久々に書き込みます。
それにしても、皆さん読書家ですね。省みて活字離れ著しい自分が情けない。反省。
ところで、一般では再開要望の上位常連であるところの「アルスラーン戦記」ですが、
私にとって、エンターテイメント性では「創竜伝」以下なんですよ。
(もちろん、「創竜伝」のエンターテイメント性はトンデモ小説としてのソレですが)
ファランギースやタハミーネの語尾が「~じゃ」というのに引いた、というのは半分冗談ですが、
作品に緊張感が感じられないんです。
メガドラかサターンのゲームでも再現されているように(笑)、
ダリューンとナルサスが強すぎます。加えて、敵無能すぎです。
ダリューンもさることながら、不条理なるはナルサス。
何カ国もの国と、その国政や軍事を司る何人ものキーパーソンが登場したにもかかわらず、
皆ナルサスの掌で躍らされている。
経験も乏しく才能の裏付けすら希薄な若造が各国を手玉に取る様は、
爽快というより異常に思えます。
2人ともcheat野郎(=ズル、不正をしている人)なんじゃないですかね。
いや、実は2人とも蛇王の側近中の側近で、人当たりがよくて国民受けしそうな
アルスラーンを手助けしてその覇業を成就させ、強大な統一国家が成立したところで
一気に帝国を奪う、という、蛇王様の遠大な計画の一環だったりして。(笑)
アル戦は、
「味方が不条理に強く、敵対勢力が無能(=人間)か絵に描いたような絶対悪(=蛇王)という、
なんのヒネリもない勧善懲悪モノで、展開に緊張感が感じられない」
「名君アルスラーンは名臣に支えられ、蛇王・旧悪を廃して民衆の為の国を興して社会に尽くしました。
めでたしめでたし。といった結末が容易に想像できる」
「キャラ萌え小説のくせして(私にとって)魅力的なキャラがいない」
ということで、なまじ創竜伝ほどイッちゃってない分、「単純につまんない作品」と感じられるのですね。
アル戦の再開を望む人も、「物語がどんな過程を通じてどんな結末を迎えるか」よりも
「この先どんなキャラが登場して、誰が・どのような最期を迎えるか」というのを
読みたがる人の方が多いのではないでしょうか。
余談ですが、以前ここに
>>>>「ガンダムW」と同じで「作り手は真面目に訴えているつもりだが、読み手にはとてもそうは見えない」
という意見がありましたが、私はガンダムWは最初から同人のお姉ちゃんを相手にしていたのではないかと。^^;
あの演出過剰(最優先)・ストーリー破綻ぶりは、とても真面目に何かを訴えたくて作られたとは
思えない(思いたくない?)のですが。(笑)
はじめまして、こんにちは。
悪評率99%を誇る“創竜伝”に言いたいことは山ほどありますが、それは皆さんが代弁
してくだすってますので、ここでは止めときます。
というわけで、今回は私の好きなマヴァール年代記について、ひとつふたつ書いてみたいと思います。
アッテンBONOさんも指摘されてました「ナルサスような完璧軍師は、作品の緊張感
とバランスを著しく削ぐ」というご意見にまったく同感です。
そして私的には、特にマヴァール年代記の“ヴェンツェル公”は非常にイカンと思うのです。
ナルサスの反則くさい知略と鬱陶しい性格もさることながら、マヴァ年にヴェンツェル
のような“完璧軍師”を登場させることにより、ある人物が駄目になってしまいました。
その人物とは、かの“ラザール将軍”です。
ラザール将軍といえば、20代半ばにして九柱将軍の一員となる知勇兼備の逸材。
しかも大陸一の自己中心派で、王族を目指す野心から謀略も辞さない切れ者のわりには
意外にウッカリしたところもある、田中作品登場キャラの中でも屈指の好人物(?)です。
しかし、せっかくのラザール将軍も、しょせんはヴェンツェル公の操り人形でしかない
のですから、作品の緊張感の削がれることといったらありません。
これがせめて銀英伝の“八割軍師”たるオーベルシュタインのような人物であれば、それ
はそれで味のあるキャラですが、あれがもし同盟の動向まですべて操っていて、トリュー
ニヒトやフォークが彼の走狗であったなら、きっと興醒めも甚だしいはずです。
さてマヴァ年の登場キャラのうち、好印象を残したものをピックアップしますと、
皇帝カルマーン、ラザール将軍、それに隻腕将軍オルブラヒトといったところです。
とくに隻腕将軍オルブラヒトは、まさに武人の鏡のようなキャラで、最高に好きです
(ちょうど三国志の朱桓のような質実剛健の名将が私の好みです)。
反対に悪印象のキャラとしては、ヴェンツェル公、ヴ公の妹で女武者のアンジェリナ、
旅の芸人ホルテイ、といったところです。
好印象キャラと悪印象キャラを比較してみると、好印象の方は
“部分的に欠陥をもちつつも己の信条の従って懸命に生きる、男臭い生身の臭いがする人物”です。
一方の悪印象の方は、一言でいうと
“いかにも存在しなさそうな白々しい能力と性格のキャラ”ということになります。
この好悪キャラは田中作品では系列化されており、例えば好印象派では・・
“カルマーン=アンドラゴラス”
“オルブラヒト=ウランフ”
“ラザール=ヒルメス”
であり、悪印象派では・・
“ヴェンツェル=ナルサス”
“アンジェリナ=ファランギース”
“ホルテイ=コーネフ”
といったとこでしょうか。
さらに悪印象とかそういう問題以前の、絶対に出して欲しくないキャラとして
“お子様キャラ”を外せません。
具体的にはマヴァ年のコステア公の息子(名前忘れた)や、アルスラーン戦記のエラム
とアルスリード、そして極言すれば銀英伝のユリアン:ミンツもです。
なにゆえ、お子様キャラがいけないのか?
それはお子様はどれほどのピンチに見舞われようとも絶対に死ぬことはなく、しかも
本来は非力なはずの子供を無理に活躍させようと試みることから、大人を道化々して
しまい、これらが相乗的に作品のリアリティを失わせているのです。
アップフェルラント物語のような“ほのぼの系”の小説ではぜんぜん構わないので
すが“血で血を洗う国盗り物語”にお子様は邪魔なだけ、百害あって一利なし、と思うのです。
以上、おそろしく取り留めのない駄文になりましたが、一田中ファンが常々思っていた
ことを書きなぐらせていただきました。
>アル戦は、
>「味方が不条理に強く、敵対勢力が無能(=人間)か絵に描いたような絶対悪(=蛇王)という、
>なんのヒネリもない勧善懲悪モノで、展開に緊張感が感じられない」
地行術の使い手とナルサスが闘ったとき、ナルサスが油を巻いて火を付けたという作戦が、「さすが頭良い」みたいに扱われていたのにはさすがにおいおいと突っ込みたくなりました。全然誰でも考えつくことじゃん、だいたい、地面の中に火がつくのか? とか。
今思うと、銀英伝は敵味方に主人公が配分されていたからまともな戦闘シーンになっていたのかもしれませんね。彼の作品には、確かに敵を過小に表現して主人公を大きく見せようとする傾向があります。それが最悪の形に奇形化したのが創竜伝だと言えそうです。
皆がアル戦の続編を期待するのは、皆殺しの田中がいままでの平和な前菜的物語をどうするのか? というところにあるような気がしますが…
>作家ー選手さん
はじめまして。大変興味深く読ませていただきました。今までなかったタイプの批評だと思います。
>さらに悪印象とかそういう問題以前の、絶対に出して欲しくないキャラとして
>“お子様キャラ”を外せません。
ライトノベルにも同様のことが言えます。特にライトファンタジーはひどいですね。
>アル戦は、
これは田中芳樹に限った話ではなく、巨大ロボットものもガンダムやエヴァンゲリオンを始として大概そうですから、日本のSF系の作品、漫画も小説もアニメも問わず、ほとんど病気と言ってもいい傾向でしょう。結局、なんだかんだと言っても小学生・中学生・高校生向けがほとんどですから、戦場にガキを引っ張り出したがるんでしょう。実際は戦場のガキなど邪魔なだけだし、本当に戦場にガキがいたら悲惨なだけなのに。田中芳樹に限らず、つける薬はないですね。これは田中芳樹だけの問題ではないですけど、「戦争の悲惨さや虚しさ」を強調するのが好きな田中芳樹くらい、ガキを戦場に引っ張り出さない話を書けばいいんですけどねぇ。
>アル戦は、
作家ー選手さん 管理人さんへ
>>“お子様キャラ”を外せません。
>>“血で血を洗う国盗り物語”にお子様は邪魔なだけ、百害あって一利なし、と思うのです。
>ライトノベルにも同様のことが言えます。特にライトファンタジーはひどいですね。
私としては
「名門の御曹司と言うだけで御輿として担ぎ上げられた世間知らずの少年が、兄ないし父親代わりの有能な補佐役の元、失敗しつつも努力を重ね成長していく」
というような話を長編でやるならそれなりにリアリティがあるかと思います(でも最近の風潮には合致しないなあ)。
ユリアンにしても「ヤンの養子」というだけで担ぎ上げられたのですからそこまではよいでしょう。でも話の都合上とはいえ周りの大人にとって「都合の良い少年」に終わってしまった感は否めません(「Vガンダム」のウッソよりはましだけど)。
短い感想と、ちょっと思い付いたけどきちんと書くほどでもない没ネタを少し。
>実際は戦場のガキなど邪魔なだけだし、
>本当に戦場にガキがいたら悲惨なだけなのに。
初陣のアルスラーンにダリューンが言う。
「これが、パルスが総力を挙げて編成した新型決戦軍団。殿下、これを貴方が指揮するのですよ」
アルスラーン「無理だよそんなの!!できるわけないよ!!」
アンドラゴラス「お前には失望した。帰れ」
アルスラーン「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ・・・」
(註)やめよう。
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>ユリアンにしても「ヤンの養子」というだけで
>担ぎ上げられたのですからそこまではよいでしょう。
「司令官というのは偉いのだ!自覚しろ自覚!!」
「司令官は・・・偉い。うむ、わかった」
「私が司令官となったからには・・・3年でイゼルローン政府を、優勝の狙えるチームにして見せます!!」
「カンちがいしてる!やっぱり何か、カン違いしてる!!」
>「ナルサスのような完璧軍師は、
>作品の緊張感とバランスを著しく削ぐ」
「ダリューンさん、私は20年間、連勝を続けてきた男ですよ」
「(アル)やあ、それはすごい」
「20年間、勝って勝って勝ちまくって今の私があるのです。これからは定冠詞をつけてザ・軍師と呼んでもらいたい。『敗北をしらぬ軍師』でもよろしい」
「『敗北を忘れる軍師』の間違いだろう」
(註)もう、「究極超人あ~る」を知らない世代も多いだろうな・・・ちなみに某雑誌でホントに「究極皇太子あるすら~ん」というのがあった(笑)
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>なんのヒネリもない勧善懲悪モノで、
>展開に緊張感が感じられない」
>「名君アルスラーンは名臣に支えられ
だから諸国漫遊でもすればいいんだよ(?)。ダリさんナルさんを従え、うっかりギーヴも仲間にしてだな。最後は黄金の兜をみせて皆をひれ伏させればいいのだ。
「手箱に刻んだ梅一輪、娘を思う親心。
笑って旅立つ殿下の旅を、お日様見守る 春の空」
(次回続く)だ。うむ、話が簡単にできるぞ」
(註)>例えば水戸黄門 -- より。