しっかし、予想以上に社会評論が多いですね~。本来ならば、とっくに3巻の批評に突入しているはずなのですが、いまだにこんなところで足止めされているし。創竜伝の批判が全部終了するまで、いったい何回このシリーズをやることになるのでしょうか。先は果てしなく長いです(T_T)
まあ自分から進んでやりだしたことですし、最後までやりぬくつもりですので、皆さんよろしくお願いいたします。
それでは、創竜伝2の検証の続きをはじめましょう。
P98上段~下段
<「しょせん彼らは、日本という狭い枠の中で、餌をとりあう鶏にすぎん。あの鶏どもを、君はどうあつかうつもりかな」
「肥らせてから食べます」
優雅なほどの冷酷さで、女は言い放った。
「まずければ捨てます。それだけのことですわ……」
「すると大半がゴミ捨て場行きになりそうだな。まあよい、使い捨て文化は現代日本の特徴だ」>
あまりにも日本に対して侮蔑的なたわごとを吐きまくるこの2人の主張は、田中芳樹の左翼思想の代弁者としての役目でも引き受けているかのようですね。それはともかく、「使い捨て文化は現代日本の特徴」とはよく言ったものです。日本文化の「使い捨て」という一面だけを見てこんな断定をしているのでしょう。そういうタウンゼント氏の祖国であるアメリカの文化には、「使い捨て」という部分は一切ないのかといいたいですね。
P99上段
<「ふん、日本人という奴は、ハードウェアの形さえととのえば内実がともなうとでも思っているのか。奴らのベースボールは、こんな立派なスタジアムにはふさわしくない。それでも、ラグビーにくらべればまだましだが……」>
余計なお世話です。そういうタウンゼント氏の故郷であるアメリカだって「ハードウェアの形さえととのえば内実がともなうとでも思っている」かのごとく、でかい兵器や建物を、それも大量に建造しているではありませんか。マンハッタンのビルディング群や大量の最新鋭の軍艦・戦闘機・戦車……まさに「ハードウェアの形さえととのえば内実がともなうとでも思っている」みたいですね。そもそも、2つの世界大戦で、圧倒的な物量と兵器で押しまくって勝者となったのはどこの国でしたっけ?
P102上段
<「権力をかさにきて、子供をいじめるような卑怯な奴に、どんな礼儀を守れっていうんだよ。いい年して子供だっているだろうに、アホとちがうか。自分のやっていることを見て、すこしは恥ずかしくないのかよ」>
終君、自分を正義と過信して権力者に偏見を持っていなければとてもこんなセリフは言えませんよ。私の方こそ、あなた方竜堂兄弟にこう言いたい。
「自分の力で手に入れたわけでもない超能力をかさにきて、自分たちの主観で勝手に悪とみなした権力者を無慈悲に叩き潰して正義の味方面しているような奴に、どんな礼儀を守れっていうんだよ。いい年して相手を思いやるまともな想像力だってあるだろうに、アホとちがうか。自分のやっていることを見て、すこしは恥ずかしくないのかよ」
P102下段
<「きたないなあ、公衆道徳をまもれよ。ここはみんなのトイレだぞ」>
公衆道徳をまったく守っていない竜堂兄弟に、こんなセリフを言われたくありませんね。
P109下段~P110上段
<公安警察は、行政機関であり、公僕の集団である。彼らの人件費も、活動費も、国民の税金から支払われている。だが、彼らの予算も活動内容も、国民の前に公開されることはない。それどころか、おなじ警察の内部でさえ、公安関係の活動内容を知らされることはない。すべてが特権と機密の厚いベールにつつまれている。
もともと日本が自由民主主義国家であり、思想と言論の自由が保障されている以上、公安警察など存在すべきではない。極左過激派がビルに爆弾をしかけて市民を殺傷したら、殺人犯として刑事部が捜査すればよいはずである。南村はそう思っていた。思っていても口には出せない。警察に限ったことではないが、組織内部に言論の自由などないのだ。公安の批判をしたとたんに、左翼反体制分子あつかいされ、退任に追いやられるだろう。
「警察官とは、町のおまわりさんであるべきだ。公安の奴らのどこがおまわりさんだ。戦前の特高警察とちがうところは、公然と拷問をしないことだけではないか」>
ちょっとちょっと南村さん、公安警察の全貌がすべて一般市民に把握できたら、犯罪者にとって大いに有利になりますよ。公安警察のメンバーが誰かわかれば、その人物をマークできますし、邪魔となれば抹殺できます。捜査内容が把握できれば、捜査の妨害も容易にできます。秘密主義がすべて良いとは言いませんが、こんな基本くらいは掌握していてくださいよ。
さらに「極左過激派がビルに爆弾をしかけて市民を殺傷したら、殺人犯として刑事部が捜査すればよいはずである」といいますが、この手のテロの実行犯というものはほとんどの場合、組織の下っ端にすぎません。その連中を刑事部が捕まえたところで組織本体は何の打撃もこうむっていませんので、また第2第3の同じ手口の犯罪が起きるでしょう。こういう組織犯罪を防ぐために公安がいるのでしょうし、そのために活動内容などが秘匿されているのですよ。
「日本が自由民主主義国家であり、思想と言論の自由が保障されている以上、公安警察など存在すべきではない」それではアメリカにCIAやFBIがいるのをどう説明するのでしょうか。特にCIAはかつて共産主義思想を取り締まっていたと思いますが。そこら辺はどうなのでしょうか?
「公安の批判をしたとたんに、左翼反体制分子あつかいされ、退任に追いやられ」た警察官って、実際にいるのでしょうか? 私は聞いたことがありませんが。これについて知っている人はいませんか?
「警察官とは、町のおまわりさんであるべきだ」あまりにも空想的な主張ですね。「町のおまわりさん」がどうやって凶悪犯罪者や過激派テロの実行犯を追い詰め、さらにどうやって裁判で証拠を立件するのでしょうか。そこまでやらなければ犯罪者を裁けないし、警察はお手上げなのですよ。
それから、日本の公安警察が拷問をやったなんて聞いたことがありませんね。フィクションの想定で公安警察を特高と同じであると決めつけないでほしいものです。
P111上段
<南村は、これ以上の出世をあきらめていた。出世をあきらめれば、することもできるだろう。そう思い、ふいに南村は腹がたった。なぜこんなことを考えなければならないのか、警察で筋をとおせないとすれば、何かがまちがっているのではないか、と。>
南村氏は、自分が「筋をとおし正論を主張」していると信じて疑っていませんね。「自分が間違っているかもしれない」とはまったく考えていないようです。
いつもの事ですが、ちょっと長くなりすぎましたね。しかもこれだけ長いのに小説の中では20ページほどしか進んでいないとは……。田中芳樹よ、この巻って社会評論だけで成り立ってませんか?
>P80下段~P81上段
><破局は栄華のきわみに、突然おそいかかる…
>P83上段
><「おい、国民新聞をとるのは…
既に多くの方が論じられていますので、特に付け加える必要は感じません。
>P87上段
><アメリカのショーのまねを…
不沈戦艦さんもこの記述に触れていましたけど、ここで気を付けなくてはならないのは、日本を猿真似としてバカにしているのは、あくまでも差別思想を持っているのはキャラクターだということです。もちろん、私も田中氏の記述に作者本人の悪意を感じますし、そもそもキャラクターの思想か作者の思想か判別できないあたりが三流小説以下の駄文なのですけどね。
>P98上段~下段
><「しょせん彼らは…
>P99上段
><「ふん、日本人という奴は…
ちょっと作者が意図的に悪意を語らせているキャラクターに対して怒っているのではないでしょうか? このあたりなどは、田中氏の確信犯の感じがします。たしかに、代弁させているフシもあるのですが…
>P102上段
>P102下段
終と余に対して怒るのは、ほとんど暴走族マンガの主人公に怒るようなものなので、怒るだけもったいないですね。「とうちゃん」の教育が偲ばれます(笑)
>P111上段
><南村は、
これも、キャラクターに対しての意見ですね。確かに、キャラクターの言動から作者の思想を読みとることは可能ですし必要であることも多いですが、あまりやりすぎると深読みする愚に陥る可能性があります。十分注意した方がいいと思います。
>P109下段~P110上段
><公安警察…
>P88上段~下段
こんな呑気な主張を唱えていられた時代は良かったですね。オウム事件で、こんな建前だけのきれい事は何の実行力もなくなってしまいましたから(未だに十年一日のように唱えているヤツもいますが、周りの反応が十年前とはまるで違うはずです)。
ただ、基本的に命をかけた職場での縦社会ですので、残念ながら横暴な体質はそれなりにあると思いますよ(もちろん、そればかりでないのは言うまでもありませんが)
ところで、ドイツの公安組織は「憲法擁護庁」という名前です。「近代民主国家」を守るのに、彼らは公安を用意しているわけです。余談ですが、この公安組織がネオナチを監視したり盗聴したりしたら、田中芳樹はネオナチの人権を守れ!と言うのでしょうか。もし、言ったら大したものですが、どうせいつもの二重基準を発動するのでしょうね。けっ。
>P90下段
><「日本を愛せよ…
前に話題に上りましたが、小沢一郎の息子が自衛隊に入隊されているそうですね。
ところで、平隊員とは何を指すのでしょう? 政治家の息子は永遠に二等兵で固定されなくてはならないのでしょうか。また、大学卒以上であれば幹部候補生を正当に選択できますが、それもいけないのでしょうか?
うーむ、順不同になったので引用元が判りづらくなってしまいましたね。すみません。