私の創竜伝考察22

軍事関連特集 中編

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board1 - No.2031

私の創竜伝考察22 兵器描写編

投稿者:冒険風ライダー
1999年09月18日(土) 00時19分

 創竜伝の軍事関連特集・二回目は「間違いだらけの兵器描写」です。
 以前Marketsさんが詳細に論じられていましたが、田中芳樹はホントに創竜伝をまじめに書いていませんね。田中芳樹が現代兵器をロクに知りもしないというのは、湾岸戦争でイラクが使用していた兵器を「アメリカ製」であると考えているところからも明らかですけど、ああまで基本が間違っているくせに「自衛隊の戦車は道路を走れない」など何の検証もなしにのたまう姿勢は、「性悪説」を誤用した鳥羽靖一郎と全く同レベル、もしくはそれ以下ではありませんか。
 創竜伝における兵器描写は3巻・4巻・6巻にありますが、それを全部読んでみた感想は「よくまあここまでヨタが書けるな~」でしたね(^_^)。田中芳樹は以前、創竜伝文庫本の対談で架空戦記を批判していた事がありましたけど、こと兵器描写に関しては、いくら架空戦記にいろいろヨタな部分があるとしても、創竜伝ほどひどい姿勢で書いているとは思えないのですけどね~。
 さて、兵器描写については、3・4巻の分については以前にも論じられていますので、参考過去ログの紹介と兵器資料の引用を中心にやっていきたいと思います。ただし、過去ログと私の見解と違ったりする個所については、私独自のコメントを入れていきます。
 なお、兵器の見方は次の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
兵器名 ―――――――兵器種類
兵装:
・ 兵装名1―――――兵装種類
・ 兵装名2―――――兵装種類
兵器説明:
 兵器の概要や歴史などについてのコメントです。
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創竜伝3 P111下段~P112上段
<はぐれ戦車が発砲したのである。一四〇ミリ主砲ではなく、砲塔に付設された機銃であったが、一〇時方向から肉薄してきた一両のキャタピラにむけて機銃を撃ちだしたのだった。しつこい追手に舌打ちした続が、ハッチから上半身を出し、機銃のあつかいかたを水地から教わって撃ったのである。数発の機銃が路面で煙をあげると、戦車は大あわてで方向を変えた。それがあまりに急だったので、車道をはずれて歩道に乗りあげてしまう。>

参考過去ログ――No.1085

 90式戦車の兵器資料は次の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
90式戦車―――――主力戦車
兵装:
・120㎜滑腔砲――戦車砲
・12.7㎜機銃――機銃
兵器説明:
 自衛隊が1970年代末から開発を開始した戦後第3世代戦車。1990年より量産が開始され、現在最新鋭の装備を誇る。
 主砲には120㎜滑腔砲を、車体・砲塔の主要部には新型複合装甲を採用。日本の国土に合わせた小型化が計られており、西の第3世代戦車より一回り小さい。主砲には自動装填装置を採用。乗員は3名で、射撃指揮装置には高度な電子機材がフル装備されている。
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創竜伝3 P112下段~P114下段
<大混乱の地上をあざ笑うように、ヘリの爆音が近づいてきた。
 それは横田基地から飛びたったアメリカ軍のヘリコプターであった。三機で編隊を組み、夜空を引き裂いて近づいてくる。
(中略)
 数奇屋橋、八重洲、江戸通りと走って両国橋を渡りかけたとき、いきなり空中から銃撃を受けた。ヘリの機体に赤い点がきらめき、地上では着弾音がひびく。
「撃って来やがった。何と非常識な奴らだ」
 水地はののしったが、これほど説得力に欠けた台詞もめずらしい。だが、たしかに、隅田川の河上とはいえ、都内で発砲してくるとは思わなかった。このとき、午前一時ごろである。
 路面にバルカン砲がうがたれる。狙いをはずしたのか、それとも故意か。はぐれ戦車は、橋上をゆるやかに蛇行しつつ、銃撃をかわした。
「兄さん、あぶない、ふせて!」
 続が叫んだ。車外の始は、砲塔の陰に身を伏せたが、それほど危険は感じなかった。本気の攻撃だったら、対戦車ロケットでも撃ちこんでくるだろう。>

過去ログNo.1091 Marketsさん
<114ページ、ヘリがやってきて「アイアン・ドラゴン」に威嚇射撃を行ないますが、これって威嚇になるの?
というのも戦車装甲の上面は脆いから、結構やばいんですよね。
しかしそれ以前の問題として、この飛んできたヘリの種類は何なのでしょうか?それを書かないことには、ここの描写はおかしなことになりますよ。
軍用ヘリと一口にいっても、大きく分けて2種類あるんですよね。兵員の輸送を専らとする「汎用ヘリ」と、対地・対潜攻撃を専らとする「攻撃ヘリ」です。
で、飛んできたのが「汎用ヘリ」なら問題無いんです。あれの機銃はたいしたことないから。
よく見てみると「路面にバルカン砲の・・・」という記述があります。とするとこれは「攻撃ヘリ」、それもバルカン砲装備となると「AH-1ヒューイコブラ」となります。実際、自衛隊所持の攻撃ヘリはこれだけなので、そこからも同機だと特定できます。
そこで今一度本文の記述を見ると「それほど危険は感じなかった。本気の攻撃なら、対戦車ロケットでも・・・」となっています。
おいおい、攻撃ヘリの装備はすべて対戦車用であって、バルカン砲でも十分「本気の攻撃」なんだよ。ただ一撃必殺でないというだけ。ここでは竜堂兄弟捕獲命令が出ているんだから、戦車の動きを止めるべく、機関砲掃射にとどめているだけなんだってば。>

<「本気の攻撃なら対戦車ロケット」というのも、なんだかなあ・・・。攻撃ヘリの主兵装はATM(アンチタンクミサイル)なのになあ。そりゃロケット弾も装備しているけど、基本はミサイル一発!だよ。
こうしてみると「バルカン砲」というのもあやしいよなあ。自衛隊のヒューイコブラだとわかって書いたのかどうなのか。弾丸を連続発射するものは何でも「バルカン砲」だと思ってんじゃあないだろうな。
ちなみにバルカン砲は機関砲の一種で、複数の銃身を束ねて回転させながら弾を発射するものです。
もし、やって来たのが米軍のアパッチだったら完全に間違いだよ。あれは30ミリ機関砲なんだから。>

 自衛隊の攻撃ヘリ・AH-1Sコブラの兵器資料は次の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
AH-1S コブラ ―――――――攻撃ヘリ
兵装:
・ BGM-71 TOW―――――対戦車ミサイル
・ 20mm3銃身バルカン――――対地機銃
兵器説明:
 陸上自衛隊は対戦車能力を強化するため、対戦車ヘリコプターの導入を決め、アメリカ製のAH-1Sが採用された。
 導入は昭和52年から始まり、昭和59年からライセンス生産も行なわれている。本機はAH-1シリーズのアメリカ陸軍による改良型で、特に対戦車能力が強化されている。
 現在陸上自衛隊では、各方面隊毎に対戦車ヘリコプター部隊の編成を行なっている。
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 しかし創竜伝の記述から考えると、上記のヘリコプターはアメリカ軍と考えられます。そうなると、アメリカ軍と自衛隊の指揮系統の問題なども絡んでくるのですが、まあそれをいうと話がまたややこしくなるので、ここでは置いておきましょう。
 この場合のアメリカ軍のヘリコプターとなると、該当する兵器は5つあります。兵器及び兵装を全て紹介しましょう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
UH-1 イコロイ――――――――――兵員輸送ヘリ
兵装:
・ 70mmロケット弾 ―――――――――対戦車ロケット弾
・ 7.62mm機銃 ――――――――――対地機銃
兵器説明:
 ベルUH-1はアメリカで開発された小型汎用ヘリコプターで、この種のヘリの西側でのベストセラーである。
 59年にはHU-1Aが完成、以来HU-1B、命名法が変わりUH-1D、UH-1Hと発展改良が続けられている。兵員12名を搭載でき、小規模ヘリボーン作戦などに使用される。輸送ヘリとしてだけでなく、捜索・救難ヘリとしても有効に活用される。

UH-60 ブラックホーク――――――兵員輸送ヘリ
兵装:
・ AGM-114 ヘルファイア――――対戦車ミサイル
・ FIM-92 スティンガー ――――短対空ミサイル
・ 7.62mmガトリング砲――――――対地機銃
兵器説明:
 アメリカ陸軍の新型汎用ヘリコプター。兵員輸送・支援・補給などの多目的任務の遂行が可能。
 軽量化と耐弾性を高めるため、ローターや機体各部に複合材が多用されている。乗員3名兵員11名の輸送が可能で、胴体左右にパイロンを装着すれば、攻撃ヘリとして使用することできる。パイロンには増加燃料タンクも装着でき、航続力を延伸可能である。

AH-1 ヒューイコブラ―――――――攻撃ヘリ
兵装:
・ BGM-71 TOW――――――――対戦車ミサイル
・ 20mm3銃身バルカン―――――――対地機銃
兵器説明:
 ベトナム戦争でアメリカ軍が輸送ヘリコプターを護衛するために開発した高速武装ヘリコプター。現在の攻撃ヘリの草分け。
 軽輸送ヘリコプターUH-1を原型とし、エンジン・動力伝達機構を流用している。高速性能を発揮するため、機体は絞りこまれた細長い断面形をしている。20mmガトリング砲を装備、また胴体左右の小翼に対戦車ミサイル、対地ロケット弾等を搭載する。

AH-64 アパッチ―――――――――攻撃ヘリ
兵装:
・ AGM-114 ヘルファイア――――対戦車ミサイル
・ FIM-92 スティンガー ――――短対空ミサイル
・ 30mmチェーンガン ―――――――対地機銃
兵器説明:
 夜間や悪天候でも行動でき、対戦車戦闘を遂行できる先進攻撃ヘリとしてアメリカ陸軍が開発した重武装攻撃ヘリコプター。
 1983年に量産開始。夜間行動を可能にする暗視ゴーグルや各種ハイテクセンサーを装備し全天候型行動能力を持つ。機体はきわめて頑丈につくられていて23mm弾の直撃にも耐えられる。ローターも複合素材で被弾に強くできている。

AH-64D ロングボウアパッチ―――攻撃ヘリ
兵装:
・ AGM-114 RFヘルファイア――対戦車ミサイル
・ FIM-92 スティンガー ――――短対空ミサイル
・ 30mmチェーンガン ―――――――対地機銃
兵器説明:
 AH-64をベースにした発展型で、主ローターマスト上にミリ波レーダーを搭載して、索敵攻撃能力を高めている。本機は、現在世界最強の攻撃ヘリコプターである。
 レーダーは前方監視赤外線装置や光増強TV装置が役にたたない雨・霧・霞の中でも目的の追跡が可能。地形を読み取ることができるので、航法援助手段としても使用できる。エンジンも強化され機動力も高い。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 長々と資料を引用してみましたが、さて、資料と創竜伝の記述を照らし合わせると、記述で使用されている兵器は、バルカン砲を使用していることからAH-1ヒューイコブラとなります(結局Marketsさんの指摘と同じだったりします(^^;;))が、ヒューイコブラには竜堂始のいう「対戦車ロケット」など通常は装備されていません。では「対戦車ロケット」を装備しているUH-1イコロイではないかとも考えられますが、あれの兵装は7.62mm機銃ですから「バルカン砲」という記述と矛盾してしまいます。
 ということは考えられるオチはひとつしかありませんね。「竜堂始は兵器オンチ」です(^_^)。

創竜伝4 P182下段~P183上段
<四〇機のF18E戦闘機。それを製造する経費で、第三世界の一〇〇〇万人の乳幼児を餓死と病死から救う事ができる。三門の三二ミリ・バルカン砲をそなえ、さらに対空ミサイルを保有する。パイロットも、きわだった技倆を持つ空軍のエリートたちだった。
(中略)
 バルカン砲が火箭を吐く。一分間に六六〇発の連射能力があるのだ。八機ずつ五編隊にわかれ、一撃離脱の強襲フォーメーションを実行した。一秒間に八八発の三二ミリ機関砲が、ドラゴンめがけて撃ちこまれた。熱帯草原を闊歩するアフリカ象が、一〇〇万頭もまとめて撃ち殺されるほどの量であった。「覇王」の原子炉に砲弾が撃ちこまれて核爆発を生じさせてもかまわぬ、という命令だった。だが、あわい虹色にかがやく球形が、ドラゴンと「覇王」と一億トンの海水をつつみこみ、すべての砲弾はその球形の表面で消滅していく。狼狽したF18群は、対空ミサイルを撃ち放った。だが同じことだった。>

参考過去ログ――No.11191126・1130

 F18ホーネットの兵器資料は次の通りです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
F18 ホーネット―――――――――――艦載戦闘機
兵装:
・ AIM-7M スパロー ―――――――中対空ミサイル
・ AIM-9M サイドワインダー ―――短対空ミサイル
・ AGM-84 ハープーン ――――――対艦ミサイル
・ Mk82爆弾―――――――――――――小型爆弾
・ 20mmバルカン砲――――――――――航空機関砲
兵器説明:
 アメリカ海軍・海兵隊の主力機で、戦闘・攻撃両任務に使用可能な万能型戦闘攻撃機。空軍軽量戦闘機計画に応募されたF-17を原型に改良発展された。
 緩い後退翼に長い前縁ストレーキを持つ機体デザインは、優れた機動性を可能にしている。レーダーも高性能の機材を搭載、レーダー誘導ミサイルを装備。全天候型攻撃能力を持ち、対艦ミサイルの搭載も可能だ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ちなみに同じ兵器でも、国によって採用している兵装は異なりますし、所属している軍も異なります。たとえばマレーシアのF18は空軍所属で、ロシア製の対空ミサイルなどを装備しているといった風に、国土・経済力などによって同じ兵器でも様々な違いがあるものです。

創竜伝4 P186上段~下段
<かろうじて水没をまぬがれた周辺基地は、ありったけの戦車を動員して、神も大統領も恐れぬ不逞な怪獣を射殺しようとはかった。対空ミサイルと、そして昼夜兼用の対空機関砲。これが彼らの主要武器である。ことに、コンピューター連動式の37ミリ対空機関砲は、五〇〇〇メートル上空をマッハ一・六で飛行する物体すら撃墜可能である。>

参考過去ログ――No.111911261130

過去ログNo.1119 Merkatzさん
<こういう車両は米軍にはありません。近いものに「ADATS」がありますけど、武装が違います。というかそもそも「対空機関砲」と「対空ミサイル」両方乗せている対空車両という発想自体がなんとも・・・。
対空兵器として、そうできれば理想的ですが、スペースファクターの都合、簡単にはできないんですよね。「ADATS」と旧ソ連「ボルガー」が実現してますが、帯に短したすきに長しという程度になってますし。>

 私も資料をあさってみたのですけど、「対空機関砲」と「対空ミサイル」を両方搭載している兵器としては、ロシアの「2S6ツングースカ」がありましたが、やはり創竜伝の記述に該当するアメリカの兵器はひとつもありませんね。「ADATS」も対空ミサイルオンリー(ただし対戦車ミサイルとしても使用できる)ですし。
 「ADATS」と「ツングースカ」の兵器資料はこれです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ADATS ――――――――――対空ミサイル車輌
兵装:
・ ADATS―――――――――短対空ミサイル 兼 対戦車ミサイル
兵器説明:
 アメリカ軍が開発した対空システム。同じミサイルで対戦車攻撃も可能という特徴を持つ。試作は80年代初めに完成した。
 システムはモジュラー化された砲塔タイプで、多様な車体に搭載できる。誘導はレーザービームライダー方式。対戦車能力を持たせるために、弾頭は成型炸薬弾頭で、900mmの装甲貫通力がある。射程は対空で8km、対戦車で6km。

2S6 ツングースカ ―――――対空機関砲車輌
兵装:
・ 30mm連装機関砲―――――対空機関砲
・ クリゾン――――――――――対空ミサイル
兵器説明:
 ロシア連邦が開発した最新鋭の対空機関砲・ミサイル複合システム。一台で対空ミサイルと対空機関砲を兼ね備え、機関砲では射程外になる目標と、ミサイルでは対処が困難な至近距離の目標の双方を攻撃可能とした。ベースにはMT-S装軌車のものを使用、砲塔に外装式に2基の30mm連装機関砲とミサイル8発を装備。捜索レーダー・追跡レーダーも装備した。チェチェンに出動した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 このように資料を見てみると、対空機関砲よりも対空ミサイルの方が長い射程距離があるのですから、「ことに、コンピューター連動式の37ミリ対空機関砲は、五〇〇〇メートル上空をマッハ一・六で飛行する物体すら撃墜可能である」という言葉も相当おかしく聞こえてきますね。基本的に対空ミサイルは遠距離攻撃で一撃必殺、対空機関砲は近距離攻撃で格闘戦用なのですから、「ことに」などと強調する意味は一体何なのでしょうか。射程距離の長さを強調したかったならばミサイルの方を強調すべきだったし、命中精度を強調したかったとしても、対空ミサイルと対空機関砲は使用目的がそれぞれ異なるのですから、比べるのがお門違いというものでしょう。まあどうせ両者の兵装の違いも理解していないのでしょうけど。

装竜伝6 P207下段
<サンフランシスコの近海にいた通常型潜水艦サウスフォーク、対空ミサイル巡洋艦アパラチア、ヘリ空母ビスケーン、その他の艦艇群が夜の波を蹴たててサンフランシスコ湾に侵入してきた。>

 ここは艦船の呼称がかなりおかしいですね。「通常型潜水艦」というのは動力が原子力かそうでないかを区別する言い方ですから、まあぎりぎり許せる範囲内ですが(でもこれだけでは兵器種類がわからないんだけど)、対空ミサイル巡洋艦とヘリ空母というのは兵器に関する無知丸出しですな。
 別に巡洋艦に限らず、現代の艦船に対空ミサイル標準装備は当たり前です。艦船にとって一番怖いのは航空攻撃と潜水艦攻撃ですから、現代のあらゆる艦船は対空・対潜能力をそれなりに持っているものです。空母だって自己防衛のために対空ミサイルくらいは搭載していますよ。むしろ対空ミサイルを装備していない艦船の方が珍しいのではないでしょうか。
 それにヘリ空母ってねえ……。ヘリの航続距離って航空機に比べればたかが知れているのに、ヘリだけしか搭載しない空母なんてコストパフォーマンスの浪費ですよ。これは「軽空母」ないしは「VTOL空母」の間違いですね。この手の軽空母はヘリ以外にもVTOL(垂直離着陸)機を運用しているものです。VTOL機はその名の通り、滑走路をほとんど必要なしに離着陸できるという利点があるので、軽空母には必須で搭載されているのですけど。さらに下の方でトンデモな事を言っているし↓

創竜伝6 P210上段~下段
<ヘリ空母ビスケーンの甲板では、一二機の最新鋭戦闘ヘリがいっせいにドラゴンめがけて飛びたちはじめた。こうしてまず、ドラゴンとヘリとの夜間空中戦がはじまった。
(中略)
 二頭の巨竜は、うるさそうにヘリの群を見わたした。宙を浮遊するドラゴンの巨体を、四方から包囲すると、ヘリの群はバルカン砲を発射した。
 一分間に一二〇〇発の大口径弾を撃ちだす機関砲だ。アフリカ象の胴も引きちぎるほどの強力な武器である。>

 まず戦闘ヘリ→攻撃ヘリですね。これからしてもう違うのですけど、ヘリと空母の兵器運用がまたメチャクチャですな。
 そもそも何で海軍の軽空母に陸軍の攻撃ヘリが搭載されているのでしょうか? どこかに遠征して攻撃ヘリを輸送するというならば話は分かるのですけど、この場合の軽空母は、通常、西海岸の防空警戒・対潜哨戒を任務としているものでしょう。わざわざ別のところから輸送してきたとも考えられないし。それなら何も陸軍の攻撃ヘリを搭載せずともよく、むしろ陸地の陸軍基地から出動する方が自然です。軽空母が普段搭載する兵器は、防空警戒・対潜哨戒の観点からいっても対潜ヘリとVTOL機でしょう。紅竜と白竜を倒すために出動するならば、軽空母からはVTOL機AV-8BハリアーⅡあたりが出動しないとおかしいんですけどね。
 それに対戦車攻撃用のヘリでわざわざドラゴンと空中戦を展開したあげく、「バルカン砲」しか撃っていないのではコストパフォーマンスの無駄遣いもはなはだしいですな。対戦車ミサイルや対空ミサイルを使えば、いくらかドラゴンに効果があるかもしれんだろうに。しかも兵装自体も間違えているし。上の兵器資料を見ると、バルカン砲ってヒューイコブラしか装備していませんからね~(^_^)。「最新鋭」という表現が正しければ、このヘリはロングボウアパッチということになるでしょうが、そうなると「バルカン砲」という表現が違うし。こういうのを「矛盾」って言うんです。

創竜伝6 P215下段~P215上段
<ミサイル巡洋艦アパラチアの放った最後のミサイル六発が一点に集中し、ホワイト・ドラゴンの顎の直下で炸裂した。重戦車三〇両ほどを一度に吹きとばすほどの破壊力だ。>

 ミサイル六発が一点に集中して「重戦車三〇両ほどを一度に吹きとばすほどの破壊力」をもたらす兵装なんて私は知りませんけど。対戦車ミサイルだってそこまでの威力はもっていませんよ。ましてやそれよりもはるかに威力が劣る対空ミサイルに至っては「ミサイル六発が一点に集中」したところで、重戦車一両破壊できるかどうかも怪しいものなのですが。重戦車(これ多分主力戦車のことだろうけど)って航空機と違ってかなりの装甲を持っていますからね~。まあ弱点に集中攻撃すれば何とか一両ぐらいは破壊できるかもしれませんが、それでも「一度に30両」は物理的に無理でしょうし、そもそも対空ミサイルを使って重戦車を破壊するという発想自体が何とも……。

 ところで兵器資料ですけど、私が持っている資料にはアメリカのVTOL空母の資料がないので(T_T)、代わりの兵器を紹介致しましょう。

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インビンシブル(イギリス) ―――――VTOL空母
兵装:
・ GWS30 シーダート――――――防空ミサイル
・ ゴールキーパー ―――――――――対空機関砲
兵器説明:
 1980年に就役した西側最初の軽空母。搭載能力が劣るため、完成当初は疑問視されたが、フォークランド紛争で大活躍し、西側各国の建造した軽空母の見本となった。
 飛行甲板前端にスキージャンプと呼ばれる勾配を持つことが特徴で、この使用によりハリアーの能力が大きく高まった。早期警戒機を持たないのが悩みで、フォークランド紛争時に急遽、早期警戒ヘリが開発された。

AV-8B ハリアーⅡ ―――――――VTOL攻撃機
兵装:
・ Mk82爆弾―――――――――――小型爆弾
・ AGM84 ハープーン――――――対艦ミサイル
・ AIM-9L サイドワインダー ―短対空ミサイル
・ 25mm航空機関砲――――――――航空機関砲
兵器説明:
 原型は、イギリスが1950年代から研究を重ねて実用化した世界初の実用垂直離着陸機。推力偏向ノズルを装備して、滑走路なしで離着陸可能な画期的な機体であった。
 AV-8Bはハリアーの機体設計を全面的に見直したもの。スーパークリチカル翼形の採用、複合材を多用した軽量化、エンジン出力の向上、主翼面積の拡大などを行い、搭載量、航続力は大幅に改善された。

バンカーヒル ――――――――――――イージス巡洋艦
兵装:
・ スタンダード SM-2MR――――防空ミサイル
・ RGM-84 ハープーン―――――対艦ミサイル
・ BGM-109A トマホーク―――巡航ミサイル
・ 127mm単装砲2基―――――――大型艦砲
・ RUM-139 VLアスロック――対潜ミサイル
・ バルカン・ファランクス――――――対空機関砲
兵器説明:
 1986年に就役した、アメリカ・タイコンデロガ級イージス巡洋艦の6番艦。
 タイコンデロガ級は世界最初のイージス艦で、空母起動部隊の航空の要。スプルーアンス級の船体を流用し、イージスシステムを搭載、巨大な倉庫のような上部構造物が特徴である。建造時期によってタイプが分かれ、バンカーヒル以降が垂直ミサイル発射システムを搭載した標準型である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 今回は兵器資料の引用を長々と展開しましたが、これで素人目から見ても兵器描写のおかしさが簡単に分かるかと思います。田中芳樹の兵器に関する無知が一目瞭然ですな(^_^)。
 さて、創竜伝では軍事描写といい、兵器描写といい、ここまでいいかげんな記述を展開しているのですから、それに基づいて展開されている軍事関連の社会評論が迷走していないはずがありません。これらのストーリー描写や社会評論を支える田中芳樹の軍事認識のレベルは相当怪しいものがありますが、軍事関連特集の最後を飾る「軍事認識編」でそれを徹底的に叩き潰したいと思います。

参考兵器資料:
「GLOBAL FORCE 新戦闘国家」(PSソフト)

収録投稿2件目
board1 - No.2034

少し弁護

投稿者:ドロ改
1999年09月18日(土) 01時25分

>冒険風ライダーさん

創竜伝の兵器描写に関する突っ込み、面白く読ませていただきました。確かにあの作品の兵器描写は非常にいい加減です。その方面に大して詳しくない私でも、突込みどころには数多く行き当たりましたから。
けれど、一応弁護させて下さい。創竜伝における現代兵器は、基本的にただのやられ役です。要するに場面の展開としては、飛行機やヘリが飛んできてドラゴンに叩き潰されるヴィジュアルイメージさえあれば良い訳で、間違いだらけでも別に問題はないのではないでしょうか?ガンダムだって、60MMバルカンが「牽制用の隠し武器」だったり、120MM「マシンガン」だの360MMバズーカだのと言うトンでも武器がごく普通に登場しています。実在兵器では無い、と言えばそれまでですが、そう言った兵器が軍事的常識に照らして実現し得ないという点では一緒だと思います。運用のいいかげんさについても、例えば「バルカンを撃ってから対空ミサイルを放つ戦闘機」等はようするに「弱い物から順に使って行って敵の強さを示す」と言うオーソドックスな演出だと思います。(例、艦隊からの一斉砲火が効かない→こうなったら核だ!→でも無力)名称の混同についても、又引き合いに出すとガンダム等の「リアル」ロボット物が間違いまくって居る事からも解る通り、気にする(気付く)人間は少数派ではないでしょうか?極端な事を言うと、創竜伝が銀英伝ほど良く出来ていれば、こう言った事は銀英伝中の理不尽な戦術(ワープの可能な世界であんな戦術は…or何で戦闘描写が平面で…etc)と同じように笑って済まされるレベルだったと思います。
何が言いたいのかと言うと、このようなミス(不勉強)は余り突っ込む事に意味は無いのでは?と言う事です。失点に換算すると、こう言ったミスは精々一桁で、社会評論やストーリーの破綻と言った二桁後半の大失点に比べればゴミみたいな物だと思います。
ちなみに私は創竜伝、6・7巻辺りまではドタバタコメディーとして結構楽しく読んでいました。

収録投稿3件目
board1 - No.2035

90式戦車についてとレス

投稿者:本ページ管理人
1999年09月18日(土) 03時21分

兵器について
「ヴィジュアルイメージでさえあればいい」というドロ改さんの意見は、ジュブナイルアクション小説である創竜伝の属性を考えればもっともだと思います。ただ、以前Marketsさんが言われたとおり、知ったかぶったことは書かなければ良かったとも言えますが。ましてやそれを元にした軍事に対する評論部分は最悪ですね。
 ところで、私は以前田中信者っぽいファンが「日本の戦車は重くて道路や橋を走れないから実戦で使えないんだぜ」と創竜伝の受け売りで自衛隊を批判しているのを聞いて憤慨したことがあります。
 確かに90式戦車は50トンありますが、重装甲で有名なイギリスのチャレンジャーは62トンもありますし、比較的軽いといわれるドイツのレオバルト2ですら56トンもあります。90式戦車は重いのではなく、むしろ軽いと見るべきです。エアコン云々ではなく、軽くするために装甲に無理をしている面がありますね(余談ですがサターンの某ゲームで有名になった「90式はブリキ缶」という評価はむべなるかな、ですね)。つまり、この設計思想から読みとれるのは、攻めるのではなく待ち伏せ作戦を重視しているということで、「日本の軍事国家化云々」からは程遠いんですね。戦車としてみた場合、待ち伏せ重視というのは兵器の特性に背いており、あまり評価できることではありませんね。
 140mmにされている件の主砲、ラインメタル社120mm滑空砲も、44口径長であり、90式戦車と同時期に開発されたフランスのルクレルク戦車の52口径の120mm砲よりはるかに短く、これも戦車の役割から考えると評価しがたい設計なんですが(簡単に説明すると砲身の長さと威力は比例する)、これも主戦場を日本と考えた場合、狭い場所でも砲塔が旋回できることが重要だと考えられているからです。
 ……ここまで、日本の国土に合わせて戦車としての威力を削っているのに、日本の戦いで使えないだとか、外国に侵略するためだ、なんていわれたら切ないですよねぇ。自衛隊も。

 ところで異常に高いといわれている日本の戦車ですが、これは確かで90式戦車は11億円するそうですね。他国の主力戦車(アメリカのM1A1、ドイツのレオパルト2など)が大体3億とされていますから、べらぼうに高いですね。値段分性能がいいわけではないですし(むしろ弱そう)、確かに高いです。これに関しては以前冒険風ライダーさんが量産効果による差であると創竜伝を批判していましたが。

>そして一方では、際限のない軍事大国化がある。一九八八年、アメリ力の下院において、国務省高官が「日本の軍事予算は、フランス、イギリス、西ドイツを一挙に抜き去って世界第三位となった」と証言した。同年七月のワシントン・ポスト紙は、「戦争放棄をうたった憲法を無視して、日本は世界最大級の軍事大国のひとつとなった」と論評した。インドネシアの大統領は、日本の防衛庁長官に、「軍事力で勝つような時代ではない」と忠告した。かつてアメリ力国務長官をつとめたキッシンジャーは「米ソ両国はおたがいだけを見ているが、日本というあらたな軍事大国が出現しつつあることを忘れぬほうがよい」と述べた。世界じゅうの国々が警戒を強めつつある。知らないのは当の日本人だけてある。
(創竜伝3巻)

 そのくせ、軍事費から「日本は世界第三位の軍事大国だ!」などと論じているのだから……ロシアのT-80は一台1億しないとまで言われていますが、90式戦車10台(110億円)とT-80が50台(50億円)、戦ったらどっちが勝つと思います?
 …なんか本論に書きたくなってきたなぁ(笑)

 余談ですが、第二次大戦時の傑作戦車、ドイツのティーゲルの価値を労働力から現代の価値に換算すると、およそ11億円らしいですね。やっぱ高いかな、90式戦車…

>そもそも対空ミサイルを使って重戦車を破壊するという発想自体が何とも……。

 大昔の重戦車なんじゃないですか? 今時重戦車なんか無いですから(苦笑)。なんか、「攻撃ヘリの動力は人力車4000台分」みたいな描写だな~。

収録投稿4件目
board1 - No.2042

ちょっと長めのレス

投稿者:冒険風ライダー
1999年09月18日(土) 21時28分

>ドロ改さん
 確かに「軍事描写編」も「兵器描写編」も、ストーリー設定としてならば、指摘するのはそれなりの意味があるとは思いますが、それを持って「駄作」と決めつめるというのは意味がないと考えています。このあたりは以前に論じた「パクリ探しは非常に面白いが、それをもって「駄作」と決めつけるのは意味がない」というのと同じですね。
 ただ創竜伝の場合、管理人さんもおっしゃっていましたが、あの程度の知識を元にして社会評論を展開していることがまずひとつ。日本を「軍事大国化の道を歩んでいる」などと決めつけるならば、それなりに軍事に関する検証はすべきではないですか。創竜伝の軍事描写と兵器描写を見るに、とても田中芳樹がまともに軍事を調べているとは思えないのですけどね。特に兵器資料なんて、手に入れるのはそんなに難しくないではないですか。それを調べないのは、評論家としても作家としても怠慢だと思うのですが。
 もうひとつは「軍事描写編」でも「兵器描写編」でも繰り返し主張しましたが、中国系の知識では「諸葛亮孔明」だの「性悪説の誤用」だので、あれほど一方的に悪役をこき下ろすくせに、軍事に関しては自分が全く同じ事をやっているのに気づいていないとしか思えない田中芳樹の態度がかなりカンにさわったものでして。だいたい単純に考えても、「軍事描写編」で指摘したような法律問題を田中芳樹が知っていたら、とても「日本の軍事大国化」なんて論じられなかったと思うのですけどね。あんな事が許されるならば、鳥羽靖一郎だって許されますし、私の軍事描写・兵器描写の矛盾指摘のやり方もOKでしょう。ああまで一方的に指摘してやれば、少しは自分の一方的な知識のひけらかしがいかに醜悪であるかに気づくと思うのですが。
 さらに言えば、「軍事描写編」と「兵器描写編」は、そもそもの目的が「田中芳樹は現代の軍事に全く無知である」という事を証明するためのものですからね。「軍事に無知」ということになると、その無知に基づく田中芳樹の軍事関連の社会評論は壊滅的なダメージを受けます。これが一番の狙いです。
 今回の軍事関連特集の意図、お分かりいただけましたでしょうか?

>管理人さん
<「日本の戦車は重くて道路や橋を走れないから実戦で使えないんだぜ」>

 これは「軍事描写編」でも言いましたが、日本の戦車が道路を走れないし橋を渡れないというのは、戦車の欠陥ではなく日本の法制度の問題なんですね。今の法制度では、別に90式戦車に限らず自衛隊の車輌のほとんど全てが、有事の際に道路に出ることさえできないし、赤信号を守らなければならないし、発砲だってまともに出来ませんからね~(^_^)。自衛隊がまともに動ける法制度が整えば、もう少し何とかなるのでしょうけど。

<ところで異常に高いといわれている日本の戦車ですが、これは確かで90式戦車は11億円するそうですね。他国の主力戦車(アメリカのM1A1、ドイツのレオパルト2など)が大体3億とされていますから、べらぼうに高いですね。値段分性能がいいわけではないですし(むしろ弱そう)、確かに高いです。>
<…なんか本論に書きたくなってきたなぁ(笑)>

 これに関しては、次の「軍事認識編」でもう少し詳しく検証してみます。だから本論を書くのはもう少し待ってくださいね(笑)。

収録投稿5件目
board1 - No.2043

解りました

投稿者:ドロ改
1999年09月19日(日) 01時48分

>冒険風ライダーさん
了解しました。確かに他人のいい加減な事実認識をあれだけおちょくっている以上、自分に跳ね返ってくるのは当然ですね。
ところで、細かな知識のいい加減さはともかく、田中芳樹が創竜伝で度々言っている日本の軍事面からの批判は、実は方向性としては間違っていない様に思えるのですが。
つまり、彼の論の骨子は
1、日本は軍事に非常に多くの金を費やしている
2、そのくせ中身は空っぽ
と言うもので、これは全くの事実でしょう。統計や法律の文言のような簡単な物だけをベースに、社会評論を「軽く」入れるくらいにしておけば、ドタバタコメディーとして結構良いものになったのでは、と思うと残念で成りません。実際出来た物は、挙げる例が偏っていたり間違っていたりするので目も当てられないですが。

以下戯言
--------------------
>管理人さん
>90式はブリキカン
大戦略の事でしょうか?あのシリーズは伝統的に自衛隊兵器をコケに(正当に評価)しているんですよね。
でも、ガングリフォンだと90式は、「遅く」「硬くない」かわりに「装弾数だけは多い」と言う何とも苦肉の作とでも言うべきデザインでした。主役が自衛隊(の外部組織)だけに考慮したんでしょうか…

収録投稿6件目
board1 - No.2045

レス

投稿者:本ページ管理人
1999年09月19日(日) 02時50分

>つまり、彼の論の骨子は
>1、日本は軍事に非常に多くの金を費やしている
>2、そのくせ中身は空っぽ

しかし、日本の保守政治家は日本を軍事大国にしたい(船津老人が筆頭か)と思っている前提で、日本の軍事大国化に対して批判しているんですよね。一方で政治家のリベート目当て(首相とか)で中身がないとも批判しており、支離滅裂ですね。まあ、この支離滅裂さは愛嬌で済むようなかわいさがありますけど。

>>管理人さん
>>90式はブリキカン
>大戦略の事でしょうか?

ガングリフォンの1です。オープニングで90式改を一撃でしとめたレオパルト3の戦車兵が「90式はブリキ缶だぜ」って言うんですよ。
このゲームに出てくる90式戦車改は長砲身とレオパルト2A5的増加装甲が泣けます。

収録投稿7件目
board1 - No.2047

いや

投稿者:不沈戦艦
1999年09月19日(日) 21時17分

>しかし、日本の保守政治家は日本を軍事大国にしたい(船津老人が筆頭か)と思っている前提で、日本の軍事大国化に対して批判しているんですよね。

 実際そんな物好きはいないんですけどね。軍事大国化して覇権を握りたい、なんてのは。船津老人みたいなのが仮にいたとしても、誰も相手にしやしませんよ。自由貿易体制が無く、勢力圏を自力で構築する必要があった戦前と、基本的に自由貿易体制になっていてどことも貿易ができる戦後をごっちゃにするから、こういう訳の解らない愚論をわめきたくなるのでしょうが。

収録投稿8件目
board4 - No.2993

「世間の常識」と「ミリヲタの常識」

投稿者:吉良国 育生
2002年10月07日(月) 20時53分

 どうも底の浅いミリタリーヲタクの吉良国です、この不景気の中で妙に景気の良い新DDHの完成予想図を見ていると「この国が軍事大国だといわれても仕方が無いか」と思ってしまう今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて、今回は創竜伝考察の22番を読んで思った事を書かせていただきます。古い話題で恐縮ですが、少しお付き合いいただければ幸いです。

 早速ですが、以下は本ページ管理人様の発言№2035から抜粋した物です。
 前略
 確かに90式戦車は50トンありますが、重装甲で有名なイギリスのチャレンジャーは62トンもありますし、比較的軽いといわれるどいつのレオポルド2ですら56トンもあります。90式戦車は重いのではなく、むしろ軽いと見るべきです。エアコン云々ではなく、軽くするために装甲に無理をしている面がありますね(余談ですがサターンの某ゲームで有名になった「90式はブリキ缶」という評価はむべなるかな、ですね)
 中略
ところで異常に高いといわれている日本の戦車ですが、これは確かで90式戦車は11億円するそうですね。他国の主力戦車(アメリカのM1A1、ドイツのレオポルド2など)が大体3億とされていますから、べらぼうに高いですね。値段分性能がいいわけではないですし(むしろ弱そう)、確かに高いです。これに関しては以前冒険風ライダーさんが量産効果による差であると創竜伝を非難していましたが。
 後略

 上のような話は市販の本でよく見かけます、おそらく管理人様もそういった物を参考になされたのだろうと思います。
 しかし、そういった本を書く人間の中にも、知識の足りない者が少なからずおります。
 彼らは、90式とチャレンジャーやレオポルド2などとの間にある十年でどれだけ技術が進歩したか知りません、日本が誇るセラミック技術と冶金技術が生んだ複合装甲の真価も知りません、90式の試作車が実弾にさらされたことも知りません、10発の実弾を受けた試作車がちゃんと走ったことも当然知らないのです。
 次に値段ですが、90式が一台11億円したのは初年度における生産分の十両だけです、現在の価格は九億円を切っています。そしてM1やレオポルド2の値段ですが、確かに初期の生産型は3億程度でしたが、90式と同世代といえる、M1A2やレオポルド2A5の価格は七億円を超えます、量産効果による差額は2億円ほどです。ちなみに年間三十両弱生産している仏のルクレルクは九億五千万円、年間二十両弱しか生産していない90式よりお高いです。
 90式は世界最強の戦車ではないかもしれませんが「べらぼうに高いブリキ缶」などではありません。
 さて、なぜ以上のような人の揚げ足を取るよう事を長々と書いたかというと、冒険風ライダー様がいう簡単に手に入る兵器資料がどんな物、簡単に理解していただけると思ったからです、市販されている資料にはかなり胡散臭い物が含まれています(たとえば、多銃身機関銃一般の事をバルカン砲、ヘリコプター搭載揚陸母艦(LPH)のことをヘリ空母などと書く資料も多く売られています)。
 現在はネットがありますので、ミリタリー系のサイトを見れば多くの情報が書いてありますので事の正否はすぐ分かりますが、創竜伝の3巻~6巻が発行された1988~90年当時は、簡単に正しい資料がそろう環境ではありませんでした。
 この頃、自衛隊の新装備が世間でどう評価されていたかというと、空のF-2はアメリカの横槍と既存機の改良型というだけで早くも駄作機と呼ばれ、海のイージスは88年に起きた米イージス艦による民間機撃墜事件のために欠陥品の烙印を押され、陸の90式は・・・創竜伝に書かれているとうりです(さすがに140ミリ砲とか尖った石程度で底に穴があくというのは違いますが)。
 こういった背景を元に書かれた訳ですので、田中氏一人を責めるのは酷というものかと思います。

収録投稿9件目
board4 - No.2997

Re2993:第3世代戦車と3.5世代戦車の違い

投稿者:冒険風ライダー
2002年10月08日(火) 00時07分

<次に値段ですが、90式が一台11億円したのは初年度における生産分の十両だけです、現在の価格は九億円を切っています。そしてM1やレオポルド2の値段ですが、確かに初期の生産型は3億程度でしたが、90式と同世代といえる、M1A2やレオポルド2A5の価格は七億円を超えます、量産効果による差額は2億円ほどです。ちなみに年間三十両弱生産している仏のルクレルクは九億五千万円、年間二十両弱しか生産していない90式よりお高いです。>

 すいませんが、この比較手法はそもそも根本から何か間違っているのではないでしょうか?
 まず、90式戦車が第3世代戦車と定義されているのに対して、その同世代戦車として挙げられている「M1A2」や「レオパルド2A5」は、それぞれ従来の第3世代戦車である「M1A1」「レオパルド2」の改良型で、外見こそよく似ていますが、その戦闘力は従来型とは大きな隔たりがあり、90式戦車と同列に並べられるものではありません。これらの改良型戦車は従来型と区別するために3.5世代戦車と呼ばれています。
 それに第3世代戦車たる「M1A1」や「レオパルド2」が1980年前後に制式採用されているのに対して、同世代戦車であるはずの90式戦車の制式採用はそれから10年も遅れた1990年で、しかもそれから一度たりとも「M1A2」や「レオパルド2A5」に見られるような改良化がなされてなどいないのです。外国の3.5世代戦車ですら、旧式化しつつある90式戦車と同等ないしはそれ以下の値段しかかからないのですから、いかに90式戦車のコストパフォーマンスが悪すぎるかが分かろうというものではありませんか。
 いずれにせよ、旧式化しつつある第3世代戦車と最新鋭の3.5世代戦車では、比較対照としてはいささか不適当なのではないかと思うのですが。

<さて、なぜ以上のような人の揚げ足を取るよう事を長々と書いたかというと、冒険風ライダー様がいう簡単に手に入る兵器資料がどんな物、簡単に理解していただけると思ったからです、市販されている資料にはかなり胡散臭い物が含まれています(たとえば、多銃身機関銃一般の事をバルカン砲、ヘリコプター搭載揚陸母艦(LPH)のことをヘリ空母などと書く資料も多く売られています)。
 現在はネットがありますので、ミリタリー系のサイトを見れば多くの情報が書いてありますので事の正否はすぐ分かりますが、創竜伝の3巻~6巻が発行された1988~90年当時は、簡単に正しい資料がそろう環境ではありませんでした。
 この頃、自衛隊の新装備が世間でどう評価されていたかというと、空のF-2はアメリカの横槍と既存機の改良型というだけで早くも駄作機と呼ばれ、海のイージスは88年に起きた米イージス艦による民間機撃墜事件のために欠陥品の烙印を押され、陸の90式は・・・創竜伝に書かれているとうりです(さすがに140ミリ砲とか尖った石程度で底に穴があくというのは違いますが)。
 こういった背景を元に書かれた訳ですので、田中氏一人を責めるのは酷というものかと思います。>

 あのですね、その当時でさえ、本当に兵器について調べようと思うのであれば、紀伊国屋書店などの本屋で兵器関連の最新資料を予約して取り寄せるとか、田中芳樹の立場ならば担当の編集者に頼んで探させるとか、最悪でも図書館に行って資料を漁ってみるとか、兵器について正確な知識を得る方法などいくらでもあったのではありませんか? 本気で社会評論を展開しようというのであればそれくらいの労は払って然るべきでしょうに。私自身、考察シリーズを展開するようになってからは、ネットの情報だけでは不充分と考えて、様々な書籍や資料を購入するように努めていますけど。
 第一、創竜伝で田中芳樹は、自衛隊の兵器の欠陥をあげつらう一方で、「日本は軍事大国化しつつある」などという現実離れしたタワゴトをほざいたり、自分が「道路も走れない欠陥戦車」などと評価していた(創竜伝6巻)はずの90式戦車を、過去の同じ作品のストーリー中で縦横無尽に疾走させたりしているのですから(創竜伝3巻)、これもまた「無用の評論の挿入が作中のストーリーを破綻させている」例のひとつであるわけで、その支離滅裂ぶりは徹底的に批判されて然るべきなのではありませんか?

収録投稿10件目
board4 - No.3001

Re:「世間の常識」と「ミリヲタの常識」

投稿者:本ページ管理人
2002年10月08日(火) 01時45分

> 彼らは、90式とチャレンジャーやレオポルド2などとの間にある十年でどれだけ技術が進歩したか知りません、日本が誇るセラミック技術と冶金技術が生んだ複合装甲の真価も知りません、90式の試作車が実弾にさらされたことも知りません、10発の実弾を受けた試作車がちゃんと走ったことも当然知らないのです。

これに関してはおっしゃるとおりですね。
あのゲーム(率直に言ってガングリフォンですが)で「90式はブリキ缶」と言われているのは、「現代では高性能戦車である90式でさえ、作品の時代では旧型のブリキ缶扱いなんだぜ」という文脈で捉えるのが正しいのでしょう。
ただし、他の点については既に冒険風ライダーさんが述べられたとおりだと思います。

収録投稿11件目
board4 - No.3005

Re:Re2993:第3世代戦車と3.5世代戦車の違い

投稿者:ケスラセラ
2002年10月08日(火) 10時59分

<自分が「道路も走れない欠陥戦車」などと評価していた(創竜伝6巻)はずの90式戦車を、過去の同じ作品のストーリー中で縦横無尽に疾走させたりしているのですから(創竜伝3巻)、これもまた「無用の評論の挿入が作中のストーリーを破綻させている」例のひとつであるわけで、その支離滅裂ぶりは徹底的に批判されて然るべきなのではありませんか?>

 横槍のレスで申し訳ありません。
 しかしよく読みこんでおられますね。6巻で出てきた戦車と3巻で出てきた戦車が同じ型などと気づかれるとは。
 しかし田中芳樹にとっては戦車が縦横無尽に走れるだの、値段がどうだのとはそれほど大きな意味を持っていないのではないかと思います。憲法で非戦を高らかに謳い上げている日本が一両11億か9億か知りませんがそのような膨大なお金をかけて作っているという事実に対して皮肉を言っているだけでしょう。確かにプロの作家としてその皮肉にも事実の裏づけを持ってしろという主張も理解できますが。

収録投稿12件目
board4 - No.3009

第3世代戦車てなに?3.5世代戦車てなに?

投稿者:吉良国 育生
2002年10月08日(火) 21時11分

 どうも、簡単に手に入る資料とは、やはりこの程度かと嘆き悲しんでいる吉良国です。

>  すいませんが、この比較手法はそもそも根本から何か間違っているのではないでしょうか?
>  まず、90式戦車が第3世代戦車と定義されているのに対して、その同世代戦車として挙げられている「M1A2」や「レオパルド2A5」は、それぞれ従来の第3世代戦車である「M1A1」「レオパルド2」の改良型で、外見こそよく似ていますが、その戦闘力は従来型とは大きな隔たりがあり、90式戦車と同列に並べられるものではありません。これらの改良型戦車は従来型と区別するために3.5世代戦車と呼ばれています。
>  それに第3世代戦車たる「M1A1」や「レオパルド2」が1980年前後に制式採用されているのに対して、同世代戦車であるはずの90式戦車の制式採用はそれから10年も遅れた1990年で、しかもそれから一度たりとも「M1A2」や「レオパルド2A5」に見られるような改良化がなされてなどいないのです。外国の3.5世代戦車ですら、旧式化しつつある90式戦車と同等ないしはそれ以下の値段しかかからないのですから、いかに90式戦車のコストパフォーマンスが悪すぎるかが分かろうというものではありませんか。
>  いずれにせよ、旧式化しつつある第3世代戦車と最新鋭の3.5世代戦車では、比較対照としてはいささか不適当なのではないかと思うのですが。

 冒険風ライダー様ほどの聡明なお方が、なぜこのような奇妙な考え方を頭から信じてしまうのでしょうか、なぜ先進的な工業国の作る戦車が他国より十年も遅れていると信じられるのでしょうか、なぜ開発に十年の開きが有るのならその分進んでいると考えないのでしょうか、なぜどこかおかしいと思わないのでしょうか。

 「90式戦車はモダンで洗練されている、火器管制装置はレオポルド2A5やM1A2より優れている。ベトロニクス(車載電子機器)も有名な仏のルクレルクやレオポルド2A5およびM1A2より優れている」

 これはアメリカの軍人向け業界誌「アーマーマガジン」の99年7、8月号から抜粋したものです。冒険風ライダー様が紀伊国屋などで手に入れられた本に書いてあることと全く反対の事が書かれています、冒険風ライダー様はどちらを信じますでしょうか。
 残念ですが、私は国内の軍事ライターが書いた記事を無条件で信じる事はできません。
 90式が採用以来、改良を受けていないのは事実です(火器管制のソフトの書き換えなどは行っています、これにどれほどの価値があるのかはお分かりいただけると思います)、しかし旧式化というのはど言う事でしょうか、具体的にどこがどう旧式化していると書かれてありましたでしょうか、私にはどこが旧式化したのかさっぱりわかりません、いったいどこを改良しろと言っているのでしょうか。
 M1A2乗りたちが驚嘆した走行間射撃時の命中率でしょうか、至近距離から打ち込まれた120ミリ砲弾をはじき返す防御力でしょうか、有事の際に米から弾を買うたに採用したラインメタル44口径120ミリ砲でしょうか(と言われていますが、ホントに買う気なのかな劣化ウラン弾)、いまだに90式にしか採用されていない自動目標認識・脅威度識別システムでしょうか、それともM1A2にしか採用されていない車両間情報システムを積んでいないのがいけないのでしょうか、もしくはレオポルド2A5とA6にしか採用されていないショト装甲が付いていないのがいけないのでしょうか、もしお持ちの本に答えが書かれているのならお教えいただけないでしょうか。

>  あのですね、その当時でさえ、本当に兵器について調べようと思うのであれば、紀伊国屋書店などの本屋で兵器関連の最新資料を予約して取り寄せるとか、田中芳樹の立場ならば担当の編集者に頼んで探させるとか、最悪でも図書館に行って資料を漁ってみるとか、兵器について正確な知識を得る方法などいくらでもあったのではありませんか?

 採用された当初の90式の評価は、橋を渡る事も鉄道で運ぶ事もできないので北海道にしか配備できない、他国の戦車に比べ軽いため装甲が薄い、自動装填装置は実用に耐えない、サスペンションはもろく自重を支える事はできないなどで、軍事雑誌にもこのように書かれていました。当時の私はこの事の裏を取るため、基地祭があれば出向き、縁戚の自衛官を訪ね、同人誌即売会で出会った相手が自衛官だと分かれば頭を下げ、事あるごとに、この本の内容は正しいのか、あの記事は間違ってないのかと訪ね歩きました、ほかにも防衛庁の公開情報を閲覧したり、読めもしない洋書を食費を削って買い辞書を片手に読みました。
 そうまでしないと90式の実力を知る事はできませんでした。

>  本気で社会評論を展開しようというのであればそれくらいの労は払って然るべきでしょうに。私自身、考察シリーズを展開するようになってからは、ネットの情報だけでは不充分と考えて、様々な書籍や資料を購入するように努めていますけど。

 批評をするなら労を払えと言うのは納得できます、では冒険風ライダー様は田中氏を批判する上で充分な労をとったのでしょうか。
 創竜伝の考察22番№2031において、冒険風ライダー様は海軍のヘリ空母に陸軍のヘリが搭載されているのはおかしいと書きました、ですがあれはホントに陸軍のヘリだったのでしょうか。
 軍事に詳しい者なら、ヘリ空母とは強襲揚陸艦かヘリコプター搭載揚陸母艦の事だと分かります、なぜなら市販の本にそのように書かれてある物がかなり有るからです、あれが揚陸艦なら搭載されているのは海兵隊のヘリです、彼らは攻撃ヘリも運用していますので何の問題もありません。
 それなのに冒険風ライダー様ご自分の中途半端な知識で搭載しているヘリを陸軍のヘリと決めつけ批判しています。
 ですが私はこの事で冒険風ライダー様を批判するつもりはありません、ただ紀伊国屋で買った本からすぐさま得られる知識などその程度だろうと思い、軍事系サイトの掲示板で質問すれば「アメリカ海軍は軽空母など保有していない」「ヘリ空母と言えば揚陸艦の事」とすぐに分かったのにと思ってしまいます。
 もちろんネットが万能だとは言いません、ただこの国で正しい軍事資料を集めるのは大変難しく、市販の資料がアテにできない以上ネットというのは非常にありがたいです。

>  第一、創竜伝で田中芳樹は、自衛隊の兵器の欠陥をあげつらう一方で、「日本は軍事大国化しつつある」などという現実離れしたタワゴトをほざいたり、自分が「道路も走れない欠陥戦車」などと評価していた(創竜伝6巻)はずの90式戦車を、過去の同じ作品のストーリー中で縦横無尽に疾走させたりしているのですから(創竜伝3巻)、これもまた「無用の評論の挿入が作中のストーリーを破綻させている」例のひとつであるわけで、その支離滅裂ぶりは徹底的に批判されて然るべきなのではありませんか?

 その事については特に異論はありませんが、私は日本はすでに軍事大国だと思います(田中氏が述べているのとは少しニュアンスが違いますが)。

収録投稿13件目
board4 - No.3018

Re3005/3009:一応の目途

投稿者:冒険風ライダー
2002年10月09日(水) 21時58分

>ケスラセラさん
<しかし田中芳樹にとっては戦車が縦横無尽に走れるだの、値段がどうだのとはそれほど大きな意味を持っていないのではないかと思います。憲法で非戦を高らかに謳い上げている日本が一両11億か9億か知りませんがそのような膨大なお金をかけて作っているという事実に対して皮肉を言っているだけでしょう。確かにプロの作家としてその皮肉にも事実の裏づけを持ってしろという主張も理解できますが。>

 その「皮肉」とやらを言うだけのために、ストーリーとの整合性を全く考慮せずに非現実的な空論を述べないでくれ、というのが私の主張内容なのですけどね。創竜伝3巻で90式戦車を縦横無尽に走らせるストーリーを展開しておきながら、創竜伝6巻でその90式戦車を「道路が走れない欠陥戦車」などと評価することが、どれほどまでにストーリーの整合性を破壊するかということなど、いちいち考えるまでもなく理解できる話ではないかと思うのですけど。
 ストーリーの流れから言っても無用の長物でしかない「趣味の」評論を挿入するだけのために、仮にもプロの作家が作品中でこんな設定破綻を作ってしまって良いと思うのですか?

>吉良国 育生さん
<冒険風ライダー様ほどの聡明なお方が、なぜこのような奇妙な考え方を頭から信じてしまうのでしょうか、なぜ先進的な工業国の作る戦車が他国より十年も遅れていると信じられるのでしょうか、なぜ開発に十年の開きが有るのならその分進んでいると考えないのでしょうか、なぜどこかおかしいと思わないのでしょうか。>

 簡単な話ですよ。自衛隊の兵器は、開発着手から制式採用に至るまでの期間が、諸々の事情であまりにも長すぎるからです。
 基本的に日本の兵器開発は外国の兵器を参考にして作られることが多いので、その時点ですでに自衛隊の兵器開発は後手に回ってしまう上、兵器開発に充分な予算が下りないために、テストに必要な量産試作品を充分に造ることが難しく、運用・耐久テストが満足に行えないといったことが往々にしてあります。このような開発環境で万全の兵器を製作しようとすれば、必然的に他国の兵器開発よりもはるかに時間がかかることになります。
 戦車の件で言うと、M1A1エイブラムスと90式戦車は、ほぼ同じ時期に両者共開発が開始されているにもかかわらず、M1A1が8年ほどで実用化(1973~1981)したのに対して、90式戦車は15年近くもかかってやっと制式採用(1970年代半ば~1990)されています。つまり、スタートラインがほとんど同じであるにもかかわらず、制式採用に至るまでの時間が倍近くも違っているわけです。
 こんな形で開発が10年開いたところで、10年分の技術進歩が生じると思いますか?

<「90式戦車はモダンで洗練されている、火器管制装置はレオポルド2A5やM1A2より優れている。ベトロニクス(車載電子機器)も有名な仏のルクレルクやレオポルド2A5およびM1A2より優れている」
 これはアメリカの軍人向け業界誌「アーマーマガジン」の99年7、8月号から抜粋したものです。冒険風ライダー様が紀伊国屋などで手に入れられた本に書いてあることと全く反対の事が書かれています、冒険風ライダー様はどちらを信じますでしょうか。>

 いつのまにか私が90式戦車の兵器性能の欠陥を指摘していることにされてしまっては困りますね。私は90式戦車のカタログ性能(120ミリ砲とか)や、90式戦車は量産効果が期待できないから値段も高くなることについては言及していましたし、「法律上の問題で」道路を走ることも橋を渡ることもできないことは主張しましたけど、兵器個別の性能に言及した覚えなどどこにもないのですがね。
 旧式化云々というのはもっと一般的な意味で言っているのですよ。下で言及していますけど↓

<90式が採用以来、改良を受けていないのは事実です(火器管制のソフトの書き換えなどは行っています、これにどれほどの価値があるのかはお分かりいただけると思います)、しかし旧式化というのはど言う事でしょうか、具体的にどこがどう旧式化していると書かれてありましたでしょうか、私にはどこが旧式化したのかさっぱりわかりません、いったいどこを改良しろと言っているのでしょうか。>

 自分でこんな主旨のことを言っていませんでしたか? 「なぜ開発に十年の開きが有るのならその分進んでいると考えないのでしょうか」って。まさにそれが答えですよ。日進月歩で技術が進化し、しかも他国が積極的に兵器改良に務めているこのご時世に、10年以上も前に採用した兵器の改良を全く行わないこと自体が問題なのです。兵器自体に欠陥がなくとも、新技術の出現などで、それまで何の欠陥もなく活躍していた物が「旧式化している」とか「時代に対応していない」とか言われるようになるのは、兵器に限らず製品全般に当てはまる話でしょう。私はそういう意味で「10年以上も近代化改良がなされていない90式戦車は旧式化している」と述べたのですがね。
 他の国が装甲の強化とか情報伝達手段(GPSや車両間通信システムなど)の向上とかいった「兵器の近代化」を積極的に推進しているというのに、日本だけ既存の兵器性能にあぐらをかいて何もしていなかったら、日進月歩の兵器競争から完全に取り残されてしまうでしょう。第2次世界大戦時だって、大戦当初に無敵を誇った兵器が、新たに出現した新型兵器のために完全に駆逐されてしまった事例がたくさんあるではありませんか。それと同じものであると考えてもらえば結構ですよ。

<その事については特に異論はありませんが、私は日本はすでに軍事大国だと思います(田中氏が述べているのとは少しニュアンスが違いますが)。>

 あなたの「日本はすでに軍事大国論」には全く興味ありませんし、私が指摘する田中芳樹の問題点に関して特に異論はないと言うのであれば、議論の争点が全く存在しなくなるわけですから、この議論はこれでお終いということでよろしいですね。
 それに、田中芳樹が例の社会評論を展開していた当時(1990年)、あなたが持ち出してきた3.5世代戦車群は世界のどこにも存在しなかったのですから、それらの兵器性能&価格と90式戦車のそれとを比較する手法はあまりにも後付け過ぎるやり方で、時世的に見ても極めて不適切であると言わざるをえません(しかもそれが「田中芳樹擁護論」であると言うのであればなおさらです)。あの評論で90式戦車の比較対照を持ってくるのであれば「1990年当時に主流だった他国の主力戦車」にするべきでしょう。批判対象たる田中芳樹自身がそうしているのですし、私もそれに基づいて批判を展開しているのですから。
 そもそも、あなたの兵器関連の主張内容自体、田中芳樹が評論中で問題にしているテーマと大きくズレてきていますから、この件に関して議論すればするほど、田中芳樹関連の話題からどんどん離れていくことは明白です。
 よって、非常に一方的な通告で申し訳ありませんが、この件に関しては私はこの投稿をもって撤退させていただきます。

<創竜伝の考察22番№2031において、冒険風ライダー様は海軍のヘリ空母に陸軍のヘリが搭載されているのはおかしいと書きました、ですがあれはホントに陸軍のヘリだったのでしょうか。
 軍事に詳しい者なら、ヘリ空母とは強襲揚陸艦かヘリコプター搭載揚陸母艦の事だと分かります、なぜなら市販の本にそのように書かれてある物がかなり有るからです、あれが揚陸艦なら搭載されているのは海兵隊のヘリです、彼らは攻撃ヘリも運用していますので何の問題もありません。
 それなのに冒険風ライダー様ご自分の中途半端な知識で搭載しているヘリを陸軍のヘリと決めつけ批判しています。>

 ただ、上の件に関しては、私の間違いを指摘してくれたことに素直に感謝すると共に、私も自らの誤りを認め、訂正・謝罪を行うことにします。確かにこの件に関しては結果として私の調査・検証不足だと言われても弁解のしようもありませんしね。
 田中芳樹およびファンの皆さん、申し訳ありませんでしたm(__)m。

収録投稿14件目
board4 - No.3023

Re:Re3005/3009:一応の目途

投稿者:吉良国 育生
2002年10月10日(木) 15時52分

 田中氏が間違っているからといって、冒険風ライダー様が正しいわけでもないでしょう。

 私は、田中氏に軍事知識がないのはこの国の環境からいって仕方ないと考えています(その所為で田中氏が恥をかいたとしても私の知ったことではありません)。
 しかし、本ページ管理人様は知ったかぶったことは書かなければ良いと言い、冒険風ライダー様はそれに同意し、人を批判するならそれなりの労を払えと言いました。
 では、あなた方は田中氏を批判する為に充分な労を払ったと言えるのでしょうか。
 私にはとてもそうは見えませんでした、あなた方も田中氏と同じく知ったかぶって書いているのではないでしょうか。
 特に冒険風ライダー様の創竜伝の考察22番№2031、いろいろと田中氏の兵器描写を批判していますが(もう細かい事は言いませんが、ここにはまだ間違いがありますよ)、あの参考資料はなんですか、ゲームソフト一本が冒険風ライダー様の言う労ですか、あまりにも酷いのではないでしょうか。
 私が言いたいのはそれだけです。

収録投稿15件目
board4 - No.3036

Re:Re3005/3009:一応の目途

投稿者:ケスラセラ
2002年10月11日(金) 13時37分

>  その「皮肉」とやらを言うだけのために、ストーリーとの整合性を全く考慮せずに非現実的な空論を述べないでくれ、というのが私の主張内容なのですけどね。創竜伝3巻で90式戦車を縦横無尽に走らせるストーリーを展開しておきながら、創竜伝6巻でその90式戦車を「道路が走れない欠陥戦車」などと評価することが、どれほどまでにストーリーの整合性を破壊するかということなど、いちいち考えるまでもなく理解できる話ではないかと思うのですけど。
>  ストーリーの流れから言っても無用の長物でしかない「趣味の」評論を挿入するだけのために、仮にもプロの作家が作品中でこんな設定破綻を作ってしまって良いと思うのですか?

うーん、なるほど。
よくわかりました。
なんか私は昔から議論されていることをまた蒸し返しただけだったようですね。
わざわざレスくださってありがとうございました。
今回の冒険風ライダーさんのレスで確認できたのですが、
田中作品をどのように受け止めているかで、感じ方が変わるようですね。つまり漫画であれば誰もご都合主義をそれほど非難しないでしょう?ドラえもんの道具についてストーリーの破綻などとおっしゃる方はほぼいないと考えます。だから田中作品を漫画とは言いませんがそれクラスのエンタータイメントと受け止めている私にはそれほどストーリーの破綻が気にならないのだと思います。おそらくこのように感じる方はほかにも大勢いらっしゃるのでは?(たとえばバトルロワイヤルとかロードス島戦記などのヒロイックファンタジーものと同じような感じ)ちなみに私はこれはこれで結構好きです。さらさらっと読めてそれなりに楽しめる。このような小説もあってもいいとは思うのですが。

収録投稿16件目
board4 - No.3067

ご指摘の部分には問題があったと思います

投稿者:本ページ管理人
2002年10月14日(月) 02時27分

>>こういった背景を元に書かれた訳ですので、田中氏一人を責めるのは酷というものかと思います。

> しかし、本ページ管理人様は知ったかぶったことは書かなければ良いと言い、冒険風ライダー様はそれに同意し、人を批判するならそれなりの労を払えと言いました。
> では、あなた方は田中氏を批判する為に充分な労を払ったと言えるのでしょうか。
> 私にはとてもそうは見えませんでした、あなた方も田中氏と同じく知ったかぶって書いているのではないでしょうか。

90式の装甲は決してチャチではないですし、その他の部分は、ミリオタではない私の知識からすると「知ったかぶった」部分があったかも知れません。この部分への指摘に関しては事実誤認があったことを認めますし、背景があることも了解しました。
ご指摘ありがとうございました。

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