で同盟に思想的な理由から亡命した人もいませんし>
S.Inoueさんも指摘なさっていますが、思想的な理由で亡命した人物なら過去にジークマイスター中将がいますし(外伝4巻)、彼以外に記述がないからといって他に思想的に亡命した人間がいないとは断言は出来ないのではないでしょうか。
てんてんdwpです。
> 単なる入力ミスで、「創アは」は「そうは」と書きたかったんでしょう。
ああ、なるほど。創竜伝関係の略号かと思いました(^^;
>
> 1~10巻には出てきませんでしたが、外伝(螺旋迷宮だったか?うろ覚え)には過去にいた人物として出て来ます。
それは知りませんでした。外伝読んでないし・・・。
てんてん dance with penguin
> 細かい事ですが、ガリレオとコペルニクスは逆じゃありませんか?確かコペルニクスはガリレオが生まれる前に既に死んでいたと思いましたが。
そのとおりでした。失礼しました。訂正します。
>彼以外に記述がないからといって他に思想的に亡命した人間がいないとは断言は出来ないのではないでしょうか。
そうですね、しかしそれ以前にそもそもリアリティのありなしに対して架空の世界における例を示しても説得力とはなりません(同様に反証にもそれはいえます)。ということでちょっとまとめなおします。
自己レスになってしまいますが、ちょっとまとめなおします。
> >国家が、本気になると思想が消滅させるのは不可能ではありませんが、実際消滅した思想は創アはありません。ガリレオだってキリスト教だって弾圧されましたが生き残りました。
消滅してしまった思想に関しては語ることはできないのでは?消滅してしまったのですから。ただし、国家の消滅と共にわからなくなったものはあります。例えばモアイ島、例えばマヤ、例えばアステカ。そんなところを出さなくてもピラミッドが何故建てられたかの本当の目的(これも思想ですね)はいまだに新説が出ている状態です。
思想が永久不滅なら伝わっているはずだし、世の中に不思議なんて一つも残らないはずなんですけれど、現実はそうではない。つまり思想は永遠ではないことの証拠です。
> ガリレオというのは地動説のことですか?であるなら私の記憶では一度絶滅していますよ。記録だけ残って。のちにコペルニクスが科学的な証明をしたことで逆転するまで。そして今度は逆説的ですが、天動説は消えましたね?あれも思想なんですが。
これは私の勇み足でした。そこで天動説に焦点を当ててみたいと思います。
現在、天動説という思想は死滅したと言ってもいいでしょう。それは何故でしょうか。天動説が死滅したのは地動説が正しいからではありません。地動説が勝ったからです。実際、地動説は一度負けています。間違っているからではありません。天動説が勝ったからです。つまり、勝ったほうが正しく、負けたほうは間違っていて消える、それだけのことです。
銀英伝のように民主主義と帝国主義という二大国家がぶつかり、片方の国家が破れた状況では、同盟は民主主義だから破れた、間違った思想だったから破れた。天動説が地動説に破れたように。そういう思想世界になることはおかしなことではありません。
これはマルクスレーニン主義が消滅した経緯と似ています。ソ連とアメリカ、共産主義(突っ込まれないようにあえて注を入れますがソ連は厳密には共産主義とは異なる思想でした)と資本主義という二つの思想がぶつかり、ソ連が崩壊しました。このとき、世界はどう感じたでしょう。あれは間違った思想だったから崩壊した、資本主義が正しいんだ、と思ったと思いませんか?
これは純粋にパワーゲームです。共産主義と資本主義が殴り合って資本主義がたまたま勝った。しょせんはパワーゲームなんですよ。その証拠にソ連以外の共産主義国家が次々と資本主義に鞍替えしたでしょう。思想なんてのはは勝った、つまり生き残った強いほうに変わるのです。
なぜパワーゲームなのかという点をもう少し補強しますと、パワーゲームに敗れた思想というのは結果的には机上の空論だったことになるからです。その思想を持つ国家のまったくない世界でその思想を幾ら唱えようと、それは机上の空論であり、理想論であって現実的ではないことになります。これは実際にソ連崩壊時に言われたことです。
てんてん dance with penguin
S.Inoueです。今日は。
> > ルドルフの時代はまだ出来なかった、だから逃亡させられた、とみるべきだと思います。実際、銀英伝中で帝国内で同盟に思想的な理由から亡命した人もいませんし
> 1~10巻には出てきませんでしたが、外伝(螺旋迷宮だったか?うろ覚え)には過去にいた人物として出て来ます。
> 名前を忘れた・・・・
同盟に思想的な理由で亡命した人はマルティン・オットー・フォン・ジークマイスターです。
但し、彼は同盟に来て民主主義の現状を見て絶望したんだっけ?(うろ覚え)
しかし、人数が少ない(お話に例が1人しか出て来ない)からやはり、殆ど絶滅したとはいえるのかな。
確か、彼の父親は帝国の共和主義者(民主主義者?どう違うかようわからんす。)たちを弾圧しました。