- 親記事No.40スレッドの返信投稿
- board3 - No.41
ふと思いついた疑問
- 投稿者:させゆう
- 2000年10月26日(木) 11時39分
このHPの創竜伝批判の論述から考えると、創竜伝という作品は、キャラクターの心理描写が浅く、時代考証がいいかげんで、SF設定が間違っていて、物語が破綻しており、とてもじゃないが、評価に値しない作品ということになります。
しかし、このように仮定すると、ある疑問が出てきます。
それは、少しばかり知識があれば誰でも書けそうな作品でも大ヒットするという、この不況の中でとびきりの美味しい事実を目の当たりにしているのに、なぜ、「創竜伝」と類似した作品が他に出てこないのでしょうか。(実は出ているかもしれません。僕が知らないだけかも)
まさか、他の作家の作品をまねるのは仁義に反するなどという気概が、出版界にあるとは思えません。エヴァの謎本が売れれば、猫も杓子も類似本を出すのが出版業界であるのだから、どっかの小才のある編集者が、政治、軍事、歴史にある程度精通した作家志望の若者を捕まえて、「創竜伝」みたいな小説を書いてくれと依頼しそうなものです。
しかし、それがないとなると、創竜伝には、田中芳樹氏しか書けない魅力が込められていると考えられなくもありません。
余談かもしれませんが、平井和正氏の「地球樹の女神」という作品をご存知でしょうか。あの作品は、キャラの性格はころころ変わるし、物語はあきらかに行き当たりばったりで、ある意味作者の人格を疑うような内容なのですか。僕の感想としては、綺麗にまとまった優秀な小説よりも、面白いと感じましたし、何となく創竜伝と作風が似ている気がします。
創竜伝には矛盾と破綻を含みながらも、読者を魅了する力があるのでしょう。でなければ、他の作家や編集者が真似してるはずです。
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- board3 - No.42
Re: ふと思いついた疑問
- 投稿者:Walkyure.
- 2000年10月27日(金) 04時02分
> 創竜伝には矛盾と破綻を含みながらも、読者を魅了する力があるのでしょう。でなければ、他の作家や編集者が真似してるはずです。
“平井和正”や“田中芳樹”という名前そのものに魅了する力があるの
でしょう(苦笑)。
他の(しかも若手が!)あんなモン書いたら、速攻で編集者から没を食
らうだろうし、よしんば出版されても読者からは無視されるのがオチです。
過去のネームバリューがあってこその事でしょう……。
その意味では田中芳樹の過去に対する成功報酬みたいなモンですかね。
- 親記事No.35スレッドの返信投稿
- board3 - No.43
Re: なぜ創竜伝は売れるのか?
- 投稿者:Merkatz
- 2000年10月27日(金) 09時46分
これは私も常々疑問に思う点ですね。
銀英伝と創竜伝を比べると、あきらかに創竜伝は駄作であるのに、馬鹿売れする。
具体的数字は知らないが、見た感じ同じくらい売っているんじゃないかと思える。
今までもいろんな人が「何故売れるのか?」を検討してきたけど、
それでも疑問は尽きないですね。
ストレス解消というのもあるかもしれませんが、これだけ遅筆な作者なのに売れ続けるというのは、
やはりそれ以外の要素を考えるのが妥当と思います。
ストレス解消なら、こんなにも新刊が出るのが遅いんじゃ、それが「ストレス」になってしまいますから。(^^;;
驚異的なのは新しい信者が次から次へと入ってくることでしょうね。
一時期熱中した人も、やがてはその矛盾に気付いてファンを辞めてしまう。
でも、それと入れ替わりで、若い新規ファンが入ってくる。
創竜伝文庫版の挿し絵がCLAMPだということは、それを如実に物語っていると思います。
若者に対する伝染力こそ田中芳樹最大の強み!?
- 親記事No.40スレッドの返信投稿
- board3 - No.44
Re^2: ふと思いついた疑問
- 投稿者:させゆう
- 2000年10月27日(金) 12時07分
> 他の(しかも若手が!)あんなモン書いたら、速攻で編集者から没を食
> らうだろうし、よしんば出版されても読者からは無視されるのがオチです。
> 過去のネームバリューがあってこその事でしょう……。
>
ところがそうでもないと思うのですよ。
創竜伝はビジネスとして十分に成功を見込めることが読める作品なんです。
「主人公たちが美形で、性格がバラバラ」
古い作品ですが聖闘士聖矢やガンダムWなんかがそうですね。複数の性格の異なる美形キャラを用意して、どれかにひっかかるようにする。ジャニーズもまた然り。
「わかりやすい辛口な政治社会批評」
決して社会を誉めてはいけません。今の若者というか、昔から若者は社会に対して不満を持っていますから、社会や政治に批判的な記述をすれば、まず間違いなく共感を得ることが出来ます。「ナニワ金融道」の青木雄二の著書がやたらと売れているのは、社会を客観的な目で見たい人間が多いからではなく、自分の不幸な現実を、社会が悪いのが原因と論じてある本を読んで、不幸なのは自分が悪いのではなく、社会が悪いからなのだと信じたい人間が多いからではないでしょうか。(これは違うかも)
(注意)ここで気をつけておきたいのは、できるだけわかりやすく記述すること。新聞を見る人間は多くても、読む人間は少ないですから。難しい専門用語は使ってはダメです。批判の対象である政治家や経済人もできるだけ少年漫画的な小悪党に描く必要があります。
「歴史とオカルトとSFと軍事兵器」
この際「事実」である必要はありません。
大半の読者は事実かどうか調べる意思なんてないですから。
もし、これは違うんじゃかという抗議がきたら、これはフィクションですので、実際の登場人物や団体とは関係ありませんと言えば大丈夫でしょう。
と、いうように、売れそうな気がするんだけどなあ。
こちらは男性ファンを狙い撃ちするために「竜堂四姉妹」に変えて。
長女「温厚なお姉さまタイプ」
次女「クールで知的な美少女」
三女「自分のことを「ボク」という体育会系」
四女「ひとりぐらいはロリコン系」
というように。
冗談抜きで、いけるとは思うんですけど。
- 親記事No.40スレッドの返信投稿
- board3 - No.45
Re^3: ふと思いついた疑問
- 投稿者:Walkyure
- 2000年10月27日(金) 14時32分
なんだ、貴方的には結論は出てるんじゃないですか……。
質問じゃなかったんですね。
まぁ、そう思われるならご自分で試してみてはいかがです?
それが一番答えに近いですよ。
あるいは身をもって真実を知る事が出来ますよ。
もっとも、世の読者をそこまで舐めてるのもある意味スゴイとは思い
ますが。
結局、作者のネームバリュー無しではビジネスとして十分に成功を見
込めないと判断されるからこそ、類似品が量産されないんだと思います
がね……。
まぁ、量産されたら価値がなくなるからやめさせているのかもしれま
せんが。
-
- board3 - No.46
はじめまして
- 投稿者:マルジロウ
- 2000年10月27日(金) 15時12分
初めて書き込みします。
いやー、こういう所があったんですねー。私も田中芳樹の思想は絶対に変だ
と思っていたので、ここを発見したときはとても嬉しかったです。
田中芳樹の洗脳から醒めたのは、確か創竜伝の米軍基地を論じた所で、引用
はしませんが「こういうやり口で読者を洗脳する田中芳樹という男は最低の
人間だ」と思ったものです。
おりを見てまた書き込みさせていただきます。どうかよろしく。
- 親記事No.19スレッドの返信投稿
- board3 - No.47
おおっ!
- 投稿者:双頭の虎
- 2000年10月27日(金) 15時50分
早速、外見についての言及がある!
誰かさんとは違って、読者の期待に素早く応えてくれるというのは、
ますますツッコミがいがあるというものです。(おいおい)
もっとも、これは私の自意識過剰で、私の指摘とは無関係なのかもしれませんが。
これは、ツッコミでも何でもなく、単なる疑問ですが、
ゴールデンバウム王朝は、名前を見る限り、最後以外は、
女帝は存在してないようですね。オーベルシュタインはともかく(vol.4.p.53)、がちがちの保守である
大貴族に抵抗はなかったのかな。まあ、自分の権勢がかかると伝統なんか無関係なんだろうけど。
- 親記事No.40スレッドの返信投稿
- board3 - No.48
キャラクターの魅力?
- 投稿者:NNG
- 2000年10月27日(金) 16時30分
最初は、多くの作品で社会的弱者にされる超能力者が、持ち前の能力でしぶとく生き残ったり、竜の能力といった秘密が魅力になるのではないでしょうか?
しかし、これらは回を重ねるたびに面白くなくなっていくと思います。(俺は思いました)
が、竜堂兄弟のマンザイトークは大抵面白いです。
創竜伝はこの部分で下支えされているのではないでしょうか?
そのためには、現実との数々の矛盾なども、竜堂兄弟のキャラクター性を引き立てる単なる材料となるのでしょう。
- 親記事No.19スレッドの返信投稿
- board3 - No.49
Re: 言われてみれば
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年10月27日(金) 17時05分
> 早速、外見についての言及がある!
> 誰かさんとは違って、読者の期待に素早く応えてくれるというのは、
> ますますツッコミがいがあるというものです。(おいおい)
>
> もっとも、これは私の自意識過剰で、私の指摘とは無関係なのかもしれませんが。
>
> これは、ツッコミでも何でもなく、単なる疑問ですが、
> ゴールデンバウム王朝は、名前を見る限り、最後以外は、
> 女帝は存在してないようですね。オーベルシュタインはともかく(vol.4.p.53)、がちがちの保守である
> 大貴族に抵抗はなかったのかな。まあ、自分の権勢がかかると伝統なんか無関係なんだろうけど。
確かにそうですな、と思ったものですから。ま、何から何まで田中芳樹の真
似をして書こう、と思っている訳じゃないんですけど。私が勝手に付け加えた
キャラクターはともかく、オリジナルでもいるキャラの性格や口調を変えたり
したら「らしくない」ですし。
それと「女帝」の問題は、そんなに大した事じゃないと思いますよ。それよ
りエルウィン・ヨーゼフ2世を支えている、リヒテンラーデ・ローエングラム
連合に対する反発の方が大きいでしょう。確か銀英伝本編でも、エルウィン・
ヨーゼフ2世の即位の方が、「えっ」というような意外感を伴っていた、とい
う事を書いてあったような記憶がありますし。
- 親記事No.40スレッドの返信投稿
- board3 - No.50
Re^4: ふと思いついた疑問
- 投稿者:させゆう
- 2000年10月28日(土) 01時41分
> なんだ、貴方的には結論は出てるんじゃないですか……。
> 質問じゃなかったんですね。
>
僕の書き方が悪かったんですか?僕の質問は、創竜伝のような小説が売れる要素があるにも関わらず、誰も真似しようとしないのかというものですよ。前のレスでは、創竜伝にはこういう受ける要素がありますよという箇条書きだったんですが。
> もっとも、世の読者をそこまで舐めてるのもある意味スゴイとは思い
> ますが。
商売というものは世の中の人間を舐めてかからないとできない側面があります。「携帯の着メロ」が世に現れたとき、僕はどんな名曲もチープにしてしまう着メロのどこがいいのかと思いましたが、現実は大流行でした。結局、世の中の大半の人間は音楽を舐めてるんですね。もし、音楽を愛する人間が、着メロのシステムを思いついたとしても、自分の価値観から推し量って、これではチープすぎて世の中に受け入れられないと破棄してしまったのかもしれません。「ときめきメモリアル」も世の中の男を舐めてますよ。ヒットしましたが、製作している最中に、二次元の女の子とデートして面白いのかという疑問が当然のように出てきましたから。
舐めすぎるのも悪いと思いますが、あまりに消費者を過大評価しすぎると、かえって業界の衰退を招くのではないでしょうか。でも角川文庫は舐めすぎです。あのアニメ絵表紙では中身がよくても買いにくいです。
- 親記事No.35スレッドの返信投稿
- board3 - No.51
Re^2: なぜ創竜伝は売れるのか?
- 投稿者:優馬
- 2000年10月28日(土) 07時27分
田中芳樹作品の魅力について
優馬です。前にも似たようなことを書いてますけど・・・
田中芳樹は善人である。
善人とは、自らの「正しさ」について疑う能力を欠落させた人物を言う。
自我が脆弱であるので、「(絶対的に)正しい思想」に拠らないと生きていくことが難しいのです。
田中芳樹的には「戦後民主主義思想」というのは、世の中の大勢であり、絶対の安全パイであったはず。それが、時代の急転によって批判に曝されることになろうとは。
「理不尽な。僕は何も悪いことしていないのに。」
竜種という「人間界の外」の絶対安全圏から、聞いた風な社会批判をする。
それは、自我が確立できていない、思春期前期の人間には魅力的に映ることでしょう。また「世の中を斜めに見たい」人たちにもアピールすることでしょう。
そのため、時代は変わっても「創竜伝」は一定のファンがつくのです・・。
読者を悪く言いたくはないですが、「アレ」を読んで楽しいと思う人たちとはあまりお話をしたくないです。
竜堂家の漫才がそれなりに面白いのは、田中さんの「芸」ですけどね。
- 親記事No.35スレッドの返信投稿
- board3 - No.52
Re^3: なぜ創竜伝は売れるのか?
- 投稿者:させゆう
- 2000年10月28日(土) 15時54分
> それは、自我が確立できていない、思春期前期の人間には魅力的に映ることでしょう。また「世の中を斜めに見たい」人たちにもアピールすることでしょう。
> そのため、時代は変わっても「創竜伝」は一定のファンがつくのです・・。
>
> 読者を悪く言いたくはないですが、「アレ」を読んで楽しいと思う人たちとはあまりお話をしたくないです。
この書き方はまずいでしょう。
創竜伝のファンがあなたに迷惑でもかけたんですか?単に創竜伝が好きというだけで、会話を拒むという姿勢が理解できません。このHPは田中氏を批判する人間だけではなく、ファンにも門戸を開いていると書いてあるじゃないですか。にも、関わらず、創竜伝ファンとは話をしたくないなどと書き込みをしたら、ファンは皆逃げてしまいますよ。それとも、自分と意見の合うもの同士だけで、交流を楽しみたいのですか?
もし、そうだったら、あなたが批判している「田中氏」と何ら変わりはないですよ。
- 親記事No.35スレッドの返信投稿
- board3 - No.53
Re^4: なぜ創竜伝は売れるのか?
- 投稿者:モトラ
- 2000年10月28日(土) 16時56分
この書き込みに限りませんが、もう少し行間を読む訓練を積んだ方がいいですよ。
- 親記事No.35スレッドの返信投稿
- board3 - No.54
それだけでは説明できない
- 投稿者:ビュコック
- 2000年10月29日(日) 01時49分
> 過去のネームバリューがあってこその事でしょう……。
>
> その意味では田中芳樹の過去に対する成功報酬みたいなモンですかね。
私も以前はそう思っていたんですが、どうもそれだけでは理解不能な部分があるんです。
というのも、『創竜伝』には今なお中高生の新規ファンが加わっているんです。
しかも今年高校生のファンの方々に会ったことがあるんですが、
彼等の中には田中芳樹の作品を初めて呼んだのが『創竜伝』だったとか、
『銀英伝』を読んだことが無いという読者も結構いるようです。
それどころか田中芳樹の名前を『創竜伝』で知ったというファンまでいました。
どうもネームバリューだけでは説明できないものがあるようです。
-
- board3 - No.55
あいや、失礼
- 投稿者:優馬
- 2000年10月30日(月) 08時09分
優馬です。
> この書き方はまずいでしょう。
すいません、ご指摘のとおり。
正確には、「創竜伝の社会評論と同じことを言っているような連中とは議論
したくない」という意味です。読者一般を貶める意図はありません。
実は、私自身が創竜伝にアンビバレントな感情を持ってしまっているので、
ついついこういう不様を晒してしまいます。
創竜伝にしたって、田中芳樹の文体や語り口は、決して嫌いではないのです。
むしろ依然として好き。でも、書かれていること(特に「社会評論的」部分)
については、ひとっかけらも賛同できない。
なんというかなぁ、「絶対に間違ったことを、えらく健全に語られている」と
いうような感じ。
社会評論の出てこない作品は、今でも好きなんですよ。
田中芳樹の「善人性」という部分は、ジョブナイル作品には必須な、本質的に
魅力的な要素だと思うのです。悪人は卑小・滑稽で、人間性に対する本源的な
疑問や絶望を招来することのないレベルに留めてある。きわめて健全かつ安全
にできあがっています。加えて、豊富な歴史知識に由来する豊かな挿話と、
ちょいと斜に構えたユーモア。
告白します。
私はやっぱり「社会評論」以外の部分の田中芳樹は大好きです。
で、「社会評論」以外の部分の田中芳樹には、ベストセラー作家となるだけの
理由があるんじゃないかと思います。
管理人さん、常連のみなさん、このへんのこと、どう思われますか?
- 親記事No.35スレッドの返信投稿
- board3 - No.56
Re: こちらこそ、失礼
- 投稿者:させゆう
- 2000年10月30日(月) 11時56分
感情的になりすぎました。
こちらこそ、ごめんなさい。
-
- board3 - No.57
少年漫画的な創竜伝
- 投稿者:させゆう
- 2000年10月30日(月) 13時01分
創竜伝は少年マガジン(以下マガジン)の漫画のような要素があると思います。
マガジンに出てくる「両親」「教師」「警察官」(漫画では少年時代の三大悪とされているような気がします)というものは、もちろんひとくくりには出来ませんが、体裁や世間体に固執し、意地が悪く、卑屈で、無責任に描かれている場合が多い。
翻って、主人公やその仲間達は、自由で快活で、自分の好きなように生きています。
つまりマガジンの漫画では、例え世間に反発されるとしても、自己主張をして、自由に生きる人間イコール優れた生き方になり、逆に世間に縛られて生きることは悪い生き方だと示しています。
しかし、これは漫画での理想であって、実際、大人になれば、誰でも現実はそういう理想を切り捨てていかないと生きてはいけないことに気づきます。大人は確かに世間体や体裁を気にして、時には卑屈になり、汚いことをします。しかし、それは天才以外の平凡な人間が生きていくためには必要なことであり、大人になった人間が、少年漫画に反発するのは、大人が社会で生きていく難しさを描かずに、ただ卑屈に低俗に描いているからではないでしょうか。
もっとも、少年漫画が大人を卑屈に描くことは、弱い立場である少年をかっこよくたちまわさせるために必要なことであり、それに若い読者が拍手喝采することで、勇気や希望が持てるとしたら、それが気楽に読める少年漫画のあるべき姿ではないかとも思います。
ここで創竜伝がでてくるんですが、創竜伝が社会経験を踏んだ人間から批判を受ける理由のひとつに、平凡な人間が生きていく過程においては、全体に流され、長いものはまかれ、時として卑屈になり、汚い手も使わなければならない事実を無視して、天才である竜堂兄弟の自由気ままな言動、行動をのみを賞賛している点があると思います。
ただ、僕は「少年」という弱い立場ゆえに、竜堂兄弟の言動(作者の思想)や行動に寄りかかってしまう中高生を非難するつもりは毛頭なく、単に社会を批判してくれるだけで、創竜伝が好きだという感情も、少年時代においては間違ってはいないと思います。
しかし、やはり社会人をやっている僕としては、生きていくために「四人姉妹」的なことをやっているわけで、それを全否定してくれる創竜伝を楽しむには、いささか時期を逸したと言えるでしょう。
今では、無念の中間管理職のタウンゼント氏の方に感情移入してしまいますからね。
- 親記事No.19スレッドの返信投稿
- board3 - No.58
もう一つだけツッコミをお許し下さい。
- 投稿者:双頭の虎
- 2000年10月30日(月) 14時44分
本当に細かいことなんですが。
「戦争論」の著者を「カール・マリア・フォン・クラウゼヴィッツ」と書かれている部分がありましたが、
「マリア」は不要だと思います。
「戦争論」が、クラウゼヴィッツの遺稿を、彼の弟子と妻が編集して発刊したもので、
彼の妻マリー・ソフィーが序文も書いているので生じた間違いだとは思いますが。
-
- board3 - No.59
はじめまして
- 投稿者:さぱた
- 2000年10月31日(火) 18時36分
実は、ある人の名前(田中芳樹ではない)で検索していたら
行きつきました。一通り見てみましたが、管理人氏の姿勢や
態度に感服致しました。これまでも、これからもいろいろと
大変かもしれませんが、頑張ってください。
陰ながら応援しております。
-
- board3 - No.60
はじめまして
- 投稿者:蛭野晏曇
- 2000年11月01日(水) 03時45分
はじめまして。別の掲示板で不沈戦艦様を尊敬している者です。
たまたまここを見つけ大変感動しながら読ませていただいております。
まだ私は田中芳樹を極めておりませんのであまり議論に参加できないとは思いますが、お見知りおき下さい。
創竜伝と、題名は忘れたけど飛行船の話だけ友人から借りて読みました。銀英伝はアニメだけ見ました。
-
- board3 - No.61
はじめまして&どう思われますか?
- 投稿者:Veno
- 2000年11月01日(水) 07時38分
はじめまして。
「塩野七生」で検索して、ベストの中身が引っかかりまして、参った者です。田中ファンです……う~ん、銀英伝ファンというほうが正確か?
銀英伝を読んだのは中・高校生のときです。(今は大学生)
どなたかがおっしゃっていた、一見、あるいはどう見ても矛盾点に見える
点も、シャーロキアン的に好意で解釈し、矛盾を埋める、という姿勢に共感
を覚えました。単なるあらさがしに留まらない、優れた姿勢であると感銘
しました。
>名前(性、名の組み合わせ)が失笑もの
これはそうなんでしょうね。
私も乏しい知識ながら、某マイナー格闘ゲームで、”サハド・
アスラーン・リュート”という、アラブ系(?)美青年キャラには疑問を
覚えましたから。
サハド (多分)アラブ
アスラン トルコ語でライオン(人名になるのかは、存じません)
リュート ??(人名としては、存じ上げません)
…アラブやトルコの人にしてみれば、変なんでしょうね。きっと。
SF小説で、自分で自分のニックネームを「スシ」とつけた日本人
キャラクターが出てきて、「そんな国辱野郎はいやだ~」と思ったもの
です。まあ、ソニー氏やホンダ氏など、あからさまに企業名なのよりは
ましなのでしょうか。
銀英伝などは、ずっと未来の出来事ですから、混血、年月の経過による
命名則の変容などの事情で、命名基準がいいかげんになった、というのが
私の好意的解釈でありますが、いかがなものでしょうか。
>モンゴルを破ったのが日本だけ
と、塩野が書いていたのは、存じ上げませんでした。まあ私はにわか
ファン(塩野の)ですから…。
ただ、この件に関しては、誤謬がない人間などいないのだから、
あげつらうよりは、「貴下の著書の中の~~の件は、事実に反する。
実際は~~である」というようなことを、何らかの方法で伝えるのが
筋だと思います。あるいはそれを無視されたがゆえの怒りなので
しょうか。
個人としては、自分にとっての常識を相手がわきまえていないことへの
怒りは共感できます。でもそれって自分の常識を押し付けているだけだと
思います。
(偏見なのは確かでしょう。無知が偏見の源泉なのですから。)
私も、「役不足、役者不足」の取り違えをされると、無知への嫌悪から
文を書いた人を忌むことがあるので、人間としては否定できません。
しかし、通すべき筋を通していないことは(推測ですが)、批判に値する
ものと思います。無知による偏見は、知によって解消されるものと信じ
ます。
>軍事的リアリティ
私は軍人ではありませんし、単なる戦史に興味を持つ人間にすぎません。
世代的にも、ボードゲーマーではないですので、ランチェスター則など、
田中作品(七都市だったか)で知りました。
銀英伝などの田中作品には、エンターテイメント、三国志や太平記の
ような軍記物、紺碧のような架想戦記物と比しても、最低限のリアリティは
ある、と思います。
塩野の「ローマ人の物語」を読んでも、「10万からの大軍を、犠牲者
数名で破った」などという記述は噴飯もので、とうてい信じられません。
小説は虚構であるのは当然で、魅力ある虚構を提供するのは結構だが、
物には限度というものが有り、軍事に興味ある人間に「引かせる」内容
であるのは、多くの小説が共通して持っている弱点であると思います。
塩野のほうは、小説であるにも関わらず、それが事実であったと錯覚
しかねない書き方(歴史小説である以上不可避であるが)なのが、より
問題であると思います。とはいえ塩野の、政治家に対する評価方法には
感服させられたのは確かで、私は塩野のそのあたりの描写と知に魅力を
感じています。
(彼の行った政策が、後代どれだけ継承されたか、で判断するという手法)
要は、変なところがあっても、それを覆うだけの(自分にとっての)
魅力があれば、充分であると思います。
>無能提督について
○同盟には(廃止されるほどに軽視されていたが)戦史研究課があり、
帝国・同盟両国とも士官学校が存在する。
○作品中では、敵前回頭は、自殺行為に等しい愚挙とされている。
○そうであるにも関わらず、それを行う提督がいる。
これはどうしてでしょうか。
(OVA版では、ムーア提督が……原作では、同盟にはそんなのは
いなかったかもしれません。あいまいな記憶ですいません)
私としては、銀河連邦体制が崩壊して、以前の人類の知恵の多くの
部分が、失われたのではないか、と推測してます。
OVAには、薔薇の騎士連隊登場の回に、
「われわれは、トリューニヒト閣下(国防委員長)直属の……」
と、称する同盟軍士官が登場しますが、近代軍隊に存在していいんで
しょうか。実際に例があるのか、教えを乞いたいと思います。
それは「ない」ないし「不自然」との前提に立っての、私なりの好意的
解釈は、前述のように、文明の退歩に軍事組織も影響を受けた。あるいは
国防委員長直属の、秘密警察的あるいは諮問機関的なものが存在したの
ではないかというものです。
これはOVAの話で、本筋から外れてます。ご容赦ください。
過去ログは、ベストしか見ておらず、すでに同様の論議が行われて
いましたら、大変失礼を致しました。
また、とりとめのない記述にお付き合いくださり、御礼申し上げます。
至らぬ点などございましたら、ご指摘ください。
- 親記事No.57スレッドの返信投稿
- board3 - No.62
Re: 少年漫画的な創竜伝
- 投稿者:虎王
- 2000年11月01日(水) 10時04分
> ここで創竜伝がでてくるんですが、創竜伝が社会経験を踏んだ人間から批判を受ける理由のひとつに、平凡な人間が生きていく過程においては、全体に流され、長いものはまかれ、時として卑屈になり、汚い手も使わなければならない事実を無視して、天才である竜堂兄弟の自由気ままな言動、行動をのみを賞賛している点があると思います。
やっぱり竜堂兄弟でうさんくさいのはその完全無欠性にあると思います。
敵の牛種でさえ転生して特異な能力を維持するために血の近親というリスクを
背負い精神異常や薬物などによるドロドロしたものが背後にあるのに、竜堂兄
弟にはそういう後ろ暗いところはなにもなく、ピンチになったら美しい竜に
変身して敵を蹴散らし何の後遺症もなくもとにもどるという都合の良さに
少年だった私は憧れを持ち、大人になった私は薄っぺらさを感じるのでしょう。作者はそれを西洋の吸血鬼は他人の血をすするなどの業を背負わなきゃ生
きられないつまらない存在だが、中国の仙人は霞を食べるだけで何千年も生
き、歌と酒に興じて生きる至高の存在という表現で現していましたが、私とし
ては何百年も生きるというプラスの恩恵を望むならそれだけのマイナス面の業
を背負う吸血鬼のほうがリアリティを感じ、仙人には薄っぺらい都合の良さだ
けを感じます。このマイナス面無視の都合の良さは竜堂兄弟(作者)の政治批
判の部分にも感じることですし、自称市民運動家に多い症状だと思います。
最近あった東京都のゴミ施設反対で土地に立てこもり強制執行で立ち退かされ
た連中なんかはその最たるものですね。自分も資本主義社会の恩恵を受けて
ゴミをだしまくっておきながら、森を守れともっともらしいことを言い歌って
立てこもってるだけで自分だけは正しい事をしてると思いこんでいましたが、
本当に森を守りたいならその分どれだけの犠牲を自分が払わなきゃいけないの
かの想像力さえないのでしょうね。
大人になるにつれて霞だけ食べて無原罪に生きれるような仙人的生き方にうさ
んくささと反発を感じるようになったのは私が薄汚れて、田中芳樹さんのよう
な純粋さを失いつつあるからでしょうか?(笑)
- 親記事No.57スレッドの返信投稿
- board3 - No.63
Re: 少女漫画としての創竜伝
- 投稿者:蛭野晏曇
- 2000年11月02日(木) 04時45分
まずは新参者のくせにのっけから挑戦的な題名になってしまったことをお詫びします。創竜伝に少年漫画的部分があるというのは全くもって同感であり、今から私が書く少女漫画的側面よりもそれがおそらくは強いであろうことを弁えていることを先に表明しておきます。
1,不自然に美少年の主人公
*これは少女漫画の全般的特徴であり、その上「柔和的美少年」という条件も満たしております。中々もって男性は謙虚だから美少年に感情移入出来ないんですよね。ラインハルトにしろ竜堂兄弟にしろ作者は感情移入していたのでしょうか?
2、オカルト的神話知識の導入
*しかもそれに引きずり回されて話が破綻している所なんか、でき損ないの少女漫画特有の破局でしょうね。さらにその糊塗のため西洋から東洋まで引っ張ってきて読者を撹乱しようとして自分でもわけがわからなくなっているところなんて。
3,暗黒面の受容を頑なに拒否
*ちょっと差別的言辞ですが、統計ということで勘弁して欲しいのですが、憲法9条絶対護持派の人口比率では女性が圧倒的に上だとかいいます。朝日の部数がなかなか減らないのも実質的に家長の地位を握った主婦のせいだとか。少女漫画の一部には本来複雑な背景を持つ社会悪の表面を独断的に拒絶しているものがあります。
4,転生
*もはや何もいいますまい。敢えて蛇足を付け加えるなら、神、または超越的存在の転生という点でより典型的ですな。
もっと掘り下げたいのですがそれは少女漫画にもっと詳しい方にまかせるとして、結論を言いますと創竜伝は少年漫画と少女漫画の負の側面を併せ持っていると思われます。もっと言ってしまうと漫画なんだよなあ。社会評論削除してスニーカー文庫からでも出せばいいのに。漫画化もすぐだと思うよ。
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- board3 - No.64
田中芳樹と主婦の共通点
- 投稿者:本ページ管理人
- 2000年11月02日(木) 15時49分
こんにちは。はじめまして。日本茶でここの話題をされているのは拝見していたのですが、現在個人的に忙しいために書き込みする余裕がなく、ご挨拶できませんでした。
まだしばらく書き込みができないと思いますが、よろしくお願いします。
せっかくなのでちょっとだけ。
> 3,暗黒面の受容を頑なに拒否
> *ちょっと差別的言辞ですが、統計ということで勘弁して欲しいのですが、憲法9条絶対護持派の人口比率では女性が圧倒的に上だとかいいます。朝日の部数がなかなか減らないのも実質的に家長の地位を握った主婦のせいだとか。少女漫画の一部には本来複雑な背景を持つ社会悪の表面を独断的に拒絶しているものがあります。
これは、少女マンガの問題ではなく(社会悪に目をつぶった勧善懲悪は少年マンガにも多い)、女性に「主婦」という職業があることが背景だと思います。
現在、この掲示板で田中芳樹の純粋性・世間知らず傾向が指摘されていますが、生産点から隔離されている点で、主婦はこの田中芳樹の傾向に立場がよく似ています。
もちろん、専業主婦を真面目に働いている「プロの主婦」が多いことは知っていますし、そういう主婦は別です。
しかし、午後も○○みのもん教徒のように、昼間っからくだらないテレビを見ている連中は、わたしにゃ堅気だとはちょっと思えない(笑)
田中芳樹がみのもんたを見ているかどうかは知りませんが(笑)、生活に困らず適当な生産(仕事)で暮らしていけるダメ主婦と似たような生活サイクルなんじゃないですかね。
いや、別に田中芳樹のそういう生活が悪いというわけじゃないですよ。ただ、仕事でしている以上はメリハリをつけて欲しいだけです。
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- board3 - No.65
「葛藤回避」の田中芳樹作品
- 投稿者:優馬
- 2000年11月03日(金) 07時25分
優馬です。
田中芳樹作品群の特徴をつらつら考えておりましたら、ひとつキーワードを見つけたような気がいたします。皆さんのご意見をお聞かせください。
それは、「葛藤の回避」。
田中芳樹小説に登場するキャラクターたちは、生身の人間であれば避けられない「葛藤」を実に上手に回避しています。そしてそれが、作品としての魅力であると同時に限界になっていると思います。
例えば、銀英伝のラインハルトは、まさにその典型です。
熱愛する姉が、いけ好かない権力者の後宮に入れられてしまう。自分は子どもでそれをどうすることもできない。典型的な葛藤状況です。普通であれば、グレる(逃避的行動に逃げる)か、葛藤を克服して現実と折り合っていく(「大人」になる)かのどちらかなのですが、ラインハルトは違います。「自分が銀河皇帝になる」という破天荒な夢を実現させてしまうのです。このとき、彼はその天才をもってして「外的世界」を改変してしまったわけです。しかし、彼の「内的世界」=自我はそのままであることにご注意ください。凡人は自分を変えることで葛藤を克服するのですが、天才であるがゆえに自分の内的世界は変えずに外の世界の方を変えてしまうのです。彼の分身であるキルヒアイスも、そういえば「悩まない」キャラクターでした。
一方で、ヤン・ウエンリーも頑なに自分のスタイルを守るという点で自分の内的世界から一歩も出ないキャラクターでした。以前「ヤンの政治的責任」という議論があっていましたが、「非政治的存在」であり続けようとするヤンにとって(好きでもない)政治の世界に進出することなど論外だったのでしょう。戦争の指揮はするけれども政治はしない、というのは根本的に矛盾した話なんですが。政治がイヤなら提督なんかになっちゃいけない(笑)。とまれ、「本当は歴史家になりたかった戦術の天才」という枠から一歩も出ません。これが現実の世界であれば、「救国の英雄」となってほしい同盟市民の圧倒的要望の前に、「非政治的存在」であり続けることなど不可能であり、不承不承でも政治の世界に足を踏み入れざるをえないはずなのですが、そのようには話が展開しない。目に見えにくいですが、すごいご都合主義な展開です。ヤンもまた、本質的な「葛藤」に悩まされることなく、得意な戦争指揮だけに専念させてもらえるようなストーリーです。
葛藤に直面しないですんでいる田中芳樹ワールドの住人は、言葉の本来の意味で「子ども」であると言えます。「ピーターパン・シンドローム」という言葉がありましたが、まさにそれ。ただ現実世界のピーターパンたちは、現実の壁にぶつかって、引きこもったりグレたりして不適応をおこすのですが、田中芳樹ワールドの住人には、「天才」であるとか「王器」であるとかいう特権が与えられ、決して破綻しません。終いには「竜種」となって人間以上の存在になっちゃう。こうして「葛藤」が回避された楽園で、ピーターパンたちは気持ちよく遊び呆けることができるわけです。
現実の「葛藤」に悩む思春期の少年(少女)にとって、外的世界の方を改変して葛藤を克服してしまうというのは魅力的です。空想の世界でスーパーマンになっていじめっ子をやっつけるというのは、誰しも一度は経験のあることです。田中芳樹作品は、そういう夢想に具体的な形を与えてくれる、たいへん魅力的な存在であると思います。ただし、それは一時の気休めでしかありませんが。また、葛藤の中にこそ文学が描くべき人間ドラマがあるわけで、そこから抜本的に目を逸らしている田中芳樹作品は、例えどんなに難しい漢字が使ってあっても、文学たりえません。
ところで、いらん心配なのですが、毎回楽しみにさせていただいている不沈戦艦さんの「大逆転!リップシュタット戦役!」について。ここではラインハルトにとって根本的な葛藤状況が提示されていますよね。つまり、帝国を取るか姉アンネローゼを取るかという。本来の田中芳樹ワールドでは、ギリギリの選択に追い込まれることなく、葛藤状況が解決されなければなりません。つまりアンネローゼは必ず救出される。それが、銀英伝世界の「お約束」なのです。個人的には、ラインハルトが七転八倒して煩悶するところを読んでみたいですが(笑)。でもそれやると「反銀英伝」が銀英伝以上のものになっちゃいますんで、ルール違反かな。
長々失礼いたしました。
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- board3 - No.66
ヘブライ語?
- 投稿者:ビュコック
- 2000年11月03日(金) 09時27分
> 私も乏しい知識ながら、某マイナー格闘ゲームで、”サハド・
> アスラーン・リュート”という、アラブ系(?)美青年キャラには疑問を
> 覚えましたから。
サバドではありませんが、サバトというのは、ヘブライ語で「安息日」(転じてユダヤ教の安息日)の事です。
アスランはトルコ人の名前によくあります。
以前ドイツのガストアルバイター(移民労働者)にアスランという人がいました。