<原作における戦闘艇の少なさについて>
え~戦闘艇の数に関しては、改めてレスをたてます。まぁ移動要塞論が終結してからですね。
<移動要塞の速度>
ゲーム版の移動要塞はとりあえず横にどかします。ちなみに私が参考にしたのは、セガサターンとプレイステーション用に製作されたシミュレーションゲーム「銀河英雄伝説」でした。
個人的には貴族連合軍を使ってラインハルト軍を打ち破るシナリオを用意して欲しいです。
<小惑星(氷塊)攻撃>
通常航行の無人戦艦特攻と光速に近い速度で突っ込む小惑星(氷塊)では、同じように論じられません。トゥールハンマーの発射後、200秒の充電中に第2撃がやって来ますよ。それに衝突時の衝撃が全く違いますし。
またイゼルローンの要塞主砲以外の砲塔からの攻撃が、アルテミスの首飾りの高出力レーザー砲よりも高いとは思えません。削れても破壊はできないでしょう。それに1万以上の砲塔があるといっても、球体の全周囲に1万です。まぁアニメ版の流体金属に浮かんでいる浮遊砲台システムならば砲塔の集中ができますが、原作版では無理でしょう。
<ガイエスブルク移動要塞の移動>
これはアニメを見たときの感想にも近いので、取り下げてもいいのですが……。しかし捨てきれないなぁ。
<要塞の役割・運用について>
私はイゼルローン要塞を自衛も可能な巨大補給基地だと考えています。あくまでも要塞主砲や防御外壁は二次的なものにすぎないと。
第3巻でのシャフトの台詞やイゼルローン要塞建造の理由などから、帝国軍宇宙艦隊の活動限界点は、オーディンからイゼルローン回廊同盟側出口だと推測できます。その艦隊の補給問題を解消するために、中継補給基地としてイゼルローンが建造されました。
これまで同盟軍がそれこそ小惑星攻撃の波状攻撃を掛けて要塞を破壊しなかったのも、将来の帝国領侵攻における補給拠点が必要だからこそ無差別破壊攻撃をしなかったのでしょう。あと同盟には要塞建造のノウハウがまるでなかったのも理由かもしれませんが。
冒険風ライダーさんがこうすればよりベターに、よりベストになったと主張されるのに対して、私は移動要塞にしたくとも様々な条件で出来なかったので原作の流れが一番のベターになってしまったと考えています。
3645の追記で書いたのは、同盟側ではイゼルローン共和政府時代でしか移動要塞に出来ないと言いたかったのです。笑い話みたいですが(笑)。
それにしても何か勝手が違っています。ここ半年のタナ撃つBBSに出てきた銀英伝IFシミュレーションにほぼ常に参加してきた身としては、今の自分の進め方に???なところもあるのも確かです。
普通ならば移動要塞の可能性のIFに挑戦しているのが私なのですけどねぇ。(;´ー`)y-~~~
とここで論戦の途中ですが……スミマセン。m(_ _)m
私の諸事情(自サイトの更新・文芸部への作品提出・引っ越しの準備)で、少しばかり時間が取れない状態になってしまいました。(それにここに書き込みばかりしているのを同志や部員にバレたのもあります(汗))
次のレスが何時になるかは神のみぞ知ります。
今、銀英伝を読み返して思ったんですが、ヤンが移動要塞を
考え付くよりも、むしろ自分でアルテミスの首飾り攻撃時に使い、実証
した亜光速ミサイルを使ったシステムをどうして思いつかなかったか
不思議に思いました。
どういうものかというと、ヤンが間に合わせで作ったものよりはもう
少し上等に製造した亜光速ミサイルと、FTLデータリンクとセンサー
を積んだ小型軽量で高起動な機体、まあ、新開発しないならスパルタ
ニアン改造型をたくさん、これだけです。
どれも安く簡単につくれる物だけですが、艦隊も移動要塞も撃破でき
る。なぜかといえば、亜光速ミサイルを、目標自体は探知できません。
正確には可能ですが、回避も迎撃もする時間は無い。銀英世界において
超光速の探査手段はないため、光の速さとほぼ同じ速度で進む亜光速
ミサイルを目標自体のセンサーで発見したときにはもう命中寸前で
あるからです。
同時にこれは亜光速ミサイル自体にセンサーをつけても何も見えない
ということを意味します。
そのままならまっすぐ飛ぶしか能の無いミサイルにすぎませんが、
FTLデータリンクを積んだセンサーがあれば違います。
目標の位置を観測し、その情報をFTLでミサイルに伝達、同時に
センサーそのものの位置をも伝達します。FTLはもろもろの記述から
超光速ではあれど有限の速さなので、センサーから送信された時刻と
ミサイルで受信した時刻の差から距離が出ます。それを最低三つの
センサーからの情報があればミサイルの現時点の位置がわかります。
ミサイルをある程度軌道変更が可能なようにつくれば、目標への誘導
ができます。
回避も迎撃もできない、理論上の射程は無限大の必殺の魔弾の出来上がりです。
艦隊も移動要塞も発見され次第、破壊されてしまう、それを避けるためには、ワープ不可能な星系内(星系入り口にワープアウトしてから
通常航行で星系内に侵入してくる。それから星系内でワープで逃げ出したとかワープを使った戦闘機動というのはない)には侵入できません。
移動要塞破壊シミュレーション
移動要塞が星系入り口にワープアウト、星系内部に侵攻を開始する。
要塞から艦隊が出撃し、索敵機を放つ。
それを発見した星系側は、多数の戦闘艇を発進させ、要塞側の索敵機を
撃破もしくは追い払うことで、要塞側の索敵ラインを下げさせる。
十分に下がったところで、艦隊攻撃用多弾頭型亜光速ミサイルを発射、
戦闘艇は艦隊の至近で測定およびミサイルの誘導を開始する。艦隊や要塞では小型戦闘艇の効果的な迎撃はできない。できるなら、ワルキューレの迎撃にスパルタニアンは使わない。小型戦闘艇で艦艇はおろか、
要塞に傷をつけることはできないが、それはこの場合問題ではない。
亜光速ミサイルは最終段階で、多数の弾頭を放射、慣性の法則により
亜光速で飛んでくる弾頭により戦艦は次々に爆散し、要塞以外に配置
されたセンサーは無くなる。亜光速ミサイルにとっては要塞に配置さ
れたせンサーは無いに等しい。その時点で要塞破壊用の亜光速ミサイル
が飛来する。要塞がどれだけの速度を出そうとも亜光速ミサイルに
とっては止まっているに等しい。もし、亜光速ミサイルを回避
できるというなら、ほぼ同じ速度のトゥールハンマーも回避できる
はずだが、そのような記述はない。さらにいえば回避しようにも
見えたときにはもう遅い。
さて着弾するが威力については、要塞対決の時に、工作艦で運べる
程度の兵器でイゼルローンの装甲に直径3キロメートルの巨大な
すり鉢上の穴が開いたとあるので、装甲も無敵ではない。破壊も可能
である。少なくとも、工作艦で運んだ兵器を亜光速ミサイルにつめば
それ以上の損害を与えることは可能である。回避も迎撃もできない
兵器に一方的にやられるのだから破壊は時間の問題でしかない。
何発目かの着弾したときついに、核融合爆発を起こし、移動要塞は
歴史の一ページとなった。
これはイゼルローン要塞破壊のシミュレーションでもあります。
ヤンは自分でイゼルローンは難攻不落の鉄壁の要塞ではないという
事を実証したにもかかわらず、そのことをクーデター後に同盟政府に
具申した形跡も無いし、あまつさえ、そこにこもるんですから、
不思議だとしかいいようがないです。だれか、ヤンがどうしてそうした
のか説明してほしいです。
> 繰り返し言いますが、「回廊の戦い」でヤンが勝てる可能性も、民主主義が生き残れる可能性も、どちらも一片たりとも存在する余地すらありません。可能性が全く存在しない「回廊の戦い」と、とにもかくにも可能性が存在する移動要塞戦略のどちらを取るべきだったか、答えは一目瞭然なのではありませんか?
(A) 「回廊の戦い」の勝算=0%
(B) 「移動要塞化」の勝算>0%
であるから、B>Aであることは明らかと冒険風ライダーさんは上の文章で主張されているようですが、本当に勝算が0%であるなら、何故、ヤンは降伏でも逃亡でもなく、「回廊の戦い」を選択したのでしょうか。それこそ、「滅びの美学」でも堪能したかったのでしょうか。
それは明らかにヤンの人物像とかけはなれています。彼は彼なりに「回廊の戦い」において勝利と民主主義の生き残る可能性を見出したからこそ、戦ったのです。それについてやや長くなりますが、思うところを述べたいと思います。
(1) 「回廊の戦い」の意義と勝利条件
「勝算」を計算するためには、まず「勝利」とは何であるか定義する必要があります。
ラインハルト、ヤンの双方において「回廊の戦い」の目的と勝利条件について銀英伝8巻を元に簡単にまとめてみましょう。
【ラインハルト】
目的 :宇宙統一の画竜点睛。バーミリオンの雪辱を果たし矜持を守る。戦争欲。
勝利条件:用兵の妙を以って、艦隊戦により正面からヤンを打ち負かす。
ラインハルト側についてすぐに分かる事は、その目的も勝利条件も非常に個人的なものだということです。「回廊の戦い」の目的は彼の自己満足以外になく、彼がもう少し戦意を抑え、深い度量を持って事に臨んでいたなら、戦う前にヤンと会談の場を持ち、その(ささやかな)要求を呑んだやもしれません。つまり、帝国側にとっての「回廊の戦い」の意義は、それこそ『専制君主のわがままをかなえるため』でしかないということになります。
それが分かっていたからこそ、ヒルダも双璧もマリーンドルフ伯さえも親征に対しては批判的であったわけです。
では、それに対抗する立場のヤンの目的と目指した勝利条件は何だったでしょうか。
【ヤン】
目的 :来るべき専制の冬に備えて民主主義の芽を残す。
勝利条件:戦術的勝利を重ねる事によりラインハルトを講和の場に引きずり出す。
ヤンの目的はラインハルトや帝国の打倒ではなく、内政自治権を有する民主共和制の一惑星の存在を認めさせるというささやかなものです。そのために、ラインハルトを講和の場に引きずり出すことが彼が目指した勝利条件です。
では、どのようにすればラインハルトを交渉のテーブルにつかせることができるのでしょうか。ラインハルトの為人、および昨今の情勢をよく理解していたヤンにとって、それは明白でした。つまり窮鼠猫を噛むの例え通り、少数の戦力であっても、回廊の地形を活かし、戦術上の計略をめぐらして帝国軍を迎え撃ち、多大な損害を与えた上で、上に書いた『この戦いをこれ以上進めたとしても、失うもの/失ったものは多く、それに比べて得られるものはあまりに少ない』という事実をラインハルトを含めた帝国軍(これには幕僚から一般兵士まで全てを含みます)に再認識させ、この戦いの意義について考え直させれば良いのです。ラインハルトも暗愚な君主ではないのですから、そうなれば、不毛な泥仕合の事態を解決するために話し合いと講和という流れになる可能性は高いといえるでしょう。
> 第一、ヤン側にはラインハルトを交渉のテーブルにつかせることのできる外交カードが何ひとつ存在しない状態であったというのに、一体どうやってラインハルトと「民主主義を残すのが目的」の交渉を行うように話をもっていくことができるのでしょうか? ラインハルトと戦い続ける「だけ」では圧倒的物量作戦で圧殺される可能性が濃厚ですし、事実そうなりかけたではありませんか。もしあの時にラインハルトが突然病に倒れ、ラインハルトの側から停戦を申し出るなどという「類まれなる僥倖」に恵まれなかったら、そのままヤンは敗北の道を転がり落ち、民主主義(とヤンが呼んでいるシロモノが本当に「民主主義」という名に値するものなのかどうかは知りませんが)もまた抹殺されていたはずなのですけど、それでも「ベター」な選択だといえる根拠は何なのですか?
まず、ラインハルトが停戦を申し出たのは、単に病に倒れたからではありません。8巻P108の記述にある通り、その時に夢に出てきたキルヒアイスに無用な戦について諌められたからです。そのような夢を見た理由については、ヒルダが親切に分析してくれています。
> 科学的に説明しえることである。意識の氷面化に混在する思惟と感情のうちから、複数の水流がからみあって上昇する。永遠に失われた友人に対する哀惜の念、それにともなう自己の過失への、増殖してやまない悔い。ヤン・ウェンリーという敵手に対する敬愛の思い。ファーレンハイト、シュタインメッツ両上級大将をはじめとする数百万の戦死者に対する自責の念。戦闘の推移の、いつにない鈍重さに対するいらだち。戦闘以外に事態を解決する有効な手段がないか、と思案する戦略家としての識見。
> それらの混沌のうち、もっとも明澄な部分が、ジークフリード・キルヒアイスという人格の中に統一され、結晶化される。ラインハルトは無意識のうちに、彼自身のかたくなさを説破して態度を変更させるための、もっともすぐれた方法を擬人化させたのだ……。
病気も夢も、単にきっかけに過ぎません。この時点で、ラインハルトには停戦と会談を申し出るだけの充分な理由はあったわけです。そしてそれは、紛れもなく、ヤンが諦めることなく戦い抜いた結果なのです。
もちろん、ラインハルトが停戦を申し出なかった可能性も充分考えられる以上、ヤンにとって「回廊の戦い」は賭けでもありました。しかし、紛れもなくその「勝算」は0%ではありませんでした。(実際、停戦と会談は申し込まれたのですから)
勿論、彼我の戦力差は明らかであり、ラインハルトが何が何でもヤン達を倒すつもりだったら、ヤンがそれに抗することは不可能だったでしょう。その意味で、冒険風ライダーさんが、『敵側のラインハルトの胸先三寸に全てを依存しているだけでしかないヤンの方針』と言うのは全くその通りと申し上げるしかありません。
しかし、そんな事はヤン自身が一番よく分かっていた事です。その上で、彼はその『ラインハルトの胸先三寸』を動かす方法こそを構想し、かつ、実現させたわけです。
私は、これは『勝利』と呼んで恥じる事のない業績と思います。
(2) 移動要塞化の勝算はどれくらいのものなのか?
> そして、移動要塞を使って「帝国領内のゲリラ戦」を展開し、要所要所を徹底的に破壊する、もしくはそれを辞さない強硬な態度を内外に示せば、それこそがラインハルトを本当の意味で屈服させ、交渉に応じさせる強力な外交カードとなりえるのです。最悪、「交渉に応じなければ、我々は未来永劫戦い続け、帝国および帝国250億の民全てを文字通り『消滅』させる所存である」というくらいの強烈な脅しの類でも行わなければ、あの「戦争狂」のラインハルトを「実力で」交渉のテーブルにつかせるなど、できるわけがないのです。
上記のような焦土戦には私は全く賛成できません。それは「そんなことを行うのは情において忍びがたい」というような感情レベルの話だけでなく、もっと実利的な面からもそう言えます。
まず、例え脅しであっても、民主主義の基盤である無辜の人民を虐殺するという宣言など、ヤン達の因って立つ理想、大義名分を自ら放棄するに等しい所業です。このような脅しをしたが最後、イゼルローンは『民主主義の最後の砦』どころか『邪悪な政治テロリスト達の巣窟』として認識され、ヤン達は全宇宙の人民達からの支持をほとんど全て失うでしょう。それどころか、内部にも多くの離反者を生み出すことになりかねません。
次に、そのような卑劣な脅しをかけられたら、なおのことラインハルトは交渉のテーブルにつくわけにはいかなくなります。それは、政治テロリストの要求に帝国が屈するということを意味するからです。
ラインハルトの認識の中で、イゼルローンは「単に目障りなだけの虻」から、「帝国臣民に仇なす毒蛇」になるでしょう。そうなったら、もう彼は「正面から艦隊戦で勝負」などという甘さは捨て、圧倒的な物量を活かしてイゼルローン包囲網を完成させ、今度こそ小惑星特攻だろうと何だろうと手段を選ばずにイゼルローンを抹殺しようとするでしょう。例え神出鬼没の移動要塞だろうと、全宇宙から御尋ね者の身、いずれ疲れ果てたところを捕捉され、沈められるというのがこのシナリオの結末のように思えます。
いうなれば、それが帝国本土から遠く離れた「回廊の戦い」に限定される限り、ラインハルトの自己満足のために始めたものなのですから、やめるのも妥協するのも『ラインハルトの胸先三寸次第』です。
ですが、舞台を帝国本土に移し、無関係の人民を巻き込み始めたら、ラインハルトには自らの臣民を守る義務がある以上、簡単にやめることも妥協する事もできなくなります。
そうなると、彼我の物量差が効いてきます。移動要塞にどれだけの可能性があろうと、一機のハードウェアで宇宙情勢全てをひっくり返す事は不可能です。
(3) まとめ
繰り返しになりますが、銀英伝8巻の時点で、既に宇宙の趨勢は決まっています。彼我の物量差は明らかで、弱小勢力が独自路線を貫こうと思ったら、昔から言われる『侮られるほど弱からず、恐れられるほど強からず』という方針を慎重に実践して行くしかないと思います。
ですから、移動要塞が、冒険風ライダーさんが言う程にそんなにも強力であるというなら、それが強力であればあるほど『恐れられるほど強からず』に引っかかる危険性も強くなるわけです。(焦土作戦のようなひどい作戦をするならなおさらです)
そのような要素も考えると、最初に書いた(B)「移動要塞化」の勝算(>0%)が、(A)「回廊の戦い」の勝算(>0%)よりも、本当に上であるか否かは、分からないと申し上げるしかない。それを一刀両断にB>Aと断定するには、Aの具体的な勝算の程は勿論のこと、Bにおけるイゼルローン移動要塞化の実現の不確実さ、かかる人手・時間・資金のコスト、(2)に書いたような作戦上の危険性も含め、あまりに不確定要素のパラメータが多すぎると思うからです。
なればこそ、私は「回廊の戦い」を選択したヤンを一方的に無能、愚劣と嘲笑する気にはなれません。それは、歴史上の人物を、当時の事をよく知らない後世の人間が、後知恵を巡らせて断罪しているようにも思えるからです。
> どういうものかというと、ヤンが間に合わせで作ったものよりはもう
> 少し上等に製造した亜光速ミサイルと、FTLデータリンクとセンサー
> を積んだ小型軽量で高起動な機体、まあ、新開発しないならスパルタ
> ニアン改造型をたくさん、これだけです。
えーと・・・
これも、実を言うと議論しようとすると前提の調整が要ると思いますが(笑)、
まず、われわれの知る物理では、光速近くになると二つの破壊的要素が効き始めます。
一つは星間物質です。
薄くはありますが、光速付近ではウラシマ効果により航行する物体の時間が遅くなるのと相俟って、相対的に、
「一定の時間内に物体前面からぶつかってくる星間物質の量と相対速度は莫大になる」
事になります。
バサード・ラムの場合、機体前方に展開されるラムスクープ場(銀英伝の表現では「バスケット状の磁場」)が星間物質をキャッチし、
言わば真空地帯を作ってくれるのでいいのですが、それなしだと、
光速近くでぶつかってくる星間物質の抵抗で、物体は簡単に破壊されます(実際、プラズマ化するほどの相対速度です)。
もう一つは電磁波です。
星虹と呼ばれる現象ですが、亜光速航行する物体は、次第に波長が短くなる前方からの電磁波にさらされます。
これは探知障害になり得ます。
(いずれも本当に光速に近づいてから顕著になる現象ですが。)
ヤンが使った氷塊は巨大なので、前方からぶつかって来る星間物質を、言わばラムスクープ場で衝角のようにかきわけながら直進できるかも知れませんが、
スクープ場を係留する物体の質量が小さいと、ちょっとした乱流(こんな速度では、星間物質は凄まじく濃い流体も同然です)が生じても、進路は途方もない勢いで跳ね出してしまうはずです。
要するに、小さいミサイルだと進路が予測不能なぶれ方をする可能性が大です。
「誘導が効きづらい」と言う現象については、理由は違うけれどSAIさんも考慮しておられるようですが、
要するにこの種のミサイルは、
・助走距離が要る=いきなり亜光速では撃ち出せない。
(作中でヤンが使った氷塊もかなりの加速距離を取っている)。
・ミサイルも弾頭も、一瞬でもスクープ場が消えたら、星間物質の抵抗で跡形もなくプラズマと化して消滅する=SAIさんが仰るような使い方は難しい。
・誘導が難しい=星間物質の抵抗で、予測困難な進路のブレが生じる。
ブレを補正しようにも、星虹による探知障害でセンサーは使用不能、
ウラシマ効果によりミサイル自身の時間がのろくなっているので
反応も遅くなる。
ましてイゼルローン回廊のように星間物質が航行障害になりかねないほど濃い(とされている)領域があちこちにあるようなところだと、
小型のミサイルが何かにぶつかって爆発する可能性も大です。
(何しろ相対速度が光速ですから・・・(--;;;)
あるいは、近接信管を持つ機雷でスペースデブリをばら撒く手もあります。
ラムスクープ場はミサイル前面に展開しているので、普通の金属探知と
同じく、センサーに引っかかります。
何しろ光速ですから、ミサイルとの衝突速度も凄まじいものです。
ラムスクープ場による遮蔽を失ったミサイルの破片は、星間物質が片付けてくれる・・・と想定する事も可能です。
実を言うと、防衛手段の要件は考えられるものの、
「それで防げるか、防げないか?」
となると、私には答えを出す決定打がありません。
なにぶん、作中ではおそらく、そういう細かいことは考えていないと思われるので・・・。
ヤンが使った氷塊は(偶然かも知れませんが)幾つかの要件をクリアーしています。
まず、かなり大きいという事。
ラムスクープ場を失ったら崩壊蒸発が始まるとは言え、崩壊しながら速度が落ちていくので、
蒸発しきる前に目標をヒットする確率が高いという事です。
それに、細かく砕けると蒸発してしまう氷なので、ある程度距離があるところで迎撃されたら、ハイネセンにぶつかる前に蒸発してしまう可能性が高いこと。
あれが引き起こせる最悪の事態は、「適当な」大きさに砕かれて
誘導不能の状態でハイネセンを襲う事だったと思われますが、
ヤン艦隊が制宙権を奪取していたあの状況では、ほぼその心配はないと
いう事で・・・。
追伸:
これまた物理的な笑える話ですが(笑)、
亜光速で衝突する物体が十分に「小さい」場合、あまり被害を与えずに「通過」してしまう可能性があります。
固体中を衝撃波が伝達しえる速度は、固体中の音速です。
固体はそれより速くは変形できません。
それより早く固体が破壊されるメカニズムは、ぶつかったところに対して運動エネルギーが熱になって解放される事により、
固体が「ガス→プラズマ」になって、「蒸発」して行くような過程をたどるはずです。
光速で襲う物体の場合、その運動エネルギーが熱になりきるより速く、
衝突した物体を「貫通」して突破してしまうのではないか?
という疑問があります。
ライフルで言う貫通銃創のようなものです。
弾体が速過ぎて周囲に被害が広がる暇が無いと。
(実際の速度比はライフルの場合よりも遥かに大きい)
動力部に当たればまた別かと思うんですが、戦艦程度の大きさの物体を、比較的小さいミサイルで、
亜光速でピン・ポイント狙撃するのは、先に述べた状況(星間物質の乱流の中)ではまずしんどいんじゃないかと。
つまり、当てづらく、当たったとしても爆散ではなく、「小破」「中破」レベルではないかという事ですね。
(この辺は、ライフルでも、高速で軽いタマは貫通力に優れるが、低速で重いタマは破壊力に優れるのと同じ。また、ライフル弾が風に流されるのと、星間物質の乱流に亜光速の物体が流されるのは少し似ている)
ヤンが使った氷塊と「アルテミスの首飾り」の場合、サイズが違います。
氷塊は砕けながら運動エネルギーの全てを衛星に叩きつけ、また、
砕ける事で抵抗を生んで速度を相殺しています。
形状も、3kmもある棒状?なので、十分に減速しながら運動エネルギーを解放できるのではないかと。
要するにこの兵器、「攻城戦」では切り札として使えるにしても、
まず制宙権を奪って助走距離を確保し、ある程度接近するまでラムスクープ場を失わないようにミサイルを守り、
接近後は的にヒットするまでミサイルを砕かれないようにしないと
完全な効果を発揮しないという事・・・。
つまり「使えるが、それが来ると知っている相手には対応策を立てる事も出来る」ともいえます。
あくまで物理的要件に基づく推定なんで、作中で氷爆弾が使われなかった理由と重なるかどうかは作者のみぞ知るというところでしょうか・・。
ではどうすべきかの対処方法を。
ミサイルの観測問題は、ミサイル自体には、あまりセンサーをつみ
ません。ミサイルに先行して展開したセンサーにやらせます。
これは実は何でも良いんです。このシステムだけに頼るなら
コストの関係上、センサーがたくさんいるから小型戦闘艇なわけで
艦隊と組み合わせるなら、戦艦でもいい。用は目標の近くで観測
できるハードウェアならなんでもいい。ミサイル自体には観測させま
せん。
小型ではうまくゆかない、加速距離がいる。弾頭ではうまくゆかない。
その問題は、まず大型にする。大型の場合、コストの問題上、敵艦隊
すべての撃破するわけには行かないので、艦隊と組み合わせて、
敵旗艦の撃破、膠着状態の打破、突撃前の制圧攻撃というふうに
使うことになるでしょう。
小型でもうまくゆくくらいに速度を
落とす。別に亜光速まで速度を上げることが目的なわけではなく
ようは敵を撃破できればいい。速度を上げればあげるほど回避率
迎撃率は下がるけど、困難も増える。困難と回避率と迎撃率を
天秤にかけてちょうど良いところにすればいいんです。
その場合は超高速長射程ミサイルという名前になるでしょうが。
加速距離は遠距離で撃てばいいんです。観測の問題はセンサーと
ミサイルを分離すればいい。敵を撃破できるなら亜光速まで
到達しなくてもいいし。
弾頭は10万隻撃破するのに10万発用意するのは面倒だな
というだけです。うまく行かないなら、今までの艦隊と組みあわ
てつかえばいい
スペースデブリの問題は
1無い方向から突入させる
全部有るわけがない。あったら艦隊もろくに行動できなくなりますので
ただ来る方向を制限できるのでそこは工夫しないといけませんが。
2ゼッフル粒子か何かで掃除する
ようはは戦術の問題であり、使い方を考えればいいんです。
古典SFファンさんの言った問題以外にもあるでしょうけど、
それは実戦テストを繰り返して改良すればいい。
> 小型ではうまくゆかない、加速距離がいる。弾頭ではうまくゆかない。
>
> その問題は、まず大型にする。大型の場合、コストの問題上、敵艦隊
> すべての撃破するわけには行かないので、艦隊と組み合わせて、
> 敵旗艦の撃破、膠着状態の打破、突撃前の制圧攻撃というふうに
> 使うことになるでしょう。
> 小型でもうまくゆくくらいに速度を
> 落とす。別に亜光速まで速度を上げることが目的なわけではなく
> ようは敵を撃破できればいい。速度を上げればあげるほど回避率
> 迎撃率は下がるけど、困難も増える。困難と回避率と迎撃率を
> 天秤にかけてちょうど良いところにすればいいんです。
> その場合は超高速長射程ミサイルという名前になるでしょうが。
>
> 加速距離は遠距離で撃てばいいんです。観測の問題はセンサーと
> ミサイルを分離すればいい。敵を撃破できるなら亜光速まで
> 到達しなくてもいいし。
物理的には、そのくらいで特に問題ないんじゃないでしょうか。
(細かいことを追求しようとしても、あの世界の技術の詳細がわからない)
そこは兵器ですので、システマティックに改良していくと、どこかで使えるポイントが見つかる可能性はあります。
実際、この種のミサイルが「上手く作るとほとんど迎撃できない」と言うのは、
われわれが知る物理法則上はどうにもならない事実です。
実は(別の作品でですが)この種のミサイルを発案・使用した人は既に居るんです。
既に20年ほど前の話ですが、相対論的速度のミサイルは、迎撃不能の「準光速ミサイル」として、
あの富野総監督が「伝説巨神イデオン」の中で使用しています。
艦艇を的にするにはミサイルのコストが掛かりすぎるので、主に惑星を目標にして、一発で惑星の防空体制を破壊するのに使用されていました。
上手くヒットするとMV^2に従い、同じトン数の核融合爆弾より巨大な威力を持ち得るので、兵器としては魅力的です。
艦隊相手はコスト上疑問がありますが、惑星や要塞に対し大規模なダメージを与えるつもりなら使えるでしょう。
でもまあ、何故か(笑)銀英伝の世界でこの種のミサイルは実用化されていない、というか登場しない。
理由は、案外くだらない事なのかも知れないし、何か技術的に未知の障害でもあったのかも知れない。
その辺は、「推測が多くなる」と申し上げた通りです。
当方からは例によって、
「それでディフェンス出来る」とは限らないが、防御側で見つけ出せる「隙」となり得るものだけ指摘するにとどめます。
まず、ここ。
>ミサイルの観測問題は、ミサイル自体には、あまりセンサーをつみ
>ません。ミサイルに先行して展開したセンサーにやらせます。
当然ながら防御側としては「センサーを潰せ」ですね。
もちろんセンサーは隠れているでしょうが、そこは「隠す技術」と「見つける技術」の勝負という事になります。
あるいは、FTLを妨害するだけでもミサイルの命中率を落とせます。
艦隊戦の最中は当然、広範囲にFTLが妨害されるのは暗黙の了解と思います(確かそういう描写はあった。妨害しすぎでシャトルで情報を槍としていたケースもあり)。
>加速距離は遠距離で撃てばいいんです。観測の問題はセンサーと
>ミサイルを分離すればいい。敵を撃破できるなら亜光速まで
>到達しなくてもいいし。
バサード・ラムを使う場合、遠距離から電磁探知が可能です。
ミサイル本体より遥かに大きなラムスクープ場を展開しなければならないので(しないと星間物質の抵抗で破壊されます)、
ミサイルが光速より十分低い速度だと、センサーに捕まってから通信するだけの隙が出来てしまいます。
さらにこれですが
>スペースデブリの問題は
>1無い方向から突入させる
>全部有るわけがない。あったら艦隊もろくに行動できなくなりますので
>ただ来る方向を制限できるのでそこは工夫しないといけませんが。
>2ゼッフル粒子か何かで掃除する
これは、防御側がこの種の防御兵器を開発する隙があるという事です。
ラムスクープ場を探知して爆発し、多量のデブリをばら撒く機雷を開発する、と。
ラムスクープ場はミサイル前方に展開していますので、ミサイルが来るよりもわずかに早く、機雷は反応できます。
ちなみに、光速の何分の1かの速度だと、デブリもそう大きいものである必要はなく、「ラムスクープ場で排除できない」ものであれば十分です。
ほとんど顕微鏡サイズのものでも、当たったらミサイルは進路をそれるか、破壊されます(MV^2。運動エネルギーは質量×速度の二乗)。
展開範囲が十分広ければ「濃密なガス」でも同じ働きをします。
要するに完璧な兵器はないという事です。
亜光速とか、光速の何分の1とかのミサイルが防御しづらいのは確かですが、銀英伝の世界設定と技術体系だと(おそらくは、ですが)、防御の可能性は残っていると。
あまり積極的理由はありませんが、この種の兵器があの世界でメジャーでない理由があり得るとしたら、
誘導が難しく、助走距離が必要なため、艦隊戦に使いづらいと考えられること。
敵艦の位置を、かなり近づくまでまともに掴めず、妨害されるとFTLによる誘導がおぼつかない状態では、ミサイルのヒット率は下がるはずです。
その状況下で大型のミサイルで戦艦を狙うと、ミサイルが光速以下だと、戦艦が気づいて自動回避する可能性は残っています(人間の反応速度ではむりっぽだが)。
何よりセンサーを潰す(FTLを妨害して無効化する)技術は発達していそうですし。
この種のミサイルについて完全な否定は出来ません。
実際、固定目標に使うには有効で、大きく重く、光速に近づけるほど迎撃不能性が増大するのはヤンが示した通り。
艦隊相手だと先のような疑問あり(上手く作り、状況を選ばないとヒットできないかも知れない)ですが、イゼルローン要塞に氷をぶつけていけない理由はありません。
まあ作中では大質量ワープの技術を手にしている帝国側にしか出来ないんですが(イゼルローン周辺には手ごろな物体が無いと思われる)、
ワープで適当な物体を運んで来る事は出来たはずです。
・・・もっとも、イゼルローンを破壊してしまったら、ヤンたちは艦隊を抱えて逃げ出し、それこそ新たな長征に出てしまったかも知れませんが。
(移動要塞を連れて行けば有用かも知れないが、逃げ出す事自体に要塞は要らない。ただ逃げてしまえばいいのだ・・どこまでも)。
☆Kenさんの論点の1
Kenさんの記載(No3564)
> パンツァーさんの挙げられたAかBかの二者択一は、すこし単純すぎると思いますが、今回の議論の流れの中では、Bととっていただいても結構です。艦船に比べて、要塞に関する証明のreliability(信憑性と訳すのかな?)が著しく低い、というのが論旨ですから。
この主張は、Kenさんの考え方を示す上で、重要な示唆を与えますね。
「艦船に比べて、要塞に関する証明の信憑性」が高かろうが低かろうが、問題ではないのですよ。「艦船」の証明ができなければ、そもそも「銀英伝を論じる」ということ自体が、「銀英伝の作品設定そのものへの批判を行う場合」を除いて、崩壊するのです。
「艦船の移動」の証明は終了している、という立場をとらないのであれば、「銀英伝を論じる」ことが無意味である、と言っているに等しいのです。
冒険風ライダーさんに限らず、この掲示板で一般に論を展開している人は、「作品設定」であるから「艦船の移動」を当然のこと(証明されているもの)、として扱っているのです。
Kenさんが「作品設定を前提とする」という態度をとらないのであれば、「艦船の移動」の証明を独自に行う必要があるのです。
要するにKenさんは、根拠もなく、信じたいもの(艦船の移動)は信じるが、信じたくないもの(移動要塞)は信じない、といっているだけなのです。
Kenさんは、次に述べる「帰納法の場合」を、原則的に取りたくない、といっているわけでしょう。だったら、「艦船の移動」の証明を独自にしない限りは、単に信じたくないから信じない、というだけの話になるのですよ。
Kenさんの記載(No3564)
> >A銀英伝に登場するテクノロジー一般が、
> >「可能であると証明するにも、不可能と証明するにも、不十分である」
>
> という結論になると思われますが、これを持ち出すと、「なにも証明はできない。終わり」と「まったく、面白くない結論」になるので、今はこの立場をとりません。
特に、こんなことを言うのであれば、そもそも冒険風ライダーさん等に絡んだKenさんの態度自体が、非常に身勝手なものではありませんか。
「今はこの立場をとりません」というのであれば、
冒険風ライダーさんに対して、謝罪して欲しいですね。言いがかりであったと。少なくとも自分のやったことを自覚している現時点においては。
☆Kenさんのいう「帰納法」の場合
> そして、艦隊と要塞の差はここで生じます。
>
> 銀英伝の記述では、艦船(質量数万トン以下の構造物)の宇宙航行は、ヤノーシュ博士以後だけ考えても千年以上の歴史があります。また航行の形態も多様です。移動距離を考えても、「一万数千光年の征旅」もあれば、艦隊間のシャトル連絡もあります。
艦船と要塞との違いは、移動に関しては、基本的には質量が相違する、という点ですよね。
「艦船(質量数万トン以下の構造物)」という限定を加えていますが、こんな限定は根拠がありませんよね。Kenさんは、(No3572)等に出てくる「自動車」の例でも、根拠なく勝手に、「半分」より多い燃料の場合を否定していましたが。
艦船の証明が終わっている時点で、
質量とエンジン出力に対する関係が導かれているのです。
同じ艦船であっても、質量の大きなものもあれば、小さなものもあるのです。
したがって、単純に考えれば、「物体の移動」に関する信頼性に値する理論が存在する上で、「質量」に関する一変数が相違するだけなのです。
銀英伝3巻140P
<「新しい技術と言うわけでもない。スケールを大きくしただけのことだろう。それも、どちらかというと、あいた口がふさがらないという類だ」言わずもがなの異論を、シェーンコップが唱える>
シェーンコップでなくても、現代の我々でも、当然の予測ですね。
「艦船の移動」の証明が終わった時点で、「移動要塞」に関しても大半の証明が終わっているのです。
そして、(質量を問わぬ)「物体の移動」に関する理論に、ガイエスブルグ要塞のような大質量を代入してみると、この場合も成立した。つまり、「物体の移動」に関する理論は、大質量の場合でも成立した、ということです。
だから、
「艦船(質量数万トン以下の構造物)」であったにせよ、「物体の移動」に関する理論が構築された段階で、大質量に関しても「原理的に可能」の域に、必然的に達してしまうのですよ。
そこに、大質量の実例としての、ガイエスブルグ要塞が、ほとんど問題もなく実現された記載が存在しています。
他にも、「艦船(質量数万トン以下の構造物)」よりも大質量の例としては、例の氷塊もあれば、イオンファゼカス号もありますよね。
ちなみに、艦船が(質量数万トン以下の構造物)であるっていうのは、作品中のどこかに記載されていますか。参考までに引用個所を知りたいですね。
☆Kenさんの提示する証明の方法
> 私は、何かを証明する方法として、
>
> 1.演繹的に証明する。
> 2.帰納的に証明する。
> 3.現実世界の科学手法を用いる。
> という3案を提案しました。
1の論理の展開が、まったくわかりません。これまでにも私は、演繹法は「前提」に対する「結論」が真であるのだから、まず「前提」が必要だ、と述べましたよね。
どうやったら、そういう都合のよい「前提」が見つけられるのですか?
例えば、「現代の自動車」の証明とやらを、Kenさんのいう「演繹」で説明してみてください。「現代の自動車」すら説明できないのであれば、何を証明することができるというのですか。
「前提」部分を「帰納法」で導くのであれば、「演繹」で説明するってことにならないでしょうし。
3も同じです。論理展開が不明です。これに関しては、これまでの私の投稿でも述べていますよね。
これに関しても、「現代の自動車」の証明を、「現実世界の科学手法」で説明してもらえれば、よいですね。
まあ、(No3572)等に出てくる「自動車」が、Kenさんのいう「現実世界の科学手法」の説明でしたから、この説明において、私が提示した疑問に回答する、という形でも構いませんが。
パンツァーさん。
>☆Kenさんの論点の1
パンツァーさんのご指摘どおり、一方で演繹証明を必要とする立場をとらない、といいながら、冒険風ライダーさんにのみそれを求めるのは不当に聞こえますね。
でもそれには理由があります。今回の議論に対する私のスタンスは、「恒久移動要塞が可能と断じるにも、不可能と断じるにも、銀英伝の記述は不十分」というものです。これに対して、冒険風ライダーさんのスタンスは、恒久移動要塞の現実性やそのベースとなる「無限の自給自足能力」は銀英伝世界において、存在が「立証」されている、というものです。冒険風ライダーさんは、銀英伝世界では、恒久移動要塞や無限の自給自足システムができるかもしれないという「可能性」を指摘されたのではありません。それ以外に解釈のしようがない、と言われているのです。
そして私は、私が「証明できない」と思う仮説を「証明できる」という人に、「それでは証明をお願いします」と言ったのです。
証明方法としては、物理法則の適用を否定される以上、
演繹:
銀英伝の記述を前提とし、そこから「それ以外には到達しようのない」結論へ到達する。
帰納:
銀英伝の記述から、恒久移動要塞の信憑性を増大させる記述を集めてくる。
のどちらかしかありません。そして、銀英伝の記述中に、移動要塞の実例がガイエスブルグただひとつしかない以上は、帰納法で証明するにはデータ不足です。それなら、データの量に依存しない演繹をやるしかないではありませんか。私は、冒険風ライダーさんとの議論の流れでは、今でも相手に「ピタゴラス型」の証明を求めています。そこまでできなくても、せめて私が「再度整理しました」とタイトルをつけた#3579でいろいろ挙げた「・・・かもしれない」式の疑義の存在を一切許さない証明をです。
恒久移動要塞は「可能性がある」というだけの人には、証明を求めたりなどしません。
>☆Kenさんのいう「帰納法」の場合
>ちなみに、艦船が(質量数万トン以下の構造物)であるっていうのは、作品中のどこかに記載されていますか。
おっしゃるとおり、「数万トン」というのは私の勇み足でした。艦船の質量に関する具体記述は少ないのです。私は本伝10篇と外伝の1、3、4を読みましたが、この中で艦船の質量に言及したのは、黎明篇中の二ヶ所しかなかったと思います。
五〇〇○万人の一八〇日分の食糧といえば、穀物だけでも一〇〇〇万トンに達するであろう。二〇万トン級の輸送船が五〇隻必要である。
(黎明篇、第八章-1)
グレドウィン・スコット提督の率いる同盟軍の輸送艦隊は、一〇万トン級輸送艦一〇〇隻、護衛艦二六隻から成っていた。
(黎明篇、第八章-4)
どちらも輸送艦で、前者は20万トン、後者は10万トンです。艦船の質量に関して、これ以外の記述がある場合は、どうかご教授願います。ただ、これしか記述がないのなら、読者としては、艦船の質量はおおむねその程度と推測する以外にないだろう、と考えた次第です。
はっきりしているのは、要塞は艦船よりも質量が大きいということです。ガイエスブルグの来寇が告げられたとき、オペレータとキャゼルヌの間で交わされた言葉はこうでした。
「質量は、概算四〇兆トン以上です」
「兆だと!?」
(雌伏篇、第六章-1)
キャゼルヌの言葉を、私は次のように解釈しました。
1.40兆トンの移動は例がない
2.そもそも「兆」単位のトン数の移動に例がない。
このことをもって、艦船の質量は、要塞とは「桁」の異なるものだといえるでしょう。
さて、本論ですが、
>したがって、単純に考えれば、「物体の移動」に関する信頼性に値する理論が存在する上で、「質量」に関する一変数が相違するだけなのです。
その「信頼性に値する理論」が、要塞の質量に至るまで通用するという証明はどこにあるのでしょうか?
パンツァーさんの理論を展開すると、「ハンググライダーからエアバスまで、航空機には多種多様な質量があるから、10万トンの航空機でも飛ばせる」と言っているように思われます。
「例の氷塊」は亜光速に達しただけでワープをしていないし、質量は「たったの」10億トンです。イオン・ファゼカスは「無名の一惑星」まで航行しただけで、航行距離に関する何のデータもありません。「恒久移動要塞」は、兆単位の質量を動かすこと、それをワープさせること、「無名の一惑星」より遠くの地へ行くことの「すべて」を求められます。
恒久移動要塞を可能と帰納するための例証は、依然としてガイエスブルグしかありません。例証が一つしかないというのは、一般則を帰納する上で、重大な障害であると思います。
基本的に陸戦兵であるシェーンコップが「新しい技術と言うわけでもない」と言ったたのと、参謀であるムライが「帝国軍は新しい技術を開発させたと見える」と言ったのと、どちらが正しいかで、一つの議論になるでしょう。しかし、仮にシェーンコップが正しいとして、「何をするための」技術を彼らは論じているのか、が問題です。
40兆トンの質量を動かすことですか?40兆トンの質量を帝国本土からイゼルローンまで動かすことですか?それとも40兆トンの質量を恒久的に動かすことですか?
初めの二つが(ある条件のもとで)できたことをもって、三つ目も可能である、と断言できるのでしょうか?私が#3579で例に挙げたように、北朝鮮のミサイルが日本を攻撃できることを誰も疑わないことをもって、同じミサイルがアメリカまで届くことを自明であるとできるのでしょうか?
>☆Kenさんの提示する証明の方法
>1の論理の展開が、まったくわかりません。これまでにも私は、演繹法は「前提」に対する「結論」が真であるのだから、まず「前提」が必要だ、と述べましたよね。
どうやったら、そういう都合のよい「前提」が見つけられるのですか?
「前提」となるのは、銀英伝の記述でしょう。例えば、
*ヤンはフレデリカよりも年長である。
*フレデリカはユリアンよりも年長である。
*ゆえに、ヤンはユリアンよりも年長である。
というような形で証明ができれば、完璧です。
もっとも、私個人に限っていうなら、とりあえず#3579で挙げた点を、完璧に論破していただければ、それでもかまいません。
<まず、ラインハルトが停戦を申し出たのは、単に病に倒れたからではありません。8巻P108の記述にある通り、その時に夢に出てきたキルヒアイスに無用な戦について諌められたからです。そのような夢を見た理由については、ヒルダが親切に分析してくれています。>
<病気も夢も、単にきっかけに過ぎません。この時点で、ラインハルトには停戦と会談を申し出るだけの充分な理由はあったわけです。そしてそれは、紛れもなく、ヤンが諦めることなく戦い抜いた結果なのです。
もちろん、ラインハルトが停戦を申し出なかった可能性も充分考えられる以上、ヤンにとって「回廊の戦い」は賭けでもありました。しかし、紛れもなくその「勝算」は0%ではありませんでした。(実際、停戦と会談は申し込まれたのですから)>
その「病気」だの「夢」だのといった「ラインハルトに和平を決断させた要素」自体が、「戦術レベルの勝利を重ねることによってラインハルトを交渉の場に引きずり出す」などという、「戦略構想」と呼ぶことすらおこがましいヤンの杜撰な発想とは全く無関係かつ想定外なところから出てきたものだからこそ「事前予測としてヤンに勝算はない」と評されるのだということがまだ分からないのですか? 「類稀なる僥倖」が起こった「結果」から逆算してヤンを過大評価しても、それは「ほめ殺し」となって却ってキャラクターを不当に貶めることに繋がるだけです。
そもそも、ラインハルトはバーミリオン会戦時に自軍がヤン艦隊に追い詰められて敗色濃くなった状況に陥った時でさえ、「一旦シャトルで脱出して再起を図るべき」という部下の助言を退けていましたし、かの「回廊の戦い」の時でさえ、ラインハルトは出征の際に「ヤンとその一党を討たない限り、オーディンにもフェザーンにも帰らない」などと堂々と宣言すらしていたではありませんか。ラインハルトは最初からヤン一党と「対等の交渉」を行うつもりなどさらさらなく、しかも自らの個人的矜持とプライドのために戦うこと自体が「楽をして勝つ」「自分や部下の身の安全」「帝国の安定」などといったことよりもはるかに優先されるべき最優先事項とすら化している始末だったのです。このような人間に対して「戦術レベルの勝利を重ねることによってラインハルトを交渉の場に引きずり出す」などという「戦略構想」を打ち立てること自体、すでに考え方の根本から誤っていると言わざるをえないでしょう。
また、これは以前にも述べたことなのですけど、「戦術レベルの勝利を重ねることによってラインハルトを交渉の場に引きずり出す」という戦略構想では、ヤンはバーミリオン会戦における唯一の勝機であった「ラインハルトを殺す」という選択肢を全く取ることができず、常に手足を縛られて戦わざるをえないのに対し、ラインハルトはヤンを殺す事もイゼルローン軍を壊滅させる事も可能という状況が出現してしまいます。この格差は、はっきり言って彼我の戦力差と戦略的格差以上に巨大かつ絶望的です。この状況ではヤンの側に一発逆転の可能性すらありえず、彼我の戦力差と戦略的格差によって押し潰される運命が待っているだけであるというのは誰の目にも明らかなのです。これではますますもって「対等の交渉」が行われる可能性は存在しえません。
しかも、仮に万が一その戦略でラインハルトが民主主義の価値を理解してくれたとしても、それによってラインハルトが自動的に和平を結んでくれると考えるのは、ヤンが全否定しているはずの一種の希望的観測ないしは精神論とでも評するべきものでしょう。ラインハルトにしてみれば、和平を結ばずにイゼルローンを陥落させればラインハルトの悲願である銀河統一が達成されるのであり、たかが「民主主義の価値を理解した」などという理由程度でその利益を放棄してヤンと和平を結ぶという事態は、普通ではとても考えられたものではありません。ラインハルト以外の人間であれば絶対和平に応じることなどありえなかったでしょうし、そのラインハルトでさえ、何度も言うようにヤンの杜撰な構想とは全く無関係かつ想定外なところから出てきた「類稀なる僥倖」が勝手に発現するなどという「ご都合主義的な事態」が起こらなければ、そのままヤンを一方的に葬り去っていたことでしょう。
さらに言えば、そもそもラインハルトがわざわざ回廊内に侵入して戦うなどという、あの時点で取りえた策の中でも一番の愚策としか言いようのない戦略など取らず、たとえばエル・ファシル本星を包囲・占領してヤンを回廊外へ誘い出すといった類の戦略を取ったりしたら、ヤンが前提としている「ラインハルト軍を回廊内に誘い込む」という戦略構想自体までもが破綻してしまい、バーミリオン会戦の二番煎じみたいな結末に陥った可能性は極めて高いでしょう。それを「結果として」ラインハルトがやらなかったのは、ラインハルト自身が愚かだったからであってヤンが懸命だったのではありません。そして、これに関する対策を何ら立てなかったこと自体、ヤンは愚かであったと評されて然るべきなのです。
そして、これほどまでに最悪な状況で仮に万が一ラインハルトが交渉に応じたとしても、彼我の戦力差と戦略的格差のために、ヤン側はラインハルト側の要求を全て受け入れざるをえない状況に追い込まれることは火を見るよりも明らかですから、交渉は決して対等なものになどなりえず、最悪交渉が決裂する可能性も濃厚に存在します。たとえば「将兵全員を助命してやるから、今後二度と民主主義思想を掲げないこと」という提言が和平条件として出されたりしたらどうするのでしょうか? 断れば再び絶望的な戦いを行わなければなりませんし、受け入れれば民主主義は滅亡です。これではどちらにせよ、ヤンの目的が達成されることはありえません。こんな要求でさえ、生きるためには受け入れなければならないほどに、ヤンの力は圧倒的に弱小なのです。
上記で挙げたようなことは、事前予測でも充分に把握することができるものです。ヤンの戦略構想や事前予測とは全く無関係かつ想定外の「類稀なる僥倖」がなかったら、絶対にヤンが敗北していたことは間違いなかったでしょう。だからこそ、事前予測として、ヤンには勝利できる可能性も、民主主義を残すことができる可能性も全くありえなかったと言わざるをえないのです。
<勿論、彼我の戦力差は明らかであり、ラインハルトが何が何でもヤン達を倒すつもりだったら、ヤンがそれに抗することは不可能だったでしょう。その意味で、冒険風ライダーさんが、『敵側のラインハルトの胸先三寸に全てを依存しているだけでしかないヤンの方針』と言うのは全くその通りと申し上げるしかありません。
しかし、そんな事はヤン自身が一番よく分かっていた事です。その上で、彼はその『ラインハルトの胸先三寸』を動かす方法こそを構想し、かつ、実現させたわけです。>
上でも述べたように、ヤンの戦略構想の中には「ラインハルトが病で倒れ、夢の中でキルヒアイスに諌められる」などという予測などどこにも存在しなかったのですし、「病気」や「夢」のような要素は、ラインハルトの脳内妄想で自己完結的に出現したものでしかなく、ヤンの戦略構想とは全く無関係なものでしかありません。「結果」を逆算してヤンを過大評価するのは止めていただきたいですね。
これがヤンによってもたらされたと言うのであれば、「魔術師ヤン」が実は本当の魔術師で、何らかの魔術を使ってラインハルトの健康状態や深層心理をはるか遠方から操ってラインハルトを動かしていた、などといった類のトンデモ裏設定でも作成するしかないでしょう。もちろん、そんなものが一切成立しないことに関しては今更言うまでもないでしょうが。
<まず、例え脅しであっても、民主主義の基盤である無辜の人民を虐殺するという宣言など、ヤン達の因って立つ理想、大義名分を自ら放棄するに等しい所業です。このような脅しをしたが最後、イゼルローンは『民主主義の最後の砦』どころか『邪悪な政治テロリスト達の巣窟』として認識され、ヤン達は全宇宙の人民達からの支持をほとんど全て失うでしょう。それどころか、内部にも多くの離反者を生み出すことになりかねません。
次に、そのような卑劣な脅しをかけられたら、なおのことラインハルトは交渉のテーブルにつくわけにはいかなくなります。それは、政治テロリストの要求に帝国が屈するということを意味するからです。>
心配はいりませんよ。相手は所詮他国民なのですから、ヤン達がわざわざ擁護しなければならない理由など法的にも道義的にも全く存在しませんし、そもそも帝国側も、バーミリオン会戦時にミッターマイヤーとロイエンタールがヒルダの提言に従って惑星ハイネセンを包囲した挙句、「降伏しなければ惑星ハイネセンに無差別攻撃を加える」などといって同盟政府を「脅迫」したという「前科」が立派に存在しますからね。同等報復を行ったところで、帝国臣民はともかく、元同盟市民は(表面はともかく内心では)さぞかし溜飲を下げることでしょうし、報復心や復讐心からむしろ熱狂的に支持さえする可能性もありえます。そもそも、自分達に危害が加わることさえなければ、いくら余所で虐殺が大々的に展開されようが所詮は他人事でしかありませんし。
それに250億の民を全て抹殺することすら可能とされる「移動要塞を使った破壊戦略」というのは、現代で言えば「核抑止力」に近い威圧を敵に与えることができるものです。アメリカ同時多発テロなどで「テロリストとの妥協はありえない」などと強気の姿勢を示しているアメリカでさえ、「核抑止力」に対してどれほどまでに恐怖しているかについては今更言うまでもないでしょう。「人口の大半が死ぬ」という「脅し」は、かの強大国アメリカをすら震え上がらせることができるほどに強大な抑止力たりえるのですし、ラインハルトもまた、そのような「脅し」が実際に実行などされてはたまったものではないでしょう。ラインハルトがルドルフ・フォン・ゴールデンバウムのように「たかだか数十億の人間、死んでも一向にかまわない」などという「鋼鉄の心臓」でも持ち合わせているのであれば話は別ですが。
最初の段階では軍事拠点限定で積極的な破壊活動を展開し、ある程度破壊が進んだところで、惑星オーディンなりどこか適当に人口の多い惑星なりに要塞主砲の照準を定めた上で、「バーミリオンの報復」と称して例の脅迫を行い、期限を定めて和平交渉を要求する、という段取りで行けば、ラインハルト側にも引け目があることですし、核抑止力的な力の論理も働き、そうそう強気な態度に出ることもできなくなるのですから、本当の意味で「対等な和平交渉」を行うことができるようになるでしょう。すくなくとも、「ラインハルト個人の慈悲」などでかろうじて成立し、皇帝の気分次第で明日にでも崩壊しかねない「バーラト自治区」のような弱小民主主義などよりは、はるかに自立しえる民主主義が生き残れる可能性がこちらに存在することは確実です。
移動要塞を使った戦いは、単純なテロリズムというよりは「利用される軍事力のレベルと比較すると、一般に強い影響を及ぼすことの多い伝統的でない戦術を利用しながら、小数の戦闘者や軍事力を行使して、数の少ない比較的困難な特定の目標をめざす戦争活動」と定義される「非対称戦争」と「従来の国家間紛争」の中間くらいのところに位置するものでしょう。やっていることは「非対称戦争」の形態と非常によく似ていますが、移動要塞は同時に「民主主義国家」でもありえますしね。それほどまでの強大な力を持つ移動要塞を「テロリズムの道具」などと定義すること自体、根本的に間違っているのです。
以外に早く戻って来れました。
結局、400字詰め原稿用紙で5枚の作品を何とか書き上げて部に提出しました。出来映えは聞かないでください(笑)。
< その「病気」だの「夢」だのといった「ラインハルトに和平を決断させた要素」自体が、「戦術レベルの勝利を重ねることによってラインハルトを交渉の場に引きずり出す」などという、「戦略構想」と呼ぶことすらおこがましいヤンの杜撰な発想とは全く無関係かつ想定外なところから出てきたものだからこそ「事前予測としてヤンに勝算はない」と評されるのだということがまだ分からないのですか? 「類稀なる僥倖」が起こった「結果」から逆算してヤンを過大評価しても、それは「ほめ殺し」となって却ってキャラクターを不当に貶めることに繋がるだけです。>
すでにラインハルトとヤンの行動を全否定して不当に貶めていた冒険風ライダーさんから、まさか「キャラクターを不当に貶めることに繋がる」などという言葉が出るとは思いもしませんでした。
< 心配はいりませんよ。相手は所詮他国民なのですから、ヤン達がわざわざ擁護しなければならない理由など法的にも道義的にも全く存在しませんし、そもそも帝国側も、バーミリオン会戦時にミッターマイヤーとロイエンタールがヒルダの提言に従って惑星ハイネセンを包囲した挙句、「降伏しなければ惑星ハイネセンに無差別攻撃を加える」などといって同盟政府を「脅迫」したという「前科」が立派に存在しますからね。>
5巻でヤンがユリアンに語った場面が、全くむなしくなりますね。冒険風ライダーさんにとっては、帝国の民衆を気に掛けるヤンは、むしろ惰弱が偽善だと映るのでしょうか。しかしヤンの言葉は紛れもない作中事実です。
<同等報復を行ったところで、帝国臣民はともかく、元同盟市民は(表面はともかく内心では)さぞかし溜飲を下げることでしょうし、報復心や復讐心からむしろ熱狂的に支持さえする可能性もありえます。そもそも、自分達に危害が加わることさえなければ、いくら余所で虐殺が大々的に展開されようが所詮は他人事でしかありませんし。>
ここの部分は、当たっていると思います。9・11同時テロへのイスラム諸国やパレスチナ人民の感想と同じでしょう。もっともパレスチナ人民は最悪の場合、イスラエル軍へ自爆テロに撃って出られますが、旧同盟市民は衛星軌道上からの砲火をただ浴びるだけです。
喝采からすぐさま悲鳴、そしてヤンと帝国への怨恨に変わるだけでしょう。
< それに250億の民を全て抹殺することすら可能とされる「移動要塞を使った破壊戦略」というのは、現代で言えば「核抑止力」に近い威圧を敵に与えることができるものです。アメリカ同時多発テロなどで「テロリストとの妥協はありえない」などと強気の姿勢を示しているアメリカでさえ、「核抑止力」に対してどれほどまでに恐怖しているかについては今更言うまでもないでしょう。「人口の大半が死ぬ」という「脅し」は、かの強大国アメリカをすら震え上がらせることができるほどに強大な抑止力たりえるのですし、ラインハルトもまた、そのような「脅し」が実際に実行などされてはたまったものではないでしょう。ラインハルトがルドルフ・フォン・ゴールデンバウムのように「たかだか数十億の人間、死んでも一向にかまわない」などという「鋼鉄の心臓」でも持ち合わせているのであれば話は別ですが。>
敬愛する姉上が無事ならば、帝国民衆が少々死んだところであまりかまわないんじゃないですか。あとで少しばかり反省をして、自分にも責任はあるが、より多くの責任はヤンにある!とパフォーマンスでもすれば大丈夫でしょう。
< 最初の段階では軍事拠点限定で積極的な破壊活動を展開し、ある程度破壊が進んだところで、惑星オーディンなりどこか適当に人口の多い惑星なりに要塞主砲の照準を定めた上で、「バーミリオンの報復」と称して例の脅迫を行い、期限を定めて和平交渉を要求する、という段取りで行けば、ラインハルト側にも引け目があることですし、核抑止力的な力の論理も働き、そうそう強気な態度に出ることもできなくなるのですから、本当の意味で「対等な和平交渉」を行うことができるようになるでしょう。すくなくとも、「ラインハルト個人の慈悲」などでかろうじて成立し、皇帝の気分次第で明日にでも崩壊しかねない「バーラト自治区」のような弱小民主主義などよりは、はるかに自立しえる民主主義が生き残れる可能性がこちらに存在することは確実です。>
イゼルローン移動要塞が帝国領の惑星を1つ攻撃するたびに、旧同盟領の惑星を1つ攻撃されたらどうするのですか? 帝都オーディンに照準を向けたとき、ハイネセンに帝国艦隊の照準が向けられたら。もはやどうしようもありません。互いに動けなくなるだけです。それともラインハルトが罪もない民衆を攻撃しないと信じて、移動要塞はオーディンを攻撃してみますか。
冒険風ライダーさんは、旧同盟領が報復攻撃にさらされても民主主義存続のためには必要最低限の犠牲だと言われるのでしょうか。ヤン側にとっては、旧同盟領を中心に民主主義体制を残さないといけないのに、これでは旧同盟市民にお前たちのせいで帝国軍の無差別攻撃を受けた、とむしろ恨まれるだけです。気まぐれな民衆とはそういうものでしょう。
もっとも移動要塞が帝国領を破壊しつくした後、第二次長征一万光年に出発するのなら話は別ですが。
それではオーディンへの無差別攻撃を示唆して、対等?な和平交渉をしたとしましょう。果たしてどのような和平を結ぶのですか?
「旧同盟領の全面返還。フェザーンの中立化。移動要塞はこちらがそのまま保有する。不可侵条約の締結」 仮にこれで和平調印をしたとします。
といってもバーラトの和約を半年で破った帝国です。しかも脅しによって無理やり結ばされた和平条約を守る必要など、どこにもありません。準備が整い次第、すぐに復讐戦を挑む方が自然です。それとも不可侵条約を結べば、それをラインハルトが守ると思いますか?
そしてひとたび、同盟領に移動要塞が戻ればその戦略的価値は激減します。帝国領をゲリラ攻撃するからこそ、この上ない力を発揮できたのです。同盟領内に入れば、もはや防御拠点でしかありません。
また旧同盟軍はすでに壊滅しています。宇宙戦力は、移動要塞に収容できた2万隻だけです。
それに対して帝国軍は正規艦隊だけで10万隻以上の戦力です。
しかも本国の星系警備隊など雑多な戦力を合わせるとこれまた10万隻になります。イゼルローン・フェザーン両回廊の帝国側出口に、その戦力を各5万隻ずつ布陣させれば、エンジンに弱点を持つ移動要塞の回廊突破は不可能です。あとは、正規艦隊を再編成して第三次ラグナロック作戦を発動し、旧同盟領に雪崩れ込むだけです。
バーラト自治区だろうが、同盟領全域だろうが関係ありません。民主主義の苗床は、それこそ帝国の心次第でどうにもなります。もっとも皇帝の温情による和平と脅しによって押しつけられた和平。どちらがすぐに破れるかは火を見るよりも明らかですね。
< 移動要塞を使った戦いは、単純なテロリズムというよりは「利用される軍事力のレベルと比較すると、一般に強い影響を及ぼすことの多い伝統的でない戦術を利用しながら、小数の戦闘者や軍事力を行使して、数の少ない比較的困難な特定の目標をめざす戦争活動」と定義される「非対称戦争」と「従来の国家間紛争」の中間くらいのところに位置するものでしょう。やっていることは「非対称戦争」の形態と非常によく似ていますが、移動要塞は同時に「民主主義国家」でもありえますしね。それほどまでの強大な力を持つ移動要塞を「テロリズムの道具」などと定義すること自体、根本的に間違っているのです。>
イゼルローン要塞のヤン一党は、ヤン元帥を頂点とする軍閥ではなかったのでしたか? もしくは民主集中制による原始共産組織。
まぁエル・ファシル独立政権が要塞に逃げ込んでいるので、彼らを傀儡にすれば「民主主義国家」の体裁だけは整えられますが……。しかし本来の国民であるエル・ファシル住民は遙かな敵地ですけどね。
結局帝国にとっては、要塞に立てこもる叛乱勢力が神出鬼没のゲリラに変わるだけです。それも無辜の民衆を攻撃するという、悪逆非道なゲリラです。
これまで冒険風ライダーさんが主張されてきたことを実行するヤンだったならば、第2巻の救国軍事会議のクーデター時にさっさと権力を握っているでしょう。これならば全ての制約がなくなるので、移動要塞への改造もその後の戦略も立て安くはなります。唯一、勝てるかどうかは判りませんが、帝国のラインハルト・フォン・ローエングラムと対等に戦えるでしょう。
私としては、第2巻終了時での独裁者ヤン誕生、もしくはイゼルローン共和政府時代が、移動要塞の改造及び利用ができると思います。問題はどちらも民主主義を守るためと言いながら、体制が民主主義によって出来た体制じゃないことですね(笑)。
私の理論に対する考え方はおおむね理解いただけていると思うのですが、一番肝心なところがズレていると私は思ってしまったので私の議論の姿勢を説明し、それを埋める努力をしたいと思います。
まずはじめに「銀英伝」は歴史書です(作者談)。しかし、科学的、技術的記述についてはこの歴史書の著者(作者)が知識不足や認識不足のため信用度が若干落ちているものです。これがおそらくは、後世の人(読者)の評価ではないかと思います。
しかも、当時の技術レベルなどに関しては不明な部分が多く、後世の技術史家の悩みの種です。
この書がおもに取り扱っている内容は、政治史、戦史の他に、当時軍事的成功を収めた二人の英雄とその周辺人物について詳細な記述がある珍しい書です。そして我々(読者)は「当時の事実を知る唯一の手がかりである歴史書を元に議論を進める」という前提で進めます。
何故このような当たり前のことを述べているのか?
S.Kさん、あなたは前々回のレスで三択を出されましたが、私の答えはどれも違います。私の答えは「過去の出来事」です。そして、読者の立場とは「後世の人」である。つまり、過去のことは不変であることから、新事実(証拠)が発見されない限り変えることは出来ません。
このことを納得いただける前提で進めます。
次に、理論の進め方として帰納法(逆算)と演繹法(順算)があります。例として、
「ガ要塞・移動計画」を帰納法で考えると
「イ要塞をガ要塞砲で攻撃する(設計目的・思想)」+設計計画(書)+N+ラインハルトの承認+ガ要塞+エンジン+工事開始=「ガ要塞・移動計画」となると考えています。この「N」には設計書作成の時間、模型実験など「希望的観測」を入れてもいいのですが、入れなくてもいいのです。Nが分からなくても、答えは既に出ているのですから。つまり、事実・存在とはこれほど強力な事なのです。
次に演繹法を使うと「ガ要塞・移動計画」というものが仮定となります。つまり、帰納法では無視できた「希望的観測」が無視できなくなるのです。当然でしょう。仮定の結論に対して、いくら「希望的観測」を積み重ねても答えがですはずも無いです。
また、演繹法を用いる場合に注意しなければならないことは「風が吹いたら桶屋が儲かる」のことわざの様に「自分の希望的観測」に沿いすぎて、他の重要な要素が無視され、正しい答えが出ないことを予想しなければなりません。つまり、演繹法では結果を導くことは出来ないのです。
この前提を元に、冒険風ライダーさんが提唱した『移動要塞存在論(仮)』について述べます。結論を先に述べると、彼の言う「移動要塞」と言うものは作中(事実)には全く書かれていない、存在していないのです。
氏の提言する「移動要塞」なるものは、「無限の自給自足システムと要塞の強力な主砲と外壁によって、拠点、補給、攻撃能力をもつ要塞が自由に移動する」という設計目的・思想です。
「ガ要塞・移動計画」は違うことは先の例でも述べました。
<「戦闘空母」という単語を使ったのですが。>と言われますが「戦闘」という言葉を加えただけで重なる部分があるものの、設計目的・思想、運用方法が変わるということをご理解いただきたいと思います。
話しを戻します。つまり、事実ではない以上「移動要塞」とは氏の妄想の産物ではないでしょうか。私は「移動要塞」が存在できた可能性は少ないながらもあったとは思いますが、諸事情で無かったと考える事が事実に沿っていると思います。
私は「銀英伝」という歴史書は一度しか読んでませんけど、「二人の英雄を中心に歴史が展開している」という大きな柱を中心に、「機能不全の民主主義制VS機能改善した専制君主制の興亡」「補給の重要性(意味は弱められましたがまだフォローできる可能性はあり)」などありますが、全体を通して、「人間というものが描写されている」ということで、良い歴史書ではないかと思います。
しかし、「二人の英雄を中心に歴史が展開している」ということに触れる事柄は、一番意味のある「人間というものが描写されている」と言うことに重大な影響を与えます。よって繊細に取り扱わなければならないところであることをご理解いただきたい。
下手すれば「銀英伝」の意義自体が無意味になります。
当たり前と言えばそうですが、つい忘れ勝ちになりやすいことなので一応述べました。
では、次の3-2で逃亡編の可能性を論じます。
徹底抵抗編は、3672のNightさん、3674の八木あつしさんの意見に賛同し、支持します。お二人のほうが私が書くよりも明快で分かりやすいのも理由の一つですが。(笑)
P.S もしS.Kさんの都合が宜しければ、
メールで意見をまとめるというのはどうでしょうか。
防御側の提示した条件をクリアすることは可能ですけど、
そうすればまた新たな防御手段が出てくるでしょう。
結局兵器は矛盾なんですな。矛が進歩すれば盾も進歩する。
無敵の兵器なんて無いんですね。
ではちとお遊びを。
あなたは同盟のフェザーン回廊方面防衛司令官です。
時は宇宙暦798年12月、帝国によりフェザーンが占領されたとの
知らせが入りました。帝国艦隊がこちらに向かってくるのは確実です。
だが手元にある戦力は星系防衛艦隊1000隻とスパルタニアン、
偵察衛星、そして亜光速ミサイル1000発、これだけです。
クーデターからわずか1年、これでも精一杯です。
ミサイルの性能は演習では戦艦への命中率は80%とでました。
この状況の元、帝国の艦隊の同盟侵攻をあきらめさせる、もしくは
第一艦隊と第13艦隊が合流し、迎撃の準備が整うまでの時間を
かせがねばなりません。さてあなたならどうしますか?
私の回答は、800隻沈めても普通は大勢に影響はない。だがその
800隻のなかに艦隊旗艦が含まれていれば別。よって亜光速ミサイル
による、ラグナロック作戦に参加したラインハルト以下の将帥達を
ピンポイントで撃破する。
これは一例です。使えるものは上に記したものだけだというのさえ
守れば後は自由です。みなさんの回答お待ちしております。
> だが手元にある戦力は星系防衛艦隊1000隻とスパルタニアン、
> 偵察衛星、そして亜光速ミサイル1000発、これだけです。
> クーデターからわずか1年、これでも精一杯です。
>
> ミサイルの性能は演習では戦艦への命中率は80%とでました。
>
> この状況の元、帝国の艦隊の同盟侵攻をあきらめさせる、もしくは
> 第一艦隊と第13艦隊が合流し、迎撃の準備が整うまでの時間を
> かせがねばなりません。さてあなたならどうしますか?
亜光速ミサイルが、大気圏を突破できるだけの装甲を持っているのなら、帝国軍の将帥がフェザーン地表に降り立ったのを見計らって、惑星フェザーンへの無差別攻撃を仕掛けます。
上手く艦隊の防衛網をミサイルが突破できれば、地上でラインハルトの抹殺も可能かもしれません。その代わりユリアンと無辜の民衆が巻き添えになりますが・・・。
もしくは帝国軍主力が回廊を突破するまでどこかに潜み、やはりフェザーンへ攻撃を仕掛けに行きます。補給拠点を潰します。
ミサイルの大気圏突破が無理なら…………。しっぽを巻いて逃げます(笑)。
艦艇へ攻撃をしたところで数の差から勝ち目はありません。旗艦を狙おうにも、1万隻以上の艦艇の中から旗艦を打ち落とすのは、無理な気がします。あまりにも速すぎて前衛艦に全てが当たりそうですね。
もしくは旗艦を敢えて狙わず、補給艦や病院船に工作船を遠距離から攻撃する。こちらの方が亜光速ミサイルなら必中でしょう。
といっても結局、戦力差から逃げ出すしかないかなぁ。
> ミサイルの大気圏突破が無理なら…………。しっぽを巻いて逃げます(笑)。
> 艦艇へ攻撃をしたところで数の差から勝ち目はありません。旗艦を狙おうにも、1万隻以上の艦艇の中から旗艦を打ち落とすのは、無理な気がします。あまりにも速すぎて前衛艦に全てが当たりそうですね。
まさに横レスですが、
物理的に申しますと、亜光速ミサイルにとって、1気圧の大気は大山脈も同然です(--;;;。
もっと遥かに薄いガスでも、間違いなくラムスクープ場が支えきれる限界を遥かに超え、ミサイル自身がプラズマ化して消滅します。
あの世界にあるもので、亜光速ミサイルが狙える最も良い的は「要塞」でしょう。
要塞は図体が大きく重く、かなり遠距離から探知できますし、ヒットした時貫通してしまう可能性も低い(突破するまでに速度が落ちきるでしょう)です。
艦隊戦だと、上手く使うタイプの指揮官が現れたら、芸術的なまでにヒットすると思いますが、なかなかに癖のある兵器として、使う人間を選ぶんじゃないでしょうか(笑)。
> 小型ではうまくゆかない、加速距離がいる。弾頭ではうまくゆかない。
>
> その問題は、まず大型にする。大型の場合、コストの問題上、敵艦隊
> すべての撃破するわけには行かないので、艦隊と組み合わせて、
> 敵旗艦の撃破、膠着状態の打破、突撃前の制圧攻撃というふうに
> 使うことになるでしょう。
> 小型でもうまくゆくくらいに速度を
> 落とす。別に亜光速まで速度を上げることが目的なわけではなく
> ようは敵を撃破できればいい。速度を上げればあげるほど回避率
> 迎撃率は下がるけど、困難も増える。困難と回避率と迎撃率を
> 天秤にかけてちょうど良いところにすればいいんです。
ちなみに・・・・
回答過程で、私も、「理想的な亜光速ミサイル」を考えてみました。
亜光速ミサイルは
[長所]
・速く/重く/大きくするほど迎撃不能に近づく
・ヒットしてエネルギーが上手く解放された時の威力は絶大
[短所]
・助走距離が大きい(加速に時間が掛かる)
・軽く小さくしすぎると目標を貫通してしまって威力が減る
・光速付近では誘導が困難
・光速付近でラムスクープ場による遮蔽を失うとたちまち自滅する
・狙撃は無理だが、ラムスクープ場を探知できれば前面に機雷を放出して防げる(かも知れない)。
とまあ、威力はあるが癖もある兵器だというのが、当方の認識です。
ヤンは巨大な氷塊を亜光速ミサイルとして使用しました。
これは、制宙権を奪取し、固定目標に対して発射する場合、理想的なタマです。
助走距離を大きく取れる事、ほぼ光速付近まで速度を上げきっている事、質量が非常に大きいことなど、
絵に描いたような「迎撃不能」のミサイルという事になります。
が、SAIさんとレスのやり取りをする中で思いついたのですが、
あの世界には、宇宙船ならやたらと一杯あるので、
・戦艦
・重巡洋艦
など、廃艦寸前で、重く大きく(あの世界の戦艦は軽く数百メートルはある)、
コスト償却が終わっている船に、スラグなどを積んで(あえて爆弾を積まなくてもいい)重量を増すだけ増し、バサード・ラムを積んで
無人の亜光速ミサイルにし、艦隊の中に伏せておきます。
・・・で、要塞や、大気のない衛星に作られた基地などを攻撃したい
時、わざとミサイルだけを艦隊の後ろにワープアウトさせ、助走させて決戦時に突入してくるようにプログラムする、と。
輸送艦を使わないのは、・・使いどころになるまでもたせられない可能性がある。加速が完了しないうちに撃たれて爆発されては意味が無いので、
ある程度耐久力のある戦艦か重巡洋艦を使ったほうがいいかと。
何しろ突っ込んできた時には光速近いので、やはり艦隊戦には向かず、
(敵味方のFTLも探知も混乱している乱戦中に突っ込まれたらたまったものではない)
固定目標に対して、加速しきった段階で突っ込ませるのが最も破壊力を生かせる使い方ではなかろうかと。
大気がある星に当てようとしても自滅するので、やはり狙うのは要塞か防衛衛星。
対イゼルローンか移動要塞だと、良い働きをするはずです。
トゥールハンマーを斉射すれば初撃は避けられるかも知れませんが、
流石に光速付近に達した物体を二度も三度も偶然に頼って撃破できる
ものではないですから。
正直なところ、今回の恒久移動要塞論争を通じて、自分の説明能力に、少なからず自信を喪失しています。またしても無用の誤解を招いて、せっかく私との議論につきあってくださるパンツァーさんに迷惑をかけたくないので、先手をうって補足説明を加えます。
私が
>新規スレッドを立ててまで
自分の考えを発表したのは、私が発した質問に冒険風ライダーさんがまともに答えてくださらなかった、と思っているからです。もしもこの点が私の誤解と判明したら、そのときこそ私は平身低頭で謝ります。
私たちの論争は必要以上に錯綜しましたが、ポイントは単純なものです。それをまとめたのが#3579の投稿です。そこへ至るまでに、冒険風ライダーさんは、恒久移動要塞が可能と証明する作中事実を、5つ挙げられました。
1.イオン・ファゼカスの前例がある
2.宇宙船が、長期に無補給で活動できる
3.イゼルローンが、無補給で50年は活動できる
4.(短工期であったことも含めて)ガイエスブルグの実績がある。
5.ラインハルトやシャフトをはじめ、誰もエネルギーを問題にしない
これらの作中事実を説明しうる唯一の解釈として、冒険風ライダーさんは、「無限の自給自足能力」をもつ恒久移動要塞を提唱されました。
対する私は、#3579で、5点のそれぞれにつき、冒険風ライダーさんが提唱されたのとは異なる解釈が可能であることを指摘しました。それに対して冒険風ライダーさんは、回答をされなかったのです。いえ、正確に言うと回答はされました。しかし、私の論点を否定する理由とされたのは、私が現実世界の物理法則を持ち出している、というものでした。
でも、これっておかしくないでしょうか?
私は#3579で、ライダーさんの解釈自体を否定したのではありません。同じ作中事実に別の解釈をしただけです。もちろん別の解釈を加えることは、恒久移動要塞が「唯一の」解釈とする論旨の否定にはなります。それでも、ライダーさんが5つの作中事実に与えた解釈自体を直接否定したわけではありません。
そうである以上は、私が既知の物理法則を前提に話を進めても、問題はないでしょう。銀英伝世界が、私たちが知る物理法則が成立する世界だ、という記述はありません。しかし、そうではないという記述もないのです。両方の前提に優劣はない。だとすれば、既知の物理法則を前提にしていることを理由に私の仮説を排除するのは、既知の物理法則と矛盾することを理由にライダーさんの仮説を排除するのと、不当さにおいて等価であります。立場を逆転しただけで、やってることは「空想科学読本型の突っ込み」とかわりません。
自分とは異なる仮説をまともに検証することを拒否するなら、自分の仮説を立証する方法はひとつしかありません。他者の仮説を一切問題にせず、自己完結的な証明をすることです。それこそが「ピタゴラスの定理」型の証明を、ライダーさんに求めた理由であります。
繰り返しますが、冒険風ライダーさんは、無限の自給自足システムに基づく恒久移動要塞を、「ひとつの」可能性として提唱されたのではありません。「唯一」の可能性として提唱されたのです。そして、そのことを根拠にして、銀英伝の二人の英雄を「愚か者」呼ばわりされたのです。このような主張をされる以上は、自分の仮説が銀英伝の記述と矛盾しないことを論ずるだけでは不十分です。自分以外の仮説が決して成立しないことまでも立証する責任があります。
今回の投稿は以上です。