こちらこそ、Kenさん、こんにちは。
> 人間の身長が180センチ、ウルトラマンが40メートルとすると、ウルトラマンが22倍です。ご存知のように、体型と密度が同じで身長が22倍なら、身体各部の断面積は22の2乗倍、体重は22の3乗倍になりますので、単位面積あたりの足の断面が支える荷重は、ウルトラマンの方が、22倍大きくなります。
>
> 一方、私の考察では、「くりぬく」前のイオン・ファゼカスは、2.34x10^14トンの重量を4.88x10^9平米の底面積で支えるので、1平米あたりの重量は約48,000トンです。くりぬいた後に最も過酷な荷重にさらされるのは側壁の最下部で、ここが側壁と天井の重量を支えます。計算では、2.3x10^12トンの重量を3.24x10^7平米の断面積が支え、1平米あたりの重量は約7万トン、くりぬく前に比べてほぼ50%の増加です。増加には違いありませんが、22倍に増加したウルトラマンと同列に論じるのは無理ではないでしょうか?
ウルトラマンと豆腐の話は、垂直に掛かる荷重の話なので、
その点、「同列に論じるのは無理」なことを認めましょう。
あくまで、建築に関する構造強度の問題点を指摘します。
Kenさんの案では、「中空の容器のような形状」を推測します。つまり外壁のみで内壁がない形状です。そうすると、外壁には垂直方向の荷重だけでなく、水平方向の荷重が加わります。
要は、天井の中央部分が脱落すると共に、側壁が中折れするであろう、と考えられるのです。
中柱を適宜設ける必要があります。
わざわざ構造強度限界まで「くりぬき」作業を行うとは、考えにくいですね。
「アリの巣」状に、通行経路や空洞部分をネットワーク上に形成するほうが、製造上容易ですし、また構造強度を元の234兆トンの状態に近い状態で維持することが可能です。
> >もし、この間に、技術的衰退があったとすれば、数多くの星からなる「同盟」の成立そのものが危うくなりませんか。
>
> 私たちが、つい忘れがちなのは、星間国家の維持に欠かせないワープ航行は、我々にとっては未来の超技術ですが、銀英伝の作中人物にとっては、1000年以上も前に確立された「古技術」である点です。我々にとって、1000年ほど前に現れた技術といえば、例えば石炭の利用があります。仮に私たちの文明がこれから衰えてゆき、核エネルギーの利用技術などが失われても、石炭を掘り出して燃やす方法まで忘れられるとは、なかなか考えにくいのではないでしょうか?その意味では、銀英伝世界でも、文明の衰退がワープ航法の喪失に直結するという結論へいたるのは慎重であるべきでしょう。
「無補給で大質量物体の恒星間航行」ができたのが、「技術の衰退」により、
「有補給で大質量物体の恒星間航行」のみできるようになった。
「技術の衰退」の影響として、上のようなことを言っているのでしょうか。
なんとも都合のよい「衰退」のような気がします。
例えば今日、「テレビ」のような電化製品はあふれていますが、これらの構造を知っている人(製造が可能な人)は少ないでしょう。つまり誰にでも作れるものではありません。これに対して、「石炭を掘り出して燃やす方法」みたいなものは、「できることを知っている」ならば、誰にでも、試行錯誤の末にであれば実行することが可能ではないか、と推測されます。
特に、「石炭を掘り出して燃やす方法」というのは、「金属精錬」にも似た技術で、数千年前の技術の延長上にあるものでしょう。
そして、衰退する際には、システム単位としての衰退が考えられ、「石炭を掘り出して燃やす方法」が衰退しにくいとしたら、「金属精錬」の技術が失われていないから、ということが考えられます。
「ワープ航法」が残っているのであれば、それに関連する技術としての「無補給で大質量物体の恒星間航行」が失われるとは、考えにくいのです。
> >大体、帝国との間に長期にわたる戦争状態もあるわけで、通例、歴史の教えるところでは、戦時においてこそ、技術は革新するものです
>
<私が、「文明衰退」の歴史上の実例として挙げるのは、3世紀頃から400年ほど続いた前期中世ですが、この時代にも戦争は大量にありました。私は、文明の発展または衰退が、戦争の有無によって決まると考える根拠を持っていません。ただ言えることは、最近の500年のように文明が長足の進歩をとげる場合は、戦争が契機となって技術文明が進むし、中世のように文明が衰退するときは、むしろ戦争によって文明の蓄積が失われてゆくのでは、と考えています。>
待ってください。問題としているのは、科学技術、それも戦争に関わる技術です。
銀英伝世界における航行技術も、戦争に関わる技術の一つに数えることができるでしょう。
戦争に関わる技術に限定しますが、中世ヨーロッパにおいて、
鎧(プレートメイル)の進歩や銃火器の発達、馬に乗るための「鐙(あぶみ)」の発達等があるでしょうか(鐙のない時代は、馬に乗る人間が余程訓練を積んだ者に限定されたそうです)。
もっとよい例では、帆船の進歩が上げられるでしょう。後の大航海時代を可能とする原動力の一つともなるわけです。
少なくとも、中世において、(戦争に関わる)技術の「衰退」は発生していないでしょう。
使う頻度の高い「物」に関わる技術が衰退するとは考えられません。
銀英伝世界においても、戦争しながら航行技術が衰退するというのは、不自然ではありませんか。
> いろいろな直角三角形をもってきて測定し、ピタゴラスの定理が普遍的に成立するという推測をするのは、たしかに経験則を重視することで、それ自体は大切なことです。ただ、それだけで終わったら、それは「背後の理論を演繹」したことにはなりません。「経験」と「科学」を分ける、第一の境界はそこにあります。
演繹:自然科学において一般的な法則から当面の特殊な事象に関する結論を導き出す過程「いっそう日常的な例としては、〈毎日太陽は東から昇り、西に沈む〉ということから、今日も、また明日もそうだ、と結論することも、演繹的推理の例である。」
(平凡社:世界大百科事典)
前回も言いましたが、
例えば、「ピタゴラスの定理の証明」のような形で、銀英伝における艦隊の移動についても、「証明」が可能だと考えていますか?
私には、この論理を適用するなら、
「銀英伝中に記載されている事実としての「艦隊の移動」は、記載内容だから認める。しかし、例えば、バーミリオン会戦の時点で、ヤン艦隊がフェザーンを攻略するといった仮定は認めない。艦隊の移動可能性は「証明」されていないのだから、他の記載で「艦隊の移動」が扱われていようとも、「バーミリオン会戦の時点のヤン艦隊」において「艦隊の移動」ができるという根拠にはならない。なぜならば、経験則を重視するだけ(他の記載における艦隊の移動の例の引用だけで)で終わったら、「背後の理論を演繹」したことにはならない、からだ。「艦隊が一般に移動可能である」という証明にならないからだ。」
だから、詭弁ですって。
詭弁:一見正しそうに見えるが実は成り立たない議論。ことさらに自己主張したり、相手を論破し困惑させたり、奇矯の説によってひとをおもしろがらせたりするのに用いられる。
(平凡社:世界大百科事典)
パンツァーさん、こんにちは。
>わざわざ構造強度限界まで「くりぬき」作業を行うとは、考えにくいですね。
>「アリの巣」状に、通行経路や空洞部分をネットワーク上に形成するほうが、
>製造上容易ですし、また構造強度を元の234兆トンの状態に近い状態で維
>持することが可能です。
私の考察に補強を加えていただきありがとうございます。パンツァーさんが言われるような構造の方が、よりしっかりしたものであるのは、いうまでもありません。言い訳のようですが、私が中空容器を仮定したのは、質量計算を簡単に行えるからで、それ以上の意味はありません。アリの巣状のネットワークでは単に「軽くなる」としかいえませんので。
要するに、私としては、アーレ・ハイネセンたちはイオン・ファゼカスを234兆トンのまま飛ばせるよりも、船体を軽くするように努力をしたはずではないか、と言いたかったのです。あるいは、冒険風ライダーさんとのやり取りの中で用いた厳密な定義をするなら、「ハイネセンたちがイオン・ファゼカスを軽くしようとした可能性を否定証明はできないでしょう」ということでした。
ところで、パンツァーさんが挙げられた他の疑問に応える前に、もしも差し支えなければ、この移動要塞問題を論ずる上でのパンツァーさんの基本スタンスを確認させていただいても、よろしいでしょうか?あるいはこれまでの発言で、すでに明らかにされたかもしれませんが、どうか再度説明をいただけるとありがたいのです。基本的な前提に合意がないと、冒険風ライダーさんと私の間の議論のように、果てしなく空回りし、互いの論点が相手に通じないと思われますので。
1.パンツァーさんは、銀英伝の世界が私たちの世界と、同じ物理法則に従うという立場をとられますか?それとも、私たちの知らない物理法則に従う世界だと思われますか?
いうまでもなく、銀英伝を支配する最も重要な「物理法則」は銀英伝の記述である、という点は、冒険風ライダーさんが繰り返し言っておられるとおりです。ただ、いくら銀英伝が大作でも、あらゆる事象をもれなく説明し尽くすことは不可能ですから、どうしても「書かれていない」部分が出てきます。その部分を埋めるのに、私たちの物理法則を使うことを認めるかどうか、ということです。
2.パンツァーさんは、「移動要塞の恒久的な運用は可能である」という立場と、「不可能である」という立場の他に、「銀英伝の記述だけでは、可能であると証明するにも、不可能と証明するにも、不十分である」という立場を認めますか?これは、前の両者の妥協案でも中間案でもありません。それ自体が、独立した一つの考察です。これは移動要塞だけでなく、どんな問題についてもいえることです。
この点も、冒険風ライダーさんと私の議論が空回りする原因の一つです。ライダーさんは、この第三の立場を認めようとはされず、「恒久移動要塞可能説を否定するのなら、それが不可能であることを証明せよ」と言われています。私にはそうとしかみえません。
おそれいりますが、パンツァーさんとの議論に入り込む前に、これらの点について立場を明らかにしていただくと、たいへんありがたいのですが。
ちなみに私自身のスタンスは、
1.私たちの物理法則を認める。というより、それを認めないと、何を証明することも不可能。銀英伝の記述は、それができるほど「すべてを語り尽くす」ことはしていない。
2.「可能である」とも「不可能である」とも違う、第三の結論を認める。
というものです。
少しレスが遅れてしまいました、申しわけありません。
>八木さん
今度は同盟側ですか。いいですよ、受けて立ちましょう(笑)。
ただし、私がこれを論じるに当たっては、ヤンの性格の甘さを批判する意味も兼ねて、あえて「ヤンの性格的要素」を全て排除した「ヤンの立場ならばできたであろう可能性」というテーマをベースにした論を展開させてもらうこととします。
私の論に対して「そんなことはヤンの性格ではできないだろう」とか「ヤンの民主主義思想に反する」とかいった類の「ヤンの性格的要素」のみをベースとした反論については、「たかがその程度の理由で実行に移せなかったヤンの方が愚かである」「ヤンはすでに民主主義の擁護者ではなく破壊者なのであり、そんな思想を信奉する意味はない」という批判へと自動的に変換させて頂きますので、その辺はご了承を。
>第8次イゼルローン要塞攻防戦以降
まず言うまでもなく、ヤンの場合も件の移動要塞を見た瞬間に「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」に気づいた、という前提から始めます。
この可能性に気づいたヤンが最初にやるべきだったことは、移動要塞ができようができなかろうが、まずは「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」を政府ないしは軍上層部に報告することです。これはヤンの立場にいる者であれば絶対に行わなければならない義務ですらありますし、ヤンの「あの」性格でさえ、実行の障害になることはありえないでしょう。
そもそも、「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」というのは、私が「最強の武器」と定義する「無限の自給自足システム」だけが全てではありません。単に戦術的な観点のみを見ても、移動要塞の強力な主砲と外壁は大鑑巨砲主義の可能性を示唆していますし、何よりも第8次イゼルローン要塞攻防戦終盤で発生した「要塞特攻」の改良戦術「小惑星特攻による要塞破壊」があります。特に後者は、イゼルローン要塞の防衛が国の命運をも左右する同盟にとっては、ほとんど最悪の脅威といっても過言ではない戦術です。ラインハルトがこの戦術を用い、再び要塞を攻撃にかかる可能性は、いくら検討してもし過ぎるということはないでしょう。
もちろん実際には、せっかく移動要塞を提唱されたラインハルトが「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」に全く気づかなかったばかりか、かつて自分自身で述べていたはずの「要塞特攻」をすらもすっかり忘れ去ってしまうという「重度の健忘症」を患ってしまっていたため、「小惑星特攻による要塞破壊」が実行に移されることはありませんでしたが、それはあくまでも「僥倖」とでも言うべき結果論の話なのであって、それとは別に、移動要塞技術がもたらす様々な可能性を、ヤンも同盟政府&軍首脳部も「将来的にありえる脅威」として、ありとあらゆる角度から検討しなければならなかったはずでしょう。
同盟政府&軍首脳部に対して「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」を報告し、その対策を考えると共に、移動要塞実現のための研究・開発チームを設けさせること。こんな簡単なことすらも行わなかった時点で、ヤンの識見のなさと怠慢さは充分に批判されて然るべきなのです。
ではこの時点で移動要塞が建造できる可能性はあったのか? これについては、「ヤン自身に積極的なやる気と意志さえあれば決してできないことではなかった」というのが私の意見ですね。
これにはまず、2つの方法が考えられます。まずひとつは、件の「小惑星特攻による要塞破壊」の脅威に備える対策として移動要塞改造を提起すること。ラインハルトが愚鈍でさえなければ、「小惑星特攻による要塞破壊」は実際に起こりえる可能性があったのですから全くのウソではありませんし、「小惑星特攻」に対する防衛は、むしろ移動要塞よりも静止要塞の方が「事前に察知しても、要塞自体が動いてかわすことができない」という点ではるかに不利です。当然「小惑星特攻」が成功した場合は、イゼルローン要塞が完全破壊されて同盟の防衛線そのものが瓦解してしまうのですから、むしろ同盟側は自らの保身のためにもイゼルローンを移動要塞に改造する必要性があるのです。
もちろん、同盟も予算不足は深刻でしょうし、政治家の面々もヤンに対して隔意を抱いてはいるでしょうが、だからといってイゼルローン要塞が「小惑星特攻」によって破壊されるという事態まで望んではいないはずです。3巻の査問会でヤンに対して精神的リンチを浴びせていた連中が、「移動要塞襲撃」の報を受けて面食らっていた様子を思い出してみてください。むしろ、自分達の保身のためにも、かなりの無理をしてでも予算を出し、イゼルローン要塞を移動要塞に改造することに賛同してくれることでしょう。
それでも動かない、というのであれば、いっそということでヤンが「敵軍襲来の際に首都に呼びつけられ、不当な査問会で精神的リンチを受けていた話」をネタに政治家達を脅迫するという手もあります。「国防のために必要な移動要塞改造を受け入れないのであれば、この事実を同盟市民の前で告発する」とでも言って。ヤンを熱狂的に支持している同盟市民達は当然ヤンの言うことを信じるでしょうし、そんなことをされたら政治家達の政治生命も絶たれてしまいますから、いくら個人的にヤンを憎もうが、彼らはヤンの要求に応じざるをえません。
「トリューニヒト政権は同盟における主要報道機関を押さえているからその手の脅迫は無駄」という反論があるかもしれませんが、イゼルローン要塞にはヤンが自由に動かすことのできる報道システムが存在します。これは銀英伝8巻でヤンが死亡した時、それを全宇宙に発表する際に使われていますので、これを使えば件の話を全宇宙に対して大々的に報道することができるでしょう。ヤンの脅迫を妨げる政治的・物理的要素はどこにも存在しないのです。
これで移動要塞は余裕で完成させることができるでしょう。後の運用はヤン次第、といったところですね。
>バーラトの和約後の同盟
これに関しては今回が初出となるのですが、ヤンがレベロと手を組み、将来に備えた移動要塞改造のための研究やエンジン製造を秘密裏に行わせるといった手段も考えられますね。「バーラトの和約」には、戦艦や宇宙空母の製造禁止は明記されていても、「巨大エンジン自体を製造してはいけない」などという規則はどこにも存在しませんし、実際には大量の戦闘艦艇をチュン・ウー・チェン辺りが大量に隠蔽できていたことなどを考えても、隠蔽工作などは比較的容易に行えそうですしね。将来イゼルローン要塞を「例のトリック」で奪取した時、すぐさま移動要塞を改造することができるように準備しておけば、未来の可能性がより大きく開かれたであろうことはまず間違いありません。
バーミリオン会戦時に、わざわざ「政府の命令と同盟の国内法に違反してまで」メルカッツらを逃亡させた挙句、不要不急の戦艦奪取などを行わせて同盟を滅亡させるきっかけを自ら積極的に作ってしまうような「民主主義を破滅させる愚策」などよりも、こちらの方がはるかに懸命で賢い選択だったのではないかとすら思えるのですが。
>エル・ファシル時代
八木さんは何か重大なことを忘れ去ってはいませんか? 同盟建国の礎となった偉大なる先人達が、これ以上ないほどに劣悪な環境の中、長さ122㎞、幅40㎞、高さ30㎞、推定質量234兆2400億トンの超巨大ドライアイス船を、たった3ヶ月程度の時間で完成させ、無事に航行させることに成功した「作中事実」を。これには言うまでもなくエンジンの開発・製造・設置作業だって当然含まれているのですよ? あの酷寒の惑星の奴隷階級にすら簡単にできたことが、エル・ファシルの生産力をもってしてできないはずがないではありませんか。
しかも八木さんは「巨大なエンジンを30個以上『も』製造するのです」とさかんに強調されておられますが、そもそも最低でも数千~数万隻単位で艦艇が運用される銀英伝世界で、いくら巨大とはいえ、32個のエンジンというのはむしろ圧倒的に少ない方なのではありませんか? 巨大エンジンひとつに戦艦1隻分の費用と資材が必要だったとしてもたかだか32隻ほど、イオン・ファゼカス号のエピソードとも併せて考えるともっと少ない負担で完成する可能性も高いので、大した負担であるとは私には全く考えられないのですけど。
工員に関しても、民間から技術者達をアウトソーシングしてこき使うといった手もあるでしょうし、最悪、全ての艦艇補修を一時的に中止してでも、工員達を移動要塞の方に集中させる方法だってあるでしょう。移動要塞が完成した後に改めてゆっくりと艦艇補修を「移動要塞の中で」行えば良いのですし、移動要塞にはそれだけの価値が充分にあります。
まあこれに関してはさすがに可能性100%とまでは言いませんけど、事前の準備とやる気さえあれば、この時期でも移動要塞が実現する可能性は充分に存在しえたとは言えますし、すくなくとも銀英伝本編で行われた、100%必敗確実だった「回廊の戦い」の準備などを行うよりは、はるかに勝算の見通しは立ったのではないでしょうか。
やはりヤンの方もまた、「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」を無視した挙句、民主主義を守るために自分がなすべきこともやらなかったばかりか、むしろ民主主義を破滅に導いた愚か者であったと言えそうです。
>パンツァーさん
<賛成意見が少ないのは、私も妙な気がしていました。
もっとも、賛成の場合はレスを返す必要性がなく、しかも自分が新規な意見を提示できるわけでないとなると、投稿する内容がない、ためかもしれません。>
その割には、移動要塞否定側を持ち上げた提灯投稿の類は結構あったんですよね(T_T)。
まああの論を発表した時点で一対多数の議論をこなす覚悟はできていたのですが、それでも私の予測をはるかに超えましたね、あの圧倒的多数の反対意見と荒れ具合は。
<それはそうでしょう。銀英伝考察3の後半部など、大変な精神力を発揮されたものと思います。>
あの時は、議論中盤で平松さんに対して半ば当り散らす形で失礼なことを書いてしまったことがありましたからね。その後は自重と反省の意味もあって平静に努めたというのもあります。
今回はパンツァーさんや不沈戦艦さんをはじめ、私の方を支持&援護射撃してくださる方々が味方についていますので、こちらとしても非常に頼もしく思っておりますし、あの時に比べればはるかに楽な進行と穏やかな雰囲気で議論を進めさせて頂いております。
今回改めてこのような議論を提起し直してくださったこと、私からも感謝致します。
<前回はあまり考えず安易に投稿したので見落としておりましたが、この点(イゼルローン要塞が一行政単位なのか)が疑問です。人口規模から言えば確かに大都市相当(500万人)ではありますが。
というのもイゼルローン要塞の場合は、軍隊の駐屯地があって、その駐屯地に軍属としての軍人の家族が同居している、という構図ですよね。
そもそも住民がいて、その住民の居住区に軍隊が駐屯している、という構図とは、意味が異なると思うのです。
在日米軍基地との比較が銀英伝考察3中にありましたが、この対比は興味深いですね。というのも、在日米軍基地の敷地は、日本の治外法権地帯であっても、アメリカの領土ではなく、アメリカ人の居住地域ではありません。したがって、この敷地内の居住者による自治体が存在するとは思えないからです。自治が行われうる政体ではありえないでしょうから。軍による行政は存在するでしょう。
普通、住民票の所在地で、地方行政の代議士の選挙権(および被選挙権)が獲得できるものでしょうが、例えば、在日米軍基地にいる軍人の家族は、どこの住民票を持っているのでしょうか。>
イゼルローン要塞自体は軍用施設なのだそうで、警察権をはじめ、全ての政治・行政の権限を軍が掌握しています。ただそれだけならば私も素直に「純粋な軍事施設」と認めもするのですが、問題はその権限下で「民間人300万人を含めた500万人以上の人間が居住できる大都市」が要塞内部に存在しているという点ですね。この大都市の規模は惑星レベルとして見てもかなりのものらしく、人口300万人の惑星エル・ファシルなどを大きく凌駕しています。
民間人300万人のほとんどは軍人の家族ですが、他にもイゼルローン要塞内における諸々の施設の運営を軍から委託されている民間業者などが多数存在するようです。彼らは軍に権利料を支払うことと引き換えに施設の運営を許可されています。この辺りは在日米軍と同じような事情がありそうですね。
在日米軍基地とイゼルローン要塞の一番違うところは、同盟による要塞奪取後のイゼルローン要塞がれっきとした同盟領となっていること、軍民問わず全ての住民が外部から来た人間であること、などが挙げられます。私はイゼルローン要塞が前線とはいえ同盟領内に属し、同盟の主権が及んでいることから、住民自身の意志に基づく地方自治が、軍組織とは別に存在しても良いのではないかと考えているのですが……。
<B.交戦状態における前線での戒厳の可能性
前回述べたのは、この可能性です。
同盟の法体系に戒厳令が存在するなら(わが国のような特例を除けば)、もっとも敵の攻撃を受けるであろうイゼルローン要塞は、全住民が軍の管理下におかれたとしても不思議はありません。これは、地方自治が行われている場合において、の可能性である。したがって、軍の施設と考えられるイゼルローン要塞に限らず、どこかの星であっても同じです。>
非常時の場合は、確かにイゼルローン要塞内に居住する民間人も軍の統制下に入るようです。銀英伝3巻では、要塞司令官代理のキャゼルヌが、民間人にイゼルローン要塞からの退避準備をさせていますし、銀英伝5巻でもヤン自身が同じ事をやらせ、実際にイゼルローン要塞を退去しています。
戦時ならば緊急措置としてそれでも良い、というよりもむしろそれが当然の形態なのでしょうが、問題なのは「平時」でさえも「大都市イゼルローン」が軍の統制下にあることです。イゼルローン要塞内における行政は、ヤンから全権を委託されたキャゼルヌが事実上壟断しているという体制がほぼ常態化しています。これが戒厳令であるとすれば、慢性的な戒厳令下に置かれている「大都市イゼルローン」は、いくら前線であるとはいえ、やはり民主主義国家としては少々マズイのではないでしょうか? 「合法的」という点を除くと、その基本的支配構造は、ヤンが全否定した救国軍事会議クーデターのそれと全く同じであるようにも見えてくるのですが。
そして私がそしてそれ以上に問題であると考えていることは、
<これに関しては、そういう危険があろうとも、それは同盟のシステム上の問題であって、ヤン個人に問われる問題ではないかと思います。>
という、まさにそのようなヤンの思想信条に反する「同盟のシステム上の問題」に対して、ヤンが全く無頓着であったばかりか、その問題改善に何ら努力していない、ということにあるのです。
ヤンは銀英伝の作品中において「軍人は政治に携わるべきではない」といった主旨のことを、独白や他人の会話の中で何度も繰り返し主張しています。これあればこそ、ヤンは確実に同盟を滅ぼすきっかけのひとつになったであろう、バーミリオン会戦時における政府の無条件停戦命令にも唯々諾々と従ったわけです(もっとも、その後で平然と命令違反を犯しているわけですが)。そのような人間が、300万人以上の民間人を事実上自らの統制下に置くという「政治に携わる」行為を「結果として」行っているのに、それについては何ら疑問を抱いていない、というのはどう考えても明白なるダブルスタンダードであり、ヤンの思想信条にも明らかに反していると言わざるをえないのです。
もちろん、ヤンにそのような権限を与えたのは同盟政府やエル・ファシル政府首脳部であり、ヤンはただ命令に従っただけなのでしょうが、そのような「権力構造」が自分に押しつけられるのであれば、「軍人は政治に携わるべきではない」を自らの思想信条とするヤンは、本来ならば上層部に対して、せめて「軍人は政治に携わるべきではないのだから、自分に過大な政治権力など与えないでくれ」くらいは抗議しても良かったのではないでしょうか? ヤンの立場であれば、そのような抗議を行うことも、それが上層部に受け入れられることも充分に可能だったでしょうし、そうすることこそが「同盟のシステム上の問題」を自発的に解消させ、ヤンの思想信条を満たすこともできる、唯一の選択だったはずです。
また、地方自治システムを導入し、それをヤンに対するチェックシステムとして機能させれば、「ヤンがイゼルローン要塞に拠って軍閥化しようとしている」などといった類の非難もある程度はかわすことができますし、そのような配慮もまた、政治家と軍人との間に揺るぎのない相互信頼関係を築き、シビリアン・コントロールを円滑に実施するためには必要不可欠なことなのです。銀英伝考察2でも述べたことですが、銀英伝本編に見られるようなヤンと政治家のような関係で、果たしてシビリアン・コントロールを円滑に機能させることができるのでしょうか?
「民主主義とシビリアン・コントロールを擁護する」という思想信条を本当に貫きたいのであれば、「同盟のシステム上の問題」にも気づき、それを解消するために自ら積極的に動かなければならないことは自明の理というものでしょう。にもかかわらず、ヤンは「同盟のシステム上の問題」によって自らが置かれた「構造的な独裁権力者としての立場」の重大性について全く無頓着であったばかりか、むしろ「イゼルローン要塞内には自分より上位のものがいないから気に入っている」などと肯定的に考えてすらいたのです。その環境が自らの思想信条をどれほどまでに蹂躙し、「同盟のシステム上の問題」として様々な弊害を発生させているかに関しては全く眼中にもないわけです。
自らの思想信条と「同盟のシステム上の問題」を解消するための努力を怠ったばかりか、結果として「イゼルローン要塞の構造的な独裁権力者」として君臨することを肯定すらしてしまっているヤンの行動は、その後の行動も併せて考えてみれば、やはり「民主主義の擁護者どころか破壊者である」と評価せざるをえないのです。
> Kenさんへ
「現代世界の物理法則」に関する私の回答は前の投稿でも述べた通りです。それが「100%」銀英伝の世界で成立しえることを、作品設定や作中記述に基づいた「作中事実」を使って【そちらが】先に立証すること。立証責任が100%そちらの方にある以上、この件に関して私が譲歩する必要性は全くないと考えます。
第一、私は科学論ではなく作品論、すなわち「設定および記述を使った【銀英伝という作品についての論争】」というテーマに基づいて論を展開しているのですから、「現実世界の物理法則」に基づいた科学検証手法を使って作品を論じること自体がすでに的を外していますし、パンツァーさんも仰られているように、そのような論法を銀英伝に当てはめたら、全ての作品設定がことごとく破綻して、最終的には銀英伝世界そのものが崩壊せざるをえなくなるでしょう。そして、移動要塞論に対してのみその手の科学検証手法を使い、その他の設定については不問に付す、などという「ご都合主義的なダブルスタンダード」など、私は一切認めるつもりはありません。
結局のところ、私とKenさんとでは、理論の根幹を成す前提条件自体が全く異なるのでしょう。そして移動要塞関連議論では、反論側もまた私の提示した前提に従って論を展開する必要があるというのに、あくまで独自の、それも作品の外から勝手に持ち込んだ前提にしつこくこだわり続けるKenさんの方がおかしいのです。そうである以上、これ以上やっても互いに議論が噛み合わないことは明白ですので、私もこの投稿をもって、移動要塞論に関するKenさんとの議論は打ち切りとさせて頂きます。
> こんな風な反論なら、多分、冒険風ライダー氏も納得するでしょ。賛成するかどうかはともかく。
あくまで「こういう風にやるべき」という「例」として出したものですので、「これをベースに進めろ」とか、「必ずレス寄越せ」とかいうつもりは全くありません。
「銀英伝の記述に基づき、それに矛盾しないよう作中設定を導き出し、突き詰めた上で登場人物たちがやるべき行動を指摘する」ということが冒険風ライダー氏のやっていることですが、それに対して、Ken氏のように「数学の定理を証明するような、厳密な科学的考証」を求め、「それができていない限り、そんなことは言い切れない」と主張するというのは、どうかしてますよ。科学論争している訳じゃなくて、小説についての作品論争ですよね、やっていることは。「作品論争」である限り、「銀英伝の記述から導き出した推論」を根拠にあげれば、「証明」としては十分ではないですか。
また例えですが、取り敢えず、ファーストガンダムを思い浮かべて下さい。そこで、
「ジオン公国の一年戦争開戦直後のコロニー落としは生ぬるすぎる。もっと大規模に実施し、地上の人口を半減どころではなく、全滅に近いくらいの打撃を与えるべきだったのだ。それをやっていれば、連邦軍は反撃する余力もなくなり、すぐに敗北に追い込まれていただろう。スペースノイドの自由は、それを断固として実行することにより得ることができた。地上の人間を全て抹殺し、歴史に悪名を残す覚悟さえあれば、一年戦争はジオン公国が勝っていたはずだ」
という主張に対し、これはモロに「空想科学読本」ネタですが、
「スペースコロニーの存在自体が非現実的である。宇宙空間で一気圧を内部に封印した場合、壁の材料に最強の金属を使用したところでパンパンに膨れ上がってしまうし、しかもガラスの部分があって太陽光を内部に取り入れるような構造は、ガラスの厚さを10m以上にしないと一気圧に耐えられないので、薄い金属の壁と分厚いガラスを接続するような構造は不可能だ。それだけ厚いガラスを仮に作ったとしても、太陽光は途中で吸収されてしまって、ほとんど内部に届かないのでそんなコロニーには意味がない。更に、技術的な面を無視してコロニーが建造できたとしても、それをラグランジュポイントから地球まで移動させるのも大仕事だし、そんなに多数のコロニーを移動させる程の燃料がジオンにあるとも思えない。また、地上に落下させたところで、大気圏突入時の摩擦で燃え尽きてしまうだろう。コロニー落としを大々的に行うべきだった、などという主張は根本から間違っている。先ず、スペースコロニーが存在可能であるということを、科学的に示さない限り、コロニー落としが可能であると証明したことにはならないのだ」
と言った場合、果たしてこれは「反論」になっていますかね。
最初の主張は、「空想科学読本のツッコミによればあり得ないスペースコロニー(スペースコロニー自体は科学的に正しいと言ってましたが、コロニーの壁の材料をどうするのか、で完全に行き詰まるという結論でした)が多数存在し、コロニー落としなる地上攻撃が存在する、ガンダム世界の約束事」をベースにした上で、そのコロニー落とし戦略について「中途半端に終えるのではなく、どうせやるなら徹底的に行うべきだったのだ」と批判を加えている訳ですが、それに対する「反論」は、「ガンダム世界の約束事」を無視し、「既存の科学技術的立場」からの物言いとなっている訳です。もちろん、こんな「反論」には意味がないですよね。「スペースコロニーなど科学的にあり得ないのだから、コロニー落としなどもっとあり得ない」などと言ったところで。どうしても既存の科学技術ベースの議論をしたい、というのなら「ガンダム世界の約束事」を根底に置いた話とは、別個にやるべきです。
「現世の科学理論に基づき銀英伝を考察すること」には反対しませんから、その論で冒険風ライダー氏の論を否定しようとするのは、やめるべきでしょう。今までが完全にそうなってますが、まるっきり噛み合わないことは請け合いです。
以前の移動要塞議論の頃から見ていたROMですが……。
余計なお節介かもしれませんが、この話題に関する議論は、もうおやめになった方
が良いかと思います。これ以上議論しても、平行線になるばかりで、肯定派・否定派
双方の納得できるような合理的結論に至ることはないと思います。事実、以前の議論
もそのようになったからこそ終わった訳ですし。
なお、私自身のスタンスとしては、Kenさんの発言中の「移動要塞の恒久的な運用は、
銀英伝の記述だけでは、可能であると証明するにも、不可能と証明するにも、不十分
である」というものです。これは明らかに「移動要塞は不可能である」とするスタンス
とは異なるものです。
(1) 移動要塞問題に含まれる技術の問題
移動要塞問題には作中世界における技術的な問題がいくつも含まれており、このよ
うな問題に対して是なり非なりの判断を下すのに充分な材料は、銀英伝の記述中には
ないと思います。
例を挙げるとすれば、イゼルローンの移動要塞化工事についてです。作中では、確
かにガイエスブルク要塞が移動要塞に改造された訳ですが、これと同じ理論によって、
イゼルローンを移動要塞化できるのでしょうか?
記述によると、ガイエスブルクの直径は40~45kmで質量は約40兆トン。これに対し、
イゼルローンの直径は60km。イゼルローンの半径はガイエスブルクの1.5~1.3倍で、
単純に考えれば質量は3.38倍~2.37倍。
ガイエスブルクは輪状に取り付けられた12基のワープエンジンと通常航行エンジン
によって移動するわけですが、イゼルローンの場合はどうなるのでしょう。
・体積・質量が3倍近くになるわけですが、エンジン数も単純に3倍にすれば大丈夫な
のでしょうか?
・ワープエンジンの配置は同じく輪状でよいのでしょうか。それとも二重の輪や球状
にするような独創性が必要なのでしょうか?
・ワープエンジンは完全に同調する必要があるようですが、12基のエンジンの同調と
36基のエンジンの同調の難易度は同等なのでしょうか、格段の差があるのでしょう
か?
・通常航行時のエンジンについてですが、質量が3倍になった時、実戦に耐えうる機
動性を確保できるでしょうか。
・巨大質量のワープ時の時空震に関して帝国側で懸念されていたようですが、イゼル
ローンのワープの場合もガイエスブルク同様、問題なしなのでしょうか。
ワープの理論も実験データも持っていない我々には、これらの問題に対して「そん
な事は簡単だ」とも「難しくて不可能」とも判断できる材料がないわけです。
過去ログでは、冒険風ライダーさんは、イオン・ファゼカス号による大質量ワープ
を判断材料にしていたようですが、それも奇妙な話です。大質量ワープは銀英伝3巻
の時点では紛れもなく新技術だったわけですから、それ以前のイオン・ファゼカス号
はワープできなかった、と考えるのが自然だと思います。
(それとも、知らないうちに帝国も同盟も技術レベルが低下したのでしょうか……)
(2) 書かれていないことは否定も肯定もできない(しにくい)
結局、イゼルローンが移動要塞化されることはなかったわけですが、それはヤン達
が全員無能で単純にこの作戦を思いつかなかったのが原因なのでしょうか。それとも、
この新作戦に関する研究チームは発足されたのだが、これまでの過去ログで散々検討
されたような、技術的・経済的・時間的・心理的・政治的な障害によりプランが棄却
されたのが原因なのでしょうか?
これに関しても、前者とも後者とも我々には判断がつきません。前者も後者も、そ
れを否定するに充分な記述は銀英伝の中にない(ように見える)からです。
それも、当たり前といえば当たり前の話です。銀英伝という小説は、ラインハルト
とヤンという二人の英雄の生き様の物語であり、移動要塞の是非を検討するためのも
のではないのですから。
※ただ、どちらがよりもっともらしい解釈か、と聞かれれば、私は後者を選びます。
作中、ヤンやその幕僚は有能な人材として描かれており、それに逆らってまであえて
彼らを無能とせずとも、イゼルローンが移動要塞化されなかった理由は説明できてい
るからです。
不沈戦艦さん、
>あくまで「こういう風にやるべき」という「例」として出したものですので、「これをベースに進めろ」とか、「必ずレス寄越せ」とかいうつもりは全くありません。
はじめに、この#3596でのご発言にレスを入れなかったことを、お詫びします。言い訳をもうしますと、あの投稿がツリー構造を示すインデントで見る限りは、#3585の冒険風ライダーさんの投稿へのレスになっていたのと、私のハンドル名が文中になかったので、最初は、私へ向けて発した投稿とは思わなかったのです。せっかくアドバイスをいただいたのに。もっと注意して読むべきでした。
以下に述べることが、不沈戦艦さんへの回答として認めていただけるかどうかは分かりません。とりあえずは、私が提供できる最善のものを提供します。
結局、今回の冒険風ライダーさんとの議論の中で、科学的考証という切り口では、私は三つの異なる立場を、時間経過とともに切り替えながら採ったと思います。
1.最初は、自分の中の当然の常識に基づいて、私が知る現実の物理法則に準拠して、正否を判断しようとしました。
2.次に、冒険風ライダーさんの主張を入れ、現実の物理法則を、本議論に限っては持ち込まないことを了承しました。
3.最後に、現実の物理法則の復権を、ライダーさんにお願いしました。
そして、ご存知のように、3に関する合意がえられなかったので、私たちの議論が終了したのです。
>「作品論争」である限り、「銀英伝の記述から導き出した推論」を根拠にあげれば、「証明」としては十分ではないですか。
私もそう思いましたので、2でライダーさんに同意したのです。また、私はガンダムはまったく知りませんが、不沈戦艦さんが挙げられた例は、理解できるつもりです。もしも、銀英伝の中に、ラインハルトが移動要塞を駆使して同盟領まで攻め込んだという記述があり、私が「そんなことは物理学的に不可能だ」と否定したなら、それは不沈戦艦さんが言われるとおり、作品世界を破壊する「空想科学読本的突っ込み」にすぎません。
しかし、銀英伝の記述のなかで、ガイエスブルグは同盟領まで到達して「いない」のです。仮に同盟領まで航行する能力があったとしても、ヤンに破壊されたことで、それを証明する機会を永久に失ったのです。これが銀英伝の記述です。
そして、この点は、移動要塞は可能であるとする他の「証拠」についても同じです。イゼルローンは、銀英伝の全記述を通して、静止要塞として始まり、静止要塞として終わりました。ヤンやユリアンの、「自給自足で数十年持ちこたえる」という戦略も、そこにはイゼルローンを移動要塞にする、という計算因子は入っておりません。これが銀英伝の記述です。帝国へ侵攻した同盟軍や、ラグナロック時の帝国軍が補給の心配をしていないといっても、それは艦船の話で要塞の話ではないのです。これが、銀英伝の記述なのです。
「再度整理しました」とタイトルをつけた#3579の投稿は、つまりはこのことを説明しようとしたのです。説明が冗長に、あるいはライダーさんが言われたように「弁護士」のような口調になったのは、私の表現力不足です。
ともあれ、本来ならば、ここで「移動要塞が可能であるという証明はできない」として、決着がつくはずでした。
ただ、私はこの問題は考察対象として面白いし、昨年盛り上がった(のか、荒れたのか分かりませんが)議論に、自分が参加できなかったことが残念で、なんとか銀英伝の記述に基づき、可・不可いずれの結論にいたるせよ、移動要塞の可能性にもっと明確な答えを得られないものか、と考えました。そのためには、銀英伝の記述が最終回答を与えぬままに終わった「空白の部分」を埋めねばなりません。
そして、空白を埋めるための手段として、一度は捨てた「現実世界の物理学」を利用したいと思ったのです。理由は、先の発言で述べたとおり、現実世界の物理は、現実世界において、ありとあらゆる場合を実験で直接確かめられない、という「空白」を埋めるために利用されるからです。
実際に冒険風ライダーさんと論争をしていたときは、上のように論点をまとめられず、混乱を招いたことは、申し訳なかったと思います。
度々横レス失礼します。
冒険風ライダーさん(以下氏と省略させていただきます)が指摘された「要塞が恒久的な自給自足が可能である」ことは、銀英伝ファンとしては悲しむべき事実であり、それを指摘した氏は、賞賛されるべきでしょう。そして、このような興ざめの設定をした田中芳樹氏は、弾劾されるべきミスを犯したと言えるでしょう。この悲しい事実に対して、過去の投稿者を含めてほぼ認めていると言っても良いでしょう。
しかし、ここからが問題です。氏は、要塞性能とガイセスブルク要塞が移動した事実を元に「移動要塞」という新兵器を考案し、このような画期的な兵器を思いもつかなかった(という事実も不明であるのに)論で、二人の英雄であるラインハルト、ヤンを無能、愚者と告発する暴挙に出たのです。無論、そのような論を認めることは「掟(ルール)破り」になります。銀英伝が「二人の英雄を軸にした英雄叙事詩」という根本を覆してしまうからです。Ken氏、八木氏などの否定派が反論をするのも極々当然でしょう。また、Ken氏は「二人の名誉毀損に対して、その当人は過去の人物であり、反論することが出来ない」思ったからこそ弁護人という形で受けて立ったと私は考えています。
私自身としては、二人を弁護する気はそれほどありませんが、このようなルール改正をするのならば、もっと精緻に検証してくれなければ納得できないという立場です。その論理に隙が感じられないのならば、全面的に賛同します。
もう一つ、みなさん簡単に無能、愚かと言いますけれど、現在生きている人に対してならば、その人にはまだ名誉挽回の機会がありますが、過去の人は、直接反論することが出来ないこと、その人達の愚かさは、人間共通の愚かさであり、彼らの有能さはその人個人から発露しているものです、「一事が万事」とはいいますが歴史を語る上でそういう態度で望むのはどうでしょうか。
長くなりました。では、反論を始めます。
このレスでは同盟側の実現性について論じているので、その反論を論じます。私の論点は、①移動要塞は技術的には可能であるが、実用までは少なくとも数年はかかる②兵器としての価値③実用化したと仮定して、民主主義をどのように残すのか、この三つの疑問に対して答えていただきたいです。
①ここは、製造技術、戦術・戦略技術を論じます。氏は、「要塞」と「移動要塞」は対した違いがないと考えておられるようですが、私はそうは思いません。「似て非なるもの」だと断言します。
まず設計の戦略的・戦術的意味が違います。 要塞は、イゼルローンを例に取るとイゼルローン回廊という地形効果を利用した「関門拠点」といえますし、ガイセスブルクは「地方戦略拠点」(推察)だったのでしょう。それに対して、氏の言う移動要塞は「能動的拠点」といえます。設計思想が移動と停止、攻撃と防御など正反対です。これは、まさしく新兵器です。
ただし優れた戦術家は戦術上、当然兵器の性能、効果は考慮に入れているでしょう。しかし、新兵器である以上実績は無いわけです。そのような信頼できない物に頼らざおえないという時点で勝つことは難しいのではないでしょうか。では、ガイセスブルクについてはと言う疑問があると思いますが、これは、要塞の一形態だといえます。移動したのはイゼルローン前までで、その後は戦闘中に効果的に動いたと言う事実はなかったのでは、試作機と思えます。
ただ動けは解決と言うのは安直スギでは?有用に動いたか?の方が遥かに重要だと思います。
次に改造秘匿問題ですが、氏は時間的に問題ないと言っておられますが、それは読者(後世の人)と言う立場から論じているからでは?
イゼルローンは主戦場であり、帝国もそこを拠点と分かれば追撃してくるのは時間の問題です。作中では、主戦、慎重論があると言っていますが、そんなことはスパイでもいない限り、分かるはずもありません。
また、要塞に対する攻撃方法がヤンも分かっているし、ラインハルトも分かっているわけですから、まずやらなければならないことは、「戦艦修復後、早急なる撤退」という原作通りの考えに行きつくと思うのですがいかがでしょう?
私が疑問に思うことは二つ、「移動要塞は有用に動くのか」「攻撃される危険性の中で、工事を進めることができるのか」です。
上記この問題がクリアーしたからと言っても②の問題も解決していただかなければならないですが、ここで止めます。ぜひ、私の疑問を解決していただきたいです。
a-ruさん、要塞外壁の件ではご評価感謝いたします。
そういう訳で自重してたんですが場荒しにならない程度に肯定派的解説を少々御披露いたします。
冒険風ライダーさん、穴だらけでしたら御叱責下さい。
>①移動要塞は技術的には可能であるが、実用までは少なくとも数年はかかる
まず帝国側については「ガイエスブルグが成功したので無問題」ではないでしょうか。
別にシャフト技術総監が個人的特異技術を駆使した産物ではないのでガイエスブルグ改修時の資料さえあれば十分再現可能でしょう。
加えて「手柄急ぎのシャフトの急かし」がないのでガイエスブルグの3ヶ月に対して半年~1年かける事も帝国側なら可能ですし、ミュラーがおそらく持ち帰ったであろう運用ノウハウから改良さえ可能なはずですが誤解がありますか?
同盟側は「“できるかもしれないのでやってみる価値”がある」(原作6~8巻時点)が妥当な結論ですね。
古来の戦争のセオリーで「援軍のない篭城戦は必敗する」は例外は無かったはずでかつ「防御側に対して3倍以上の戦力で攻撃した場合の勝率は高い」も攻撃側に致命的な錯誤がない限りおおむね通用します。
そして流石にラインハルトもこの点についてはほぼ戦略的失策を犯していないのでおそらくフィッシャー戦死後の「回廊の戦い」は「ヤン艦隊壊滅(もしくは壊滅的打撃)の後回廊両側面からの艦隊砲撃か漫画版のシトレ元帥が試みた無数の無人艦特攻などで要塞陥落」の流れに本来なっていた可能性は極めて高いと思うのですが。
しかし逃亡できるなら話は別です。
この時点でヤンは「無尽蔵の補給港」を持って艦隊戦力と共に逃げてこそ無用の人死にを避け勝機を待つ事ができたのです。
これについては「駄目で元々」で移動要塞プランに着手して非難されるいわれはまずありません。
おそらく一番あの時点で混乱が少なかったであろう「投降して帝国に釈明する」を選択できなかった時点でどうあれヤンは「戦う」選択をしたのですから「100%の敗北」を避けるあらゆる努力を試みるべきではなかったでしょうか。
ただし私は5巻以前のヤンは多分「有用だとわかっていてもやらなかった」と考えます。
理由は「ラグナロック作戦」発動までは「軍事的投機を触発しかねない軍事ハードプラン」をおそらくヤンは忌避してあくまで「回廊制圧」の事実に基づく「綱渡りの平和」を希求しただろうと推測されるからです。
以上、同盟については状況の変化で「移動要塞プラン」への取り組みも変化があると判断します。
>②兵器としての価値
「単体戦闘能力が貧弱なので空母は無価値」とはお考えにならないと思います。
「それ自体が強大な戦闘力を有する閉鎖系生活サイクルを内包した移動軍港」が存在するならその価値は疑い様がないと思います。
>③実用化したと仮定して、民主主義をどのように残すのか
ヤン艦隊サイドの事情に限っていい疑問ですね。
冒険風ライダーさんの考察の移動要塞論過去ログで既出の意見で恐縮ですが「逃げて逃げて逃げ続ける」でいかがでしょう?
もう少し恵まれた条件でもう一度「長征一万光年」をやる訳です。
それで以前六三さんが「人的資源は無限な訳がない、裏切り者だって出るだろうし必ず瓦解する」という意見を出されましたが、それって「逆境における国家体制の存亡の岐路」という状況で必ず起こる言ってみれば人間の性とか業とかその類ですよね。
はっきり言ってそこまで移動要塞に責任を転嫁するのは無理というものでしょう。
「帝国の支配下からの脱出の可能性」を示すだけでも過分に役割を果たしているとするべきではありませんか。
あと①の補足ですが「工事の安全性」については移動要塞考察のA~Cと「ラインハルト本隊到着までにそれなりの時間があり、先遣隊のファーレンハイト・ビッテンフェルト2個艦隊は要塞攻略に着手するどころか駐留艦隊に敗走の憂き目を見た」史実をご覧の上御勘案下さい。
最後に「移動要塞の有用性」と「移動要塞を有効に運用できなかったとしてのヤン・ラインハルトの評価」は分けて反論可能ですしそうした方がいいんじゃないかと思いますよ。
「視野が狭いので功績を全否定するのは極論である」とか「考えつかなかったのも一つの史実でありかつ他の全人類全てが発想しなかったのだから比較論として『銀河英雄伝説』においてヤンとラインハルトのみ酷評するのはアンフェアである」とかは実は私も思わないではないです。
長文かつ勝手な見解を冒険風ライダーさん、a-ruさん、ご覧の全ての方々にお詫びいたします。
> 不沈戦艦さん、
>
> >あくまで「こういう風にやるべき」という「例」として出したものですので、「これをベースに進めろ」とか、「必ずレス寄越せ」とかいうつもりは全くありません。
>
> はじめに、この#3596でのご発言にレスを入れなかったことを、お詫びします。言い訳をもうしますと、あの投稿がツリー構造を示すインデントで見る限りは、#3585の冒険風ライダーさんの投稿へのレスになっていたのと、私のハンドル名が文中になかったので、最初は、私へ向けて発した投稿とは思わなかったのです。せっかくアドバイスをいただいたのに。もっと注意して読むべきでした。
>
> 以下に述べることが、不沈戦艦さんへの回答として認めていただけるかどうかは分かりません。とりあえずは、私が提供できる最善のものを提供します。
>
> 結局、今回の冒険風ライダーさんとの議論の中で、科学的考証という切り口では、私は三つの異なる立場を、時間経過とともに切り替えながら採ったと思います。
>
> 1.最初は、自分の中の当然の常識に基づいて、私が知る現実の物理法則に準拠して、正否を判断しようとしました。
> 2.次に、冒険風ライダーさんの主張を入れ、現実の物理法則を、本議論に限っては持ち込まないことを了承しました。
> 3.最後に、現実の物理法則の復権を、ライダーさんにお願いしました。
>
> そして、ご存知のように、3に関する合意がえられなかったので、私たちの議論が終了したのです。
>
> >「作品論争」である限り、「銀英伝の記述から導き出した推論」を根拠にあげれば、「証明」としては十分ではないですか。
>
> 私もそう思いましたので、2でライダーさんに同意したのです。また、私はガンダムはまったく知りませんが、不沈戦艦さんが挙げられた例は、理解できるつもりです。もしも、銀英伝の中に、ラインハルトが移動要塞を駆使して同盟領まで攻め込んだという記述があり、私が「そんなことは物理学的に不可能だ」と否定したなら、それは不沈戦艦さんが言われるとおり、作品世界を破壊する「空想科学読本的突っ込み」にすぎません。
>
> しかし、銀英伝の記述のなかで、ガイエスブルグは同盟領まで到達して「いない」のです。仮に同盟領まで航行する能力があったとしても、ヤンに破壊されたことで、それを証明する機会を永久に失ったのです。これが銀英伝の記述です。
>
> そして、この点は、移動要塞は可能であるとする他の「証拠」についても同じです。イゼルローンは、銀英伝の全記述を通して、静止要塞として始まり、静止要塞として終わりました。ヤンやユリアンの、「自給自足で数十年持ちこたえる」という戦略も、そこにはイゼルローンを移動要塞にする、という計算因子は入っておりません。これが銀英伝の記述です。帝国へ侵攻した同盟軍や、ラグナロック時の帝国軍が補給の心配をしていないといっても、それは艦船の話で要塞の話ではないのです。これが、銀英伝の記述なのです。
1.ガイエスブルグ移動要塞は、元の位置→ヴァルハラ星系→イゼルローン要塞という移動を「作中事実」としてやってのけた。また、その際にあれほど補給を重視するラインハルトが、エンジンの同調という技術的問題について言及してはいても、移動要塞の補給については気にもしていない。
2.重量としては、ガイエスブルグやイゼルローン以上の、「長征一万光年」のイオン・ファゼカス号のような「超巨大ドライアイス船」が、奴隷階級に落とされていたような連中の、帝国からの脱出に使用できたという「作中事実」がある。
で十分でしょう。帝都からイゼルローン回廊までだって、大した距離なのです。「イゼルローン回廊までは、安全な帝国内の移動だったから、補給を繰り返しながら何とか行けただけかも知れない」って説明の「作中事実が裏打ちしている根拠」は何なのですか。Kenさんは、何も示していないではないですか。「私が知る物理法則」を繰り返しているだけで。それに、燃料補給を繰り返せば何とかイゼルローン回廊まで進める程度の航続距離しかないような代物を、イゼルローン要塞の攻撃に実戦投入するほど、ラインハルトは「莫迦」である、と本気で主張するんですか。昔の例ですが、太平洋の日米戦で戦闘機の作戦行動範囲は、「航続距離の1/3」が妥当なところですよ。1/3の燃料で戦場まで到達し、1/3の燃料で空中戦、1/3の燃料で基地や空母まで帰還、という割りふりです。イゼルローンに到達するのがやっと、なんて代物をイゼルローン攻撃に使用する、なんて「狂気の沙汰」としか言いようがありませんね。2.についても、「イオン・ファゼカス号が同盟領まで逃げるのに使用された訳ではない。航続距離は案外短かったかも知れない」なんてのは、これもまるっきり話にも何にもなりはしませんよ。帝国から脱出し、同盟を建国した人々ってのは、航続距離が案外短く、逃げ切れるかどうかも分からないような代物で、脱出を敢行するほど「莫迦」なんですか。
また、「艦船には燃料の心配はないにしても、要塞についてはそれは言えないかも知れない」なんて、そんな無茶をよく言ったもんですね。あなたがすべきなのは、「かも知れない」を繰り返すことではなく、「要塞の移動には、膨大な量の燃料が必要であって、その補給に難儀していた」ということを裏打ちする「作中事実」を「銀英伝の記述」の中から探し出して指摘することですよ。それができない限り、あなたの主張には何ら説得力は見出せません。それに、普通に考えれば、図体がでかい方がスペースに余裕がありますから、何をするにも有利になるんですけどね。当然、燃料に関してもそれは言えます。駆逐艦より戦艦大和の方が航続距離が長い、ということをまさか理解できないとは仰りますまい?セスナ機よりB747の方が、遠距離まで移動できますよね。「図体が大きくなると航続距離が減るかも知れない」ってどういう理屈なんですか。
> 「再度整理しました」とタイトルをつけた#3579の投稿は、つまりはこのことを説明しようとしたのです。説明が冗長に、あるいはライダーさんが言われたように「弁護士」のような口調になったのは、私の表現力不足です。
>
> ともあれ、本来ならば、ここで「移動要塞が可能であるという証明はできない」として、決着がつくはずでした。
単にあなたが「私は認めたくないんだ!」と言い張っているだけでしょ。確かに、決着はついてますけどね。あなたが認めたくないだけで。あなたが何度「認めたくない」と繰り返したところで、「反論」には全くなっていないんですよ。
> ただ、私はこの問題は考察対象として面白いし、昨年盛り上がった(のか、荒れたのか分かりませんが)議論に、自分が参加できなかったことが残念で、なんとか銀英伝の記述に基づき、可・不可いずれの結論にいたるせよ、移動要塞の可能性にもっと明確な答えを得られないものか、と考えました。そのためには、銀英伝の記述が最終回答を与えぬままに終わった「空白の部分」を埋めねばなりません。
>
> そして、空白を埋めるための手段として、一度は捨てた「現実世界の物理学」を利用したいと思ったのです。理由は、先の発言で述べたとおり、現実世界の物理は、現実世界において、ありとあらゆる場合を実験で直接確かめられない、という「空白」を埋めるために利用されるからです。
だからここが完全に「ずれている」なんですって。「現実世界の物理学」のことはお忘れなさいよ。それと「かも知れない」「かも知れない」を繰り返すのも、お止めになるべきです。冒険風ライダー氏は、そんなことは言ってませんよね?「かも知れない」ということは。「これこれこういう理由で、こういう結論になる筈である。それに関する銀英伝の作中の証拠はこれ」という形で示してはいても。
「かも知れない」の連発では「自分が認めたくないだけ」と思われても、仕方ありませんよ。あなたは、すでにそういう状態に陥っています。
> 要するに、私としては、アーレ・ハイネセンたちはイオン・ファゼカスを234兆トンのまま飛ばせるよりも、船体を軽くするように努力をしたはずではないか、と言いたかったのです。あるいは、冒険風ライダーさんとのやり取りの中で用いた厳密な定義をするなら、「ハイネセンたちがイオン・ファゼカスを軽くしようとした可能性を否定証明はできないでしょう」ということでした。
冒険風ライダーさんも回答されているように、「船体を軽くする」ことを重視したのであれば、そもそも推定重量234兆トンもの塊を切り出す必要がないわけです。
むしろ、耐久性重視を目的として、十分な防壁を備えることを意図した、と考える方が自然ではないですか。例えば、宇宙空間航行時における浮遊物との衝突等にも耐える必要があるでしょうから。
> ところで、パンツァーさんが挙げられた他の疑問に応える前に、もしも差し支えなければ、この移動要塞問題を論ずる上でのパンツァーさんの基本スタンスを確認させていただいても、よろしいでしょうか?あるいはこれまでの発言で、すでに明らかにされたかもしれませんが、どうか再度説明をいただけるとありがたいのです。基本的な前提に合意がないと、冒険風ライダーさんと私の間の議論のように、果てしなく空回りし、互いの論点が相手に通じないと思われますので。
>
> 1.パンツァーさんは、銀英伝の世界が私たちの世界と、同じ物理法則に従うという立場をとられますか?それとも、私たちの知らない物理法則に従う世界だと思われますか?
表現が二つ出てきていますね。
A「私たちの世界と同じ物理法則」
B「私たちの知らない物理法則」
Aは、物理法則というものが存在しているが、私たちが知っているか否かを問いませんよね。
Bは、物理法則というものが存在している上で、私たちが知っている(現在正しいと認識している)ものに限定されますよね。
意味が異なるわけですよ。
私の考えは、
「私たちの世界と同じ物理法則」に従う立場であるが、「私たちが知っている(現在正しいと認識している)物理法則」とは限らない、というものです。
もう少し説明を追加すると、古代人も、地動説を信じる中世人も、認識している物理法則が違うにせよ、「同じ物理法則」に支配されていることには、かわりないと考えられるからです。
他でも述べましたが、
未来においては、「エネルギー保存則」が破れる可能性だってあるわけですよ。特殊な条件下では。
このスレッドの投稿中にも散見しましたが、「質量保存の法則」は破れることがあります。例えば、核分裂や核融合といった核反応では、質量欠損が生じますから。だからといって、通常一般に「質量保存の法則」は破れるわけではありません。ドライアイスの塊における構造強度の話は、当然銀英伝世界でも通用すると考えています。
また、観察中・・・さんとの一連の投稿においては、「エネルギー保存則」を破らないで説明のつく解釈、について考えてみました。
もっとも、不沈戦艦さんの指摘を援用して考えると、まったく異なる物理体系が存在するという仮定もありえるわけです。
私としては、銀英伝の世界をベースに考えることを最重要事としているので、
「私たちの世界と同じ物理法則」
に従わないとする仮定であっても、構わないと考えています。
> いうまでもなく、銀英伝を支配する最も重要な「物理法則」は銀英伝の記述である、という点は、冒険風ライダーさんが繰り返し言っておられるとおりです。ただ、いくら銀英伝が大作でも、あらゆる事象をもれなく説明し尽くすことは不可能ですから、どうしても「書かれていない」部分が出てきます。その部分を埋めるのに、私たちの物理法則を使うことを認めるかどうか、ということです。
まず、「書かれていない」部分って、具体的に何を指すのですか。
不沈戦艦さんが指摘されましたが、「ワープエンジン」って、Kenさんの言う「私たちの物理法則」に当てはまるのですか。「ワープエンジン」の原理に関して、今日我々が知っている物理学で納得できるような説明もありませんよね。
つまり、例えば、「艦隊がワープ航行する」という記載に対して、「ワープエンジン」の原理がない部分を、「私たちの物理法則を使うこと」で埋める、ということですか。
今日の我々は知らないが、「エネルギー保存則」が部分的に破れる可能性だって否定しきれないわけです。上で「質量保存の法則」が破れる場合については説明しました。これだって、一時代前の人類はびっくり、ですよ。
銀英伝の記述の中で、「可能だ」とされていることに関しては、原理はよく分からないけど、未来に認識される物理法則では、説明がつくのかもしれないわけです。いくら不満であっても、銀英伝の記述を無視するのであれば、それは銀英伝の根本的否定です。
> 2.パンツァーさんは、「移動要塞の恒久的な運用は可能である」という立場と、「不可能である」という立場の他に、「銀英伝の記述だけでは、可能であると証明するにも、不可能と証明するにも、不十分である」という立場を認めますか?これは、前の両者の妥協案でも中間案でもありません。それ自体が、独立した一つの考察です。これは移動要塞だけでなく、どんな問題についてもいえることです。
もちろん論理的に考えれば、
a「移動要塞の恒久的な運用は可能である」
b「移動要塞の恒久的な運用は不可能である」と、
c「銀英伝の記述だけでは、可能であると証明するにも、不可能と証明するにも、不十分である」
の三通りに分類されますね。この三通り以外の場合は存在しないということです。
ただし、以下述べる理由で、この討論に関しては、bとcとは実質的に同一であると考えます。
> この点も、冒険風ライダーさんと私の議論が空回りする原因の一つです。ライダーさんは、この第三の立場を認めようとはされず、「恒久移動要塞可能説を否定するのなら、それが不可能であることを証明せよ」と言われています。私にはそうとしかみえません。
冒険風ライダーさんは、
1「銀英伝中の記載」をベースとして「可能なこと」を列挙し、
2「可能なこと」の組み合わせとして、
3「移動要塞が可能」
という結論を導き出しているのです。
これは、自説の論証作業です。
そして、1または2に「誤謬」や「論理の飛躍」があるなら、それを突いてみろ、といっているのです。
1または2の「誤謬」や「論理の飛躍」を指摘できたなら、
「移動要塞の恒久的な運用は可能である」
を否定できるのですから。
つまり、
念のため追加しますが、
aの否定は、bもしくはcにならざるを得ないわけです。したがって、aの否定が達成できれば、それがbであるかcであるかを問う必要はないのではありませんか。
要は、Kenさんが、1または2のどちらかに、納得していないからでしょう。
その納得していない点を指摘すればよいのです。
つまり言い方の問題です。
くれぐれも申し上げておきますが、
「銀英伝世界」の否定につながらない方向で、考えを進めてください。
「銀英伝世界」の否定に繋がる論を展開するのであれば、そもそも論ずることがありません。
それから、
No3572「証明責任2」の記載内容を見て感じたことを記します。
例えば、以下のような記載がありますね。
<タンク半分の燃料で200キロ走ったから、タンクを75%満たせば300キロは走るだろう、という予測はできません。なぜなら、そのような観測結果はどこにもないからです。それどころか、タンク75%の燃料で、200キロプラス1メートルを走れる。という予測すらできません。物理法則を考えないのなら、直接観測された結果以外のいかなる予測も、根拠のない憶測であります。>
これに準じて考えるなら、タンク半分の燃料で100キロ走ることができるか(四分の一の燃料を残して停止すること)、ということすら、予測できないのではありませんか。
ジャンボジェットなどの場合は、燃料を残して着陸ができないため、天候等の変化により引き返す際には、無駄に空中を旋回して燃料を消費します。つまり、100キロ走って停止、みたいなことができません。
この自動車にしたところで、100キロ走って停止の場合の不測の事態の発生を、どうして、以上だけの観測結果から導き出すことができるのでしょうか?
「タンク10分の1の燃料で40キロ走った」「4分の1では100キロ走った」「半分では200キロ走った」という観測結果といった、燃料をすべて消費した観測結果しかないのですからね。
冒険風ライダーさんは、銀英伝を利用した「仮定」を述べているのです。
冒険風ライダーさんの提示した「仮定」は、「移動要塞」に関するものですが、他の「仮定」だって当然ありうるものです。
ここで、「要塞」の移動可能性に対して、「ピタゴラスの定理の証明」に準じるような検証作業を要求するのであれば、例えば、銀英伝中における「艦隊」に対しても同様の検証作業を行って欲しいのです。
「実施の可能性」の程度比較を、作品中で実施されている対象(例えば艦隊)と、「仮定」における対象(例えば移動要塞)とで、「均等」にして欲しいのです。
もしも、作品中で実施されている対象(例えば艦隊)に関しては、記載内容なのだから絶対だ、で終わりにするのであれば、ありとあらゆる「if」の可能性を否定することになります。No3598で私が述べたように、ヤン艦隊がフェザーンを攻略する可能性を論ずることすら、不可能となります。
さらに進めて考えれば、作中に出てくる行動しか許容されない、という宣告に等しいものとなるのではありませんか。
No3579
<元々のドライアイスの質量は、240兆トン弱ですが、(中略)ドライアイス本体の質量は、当初の塊の2.3%--約5兆トン半になるかと思います。>
このような特殊事情を考慮してよい、となれば、銀英伝中の艦隊の行動一般に関しても、特殊事情が存在していた、ということを認めなければならないことになるでしょう。それを否定しきれない、というわけです。
つまり、この態度を推し進めれば、銀英伝作中の記載事実以外の選択肢は無かった、ということになるでしょう。唯一信頼に値する検証をクリアしたといえるのが、実際に行われたこととされる作中事実のみに限定されるのですから。
この場合は、作中人物も、決められた台本通りに行動する舞台役者のようなものであって、彼らの天才だとか愚劣だとかを論じることすら、無意味ですね。そのように行動するように決定されていたということでしょうから。
要するに、銀英伝作中の記載事実と、「仮定」とで、「均等」な扱い(「均等」な検証作業)をしないのであれば、それは(移動要塞だけを貶める意図での)恣意的な態度としか、みなしようがありません。
議論の前提条件として、以上のことを申し上げます。
不沈戦艦さん、
>ガイエスブルグ移動要塞は、元の位置→ヴァルハラ星系→イゼルローン要塞という移動を
>「作中事実」としてやってのけた。また、その歳にあれほど補給を重視するラインハルト
>が、エンジンの同調という技術的問題について言及してはいても、移動要塞の補給につい
>ては気にもしていない。
私が記憶する限りでは、ラインハルトが「補給」を問題にするのは、常に戦時です。もう少し具体的にいえば、物資の生産・ストック位置を離れて遠征するか、敵の攻撃で自軍の資源(物資、エネルギー、人員、艦船等)が損耗する可能性が大きいか、またはその両方の条件がある場合です。そして、私は、イゼルローン回廊へ入る前のガイエスブルグは、この条件には合わないと思います。
>帝国から脱出し、同盟を建国した人々ってのは、航続距離が案外短く、逃げ切れるかどう
>かも分からないような代物で、脱出を敢行するほど「莫迦」なんですか
帝国から脱出し、同盟を建国した人々は、逃げきれるかどうか完全な自信を得るまで、自由を求めての「賭け」に出られないほど、臆病だったのでしょうか?時間が経過すれば、イオン・ファゼカスを利用するより、もっと成功率の高いチャンスがくるという確信があったのでしょうか?
ただ、申し訳ありませんが、私は、不沈戦艦さんや冒険風ライダーさんを相手に、上のような議論を展開して論争をするつもりはありません。私が納得できないのは、「移動要塞は実現可能である」という結論ではないからです。私が納得できないのは、要するに次の2点です。
一つ目は、「移動要塞は可能である」ことを証明するための理論に「すき」があることです。不沈戦艦さんは、
>数学の定理を証明するような、厳密な科学的考証
を求めるのは誤りだと言われました。あるいは、不沈戦艦さんにとって、「現実の物理法則を否定すること」と「厳密な科学的考証を行わないこと」は同義なのかもしれません。
しかし、私にとっては、両者は同義ではありません。現実の物理に従う科学論にせよ、銀英伝の記述に従う作品論にせよ、何かを「証明」するには、厳密さが要求されます。それができないのなら、「移動要塞を実現できる可能性がある」という表現にとどめておけばよいのです。
二つ目は、ヤンとラインハルトが愚か者である、という結論です。不沈戦艦さんや冒険風ライダーさんのように、銀英伝の作品設定を最大限重視する人が、なぜこのように、設定を大きく乖離する結論を主張されるのでしょうか?
Kenさん
> 私が記憶する限りでは、ラインハルトが「補給」を問題にするのは、常に戦時です。
いくら何でも「ガイエスブルグ要塞移動」は「ケンプ・ミュラーによるイゼルローン攻略戦」の第一段階、すなわち最初期の「戦中」です。
「戦略」とは「戦う前に想定されうるあらゆる事態に万全の準備を整える」事であり、この段階でいきあたりばったりな真似をするようなラインハルトであればそれはアムリッツァのフォークと大差ない代物でしょう。
何故そんな酷い侮辱を「常勝の天才」になさるのですか。
> >帝国から脱出し、同盟を建国した人々ってのは、航続距離が案外短く、逃げ切れるかどう
> >かも分からないような代物で、脱出を敢行するほど「莫迦」なんですか
>
> 帝国から脱出し、同盟を建国した人々は、逃げきれるかどうか完全な自信を得るまで、自由を求めての「賭け」に出られないほど、臆病だったのでしょうか?時間が経過すれば、イオン・ファゼカスを利用するより、もっと成功率の高いチャンスがくるという確信があったのでしょうか?
あの、それは「回廊の戦い」におけるヤン艦隊も同条件なのですが。
「援軍の見込みのない篭城戦は必敗する」は史実のセオリーであり、ラインハルトが要塞攻略に揃えた戦力は「防御側に優越するに必要な攻撃側の戦力は3倍」を充分に満たしておりヤンはその事実を知っています。
「全戦力を温存して逃走できる可能性=移動要塞構築」があるなら最低限考慮した上で不可能な理由をヤンはユリアン=読者に「人民の海計画」と同様に述べなくてはならないのですが。
> 一つ目は、「移動要塞は可能である」ことを証明するための理論に「すき」があることです。不沈戦艦さんは、
>
> >数学の定理を証明するような、厳密な科学的考証
>
> を求めるのは誤りだと言われました。あるいは、不沈戦艦さんにとって、「現実の物理法則を否定すること」と「厳密な科学的考証を行わないこと」は同義なのかもしれません。
>
> しかし、私にとっては、両者は同義ではありません。現実の物理に従う科学論にせよ、銀英伝の記述に従う作品論にせよ、何かを「証明」するには、厳密さが要求されます。それができないのなら、「移動要塞を実現できる可能性がある」という表現にとどめておけばよいのです。
事実ガイエスブルグ要塞は移動したんです。
移動要塞の実現にこれ以上何が必要なんですか。
銀河英雄伝説3巻(デュアル文庫版5・6巻)お読みじゃないのですか?
> 二つ目は、ヤンとラインハルトが愚か者である、という結論です。不沈戦艦さんや冒険風ライダーさんのように、銀英伝の作品設定を最大限重視する人が、なぜこのように、設定を大きく乖離する結論を主張されるのでしょうか?
「移動要塞」という「作中事実」が含む「ある重大な可能性に何故気付かなかったのか」という疑問からでしょう。
尤もこれについては私も「移動要塞の有用性」を大いに認めた上で「全人類規模で誰も気付かない事での判断で酷評と思う」と3610番の投稿で申しておりますが。
一度大荒れになった話題をあえてもう一度議題にされているのですからもう少し相手の冒険風ライダーさんの議論姿勢、議論前提を考慮して過去の考察ログを重々点検した上で異議を唱え意見を開陳された方が誰にとっても幸福ではないですか。
はじめに、S.Kさんはじめまして、本当にありがとうございます。
私のいくつかのレスが、私の意図と全く噛み合わなかったり、相手にされていないと言うのはとても苦しかったので、このようにレスをいただいたのはとても感謝しています。大げさかと思われますが、心が晴れ渡り、報われたような気分です。
私の都合上、前レスは中途半端なモノでしたが、以後の意見がS.Kさんへ返答となって納得いただければ幸いです。
ということでS.Kさん、同盟側は「“できるかもしれないのでやってみる価値”がある」といわれますが、それはあなたが後世の人に立場に立っているから言えることです。まずは、「イゼルローンは主戦場であり、帝国もそこを拠点と分かれば追撃してくるのは時間の問題です」そして指揮官は常に最悪の事態を考慮しなければいけません。その最悪の事態とは、「ヤンが考えうる以上に早くイゼルローンに到着すること」ではないでしょうか。
例えば、家を建てるとき、雲行きが怪しくなって、台風が来ることは予想できても、いつ来るか分からないとき、現場監督として工事をはじめられますか?そんな危険を犯せますか。そのような状況で成功できる人は、天下無敵の大バカか、大天才か分かりませんが、少なくとも「普通の人」ではないですよね。そんな人を参考にできるのでしょうか。たとえ、賭ける価値があるとして、賭けの相手は天才ラインハルト、負ければ自分を含めて500万人以上の死、勝てば銀河の果てまで逃げつづけることが出来る…どうでしょうか。
あと、空母と移動要塞は設計思想が別のように思います。
空母は「戦闘能力の高いが航続距離・時間が短い戦闘機、戦略爆撃機を燃料補給、修理を行って飛行機が継続的に作戦を遂行するために海上から支援する」ものであり、移動要塞は「拠点・自己補給・戦闘」三つの思想(コンセプト)を一つにまとめたものである、と解釈しています。
では本論をはじめます。まず、①で書き忘れたことを述べます。
「イゼルローン要塞の職業人口比率」について
イゼルローンの人口構成は作中では、民間人300万人、軍人200万人とのことですが、この中で技術者とよばれる人たちがどのくらいいると言われるのでしょうか。しかも宇宙関連などの高度技術者や熟練技術者はどのくらいいるのでしょうか?記憶があいまいで恐縮ですが、大敗戦以降、同盟は慢性的な人材不足に陥っているという記述が作中にあったと思うのですがどうでしょうか。また、冒険風ライダーさんは民間人技術者の徴収で10万人と見積もっていますが、その数はどこから出てくるのでしょう?技術者の数は早期改造工事の要だと思いますがどのようにお考えになりますか?
「ガイセスブルク要塞移動の実現までの計画時間」について
帝国の移動要塞計画は、ラインハルトへ提出するまでどれほどの期間を費やしたのかということです。科学技術長官なのか、それとも名もなき天才なのか、もしくは同志が集い議論を闘わせた物なのか、いったいどれほどの時間をかけて計画を練り上げたのでしょう、模型なども作ったのでしょうか…。とにかく、ガイセスブルク要塞を三ヶ月で動かせたのですから、ねじ一本一本のことまで書かれた、稀代の芸術作品的設計図だったではと私は思いを馳せるのです。しかし、同盟でこれが当てはまるのでしょうか、帝国と同盟は技術的に差がないといいますが、差はあります。例えば要塞があるか、ないか、です。要塞建設実績のない同盟に、しかも帝国製の要塞を改造することに困難はないのでしょうか。
まあ、同盟にも計画が在ったかもしれませんが内容が不明なものを前提に議論を進めて良いのでしょうか。
ここでの疑問は二つ、「イゼルローン内での技術者の人口(万単位)」「帝国で移動要塞開発計画の発案から提出までの設計・試作期間とそれを同盟にほぼ一致して計画できると言う論拠」です。
では②に行きます。
②移動要塞が兵器として実際に有用と言えるかについて反論します。
氏は、移動要塞の設計思想として「恒久的(少なくとも50年)自給自足可能な拠点兵器」と考えておられると言うことで「補給万能論」者という立場に勝手にしますが宜しいですよね。
この前提で、私も反論します。私はそれほどまでに補給が万能であるとは思わない立場です。そもそも、補給とは「国力を戦闘力に変換するための一システム」に過ぎないと考えています。例えて言うと、人間の循環系がこれにあたるでしょう。重要でありますが、補給によって戦艦を破壊できるでしょうか、そんな事はないでしょう。つまり、それ以上でもそれ以下でもないことです。
また補給の優劣が戦術で現われるのは、指揮官、戦力、戦術運用などが両軍同等の力で接近している「接戦」か、国力勝負の「持久戦」かです。
そして、移動要塞で帝国の補給線を延ばそうという戦術ですが、それが間違っています。断ち切りやすくするために補給線を延ばすのです。ではどのように補給線にダメージを与えるのでしょう。ただでさえ少ない25千の戦艦を割くのですか?要塞の防御はどうなるのでしょう。別働隊の弾薬、食料は?指揮官は?そして何より、同盟だけが無補給可能なわけではありません。帝国にも出来るのです。そして、要塞など作らなくとも、兵器製造艦、食料生産艦など必要な物資を生産できる艦を作ったほうが遥かに運用やコストなどの面で優れていると思います。
よく家電製品で、多機能をウリにした商品がありますが、結局使いこなせないことがあります。一つ一つ役割のはっきりした物のほうが使いやすいことは良くあることではないでしょうか?そして、複雑なものほどチョットしたことで壊れやすいものです。移動要塞は、動力、工場群、エンジンなど複雑に入り組んだ高度な兵器です。故障頻度や耐久度でも未知の領域ではないでしょうか、商品の法則からいくと…。
軍隊はスペシャリストの集団です。その中で移動要塞がトータルスペシャリストなれるのでしょうか?私は、移動要塞は結局「器用貧乏」な兵器になる可能性があると推測します。
①にもつながることなのですが、要塞動力源の最大出力と最大出力の耐久時間はどの程度なのでしょうか。トールハンマーの攻撃後、時間がかかると言うことは、少なくともコンデンサー的なものでエネルギーをためなければいけないし、冷却も必要かもしれません。これについて言えることは、要塞動力源は、要塞機構全般を維持しつつ、トールハンマーを連射することは出来ない程度の動力であることの証左ではないでしょうか。例え、移動する余力があったとして、攻撃を受けた場合、兵器生産しながらの移動が可能な程の余力があるのか、という疑問が出てきます。
これは余談ですが、1日あたりミサイル生産個数は6千、万、十万?ここは記憶があいまいなので先に誤りますが、少なくとも千、万ではすぐ底づいてしまうのではないでしょうか、貯蔵にも限度がありますし、これ以上は追究しません。
私が疑問に思うことは「要塞動力源の最大出力と最大出力の耐久時間はどの程度なのか」「移動要塞が完成されたとして、現在全戦力で帝国の補給線が長期的に断てるのか」の二つです。
次は、③について述べます。