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投稿ログ46 (No.942 - No.957)

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board3 - No.942

反銀英伝 大逆転! リップシュタット戦役(57)

投稿者:不沈戦艦
2001年03月31日(土) 13時47分

「右翼より敵艦隊接近!敵は、逃げてくる味方と一緒になって進撃してきます!」

 キルヒアイス艦隊右翼部隊の指揮を執っているワーレンの旗艦「火竜(サラ
マンドル)」の艦橋に、レーダー担当士官の驚愕したような声の報告が響く。
逃げる味方と一緒になって敵が進撃してくる、など最悪の事態であった。いか
にワーレンと雖も、このような事態に有効な対処ができる訳はない。

 ミッターマイヤー艦隊の残存艦を蹴散らしつつ進撃したシュタイナー隊は、
キルヒアイス艦隊の右翼側面に取り付くと、猛然と砲火を浴びせかけた。正面
の三万の敵に対処するだけでも精一杯だったところに、更に右翼から別の敵約
一万に攻撃されたのでは、持ちこたえられる訳もない。しかも、敵艦隊は逃げ
るミッターマイヤー艦隊の残存艦と一緒になって接近してきたのである。これ
では、キルヒアイス艦隊の側から、攻撃する訳にはいかない。味方を巻き添え
にしてしまうからだ。冷酷無情な司令官ならば、そのような場合でも平然と味
方を犠牲にするかも知れないが、キルヒアイスの性格ではそれは困難、いや初
めから無理な話である。結局、キルヒアイス艦隊の右翼は次々と突き崩され、
壊滅状態になっていった。ワーレンほどの将帥だろうと誰だろうと、支えられ
る訳はない。シュタイナー隊だけではなく、更にカーレンベルク隊にまで接近
され攻撃され、無秩序に逃げてきた味方艦が、艦隊の陣型を混乱の渦に陥らせ
ているに至っては、もはやどうしようもなかった。

「全艦隊、後退します!各隊ごとに分散し、相互支援を行いながら戦場から離
脱して下さい!!」

 さすがのキルヒアイスもミッターマイヤー艦隊が雲散霧消に近い状態になり、
更に右翼から破滅的な危機が迫っている状況となっては、これ以上交戦を継続
しようとは思わなかった。すでにキルヒアイス・ミッターマイヤー両艦隊合わ
せて一万近い損害を出しており、更に戦ったところで、損害が増すばかりなの
は目に見えているところだ。ミッターマイヤーが側背から逆襲して敵を怯ませ、
その隙に撤退するという作戦が失敗した以上、損害は覚悟した上で散開して退
却する方針を採るしかない。それで運のいい者は逃げられるだろう。

 キルヒアイスの命令で、艦隊は小部隊に分かれ、順序だって後退を開始した。
キルヒアイスの「バルバロッサ」は最後まで戦場に残り、味方の撤退を支援し
ようとする。

「あの不利な状況からでもよく戦い、よく守り、最後まで指揮官先頭を貫く、
か。キルヒアイス提督、若いがさすがにローエングラム侯の片腕と言われる男
だけのことはある。もちろん、深追いする訳には行かぬが、だからと言って思
い通りに逃げさせはせぬぞ。ローエングラム侯軍との戦力差を、少しでも埋め
る好機だからな」

 タンネンベルク侯は、直属の本隊のみならず、クライスト隊、エターリン隊
にも前進しての追撃を命じた。退却する敵を追い、少しでも損害を与えておく
のだ。ラインハルト軍とは倍の戦力差がある状況で、その敵の一部とはいえ大
損害を与える機会が訪れたのである。ここは厳しく追撃し、少しでも戦果を拡
大すべきであった。

「全艦、全速前進!滅多とない好機だ。一隻でも多くの敵を叩くぞ!」

 エターリン大佐はそう命じるとともに、旗艦「ドレスデン」を前進させた。
クライスト准将も同じく旗艦「ヘルマン・ホート」艦上から味方にけしかける
ように指示を出し、艦を前進させる。撤退するキルヒアイス艦隊を半包囲する
ような布陣で、タンネンベルク艦隊の五隊は攻撃を続行し、敵を叩きのめした。
もはや、キルヒアイス艦隊は殲滅される前に、どのくらいの味方を逃がすか、
という状況でしかない。この会戦の戦勢は、遂に一方的殺戮と言える段階にな
ってしまったのである。


「このまま負けて逃げる訳には行かない。全艦反転、敵の後背に襲いかかるぞ!」

 戦場からいち早く離脱したミッターマイヤーは、脱出してきた味方艦がある
程度の数にまとまったのを見て、再度の逆襲を行うことを決断した。現在、ミ
ッターマイヤーの手元には、三千隻の艦艇がある。戦場を離脱した時は百隻あ
まりだったのだが、戦闘宙域外に達したところで、バラバラになって逃げ出し
てきた味方艦をかき集め、何とかまとまった戦力を確保したのだ。潰走した味
方を短時間でかき集めて再編し、戦力化したところはミッターマイヤーの将帥
としての非凡さを顕わしていると言えよう。

 最初に比べれば五分の一程度にまで落ち込んでしまっていたが、それでも三
千隻というのはそれなりの戦力である。しかも、タンネンベルク艦隊は全軍が
前進し、キルヒアイス艦隊への攻撃に熱中しているので、後背への備えはまる
でない。好機であることは間違いなかった。

「いいか、後方から敵の中央に集中砲火を加え、そのまま突破する。一撃だけ
だが、タンネンベルク侯爵の度肝を抜いてやるのだ!」

 もちろん、ミッターマイヤーはいかに後背から襲いかかろうとも、たった三
千隻では五万隻近くのタンネンベルク艦隊に勝敗を逆転させるような大きな損
害を与えることができないことは承知していた。タンネンベルク侯爵にせめて
一矢報い、キルヒアイス艦隊の退却を支援することだけが目的である。

 ミッターマイヤー艦隊残存部隊は、高速でタンネンベルク艦隊中央の真後ろ
に回り込み、射程距離に達すると、突入口を作る為に一点集中砲火を浴びせた。
更に撃ちまくりながら、隊列が崩れた敵艦隊の真っ直中に突入する。


「敵、後方から突入してきます。数、およそ三千!」

「なんだと!!」

 さすがのタンネンベルク侯も、後方から突入してくる敵の存在には驚いてい
た。よもや、潰走したはずのミッターマイヤー艦隊が、再度逆襲してくるなど
とは思いもよらなかったからである。完全に意表を突かれた攻撃だったのだ。

「敵艦隊、本隊中央部後方を蹂躙中!」

「クラウゼヴィッツ」の戦況スクリーンにも、味方艦隊中央後方から、楔のよ
うに撃ち込まれた敵の図が表示された。その楔は前進し、味方陣型内に突き進
みつつある。

「これは油断していたな。ミッターマイヤー提督が脱出艦を集めて再戦力化し、
後方に回り込み逆襲してきたのだ。こんなに早く戦力を再編し、攻撃してくる
ことができるとは思わなかった。さすがは『疾風ウォルフ』と言うべきところ
か」

 タンネンベルク侯は、素直にミッターマイヤー提督への賞賛を口にする。も
っともこの余裕は、すでに勝利自体が動かないところから来ているものではあ
った。

「閣下、この場は、前方の敵への追撃を中止し両側に退いて艦隊中央に通路を
開け、後背からの敵を通過させた方がよろしいかと存じますが。すでに我が艦
隊の勝利は確定しておりますし、戦果は十分と言えるでしょう。止めを刺せな
いのは残念ですが、これ以上戦闘を継続した場合は損害が増えるので、得策で
はないと心得ます。何しろ、今回の目的は、一戦して敵を叩き潰し、新皇帝陛
下の武威を示すことですからな」

 シュリーフェン准将が意見を述べる。参謀長としては、適切な助言だった。

「確かに、少数の敵ではあるが、後背から攻撃されたのでは対処のしようがな
い。卿の言う通りだな。全艦隊、前方の敵への追撃は中止。艦隊中央部にいる
艦は、左右に分かれよ。通路を作って、敵艦隊を通過させてやるのだ。これ以
上の交戦は無用である」

 あと一歩のところで、キルヒアイスの旗艦「バルバロッサ」を含む集団を捕
獲または撃破する、というところまで相手を追い詰めていたタンネンベルク侯
であったが、シュリーフェンの提案を採用し、これ以上の戦闘継続を断念、後
方からの敵艦隊の通過も許すこととした。すでに大戦果をあげており、宣伝効
果としてはこれで十分なので、窮鼠の反撃に付き合って無駄な損害を出すこと
を嫌ったが為である。

 直きにタンネンベルク侯の旗艦「カール・フォン・クラウゼヴィッツ」も右
横に移動を開始した。艦隊中央部の通路は、タンネンベルク艦隊が大して損害
を出さない内に、短時間で形成されたのである。


「敵艦隊、左右に分かれました。中央部ががら空きになって行きます!」

「よろしい。このまま前進しキルヒアイス艦隊と合流、戦場から撤退する」

「人狼(ベイオウルフ)」の艦橋で報告を受け、窓外の戦況も把握したミッタ
ーマイヤーは頷くと、そのまま全速前進を命じた。ミッターマイヤーは、タン
ネンベルク侯の思惑が「無駄な犠牲を嫌った」であろうことを、当然の如く読
み取っている。それならばその思惑に乗り、残存艦隊を無事に撤退させる方が、
更に敵に食い付いて無理な攻撃を仕掛け、結果的に全滅してしまうよりは遙か
にましと言うものだ。ここで、タンネンベルク侯とミッターマイヤーの思惑は
一致した訳である。

 間もなく、ミッターマイヤー艦隊残存部隊三千は、敵艦隊中央に形成された
通路を通過すると、更に前進してキルヒアイス艦隊残存部隊と合流を果たした。
そのまま一緒になって、戦場からの撤退を開始する。すでにタンネンベルク艦
隊も離れつつあり、戦闘は完全に終結していた。


「ミッターマイヤー提督、ご無事でしたか」

 キルヒアイスは、ミッターマイヤーの「人狼(ベイオウルフ)」が「バルバ
ロッサ」の隣に並んできたところで、FTLの回線を繋ぎ、画面の中のミッタ
ーマイヤーに話しかけた。

「はっ、小官は無事ですが、しかし今回はいささかやられましたな・・・・・」

 沈痛な面持ちになるミッターマイヤー提督である。最後の最後で「疾風ウォ
ルフ」の真価を発揮し一矢報いたとはいうものの、戦闘自体は完敗というべき
結果であった。

「それは致し方ありません。タンネンベルク侯爵に、あのような卑劣な方法を
取られたのでは、やむを得ない敗戦でしょう、今回は」

 珍しく憤りを込め熱の入ったキルヒアイスの言葉である。アンネローゼの命
を楯に取った、タンネンベルク侯のやりように、キルヒアイスが好意など持つ
はずもなかった。

「全く、卑怯千万としか言いようがありませぬ。これでは手足を縛られて戦う
ことを強制されたようなもの。いかに兵力差があったとはいえ、本来ならこの
ような惨敗を喫することはない、と小官も確信します」

 ミッターマイヤーとしても、当然タンネンベルク侯のやりようには、憤りを
憶えていた。か弱き女を人質に取るばかりでなく、「男と男の勝負」であるべ
き艦隊戦闘においてまでそれを脅迫に利用するなど、一本気なミッターマイヤ
ーの性格では、到底許せるものではなかった。

「タンネンベルク侯爵に言いたい事は、お互い山ほどあるとは思いますが、そ
うも言っていられないでしょう。艦隊はこのまま星系3つ分ほど後退させオー
ディンの敵との距離を取り、ラインハルトさま、いやローエングラム侯に事態
をご報告しなければ。その上でのご指示を仰ぎましょう」

 敬礼したミッターマイヤーの姿がスクリーンから消えると、キルヒアイスは
ため息をついた。タンネンベルク侯があまりに卑怯な戦法を採ってきたとは言
うものの、味方が大損害を受けたことには変わりがない。結局「ヴァルハラ星
系外縁部会戦」と名付けられたこの戦いで、キルヒアイス・ミッターマイヤー
両艦隊は合わせて一万三千隻余りを失い、三千隻ほどを拿捕されてしまってい
た。それに対しタンネンベルク艦隊に与えた損害は、最後のミッターマイヤー
の攻撃を入れても三千隻程度である。キルヒアイスはこの他に、キフォイザー
星域でシュタイナーに四千隻の損害を与えられているので、合計で損害は一万
七千。しかもその計算には損傷艦は入っておらず、拿捕された艦はそっくりそ
のまま敵に組み込まれる可能性が高いので、実質のところ敵はほとんど損害な
しで、ローエングラム軍に二万の損害を与えた、と見てもよいところだ。全く
以て、惨敗という以外に表現のしようがない。その事を考えると、キルヒアイ
スとしては憂鬱にならざるを得ない訳である。しかも、アンネローゼが捕らえ
られたままでは、その未来もどうしようもないほど暗かった。残存二万二千の
艦隊はそれなりの規模ではあるのだが、惨敗を喫した後でもあり、その足取り
は重く、ゆっくりとしたものである。


(以下続く)

親記事No.898スレッドの返信投稿
board3 - No.943

そうですか?

投稿者:日傘
2001年03月31日(土) 14時22分

>  日傘さんも恵さんも、ジェラード・アッテンボローの父親と言う面に
> ついて肯定的なようですね。
>  ですが自分は、ジェラード個人に対する印象は、確かに魅力的な好人物と
> して写るんですが、父親としてはかなりとんでもない様に見えますね。
>  いかに信頼できる祖母がいるからといって、何年もいかなる便りを一つも よこさないし、何の知らせもないまま、勝手に結婚してるし、娘の命の危機
> を感じる事がなかったら、この人死ぬまで人生の全てを中国に捧げて、帰って
> くる事なかったんじゃないかと思いますね(笑)。
>  それに、ジェラードはヤン・タイロンのように、父親のエゴ(親族に取られるくらいなら、いかなる所へも一緒に連れて行く)を爆発させた事もないし。

 共和学園を例に出すまでも無く、基本的に田中氏の推奨する教育方針は放任主義であることは明白です。曰く、「他人に迷惑をかけずに自分で責任をとれ」と。
 確かに破天荒なキャラであることは相違ないのですが、根本的な部分ではそれほど田中世界の父親像から逸脱しているとは思えませんよ。それを言ってしまえば、形こそは違えどもヤン・ウェンリ―だって世間から見れば、相当に非常識な父親です。ああいう非常識さは田中作品では概ね善として扱われていることですし、第一娘の命の危機を感じて戻ってきたこと自体が、十分父親としての愛情が存在している何よりの証拠ではないでしょうか?
 私は風狂さんが仰られる父性の欠如よりも、むしろ自信に裏打ちされた包容力の全面的な押し出しを感じました。

>
>  どうもジェラードの娘に対する視点は、「独立した一個人」ではあっても、「娘」ではないように見受けられるんですが、どうでしょうか?

 「独立した一個人たれ」とは思っているでしょうが、「娘にあらじ」とは思ってないでしょう。

親記事No.19スレッドの返信投稿
board3 - No.944

お帰りなさい。

投稿者:双頭の虎
2001年03月31日(土) 14時55分

本編でも、こんなセリフがありましたな。(ありふれたセリフだけど)
たしか、チャン・ウー・チェン(だったと思う)が、ビュコック元帥
に言ってました。本編が手元にないので、正確な名前が分からないのですが。

 それはとにかく、田中芳樹ファンではなく、銀英伝ファンであり、
もともと興味の持てなかった創竜伝は、このサイトを知って以来、
ますます読む気を失せさせてしまい、SF上の科学的知識もない
私としては、不沈戦艦さんの作品がここでの最大の楽しみなのです。

 これからも期待してます。

親記事No.19スレッドの返信投稿
board3 - No.945

Re: 反銀英伝 大逆転! リップシュタット戦役(56)

投稿者:倉本
2001年03月31日(土) 17時34分

> 自由惑星同盟のヤン提督のように、「国家」なるものを快く思っていない、
> 人類社会全体から見て極少数派になるような「異端者」的な人間はともかく、
> そうでもない人間たちには、タンネンベルク侯の志気の鼓舞は効果があったと
> いうことだろうか。

これはちょっと余計なんじゃないですかね。
なくてもいいというか、ないほうがいいと思います。
タンネンベルク侯がヤンの思想なんて知るわけないというか。
ヤンの思想自体が少数の人にしか知られてないのに。
こういう表現は出てこないと思います。

board3 - No.946

はじめまして!

投稿者:みつ
2001年04月01日(日) 03時17分

はじめまして、「みつ」といいます。
最初に、PC初心者なのでカキコに不都合あったら申し訳ございません。
ネット初心者ではないのですが<---ゲーム機でやってました。
たまたま検索にて、こちらのHPを見つけお伺いしたしだいです。

ちなみに私は、田中氏のファンですが、他のファンの方の様に熟読するタイプではないので、内容について詳しく話しができるほどでは有りませんが、こちらのHPを興味深く拝見させて頂き始めました。
それでも、田中氏の信望者を気取っていたのですが、色々と考えさせられてしまいました。

そうとうな初歩的な質問で申し訳ないのですが、このHPは、どう読み進めたらいいのでしょうか?
一応、「管理人からのメッセージ」は1~35まで全て目を通して、「トップページの・・・」1・2までは拝見しましたが、(かなり時間を要しました・汗)そのまま下に読み進めればいいのでしょうか?(自由に読めと言われればそれまでですが・・・)なにぶん私は程度が低いので、ご容赦ください。(^-^;;
ファンページは色々とお見かけするのですが(小説・漫画・アニメ等)批評中心?のページは初めてでしたので、じっくり拝見したく思っております。

ここからが読んだ所の取り敢えずの感想です。
皆様の批評の仕方にまず感服しました。
丁寧であり自己の主張がしっかりしてらっしゃって、びっくりしました。
ただ私には、右だの左だのetc...難しい事は、よくわかりませんが、そういった見方をすると、より面白く田中氏の作品を読むことができるのかなぁ~なんて曲解して思ったりもしました。
(管理人からの・・・の皆様の意見を十分に把握して理解する事は、一通り読んだだけでは、時間がたりない様です。表現が難しくてわからない言葉もありましたので。。。。)

無知な初心者が稚拙な雑文をだらだらと申し訳ありませんでした。
ただ、かなり新鮮だったので投稿したしだいです。

PS.「この掲示板は、そんな事書くとこでない!」とかありましたら、記事の削除をしてください。

親記事No.898スレッドの返信投稿
board3 - No.947

Re: そうですか?

投稿者:風狂
2001年04月01日(日) 04時17分

日傘さん、ありがとうございます。

>  共和学園を例に出すまでも無く、基本的に田中氏の推奨する教育方針は放任主義であることは明白です。曰く、「他人に迷惑をかけずに自分で責任をとれ」と。
>  確かに破天荒なキャラであることは相違ないのですが、根本的な部分ではそれほど田中世界の父親像から逸脱しているとは思えませんよ。それを言ってしまえば、形こそは違えどもヤン・ウェンリ―だって世間から見れば、相当に非常識な父親です。ああいう非常識さは田中作品では概ね善として扱われていることですし、

 ヤン・ウェンエリーは、彼個人としては確かに非常識な人物といえるかも
しれませんが(「矛盾のひと」ですからね(笑))、父親としての彼は、かなりまとも(表現悪いのはご容赦)に思えますね。
 他人の息子は戦場で戦わせているのに、ユリアンにはそこにいって欲しくないという「父親のエゴ」、ユリアンの将来の希望と、自分の希望の違いに悩む「父親としての葛藤」、ハイネセン脱出のときに、ユリアンの帰るところをなくしてしまったことに対して負い目を感じる「父親としての気負い」など、
かなり父親としていい感じに書かれています。
 父親としてのヤンは、彼の父ヤン・タイロンと同じく自分としては例外に
はいる人物ですね。
 それと、こうした父親としてのヤンを、否定的に扱っていないところを見ると、「田中芳樹の理想の教育方針は放任主義」とは一概には言えないんじゃ
ないかとおもいますけど。
 それともうひとつ、日傘さんは、個人としての「人」と、父親としての「人」は同じものだと思ってません?自分は必ずしもそうだとは限らないと
思っているんですけど。田中作品で例をだすと、ハイドリッヒ・ラングなんか
どうでしょう。外においては悪党、家庭においてはやさしい父という、
公人としては「侮蔑、恐怖、嫌悪、否定」の対象ですけど、父親としてはそうではないという、これまた自分としては例外にはいる人物なんですけど。


>第一娘の命の危機を感じて戻ってきたこと自体が、十分父親としての愛情が存在している何よりの証拠ではないでしょうか?
>  私は風狂さんが仰られる父性の欠如よりも、むしろ自信に裏打ちされた包容力の全面的な押し出しを感じました。

 これに関しては、突っ込みがあると思ってました。
 確かに、帰ってきたという行為を見れば、父親としての愛情が十分存在
していると思えなくもないんですが、自分としては少々ずれている様な気が
するんです。
 ジェラードは義侠心あふれる人物として描かれてますよね。そしてかれは、
「知人の命の危機」でも「知人の子供の命の危機」でも、自分が必要と思えば、同じようにすっ飛んで駆けつけるでしょう。それと同じようなレベルに
感じられるんですよ。
 どうしてかというと、彼には「お前は俺の娘だ、だから俺はここにいるんだ」という、父親としての、言葉では説明できない気負いというものが、彼には感じられないんです。父親として、ヤンには感じえたものが、彼には感じられないのは寂しい気がします。
 自分としては、ジェラードという人物は、「理性という面では、父親である事を認識していても、心情という面ではまだ父親といものを確立していない人物」のように見えますね。娘に相談なく結婚して、しかもそれを知らせもしないというのは、その最たる例だと思います。
 まあ、読み切りの作品だし、そこまでの心理描写をするには紙面が足りなかった、といわれてしまえばそれまでですけど。


>  「独立した一個人たれ」とは思っているでしょうが、「娘にあらじ」とは思ってないでしょう。

 自分は、「ジェラードが娘をどう扱おうとしているのか」、という事を言ったのであって、「娘をどう思っているのか」と言った覚えはありませんよ(視点という言葉をつかったのはそのためです)。
「娘にあらじ」とは、自分も、思っていないとおもいますよ。
 日傘さん、わざと趣旨かえてません?(誤解でしたらすいません)

親記事No.19スレッドの返信投稿
board3 - No.949

あのー・・・・・・

投稿者:不沈戦艦
2001年04月01日(日) 04時25分

> > 自由惑星同盟のヤン提督のように、「国家」なるものを快く思っていない、
> > 人類社会全体から見て極少数派になるような「異端者」的な人間はともかく、
> > そうでもない人間たちには、タンネンベルク侯の志気の鼓舞は効果があったと
> > いうことだろうか。
>
> これはちょっと余計なんじゃないですかね。
> なくてもいいというか、ないほうがいいと思います。
> タンネンベルク侯がヤンの思想なんて知るわけないというか。
> ヤンの思想自体が少数の人にしか知られてないのに。
> こういう表現は出てこないと思います。


 ここは私が「作者」として「神の視点」で入れているのですが。
タンネンベルク侯に「ヤン提督がどうのこうの」と言わせている訳
じゃないですよ。「ヤン提督の思想なんか知るわけない」のは当然
ですが、別に矛盾はしていないでしょう。それにヤン提督の考え方
をなじっているつもりもありませんし。むしろ、タンネンベルクに
「軍国主義的鼓舞」をやらせているのに、銀英伝の一つのテーマで
ある、それと正反対のヤン提督の考え方に全く触れず知らん顔、す
るのもいかがなものかと思いましたので。

 それが読みとれないとは思えないのですが・・・・・ひょっとし
て倉本さんは、「自分はヤン提督の思想信条が気に入っている。そ
れを否定されたような気がして、ムカついた」のでしょうか?


 と、いうことですので、ご提言は却下させていただきますが、悪
しからずご了承を。

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board3 - No.950

Re: 創竜伝のガイドブック

投稿者:風狂
2001年04月01日(日) 07時49分

こんにちは、詩聖杜甫さん。

> この中には読者の疑問の一部がかいてある。こう思うと当然ここの疑問が出てくるんだろうが田中氏は確信的に馬鹿評論やってるかと思う


 このような本があるとは、(予想してたけど)知りませんでした。
どのようなことが書かれているのか、参考までにお聞かせ願えません?

親記事No.898スレッドの返信投稿
board3 - No.951

Re^2: わたしが田中氏から学んだ「想像力」。

投稿者:
2001年04月02日(月) 02時15分

> 恵さん。ありがとうございます。

レス遅れてごめんなさい、風狂さん。

> ヤン・タイロンやアレックス・キャゼルヌについてはともかく、リドワーン
> やミッターマイヤーについては対象外なのではないかというのが、正直なところですね。何故なら「~の対象」と書いた通り、自分は我々読者からの視点
> からではなく、父親に対する子供からの視点ということで述べさせてもらってますので。
>  つまり、対象外とした人物は、確かに魅力的な人物として描かれていますが、リドワーンの息子もミッターマイヤーの息子達も、父親にどういう感情
> を寄せているか、といった描写はないので判断の仕様がないです。個人と
> しては好人物ではあるけれど、だからといってよい父親であるとは限りません。学校の教師としては、たくさんの生徒に慕われたよい先生であっても、
> 家庭では、息子の素行不良を直すことのできない父親、といった例もありますのから。
>  個人として示す父性と、現実の父親としてのものは、同一線上にあるとは
> 限らないとおもうのですが、どうでしょう。

そうですね。リドワーン、ミッターマイヤーを例に出したのは、確かに不適切でした。書き込んですぐに、「父親」というワードだけで挙げてしまったことに自分でも気づいていたので、ここは訂正させていただきます。

>
> >No.918のレスで、田中氏の否定的イメージばかり先行させて批判すると、批判自体がご自分に返ってくると、あなたに忠告させていただいたつもりだったのですけど(^-^;)。
>
>  この点については、まだ誤解されたままのようですね。自分は
> 「作家達がこのような表現を使うのは嫌い」と言った事はありますが、
> 「このような表現を使う作家達は嫌い」と言った覚えはないですよ。
>  私は、田中芳樹に対して否定的なイメージなど持ってはいませんよ。
>  私的な感情と批判を混同する愚かさは、承知しているつもりです。

わたしは誤解などしていません。あなたが田中氏を否定的なイメージで批判しているとわたしが指摘させてもらったのは、↓の

> 田中芳樹の作品において、父親という存在が肯定的に
> 扱われたことは(一部例外を除き)、あまりないですね。
> 大抵が、侮蔑、否定、恐怖、無視、打倒の対象で、
> 尊敬と超克の対象としてえががれたことは、一度と
> してないのでは?

という発言からです。この中のどこに、各作品等からの具体的な引用と結論にいたるまでの考察があるというのですか?
堅苦しいとお思いになるかもしれませんが、先に「これは個人的な感想ですが」という断りでもない限り、わたしは上記のような発言は批判文として解釈させてもらってます。(だって、ここはそういう趣旨のサイトですから)
どうも、ずっと会話がかみ合わないのですが、わたしは田中氏に対して批判的な発言を行うときは、自分なりにけっこう神経を使って引用や考察を加えているつもりです。でも、上記のあなたの発言は、あなた自身が心の中でどう思っていようとも、かなり漠然としたイメージだけで発言されたように見えてしまいます。(日傘さんが反論の具体例を挙げるまで、それもまったくされていませんでしたし)

>  私的な感情と批判を混同する愚かさは、承知しているつもりです。

わたしもまったく同感なんですけど。でも、ここまでわかっておられるのに、かみ合わないのは「批判」の意味の解釈がわたしとは違うのでしょうか?そろそろ言い疲れてきたのですが、具体的な引用も根拠もない文章は「批判」とは呼べないとわたしは思います。「批判」されるなら、田中作品の「どこがどのようにおかしいのか」を明確にされないと。
ですが、「いや、あれは単なる疑問で批判などではないんです」とおっしゃるなら、わたしも納得します。わたし自身が誤解していたということで。

親記事No.19スレッドの返信投稿
board3 - No.952

待ってました!

投稿者:Merkatz
2001年04月02日(月) 10時03分

復帰後いきなり見せてくれますねー。
キルヒアイス・ミッターマイヤーのコンビがここまで一方的にやられるとは・・・。
やはりアンネローゼがタンネンベルクの手中にある限り、
ラインハルト陣営に勝ち目は無しか!?
この先の展開に目が離せません。

親記事No.946スレッドの返信投稿
board3 - No.953

Re: はじめまして!

投稿者:てんてんdwp
2001年04月02日(月) 14時22分

何故か誰もレスらないので、私が。
えーと、カキコに問題はないと思いますよ。


> そうとうな初歩的な質問で申し訳ないのですが、このHPは、どう読み進めたらいいのでしょうか?
> 一応、「管理人からのメッセージ」は1~35まで全て目を通して、「トップページの・・・」1・2までは拝見しましたが、(かなり時間を要しました・汗)そのまま下に読み進めればいいのでしょうか?(自由に読めと言われればそれまでですが・・・)なにぶん私は程度が低いので、ご容赦ください。(^-^;;
自由に読め、でしょうね(^^;でも、一応私の読み方ですが・・・
私は緒言、10年前、1~10を読んで、それからザベストの興味のありそうなところをつまみました。
・・・気づいたら全部読んでいました(^^;;;

てんてん dance with penguin

親記事No.946スレッドの返信投稿
board3 - No.954

Re: はじめまして!

投稿者:
2001年04月02日(月) 14時55分

> はじめまして、「みつ」といいます。

はじめまして、みつさん(^-^)♪わたしは恵と申します。

> ちなみに私は、田中氏のファンですが、他のファンの方の様に熟読するタイプではないので、内容について詳しく話しができるほどでは有りませんが、こちらのHPを興味深く拝見させて頂き始めました。
> それでも、田中氏の信望者を気取っていたのですが、色々と考えさせられてしまいました。
>
> そうとうな初歩的な質問で申し訳ないのですが、このHPは、どう読み進めたらいいのでしょうか?

ご自分でも言われるように、みつさんの好きなように読まれたらいいと思いますよ。わたしもそうでしたしね(^-^)
(わたしの場合、トップページで本編をざぁーと読んでからベストを拝見し、過去ログをダウンロードしつつ掲示板で書き込みを行うようになった、という経緯ですね。今でも初期掲示板の頃の議論を目に通したりしています)
わたしのおススメは、ベストに収録してある冒険風ライダーさんの「私の創竜伝考察シリーズ」です。これを読んで、わたしは目から鱗が落ちました!(笑)。

> ただ私には、右だの左だのetc...難しい事は、よくわかりませんが、そういった見方をすると、より面白く田中氏の作品を読むことができるのかなぁ~なんて曲解して思ったりもしました。

大丈夫ですよ、みつさん。わたしも右・左を完全に理解していない未熟者の一人ですから(^-^;;)ただ、こちらにお邪魔するようになってから自然と勉強する機会が増え、いい経験をさせていただいています。発言ができないまでも、せめて常連の方々の発言の意味ぐらいは理解できたらなぁと思ってはいるんですけどね。

> 無知な初心者が稚拙な雑文をだらだらと申し訳ありませんでした。
> ただ、かなり新鮮だったので投稿したしだいです。

稚拙だなんて、そんなことは全然ないと思います。ご丁寧で素直な文章でしたし、わたしは好感が持てました。
よかったら、今後も田中作品に関する楽しいお題を提供して下さいね(^-^)

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board3 - No.956

Re: 待ってました!

投稿者:平松重之
2001年04月02日(月) 16時30分

> 復帰後いきなり見せてくれますねー。
> この先の展開に目が離せません。

 同感です。不沈戦艦さんの筆も快調ですね。これから先の登場人物たちの運命がとても気になります。

 ところでまた細かい事なのですが、サビーネの即位式の際に呼ばれたリッテンハイム公の名前が「ヴィルヘルミ」となっていましたが、小説を読んだ限りでは「ウィルヘルム(三世)」だったと思います(アニメで「ウィルヘルミ」と表記していた所もありましたけど)。

親記事No.898スレッドの返信投稿
board3 - No.957

まずはお詫び

投稿者:風狂
2001年04月02日(月) 16時34分

> レス遅れてごめんなさい、風狂さん。

 恵さん、ありがとうございます。

 ホントに議論が噛み合ってなかったようですね。しかも原因は完全に私に有りですね(謝)。
 どうも「批判」の意味の解釈ではなく、議論の組み立て方が違ったようす。 私の議論のやり方は、まず結論のみを言い、そこに至ったまでの考察や細かい事などは、質問や反論があってから述べるというやり方なんです。まあ、自分でも、誤解を受けやすいやり方ではあると思いますが、その場での議論でしたら、そうでもないんです。そのことについて話す気が相手にないならすぐに解るし、さっさと違う話に変えることができますしね(笑)。
 しかし、掲示板での議論では、問題ありすぎのようですね。指摘されるまで気付きませんでした。申し訳ないです。
とりあえず、田中氏の作品における父親~ の話は、自分としてはまだ疑問
の段階です。明確な扱いの酷い例はあるけれど、何故そのような扱いになるのかという、明確な根拠はまだ解らないので、批判にも批評にもいけないといったところでしょうか。
 その疑問が出てきた根拠と、明確な例の詳しい話は、またあとで述べたいと思います。時間も時間ですし(現在 1:00過ぎ)。
「またか」と思わずお付き合いいただければ幸いです。

 最後に、お付き合い下さった恵さん、日傘さん、それと私の書き込みを読んでくださった皆さん、解りにくい文を書いてすいませんでした。

 気遣いのない奴のうかつさと、笑って下されば幸いです。

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