以下は、
銀英伝考察シリーズ「銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威」
に関する私の感想です。はっきりいって、冒険風ライダーさんのこの発見には驚嘆しております。
冒険風ライダーさんのこの投稿は昨年4月であって、かなり前の話になりますが、感想等は掲示板に記入してよし、との管理人氏の指摘(考察シリーズの冒頭)があります。そこで、今更ながら、少しばかり感想を書いてみたいと思います。
☆前記投稿の冒頭部分の記載
<銀英伝のキャラクター達は、ヤンやラインハルトも含め、誰一人としてのこの(要塞に備わる)「最強の武器」の存在に気づかず、要塞の素晴らしい潜在的能力を結果的に殺してしまう自爆的な戦いしか行っていなかったため、かなり滑稽な印象を私は受けてしまったものでした。>
☆同じく、「5.コストパフォーマンスの浪費でしかない「要塞特攻」」の結論部
<これならまだガイエスブルク要塞を「イゼルローン占拠作戦の拠点としてしか活用していな」かったケンプの方が、ラインハルトやヤンよりも余程まともな用兵家であったとすら言えるではありませんか。「要塞特攻」に対して色々述べておきながら、結局あの2人は要塞対要塞の戦いから何も学んではいなかったことになるわけなのですから。>
他の投稿でも、類似の表現があって、
要は、
「ヤンもラインハルトも、用兵家としては二流では」
ということですね。
冒険風ライダー氏の主張を私なりに解釈すると、
ヤンの側としては、
「小説中に出てきたワープエンジン付のガイエスブルグ要塞よろしく、イゼルローン要塞を移動可能に改造し、この無補給(正確には外部組織からの補給不要)の駆動戦力を活用して、ゲリラ戦を展開すべし」
となり、
一方、ラインハルトの側としては、
「艦隊群による犠牲を伴う占領目的の攻撃より、エンジン付小惑星の攻撃でイゼルローン要塞を破砕すべし」
といったところでしょうか。
冒険風ライダーさんの主張に対する反論が、数多く展開されているのですが、まずは技術的問題、さらには政治的問題の困難性が展開されているだけで、
「ヤンもラインハルトも、用兵家としては二流では」
に関する話は、あまり取り上げられていないですね。
第一に、
ヤンもラインハルトも、「移動要塞の可能性」について検討すらしていない点で、「無能」の謗りを免れ得ないでしょう。
というのも、帝国軍により「移動要塞」の実施がすでに行われた後であるのですから、技術的、政治的困難があったにせよ、それは程度問題です。つまり、イゼルローン要塞の移動要塞化は、小説中の世界では、低く見積もっても実施可能性が極めて高いこと、であったはずです。にもかかわらず、ヤンもラインハルトもこの種の検討を行っていないわけです。
特に、ラインハルトの行う検討としては、少なくともガイエスブルグ要塞の攻撃後は、イゼルローン要塞の移動要塞化を未然に防止すべく、艦隊群による威力偵察を兼ねた牽制攻撃を行う、といったところでしょうが、このようなことは行われてないですからね。
また、例えば反論として、移動要塞は実施可能性が乏しいので、ヤンもラインハルトも移動要塞について一顧だにしなかった。したがって、小説中にもその記載が省略されている。というものが考えられますが、今回はそれに該当しないでしょう。すでに、ガイエスブルグ要塞という実施例があるのですから。その他、「長征一万光年」にしても、ヤンによるアルテミスの首飾り破壊の際におけるエンジン付小惑星の攻撃にしても、大質量物体の移動化は、小説中の世界では良く行われていること、ですしね。
この第一の点、ヤンもラインハルトも、「移動要塞の可能性」について検討すらしていない、というところで、ヤンおよびラインハルトの非天才性が確かに明らかといえます。(もっとも、これは作者の脳裏以上の知恵を、作中人物が発揮しえるわけではないのですから、操り人形に過ぎぬヤンやラインハルトを責めるのは酷かもしれませんが)
第二に、技術的問題に関しても、小説中の世界観を援用するならば、冒険風ライダーさんの指摘をまったく翻すような反論は皆無に思えます。
私の印象からしても、討論の内容が進むにつれ、枝葉末節に係るような話になっていったようで、結果としてどうも感情的対立による反論の繰り返し、のようなイメージを受けます。これは、議論を行う上での困難さというものをまざまざと感じさせるものですね。
討論中にありましたが、例えば、12基エンジンの同期を計るのが困難という話を、ミズホ銀行のシステムの話と対比させるのは、無茶です。ミズホの場合は、各行のシステムを併存させようとした政治上の問題が第一にあり、しかもコンピュータを使い始めて50年の今日の話ですからね。
あと、妊婦に対するワープの話にしてもそうですが、こういうのを読むと、議論に勝てさえすればよいのかな、という感触を受けた次第です。
話はずれますが、
「6.イゼルローン要塞の構造的な独裁権力者、ヤン・ウェンリー」
に関しては、現代との対比で言えば、
前線に位置するイゼルローン要塞においては、軍の戒厳下に置かれており、政治的権限の最高責任が要塞司令官であるヤンに一任されていた、という解釈が成り立ちます。
そうすると、小説中におけるヤンの位置付けと、議会制民主主義との対立も、回避されるように思いますが、果たして作者がどうゆうつもりだったのかは不明ですね。
また、考察シリーズ等読み次第、感想を掲載したいと思います。
初めまして。ずっとROMしていた者です。
> 第二に、技術的問題に関しても、小説中の世界観を援用するならば、冒険風ライダーさんの指摘をまったく翻すような反論は皆無に思えます。
ここだけどーしても気になったので、少し反論させて頂きます。
私は、この件に関しては「冒険風ライダーさんの指摘」は机上の空論を出て無いと思います。特に同盟に対しては。
よく勘違いされるのですが、理論的に可能である事と実際に可能である事の間には相当に深い溝があります。
極端な事を言えば、机と設計図の上であればそりゃなんだって可能です。ただし、それを実際に実行するには理論だけではどうにもならないんです。
手近な歴史上の例を上げれば、旧軍は実験室レベルでは排気タービンや高出力エンジンを作る事はできましたし、理論上の話であれば原爆ですら制作可能でした。レーダーも無線機も旧軍はその理論を知っていましたし、純粋に技術論から見れば大抵の物を旧軍は制作可能だったのです。
しかし、現実に日本軍は排気タービンを付けた飛行機を作る事はできませんでしたし、また高出力エンジンを実戦に投入する事はできませんした。
これは実際に生産にうつるべき段階で、基礎工業力が不足した事に起因するのです。
エンジン一つとってもその出力を高めるのは、単に何倍化すれば良いという物ではありません。大型化によって様々な方面に大きな負荷がかかり、それらを修整してゆくのは相当な技術レベルが必用になるのです。
エンジンの材質一つとっても新機軸が必用となりますし、エンジン全体にかかる負担増大、重量増加によるバランスの問題、さらにそれらを統合して一つのシステムにするには更に困難なのです。
作り方さえ解っていればなんとかなるってものではありません。実際、今の日本はロケットエンジンの原理も構造も知っていますが、未だに信頼性の高いロケットを作る事はできません。
帝国側が機動要塞を継続的に運用しなかった事に関しては「ラインハルトが無能である」という意見を一応尊重しますが、同盟に関しては「作りたくても作れなかった」が正しいと私は思います。
ましてや、ここでの見解としては「歴史の蓄積が少ない分、同盟の方が国力的に劣っている」となっているので尚更です。
同盟だって機動要塞を設計する事「だけ」は恐らくできたでしょう。
ただ、取りつけるためのエンジンを生産しうる工業力が無かったというのが現実だったのだと思います。
「既存のエンジンを並べるだけだ」というのも無意味です。
これまた旧軍の例を持ち出してなんですが、例えば旧軍は既存の2000馬力級エンジンを二つ並べて4000馬力を得ようとした事がありますが、結局はエンジンを同時に制御するシステムを作れずに失敗しています。
また、同様の事は技術大国ドイツやアメリカでも例があります。
単に並べるだけでも、それを実効運用するにはかなりの困難が伴うのです。適当に動かすだけではダメなのですから。
帝国にしてもアレは一回限りの僥倖(やってみたらたまたま上手く行った。もう一度やれと言われても無理)で、ノウハウが確立していないのではないかと思いますし、ましてや同盟にそれを求めるのは全くの無理であると考えます。
よって、同盟に関しては間違いなく「機動要塞を作らなかった事によって」無能呼ばわりするのは無茶だと結論します。
アニメでも「帝国軍の艦艇は直接大気圏突入/離脱が可能」であるのに「同盟軍の艦艇は宇宙空間でしか運用できない」という点もありますから、やはりエンジン技術に置いて同盟は帝国に及ばなかったのではないかと思います。
(もっとも、コレに関しては単に政治的な理由かもしれませんが)
移動要塞の可能性について思うことをいくつかあげます
確かに移動要塞は銀英伝世界の戦略戦術の概念をひっくり返す可能性のある案だとおもいます
それだけに両陣営ともに研究チームを作るくらいはしても良かったんじゃないでしょうか?と言うかその可能性に着目した人間の一人はいても良いんじゃないでしょうか?
同盟にしても作る事は出来なくても再度帝国が弱点を克服した移動要塞で再度侵攻してくる可能性を考え研究すると言うのもありだと思うのですが
ガイエスブルクにしても使い所が悪かっただけで使い方しだいでは多大な戦果を上げていたかもしれません
そう考えるとラインハルトもヤンも天才とはいっても所詮既存の戦略戦術と言うお釈迦様の手のひらの上を飛び出せなかった孫悟空にすぎなかったのでしょう
以上、思ったことをあげて見ました
移動要塞・・・ですか・・・・
当時はまだ居なかったのですが、興味を覚えたのでログを読んで見ました。
冒険風ライダーさんの発見した理論と想定は、なかなか面白いと思います。
が、まず、
・物理的に無限の補給能力などというものはありえないのでは?
これは、熱力学の第二法則が破れない限り、覆し得ない事実です。
物質の複製や変換、星間物質からの補給など、あくまで「要塞外部からの補給」を前提として、非常に消耗が少なく、廉価に大量の物質を補給しえる方法はあり得ますが。
小説中で熱力学の第二法則を破るような道具立てが存在した場合も、過去の作品(デューン・シリーズなど)にはありましたが、
基本的に20世紀の人間が読む小説である事を考えた場合、一般に知られている自然法則を破る、
魔法じみた補給能力の道具立てを何の説明もなく原作者が小説中に持ち込むにしては、
説明(イゼルローンで長期間篭城が可能だと考えているヤンとキャゼルヌの会話から始まる)が非常に少量で、しかも曖昧な感じがしました。
(しかも、作中であれほど補給の重要性を説く作者が・・)
無限の補給能力がない場合、移動要塞は、通常の要塞と同じく、補給を絶って干殺しにする事が可能です。
補給可能な拠点を破壊しながら焦土戦術を取られたら、いつか要塞は落ちる事になります。
・では、無限の補給能力がある場合・・は?
考えてみたんですが、移動要塞は相手が要塞か惑星でないと効果的に使えないんじゃないでしょうか・・?
無限の補給能力と航続力を持つ要塞があったとしても、打撃力を発揮するには射程内に敵を捉える必要があります。
どう考えても要塞は艦隊より足が遅いので、ワープで逃げ回る艦隊相手に移動要塞が(一撃離脱以外のケースで)戦えると考えるのは不自然と思われます。
それでも艦隊決戦時に要塞そのものを戦場に持っていけるのは、確かに有利かも知れません。
が、あの世界では、ヤンが、通常の艦隊でも移動要塞を破壊できる事を実証してしまっています。
エンジンの施行方法や、カバーや、要塞構造を改良してそれをかわす方法が議論されているものも読みましたが、「要塞破壊専門の兵器」も、同様に開発可能であるかと。
(小惑星をミサイル化する方法や、ヤンがアルテミスの首飾りを破壊した亜光速の質量弾を利用する方法)
要するにヤンもラインハルトも、建造しやすく廉価で、破壊されても補充が利きやすい艦隊の運用を重視し、
出来たばかりで未知の部分が多く、しかも(物語の時点で)建造費の割に簡単に破壊されてしまう移動要塞に価値を見出さなかったんじゃないですかね。
私見ですが、ヤンは、実戦における兵の動かし方は極めて堅実で、一見破天荒に見えても、一枚のカードに全てを賭けたりは決してしない(要塞奪取は古典的な手ですし、亜光速の氷は「失敗しても幾らでも他の手を出せる」状況で使ったものです)。
ラインハルトに至っては、天才的なのはまず「どんな状況でも数をそろえ、堅実に運用する」と云うのを極めている事だと評され、
そうでない状況を作り出すためにヤンが苦心惨憺するという構図ですから、移動要塞のような効果の曖昧な、しかもヤンがぶち壊してしまった
ものを検討するより、ごくごくオーソドックスな手を極めるという方向に走るのは、両者の性格からして当然ではないでしょうか。
移動要塞自体には(無限の補給能力があるとすれば)一定の価値があると思われます。
が、それを生むテクノロジーの前提からして、それに対抗する兵器が
出てくるのは自然であり、それほど完璧なものでもない。
それゆえに、ヤンやラインハルトのようなタイプの戦略家の描く地図
からは外れてしまったというような感想を持っているのですが。
こんにちは、
面白そうな話題なので、飛び入り失礼します。
観察中さま、
>当時はまだ居なかったのですが、興味を覚えたのでログを読んで見ました。
私も、当時は本サイトを知らず、あらためて過去ログを読もうとしましたが、各発言もスレッド自体も長大で、読みきれておりません。
>物理的に無限の補給能力などというものはありえないのでは?
>これは、熱力学の第二法則が破れない限り、覆し得ない事実です。
真の孤立系が無限のエネルギー源をもつ、ということはありえないでしょうね。現在でも、1600年後でも。
ただ、銀英伝世界には、FTLやワープに代表される、超空間へのアクセス技術がありますから、イゼルローン要塞が3次元的に封鎖されていても、ドラえもんのポケットよろしく、別次元から物質やエネルギを取り出せるんだ・・・・・・と、作者が主張したら、「そうですか」といって、ひきさがりますが。(私なら)
それでも、ユリアンとキャゼルヌの会話のみをとらえて、イゼルローン要塞が無限に活動できる、と結論するのは、さすがに飛躍があるとは思います。ユリアンたちは、「イゼルローンがアルテナ星系にじっとしていれば、50年持ちこたえる程度の資源はある」といっているのかもしれず、「60兆トンの質量をあちこち引っ張りまわしてもエネルギーが持続する」と言っているわけではありませんしね。ガイエスブルクは帝国本土でエネルギーを満タンにして、ようやくイゼルローンの位置まで到達したのかもしれず、それなら同盟領への侵攻に移動要塞を使用できない理由にもなるでしょう。
Walkyure様、
第二次世界大戦中の日本を題材にして、具体的な技術論をしていただき、ありがとうございます。たしかに、どんな技術も、他の多くの技術の積み重ねで成立しているものですから、理論を理解するのと、技術を実現することの間には、大きな距離があると思います。私は、当時のアメリカ軍が、捕獲した日本の戦闘機を自分たちで飛ばせてみたら、日本国内での性能試験より、はるかに高速を出した、という記事を読んだことがあります。ガソリンの精製技術に大きな差があったからです。また、部品加工の精度が悪ければ、いくらエンジンの排気量を上げても、エネルギーを推力よりも熱と音に変えるだけだし、ドイツからロケット戦闘機の設計図だけもってきても、燃料に腐食されないタンクや配管を作る冶金技術がないので、結局は画餅に終わった、という話もききました。
大戦中の日本はアメリカやドイツと比べて、基礎工業力で劣ったわけですが、全般的な技術力では優位にたっていても、特定の分野では遅れをとることも珍しくはありません。冷戦時代、米ソは宇宙開発を競いましたが、特にその前半は常にソ連がリードしました。最初の人工衛星も、有人宇宙飛行も、宇宙遊泳も、女性の宇宙飛行も、実現したのはすべてソ連でした。初めて人工物を月に送り込んだのも、月の裏側の写真を撮ったのも、月に軟着陸をさせたのも、月を回る軌道に乗せたのもソ連です。総合的な技術力で優るアメリカが、このように遅れをとったのは、ロケットを大型化する技術で、ソ連の後塵を拝していたからだ、といいます。アメリカが大型ロケットでソ連を凌駕するのは、アポロを月へ送ったサターン5型の登場を待たねばなりませんでした。1968年のことで、「スプートニク・ショック」以来必死で追いかけて11年目にようやく追い越したのです。
銀河帝国と自由惑星同盟を比べると、最大の違いは、帝国が銀河連邦の蓄積を継承できたのに、同盟は「身ひとつで逃亡した」奴隷の子孫の国だ、ということでしょう。ただ、情報を統制する専制体制の下では、どうしても技術進歩が遅くなったり、退歩したりしますので、270年も経つと、デモクラシーの国が追いついてきて、ほとんど並んでしまった、それでも、最初の圧倒的な差は、完全には解消されていない、というのが技術面で見た、銀英伝の背景ではないでしょうか?
移動要塞は、持っていれば戦争に勝てる兵器かもしれません。
ただし、実際に使っては駄目ですが。
実際に使えば本編のように破壊されることもあるし、故障する可能性
もある。じゃあどうやって戦争に勝つのかというと、脅しに使います。
ワープテストは銀河中に公表し、移動要塞の存在を教えます。でさらに
実際よりも多く持っているように見せかけます。
こちらはこういうものを持ってるんだ、そちらに勝ち目は無い、さあ
和平交渉の席につけ、とこうやります。
実戦用ではなく謀略用としては使えるんじゃないかと思います。
ただ、本編の要塞移動の後ではもう正体がばれてますので、この手は
使えませんが。
実戦用としては高価過ぎるでしょう。何事もなければ50年もつといっても、戦闘を繰り返せば、物資もあっというまに消費するし、敵の攻撃
を受ければ損傷するし、あちこち故障もする。人間だって死ぬ。
あれやこれやでかかる経費と戦果を比べればかなり効率の悪い兵器
だと思います。それこそ、移動要塞使いました、戦争には勝ちました。
国家は破産し、崩壊しましたでは、本末転倒です。
Walkyureさん
>アニメでも「帝国軍の艦艇は直接大気圏突入/離脱が可能」であるの>に「同盟軍の艦艇は宇宙空間でしか運用できない」という点もありますから、やはりエンジン技術に置いて同盟は帝国に及ばなかったのではないかと思います。
技術だけではなく、安く済むからという経済的理由、宇宙空間で帝国
艦隊を迎撃するのが任務の同盟と惑星攻略も任務に入っている帝国の
運用思想の違いも有ると思います。
同盟の方が技術的経済的に劣っていたとは思います。やはり銀河連盟の
蓄積がある帝国、同盟は何も無いところから始まった同盟は追いつくために模倣を大いにやった。一から開発するのに比べて模倣の労力は
数分の1ですむから帝国に追いついた、だが、そこから先は模倣できないから急激な発展はしない。こういう状況でしょう。
なお、政治体制と技術発展の相関関係は何も無い。このことは私の
代わりに、いつも自由こそ至高だ、デモクラシーはすばらしいと
主張している人が証明してくれましたので、間違ってはいないと
思います。
かつて自分が立てて荒れに荒れたスレッドということもあってしばらく静観していましたが、例によって例のごとく、私の主張に異論を唱える人たちの主張はあの時と全く同じ論調ですね。「銀英伝の作品設定や作中描写を全く考慮することなく、現代世界の科学理論や物理学・開発理論を持ち出して反論に使うため、銀英伝の世界観との整合性が取れなくなってしまい、結果的に論自体が『銀英伝の作品設定そのものの否定ないし嘲笑』に陥ってしまう」というパターンです。それでは私に対する反論としても、(「身も蓋もない作品批判論」としてはともかく)作品擁護論としても全く無意味なシロモノに成り下がってしまうと、あの時の議論でも私はすくなくとも5回以上は述べていたような気がするのですけど。
まあせっかく私を援護してくださる方もいらっしゃったことですし、移動要塞論を提唱した張本人として私が回答する必要性もあるでしょうから、私の方からもレスを返すことにします。
>パンツァーさん
はじめまして。
まずは、どちらかと言えば私の移動要塞説には反対意見の方がタナウツ掲示板で圧倒的多勢を占める中、私の論の方に賛意を示してくださり、ありがとうございます。
議論に限らず、一対多数で勝負するというのは結構きついものがありましてね (-_-;;)。
<「6.イゼルローン要塞の構造的な独裁権力者、ヤン・ウェンリー」
に関しては、現代との対比で言えば、
前線に位置するイゼルローン要塞においては、軍の戒厳下に置かれており、政治的権限の最高責任が要塞司令官であるヤンに一任されていた、という解釈が成り立ちます。
そうすると、小説中におけるヤンの位置付けと、議会制民主主義との対立も、回避されるように思いますが、果たして作者がどうゆうつもりだったのかは不明ですね。>
ここは私に対する反論となっていますので、私の方から一言。
この解釈だと、ヤンがシェーンコップなどにたびたび公言していた「軍人は政治に関わるべきではない」のような主旨の発言と大きく矛盾してしまうのではないでしょうか。この思想信条があるからこそ、ヤンは銀英伝5巻のバーミリオン会戦でラインハルトを射程内に収めたにも関わらず、トリューニヒトの無条件停戦命令を受け入れてしまったのですし、エル・ファシル独立政府に身を投じた時も決して実権を掌握しようとはしなかったのですから、そのヤンにイゼルローン要塞内の政治的権限が全面的に与えられていたとなると、もうそれだけでヤンの思想信条や行動は矛盾だらけの支離滅裂なものと化してしまうとは思いませんか? 「イゼルローン要塞における事実上の独裁者のくせに、どのツラ下げて奇麗事を並べているんだ。それで『民主主義やシビリアン・コントロールを擁護する』とは片腹痛い」などと言われても文句が言えなくなってしまうのですし。
まあイゼルローン要塞にヤンが赴任したのは、同盟の場合にせよ、エル・ファシル独立政府の場合にせよ、政府の命令によって行われているわけですから法的には何ら問題は生じないでしょうが、やはり「ヤンがその気になればいつでも独裁者になれる基本的構造」(これは作中でも言及されています)と「イゼルローン要塞およびヤン麾下の艦隊戦力が持つ潜在的脅威」を考慮すれば、ヤンが政府から独立を宣言してしまう可能性や、ヤンがその強大な武力を背景にルドルフ・フォン・ゴールデンバウム的な独裁者と化してしまう可能性も(ヤンの主観的要素を排除して客観的に見れば)充分に考えられる事態ではあるわけなのですから、民主主義の理念や同盟の安全保障の観点から言って危険であったことはほぼ間違いないのではないかと。
私個人は別に最初から意図していたわけでもないのですが、1~3までの銀英伝考察シリーズには、多かれ少なかれ「ヤンは民主主義の擁護者どころか破壊者である」というテーマがありましてね。これも、その一環として作った議題であるわけです。
>Walkyureさん
こちらもはじめまして。
<ここだけどーしても気になったので、少し反論させて頂きます。
私は、この件に関しては「冒険風ライダーさんの指摘」は机上の空論を出て無いと思います。特に同盟に対しては。
よく勘違いされるのですが、理論的に可能である事と実際に可能である事の間には相当に深い溝があります。
極端な事を言えば、机と設計図の上であればそりゃなんだって可能です。ただし、それを実際に実行するには理論だけではどうにもならないんです。>
このような類の反論はあの時の議論の際にもよく言われましたし、そのたびに私も同じ反論を何度も返してきたのですけど、こんな「現代世界における開発理論」が、あの銀英伝の世界観や作中設定と完璧に合致し、何ら矛盾が生じないと本気で考えてでもいるのですか?
もしこのような理論で本当に移動要塞関連の疑問が解消されるのであれば、「なぜ『長征一万光年』で使われたイオン・ファゼカス号が、酷寒の惑星で使役されている奴隷階級の手によって、しかもたった3ヶ月弱ほどで簡単に建造できてしまったのか?」という疑問や、「なぜ移動要塞建造の命令が下されてからたったの2ヶ月、ガイエスブルクまでの移動時間を差し引けば実質的には最高でも1ヶ月前後の時間で移動要塞は簡単に稼動してしまったのか?」といった疑問もまた、この理論を使って完全に解消することができるはずです。私には全く不可能であるようにしか見えないのですが、是非ともその「現代世界における開発理論」を使って上記2つの疑問も同時に解消し、さらにはその疑問解消の説明が「イゼルローン移動要塞の建造」に関しては全く当てはまらないことをもついでに証明して頂こうではありませんか。
それで上記2つの疑問が説明できないというのであれば、疑問がそのまま「新たなる設定矛盾」として残ることになってしまいますので、すくなくとも銀英伝世界においては、あなたが主張するような「現代世界における開発理論」は全く通用しないということになり、いくら現代世界で普遍的な説得力を持っていようが、銀英伝世界では全く受け入れられることはない、とみなされるのです。作品を擁護するつもりで新しい設定矛盾など作ってしまったら全く意味がないばかりか、結果的に私と同じ作品批判(しかも「身も蓋もない」というレベルでしかない)論を展開するだけに終わってしまうのですから、これは当然のことです。
銀英伝の技術問題に限らず、作品を擁護するというのは、こういう超高難易度の課題を完璧にクリアしなければならないものであるからこそ至難の技と言われるのですし、それができなければ(いくら内容が現実と合致したものであったとしても)論としては全く無意味なものでしかないのですよ。たとえ作品中にどれほどまでにとんでもない設定や描写が描かれていたとしても、作品を擁護する以上はそのような設定や描写をも全て肯定するしかなく、否定することは絶対に許されないのです。だからこそ、「『小説中の世界観を援用するならば』私の主張を覆すような反論は皆無に見える」という、パンツァーさんのような主張も出てくるのですがね。
まあ正直、技術問題に関しては、銀英伝の作中設定はあまりにも安易かつ粗雑に作られていますので(もっとも、それによって銀英伝の評価が下がるということはないでしょうが)、それに「現代世界における開発理論」を当てはめるのはほとんど不可能でしょう。しかし、あくまでも「これで作品を擁護できる」と思うのであれば、是非とも作品設定にも作中記述にも抵触することのない、万人を納得させられる完璧な説明をお願い致します。
<帝国にしてもアレは一回限りの僥倖(やってみたらたまたま上手く行った。もう一度やれと言われても無理)で、ノウハウが確立していないのではないかと思いますし、ましてや同盟にそれを求めるのは全くの無理であると考えます。
よって、同盟に関しては間違いなく「機動要塞を作らなかった事によって」無能呼ばわりするのは無茶だと結論します。>
この解釈だと、ノウハウを確立していない段階で移動要塞をイキナリ不要不急のイゼルローン要塞攻防戦などに出兵させた挙句、貴重なサンプルを無為に破壊する結果を生んでしまったラインハルトは、もはや無能どころか「救いようのない大馬鹿者」にまで転落してしまうのではないでしょうか? ノウハウが確立していないのであれば、移動要塞を解析してノウハウを確立するよう努めるべきですし、そもそも何度も言うように「移動要塞の可能性」は非常に大きなものがあるのですから、それに着目するのは軍事的天才として当然どころか義務ですらあるのではないでしょうか。
それに、「長征一万光年」のイオン・ファゼカス号のような「超巨大ドライアイス船」を、同盟建国の礎となった酷寒の奴隷階級などが易々と建造できた事実や、あまりにも簡単そうにしか見えないガイエスブルク移動要塞建造に関する描写などを見ると、同盟側が固定要塞を移動要塞に改造できる可能性は、100%とまでは言わなくともかなり高く見積もっても良く、すくなくともゼロではありえないように思えるのですが。
>観察中さん
>Kenさん
すいませんが、御二方が述べられている「物理的に無限の補給能力などというものはありえないのでは?」「ユリアンとキャゼルヌの会話『のみ』をとらえて要塞が無限に活動できる、と結論するのは飛躍がある」などの疑問に関しては、すでに過去ログで全く同様の質問を発していた人と議論を重ねておりますので、まずはそちらを全て閲読し、内容を把握した上で改めて反論していくのがよろしいのではないかと。
第一、件の銀英伝考察3で私が「無限の自給自足システム」の根拠として作中から引用した文章は、「ユリアンとキャゼルヌの会話」と「ヤン自身が『イゼルローン要塞にとどまっている限り、食糧も武器弾薬もどうにか自給自足できる』とはっきり述べている箇所」があり、その2つをもって私は自説の強力な根拠としているのですが、何故後者の方を完全に読み落した挙句、まるで私が根拠のない批判を展開しているかのような「印象批判」などを主張しておられるのでしょうか?
少し離れてはいるものの、普通に銀英伝考察3を隅から隅まで読んでいけば、あの文章も決して分からない場所にある引用文ではないと思うのですが。
手元に銀英伝の小説がないので、以下の記載・引用に誤りがあれば、ご容赦ください。ここで私が根拠として引用するのは主に、「銀英伝考察3」の一連の議論中の記載内容です。
> > 第二に、技術的問題に関しても、小説中の世界観を援用するならば、冒険風ライダーさんの指摘をまったく翻すような反論は皆無に思えます。
>
> ここだけどーしても気になったので、少し反論させて頂きます。
> 私は、この件に関しては「冒険風ライダーさんの指摘」は机上の空論を出て無いと思います。特に同盟に対しては。
>
> よく勘違いされるのですが、理論的に可能である事と実際に可能である事の間には相当に深い溝があります。
> 極端な事を言えば、机と設計図の上であればそりゃなんだって可能です。ただし、それを実際に実行するには理論だけではどうにもならないんです。
「理論」に対する「実践」の例として、私は、次の三つのことを前回述べました。
1 イオン・ファゼカスによる「長征一万光年」
2 ガイエスブルグ要塞の移動化:ワープエンジン12基+通常エンジン12基
3 アルテミスの首飾りを破壊した氷塊(一〇億トン):バサード・ラム・ジェット・エンジン1基
銀英伝世界においては、上の三つの実例が存在します。つまり、「大質量物体の移動化」に関しては、理論の域ではなく、実践の域に達しているわけです。
しかも、1・3は、同盟側の実施例です。
特に3は、ヤンの指揮下の下に実行されたものであり、この時点で、銀英伝世界の同盟が、「大質量物体の移動化」に成功しているわけです。このようなエンジンが、間違いなく同盟側にも存在するということです。大質量物体には、当然イゼルローン要塞が含まれます。
また、「大質量物体の移動化」に際し、ワープエンジンが適用された例としては、1が該当します。
No1923の冒険風ライダーさんの以下の記載が、その根拠を明確に説明しています。
< それから、仮にも「長征一万光年」を帝国暦164年~218年の約54年で終結させたからには、たとえ旧型の短距離ワープレベルであったとしても、ワープ技術自体は搭載されていたと考えるのが自然でしょう。銀英伝2巻のバザード・ラム・ジェット・エンジンの例が示している通り、銀英伝世界における通常航行エンジンは「光速の壁」を越えることができないようですから。第一、敵側がワープを使えるのにこちらが使えないのでは、捕捉されたらその時点で一巻の終わりで、そもそも逃げ切ること自体不可能としか言いようがないと思うのですが。>
念のために申し添えると、一万光年の距離は、光速度で一万年かかる距離ですから、50年たらずでこの距離を走破するには、光速度を超える移動手段(すなわちワープエンジン)が必須となるわけです。
そして、1の時代より数世紀も後の同盟において、技術的後退が発生しているというようなことがない限りは、ヤンの生存中において、当然「大質量物体の移動化」のワープ移動が可能と結論できるでしょう。
さて、1・3では明言されていないと言えるのは、「大質量物体の移動化」に際し、複数のエンジンを同期させることが可能か否か、という点でしょう。
まず、帝国に関しては、ガイエスブルグ要塞で成功を収めています。
> 帝国にしてもアレは一回限りの僥倖(やってみたらたまたま上手く行った。もう一度やれと言われても無理)で、ノウハウが確立していないのではないかと思いますし、ましてや同盟にそれを求めるのは全くの無理であると考えます。
これに関する反論は、長くなりますが、No1793の冒険風ライダーさんの以下の記載が対応するでしょう。
< これって「動いている物体の足を壊せば止まる」という程度のレベルで片づけられてしまう理論なのですか? 本来技術系の人間ではないはずのヤンですら知っているこの理論を逆に考えてガイエスブルク移動要塞に当てはめてみれば、移動要塞の秘密など誰でも簡単に掌握することができるでしょう。ましてや、あの当時における宇宙空間のワープ・航行関連技術に従事する技術者たちであればなおさらのことです。誰もが理解できず、真似もしにくい新技術にしては、あまりにも理論が簡単すぎる上にお膳立てがありすぎるのですが。
また、あのガイエスブルク移動要塞の改造工事&運用テストなどを実際に指揮していたのは、本来技術関係に無関係な叩き上げ軍人でしかないはずのケンプとミュラーであって、言いだしっぺのシャフト自身はただ「技術的には不可能ではない、エンジンの同調こそが全てである」とがなりたてていただけで、移動要塞の工事に関しては、直接的にはほとんど何もしていなかったと言っても過言ではなかったのです。エンジンの完全同調に関しても、シャフトは何かケンプ・ミュラーらに対して特別な技術を提言していたわけでもありません。エンジン同調がそれほどまでに難しい運用技術であるのならば、よくこの状況で運用テストを通過したものですね。
その上ガイエスブルク移動要塞は、1月下旬頃のラインハルトの命令から4月10日頃にイゼルローン要塞と対峙するまでに、本来ガイエスブルク要塞が置かれていた宙域→ヴァルハラ星系外縁部→イゼルローン要塞前面へと移動する過程で、すくなくとも20~30回近くは「実際に」ワープを繰り返しているのです(私があの移動要塞建造で矛盾に思ったのがここなんですよね。特に3月17日のヴァルハラ星系外縁部到達時が「初のワープ実験」であるという点)。Merkatzさんはこれを「大きな穴」と呼んでいたわけですが、私に言わせれば、シャフトの突発的な提言から、しかもあれほどまでに短期間の改造工事&運用テストを行っただけで、これだけのワープ回数を一度の事故も起こすことなく無事にこなすことができるという事実こそが、逆に「移動要塞技術」の実現が比較的容易であることを立派に実証しているわけです。またそう考えないと、今度は銀英伝における「移動要塞技術の実現に関する描写」それ自体に対する疑問が出現してしまうではありませんか。
以上のことから私は「移動要塞技術の発想」を「コロンブスの卵」に近いものだと考えています。すなわち「実はとんでもなく簡単な理論で、気づいた瞬間に技術的にも簡単に実現できるものだが、その『気づくまで』がなかなか容易なことではない」というのが「移動要塞技術」の実態であると考えたわけです。そして、この論法であれば帝国側がシャフトの提言からたった2ヶ月弱の工期&運用テストで移動要塞を簡単に実用化できてしまった理由もあっさりと説明できるのですよ。一度完璧に理論が実証されてしまえば「何でこんな簡単なことに気づかなかったのだろう?」と後で述懐してしまう類の問題というわけで。
Merkatzさんは運用面をも含めた移動要塞技術の難易度が高いと述べておきながら、帝国側があれほどまでに簡単に移動要塞技術を実用化してしまった理由を説明できておりません。もしこれが帝国と同盟の技術運用格差の問題であると言うのであれば、帝国と同盟の国力格差は銀英伝本編で現れている数字よりもはるかに巨大なものであったと言わざるをえず、帝国・同盟・フェザーンの勢力均衡が140年近くにもわたって続いていたという設定自体が崩壊してしまいます。銀英伝の設定を擁護するために私に反論しながら、それによってより巨大な矛盾を自らの主張から出現させてしまっては意味がありますまい。>
ポイントを述べると、
a.宇宙船において、スピンしないようにエンジンの配置をするのは、宇宙時代であれば当然のはず。つまり、銀英伝世界で当然実施されていることとみなせる。
b.ガイエスブルグ要塞のエンジンの同期に際し、テスト段階でもほとんど問題が発生せず、すぐ実戦投入可能となっている。つまり、「移動要塞技術の発想」は「コロンブスの卵」に近いものだった(「実践」は容易であるが「理論」の発見の方が困難であった)。
c.同盟が帝国よりも技術的に劣っていたとされる根拠がない。
つまり、第一には、ガイエスブルグ要塞における移動化の成功は、再現不可能な「僥倖」とは考えられない、ということです。
第二には、同盟と帝国の技術的格差を例証する銀英伝世界における「実例」が存在せず、同盟における前記の1・3の実例を踏まえると、同盟と帝国の技術は、少なくともエンジンに関しては同等、と言えるのではないでしょうか。
それから、エンジンの同期に関しては、作者は大問題だと思ったのかもしれませんが、現代の技術で考えても、それほど困難な技術とは私には思えないのです。
> これまた旧軍の例を持ち出してなんですが、例えば旧軍は既存の2000馬力級エンジンを二つ並べて4000馬力を得ようとした事がありますが、結局はエンジンを同時に制御するシステムを作れずに失敗しています。
> また、同様の事は技術大国ドイツやアメリカでも例があります。
まず、電子制御なるものの存在しない戦前においては、エンジンの同期は困難です。また、ここで例示されているエンジンは、双発の航空機のことでしょうか。航空機で考えますと、エンジンの製造においてムラが発生すれば、双発とした場合、左右で出力が異なるわけですから、これは使い物にならないですね。
改善案としては、職人芸でエンジンの調整を行うというところでしょうが、大量生産にはまったく向かないでしょう。
一方、電子制御が一般に行われる現代において、制御の一例として、例えば次のようなものがあります。左右のエンジンの回転数(単位時間当りの回転数)を検出し、左右の回転数が一定となるように燃料噴射量を微調整して、左右のエンジンを同期させるというものです。つまり、エンジンに製品毎のムラがあっても、現代の技術では、それをうまく同期させることだって可能なのです。ましてや、製品のムラの発生率の低さなどは、戦前とは比較になりませんし。
「移動要塞」の技術的困難を証明するのは、かなり難しい作業だと思います。
< 今回のスレッドで私はことあるごとに何度も言っていますが、作品を擁護しようとして、更なる大きな矛盾を自分の手で作成してどうするのです? 私の主張内容にだけ反論すればそれで終わり、ではないのですよ。>
これは冒険風ライダーさんの手厳しい指摘ですが、反論は銀英伝世界を壊さない内容とする必要がありますね。
<ただ、取りつけるためのエンジンを生産しうる工業力が無かったというのが現実だったのだと思います。
「既存のエンジンを並べるだけだ」というのも無意味です。>
例えば、Walkyureさんのこの記載は、前記1・3に明確に反しています。
前記三つの実例(同盟に限定すれば二つの実例)を前提とした上での反論でなければ、有効な反論とはなりえないかと思います。
冒険風ライダーさん、
直接に発言を交わさせていただくのは初めてですね。どうかこれからよろしくお願いいたします。
はじめに、前回の私の発言に関して、私の文章構成力の貧弱さゆえに、誤解を招いたことをお詫びします。観察中さんに向けた、あの発言の前半部は、たしかにライダーさんの過去の発言についての感想です。しかし、Walkureさんに向けた後半部は、すくなくとも私にとっては、銀英伝世界の設定とは無関係の、一般論としての「技術の難しさ」を話題にしたつもりでした。しかし、今読み返すと、どうみても前後半部を通して、ライダーさんの発言を論じているようにとれますね。大変失礼しました。
>すいませんが、御二方が述べられている「物理的に無限の補給能力
>などというものはありえないのでは?」「ユリアンとキャゼルヌの
>会話『のみ』をとらえて要塞が無限に活動できる、と結論するのは
>飛躍がある」などの疑問に関しては、すでに過去ログで全く同様の
>質問を発していた人と議論を重ねておりますので、まずはそちらを
>全て閲読し、内容を把握した上で改めて反論していくのがよろしい
>のではないかと。
実を言いますと、私はあの長大なスレッドを完全読破できていません。(読んだのは、最初のライダーさんの発言と、それに続く20くらいです。)それでは発言に説得力がない、と言われますとそのとおりかと思います。ただライダーさんが、以下のように、論点を簡潔にまとめてくださったので、とりあえずはこれに対する私の考えを述べてみたいと思います。
>第一、件の銀英伝考察3で私が「無限の自給自足システム」の根拠と
>して作中から引用した文章は、「ユリアンとキャゼルヌの会話」と
>「ヤン自身が『イゼルローン要塞にとどまっている限り、食糧も武器
>弾薬もどうにか自給自足できる』とはっきり述べている箇所」があり、
>その2つをもって私は自説の強力な根拠としているのですが、何故後
>者の方を完全に読み落した挙句、まるで私が根拠のない批判を展開し
>ているかのような「印象批判」などを主張しておられるのでしょうか?
先の発言をしたとき、確かに私はヤンの言葉を失念していました。申し訳ありません。
ただ、私の論点は、「50年は持ちこたえられる」ことを意味するユリアンの発言は、「イゼルローン要塞が一箇所に停止していること」を前提としたものではないか、しかし要塞を移動させるとなると、前提自体が変わってしまうのではないか、ということでした。そして、この点ではヤンの言葉も同様ではないでしょうか?
イゼルローンのエネルギー源が、内部のストックであれ星間物質であれ、その総量あるいは単位時間あたりの採取量は、要塞の生命維持装置を稼動させたり、食料プラントを運転したり、艦船にエネルギーを補給するには十分だが、60兆トンの質量を宇宙のあちこちへ移動させるには全く不足しているのではないか、実際に動かせば、たちまち「ガス欠」になるのでは、ということでした。
ガイエスブルグにそれができたのは、要塞外部からの補給があったからではないでしょうか?それも、帝国本土にいる間の話で、補給を受けられないイゼルローン回廊へ乗り出せば、後は自分で運べる燃料に頼るしかありません。それでもイゼルローンの位置まではエネルギーがもったが、同盟領まで行くだけの航続距離はない。だから、ラインハルトも、その後の作戦に使用できなかったのでは?
ということを、言いたかったのです。
これなら、作品に描かれている銀英伝世界の設定と、矛盾しないのではないでしょうか?
以前からちょくちょく拝見させて頂いてました。
この話題は結構前に終わったと思っていたら、また盛り上がってきた感じですね。是非は一先ずおいておいて、この移動要塞論のもつ力を再認識した感じがします。
ついでですので、私も少々書き込みを。
本自体を友人に貸してしまっていますので記憶があいまいな可能性がありますが、八巻で、停戦の後の会談に赴くに当たってのくだりの文章だったと思うのですが、補給物資を整えるのにもイゼルローンの生産力では時間を必要とする、というような一文があります(ただし、ヤンの死後のイゼルローン脱落組に対して一般物資の開放をしてるので、篭城自体は可能であると思われます。あくまで弾薬や戦闘物資を連続して使い続ける事が無理、というところでしょうか)。それをみて、
1、自給能力は平時はともかく、連戦に耐え切れるほどの生産力ではない
2、一撃離脱戦法を取るしかない
との感想を持ちました。
要塞自体の機動力はさほど優れておらず、ワープの出現はどうやら探知できるようなので(ガイエスブルグ出現時はワープの時空震を偵察部隊に探知されていたと記憶しています)、以前話題に上ったアンネローゼ人質作戦なんかは難しいと思われますが(ケスラーではないですが、重要なのは場所ではなく人なので、アンネローゼの居住惑星周辺に防御網を敷かれてしまうと成功率が激減します)、全土にわたってゲリラ戦法を取り、帝国の士気を低下させ、それによってラインハルトの熱狂的支持熱を冷まして民主主義の芽を残す、というヤンの目的を果たす事は十分可能であると考えます。
という事で、私はどちらかというと冒険風ライダーさんよりの考えをもっています。少々の割には長くなってしまい、申し訳ありません。
追記
私の見落としなどで、すでに結論が出てしまっている部分が有りましたら、笑って見逃してやってください。何ゆえ記憶力はあまりよろしくありませんので……
一言で言えばこの冒険風ライダー氏の移動要塞論は実に正しい。作中の記述に従う限り全く間違いない。
しかし、その拠り所とする銀英伝という作品自体が致命的に間違っているのでどうしようもない。
恐らく、田中芳樹氏は核融合動力を無限の動力と勘違いしているのだろう。だから作中のユリアンとキャゼルヌの会話みたいなツッコミどころだらけの電波な会話が出てきてしまうわけだ。
確かに核融合自体は無限のエネルギーとして喧伝された事もあるんだが、そりゃただ単に燃料の水素が海水から無尽蔵に取れると言うだけの話で、そいつ自体は燃料を入れてやらないと動かない。
そして、スレッドを読む限り冒険風ライダー氏も同じ間違いを犯しているようだ。私には、氏のやっていることは間違った理論に完璧に従って機械を作り上げ、「この機械は動くんだ!」と言っている狂的科学者に見える。あるいは、設計図を遵守して機械を組んだが、その渡された設計図が間違っていた技術者でも良い。
しかし、ここは好意的に考えて氏は核融合が無限動力でないことを知っているが、銀英伝の設定(明言はされていないが)に合わせてかの世界では核融合が無限動力である、という前提に立って物を考えているのだとしよう。
その場合、冒険風ライダー氏の論の立て方と進め方は非常に間違ったものになっていると言わざるを得ない。
なぜなら、ラインハルトにしろヤンにしろ、田中氏と言う「神」の被造物であるからだ。小説中の登場人物が明らかに作品の設定と矛盾する行動を取っているのならば、その責は登場人物ではなく、設定を無視した作者のものである。私には、移動要塞に関わる一連の問題は、作者が無限動力(と解釈されうる)ものを登場させておきながら、実際には「この世に無限動力は存在しない」と言う常識的な考えで話を進めていることから生じる矛盾だと見える。
従って、責められるべきは矛盾した設定を造ってしまった田中芳樹氏であり、作中の登場人物は免責されるべきである。被造物に神を超える能力を持つことはできないからだ。
しかし、冒険風ライダー氏は「神の御言葉」を絶対視してキャラ批判を行った。実際にはその「神の御言葉」は矛盾に満ちたものであるのに、だ。自分の教義に従わない者を異端扱いする中世的宗教の信徒と大して差のないメンタリティである。他の論者(私も含まれる)が反発を覚えたのはこの点であろう。
冒険風ライダー氏は作中の矛盾を指摘し、その上で「こういう展開も考えられたのではないか?」と言う論の立て方で話を進めるべきだった。そうすれば、もう少し場が荒れずに済んだだろう。
しかし、不幸にして私の解釈が誤っており、氏が「核融合は無限動力」と信じているのであれば、貴方にはこういう問題を論じる資格はない、と申し上げるしかない。
(移動要塞であるか否を問わず)要塞の無補給に関しては、問題が発生する余地があるだろうなと予測していたので、No3468の投稿で、予め予防線を置いたのですが、あまり効果はなかったですね。
<ヤンの側としては、
「小説中に出てきたワープエンジン付のガイエスブルグ要塞よろしく、イゼルローン要塞を移動可能に改造し、この無補給(正確には外部組織からの補給不要)の駆動戦力を活用して、ゲリラ戦を展開すべし」
となり、>
銀英伝考察3の討論内容を整理すると、次の二つのことがわかります。
1.要塞には核融合炉が備えられている。
2.星間物質(主に水素)を取り込む手段が存在する。
また、次のことも考慮してよいでしょう。
3.宇宙は完全な真空ではなく、場所によって密度の差(星に近い場所程高く、まったく星が存在しないところでは低い)はあれ、星間物質で満たされている(例えば真空中に水滴を垂らすとたちまち蒸発します。)。
ここで、銀英伝世界には、例えばアルテミスの首飾りを破壊する際に、バサード・ラム・ジェット・エンジンが登場しています。このエンジンを備えた氷塊が、停止することなく駆動して見事防空衛星を撃破したことから見ても、(銀英伝世界における)宇宙空間中には、核融合エンジンを駆動するに足る星間物質が存在する、ことが証明されます。(つまり3の証明にもなっている)
また、例えば太陽なども、完全に無補給の核融合炉ですよね。
無補給で何十億年といった時間の間、光を放射しつづけることができるわけです。
これと同様に考えれば、
例えば、要塞には、建造時もしくはその後に、半永久的に核融合炉を駆動できる水素燃料が備蓄されている、と考えても良いのです。(この考えでも、作者の描く世界観を矛盾なく説明できるでしょう)
冒険風ライダーさんが(無補給)「完全自足可能」を要塞(移動要塞)の最大の武器と考えるのは、外部組織からの補給不要である、点でしょう。外部組織からの補給が不要とは、戦略的には次のことを意味します。
A.補給源となる星が不要である。
B.補給源となる星との間に補給線を構築する必要がない。
防御力の低い(ものとして描かれている)「星」や、脆いことが明らかな「補給線」のどちらも必要とせず、「移動要塞」が活動できるからこそ、「移動要塞」が強力なのです。足手まといが一切ないのです。
これがポイントであって、要塞(移動要塞)が星間物質を吸収したり、水素燃料を備蓄したりしては駄目、というわけではないのです。
☆あの頃のROMさんの批判点の第一
<しかし、その拠り所とする銀英伝という作品自体が致命的に間違っているのでどうしようもない。>
以上の説明で、「致命的に間違っている」部分がない、ことが明らかでしょう。
☆あの頃のROMさんの批判点の第二
<その場合、冒険風ライダー氏の論の立て方と進め方は非常に間違ったものになっていると言わざるを得ない。
(中略)
従って、責められるべきは矛盾した設定を造ってしまった田中芳樹氏であり、作中の登場人物は免責されるべきである。被造物に神を超える能力を持つことはできないからだ。>
これに対する回答は、例えばNo1980の冒険風ライダーさんの投稿に、既に出ています(他にもあるでしょうが)。
< そして何故私が作品批判論を展開する際にキャラクター批判にこだわるかと言えば、そのような批判手法こそが「フィクションだから許される」だの「キャラクターと作者の思想は違う」だのといった「赤錆のついた反論」の類を事前に封じ込め、かつ作品や作者が作中で一番訴えたがっている主要命題に対して致命的な大ダメージを与えることを可能とする唯一の手段だからであると答えますね。
「フィクションだから許される」「キャラクターと作者の思想は違う」などといった類の思考停止的な発想は、何も創竜伝だけの専売特許ではなく、フィクション作品全てに適用できる最も普遍的かつ陳腐な反論なのですから、それに対する対処法は事前に打っておく必要があったわけです。この類の反論はタナウツ掲示板初期にも何度か見られましたし、私自身、初期に創竜伝考察シリーズを展開していた際に何度か同じ事を言われたことがありましたからね。
で、その対処法として私が考えたのが「フィクション部分はあくまでもフィクションとして認めた上で、あえてそのフィクションの土俵に立って『フィクションとしては許されない』作中の描写矛盾やキャラクターの破綻した言動・行動をいちいちバカ正直に取り上げて批判する」という方法です。作中のキャラクターをあえて批判の矢面に晒すことで、フィクションとしての作品設定や主要命題が持つ矛盾と破綻を明確にし、さらにそれによって、そのような「致命的な作品設定および思想的な破綻」を作ってしまった作者の責任をも無言のうちに問いかけるといった効果が期待できるわけです。そして私はこの方法に基づいて考察シリーズという膨大な作品批判論を展開してきましたし、今回もその路線から大きく逸脱していたわけではないのです。>
だいたい、
「冒険風ライダー氏の論の立て方と進め方は非常に間違った」っていうのは、どうゆう基準に基づいて、なのですか?
上に引用した中で冒険風ライダーさんは、自らの批判のアプローチ方法を述べたわけです。
例えば、批判のアプローチ方法に関して、「正しい基準」「正しいやり方」なるものが存在するのですか?
<しかし、冒険風ライダー氏は「神の御言葉」を絶対視してキャラ批判を行った。実際にはその「神の御言葉」は矛盾に満ちたものであるのに、だ。自分の教義に従わない者を異端扱いする中世的宗教の信徒と大して差のないメンタリティである。他の論者(私も含まれる)が反発を覚えたのはこの点であろう。>
ポイントを箇条書きとします。
①「神の御言葉」を絶対視している。
②「神の御言葉」は矛盾に満ちたものである。
③自分の教義に従わない者を異端扱いする中世的宗教の信徒と大して差のないメンタリティである。
①は、作品世界の全体像の把握には、必要な作業ですね。これを否定すると、作品世界の全体像を構築するという作業自体が、無意味になってしまいます。例えば、「神の御言葉」を「絶対視」しないで、独自(読み手それぞれ)の解釈で作品世界の全体像を構築すればよい、というのであれば、つまり客観性を無視するのであれば、他人を納得させようとする投稿を行うこと自体、無意味ではありませんか。
例えば、あの頃のROMさんのこの投稿「No3505」にしたところで、客観的基準に照らして、「冒険風ライダー氏の論の立て方と進め方は非常に間違っている」と、言いたいのではないのですか?それとも、単に(客観的)根拠なく、俺は気に食わない、という感想を述べたいだけですか?
②に関しても、この矛盾を解消するために、「「神の御言葉」を絶対視」することなく、独自の解釈でよいとするなら、やはり客観性の放棄を意味しますね。客観性を尊重するなら、矛盾は矛盾として、放置しておくより他ないでしょう。
③「客観性の追求」というのは、ある意味厳しいものですよ。現代社会の発展の理由の一つに、客観的に信頼するに値する物理法則の絶対視を行うようになったこと、があります。物理法則の絶対視においては、例えば地動説の存在する余地はないのです。だから、③の内容は、こうゆう掲示板で単なる感想を述べ合うのではなく、他者を納得させようとする議論を行うのならば、当然の手法です。
結局、あの頃のROMさんにしてみれば、冒険風ライダーさんの一連の投稿により、銀英伝に対する自分の世界観が危機に瀕したので、防衛措置をとっているだけではないのですか。
つまり、あの頃のROMさんの言う「正しい基準」「正しいやり方」とは、客観的基準とは関わりない、あの頃のROMさん自身の価値観に基づく批判手法のことですかね。
自己防衛を完全とするために、冒険風ライダーさんという一人の他者を納得させる議論をしたいのであれば、客観的に信頼するに値する論を展開すべきでしょう。
最後に、タイトルには非常な不快感を感じます。
私が冒険風ライダーさんの主張に賛意を表しているとかいないとかを別として
過去ログの移動要塞論は、本当に長かったですね~。読むのに徹夜しました。(^^;)
ノンストップであのときの皆さんは論戦をしていたみたいですね。
まぁ、実を言うと私は移動要塞は好きじゃないんですよ。例えばスターウォーズの帝国軍のデス・スター。戦闘機で破壊できる移動要塞って何?馬鹿じゃないの。なんて思いましたよ。
あと移動要塞と並んで嫌いなのが超巨大戦艦。そう宇宙戦艦ヤマトに出てきた白色彗星帝国の超巨大戦艦。月を砕いたり、地球の都市を破壊できる圧倒的な火力がありました。しかし、テレビ版ではテレサの特攻で倒されるし、劇場版ではヤマトの特攻+テレサで倒されました。特にヤマトの特攻では、何でその火力で粉砕しなかったのか疑問でした。普通トロトロと迫るヤマトなど打ち落とすでしょ。それを特攻を許すなどわけが判りませんね。そういえば都市要塞は、ある意味移動要塞でした。
しかし、移動要塞や巨大戦艦のようなデカブツは、ほとんど最後には崩壊していますね。特撮ヒーローものの敵組織の本拠地もこれに移動要塞系が多いですが、最終回で大爆発します。
そのためガイエスブルク移動要塞もすでに崩壊が決定していたのかもしれません。
本筋から離れましたね。失礼。
え~色々とありますが、どう書けばいいものか。当時だったらともかく、一度終結していますからね。
銀英伝のオフィシャル設定に沿って考えます。原作小説・アニメ・ゲーム・漫画、それに銀英伝関係の特集記事でしょうか。
過去ログからの文章のコピペはしません。もう一度引用部分を読み探すのが面倒くさいので。脳内で思ったことを書きます。
Q 帝国軍はガイエスブルク移動要塞が壊滅後なぜ造らなかったのか?
A 要塞がなかったから
なぜかというと、簡単です。丸い要塞が他になかったからです。宇宙空間で航行する船は、球体とか左右対称とかが必要でしたね。
アニメ版ではレンテンベルク要塞は確か小惑星を改造した、機動戦士ガンダムの「ア・バオア・クー」みたいな細長い要塞でした。ガルミッシュ要塞は、5つの球体がリングで繋がったような形の要塞でした。これではガイエスブルクのように、エンジンをリング上に取り付けられません。移動要塞化は不可能です。
他にもあるかもしれせんが、帝国内で主要な要塞はガイエスブルクを含めてこの3つでしょう。何故かというと帝国内戦という重要なときに他に要塞が出てこなかったからです。レンテンベルク・ガルミッシュ両要塞よりもランクが低い球体要塞では役に立ちません。要塞主砲を持たず、外壁も薄く3000隻ぐらいしか収容できない小さい要塞では、移動拠点としては役に立たないでしょう。
帝国軍が移動要塞の利点に築いて本格的な球体要塞の建設をはじめた場合、完成はイゼルローンを参考にすると20~30年後ですね。銀英伝にはまず間にあいません。
実は、帝国軍は冒険風ライダーさんの考えた移動要塞活用法(正しい・正しくないはともかく)に気づいたものの、国内に丸い要塞が無いことに気づき愕然とし、陰で何で丸い要塞がないんだ~と悲嘆の涙にくれたのかもしれません。
このため、移動要塞を造らなかった帝国軍指導部は馬鹿だと言う冒険風ライダーさんの考えは間違いです。一方的にラインハルトとかを馬鹿にする行為は、不当にキャラクターを貶めているので辞めましょう。
他にもありますが、後でまた書きます。
・・・あのー・・・
自らタガを外すようですが、これで何かを証明できるとお考えなら、それはあんまりです。
> 1.要塞には核融合炉が備えられている。
> 2.星間物質(主に水素)を取り込む手段が存在する。
>
> また、次のことも考慮してよいでしょう。
> 3.宇宙は完全な真空ではなく、場所によって密度の差(星に近い場所程高く、まったく星が存在しないところでは低い)はあれ、星間物質で満たされている(例えば真空中に水滴を垂らすとたちまち蒸発します。)。
ちょっと待ってください。
銀河系内の平均的な星間水素の密度をご存知ですか?
ラムスクープ場が使用できる条件をご存知で仰ってます?
恒星間空間では、星間物質の密度は急激に低下します。
あれが本当に効果的に動作するのは、水素が豊富にあり、しかもイオン化されている恒星付近です。
それ以外の条件でスクープ場を効果的に使うには、まず加速してやらなければなりません。
私もラムスクープ場や物質変換による補給の可能性について述べていますが、それは何の説明もなく物理学を破れる小道具ではありません。
> また、例えば太陽なども、完全に無補給の核融合炉ですよね。
> 無補給で何十億年といった時間の間、光を放射しつづけることができるわけです。
太陽の質量と核融合燃料の消費率を考えた場合、それは当然です。
しかし、それに比べてイゼルローン要塞の質量は文字通りチリほどです。
とても比較の対象にはなりません。
> これと同様に考えれば、
> 例えば、要塞には、建造時もしくはその後に、半永久的に核融合炉を駆動できる水素燃料が備蓄されている、と考えても良いのです。(この考えでも、作者の描く世界観を矛盾なく説明できるでしょう)
良くありません。
それは、いくらあの作品世界でも無理です。
そんな超絶的な技術があれば、移動要塞どころか全ての恒星系にエネルギー補給ポイントを兼ねた防衛要塞を置けるはずです。
幾らでもエネルギーが手に入るのですから、工業的にも経済的にも、
耐用年数さえ延ばせばペイしてしまいます。
「無限」や「無尽蔵」という言葉はそんな簡単につかえるものではありません。
工作艦で曳航できる程度のサイズの氷塊ならともかく、要塞ほどの質量を、いつでもどこでもスクープ場が使える程の速度に加速するのに、
どれだけの量のエネルギーが必要か、ご存知ですか?
通常の物理学で引き出そうとすれば、運動量MV^2と、アインシュタイン方程式E=MC^2及び核融合のエネルギー変換効率、これと要塞質量があれば、損失をどのくらい取るかにより答えに幅が出ますが、導き出せる数字です。
活動が活発な恒星の周囲を回っている場合、恒星周辺の星間物質の
密度によりますが、恒星が放出している太陽風(水素とヘリウム)を
十分に捕捉できる可能性もありますが、戦場においていつでもどこ
でもそんなベクトルが選べる訳はありません。
その手で移動要塞には出来ないのです。
少なくとも、現実の物理学では。
銀英伝では、ギミックとしてバサード・ラムが使われていますが、こう云った数字合わせは事実上行われていません。
それが破綻を避けるためか、「あの世界では可能」なのか(物理学が違うのか)、作者の計算ミスなのか、われわれにはそれぞれの解釈の余地は残されています。
しかし、「作中で可能だから可能なのだ。それ以上の説明はないし、現実の物理法則を持ち込めば破綻するから駄目なのだ」というような類の論法を用いるのであれば、貴方も、私も、何も証明する事も、議論する事も出来ませんし、貴方が持ち出したような「論拠」もまるで意味がありません。
どんな論拠を持ち出されようと、実はそれを作者ならぬ者が検証するには、自分の知っている事実の枠組みに頼るしかない。
作中に書いてある事で、作中に書いてある事実を補完し尽くすには限界があります。
小説はその世界の全てを記した「世界書」ではない。
隙間を埋めるために読者が現実の物理法則や自然現象を以ってする事が前提でなければ、所詮有限個の文字の集合でしかない小説で世界を仮構する事など、できるはずもない。
だからこそ、小説中で不自然な現象や物理が現れた時、作者はそれを説明する努力をするし、それが破綻しないように演出もするのです。
明らかにありえない現象を説明するための小道具も作るのです。
ファンタジーにすら、その努力は行われています。
やはり私には、作中にある出来事が何の説明もなくギミックもなく、現実の物理から外れた場合、それは「ありうべきこと」ではなく、「破綻や失敗」としか思えない。
そして、それは、作中にある出来事に対して立てられる議論などでも
同じことです。
> 防御力の低い(ものとして描かれている)「星」や、脆いことが明らかな「補給線」のどちらも必要とせず、「移動要塞」が活動できるからこそ、「移動要塞」が強力なのです。足手まといが一切ないのです。
>
> これがポイントであって、要塞(移動要塞)が星間物質を吸収したり、水素燃料を備蓄したりしては駄目、というわけではないのです。
確かに、それは可能です。
しかし、それを可能にする前提となるラムスクープ場は魔法ではありません。
できる事とできない事を弁えず、ただ作中でそれが使われているから
持ち出したとて、何かを「証明」できる訳はありません。
> ☆あの頃のROMさんの批判点の第一
> <しかし、その拠り所とする銀英伝という作品自体が致命的に間違っているのでどうしようもない。>
>
> 以上の説明で、「致命的に間違っている」部分がない、ことが明らかでしょう。
間違っています。
数字が。
銀英伝の巧妙さは、数字的破綻を出さないために細かい数字をあまり書かない事です。
実際にはあの作品におけるテクノロジーはギミックで、それを足場にして何かを論証していこうとすると破綻する可能性が高まります。
それだけに、移動要塞のような、作中でも1回しか使われず、しかも
細部が何も書かれていない道具の適用範囲を論考する場合、議論する
人が頼る証明の道具がなんであるかによって、論考の確からしさは大きく変わってしまう。
少なくとも、現実の物理学は貴方の論証に力を添えません。
作中でどうかと言う事に関して云えば、大した事は書いていないが故に、やはり力添えしてはくれないはずです。
そして、作品と現実の物理、またはその敷衍したものを比較すると、作中の事実に矛盾が生じてしまいます。
議論が盛り上がってきましたね。「タナうつ」はこうでなくては。あらためてスレッドを立ててくださった、パンツァーさんに感謝です。
さて、はじめに断っておきますが、冒険風ライダーさんの論点に対する私の回答は、あくまでも#3500で述べたように、
ユリアンやヤンの論旨は、「静止している」イゼルローンが、相当の長期間持ちこたえることを意味するが、「移動した」場合でもエネルギーが持続することの証明にはならない。
また、ガイエスブルグには、要塞外部からの補給があったから、ヤンによる再占領後のイゼルローンには適用できないし、ラインハルト軍にしても、征服地での略奪を自らに禁じる上は、エネルギーの現地調達は望めないので、ラグナロック作戦でも使用できない。
というものです。私が理解する限りでは、純粋に銀英伝の記述にしか基づいていないはずです。
ここから下は、あくまでも一つの思考実験で、「現代の設定を銀英伝に持ち込む」ことを、禁じ手とされる冒険風ライダーさんには、無用の発言と思われますので、どうぞ無視してください。ただ、このような考察に関心を持つ方もおられるのでは、という予想のもとに書いてみました。
都市機能を維持するのに必要なエネルギーと、要塞級の大質量を移動させるためのエネルギーでは、どれくらい異なるのでしょうか?
一つの参考として、(私が重宝している)CIAのサイトで、2000年のアメリカ一国の電力消費量をチェックしたところ、「3.63兆kWh」とありました。SI単位系に変換すると、
1.30x10^19 ジュール
となります。照明も、鉄道も、機械の運転もすべて含めた、あの資源多消費国での数字です。ただし、社会の中で消費されるエネルギーは電力だけではない(ガソリンもあるし、農業生産の場合は、太陽エネルギーの直接利用)ので、一つの仮定として、国全体のエネルギー消費量はこれの1000倍であるとしました。つまり、
1.30x10^22 ジュール
です。人口2億8千万の社会と、94万の社会を単純比較するのもおかしな話で、イゼルローンの消費量はもっと少ないのでしょうが、とりあえずの「目安」です。
次に、60兆トンの質量を、宇宙のある点から別の点へ移動させるには、どれだけのエネルギーを必要とするか、ですが、ワープ航法に関しては判断材料が全くないので、ここでは通常航法を考えます。つまり、目的地へ向けて要塞を光速まで加速し、目的地では減速して停止する、というものです。なお、通常航法のエネルギー消費は、より低速な移動であるという点で、ワープよりはエネルギー消費が小さい、という前提を使用します。
私の計算では、60兆トンの質量を光速まで加速するのに必要なエネルギーを、ニュートン力学で算出すると、
2.7x10^33 ジュール
となりました。減速分を加えると、この2倍ですから、
5.4x10^33 ジュール
となります。実際には、相対論効果で質量が増大しますので、消費エネルギーはこれよりはるかに大きくなり、しかも光速に達することはできません。
こうしてみると、社会機能維持のエネルギーは高く見積もり、要塞移動のエネルギーは、相対論を無視して、極端に低く見積もったわけですが、それでも移動に要するエネルギーは、社会機能維持に要するエネルギーより、11桁も大きくなっています。
やはり、静止要塞の機能が長期に持続することを根拠にして、移動要塞まで可能と断じるのは、無理があるのではないでしょうか?
> 議論が盛り上がってきましたね。「タナうつ」はこうでなくては。あらためてスレッドを立ててくださった、パンツァーさんに感謝です。
>
> さて、はじめに断っておきますが、冒険風ライダーさんの論点に対する私の回答は、あくまでも#3500で述べたように、
>
> ユリアンやヤンの論旨は、「静止している」イゼルローンが、相当の長期間持ちこたえることを意味するが、「移動した」場合でもエネルギーが持続することの証明にはならない。
> また、ガイエスブルグには、要塞外部からの補給があったから、ヤンによる再占領後のイゼルローンには適用できないし、ラインハルト軍にしても、征服地での略奪を自らに禁じる上は、エネルギーの現地調達は望めないので、ラグナロック作戦でも使用できない。
>
> というものです。私が理解する限りでは、純粋に銀英伝の記述にしか基づいていないはずです。
「『移動した』イゼルローンがエネルギーを持ちこたえることはできない」というのは、「既存の物理法則」を基準にした、あなたの推測ではないでしょうか?銀英伝中に、「要塞が移動する場合はエネルギーの消費が激しく増加し、外部からの補給を受けなければ、動くことも適わなくなる」という記述がない以上。あるのは、「イゼルローンに籠もれば相当長期間に渡って外部と戦える」という趣旨で登場人物が発言しているだけです。冒険風ライダー氏の論に対して、こういうことを主張したところで、何の意味もないのではないか、と思われますが。
>Kenさん
いえいえ、こちらこそ、最初の挨拶とも言うべき投稿でつい感情的に非難するような形になってしまって申しわけありません。
それと、確かに掲示板で直接会話するのは初めてですね。こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。
<ただ、私の論点は、「50年は持ちこたえられる」ことを意味するユリアンの発言は、「イゼルローン要塞が一箇所に停止していること」を前提としたものではないか、しかし要塞を移動させるとなると、前提自体が変わってしまうのではないか、ということでした。そして、この点ではヤンの言葉も同様ではないでしょうか?
イゼルローンのエネルギー源が、内部のストックであれ星間物質であれ、その総量あるいは単位時間あたりの採取量は、要塞の生命維持装置を稼動させたり、食料プラントを運転したり、艦船にエネルギーを補給するには十分だが、60兆トンの質量を宇宙のあちこちへ移動させるには全く不足しているのではないか、実際に動かせば、たちまち「ガス欠」になるのでは、ということでした。
ガイエスブルグにそれができたのは、要塞外部からの補給があったからではないでしょうか?それも、帝国本土にいる間の話で、補給を受けられないイゼルローン回廊へ乗り出せば、後は自分で運べる燃料に頼るしかありません。それでもイゼルローンの位置まではエネルギーがもったが、同盟領まで行くだけの航続距離はない。だから、ラインハルトも、その後の作戦に使用できなかったのでは?>
う~む、実はこれに関しても過去にある程度議論はなされているのですが……。ただ、具体的にどこら辺でそれ関連の議論が行われているかを指し示すのはちょっと難しいですね。場所自体は分かっているのですが、この銀英伝考察3関連スレッドは、まとめレス方式で色々なテーマを持った議論が並立しながら進行していますから、結構見づらくなってしまっていまして(>_<)。そんなわけで、その時に私が行った反論を簡略にまとめてみることにしましょうか。
まず、Kenさんが問題にしている燃費の問題についてですが、そもそもあれほど「補給」というものが地の文とキャラクターの主張によって繰り返し強調されている銀英伝で、実は宇宙艦船の燃費や補給に関する問題が全く語られていない事実をご存知でしょうか? 銀英伝1巻の帝国領侵攻作戦、銀英伝4~5巻にかけての「神々の黄昏」作戦、銀英伝8巻の「回廊の戦い」など、どれもこれも侵攻側は長大な距離を駆って敵領に入って攻撃を仕掛けています。特に帝国領侵攻作戦時の同盟軍と、「神々の黄昏」作戦後半における帝国軍は、どちらも敵によって補給線が寸断されるという事態に陥っており、食糧事情を主とした補給問題が繰り返し語られています。
ところがですね、このような事態に至ってさえも、補給路を断たれた作中のキャラクター達は「宇宙艦船の燃費の問題」を全く取り上げないどころか、問題視する気配すら全くなかったのですよ。「アレほどまでに」補給を重視する銀英伝で「宇宙艦船の燃費の問題」が誰にも全く語られないという「作中事実」は一体何を意味すると思いますか?
ここで私は、銀英伝世界における「宇宙艦船の燃費の問題」は、実は「アレほどまでに補給を重要視する」作中キャラクターの誰にも全く問題視されないほどに小さなものでしかない、つまり「無限大に限りなく近い長大な航続距離を誇るため、燃費は全く問題にならない」という仮説を出し、さらにその論の補強として、作者である田中芳樹自身が他の作品(七都市物語)では燃費関連の問題を「補給の問題」としてきちんと提示していること(さらに七都市物語には「無人かつ最低200年近くも稼動し続ける」という設定のオリンポス・システムなるものも登場する)、田中芳樹が銀英伝のモデルにしたと思われる「宇宙戦艦ヤマト」では「航続距離無限」を誇る「波動エンジン」なるものが登場していること、現代でも(そして田中芳樹が銀英伝を執筆する前にすらも)燃料補給を必要とせずに稼動できる原子力空母などの存在があることなどを挙げて、田中芳樹自身の意図で「銀英伝世界における宇宙艦船の燃費の問題」が削除されていたという具体的根拠としました。
そしてここから私は、「銀英伝世界における宇宙艦船の燃費の問題」がそんな風に扱われている以上は、いくら艦船や要塞の質量が巨大になろうが、燃費の問題は全く考慮する必要はないだろう、という結論を出したわけです。
で、ここから今回のオリジナルな補足となるのですが、実は銀英伝世界自体にも、燃費問題を否定する作品設定は存在するのですよ。ひとつは「それ自体が宇宙空間内の星間物質を取り込んで燃料化するバザード・ラム・ジェット・エンジン」、もうひとつが「長征一万光年」で使用されたイオン・ファゼカス号やその後新規に建造された80隻の恒星間宇宙船です。特に後者に関しては、燃料問題が補給問題としてクローズアップされると、「確たる根拠地も味方もなくひたすら進む一方だったのに、一体どこで燃料を調達&補給したのか」という問題が発生してしまいます。この問題が綺麗に片付かなければ、銀英伝本編が始まる前に「伝説が終わり、歴史が始まる」ということになってしまいますので、燃料問題をもって移動要塞の潜在的脅威や存在意義を否定することはかなわないでしょう。
これをもって、Kenさんの主張に関する私の反論と致しますが、いかがでしょうか。
>八木あつしさん
はじめまして。こちらも掲示板でのやり取りは初めてとなりますね。
何はともあれ、今後ともよろしくお願い致します。
<Q 帝国軍はガイエスブルク移動要塞が壊滅後なぜ造らなかったのか?
A 要塞がなかったから
なぜかというと、簡単です。丸い要塞が他になかったからです。宇宙空間で航行する船は、球体とか左右対称とかが必要でしたね。
アニメ版ではレンテンベルク要塞は確か小惑星を改造した、機動戦士ガンダムの「ア・バオア・クー」みたいな細長い要塞でした。ガルミッシュ要塞は、5つの球体がリングで繋がったような形の要塞でした。これではガイエスブルクのように、エンジンをリング上に取り付けられません。移動要塞化は不可能です。>
う~む、これはどうでしょうか。レンテンベルク要塞に関しては、原作にも「フレイア星系の小惑星のひとつをしめている」(銀英伝2巻 P101)という記述がありますから、この意見にも賛成できないことはないのですけど、ガルミッシュ要塞の場合は「球形の人工惑星」(銀英伝2巻 P150)と原作に書かれていますし、P152~P153にかけては、そのものズバリ「球形の人工惑星」のイラストが描かれています。ページ上の記述や関係から言っても、これがガルミッシュ要塞の事を指しているのは間違いありません。
確かにアニメ版のガルミッシュ要塞は八木さんが仰る通りの形状をしているのですけど……。この場合はどちらの設定を重んじれば良いのでしょうね?
<他にもあるかもしれせんが、帝国内で主要な要塞はガイエスブルクを含めてこの3つでしょう。何故かというと帝国内戦という重要なときに他に要塞が出てこなかったからです。レンテンベルク・ガルミッシュ両要塞よりもランクが低い球体要塞では役に立ちません。要塞主砲を持たず、外壁も薄く3000隻ぐらいしか収容できない小さい要塞では、移動拠点としては役に立たないでしょう。>
いや、たとえこれでも立派に役には立つのではないですか? すくなくとも3000隻分の艦船と人員の補給をまかなうことはできるのですし、「ゲリラ戦に使える」という用途も相変わらず存在するのですから。
いっそのこと、この手の小規模要塞を「移動する後方補給基地」として大量に活用して補給事情を一気に解消してしまうという手もできなくはないでしょう。ラインハルトは門閥貴族から没収した豊かな財源があるのですし、要塞改造という「公共事業」を大々的に展開することによって「平民向けの景気対策」とすることだって可能です。
これが「銀英伝の戦争概念を覆す」ことはまず間違いありません。
<帝国軍が移動要塞の利点に築いて本格的な球体要塞の建設をはじめた場合、完成はイゼルローンを参考にすると20~30年後ですね。銀英伝にはまず間にあいません。>
前にも引用しましたが、銀英伝外伝2巻P41の記述によると、イゼルローン要塞は4年ほどで建造できたようですので、豊かな財源を持つラインハルト政権が、大規模な公共事業として複数の要塞を一度に建造させてしまえば、遅くとも5年以内には5~10前後のイゼルローンクラスの要塞を建造することも不可能ではないのではないでしょうか。それこそイゼルローン要塞の設計図でも使って同一規格の要塞でも建造してしまえば良いわけで。あるいは前述のように、小規模の「移動する後方補給基地」を大量に建造するという手段も考えられます。兵器も水準レベルの武装でも搭載させておけば、ある程度は敵の奇襲などにも対抗できるでしょうし。
まあこれでも銀英伝のストーリー展開に追いつくのは難しいでしょうが、すくなくとも長期的視野に基づいてこのような計画を検討するなり発動させるなりくらいは、ラインハルトも絶対やるべきだったのではないかと思うのですけど。
<実は、帝国軍は冒険風ライダーさんの考えた移動要塞活用法(正しい・正しくないはともかく)に気づいたものの、国内に丸い要塞が無いことに気づき愕然とし、陰で何で丸い要塞がないんだ~と悲嘆の涙にくれたのかもしれません。
このため、移動要塞を造らなかった帝国軍指導部は馬鹿だと言う冒険風ライダーさんの考えは間違いです。一方的にラインハルトとかを馬鹿にする行為は、不当にキャラクターを貶めているので辞めましょう。>
まあこの可能性はありえるかもしれませんね。すくなくともレンテンベルク要塞に関しては、八木さんの主張がある程度該当しそうなので。
ただ、八木さんの主張では言及されていないのですが、「シャフトに移動要塞論を提唱された時点で、本来軍事的天才であるはずのラインハルトはその大いなる可能性に気づくべきだった」に関してはいかにお考えでしょうか? もしラインハルトがこれに気づいていれば、そもそも「貴重なガイエスブルク移動要塞が、あんな無意味な戦いで優秀な人材共々無為に失われること」自体が未然に防止できたのではないかと思うのですけど。
> しかし、冒険風ライダー氏は「神の御言葉」を絶対視してキャラ批判を行った。実際にはその「神の御言葉」は矛盾に満ちたものであるのに、だ。自分の教義に従わない者を異端扱いする中世的宗教の信徒と大して差のないメンタリティである。他の論者(私も含まれる)が反発を覚えたのはこの点であろう。
>
> 冒険風ライダー氏は作中の矛盾を指摘し、その上で「こういう展開も考えられたのではないか?」と言う論の立て方で話を進めるべきだった。そうすれば、もう少し場が荒れずに済んだだろう。
>
> しかし、不幸にして私の解釈が誤っており、氏が「核融合は無限動力」と信じているのであれば、貴方にはこういう問題を論じる資格はない、と申し上げるしかない。
そんなことがある訳ないじゃないですか。それは承知の上で、「作品世界の設定」を前提条件として、論を組み立てているんですよ、冒険風ライダー氏は。「現実の物理と考えた場合、そんなことある訳がない」という主張には、冒険風ライダー氏本人も、賛成すると思いますよ。そもそも、銀英伝に限らず銀河系を舞台にするSFでは必ずと言っていいほど出てくる「空間跳躍(ワープ)」の手法について、未だ既存の物理理論で実行可能と判断されるようなものがある、とは聞いたことがありませんし。そういう意味から言えば、最初から「科学的理論」に関する限り、全部「うそっぱち」なんですって。そこで田中芳樹としての「うそっぱち」は、「要塞は無補給で長期に渡って活動可能」「奴隷化されていた連中が、あっという間に巨大な宇宙船を造ることができるくらい、科学技術が進んでいた」「短時間で、巨大な要塞を移動要塞化して、実用兵器として進攻作戦に使うことができた」と言っているんです。それは「作品世界の事実」として、受け止めねばならんでしょうに。
「空想科学読本」的ツッコミをしても、何の意味もないとは思いませんか。剣と魔法のファンタジー作品を前にして「魔法なんか存在する訳がない!何で人間の指先から炎や氷や電撃が噴き出す。物理法則を無視しているじゃないか!!」と言い張っても、何の意味もないのと同じでしょう。
冒険風ライダー氏の言いようが、断定的で高圧的、かつ銀英伝の主役クラスの登場人物を莫迦にしきっているように感じられて不愉快だ、という心情は分からんでもないですが、そのように論じるのも、「冒険風ライダー」氏個人の個性としか言いようがありません。だからと言って、「空想科学読本」的ツッコミを繰り返すことが正しいとは言えないし、前提条件が違う上でやり合いを続けたところで、反論にも何にもなっていないのではないか、と思われますけど。
> しかし、「作中で可能だから可能なのだ。それ以上の説明はないし、現実の物理法則を持ち込めば破綻するから駄目なのだ」というような類の論法を用いるのであれば、貴方も、私も、何も証明する事も、議論する事も出来ませんし、貴方が持ち出したような「論拠」もまるで意味がありません。
> どんな論拠を持ち出されようと、実はそれを作者ならぬ者が検証するには、自分の知っている事実の枠組みに頼るしかない。
> 作中に書いてある事で、作中に書いてある事実を補完し尽くすには限界があります。
> 小説はその世界の全てを記した「世界書」ではない。
> 隙間を埋めるために読者が現実の物理法則や自然現象を以ってする事が前提でなければ、所詮有限個の文字の集合でしかない小説で世界を仮構する事など、できるはずもない。
> だからこそ、小説中で不自然な現象や物理が現れた時、作者はそれを説明する努力をするし、それが破綻しないように演出もするのです。
> 明らかにありえない現象を説明するための小道具も作るのです。
> ファンタジーにすら、その努力は行われています。
>
> やはり私には、作中にある出来事が何の説明もなくギミックもなく、現実の物理から外れた場合、それは「ありうべきこと」ではなく、「破綻や失敗」としか思えない。
>
> そして、それは、作中にある出来事に対して立てられる議論などでも
> 同じことです。
ですからね、誰もこういう議論を否定している訳じゃないんですよ。「作品世界の出来事を前提条件とする」のか、「現実の物理法則や科学的根拠を前提条件とする」ということが、全然違ってしまっているだけで。「現実の物理法則や科学的根拠を前提条件とする」議論をしたいのなら、それはそれで構わないんです。別スレッドで進めればいいだけで。しかし、その議論で前提条件がまるで違っている、冒険風ライダー氏の論を批判しても、無意味だというだけです。
氏の論を批判したいんなら、「作品世界の設定」を前提条件にしなければ、話にならないと思いますが。一度、銀英伝を「剣と魔法のファンタジー作品と同類である」、とお考えになってみてはいかがですか。その作品世界を前提条件として「魔法の使用方法」の議論をしているところに、「科学的根拠から言って、そんなことはありえない!」と叫んでみても、意味がないことはお解りでしょう?それと、同じことを、あなたはやっているように思えますよ。