4代目掲示板過去ログ

mixiチェック

投稿ログ263 (No.4227 - No.4239)

親記事No.4213スレッドの返信投稿
board4 - No.4227

Re:反銀英伝・ラップ寝返る

投稿者:イッチー
2003年06月12日(木) 17時11分

まさかジェシカが帝国強硬派になってしまうとは思いませんでしたが、続編をご提案させていただきます。

会戦の直後に相手の指揮官の名前などがわかっているところから、帝国・同盟は互いに相手の通信を傍受していると思われます。すると、ラップが降伏した場合、その事実はすぐに同盟の知るところとなり、ラップ戦死の誤報が出ることはあり得ないと思います。そこへ、ジェシカが反戦運動を始めようものなら、ジェシカとラップが共謀していると見られると思います。ならば、ジェシカが生き残り、なおかつラップの名誉を守るには、ラップが拉致され、洗脳されたと主張して、自らは強硬派となるしか道はないと思います。この設定は北朝鮮に逃亡したとされているジェンキンスさん(曽我さんの夫)の親族を念頭に置きました。

 おちゃわんさまの続きを考えてみました。

 ヤンからクーデターの可能性を示唆されたジェシカはトリューニヒト議長にそのことを報告した。
 「なるほど。それは考えられることだな」トリューニヒトも議長に上り詰めただけあって、鋭い判断力を有している。トリューニヒトは早速、憲兵隊に命じて、クーデター計画の可能性を洗わせた。数日後、ベイ大佐という軍人が憲兵隊に密告してきた。「実は、病気療養中のアンドリュー・フォーク准将にクーデターに参加するよう誘われました」早速、フォークは憲兵隊に拘束され、厳しい取調べを受けた。フォークはあくまでも計画を自分の発案と主張したが、フォークの家を内偵していた憲兵隊にリンチが逮捕され、リンチが帝国の命を受けて、フォークに知恵を授けていたことが明らかとなった。フォークとリンチは軍法会議で死刑を宣告された。外患誘致罪ということで、フォークには精神疾患による減刑は実施されなかった。グリーンヒル大将はフォークの計画を聞かされても通報しなかったとして、退役を命じられた。
 ラップは逮捕されず、ひとまず帝国に帰還した。
 「申し訳ありません。私がヤンに計画を漏らしたために、クーデターは失敗してしまいました」ラップはラインハルトに頭を下げた。
 「よい。私もリンチやフォークのような小物にクーデターが出来るとは思っていなかった」ラインハルトは怒らなかった。「卿の力量を見込んで、別の任務を与える。今度は失敗は許されんぞ。来る帝国の内戦で同盟が門閥貴族を支援しないよう同盟軍指導部を説得せよ。ヤン・ウェンリー、ジェシカ・エドワーズ、卿の人脈をフルに活用するのだ。同盟が我らに味方するようなら、余の覇権が成就したあかつきには、帝国は同盟との共存を考えても良い。だが、もしも説得が不調に終るようだったら・・・」「終るようだったら?」「ヤン・ウェンリーを暗殺せよ」「・・・!」

 ヤンはトリューニヒトに呼ばれていた。傍らにはジェシカが控えている。
 「帝国による工作を事前に見抜いてくれてありがとう。国民への衝撃を考えて、ことは表ざたに出来ず、君をおおぴらには表彰できないが」
 「いえ。私は同盟の危険が回避されれば、それで十分です」
 「無欲だな。君は」トリューニヒトは笑った。「君を呼び出したのは他でもない。今後、帝国は同盟に対してどのような工作を仕掛けてくるか、聞きたいのだ」
 「帝国はラインハルト陣営と門閥貴族陣営の内戦に突入します。ラインハルト陣営は同盟に対して中立でいることを求めてくるでしょう」
 「同盟は帝国の内戦に突入すべきだろうか。それとも、中立であるべきだろうか?」
 「それは・・・」ヤンは議長に自らの考えを述べ始めた・・・。

つづく?

親記事No.4225スレッドの返信投稿
board4 - No.4228

Re:なんとなく

投稿者:どーもさん
2003年06月13日(金) 00時51分

>  そう、それは「竜の血」と同じ。ばりばりスポーツ系の、こういっては何だが頭が余りよろしくないだろう格闘漫画家・板垣恵介と、文化人きどりな田中君、同レベル?

「強い(偉い)理由:貴種だから」は世界中にありますが。

親記事No.4213スレッドの返信投稿
board4 - No.4229

Re:反銀英伝・ラップ寝返る

投稿者:おちゃわん
2003年06月13日(金) 02時21分

レス、ありがとうございます。

確かに第6艦隊降伏の通信は、速やかに同盟の知る所となるでしょうね、ラップの生存→捕虜になったことはジェシカもすぐ知ってしまいますね。
それから、数ヶ月してラップがラインハルトの客員幕僚になったことが伝わって、慰霊祭(戦後処理に時間がかかり、半年後に行われた)で、トリさんのラップ批判→ジェシカの弁護→強硬派路線
っていう流れなら、筋がとおりますね。
個人的にはヤン崇拝者のフレデリカより、強硬派ジェシカとの恋愛関係それに対するラップの嫉妬っていう展開のほうがリアルかな。と思いますが・・・(どうもヤンは恐妻家の方が似合う気がする、モデルの田中芳樹はどうなのでしょうか?)

つづきの設定
ヤンはラインハルト側について、内戦に干渉すべきと主張するでしょうし、フェザーンの陰謀も設定すべきですね。
イッチ-さんの展開だと、トリさんとヤンが結構いい関係なので、私的にはこのゴールデンコンビができてしまうと、同盟は楽勝してしまうんですよね。
トリさんは田中芳樹的にはひどい奴ですが、現実社会ではやはり敏腕政治家だと思いますよ。
とすると、あくまでトリさんとヤンの意見対立を作るとすると、トリさんには同盟による全銀河統一を真剣に考えてもらわなければならないなあ。
しかし、アムリッツァでの敗北を予見できる、視野を持っているトリさんが、そんな妄想を抱くかなあ?

ではでは

board4 - No.4230

一部の人達だと思いますが…

投稿者:雪子
2003年06月13日(金) 02時48分

田中芳樹を批判するのは自由なことです。
けれども、どういったわけか矛先を間違えて
「エンターテインメントとして田中芳樹を読む人達」を
糾弾しかねない勢いの内容の書き込みが他サイトの掲示板で見受けられました。

読書の楽しみ方は人それぞれなのですから、それは少々間違っていると思います。
↑の私のような発言をした人にまで矛先を向けていたのも疑問でした。

また、その書き込みの内容はこのサイトの管理人様と非常に似た意見でしたが、
管理人様の文章は抵抗なく読めるのですが、その人の書き込みは正直読むのが苦痛でした。

どのような意見や思想も、結局は主張する人の人間性が影響するのだな、と感じました。




それにしても創竜伝は現実に無理矢理リンクさせることによって
行き当たりばったりな小説になってきてしまいましたね。
プロットどころか箱書きから書き直さなければ収集がつかなくなることは目に見えます。
「箱書き小説」だった銀英伝から考えると驚くべき変化です。

とりあえず私は内容うんぬんはともかく田中芳樹の「文章の扱い方」が好きですね。

board4 - No.4231

色々な人が・・・

投稿者:おちゃわん
2003年06月13日(金) 06時03分

「エンターテイメントとしての田中芳樹を読む人達」ですら糾弾する人たちもいれば、そういう糾弾を批判する雪子さんもいるわけで・・・。

これはそれぞれのスタンスで仕方ないと思うんですよね、ただ私にも読んでいて苦痛な糾弾の書込みもあります。
そういうのは管理人がその権限で削除されればよいと思いますし、それに不満な場合にはその理由を明確にして書き込みをすればよいと思います。
このサイトでも以前、そんな争いがありました。
管理人がその手間を惜しめば、人が離れていくだけだと思います。

私は創竜伝は読んでおりませんが、みなさんがボロクソに批判するので、正直どんなものなのか読んでみようかと思います。

話を戻しますが、せめて、その糾弾した書き込みを教えてもらいたいですね、でないとなんとも言い様がありませんが・・・。

親記事No.4231スレッドの返信投稿
board4 - No.4232

Re:色々な人が・・・

投稿者:雪子
2003年06月13日(金) 06時57分

> 「エンターテイメントとしての田中芳樹を読む人達」ですら糾弾する人たちもいれば、そういう糾弾を批判する雪子さんもいるわけで・・・。

その通りです。人それぞれだと思うのです。
ただ、批判や議論とは無縁に作品を楽しみたい人達からしたら、
どんなに正しい意見も迷惑にしか感じないと思い、批判させていただきました。


> 管理人がその手間を惜しめば、人が離れていくだけだと思います。

確かに、そのとおりです。そのための管理人(主催者)ですよね。
けれど管理人任せになって掲示板マナーが失われていくのも悲しいですね。

> 話を戻しますが、せめて、その糾弾した書き込みを教えてもらいたいですね、でないとなんとも言い様がありませんが・・・。

残念ですが、私はロムっていただけですし、書き込みをした掲示板がわかれば、
書き込みをした方も特定されます。誰かが迷惑を被るかもしれないので控えさせていただきます。

もっとも、サーフィン中に見かけたのでどこのサイトだったか覚えていないというのが最大の理由です(苦笑)



田中芳樹氏の作家としての能力の低下には嘆いていますけど、
私はエンターテインメント派です。

親記事No.4213スレッドの返信投稿
board4 - No.4233

Re:反銀英伝・ラップ寝返る

投稿者:イッチー
2003年06月13日(金) 16時22分

おちゃわんさま、レスありがとうございます。

ここで、ラップが寝返ったことによる変化をまとめてみます。

同盟…ラップによる司令官射殺・第6艦隊降伏の報が伝わる→それだけで反逆罪→慰霊祭でラップ批判→ジェシカ、強硬派へ→皮肉にもジェシカがヤンとトリューニヒトの橋渡しとなる→クーデター失敗→しかし、トリューニヒトとヤンが組んでも、アムリッツア会戦で同盟軍の戦力は激減しているので、同盟の維持がやっと

帝国…ラップを同盟とのパイプとして利用出来る→しかし、クーデターは失敗→ラインハルトの覇権成就とのためには同盟との強力が不可避

フェザーン…ヤン=トリューニヒト同盟の成立によって、同盟が勢いを盛り返し、帝国・同盟均衡政策を継続

 トリューニヒトに対してヤンが説いた戦略は次の通りだった。
 「門閥貴族連合を助けるという選択肢もありますが、到底、同盟国民の支持を得られません。ある程度、進歩的な装いを持つラインハルト陣営に条件付で協力するしかありません」
 「条件付といっても、ラインハルト陣営とどうやって交渉するんだ?」
 「実は、ラインハルト陣営から密命を帯びた使者がハイネセンに来ているのです」
 「まさか・・・ラップ!?」ジェシカが叫ぶ。
 「・・・ああ。しかし、居場所を明かすことは出来ない。彼は身柄を拘束されることを恐れているからね。これが、ラインハルト陣営から示された条件です」
 「・同盟は門閥貴族連合を支援しない。
  ・見返りにラインハルト陣営が勝利した暁には、帝国は同盟の存在を認め、休戦協定を結ぶ」
 「とりあえず、これで妥協をはかるしかないか・・・」
 「しかし、これでは国内の強硬派は黙っていないでしょう」ジェシカが口を挟んだ。
 「それについては私に策があります」ヤンはある秘策を口にした。

 場末の喫茶店でヤンはラップと会った。
 「トリューニヒト議長はローエングラム候の提案を飲むそうだ」
 「そうか・・・。これで少なくとも、帝国250億の民は救われる。同盟にも平和が訪れるだろう」
 「ジェシカに会わなくていいのか」
 「・・・私には使命がある。私情は禁物だ」
 一体、どうしてこうなってしまったのだろう・・・ヤンは思った。若いころは楽しかった。あの日に戻ることは出来ないのだろうか・・・。

 「ラップからの報告だ。同盟はこちらの提案を飲むそうだ」
 「ラップをそんなに信用していいのですか?」キルヒアイスが尋ねる。
 「同盟に他に選択肢はない。帝国に再侵攻する力はないし、門閥貴族と手を組むという選択肢は国民の支持を得られない。それより、門閥貴族との戦争の準備をすすめることだ」
 ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム候はリップシュタットの盟約を結び、メルカッツ提督を強引に司令官に担ぎ上げて、ガイエスブルク要塞に立てこもった。ラインハルト陣営と門閥貴族との戦争が始まった。そこへ帝国を揺るがす衝撃が起こった。同盟軍がフェザーンに侵入したのである。

 ビュコック元帥率いる同盟宇宙艦隊は「帝国の内戦に際して、フェザーン領内の同盟居留民を保護する」という名目でフェザーンに侵入した。フェザーンに駐留した同盟艦隊は間接統治制をとり、統治は自治領主府に任せた。しかし、同盟軍は一方でフェザーン系企業が押さえている門閥貴族側の貴族の資産凍結を布告した。この布告は門閥貴族側の貴族の切り崩しに功を奏した。門閥貴族側についていた帝国高等弁務官レムシャイド伯も中立を宣言した。
 「フェザーンは自治領とはいえ、帝国の領土である。フェザーン解放を我らの手でおこなわなくてはならない!」ブラウンシュヴァイク公は味方の離反を食い止めるためにもフェザーン解放戦を提唱した。
 「わが軍にそのような余裕はありません!叛乱軍は幸い内戦への介入は避けるようですし、ローエングラム候との戦争に専念するべきです!」メルカッツは反対した。
 「臆病者に用はないわ!卿を総司令官から解任する!」ブラウンシュヴァイク公はシュターデン提督とフレーゲル男爵にフェザーン解放を命じた。
 総司令官を解任されたメルカッツは副官のシュナイダーとともにガイエスブルク要塞を離脱した。「これからどうしようか。いまさら、ローエングラム陣営にはせ参じるわけにもいくまい」「キルヒアイス提督を頼りましょう。キルヒアイス提督は温厚な人柄で知られていますし、ローエングラム候にもとりなしをしてくれるかもしれません」メルカッツはキルヒアイス艦隊のもとに向かった。

 「叛乱軍がフェザーンを占領するとは思いませんでしたな」オーベルシュタインが少々非難の気持ちをこめて、ラインハルトに話しかける。
 「叛乱軍の戦力では、フェザーンの恒久占領は不可能だ。おそらく、反乱軍ひいてはヤン・ウェンリーの狙いは、内戦終結後にフェザーンからの撤退と引き換えに、なんらかの条件を我々につきつけるのと国内の強硬派を満足させるのが目的だろうな。まあいい。フェザーンの叛乱軍の存在は今のところ、我らに有利だ。いざとなったら、キルヒアイスに排除させればいい」ラインハルトは冷静だった。

 フェザーン自治領主府では、ルビンスキーが対応に追われていた。「まさか、同盟軍が侵入してくるとは・・・。ヤン・ウェンリーの知力、恐るべしだな」
 そこへ、ルパート・ケッセルリンクが入室して来た。「長老会議はあなたの無能さにあきれています。本日、あなたは自治領主を解任されました。後任はニコラス・ボルテック氏です。私が補佐官として新自治領主を支えます。あなたにはここから出て行ってもらいましょう」
 「これで私に意趣返しをしたと思うなよ」ルビンスキーはケッセルリンクをにらみつけながら、部屋を出て行った。

 イゼルローン要塞ではヤンがテレビのニュースを見ていた。「フェザーンではアドリアン・ルビンスキー氏が自治領主を解任され、ニコラス・ボルテック氏が後任に選出されました」
 「帝国の内戦も混迷化していますし、今後宇宙はどうなるのでしょう」傍らに控えるフレデリカがつぶやく。
「平和な方向に進んで欲しいね。それしか言えないな・・・」実はヤンにも確実なことは何も言えなかったのだ。

つづく・・・?

親記事No.4192スレッドの返信投稿
board4 - No.4234

Re:読んでないです

投稿者:TAC
2003年06月13日(金) 16時30分

それ以前に、関白と摂政にはその定義からいって同時に就任出来ないんですが。
関白は成人した天皇を後見する役職。
摂政は未成年の天皇を代行する役職。
しかも、どちらも天皇となった時点で任命される役職です。

つまり現在の天皇がお隠れになった時に、新帝陛下の関白というのは可能でしょう。
でも皇太子殿下は成人しておりますので、摂政にはなれません。

また関白、摂政と同時に、太政大臣や征夷大将軍の職は兼ねられません。
というよりも関白、摂政は大元帥としての統帥権を持っているのに、
何故に征夷大将軍という一般制服軍人の最高位職になる必要があるんでしょう?
これは太政大臣も同様です。
関白になった後に、太政大臣や征夷大将軍の役職を空席にしておけば良いのに。

何だかもう、意味も知らずにただ単に偉そうな役職を並べただけですねぇ。


あと、皇室典範に関しては気にするだけ野暮でしょう。
明治以降の皇室には関白なんて役職、存在しませんし。旗もありません。
皇室典範なんて単なる法律ですから、変えてしまえば良いので。

board4 - No.4235

リライト仮想対戦 竜堂兄弟VSオーフェン

投稿者:桂兎
2003年06月14日(土) 08時32分

先にアップしたものは、内容が面白くなかったので削除しました。
今作は小説的な面白さを重視しましたので、かなり長くなっています。
これを書くために、ちょいと創竜伝を読み返したのですが、竜堂兄弟の戦闘シーンは殆ど具体的な描写が無いんですね。
殴って吹っ飛んだとか骨を折ったとか殴られるのを避けたとか、正直言いますと非常に詰まらない描写です。
オーフェンのそれが敵の観察方法から自分の行動原理、その根拠まで仔細に描かれており戦闘思想まで読み取れるのとは正反対です(同じことは同作者のエンジェル・ハウリングにも言える)。
サイドストーリーを書く前提として、竜堂兄弟は格闘技に関しては殆ど素人同然で、特別な訓練を受けていないという点と、生物としての反射行動は人間と同様であろうという点を押さえました。

オーフェンの戦闘技能に関しては、以下を読むと理解できると思います。
魔術士オーフェンはぐれ旅「我が胸で眠れ亡霊」P181~224
魔術士オーフェンはぐれ旅「我が過去を消せ暗殺者」P230~275
魔術士オーフェンはぐれ旅「我が塔に来たれ後継者」P239~252
魔術士オーフェンはぐれ旅「我が聖都を濡らせ血涙」P12~27、P167~173、P193~230
魔術士オーフェンはぐれ旅「我が絶望つつめ緑」P69~76、P117~125、P142~156
魔術士オーフェンはぐれ旅「我が庭に響け銃声」P212~226
魔術士オーフェンはぐれ旅「我が聖域に開け扉(上)」P114~127、P151~159、P242~256

親記事No.4235スレッドの返信投稿
board4 - No.4236

1.手紙を送る暗殺者

投稿者:桂兎
2003年06月14日(土) 08時34分

従姉妹の茉理が誘拐されたのはその日の夕方、夕食の材料を買ってくると言っていた彼女は、買い物の途中で何者かに攫われたらしい。
日が落ち、時計が9時を回ろうとしているのに戻ってこない彼女を心配し、家の外に出てみると、ドアには数枚の紙片を縫い止めるようにナイフが突き刺さっていた。
それだけではない。
そのナイフには、彼女が普段から身に付けているネックレスが、不吉さを演出するように血糊にまみれて絡まっていた。
紙は3枚あった。
一枚は、茉理を誘拐した旨と、取り戻したければ指定の場所に、四兄弟のなかの誰でも良いから一人で来い、来なければ人質を殺すという文。
一枚は、指定の場所を示した地図。
そして最後の一枚は、全身を紐のようなもので縛られ、掌にナイフを刺され血を流している茉理の写真だった。
四兄弟は騒然となった。以前、古田がやった、遊び半分で髪を切ってよこすような児戯ではない。
指が送られてこなかっただけましなのだろうが、それでも誘拐犯は人質を傷つけることを厭わない人間である事は確かなのである。
終は犯人の指示など関係ないからみんなで行こうと主張する。
余はそれに反対し、近くまで一緒に行ってそれから誰かが行けばいいと言う。
続は自分が代表して行くと言う。
始は悩んでいた。
この誘拐は金銭を目的としたものではない。
もし全員で行ったことがばれたらどうなるだろう。犯人は単独犯とは限らないのだから、人質が奪還されないよう手の届かないところに移してしまうか、最悪の場合、人質を殺してしまうかもしれない。
自分が行くべきなのだろうか、それとも…。
「兄さん、僕が行きますよ。兄さんは、もし犯人が接触してきたときのために残らねばなりません」
結局、続のこの主張が通る形で、続が代表して行くことになった。

親記事No.4235スレッドの返信投稿
board4 - No.4237

2.目標を定める暗殺者

投稿者:桂兎
2003年06月14日(土) 08時36分

黒の戦闘服は一見してライダースーツのように見え、現代の日本ではそれほど奇異な格好ではないが、着ている人間が美女となれば目立たないということはない。
それを避けるために、アザリーは更に薄手のコートを羽織っていた。
目標は、線は細いが日本人としては相当背が高い男。
要求どおり一人で来たようだが、用心に越したことはない。
男が指定されたビルの中に入るのを確認すると、オーフェンが仕事を終えるまで周囲の警戒を行うことにする。
白魔術を使い意識を飛ばし、ビルの中で目標を待つ義弟にその旨を伝える。
返答はないが、うなずく義弟の姿が脳裏に浮かんだ。

続はビルの階段を昇る。
改装途中のビルらしく、打ちっ放しのコンクリート、ベニヤ板が壁に貼られている。それでも床だけはちゃんとある。天井は高い、が、迂闊に跳べば確実に頭をぶつけるだろう。フロアは広い。店舗用のビルなのだろうか。
外は満月。月明かりが薄っすらとあたりを照らず。指定された場所は4階だった。
階段を昇りきると、そこは月明かりとは別に、弱いがなんとか周囲をうかがえないほどではない程度の光源が目にとまる。
それが何なのかは分からない。
フロアの隅の暗がりに、まるで幽鬼のようにたたずむ黒い影がある。
その傍には…、連れ去られた従姉妹の姿があった。
服を黒い染みで汚し、ぐったりとしているが確かに従姉妹の茉理である。
駆け寄ろうとするが、その時黒い影が口を開いた。
「依頼人の求めでね、あんたを殺しに来た」
「殺し?一体誰に。僕たちは善良な一般市民ですよ。殺されなきゃならない理由なんてありませんよ?」
黒い影が鼻で笑う。目が慣れたのか、影の人物の顔が見て取れた。
年齢は20歳を回った程度だろう。皮肉っぽい顔のつくりで目つきはやたらと悪い。肌は白いため黒人ではない、東洋人風の顔のつくりである。背はそれほど高くない。日本人平均より若干高い、という感じだろう。黒いライダースーツのようなものを身にまとっている。
「暗殺者が依頼主の名を言うと思ったか?
実のところ、あんたらを殺す機会なら幾らでもあった。だがね、ただ殺すだけじゃなく、戦って殺して欲しいんだそうだ。普通は受けない、ばかげた話だからな」
「僕と対等に戦えるとでも?なめられたものですね」
怒りに熱くなる頭をなんとかなだめながら言う。
「…一つ言っておくが、竜にはならないほうがいいぞ。その時は、俺はその娘を連れて逃げることにしている。俺もろとも娘を吹き飛ばすつもりなら構わないがな」
その言葉が戦闘開始の合図だった。

親記事No.4235スレッドの返信投稿
board4 - No.4238

3.仕事を始める暗殺者

投稿者:桂兎
2003年06月14日(土) 08時37分

続は目の前の黒ずくめの男に殴りかかる。
男の言う、依頼主とは誰なのだろう?自分たち兄弟が生きていると都合の悪い存在には違いない。
ただ、心当たりはおろか身に覚えも山ほどあるので、具体的に誰が依頼主か推測するのは不可能だ。
一つだけ言えることがある。
この暗殺者は竜堂兄弟が竜に変身できることを知っているということだ。
どのような経路でそれを知りえたのかは分からないが、フォーシスターズの代理人、レディLあたりが出所か。
とすれば、こちらの能力はかなりのところまで知られている可能性がある。
続は右腕を引き絞り、全力でパンチを放った。
暗殺者はそれを避けなかった。避けずに右足を蹴り上げ、ブーツのエッジで続の拳を打ち払った。
続は勢いを殺せず前につんのめる。
一歩二歩と地面を踏みしめ、持ち前の筋力で並の人間ならば転倒必至な状態から強引に持ち直すと、三歩目で回し蹴りを放つ。
暗殺者を捉えたように感じたが、蹴りは虚しく空を切り、回転力は殺されることのないまま壁に叩き込まれる。
ベニヤ板はひとたまりもなく叩き割られた。
暗殺者は滑るように間合いを離している。

オーフェンは考える。
目前の相手、竜堂続は以前に戦った相手に似ている。
「悪霊」ジャック・フリズビー、そしてレッド・ドラゴン種族のヘルパートを思い出させる。
ただの一撃で人体を破壊するパワー。人間には不可能なスピード。
だが、ジャックやヘルパートに比べれば、続は「危険」ではあるが「脅威」ではない。
動き、間合いは人間と同じ。レッド・ドラゴンのように変幻自在ではない。
スピードは速い、が、ジャックほど速くはない。
動物の身体というのは、その身体にふさわしい運動能力を発揮できるようにつくられているのだ。筋力が十倍になれば十倍速く走れるという訳にはいかない。十分に能力を発揮したければ、筋力に見合った走法を身に付けねばならない。さもなければ最初の一歩で宙に跳ね上がることになる。
ジャックは格闘技(と言って良いのか分からない。だがそれ以外にふさわしい単語はないだろう)に長けていた。
レッド・ドラゴンは、内臓や決まった形すらない生物だから、有骨の生物とは運動原理じたいが違う。
彼らに比べれば、続は明らかに取り組みやすい相手だった。
入手した情報によれば杖術の経験ありとのことだが、十分に修めた訳ではあるまい。無駄の多い身のこなし、隙の多い攻撃。経験は自らの血肉になってこそ意味がある。
かといって、迂闊に攻撃するのは危険すぎる。
情報によれば、竜は人を殺すに充分な腕力をそなえるという。攻撃を食らっても致命傷を受けない限り、魔術で治療することは不可能ではないし、ある程度の傷なら無視することもできるが、ほんの数秒が命に関わる戦いには、慎重に慎重を期すことが必要だ。
竜に生半可な攻撃は効かないという。打撃、刃物、銃器も駄目。
さらに、生命に危険が及んだり、気を失わせるような攻撃は、無条件に竜に変えてしまうらしい。

オーフェンは腰から肉厚大振りのナイフを抜きはなった。
続の動きが止まる隙を見計らい、右腕めがけ切りかかる。その動きには毛ほどの隙も、無駄もない。
ちぃん、とまるでガラスが打ちあったような音を立てた。
はじめから効かないつもりで切り込んだが、確かに効かない。
オーフェンは切りかかった勢いを殺さず、そのまま続の側を通り過ぎ、身体を半回転させて正対する。
ナイフは僅かにも表面を削った形跡すらない。
ナイフを鞘に収め、考える。
竜はウロコで覆われているという。
切り込んだときの音と感触からすれば金属ではない、陶器かガラスか、それに類する材質のようだ。
それで全身がくまなく覆われているとすれば、防御の点では申し分ない。
だが、それでは動きに支障をきたす。おそらくウロコの綴り方に一工夫あるに違いない。
甲羅やウロコを持つ生物の特徴を思い出し、対処法を練る。

続は暗殺者が動きを止めたのを見て、安堵した。
ナイフで切りつけられたときには一瞬驚いたが、竜のウロコは事もなく防いでくれた。
暗殺者が動きを止めたのは、攻め手を失ったためだろうか。
続にはそれを判断する材料がない。
相手の情報を持っていないだけではない。相手の動きを予測し、自らの行動の指針ともなる実戦経験が不足している。
絶対に傷を負わない身体を盾に、相手を一方的になぶる戦いなど、経験のうちには入らない。

オーフェンは右の掌を前にかざし、叫んだ。
「我は放つ光の白刃!」
光と熱の奔流が続の元に殺到し、そして炸裂した。
「効くわけがねーな。だがっ」
熱が周囲に陽炎を立てているが、構わずその中心にかがみ込んでいる人影に走り寄る。
どんな動物であれ、強烈な閃光にさらされると本能的な防御反応を取る。
こちらの動きに気づいたのだろう。反射的に右腕を振り上げている。
オーフェンはその右腕を取り、肩に膝を当て、そのまま体重を掛けてひねりあげた。
ごきん、という音と共にあっさりと肩が外される。
続は突然の痛みに驚き、オーフェンから逃れようともがいたが、オーフェンは続の体を踏み台にとし、全力で蹴り出すことで飛び離れた。
さすがに完璧な着地というわけには行かず、オーフェンは左手を床に付きつつ側転気味の前転をすることで体勢を整えた。
続は床に這いつくばっている。。
ものの数秒間の出来事だが、オーフェンは手応えを掴んでいた。
「ふん、たまげたか。関節がある以上関節技は効くよな」

続は怒りに燃えていたが、それ以上に信じられないという気持ちが強かった。
暗殺者が放った光と熱にではない。どんな手品を使ったのか、それとも超能力なのか分からないが、それはダメージにはならなかった。それよりも、関節を決められ肩を外されたこと、自分を傷つける者がいることに驚いていた。
痛みで考えがまとまらない。
突発的な事故に遭うと、人は多かれ少なかれ正気を失う。
パニックになることもあれば、茫然自失の状態になることもある。
そしてこれが竜堂兄弟の弱点である。傷を負わぬ者に傷の痛みなど分からないのだから。

オーフェンはどのようにこの戦いの決着をつけるか、考えていた。
今の自分ならば負ける気はしない。
問題は、倒す方法が限られているということだ。
天性の暗殺者レッド・ドラゴンも、熱衝撃波の直撃を食らえば吹き飛ぶ。
真正面からの熱衝撃波すら避けるのがレッド・ドラゴンだし、体の半分が吹き飛んだところで意に介さない種族だが、それでも攻撃の効果はある。
だが、今相対している相手は、熱衝撃波がまったく効いていないようだ。
事前に知った情報からすれば、この男を倒すには、一撃で致命傷を与える以外に方法は無いのだ。切ったり突いたりが効かないことは確認済みだ。
ならば、体内から破るしかない。
口で言うのは簡単だ、誰だって思いつく。が、実際にどうすればいいかは別問題である。
ある意味、これは株に似ている。株の儲け方は単純だ。安値で株を買い、高値で売ればいい。だが、実際に儲けようとすれば、時期を見抜く眼力と情報を集め処理する能力が必要だ。
単純だが困難だ。そして真理は、ときにこのようにして姿をあらわす。厄介なことだ。

オーフェンは胸のポケットから、先ほどとは異なる比較的小振りのナイフを取り出し、右手に持って構える。
続の様子を慎重に観察し、ゆっくりと間合いをはかる。
間合いを制することは勝負を制することだ。
相手は右腕が利かない。右に回り込むのは定石だが、別の意図があった。
だん、と床が鳴り、オーフェンは飛び込んだ。左拳で続の右肩を狙う。
続はそれを見て取り、身体をよじり後ろに下がることで避けようとした。痛む肩を更に狙われるのは避けたかったし、現実にその目的は達成された。が、オーフェンは始めから避けられると思っていた。第一当たったところで大したダメージにはならない。本命は右手のナイフだった。
ナイフを続の顔めがけ突きつけ、柄にあるスイッチを押す。
パチンという音と共に刀身が飛び出した。
続は顔を背け、左手で顔を覆った。目はつむっている。刀身自体は左手のウロコで弾かれたが、体勢を大きく崩していた。
顔めがけてものが飛んできたとき、とっさに目をつむってしまうのは当然の防衛反応だ。オーフェンは幼年期よりそうならないための訓練を受けているが、続はそのような訓練を受けてはいない。
オーフェンは続けざまに、左足で続の足を払う。
一連の動作には一瞬の遅滞もない。洗練された技術の結実がそこにあった。
続の身体は宙に舞った。

続には、自分の身に何が起こったのか、自分がどんな状況なのかも認識できなかった。
いや、断片的な記憶はある。暗殺者が殴りかかってきたところまでは覚えている。右肩を狙われ、身をよじって避けた。次に見たのは眼前に迫る銀色に輝くものだった。危険を感じ、とっさに顔をかばった。だが、それ以降はいったい何が起きたのか。記憶の中に暗殺者の姿はない。

続は地面に落下した。
右手が利かず、左手は顔をかばっているため、受け身の取りようがない。
オーフェンはそれによるダメージは期待していなかった。
必要なのは相手の体勢を崩すこと。そして相手に意識の空白を作ることにある。
オーフェンは魔術の構成を組み上げている。これまでに何百回と組んだ構成は、意識せずとも一瞬のうちに組み上げることができる。
オーフェンが右手を貫手の形とし続の口に突き込むのと、その言葉を叫ぶのは同時だった。
「我は放つ光の白刃!」
呪文を言い終わる前に熱衝撃波が発生し、強靱無比な竜のウロコの内部を駆けめぐった。
大木すらなぎ倒す衝撃波は竜の体組織をめちゃくちゃに引き裂き、金属を融解させる高熱は肉を焼き水分を蒸発させた。蒸発した水分が続の体を風船のように膨らませる。内圧に耐え切れず、表皮がはじけ飛ぶ。
オーフェンは既に続の口腔から右手を引き抜いていた。右手を見ると、革の手袋は完全に焼け落ちている。
魔力を極力制御したつもりだったが、それでも火傷を負っていた。
「…我は癒す、斜陽の傷痕」
火傷を魔術で癒す。オーフェンは氷のように冷静だった。
勝つべき戦いであり、問題なく勝てたのだから。

親記事No.4235スレッドの返信投稿
board4 - No.4239

4.暗殺者は仕事を終える

投稿者:桂兎
2003年06月14日(土) 08時38分

アザリーは戻ってきていた。
人質の茉理は、目を見開き口を開け、惚けたような顔をしている。
「あら?気が触れちゃったかしら」
口をぱくぱくさせているが、言葉が出てこないようだ。
息をつき、必死で言葉を紡ごうとする。
「ひ、人殺し。
何の、何の恨みがあって続さんを…」
アザリーが目を丸くした。
「あら、私たちは殺さねばならないときには殺すわ。それが魔術士だもの」
アザリーは茉理を哀れんだ目で見る。
「アザリー、あと3人いる。今度はバルトアンデルスの剣を使わせてくれ」
オーフェンが声をかけた。
「じゃあね、お嬢ちゃん。朝になれば誰かが見つけてくれるわ。私たちは3つ仕事を片づけなければならないから、そのワイヤーははずせないけど」
茉理は絶望的な表情になった。
夜明けまではまだ4時間以上ある。この二人なら、本当に従兄弟たちを皆殺しにしてしまうかもしれない。
叫べば誰かが来てくれるかも。
「あら、叫べば誰かが来てくれると思ってるみたいね。しょうがないか」
アザリーはそう言うと、茉理の瞳をのぞき込んだ。
ふっと、視野が狭まる。泥の中に引きずり込まれるような感覚だ。
「白魔術か」
「ええ、眠らせるついでに記憶をね。後でやっかいなことになりそうだし」
「ワイヤーを外し、適当なところに寝かせておこう。傷も消しておこうか」
「おわったら次ね」
「次は、長男かな?」
遠くから響くように声が遠い。眠るまいと努力するが、意識は宙を浮くかのように頼りない。
眠ってしまえば大変なことになると、自分に言い聞かせ意識を鼓舞するが、それすら難儀だ。
目の前がすっと暗くなる。
まぶたが閉じたんだ、と思った瞬間、茉理はなにも分からなくなった。

mixiチェック