私の創竜伝考察19

創竜伝7 黄土のドラゴン

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私の創竜伝考察19

投稿者:冒険風ライダー
1999年07月28日(水) 15時27分

 アルスラーン戦記議論ですっかりご無沙汰していた「私の創竜伝考察シリーズ」、そろそろ再開したいと思います。ここ2ヶ月ほど7巻で止まったままですし(-_-)。まあアルスラーン戦記の議論も楽しいものではありますけどね。それにしてもなぜまたアルスラーン戦記10巻の発売日を延ばすかな~(T_T)。そこまであとがきを書きたくないのか、田中芳樹。
 では久々の創竜伝批評、始めましょう。

P125上段~P126上段
<「……狂気というやつは個人をとらえることもあるが、時代をとらえることもある。そして、そのほうがはるかに始末が悪い。日本人もドイツ人も、本来、とりたてて残忍な人々ではないはずだが、自分たちは優秀な民族だと思いあがったとたんに、狂気にとりつかれてしまったのじゃろう」
 しんとして竜堂兄弟は聞きいっている。
「ま、中国侵略は日本の恥だが、中国には中国の恥がある。なかなか一党独裁政治からぬけだせないという、な」
 黄老が話題を変えたのは、日本人である竜堂兄弟を底なしに落ちこませないための配慮であったのだろう。毛沢東のことを彼は話しはじめた。
「毛沢東には偉大な理想と巨大な野心とがあった。そのふたつの流れが合流するところで彼は魚を釣りあげた。中国という巨大な魚をな」
 黄老は複雑すぎる溜息をつき、それを頸すじで受けた続は、あやうく老人を放り出すところだった。
「毛主席は思想的には世界の半分を釣りあげましたね」
「そう、だが釣糸が途中ではずれてしまった。まあ、たぶん、全人類にとっては幸運なことだったろう。彼は大きな男でな、人類がささえるにはちと重すぎたよ」>

 いつもの事ながら、第二次大戦の原因や背景を何も検証せず、ひとつの民族や国民をすべてひっくるめて「狂気にとりつかれてしまったのじゃろう」などと評価する癖はやめていただきたいものですね。ドイツはヴェルサイユ条約の天文学的賠償によって、日本は世界恐慌による経済封鎖によって、それぞれ政治的・経済的に追い詰められていたという事実を、まさか知らないわけではないでしょうに。
 しかも「中国には中国の恥がある。なかなか一党独裁政治からぬけだせないという、な」などと言っておきながら、その「一党独裁政治の頭目」であるはずの毛沢東を何で礼賛するのでしょうか。文章が矛盾しているではありませんか。まさか毛沢東は独裁政治を行っていなかったとでも言うのでしょうか? 毛沢東が大躍進―文化大革命でどのくらいの大虐殺を展開したかを知らないわけではないでしょうに。しかも「偉大な理想と巨大な野心」の中身が何なのかも分かりませんし、「思想的には世界の半分を釣りあげましたね」というのは一体何の事なのか理解不能です。当時の中国が侵略戦争と大虐殺に熱中していたのを賞賛しているのでしょうか。それとも「共産主義思想」が世界的に拡大することを喜んでいたのでしょうか。「偉大な理想と巨大な野心」の内容の解釈は、この2つぐらいしかできないのですけど。

P126上段~下段
<「彼に対する正当な評価は、せめて死後五〇年を待つべきじゃろうな。だが、その後継者どもときたら……」
 黄老は白髯のなかで口をゆがめた。
 毛沢東の死後、建国の英雄を失った中国では、経済の開放化と政治の反動化とが奇怪に共存した。経済建設に失敗したソビエト連邦と対照的に、中国人の生活水準は向上し、一二億の国民は飢餓と貧困から脱出した。これは中国革命の見事な業績だった。だが、いまだに政治的自由はもたらされない。政治的自由のないところに創造的な文化は生まれない。
「自国民を思想のゆえに強制収容所に閉じこめるような国家には、存続する価値はない」
 黄老は熱をこめて断言した後、口調を変えてフォローした。
「しかしまあ、一気に無政府状態に陥ったら、混乱はすべて民衆の上にかぶさってくる。わしが高らかに咆えたてるのとは別に、ゆっくりと時を待つことも必要なのさ」
 中国の歴史上、悪政や異民族支配の時代はいくらでもあった。だが、むろんそれらは永遠につづくはずもない。
「つづかせやせんよ」
 というのが黄老の言葉だった。>

 田中芳樹の頭の中では、自国民を権力闘争のゆえに何千万単位で虐殺した毛沢東は「死後五〇年を待」って評価すべきなのに、その毛沢東の後始末に奔走してきた「後継者ども」は今すぐに評価してしまって良いのですか。創竜伝7を執筆している時点では「後継者ども」はまだ生きているのに(笑)。だいたい「中国人の生活水準は向上し、一二億の国民は飢餓と貧困から脱出した」のはその「後継者ども」の功績なのであって、「中国革命」という抽象的なものや、ましてや「建国の英雄」などの功績ではないでしょうに。
 それに「政治の反動化」って何でしょうか? 大虐殺がなくなり、民衆が飢餓と貧困から救われ、共産主義が後退したことが「政治の反動化」なのでしょうか? 「政治的自由がない」というのは毛沢東の時代の方がもっとひどかったし、そもそも毛沢東時代の中国は「政治的自由」以前に「生きる権利」自体がなかったに等しいのですけど。
 しかもこのような中国に対して何と寛大である事か。
「しかしまあ、一気に無政府状態に陥ったら、混乱はすべて民衆の上にかぶさってくる。わしが高らかに咆えたてるのとは別に、ゆっくりと時を待つことも必要なのさ」
 創竜伝の中の日本に対する社会評論でこのようなフォローがある個所を私は見たことがありません。「日本と中国でなぜああも記述と考えが違うのか」と私が考えてしまう所以です。

P127上段~下段
<祖国のため。自由のため。独立のため。革命のため。名誉と栄光のため。企業秘密を守るため。劣等人種を一掃して地球を浄化するため。異教徒を滅ぼして神の御名を讃えるため。奴隷を解放するため。奴隷制度を守るため。無数の正義がこの世には存在し、それぞれが血を要求してやまない。
「何年か前の第一次湾岸戦争の結果を見たろ? 独裁国に兵器を供給し、それを爆弾とミサイルでたたきつぶし、そして復興する。実際の戦費は、同盟国に支払わせる。利益をえたのはいったい誰だ?」
 そう始は続に注意をうながしたことがある。一九九〇年代にはいると、戦争は明らかに「国家の商売」になった。ずばぬけて戦力の強い国が、国際連合の看板を利用して、各国から用心棒代をまきあげるようになったのだ。
 この世界を支配している政治と経済のシステムには、どこかとほうもなくグロテスクなところがある。四人姉妹の存在もだが、彼らが巨億の富を所有するはるか以前から、ひとつの戦争はかならず次の戦争を生み、ひとつの宗教は必ず分裂して抗争する。ユダヤ教とキリスト教とイスラム教とが、もとは同じ「旧約聖書」から出発したことなど現代ではほとんどの人がおぼえていないだろう。>

 「この世界を支配している政治と経済のシステム」とやらを偉そうに批判している竜堂兄弟だって「自己感情を満足させるため」という、全くくだらない「正義」のために四人姉妹と戦っているのでしょうに。それに「どこかとほうもなくグロテスクなところがある」と言われても、ではそれに代わる政治形態なるものがあるとでもいうのでしょうか。銀英伝やアルスラーン戦記などであれほど現実的で詳細な政治や謀略を語っている田中芳樹は一体どこにいってしまったのでしょうか。こんな代案もないような空想的政治評論を聞きたいがためにアンタの小説を読んでいるわけではないんですけどね~(-_-;;)。
 それにわざわざ「第一次湾岸戦争」などと、預言者気取りで二回目があったかのような描写をしているのも笑止な限りですが、「湾岸戦争はアメリカの陰謀論」に固執しているあまり、イラクのクウェート侵攻の是非については全く言及していません。クウェートが石油海上貿易の中心国のひとつであり、ここがイラクに併合されれば世界の政治や経済に大きな影響がでるということも全く眼中にないのでしょうな。アメリカが自国の国益で動いているのは否定しませんけど、国家というものはそれが普通なのですし、むしろ国益を追求しない日本の方が異常なのですから、それを「けしからん」などと代案もなしに主張しても共感は得られないでしょうに。
 第一、「湾岸戦争はアメリカの陰謀論」のような論理が展開できるのならば、「戦前の日本の侵略行為もアメリカの陰謀ではないか」とさえ主張できるではありませんか。四人姉妹も第一次世界大戦の頃から活躍していますしね~(^_^)。戦前の日本についてだけは全く「アメリカ陰謀論」を展開しようとしない田中芳樹の態度に一貫性がないように見えるのは私だけでしょうか?

P128上段~下段
<「残念だが、不正のない社会はない」
「ええ」
「だがな、すこしでも不正を減らそうと努力している社会と、そこに安住してかぎりなく腐敗していく社会とでは、歴史上に占める地位がまるでちがってくる。日本はどういうふうに語りつがれる国になりたいのだろう」
 一九九〇年代に日本で続出した経済界のスキャンダルは、「日本は不正行為によって富を蓄積した」という諸外国の意見を、実証する形になってしまった。諸外国の経済界がすべて清潔で公正なわけでもないが、さまざまな不正行為をはたらき、暴力団と結託した企業が法的に罰せられることもなく、最高経営者が辞任もしない、というありさまは、諸外国から見れば、やはりまともではない。「吾々をヒステリックに追いつめると、日本経済がマヒする。そうなってもいいのか」といった大企業の会長がいる。不正行為をつづけねば日本経済はマヒするのだ、と、自分の口から告白しているである。
「どの企業が不正行為をはたらいたか、などということをしゃべるわけにはいかない。企業倫理に反する」とも。
 つまり彼らの「企業倫理」とは共犯をかばうことであって、法律もモラルも良心も関係ない。ギャング団の掟と同じなのである。
 こういうギャング団のボス同様の輩が、高級クラブで一本三〇〇万円のブランデーをあおりながら
「最近の若い奴らには国を愛する心も社会に奉仕する精神もない。奴らに中東の砂漠で血と汗を流させろ。でないと日本は世界の国から軽蔑されるぞ」
などと放言するのが、世界に冠たるニッポン財界の正体なのであった。>

 ↑上記のようなメチャクチャな社会評論を、フィクション小説上で、しかもストーリー構成を破壊しながら、その事に対する反省も羞恥心もなく展開するのが、小説界に君臨する「創竜伝の三流社会評論家」田中芳樹の正体なのでしょうな(^_^)。いつものことながら「全く関係のないものを同列に並べ、そこから自分に都合の良い歪んだ解釈をひねり出して社会評論を展開する」という姿勢にはうんざりしますね。
 だいたい「一九九〇年代に日本で続出した経済界のスキャンダル」から「日本は不正行為によって富を蓄積した」という解釈を導き出す事自体異常です。この論理では、国内だけでなく外国に日本製品があふれている理由が説明できないではありませんか。日本の経済が発展しているのは、良質で安価な商品とそれを支える日本の技術力と労働力、日本の教育水準の高さ、そして何よりも世界の貿易が自由貿易体制であり、ブロック経済政策などの保護貿易ができないことなどの結果であって、間違っても「日本が不正行為によって富を蓄積した」からではありません。こんな偏見と悪意に満ち溢れた「諸外国の意見」とやらを、自分に都合が良いからといって持ち上げないで下さいよ。
「さまざまな不正行為をはたらき、暴力団と結託した企業が法的に罰せられることもなく、最高経営者が辞任もしない、というありさまは、諸外国から見れば、やはりまともではない」
↑これも大嘘ですね。「さまざまな不正行為をはたら」いた企業(ないしは責任者)は罰せられているし、企業の最高経営者は不祥事が起こるたびに辞任しています。「暴力団と結託した企業が法的に罰せられることもなく」というのは別に悪意に満ちてそうしたわけではなく、この当時まだ暴力団対策法が施行されていなかったからでしょう。法律で明文化していない罪をどうやって罰するというのでしょうか。今の現状が非難に値するというのならば、これから変えていけば良いのです。暴力団対策法もそうやってできたのですから。それともまさか田中芳樹は遡及法(法律制定前にさかのぼって罪を罰する法で、近代国家のタブー)を適用しろとでもいうのでしょうか。
 それに田中芳樹は、マスメディアの影響力をずいぶん過小評価しているようですね。「吾々をヒステリックに追いつめると、日本経済がマヒする。そうなってもいいのか」というセリフを「不正行為をつづけねば日本経済はマヒするのだ、と、自分の口から告白しているである」などとメチャクチャな解釈をしているのですから。マスメディアの影響力を少しでも知っていればこんな解釈はできません。マスメディアの過剰報道によって企業の信用が損なわれれば、売上が激減したり、企業間の取引もキャンセルされたりで大損害を受け、最悪の場合は企業の倒産と大量の失業者を出す事になるということくらい、他人様にさんざん説教している「人を思いやる想像力」とやらで考えられなかったのでしょうか。あの当時のマスコミ(特に朝日)はそれこそ企業を「ヒステリックに追いつめ」ていましたからね~(--)。「大企業の会長」とやらは「不正行為をつづけねば日本経済はマヒする」とは一言も言っていないのですから、勝手な解釈をひねり出さないように。それこそ「ギャング団のボス」のように見えてしまいますから(笑)。
 それにしても創竜伝の2~4巻ではあれほど日本のマスコミの「政府や企業べったりな報道姿勢(笑)」を批判しているはずなのに、こんな短期間(創竜伝世界)で見違えるようにマスコミが企業批判をするようになるとは、ずいぶん御都合主義な世界ですね~(^_^)。
この矛盾の解釈は私にはとても説明できません。する気も起きないけど。

P128下段~P129上段
<本来、富は文化を育成するのに欠かせないものである。大富豪メジチ一族の生んだルネサンス文化。足利義満が育てた室町文化。文化とは巨大な富を注ぎこむパトロンなくしては誕生しえないものだ。だが現代日本の富は文化を育まなかった。無名の画家を育成し、そのなかから新たな才能を発掘するというのではなく、すでに世界的な名声をえた大家の作品を買いあさり、独占し、一般に公開しようとしない。他国が生み育てた才能の結実を、金銭でわがものにしてしまう。発掘や育成というリスクを負わず、よい結果だけを横取りしてしまうような姿勢が他国の反発を買うのだ。>

 「現代日本の富は文化を育まなかった」……私も創竜伝のいろんな社会評論を見てきましたが、これほど日本に対して全否定的な評価を下している社会評論はありません。この部分こそ、私が創竜伝で一番嫌いな社会評論です。
 まず、「現代日本の文化の担い手」が「大富豪メジチ一族」や「足利義満」のような大資産家であるという認識自体が大間違いです。現代日本にそのような資産家がいるものですか。長者番付のトップでさえ100億にも届かないのに(T_T)。アメリカの上位なんて100億クラスは当たり前です。日本で大資産家が育たないのは、世界一累進税率の高い所得税と相続税のために巨大資産がつくれないのが最大の原因なのですけど。仮にそういった実情を批判するためにルネサンス文化や室町文化との比較をやったとしても(ありえない話ですが)、そこから一体どうやって「現代日本の富は文化を育まなかった」などというトンデモな結論を出す事ができたのでしょうか? 「現代日本の富が生んだ文化」なんてそこかしこに転がっているではないですか。カラオケなどは「現代日本の富が生んだ文化」そのものですし、日本アニメはディズニーと並ぶ(一時は抜いてさえいた)世界最高水準に近いものでしょう。日本映画や小説だってそれなりの特色がありますし、その他にも「大量消費社会」ならではの文化がありますよ。何よりも田中芳樹の小説自体、「現代日本の文化を担っている物のひとつ」ではないですか。それとも田中芳樹の言う「文化」というのは「画家」だけのことなのでしょうか(笑)。いまどき「画家」だけが文化を担うなどという話は聞いた事がありませんけどね~。
 日本文化だって「発掘や育成というリスクを負」ってきたからこそここまで発展してきたのですし、「他国が生み育てた才能の結実を、金銭でわがものにしてしまう」にしても、別に非合法的に奪ってきたものではなく、合法的に商取引で買ってきたものでしょう。買い手も売り手も、双方とも満足して商取引をしたのですし、自分の金をどう使おうと勝手なのですから、他人にとやかく言われる筋合いのものはありません。「暴力と掠奪」で他国の富を奪ってきた、田中芳樹の大好きなイギリスや中国と違ってね(^_^)。だいたいこれを言い出したら、中国の文物を「無断かつ勝手に盗作」している田中芳樹の中国小説の方がよほど「他国が生み育てた才能の結実を、金銭でわがものにしてしまう」姿勢そのものではありませんか。それこそ「他国の反発を買う」のではないでしょうかね、田中センセイ。

P129上段~下段
<日本財界のスキャンダルには、さらにつづきがある。欧米であれば明白な刑事犯罪として、証券会社の経営陣に懲役刑が科せられていたであろう。日本では誰ひとり逮捕されることなくうやむやに終結してしまった。そのとき「大蔵省で証券会社との連絡をとっていた証券局の課長はすでに事故死。一方、証券会社の担当役員は、子会社に移った後、行方不明。したがって詳しい事情はわからない」という記事がいくつかの新聞や雑誌に載った。死人に口なし。政財界がらみの事件ではいつものことだ。誰もおどろかない。「そんなことは当然だ。おどろくほうがおかしい」と言い放つ人もいる。だが日本人以外はみなおどろくし、当然とは思わないのだ。
「足もとの床板を持ち上げて下を覗いてごらん。君が地獄の真上に立っていることがわかるから」(ベンジャミン・T・セレスト)
 むろん、「地獄のほうが住みやすい」という意見もあるだろう。「水清ければ魚すまず」という警句もある。だが、過度に汚染された工場廃液のなかで生きる魚は、奇形になったあげく苦悶のうちに死んでしまうのだ。弱い魚から死んでいき、強い魚は仲間の死体を喰って生きのび、さらに奇形化していく。いつまでそれがつづくことか……。>

 「日本財界のスキャンダルのつづき」とやらを全く見たことがないのは私だけでしょうか(笑)。こういった事例があるのならば提示してほしいものですけど。「日本では誰ひとり逮捕されることなくうやむやに終結してしまった」って、責任者は逮捕されていますし、証券会社だって家宅捜査を受けていますよ。ニュースや新聞をいつも見ていれば分かるはずなんですけど。「誰もおどろかない」というのも阿呆なかぎりですね。「誰もおどろかない」ものがニュースや記事になるわけないでしょうに。「日本人以外はみなおどろくし、当然とは思わない」などと言っている田中芳樹は一体どこの人なのでしょうか(笑)。中国人か英国人か?
 それから「日本財界」を「過度に汚染された工場廃液」などと言ってみせる神経はさすがですね。銀英伝の救国軍事会議の面々と全く同じ事を言っているという事実に気づいていないのでしょうか。アノ連中も汚職にはうるさかったですからね~(>_<)。

 それにしてもいいかげんに創竜伝7の批評を終わらせないと……。
次で終わるかな~?

収録投稿2件目
board1 - No.1621

まとめレス

投稿者:本ページ管理人
1999年08月02日(月) 23時00分

>No. 1615

>そこまであとがきを書きたくないのか、田中芳樹。

 あとがきはもとより、本編も怪しいと思うべきでは…

>中国の歴史上、悪政や異民族支配の時代はいくらでもあった

 というか、悪政と異民族支配が等価値なんですね。世界でも有数の多民族国家であるはずの中国で。…なるほど。

>「足もとの床板を持ち上げて下を覗いてごらん。君が地獄の真上に立っていることがわかるから」(ベンジャミン・T・セレスト)

 小説にこのような警句を引用するのが悪いとは言いませんが、どうしてこういう最悪の形で入れますかねぇ。田中芳樹はどうしても創竜伝を三流小説に貶めたいのでしょうか。個人的に創竜伝で一・二を争うほど嫌いな部分です。

収録投稿3件目
board1 - No.1649

田中氏の毛評価・再論(上)>創竜伝考察19

投稿者:新Q太郎
1999年08月18日(水) 00時34分

「毛沢東には偉大な理想と巨大な野心とがあった。そのふたつの流れが合流するところで彼は魚を釣りあげた。中国という巨大な魚をな」
 黄老は複雑すぎる溜息をつき、それを頸すじで受けた続は、あやうく老人を放り出すところだった。
「毛主席は思想的には世界の半分を釣りあげましたね」
「そう、だが釣糸が途中ではずれてしまった。まあ、たぶん、全人類にとっては幸運なことだったろう。彼は大きな男でな、人類がささえるにはちと重すぎたよ」
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毛沢東評価についても私は以前に書いたから再論になりますが・・・。
あーあ、これ名前を「ムソリーニ」にしようが「ヴラド伯」にしようが、勿論「ルドルフ・ゴールデンバウム」にしようが(笑)通用するじゃん。
まあ失敗した政治家に「彼は大きすぎた」というのは別れ話のときの「君は、僕なんかには勿体無い」と同じような、お約束の通俗表現ですがね。

-------いきなり引用--------------
だもんで、他の人の作品を読んで、表現に手がぬいてあると、つい腹が立っちゃうんです。村上春樹さんの『ノルウェイの森』を読んでて、見開きで何回、~といった、という表現があるか、思わず数えちゃいました。純文学の作家って、もっと表現に苦心するのかと思ってたんですけどね。うーん、こういうことをいうとヤバいのかな(笑)。
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SFアドベンチャー別冊「銀英伝特集号(88年1月)」p24の発言より。

初心忘るるべからず(笑)。
ま、これは余談でして、表現がお決まりか否かはおいといて、偉大な太陽、偉大な舵取り、偉大な以下省略のマオ主席評価はやはりおかしいのではないか、と言わざるをえない。
(続く)

収録投稿4件目
board1 - No.1650

田中氏の毛評価・再論(下)>創竜伝考察19

投稿者:新Q太郎
1999年08月18日(水) 00時45分

こちらは資料編。読売新聞と産経新聞はネット上で読書面を公開しているので重宝しているが、そこからのものである(読売)。
全部はマズいので妙録。

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「餓鬼」ジャスパー・ベッカー著
◇大量餓死事件の“闇”に切り込む◇

毛沢東時代の一九五九年から六一年、中国で公式には「三年連続の大災害」といわれる事態が起きた。全国各地で飢饉(ききん)が発生し、そのため多数の死者が出た。それが確認されたのは、文化大革命の終了後、一九八二年に人口調査が行われてからである。

 その結果、建国以降、毎年右肩上がりで増加していた総人口が一九五九年の六億七千万人から六一年には六億五千万人へ減少したことが明らかになった。この二千万人という巨大な絶対減について中国当局は「非正常死」と表現する。
(略)
 本書はその“闇(やみ)”に切り込んだルポである。本書で掘り起こされた文字通り食うに事欠く惨状の圧巻は、穀倉として知られる河南省の信陽地区で起きた大量餓死事件である。当局者の嘘(うそ)と農民への暴行・脅迫、そして餓死、さらにはおぞましい人肉食
(略)

周知のように、毛沢東は農民暴動を高く評価した。しかし、その毛沢東に率いられた中国共産党も、建国後の統治において伝統的な農民蔑視(べっし)と無縁ではなかった。農民の所有者意識を抑圧して強行した人民公社化は大量餓死の一因になった。
(略)
中国共産党は、大量餓死の歴史的事実を認め、責任の所在を明らかにする責務を、本書の書名に採り上げられた数千万の「餓鬼」と国民に負っている。川勝貴美訳。(中央公論新社、2400円)評者・丹藤佳紀(本社編集委員)
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「政治の基本とは、人民を食わせることだ」というキャゼルヌ?の言葉が思い出されるではないか。

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