- 親記事No.6105スレッドの返信投稿
- board4 - No.6400
Re:氷塊衝突を衛星等が回避する可能性について
- 投稿者:ぴぃ
- 2005年04月10日(日) 10時52分
> > 2.軌道上を自由に動く一二個の衛星は、たがいを防御、支援するよう機能する。
>
> 確かにこのように書かれているので、アルテミスの首飾りを構成する各衛星は、一応の移動能力を持っているのではないか、と推測されます。
> しかし、普通に考えると、こういった衛星が、亜光速の質量弾を回避できるはずがないのです。
>
> というのは、これらの氷塊である質量弾は、亜光速、つまりほとんど光速で飛んできているわけですから、戦艦の主砲のような光線兵器からの光線と、ほぼ同じ速度なのです。例えば、戦艦同士の光線の撃ち合いで、戦艦の移動能力を駆使して、光線の命中を避けることができる、と言っているのに等しいのですから。
>
氷塊と光線兵器は性質が異なる兵器です。
なぜなら、氷塊が攻撃開始から亜光速に達するまでに加速するための助走距離が必要なのに対して、光線兵器は攻撃したその瞬間から光速です。つまり、氷塊が亜光速となるまでには時間的余裕があるのではないでしょうか?
> ここで、氷塊を切り出した惑星からハイネセンまでの距離がどの程度はなれているのかわかりませんが、例えば太陽から地球までの距離が光速で8分程度ですから、発射時点からハイネセンへの到達までに5分や10分の時間が掛かることはありえるでしょう。
> また、野望篇第7章ⅢやⅣ、Ⅴ(ノベルズ版2巻P186、189、190)の記載からは、P186には敵の攻撃が始まった旨をクーデタ軍のオペレータがグリーンヒル大将に報告し、P190ではクーデタ軍が12個全部の衛星が破壊されたことを知っている旨の内容が記載されています。つまり、氷塊による衛星の破壊の少なくとも2、3分以上前には、その接近が探知されているように見受けられます。
> つまり、ハイネセンの属する星系内の各所に、監視衛星等が配置されていて、数分あるいはそれ以上前に、氷塊の接近を探知し、その探知情報を亜空間通信(普通の電波通信だとこの情報が届くのにも数分掛かってしまう)等の通信手段で、その情報を衛星にもたらされた、と考えられます。
>
> このように、数分間の時間的余裕があれば、あるいは、5分、10分の時間的余裕があれば、衛星に備える「相互に防御・支援するための移動能力」を駆使して、質量弾の衝突コースから、自らの衛星を外すくらいの回避運動くらいはできたいのではないか、とも思えるのです。
>
> 作中の場合は、衛星に備える兵器で破壊不能な質量弾による攻撃を受けた場合、などの対処が事前に考えられてなかったため、通常の対処、つまり、自らに接近する危険物(氷塊)に単に攻撃を仕掛ける、という対処しか行わず、数分あるいはそれ以上の時間的余裕を利用して、回避運動を行う、といった対処が行われなかったのではないか。当初から、破壊不能な質量弾による攻撃を受けた場合、というものが分かっていれば、衝突を回避することもできたのではないか。
> 少なくとも、アルテミスの首飾りの実例やケンプの要塞特攻の実例が示された後の世界では、質量弾攻撃に対する対処というものも考慮され、同じ手(亜光速の質量弾)で遠距離「光速で5分や10分はかかる距離」からの攻撃なら、衛星や要塞なら、その姿勢制御システム等を利用して、回避することができたのではないか!
> 平松さんの指摘も、恐らくこういうことだと思うのですが、これ自体に関しては、平松さんの指摘を全否定する根拠は今のところ、私には上げられません。
>
> > 要するに、アルテミスの首飾りの軍事衛星が、質量兵器を回避できるのだとしても、衛星があえて質量兵器を回避しないことで、システムの目的である危険因子の除去(この場合は、ハイネセンへの氷塊の突入阻止)を達成したとも考えられます。
>
作中では、以下のように記述されています。
/* 原作 野望篇p186下段より引用
スクリーンが作動し、衛星に向かって宇宙空間を突進する物体をとらえた。その正体が判明したとき、室内をざわめきがはしった。
「氷……」
グリーンヒル大将はうめいた。
*/
どのくらいの距離で氷塊を検知したのかや、氷塊が亜光速に達するまでの助走距離ということは解りませんが、原作からはっきりわかる事実はあります。それは、システムの哨戒有効範囲は、グリーンヒル(人間)が質量弾の正体が氷と認識できる(カメラが氷塊を追従して撮影できる)範囲内であったということです。つまり、システムが氷塊を認識して作動開始した時は亜光速ではありません。よって、偵察衛星等から情報を得て軍事衛星は回避行動をとる時間的余裕があったと判断します。
> これはないと思います。
> 氷塊がハイネセンへの衝突コースにあれば、「衛星があえて質量兵器を回避しない」行動を取ったところで、氷塊のハイネセンへの突入を阻止することはできないでしょう。第一、作品にも、>「3.氷塊が、ハイネセン本星に突入したりすることのないよう、発進角度は慎重に定めた。」という旨の記載があるのですから。
>
これに関しては、以下の事実をまず補充証拠としてあげます。
/* 原作、野望篇p190上段より引用
衝突した。
氷塊は砕けた。衛星も。氷片が乱舞し、太陽光と惑星光を反射して、めくるめく光彩を周囲の空間に投げかけた。(中略)衛星の破片などすでに区別がつかなかった。
*/
これは、亜光速の氷塊と衛星がぶつかった場合、氷塊と衛星はともに砕けて衛星軌道上を漂う、すなわち、ハイネセンに影響が無いことを示していると考えられます。
この事実から、氷塊がハイネセンへの「突入コース」であることは、氷塊がハイネセンへ「突入する」ことを意味しないと考えられます。よって、衛星が氷塊を回避しない状況に追い込んで破壊したという推論はまだ成立する余地があると考えます。
>
> ともかく、要塞が回避するかもしれない問題は、
> 質量弾を無人の自動誘導式もしくは有人誘導式(操縦者が直前まで操作)としたり、回避運動を行うであろう要塞の未来位置を予測して、多数の質量弾を同時に発射する、などすれば、ぜんぜん解決する問題であろうかと思います。
> 無人の自動誘導式を明らかに可能とする例が作中にないという反論を考慮して、ケンプの要塞特攻に見られる有人誘導式を提示しているわけでもあります。
>
私は誘導能力のある質量弾による連続的な飽和攻撃の有効性は肯定します。この点に争いはありません。また、近距離から飽和攻撃が実施されてしまえば有効な対抗策は存在しないというのも肯定します。
しかし、アルテミスの首飾りで使用した亜光速質量弾の場合は、加速する必要があり、また、作中からは無誘導の直線運動しかしていないように思えます。
このタイプの質量弾では回廊という特殊な地形が攻撃可能地点を限定する上、機雷によって更に限定したり、あらかじめゼッフル粒子を空間に充満させて待ち構えたり、偵察衛星等を用いた質量兵器輸送の察知が可能であること等から、「質量兵器の素」の攻撃可能地点への輸送作戦の妨害と攻撃阻止をヤンが行うと思い、簡単には成功しないだろうと考えました。
また、私はイゼルローン要塞には公転速度の調整機能と自転速度の制御機能があると考えています(あまりよくない例えかもしれませんが、公転軌道というレールの上を走っている電車がイゼルローン要塞で、電車はある程度速度を加減することができますが、それはレールから脱線しない範囲で制御が可能ということです)。こうした機能まで無いとするとガイエスブルク要塞が自身の要塞砲をイゼルローン要塞に一方的に撃てる位置に移動しないのか疑問になります。なお、イゼルローン要塞はアニメ版の液体金属の外壁+攻撃時に表面に浮上するトゥールハンマーではなく、原作の固体金属の外壁+固定式トゥールハンマーを想定しています。
この推測が正しいと仮定すると、要塞の予測位置と実位置との間に差が生じると思います。なぜなら、攻撃地点に帝国軍が到着したとき、攻撃に必要な初期値である要塞の位置(公転軌道上のどこにいるのかという意味です。星系内を自由に移動できるとすると明らかに「要塞は動かない」という事実に矛盾しますから)と公転速度(目標の移動速度)の観測を行い軌道計算を行うことは可能ですが、その未来予測位置は要塞側が制御できる変数に基づいて行われたものであり実際の位置とは誤差があるでしょう。
おそらく、秒(1/3600度)単位での射角精度を求められる(1秒ずれると300万km先では15km位ずれます。光速での到達時間が5分であるとすると距離は更に長くなるので精度も落ちる)中で、これは致命的なのでは? つまり、無誘導で目標に当てるのは、事実上の固定目標でなければきわめて難しいと思います。
だからこそ、無誘導の氷塊に軍事衛星の側が当たりに行った(=氷塊を回避しない)と考えた方が合理的だと考えたのですが……。
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- board4 - No.6401
Re:氷塊衝突を衛星等が回避する可能性について
- 投稿者:パンツァー
- 2005年04月10日(日) 12時44分
まず、作品に書いてある設定については、これを前提に考える必要があるのです。これを無視するようなことを書かれても困ります。
> だからこそ、無誘導の氷塊に軍事衛星の側が当たりに行った(=氷塊を回避しない)と考えた方が合理的だと考えたのですが……。
> この事実から、氷塊がハイネセンへの「突入コース」であることは、氷塊がハイネセンへ「突入する」ことを意味しないと考えられます。よって、衛星が氷塊を回避しない状況に追い込んで破壊したという推論はまだ成立する余地があると考えます。
No6395「アルテミスの首飾りについて」のぴぃさんの記載
<3.氷塊が、ハイネセン本星に突入したりすることのないよう、発進角度は慎重に定めた。>
「衛星が氷塊を回避しない状況に追い込」まれ得るのであれば、「ハイネセン本星に突入したりすることのないよう、発進角度は慎重に定め」る必要など、ないのではありませんか。衛星にさえ氷塊が命中すれば、「ハイネセン本星への突入」が避けられるのであれば、「衛星に必ず命中するように発進角度は慎重に定めた」と書かれているのが自然でしょう。
衝突の結果による氷塊や衛星の破片に関しても、ハイネセン本星に落下するようなことがあれば、十分問題だと思いますが。
作品の設定に従うなら、衛星に衝突しようがしまいが、「氷塊がハイネセン本星に突入したりすることのないよう、発進角度は慎重に定めた」とみなすのが妥当ではないでしょうか。
だいたい、「無誘導の氷塊に軍事衛星の側が当たりに行った」などということがあったのなら、クーデタ軍のオペレータが、「衛星が自ら氷塊にぶつかっていきます!」なんて金切り声を上げているはずですが、このような裏設定を裏打ちするような作品中の記載もないですよね。
> おそらく、秒(1/3600度)単位での射角精度を求められる(1秒ずれると300万km先では15km位ずれます。光速での到達時間が5分であるとすると距離は更に長くなるので精度も落ちる)中で、これは致命的なのでは? つまり、無誘導で目標に当てるのは、事実上の固定目標でなければきわめて難しいと思います。
現代の常識とやら、からしたら、まったくごもっともな指摘なんですが、「現代の常識」を前提にするのであれば、「ワープ」などといった超絶的な移動航法自体も、ありえるはずがないこと、という面白くもない結論になってしまうのですよ。
西暦でいえば28世紀くらいに相当する銀英伝の時代では、超高精度な弾道計算や未来位置予測が可能であって、姿勢制御エンジンや方向知覚センサなどなくても、ヤンがまったく命中に不安を覚えることなく、氷塊に命中させることができるだけの技術水準があった、としか考えよう
がないのです。作品を前提とするのであれば。
> しかし、アルテミスの首飾りで使用した亜光速質量弾の場合は、加速する必要があり、また、作中からは無誘導の直線運動しかしていないように思えます。
「亜光速質量弾の場合は、加速する必要があり」というのは、亜光速を発生させるためには加速が必要である、という意味においてはそのとおりですが、別に質量弾攻撃において、亜光速は必須要件ではないとおもいますけど。
ケンプの要塞特攻は、亜光速などでは全然ありませんよ。また、ケンプの要塞特攻は、有人誘導式の質量弾の実例でもありますね。
なぜ、質量弾攻撃を、「アルテミスの首飾りで使用した亜光速質量弾」に限定するのか、理解に苦しみますが。
> このタイプの質量弾では回廊という特殊な地形が攻撃可能地点を限定する上、機雷によって更に限定したり、あらかじめゼッフル粒子を空間に充満させて待ち構えたり、偵察衛星等を用いた質量兵器輸送の察知が可能であること等から、「質量兵器の素」の攻撃可能地点への輸送作戦の妨害と攻撃阻止をヤンが行うと思い、簡単には成功しないだろうと考えました。
No6367「質量弾攻撃のメリットについて」の記載
<要塞の駐留艦隊ももちろん戦力ですが、これにしたところで、敵の艦隊戦力によって相殺されてしまうことも明らかでしょう。戦闘機群に護衛された爆撃機を迎撃しようとしても、迎撃戦闘機の数が敵の護衛戦闘機の数よりも数的に不利であれば、迎撃が不可能となる道理です。>
<「要塞には一個艦隊もの戦力が存在しており」
質量弾攻撃が迎撃されて成立しない、ということですね。
これも、当然上で述べているように、迎撃側の艦船の数量よりも、攻撃側の艦船の数量の方が多いならば、当然、迎撃艦隊が攻撃側の艦隊に拘束されて、有効な迎撃ができなくなるだけの話です。>
No6367で上の引用のように書きましたが、数的に劣勢なヤン艦隊の迎撃は、別にラインハルトの艦隊にとっての障害にはならないでしょう。
また、ヤンの方で、質量弾攻撃の阻止、のために兵力を割く、もしくは主兵力を差し向ける必要性が生じるのであれば、戦場の決定権をラインハルトに譲り渡してしまうことになります。わざわざ、質量弾に随伴するラインハルトの艦隊の待ち受ける地点へ、ヤンが艦隊を率いて出向く必要があるわけですから。「待ち伏せ」するという有利点すら、ヤンは放棄させられてしまうことになります。
ゼッフル粒子の散布は、逆手に取られたら、事前に引火されて、無駄に消費されるだけの結果になると思いますね。
また、質量弾攻撃のメリットは、人命と艦船の無駄な消費を避けることができる点にあります。第一次攻撃用質量弾が敵の見事な迎撃にあって全滅することがあっても、1個艦隊が壊滅する、などの場合と比べたら、無視できるほど軽微な損害なのです。ビッテンフェルトやファーレンハイトの艦隊が大打撃を受け、人命および艦船に著しい損害を受けたようなことに比べれば、質量弾の100や200が破壊されることなど、どうという損害ではないでしょう。
帝国軍に要塞攻略の手数(攻撃方法)が増えるという点からみるだけでも、ヤンがそれに対して対処する必要を迫られる点だけでも、質量弾攻撃には大きな効果があると思いますね。「回廊の戦い」でも、質量弾を帝国軍が動員していたなら、それを撃滅するために、ヤン艦隊が一部の艦隊兵力を割いて質量弾攻撃を強いられたり、帝国艦隊の包囲網を解く結果になったりして、質量弾攻撃はとりあえず防げたが、ヤン艦隊は敵艦隊に側背を曝す結果となって、艦隊戦で壊滅してしまった、なんてことになるかもしれません。ヤン艦隊が壊滅すれば、そのまま降伏を迫るもよし、次の質量弾を用意して、それから要塞攻撃を始めるもよし、ということになるでしょう。
回廊に敷設された機雷源の撤去方法についても、他投稿で述べたので省略します。
それから、結局のところ、議論の目的は、どこにあるのでしょうか?
質量弾攻撃の否定が目的であるならば、その線に限って議論を展開してもらえると、私の方も考慮する要素が少なくてありがたいのですが。
- 親記事No.6105スレッドの返信投稿
- board4 - No.6404
長征二百三十万光年(それ以上も可)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2005年04月12日(火) 13時46分
>もちろん、この構想から言えば、たとえその「内政自治権を有する民主共和政の一惑星」が帝国領内に
>あったとしても何ら問題にはなりません。重要なのは「民主共和政体を有する惑星の存在」それ自体に
>あるのであって、場所など全く問うてはいないのですから。
そうだとすると、何故「現在(もちろん、銀英伝世界の話です)の人類の版図」にこだわる必要があるのでしょうか?「場所は旧同盟領だろうと帝国領だろうとどこでもいいし、民主主義政体を構成する市民もイゼルローンの人間が居ればいい」というのなら、「現在の人類の版図」に粘着する必要性なんざ、どこにもないじゃないですか。むしろ、取引がなったとして当然敵対的である帝国軍にいつ攻撃を受けるか分からない(科学の進歩やら何やらで、イゼルローン移動要塞を無力化できるようになったら、即座に発生する事態です)のですから、帝国軍の手の届かないところに逃げるべきなのでは。「さっさと逃げ出して第二次長征一万光年に入れ」としか言いようがないですね。「旧同盟領の一部領有を目指している」のなら、「現在の人類の版図」に「粘着」する必要性はありますけど。「帝国領攻撃」を行うのなら、「帝国領攻撃中止と引き替えの旧同盟領の一部領有」を目指しての行動でなければ、意味がないと思います。
>ヤン陣営が帝国を攻撃しなければならない理由は2つあります。ひとつは、帝国側が第二の長征一万光年
>を敢行するヤン陣営に徹底的な追撃をかけてくる可能性であり、もうひとつは将来的な脅威です。
ひょっとして、「第二次長征一万光年」というのを、十光年か百光年逃げる程度と考えていませんか?
例えばですが「長征二百三十万光年」に出たらどうでしょう。つまり、アンドロメダ星雲まで一気に逃げるということです。「無限の自給自足能力」を持っている「移動要塞」ならそれが可能でしょ。でも、ヤン一党が「立てこもったイゼルローンを移動要塞化して直ぐに逃げ出した場合」の時点では、帝国軍には移動要塞は存在しない訳です。「無限の自給自足能力」をフルに発揮して、二百三十万光年を逃げる移動要塞を、艦隊戦力で追撃できるなんてことがある訳がないでしょう。さすがに「補給切れ」で追撃不能になるのが関の山ですよ。それに、まさか「イゼルローン移動要塞なら、帝国領内(宇宙の広大さに比べれば、限られたエリアでしかないです)を神出鬼没に行動して、延々と攻撃し続けられる」と主張しているのと同じ人が「イゼルローン移動要塞が追撃して来る帝国軍艦隊を撒いて、一時的にでも姿を消す」ことができない、とは主張しませんよね?一時的にでも撒いてしまえばもうこっちのもんです。一気に銀河系の外を目指し、アンドロメダ星雲まで一直線に逃げれば、二度と捕捉される可能性なんざありませんよ。それに、銀河帝国側も一体どこに逃げてしまったのかも分からない。仮に「アンドロメダ星雲に逃げたかも知れない」と気付いて、後々に移動要塞を建造してアンドロメダ星雲まで探索に行くとして、銀河系と同レベルの星雲の一千億の星々の中から、どうやって「逃げたヤン一党」を発見できるというのでしょうか?それに、何ならアンドロメダ星雲を通り過ぎて、更に他の星雲に逃げてもいいんですよ。「無限の自給自足能力」がある「移動要塞」なんですから。長征二百三十万光年どころか、一千万光年でも一億光年でも「その気になれば」可能な筈です。
ということで、「無限の自給自足能力」を持つ移動要塞が、逃げる距離を飛躍的に伸ばせば、帝国軍がいくら探し回ったところで、捕捉される可能性なんか全くありません。「将来的な脅威」はゼロです。ヤン一党側も「ハイネセンは一万光年だったから百数十年で銀河帝国に捕捉されてしまった。その距離を百倍以上に伸ばせば、百年どころか一万年以上捕捉される可能性はない」と、簡単に「歴史の経験則」で判断できますよ。
>これを利用して、第二の長征一万光年を敢行するヤンに対して、帝国側もまた同じことを行って「永久に」
>追撃をかけてくる可能性も否定できないわけです。
以上の理由から「長征二百三十万光年(あるいはそれ以上)」をヤン一党が実行した場合、帝国側が追撃するのはほとんど不可能なので、そんな危険は無視できます。後からヤン一党を捜索する帝国軍の移動要塞は、何の手がかりもないままに、延々と広大な宇宙をさすらう羽目になりそうですね。
- 親記事No.6105スレッドの返信投稿
- board4 - No.6407
Re6404:銀英伝世界における宇宙航行事情の問題
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2005年04月17日(日) 13時19分
<例えばですが「長征二百三十万光年」に出たらどうでしょう。つまり、アンドロメダ星雲まで一気に逃げるということです。「無限の自給自足能力」を持っている「移動要塞」ならそれが可能でしょ。でも、ヤン一党が「立てこもったイゼルローンを移動要塞化して直ぐに逃げ出した場合」の時点では、帝国軍には移動要塞は存在しない訳です。「無限の自給自足能力」をフルに発揮して、二百三十万光年を逃げる移動要塞を、艦隊戦力で追撃できるなんてことがある訳がないでしょう。さすがに「補給切れ」で追撃不能になるのが関の山ですよ。それに、まさか「イゼルローン移動要塞なら、帝国領内(宇宙の広大さに比べれば、限られたエリアでしかないです)を神出鬼没に行動して、延々と攻撃し続けられる」と主張しているのと同じ人が「イゼルローン移動要塞が追撃して来る帝国軍艦隊を撒いて、一時的にでも姿を消す」ことができない、とは主張しませんよね?一時的にでも撒いてしまえばもうこっちのもんです。一気に銀河系の外を目指し、アンドロメダ星雲まで一直線に逃げれば、二度と捕捉される可能性なんざありませんよ。それに、銀河帝国側も一体どこに逃げてしまったのかも分からない。仮に「アンドロメダ星雲に逃げたかも知れない」と気付いて、後々に移動要塞を建造してアンドロメダ星雲まで探索に行くとして、銀河系と同レベルの星雲の一千億の星々の中から、どうやって「逃げたヤン一党」を発見できるというのでしょうか?それに、何ならアンドロメダ星雲を通り過ぎて、更に他の星雲に逃げてもいいんですよ。「無限の自給自足能力」がある「移動要塞」なんですから。長征二百三十万光年どころか、一千万光年でも一億光年でも「その気になれば」可能な筈です。>
確かに「無限の自給自足能力」を持つ移動要塞をもってすれば、「長征二百三十万光年」だろうが一千万~一億光年だろうが、文字通り永遠に逃げ続けることも可能でしょう。ただし、それは「安全性と宇宙航行上の障害を無視しても良い」という前提付きで良いのであれば、の話ですけど。
そもそも、「第二次長征一万光年」を実行する際は、「第一次長征一万光年」もそうだったように、これまで誰ひとりとして踏破したことがなく、当然のことながら航路図や航法データが何も存在しない「未知の宇宙空間」を航行することになるのですよね? そういう世界に足を踏み出すというのに、銀英伝本編で展開されているような一般的な宇宙航行のような感覚で「長征」が行えるとはとても言えたものではないでしょう。
銀英伝世界における宇宙航行で「整備された航路図」や「航法データ」がいかに重要であるかについては、以下の引用箇所に記載されています↓
銀英伝外伝2巻 P146下段~P147上段
<船団の位置や航路に関するデータは、航法士官が集中管理しているのだから、もしそのデータがまちがったものだとしたら、船団はどんどんまちがった方向へ行ってしまうことになる。
「でも、あまり航路を逸脱するようだったら、どこかの航路管制センターが気づいて警告するんじゃありませんか?」
「うん、だけど船団のほうから、あらかじめ、予定航路変更の事前報告がはいっていたら、いちいち警告はしないんじゃないかな」
たとえば、船団司令部に帝国軍のスパイが潜入していて、わざとまちがった航法データをコンピュータに入れつづけたら、そして、航路管制センターのほうへ予定変更の情報を送りこんでいたら――船団ごとまるまる誘拐できるのではないか。まあ、長時間はむりだとしても、一週間か一〇日くらいは。
「話としてはおもしろいが、事実だったらちょっとたまらんなあ」
リンツ中佐が言ったが、じつはよく似た事実が過去にあるのだ。七〇年前、帝国の猛将バルドゥング提督に苦しめられた同盟軍が、一計を案じて、彼を誘拐した、そのころ統合作戦本部の情報参謀だったマカドゥー大佐という人が、二年がかりで計画をたて、バルドゥング提督の旗艦の航法士官を買収したのだ。前線視察に出たバルドゥング提督は、いつのまにか同盟軍の勢力宙域にはいりこんでしまい、どうすることもできず、つかまってしまった。八年後、捕虜交換式の直前に収容所内でなくなったが、事故か自殺か、はっきりしない。
いまでは回廊にイゼルローン要塞があるから、いつのまにか帝国領にはいりこんでいるはずもないけど、考えてみればこわい話だ。航法計算でしか自分の位置が分からないのだから。そしてその計算が、もしちがっていたとしたら……。>
銀英伝外伝2巻 P149上段~下段
<ぼくたちは、いまさら言うまでもないけど、パルス・ワープ航法でハイネセンへ向かっている。ところが、航法コンピューターのデータをぬきうちで再検査したところ、このままの進路をたもつと、昨日の夕食時には、惑星のない恒星マズダクに突入することになっていたという。
大あわてで航法コンピューターの回路を切って、船団はどうにかマズダクから六〇〇〇万キロの宙域にとどまったのだという。たった二〇〇光秒である。
助かりはしたものの、ぼくたちはハイネセンから一三〇〇光年も離れた方角へ来てしまっていたのだ。航路を算定しなおして、ハイネセンへ到着するのに、最低でも一週間はかかるという。陰謀だか事故だか、いまの段階ではわからないけど、とにかく、たいへんなことだ。>
銀英伝外伝2巻 P157上段
<とにかく、前の日から事態は全然よくなっていないのだった。正しい航法データを、ドールトン大尉の手で破棄されてしまったら、船団は外部に救助を求めないかぎり、この宙域で動きがとれなくなる。ワープしたとたんに、今度こそどこかの恒星のなかに飛びこんでしまうかもしれないのだ。>
これらの記述を読めば分かるように、銀英伝世界では「すでに航路図が整備されている【既知の】宇宙空間」においてさえ、「正しい航法データ」がなければまともな宇宙航行すらできない、いやそれどころか自分達の居場所を把握することさえも満足に行えなくなることが明示されています。
ましてや「第二次長征一万光年」は、銀英伝世界の距離感から見てさえ途方もなく長大な距離を持つことになるであろう「全く未知の宇宙空間」を、それも相当な長期間にわたって航行し続けることになるわけでしょう? そこで遭難などしたくないのであれば、進む先の入念な航路調査を行い、精緻な航路データを作成しつつ、安全を確認しながら慎重に航行する、といった手順を踏む必要が当然生じることになるわけです。
しかも、もし進行先の航路上に「宇宙の墓場(サルガッソ・スペース)」のような障害が存在した場合、これまた「第一次長征一万光年」がそうだったように、たとえそれが(銀英伝世界では比較的短い距離と目されているであろう)数十~数百光年程度の距離であったとしても、そこを通過ないしは迂回するだけで数十年もの歳月がかかる、下手をすれば遭難する危険性が発生することすら考えられます。「安全性」という観点から考えれば、未知の宇宙空間での航行はいくらでも慎重に慎重を期す必要性があるわけで、航行速度も航行距離も、すくなくとも「すでに航路図が整備されている既知の宇宙空間」を進むほどのスコアを叩き出すことはほとんど不可能に近いと言えるのです。
そういう状況では、当然「長征」も著しい鈍行速度でしか進むことができなくなるわけで、そうなれば帝国軍が移動要塞を(たとえ一時的に撒かれたとしても)捕捉する可能性は決して無視できないものとならざるをえないでしょうね。何しろ、常に移動を行える「移動要塞を使ったゲリラ戦略」とは異なり、「全く未知の宇宙空間」の事前調査を行うとなれば、そのために長期間一箇所に留まらなければならないケースも当然想定されるわけですし、すくなくとも最初の段階ではそこは「既知の宇宙空間」となるのですから、帝国側の捕捉の網に引っかかる可能性はそれなりに存在するのです。かといって準備不足のまま「長征」など行おうものなら、それこそ原作でも書かれているように「ワープしたとたんに、どこかの恒星のなかに飛びこんでしまうかもしれない」などという笑えない結末を迎える危険性すら存在するわけで、最初はかなりジレンマを抱え込まざるをえないでしょうね。
前門の「未知の宇宙空間」と後門の「敵の執拗な探索および追撃」、銀英伝世界の宇宙航行事情では、片方だけならばともかく、両方を一度に相手するのはかなりきつくはないでしょうか?
<ということで、「無限の自給自足能力」を持つ移動要塞が、逃げる距離を飛躍的に伸ばせば、帝国軍がいくら探し回ったところで、捕捉される可能性なんか全くありません。「将来的な脅威」はゼロです。ヤン一党側も「ハイネセンは一万光年だったから百数十年で銀河帝国に捕捉されてしまった。その距離を百倍以上に伸ばせば、百年どころか一万年以上捕捉される可能性はない」と、簡単に「歴史の経験則」で判断できますよ。>
そんな「歴史の経験則」など、銀英伝世界には存在しえませんね。というのも、銀英伝世界では、時代が下るにしたがってワープ航行技術および跳躍距離が長くなっていることが明示されているからです。
たとえば、銀英伝の作中には、銀河連邦成立前の旧地球時代における恒星間航行について以下のように書かれている箇所が存在します↓
銀英伝6巻 P16下段
<恒星間航行は技術と距離の壁を前にして、無限の発展という甘美な夢をしぼませかけていた。二四八〇年に、人類の生存圏は地球を中心とする半径六〇光年の球体をなしていた。二五三〇年には半径八四光年、二五八〇年には半径九一光年、二六三〇年には半径九四光年で、停滞の状況は明らかだった。>
旧地球時代におけるワープ航行技術による人類の生存圏が上のような状況なのに対して、銀河連邦時代は一気に数千光年単位まで生存圏を拡大し、そして銀英伝本編の時代には銀河系全体の5分の1(1万光年以上?)までを人類の支配圏とするまでに至っているわけです(銀英伝1巻 P152)。旧地球時代と銀英伝本編の時代とでは、ワープ航行技術について、単純に光年単位で比較すると実に2桁レベルもの格差が存在しているわけです。
銀英伝世界におけるこの事例を基にした「歴史の経験則」から考えれば、距離を100倍に伸ばしても、時間が必ずしもそれに正比例するわけでないことは自明の理というものでしょう。上の例を基に考えれば、4000~6000光年を航行するだけで20日~1ヶ月近くもかかる銀英伝本編のワープ航行技術をはるかに凌ぐ、たとえば1万光年を1日で走破できるワープ航行技術が将来帝国側に出現して、せっかく数十年かけてちまちま稼いだ距離を一気に詰められてしまう、という事態すら想定されるわけです。これは「長征一万光年」のような「【数十年単位のスパンで】遂行される宇宙航行」であれば、当然想定されるべき話ですし、単純に距離を稼ぎさえすれば良い、ということにはならないのですよ。
また、上でも述べたことですが、銀英伝世界では「整備された航路図」および「正しい航法データ」がなければ「ワープしたとたんに、どこかの恒星のなかに飛びこんでしまうかもしれない」と言われるくらいにワープ自体が安全に行えなくなってしまう宇宙航行事情が存在するのですから、「未知の宇宙空間」を航行する際にはワープを使用するだけでも多大な時間と手間がかかるわけで、そんな状況で「数百万光年を長征する」となると、下手すれば数百年~数千年以上もの時間を必要とせざるをえない可能性すらも考えられます。実際、銀英伝の「長征一万光年」でさえも50年以上もの時間を要しているわけですし、長征の距離を単純に延ばす、というのは、ワープ航行技術の将来的な発展の可能性と併せ、正直「割に合う」「現実的な」選択肢とはとても言えたものではないでしょうね。
「第二次長征一万光年」には、「【無限の自給自足能力】を持つ移動要塞」という要素とは全く別に存在する、上記のような「銀英伝特有の宇宙航行事情」をも同時に考慮しなければならないわけで、だからこそ「帝国側の追撃、および将来発生するであろう邂逅の可能性をいかにしてかわすか」という方策が必要不可欠になると私は考えるのですが、どうでしょうか。
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- board4 - No.6411
新人です
- 投稿者:MOH
- 2005年04月19日(火) 16時26分
はじめまして。MOHと申します。はじめて書き込みさせていただきます。
少し前にこのサイトを発見しました。が、皆さんの熱心な議論はその文書量の多さに圧倒され、ほとんど読んでいません。(これから少しずつ読んでいきます)
さて今まで読んだ中で少し無視できないように感じたことがありましたので、少し発言させていただきます。もし以前に同じ点を指摘した方がいらっしゃいましたら、お手数ですがその問いに対する回答の位置を示していただけるでしょうか。
一つ目はFAQのA1に対するものです。
>当サイトでは、現在の創竜伝や薬師寺シリーズ等の現代物小説に見ら>れるような「作家個人のストレス解消小説」にすぎない駄作品を書き>散らしている田中芳樹が、自らの作品および作中の「評論もどきの自>己主張」に対してきちんとした「作家としての責任」を取り、かつて>の銀英伝を執筆していた頃の田中芳樹に戻ってくれることを願い、批>判活動を行っています。
前半に関して言うべきは特にありません。創竜伝や薬師寺シリーズは軽快や痛快ではあっても(その辺が結構好きなのですが)銀英伝に見られるような厚みや深みは確かにありません。また、発言に対して責任をとるという点にも異議をさしはさむつもりはありません。
しかし、最後の、以前の田中芳樹に戻ってくれることを願い、という点に関しては疑問です。作家としてのスタンスや作風を決めるのは他ならない作家自身です。間違っても読者が「この作家はこうあるべき」と決めていいものではないでしょう。作風の変化に関して決定権があるのは作家本人だけです。少しきつい表現を使えば、この一文は不遜であるとさえ感じます。
あくまでも作家と読者、発信者と受信者である以上、読者の発言には越えてはいけない一線というものがあるのではないでしょうか。
これと関連して二つ目です。
コンテンツの一つに田中作品タイムカウントというのがありました。初版発行年などがまとまっていて参考にはなるのですが、
>田中芳樹の遅筆ぶりを再確認したいしたい方はこちらをどうぞ
というコメントが気になりました。
前述のように作者に対して読者がとやかく言ってはいけない一線というものにこれも含まれると思います。
もちろん、作者に早く書いて欲しいと頼むことがいけないというのではなく、それを皮肉の種にするべきではないと言いたいのです。
僕も少し小説を書きます。その経験からですが、書けない時はどうしても書けないものです。無理に書いても3行書いて2行消し、10行書いても翌日全削除ということを繰り返すだけです。
無論、田中芳樹のようなベテランならそんなことはない、書けるのに書かない、というのであれば当然批判の対象になりますが、書けないから書かないのかどうかが分からない以上、安易に批判したり、皮肉の種にするべきではないと思います。
それと、タイムカウントを見ていて気付いたのですが、確か銀英伝の外電に「ダゴン星域会戦」があったような気がします。うろ覚えなので間違いだったら申し訳ないのですが、ハードカバーで発行されたあと、徳間デュアル文庫版に収録されていた記憶があります。こちらでも調べてみますが、確認お願いいたしします。
以上、初書き込みで長々と失礼しました。