-
- board4 - No.8164
移動要塞を使わなかった理由
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月17日(日) 06時31分
ラインハルトもそうでしたが帝国の何代目かの皇帝も同盟遠征による補給にだいぶ苦労しています。もし彼らが補給物資の現地生産に目を付け星間ガスさえあれば現地生産を可能にする要塞の有効性に気付いていたと思いますがなぜ彼らは使わなかったのか。
1.統一後に自分すら脅かしかねない危険素材なので有効性が解かっていても使えない(ラインハルトがガイエスブルクをボロクソに貶していた事を考えると危険性を理解していたかも)
2.単に気付いていなかった。気付いていれば迷わず使い戦略に革命を起した(移動要塞を中核にする艦隊運用)
3.予算面からガイエスブルク改造がやっとで移動を前提にした要塞を作れなかった(ラグナロックでは数を優先し耐久年数を過ぎた艦を多用していた!?)
- 親記事No.8164スレッドの返信投稿
- board4 - No.8165
Re8164:要塞建造の時間と手間
- 投稿者:冒険風ライダー(管理人)
- 2009年05月17日(日) 08時22分
<ラインハルトもそうでしたが帝国の何代目かの皇帝も同盟遠征による補給にだいぶ苦労しています。もし彼らが補給物資の現地生産に目を付け星間ガスさえあれば現地生産を可能にする要塞の有効性に気付いていたと思いますがなぜ彼らは使わなかったのか。>
現地生産のために現地で要塞を建造する、ということに問題があったのではありませんかね? 要塞の建造に4~5年ほどの時間と多大なカネがかかることは銀英伝外伝2巻P41に明示されていますし、敵地に要塞を建造する途中で敵からの攻撃や妨害を受けることだってありえるわけですから。
そして、建造済みの要塞を現地まで移動させる、という発想は、銀英伝ではシャフトが発案するまで存在しなかったようですので、それはそもそも考えつかなかった、とするのが正しいのでは?
ただ、「じゃあイオン・ファゼカス号および長征一万光年の事蹟を、何故帝国側は参考にしなかったのか?」と言われると、私も上手い解答が思い浮かばないのですが(^^;)。
- 親記事No.8164スレッドの返信投稿
- board4 - No.8166
Re:移動要塞を使わなかった理由
- 投稿者:S.K
- 2009年05月18日(月) 12時39分
> ラインハルトもそうでしたが帝国の何代目かの皇帝も同盟遠征による補給にだいぶ苦労しています。もし彼らが補給物資の現地生産に目を付け星間ガスさえあれば現地生産を可能にする要塞の有効性に気付いていたと思いますがなぜ彼らは使わなかったのか。
とは言うものの普通に戦って同盟は一度エル・ファシルを失陥
していますし、ラインハルトにした所でアスターテで同盟宇宙艦隊
の四分の一を壊滅させ、ラグナロック遠征にせよ、ヤン曰く
「『ヤン・ウェンリーを艦隊戦で打倒する』というほど自分を
意識してくれていなければ、ハイネセンや他の有人惑星を潰されて
同盟の敗北が確定する」とヴァーミリオン会戦までの補給妨害が
博打である事を認めています。
ゴールデンバウム王朝の歴代貴族や軍人の見通しが甘すぎるのは
あるにしても、0から建国した同盟は帝国より400年分の国力差が
あるのは事実であり、意識してかはともかく普通の戦闘をして
いれば体力勝ちできる見込みも高く、実際イゼルローンがヤンの
手で陥落した直後の同盟の国情はレベロが指摘するとおり長年の
総力戦体制で破綻寸前になっていましたし、過剰な危機意識で
『移動要塞』『新要塞建築』という投機的戦略に走る必要も
なかったのではないかと思います。
3巻におけるガイエスブルグ移動要塞というのは、決定的に同盟
との総戦力差が開いて一応国内が安定したから、という余裕で
打った布石という事になるでしょう。
- 親記事No.8164スレッドの返信投稿
- board4 - No.8167
Re:移動要塞を使わなかった理由
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月20日(水) 13時37分
戦う前から同盟の体力は限界で勝負はすでに付いて、あえて移動要塞を作る必要は無かった。
ガイエスブルクを作ったのは新政権の象徴で戦略的に運用する事をあまり考えてはいなかったと・・・なるほど。
しかし、フェザーン方面からガイエスブルクと何万隻かの艦隊を同盟に侵入させればラグナロックを発動するまでも無く同盟に勝てたと思います。これはガイエスブルク就航時にフェザーン通過作戦の構想が纏まっておらず、下策とも言える要塞に要塞をぶつける運用になってしまっただけかもしれませんね。
-
- board4 - No.8168
ラインハルトの費用捻出
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月20日(水) 14時06分
長く続く戦争で帝国は政治を司る貴族階級の人材は枯渇し、経済格差は拡大し同盟ほどではないが閉塞感と疲労感がありました。
同盟は帝国より深刻で、帝国では貴族階級に限られていた人材の枯渇が国全体に及び、長期に渡る戦時体制で経済は破綻寸前と戦争を続けるどころではありません。
ラインハルトのラグナロック、ガイエスブルク建造、社会基盤の再整備を考えると敵対貴族から巻き上げた財産だけでは到底足りないと思います。しかし、ラインハルトの膝元ではそれらのための増税の様子がないどこからその費用を捻出したのかいくつか考えて見ました。
1.ソ連のスターリンは地方から帝政時代以上の苛烈な収奪で大量の餓死者を出しながらも急速な軍事力強化を実現した。同盟が帝国量に大規模侵攻を仕掛けた時に辺境住民から焦土戦術のため住民から巻き上げたとなっているがラインハルト政権時代、辺境は何処も同じ有様だった。
2.同盟との密貿易で辺境はかなり裕福、焦土戦術で巻き上げた分で足りた
3.反ラインハルト派の貴族は自領の経営はしっかりやっていて、新政権の要求に応えるだけの税収があった(銀英を見る限り何も考えずに巻き上げていただけで富国強兵って美味しい?って感じだったので考え難い)
4.改革を行ったのは貴族の個人資産で賄える範囲だけだった
5.足りない分はフェザーン債権で賄った(フェザーン侵攻作戦は債権を刷れなくなった新政権の苦肉の策)
- 親記事No.8164スレッドの返信投稿
- board4 - No.8169
Re:移動要塞を使わなかった理由
- 投稿者:S.K
- 2009年05月20日(水) 15時43分
> しかし、フェザーン方面からガイエスブルクと何万隻かの艦隊を同盟に侵入させればラグナロックを発動するまでも無く同盟に勝てたと思います。これはガイエスブルク就航時にフェザーン通過作戦の構想が纏まっておらず、下策とも言える要塞に要塞をぶつける運用になってしまっただけかもしれませんね。
ラインハルトがラグナロック作戦に踏み切れたのは、フェザーン
=地球教枢軸による「ゴールデンバウム王朝残党の皇帝誘拐→
同盟での亡命政権樹立」のおかげで「折角の平和を乱す賊をこの際
一挙に討伐する。フェザーンも協力を申し出たからには回廊の通行
権と同盟の星図を渡す用意はあるんだろうな?なくてもこっちは
貰う準備があるぞ」という大義名分が成立したからです。
これはシャフトの提案時には予測できない未来の時系列の出来事
なので「本気でヤン=ウェンリーの指揮するイゼルローン要塞を
攻め陥とす気なら8巻の回廊の戦いの準備がいる。それを考えたら
『要塞+一個艦隊VS移動要塞+二個艦隊』というのは、勝ち目が
あってかつ安いのではないか」という発想はそう批難に値する物
でもないでしょう。
あの段階でフェザーン侵攻をやっても、同盟軍のアムリッツァ
侵攻艦隊ほどではないにせよ、兵士の「何で?」という士気低下は
避けられず、それは得策じゃないんじゃないかと思います。
- 親記事No.8168スレッドの返信投稿
- board4 - No.8171
Re:ラインハルトの費用捻出
- 投稿者:S.K
- 2009年05月20日(水) 16時05分
> 長く続く戦争で帝国は政治を司る貴族階級の人材は枯渇し、経済格差は拡大し同盟ほどではないが閉塞感と疲労感がありました。
> 同盟は帝国より深刻で、帝国では貴族階級に限られていた人材の枯渇が国全体に及び、長期に渡る戦時体制で経済は破綻寸前と戦争を続けるどころではありません。
> ラインハルトのラグナロック、ガイエスブルク建造、社会基盤の再整備を考えると敵対貴族から巻き上げた財産だけでは到底足りないと思います。しかし、ラインハルトの膝元ではそれらのための増税の様子がないどこからその費用を捻出したのかいくつか考えて見ました。
>
ゴールデンバウム王朝末期の門閥貴族は蓄財に関してまで無能
だった訳ではありません、国軍の大半を保有するラインハルトに
対抗できる戦力がリップシュタット同盟にあった事でもそれは
証明されています。
大貴族の財産を国庫に納めただけで帝国は建て直せないと断ずる
のは少々早計ではないでしょうか。
と、いうわけで3.が正解に近いんでしょうが、確かに大貴族
自らがしっかり領地経営をしていた訳ではなく、後先考えず収奪
してたり、アンスバッハ准将のような有能な部下がいたりしたん
でしょうね、おそらくは。
- 親記事No.8168スレッドの返信投稿
- board4 - No.8172
Re:ラインハルトの費用捻出
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月21日(木) 09時16分
その備蓄の大半は戦争で消えたと思います。戦力の出し惜しみをすればラインハルト打倒後(貴族達の希望図)の帝国で出し惜しみした事をネタに叩かれ経歴に傷がつくだけでなく恩賞にありつけない恐れもあります。
門閥貴族の全力が国軍に匹敵した事実を考えると
大半の貴族=基本的に中央にいて自領の経営は子飼の官吏に丸投げ
貴族の官吏=富国に勤め主には過少申告して差額を懐に入れる。立場は荘園を管理していた武士に近い。アンスバッハ准将のような忠義の士は少数派で大半は自領に顔を見せない主に対する忠誠は無く、経営権を保証してくれるなら上が誰でもいい。
- 親記事No.8164スレッドの返信投稿
- board4 - No.8173
Re:移動要塞を使わなかった理由
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月21日(木) 09時33分
フェザーンは帝国領なので
逆徒討伐のための軍を通過させる。協力しない場合は叛意ありと見做し討伐するとは出来なかったのでしょうか。
- 親記事No.8168スレッドの返信投稿
- board4 - No.8174
Re:ラインハルトの費用捻出
- 投稿者:S.K
- 2009年05月21日(木) 09時48分
> その備蓄の大半は戦争で消えたと思います。
負けると思ってないので「生意気な金髪の儒子」を懲らしめる
為に、その後倹約生活したがる門閥貴族もいなかったでしょう。
ヴェスターラント核攻撃で比較的早期決着したのも忘れては
いけない要素かと。
>
> 門閥貴族の全力が国軍に匹敵した事実を考えると
> 大半の貴族=基本的に中央にいて自領の経営は子飼の官吏に丸投げ
> 貴族の官吏=富国に勤め主には過少申告して差額を懐に入れる。立場は荘園を管理していた武士に近い。アンスバッハ准将のような忠義の士は少数派で大半は自領に顔を見せない主に対する忠誠は無く、経営権を保証してくれるなら上が誰でもいい。
いや、忠義はともかく金勘定と世相の調整に有能ならそれで
いいんですよ、門閥貴族の臣下。
- 親記事No.8164スレッドの返信投稿
- board4 - No.8175
Re:移動要塞を使わなかった理由
- 投稿者:S.K
- 2009年05月21日(木) 09時53分
> フェザーンは帝国領なので
> 逆徒討伐のための軍を通過させる。協力しない場合は叛意ありと見做し討伐するとは出来なかったのでしょうか。
「帝国の資産増加の為に同盟とも交易したいから」で保証して
やった自治権を前に、それはいかにも無理矢理でしょう。
もっともラグナロック作戦の時の様に、フェザーンが
「騒動を治めるために一肌脱ぎましょうか?」と聞いてきた
時は別ですが。
- 親記事No.8164スレッドの返信投稿
- board4 - No.8176
Re:移動要塞を使わなかった理由
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月21日(木) 14時18分
なるほど、フェザーンの方からの行動が有るまでラインハルトは動けなかったのですね。
- 親記事No.8168スレッドの返信投稿
- board4 - No.8177
Re:ラインハルトの費用捻出
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月21日(木) 14時26分
負けると思っていなくても門閥間の力関係か何かでそれなりの出費・・・その程度ならあまり備蓄を崩さずに済みますね。
つまりトリューニヒトのような人物なら臣下として優秀と。
- 親記事No.8168スレッドの返信投稿
- board4 - No.8178
Re:ラインハルトの費用捻出
- 投稿者:MOH
- 2009年05月22日(金) 07時21分
横レス失礼します。
このような記述もあります。
1巻でキルヒアイスが活躍したカストロプ動乱に関してですが、
「まして生前、カストロプ工が私物化した公金や受け取った賄賂は莫大な額に上るはずで、これを国庫に納めたとき、軍事費の圧迫に苦しむ財政は一時的に息をつけるであろう」
つまり、トップクラスの大富豪である場合、その私有財産は国家予算を支えうるほどの規模であるということです。
また、リップシュタット戦役後に没収できる貴族財産に関して「10兆帝国マルクを軽く超過する」という記述もあります。
帝国の国家予算がどれほどかの記述は見つけることができませんでしたが、アムリッツア戦役において同盟の必要経費が2000億ディナールで、国家予算の5.4%という記述から計算すると同盟の国家予算は3兆7000億ディナールです。
帝国マルクとディナールの為替レートはフェザーン商人に聞くしかありませんが、仮に1帝国マルク=1ディナールとすると、大貴族たちから奪える財産は帝国と同盟の国力差を考えても国家予算2年分は上回るでしょう。
これだけの臨時収入があれば、多少の無茶は十分可能だと思います。
- 親記事No.8168スレッドの返信投稿
- board4 - No.8179
Re:ラインハルトの費用捻出
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月22日(金) 15時51分
つまり帝国の没落は貴族による国の私物化だった。帝国財源の半分以上を貴族が横領していれば衰退もしますし、国力で圧倒的に劣る同盟にも勝てないと言う不可能を可能にしますね。
-
- board4 - No.8180
ヤンが帝国で生まれていたら
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月22日(金) 16時22分
ローエングラム伯ウェンリーで始めから大きい差配が出来る立場だったら(家の都合で軍に放り込まれました)
アスターテで同盟にラインハルトがいる場合
ウェンリー伯は堅実に戦い泥試合に陥る事無く完勝。ラインハルトはいきなり宇宙の塵となりそう。
- 親記事No.8180スレッドの返信投稿
- board4 - No.8181
Re:ヤンが帝国で生まれていたら
- 投稿者:S.K
- 2009年05月23日(土) 12時56分
> ローエングラム伯ウェンリーで始めから大きい差配が出来る立場だったら(家の都合で軍に放り込まれました)
>
> アスターテで同盟にラインハルトがいる場合
> ウェンリー伯は堅実に戦い泥試合に陥る事無く完勝。ラインハルトはいきなり宇宙の塵となりそう。
まず史実でアスターテ会戦は泥仕合ではなく帝国の一方的な完勝
であり、ヤンの基本姿勢が「言い訳が立つ程度の最低限の戦果と
犠牲」である事を無視している時点でダウトです。
その仮定なら「帝国2万VS同盟4万の戦いは双方ご挨拶程度の被害
で終了、ただし当分イゼルローン要塞が陥落する見込みは薄い、
ヤン伯の指揮下なら特に」という所でしょう。
- 親記事No.8180スレッドの返信投稿
- board4 - No.8182
Re:ヤンが帝国で生まれていたら
- 投稿者:たかし
- 2009年05月24日(日) 04時44分
そうでしょうか?
ラインハルトはヤンと対等な知力を持ち、ヤンより遥かに能動的です。
アスターテ会戦の時点で提督になってても不思議はないと思いますが。
-
- board4 - No.8183
気になった事
- 投稿者:たかし
- 2009年05月26日(火) 11時47分
タイムカウントで銀英伝がカウントされてますが、これは外伝6冊出るはず、という事なのでしょうか?
どこかで作者は外伝は4冊+漫画と言ってた気がします。
どこでかは思い出せませんし、そもそも記憶違いな可能性もありますが。
気になりましたし、こちらに書き込んだ方が早く結論が出ると思いましたので……。
ご存知の方、いらっしゃいましたら宜しくお願いします。
- 親記事No.8183スレッドの返信投稿
- board4 - No.8184
Re8183:銀英伝外伝巻数問題について
- 投稿者:冒険風ライダー(管理人)
- 2009年05月26日(火) 12時58分
田中芳樹は銀英伝10巻あとがきで、銀英伝外伝について以下のように述べています↓
銀英伝10巻あとがき P239
<さて、本伝は完結しましたが、外伝の方は今後、長編を二冊と短編をいくつか予定しています。これまで出た分とあわせて、外伝は全部で六冊分。それでおしまいにします。いわばこれが「別荘」ということになるでしょう。別荘が本宅より大きくなるのも奇妙なものですから。>
そして、銀河英雄伝説読本のインタビュー記事には以下のように書かれています↓
銀河英雄伝説読本 P50
<――あとは外伝が4冊ということですね。
田中 後日談の反対に前日談なんかをいれて短編、長編あわせて考えています。今書いてますのが、ラインハルトとキルヒアイスが18歳の時のお話で、来年の夏頃、ヤンの学生時代ということで書く予定です。>
これらから総合して考えると、銀英伝の外伝というのは、長編4冊、短編2冊分の合わせて「6冊分」が存在すると見做すことができます。そして銀英伝外伝は、長編については全て揃っているものの、短編2冊分という公約が果たされていない状態にあるわけです。
一応短編については、銀河英雄伝説読本に収録されている短編4つに「夜への旅立ち」に収録されている外伝「黄金の翼」を合わせればとりあえず1冊分あることにはなるのですが、「ではあと1冊分は?」という問題と、いくらあの御大でも、まさか上記2つの本の出版をもって「外伝完結」などという詭弁を弄するようなことはないだろうという願いを込めて、タナウツでは未完扱いとしています。
私が知っている情報は以上なのですが、「短編を漫画にする」と本人が発言していたというのは初耳ですね。アニメの方に銀英伝外伝のオリジナルストーリーがあるらしい(「奪還者」でしたっけ?)という情報は聞いたことがあるのですが、その辺りの事情や出典をご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?
- 親記事No.8183スレッドの返信投稿
- board4 - No.8185
Re:Re8183:銀英伝外伝巻数問題について
- 投稿者:S.K
- 2009年05月26日(火) 15時53分
〉アニメの方に銀英伝外伝のオリジナルストーリーがあるらしい(「奪還者」でしたっけ?)という情報は聞いたことがあるのですが、その辺りの事情や出典をご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?
作画の道原かつみ女史オリジナルの気もするんですが、一応
徳間書店の月刊漫画雑誌COMICリュウ創刊3号にアッテンボロー伝
とでも言うべきアッテンボローの家族、父に代表される思想背景に
半ばギャグの士官学校入学理由、ヤンとの出会いにユリアンとの
交流が描かれた短編が掲載されました。
- 親記事No.8183スレッドの返信投稿
- board4 - No.8186
Re8185:そのエピソードは原作にも有り
- 投稿者:冒険風ライダー(管理人)
- 2009年05月27日(水) 10時42分
<作画の道原かつみ女史オリジナルの気もするんですが、一応
徳間書店の月刊漫画雑誌COMICリュウ創刊3号にアッテンボロー伝
とでも言うべきアッテンボローの家族、父に代表される思想背景に
半ばギャグの士官学校入学理由、ヤンとの出会いにユリアンとの
交流が描かれた短編が掲載されました。>
それって銀英伝外伝4巻と銀英伝10巻にそれぞれ同一のエピソードが存在しますよ。 アッテンボロー父子の関係とそれにまつわる士官学校入学の経緯、およびアッテンボローとヤンの出会いは銀英伝4巻外伝P200~P203に、ユリアンとの出会いと交流については銀英伝10巻P105にそれぞれ描かれています。
よって、それは田中芳樹未発表短編のオリジナルエピソードであるとは言えませんね。
- 親記事No.8183スレッドの返信投稿
- board4 - No.8187
Re:それはわかってますが
- 投稿者:S.K
- 2009年05月27日(水) 13時20分
> それって銀英伝外伝4巻と銀英伝10巻にそれぞれ同一のエピソードが存在しますよ。 アッテンボロー父子の関係とそれにまつわる士官学校入学の経緯、およびアッテンボローとヤンの出会いは銀英伝4巻外伝P200~P203に、ユリアンとの出会いと交流については銀英伝10巻P105にそれぞれ描かれています。
> よって、それは田中芳樹未発表短編のオリジナルエピソードであるとは言えませんね。
1.1巻と2巻に重複する部分のある「ユリアン・ミンツの
イゼルローン日記」が正規長編外伝な点
2.『お守りの銀の鍵』というオリジナルキーアイテムの存在
3.徹頭徹尾アッテンボロー視点である点
以上からまあ新規短編外伝といえるのではと思いました。
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- board4 - No.8188
栗本薫の訃報に思う
- 投稿者:W二十歳+1
- 2009年05月28日(木) 05時35分
栗本薫と田中芳樹って同い年(学年は一緒)なんですよね。
丁度外伝の話になっていますが、田中氏がタイタニア4巻を書くと宣言しているとかしないとか。
このままいろいろと未完のまま終わるのかな?
- 親記事No.8188スレッドの返信投稿
- board4 - No.8189
Re:栗本薫の訃報に思う
- 投稿者:S.K
- 2009年05月28日(木) 08時33分
少なくとも、中身はどうあれ死病の渕にあって最後まで
3ヶ月に一冊は「グイン・サーガ」を出し続けた栗本薫先生は
偉かったと思います。
菊地秀行著「妖神グルメ」の求道者的主人公が、その若さから
才能を危ぶまれた時に返した科白
「無駄に歳を重ねるだけの能無しもいるよ」
まあせめて未完シリーズについては、信頼の置ける後進に筆を
委ねて、せいぜい今までついてきてくれた「らいとすたっふ」
に「事後」を安心させてやる位の事は期待したい所であります。
- 親記事No.8188スレッドの返信投稿
- board4 - No.8190
Re:ちょうど
- 投稿者:平松重之
- 2009年05月28日(木) 13時53分
今日の読売新聞朝刊の文化欄で田中氏の栗本氏への追悼文が掲載されていました。二人は小説雑誌「幻影城」の新人賞の祝いの席で知り合ってから30年以上の付き合いだったとの事です。
栗本氏の方がデビューが一年早く、田中氏は
「こういう人にはとてもかなわない」
「偉大な先輩」
「本当に一つの時代が終わってしまった」
と栗本氏の逝去を惜しんでいました。
- 親記事No.8188スレッドの返信投稿
- board4 - No.8191
Re:栗本薫の訃報に思う
- 投稿者:W二十歳+1
- 2009年05月29日(金) 01時54分
> 少なくとも、中身はどうあれ死病の渕にあって最後まで
> 3ヶ月に一冊は「グイン・サーガ」を出し続けた栗本薫先生は
> 偉かったと思います。
外伝は無いとしても最長でタイタニアの18年ですからね。
> まあせめて未完シリーズについては、信頼の置ける後進に筆を
> 委ねて、せいぜい今までついてきてくれた「らいとすたっふ」
> に「事後」を安心させてやる位の事は期待したい所であります。
七都市物語みたいに誰かに委ねるのもありですねぇ。
後進にプロットを示す必要があるとは思いますが。
ムダが無くなる分「創竜伝」は面白くなったりして
- 親記事No.8188スレッドの返信投稿
- board4 - No.8192
Re:ちょうど
- 投稿者:W二十歳+1
- 2009年05月29日(金) 01時55分
> 栗本氏の方がデビューが一年早く、田中氏は
> 「こういう人にはとてもかなわない」
> 「偉大な先輩」
> 「本当に一つの時代が終わってしまった」
> と栗本氏の逝去を惜しんでいました。
まさに爪の垢を煎じて飲めですねぇ。
- 親記事No.8180スレッドの返信投稿
- board4 - No.8193
Re:ヤンが帝国で生まれていたら
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月31日(日) 08時02分
アスターテ会戦でラインハルトが提督になっていたら
持ち前の思慮が足りない位の思い切りの良さでラインハルトは二提督を切り捨て撤収、同盟の2/3を撃破したヤンは戦果は充分とラインハルトを追わず撤収。ラインハルトの行動が表沙汰に出来ない同盟はラインハルトを帝国を退けた英雄にする。
提督になれば非情に徹し切れなかったヤンと違うからラインハルトは塵にならずに済みそう。
- 親記事No.8180スレッドの返信投稿
- board4 - No.8194
Re:ヤンが帝国で生まれていたら
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年05月31日(日) 08時33分
4万vs2万で包囲網が完成すれば勝ち目もなくなりますし、戦力分散と言う失策をくれた同盟にヤンが食らい付かないとは考え難いです。
・本陣、片翼を叩き戦意を喪失させる
原作と違い姉に負担を掛けたくない位の動機で同盟軍に入ったラインハルトは一方的な敗戦にショックを受ける。ラインハルトは敬愛していたラップの死、失策から学ぼうとしない同盟軍を見て組織改革を志すようになる。
・相手が戦意を喪失するぐらいに徹底的に叩いて残存戦力は逃げるに任せるになった場合
追撃を掛ける事も降伏勧告もしないヤン艦隊に同盟軍は撤収、命を落とさずに済んだラインハルトは屈辱に震えヤンへの復讐を誓う。
アスターテ会戦の後、生き延び話題に上げる兵士が多いためウェンリー伯恐るべしと帝国、同盟双方で噂になりヤンはリップシュタット戦役から逃れられなくなる。
- 親記事No.8180スレッドの返信投稿
- board4 - No.8196
Re:ヤンが帝国で生まれていたら
- 投稿者:S.K
- 2009年05月31日(日) 11時27分
> 4万vs2万で包囲網が完成すれば勝ち目もなくなりますし、戦力分散と言う失策をくれた同盟にヤンが食らい付かないとは考え難いです。
むしろ「無駄な包囲でできた間隙か戦力の薄い所を突破して
とっとと帰ろう。『倍の戦力で待ち伏せされた』と言えば早々に
帰る口実ができてむしろツイてた」というのがヤンらしさでしょう。
危険な敵国領土に侵攻しただけで「給料分の仕事はしてる」ん
ですから。
どうしてもヤンに「2万で4万に勝つ」をやらせるだけの理由は
銀英伝1巻の帝国側にはあまり想定しづらいですね。
> ・本陣、片翼を叩き戦意を喪失させる
> 原作と違い姉に負担を掛けたくない位の動機で同盟軍に入ったラインハルトは一方的な敗戦にショックを受ける。ラインハルトは敬愛していたラップの死、失策から学ぼうとしない同盟軍を見て組織改革を志すようになる。
帝国において国家改革に一番手っ取り早かったのが武力だった
からラインハルトは軍人になっただけで、同盟に不満なら政治家
か実業家になってたんじゃないですかね、彼。
当のアンネローゼだってそっちの方が幾許弟の心配が減るでしょう。
> ・相手が戦意を喪失するぐらいに徹底的に叩いて残存戦力は逃げるに任せるになった場合
> 追撃を掛ける事も降伏勧告もしないヤン艦隊に同盟軍は撤収、命を落とさずに済んだラインハルトは屈辱に震えヤンへの復讐を誓う。
>
イゼルローン攻略戦で要塞陥落後、ヤンは帝国駐留艦隊に
「撤退勧告」出してるんですがお忘れですか?
> アスターテ会戦の後、生き延び話題に上げる兵士が多いためウェンリー伯恐るべしと帝国、同盟双方で噂になりヤンはリップシュタット戦役から逃れられなくなる。
独貧貴族さんは帝国のヤンが軍人になった理由をどう設定されて
おいでですか?
特段逃げられない柵が帝国中枢になければ、めんどくさい事態に
なったら領地に引っ込むか亡命した方がヤンらしい反応というもの
でしょう。
どうでもいい話ですが、ヤンが名字でウェンリーは名前なので
「ヤン伯」ないしは「ヤン伯ウェンリー」というのが正しい表記
かと。
- 親記事No.8183スレッドの返信投稿
- board4 - No.8198
外伝5巻
- 投稿者:八木あつし
- 2009年06月04日(木) 05時44分
創元SF文庫版にて、ついに外伝5巻が発売!(2009年6月30日予定)
と言っても短篇集「夜への旅立ち」と「銀河英雄伝説読本」収録分のまとめで、全くの新作はないですが(笑)。
なんにせよ約20年ぶりの外伝発売です。
あと短編を漫画にするって道原かつみ「黄金の翼」のことですかね?
あれは漫画の為に田中芳樹が原作を作り、その後小説化しています。
私もどこかの記事か文章でその後、さりげなく本編全10巻、外伝全4巻と書いてあった気がするのですが。
アニメ版銀河英雄伝説第4期を始める前の紹介ビデオだったかな。
記憶があやふやでスミマセン。
- 親記事No.8180スレッドの返信投稿
- board4 - No.8199
Re:ヤンが帝国で生まれていたら
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年06月04日(木) 13時22分
なるほど、確かに軍以外で手っ取り早く理不尽に異を唱える事が出来ればラインハルトはそうしますね。確かにヤンの性格なら戦わずに済むなら戦いませんね。
・ラインハルトを同盟軍兵士にするには
アッテンボローやポプランと馴染みで気付いたら兵士にされていた(その後ラインハルトはユリアンに何故軍人になったのか問われ、あのバカの所為で気付いたらなりたくも無い兵士になっていたと乾き切った笑みを浮かべる)
グリーンヒル大将の世話になり同盟軍の大人達の影響を受け少年らしい使命感に心を躍らせ志願
・アスターテでヤンを戦わせるには
キルヒアイスが提案した各個撃破に賛同した手柄が欲しい貴族に猪突させヤンに尻拭いをさせる
ぐらいはしないと無理か。
-
- board4 - No.8200
勝手に妄想、同盟の前身
- 投稿者:独貧貴族
- 2009年06月04日(木) 14時01分
ルドルフ大帝は連邦の威光が届かなくなった辺境星系の切り捨て人類圏を小さく纏め再生させる改革を行いました。
ハイネセンの長征一万光年で生き残ったのは16万、113年後のダゴン会戦では同盟は250万の戦力を出した。スタートの人口が少なすぎ並みの出生率では250万も兵士を出せない。
問題をクリアーするには
・ハイネセン一行はルドルフ大帝の時代に切り捨てられた辺境惑星を侵略、占領することで国を興した
・同盟市民は昼は水だけ飲んで働き、夜は子作りに励む極限生活を一世紀続けた
難易度が低いのは圧倒的に前者、交通の難所で航行が難しく早い段階で打ち棄てら忘れ去られた辺境星系をハイネセンに率いられた40万が襲い支配した悪の宇宙人紛いが同盟の前身かも。それまでの戦いで兵が40万から16万に減りハイネセンも討ち死にだったとか。
- 親記事No.8200スレッドの返信投稿
- board4 - No.8201
Re:そこまで本編を無視しないで下さい
- 投稿者:S.K
- 2009年06月06日(土) 16時01分
> ルドルフ大帝は連邦の威光が届かなくなった辺境星系の切り捨て人類圏を小さく纏め再生させる改革を行いました。
いや「優生人類法」とか「生きる価値のある人間」のハードルを
高く設定しただけです。
> ハイネセンの長征一万光年で生き残ったのは16万、113年後のダゴン会戦では同盟は250万の戦力を出した。スタートの人口が少なすぎ並みの出生率では250万も兵士を出せない。
難しいですが不可能ではないでしょう、宇宙航行する技術力が
あって命がけの旅程はクリアしたんですから。
> 問題をクリアーするには
> ・ハイネセン一行はルドルフ大帝の時代に切り捨てられた辺境惑星を侵略、占領することで国を興した
切り捨てられたから領土の記録が紛失する訳はないでしょう、
百余年帝国に発見されなかった事実はどう説明しますか。
> ・同盟市民は昼は水だけ飲んで働き、夜は子作りに励む極限生活を一世紀続けた
まだしもこっちは考えにくいなりに否定できるだけの材料も
作中にありませんね。
>
> 難易度が低いのは圧倒的に前者、交通の難所で航行が難しく早い段階で打ち棄てら忘れ去られた辺境星系をハイネセンに率いられた40万が襲い支配した悪の宇宙人紛いが同盟の前身かも。それまでの戦いで兵が40万から16万に減りハイネセンも討ち死にだったとか。
「ハイネセンは逃避行中に事故死した」と作中にありますが。
第一、人口は減っても資源探索とか生存圏拡大の理由はいくら
でもあって、だから帝国が教えられもせずイゼルローン・
フェザーンの両回廊を発見したのではないですか?
- 親記事No.8180スレッドの返信投稿
- board4 - No.8203
Re:ヤンが帝国で生まれていたら
- 投稿者:S.K
- 2009年06月06日(土) 20時59分
> ・ラインハルトを同盟軍兵士にするには
> アッテンボローやポプランと馴染みで気付いたら兵士にされていた(その後ラインハルトはユリアンに何故軍人になったのか問われ、あのバカの所為で気付いたらなりたくも無い兵士になっていたと乾き切った笑みを浮かべる)
> グリーンヒル大将の世話になり同盟軍の大人達の影響を受け少年らしい使命感に心を躍らせ志願
>
あれだけ自我が強いと友人といえど流されて将来を決めたりは
しないでしょうラインハルト。
「少年らしい使命感」よりはまだ「帝国に勝てない今の同盟への
失望」の方がありそうですね。
あと姉が従軍看護婦で前線志願してしまったとか。
> ・アスターテでヤンを戦わせるには
> キルヒアイスが提案した各個撃破に賛同した手柄が欲しい貴族に猪突させヤンに尻拭いをさせる
> ぐらいはしないと無理か。
それでも「交戦中の一個艦隊に打撃を与えつつ同盟艦隊の救援
到着前に離脱、同時に功を焦って抗命した分艦隊指揮官を拘禁して
処断」で騒動として最大でしょうね。
第一、史実においてラインハルトを嫌いで異論があった幕僚の
シュターデン中将でさえ総指揮官たるラインハルトに最終的には
従ったのですよ?
「館内にサイオキシン麻薬があふれ出た」とかのアクシデントでも
なければそうそう交戦前に軍規が乱れるものでもありません。
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- board4 - No.8205
創元SF文庫版銀英伝 全15巻完結
- 投稿者:八木あつし
- 2009年06月30日(火) 14時12分
本日、多くのファンが待ち望んだ? 創元SF文庫版 銀河英雄伝説外伝5巻「黄金の翼」が発売。
本作には徳間ノベルズ「夜への旅立ち」と徳間書店「銀河英雄伝説読本」に収録された短編の他、
徳間デュアル文庫版の本編巻末にあった田中芳樹へのインタビューも収録。
あえていえば文庫化に寄せての「後書き」が唯一の書き下ろしか(笑)。
創元SF文庫版銀河英雄伝説は「全15巻」の為、本作にて完結。
これで外伝6巻発売はなくなりました。
田中芳樹は東京創元社HPにて
<だいそれたことになってしまったとは思うが、二十年前に完結した『銀河英雄伝説』という作品は終(つい)の棲処(すみか)を得た。ありがたいかぎりだ。
望外にも星野之宣さんの壮麗な装画までいただけたことだし、あらたな生命を得て、末長く目録の末席につらなることがかなえば幸いに思う。>
と述べているため、さすがに東京創元社から版を移すことなく、他社においても外伝6巻は出さないでしょう。
まぁ創元SF文庫においては、ノベルズ5巻、10巻の後書きを収録しておらず、
「外伝残り2冊を書け派」の根拠である10巻後書きの「外伝6冊分」が消えてしまっています。
かりに後書きあったとしても田中芳樹は、「外伝6冊」ではなく「外伝6冊分」との記述なので、
トリューニヒトなり、モーブリッジ・ジュニアばりの詭弁で逃げ切ることでしょうが。
改めて調べてみると徳間デュアル文庫にて「銀河英雄伝説外伝Vol.1 黄金の翼」が02年3月に発売しており、
これが創元SF文庫版外伝5巻と同内容のため、ある意味外伝5巻は2002年3月の発売だったと言えるのか・・・・・・?
まぁ、徳間ノベルズ準拠のナンバリングの法則で言えば、外伝5巻は今回の創元版と言えますが。
なんにせよ、mixiの田中芳樹コミュニティや銀河英雄伝説コミュニティでも話題になっていないので、
外伝問題は「田中芳樹だから」という、いつもの理由で終わった事なんでしょうね。
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- board4 - No.8206
薬師寺シリーズ考察7-1
- 投稿者:冒険風ライダー(管理人)
- 2009年06月30日(火) 23時31分
薬師寺シリーズ7巻「霧の訪問者」は、「キリスト教狂信者のアメリカ人富豪家」がラスボスとして設定されていることもあってか、これまでで一番アメリカ批判が頻出しまくる巻となっています。
薬師寺シリーズ考察4でも言及しましたが、田中芳樹は2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降、極端かつ過激な反米主義満載の社会評論を吹聴するようになり、イギリス病のすすめ文庫版あとがき、薬師寺シリーズ4巻、創竜伝13巻、田中小説版キング・コングと、新作が刊行される毎に貴重なページを大量に割いてアメリカ批判を展開しています。そして、今回論評する薬師寺シリーズ7巻「霧の訪問者」もまた、田中芳樹が騒音交じりに熱唱しまくる反米交響曲シリーズの系譜に組み込まれることになったわけです。
田中芳樹の反米思想自体は昔から連綿と続いているもので、創竜伝のストーリー設定にある「四人姉妹」関連の記述や、創竜伝7巻におけるアメリカの湾岸戦争批判などでも垣間見ることができるのですが、それらはあくまでも反日日本批判のサブ的な位置付けだったのに対して、アメリカ同時多発テロ事件以降の反米思想は、下手すれば従来の反日日本批判をも押しのける質量と勢いで展開されています。アメリカ同時多発テロ事件の一体何が田中芳樹の脳髄に麻薬的な刺激と快楽を与えたのか、そしてあの反米交響曲シリーズのどこに田中芳樹個人のストレス解消に繋がる要素があるのか、余人には全く想像のしようがないのですが。
まあ内容が反米だろうが反日だろうが中国礼賛だろうが、本編のストーリーとは何ら関係がない上、事実誤認と偏向歪曲のオンパレードな社会評論が小説中に大量挿入されることによって、作品の品質が著しく劣化しているという事実と結末は全く変わることがないのですけどね。田中芳樹は一体いつまで同じ愚行を何度も何度も延々と繰り返せば気が済むというのでしょうか(>_<)。
それでは、薬師寺シリーズ7巻「霧の訪問者」の論評を進めていくことに致しましょう。
薬師寺涼子の怪奇事件簿7巻「霧の訪問者」
2006年8月24日 初版発行
薬師寺シリーズ7巻「霧の訪問者」 講談社ノベルズ版P8上段~下段
<やたらと大きな文字が視界をかすめた。「東京で二回目のオリンピックを!」という政府と東京都の広報広告だ。
それにしても、お役所の考えていることは、よくわからない。「東京はまもなく大地震にみまわれる。都民は災害にそなえろ」と騒ぎたてながら、一方でオリンピックを誘致しようというのだから。いつ大地震が来るかわからない危険な都市で、オリンピックを開く気なのだろうか。
とまあ、ケチをつけたくなるには理由がある。つい先週、大地震対策と称して、警視庁あげての訓練がおこなわれ、私は練馬区の官舎から警視庁まで徒歩で通勤させられたのだ。大地震であらゆる交通機関がストップし、自動車も使えなくなった事態を想定してのことだが、地下鉄を使えば直行で二〇分のところ、三時間かかった。たしかにいい運動にはなったが、警視庁の全員がクタクタになったところで大地震が発生していたら、どうなっていたことやら。>
相変わらず「(薬師寺シリーズ世界における)現在の東京都知事」こと石原慎太郎氏を(泉田準一郎も田中芳樹も)徹底的に毛嫌いしていることがよく分かる記述ですね。「東京で二回目のオリンピックを!」と主張しているのも、警視庁どころか自衛隊まで交えた大地震対策ことビッグレスキューを実施しているのも、2009年7月時点までの東京都知事では石原慎太郎氏しかいないのですし。
それにしても、「いつ大地震が来るかわからない危険な都市」でオリンピックなど開くべきではない、という主張を大真面目に繰り出してくるとは、泉田準一郎および田中芳樹の発想はいつものことながらギャグセンスに富んでいて笑いを誘いますね。そんなことを言い出したら、そもそも「いつ大地震が来るかわからない危険な都市」で何らかの社会生活や経済活動を営んでいること自体が問題とならざるをえませんし、それ以前の問題として、「いつ大地震が来るかわからない危険な都市」は東京どころか日本に限定されるものですらないので、世界中どこでもオリンピックは開催できない、という極論まで導けてしまうではありませんか。
第一、田中芳樹はかつて阪神大震災で多大な被害を出した神戸市を含む近畿地方についてこんな記述を行い、阪神大震災勃発後に刊行された創竜伝7巻文庫版座談会で慌てふためいたことがあったはずなのですが↓
創竜伝7巻 P87下段~P88上段
<近畿地方から瀬戸内海沿岸にかけては火山が存在せず、地震もすくない。関東大震災の直後、兵庫県加古川一帯への遷都が真剣に検討されたことがある。この地域が、日本でもっとも地質が安定し、大地震の恐怖がなかったからである。この事実は歴史的にも興味を持たれるところで、
「中国大陸にも朝鮮半島にも、有史以来、火山活動はない。そこから古代日本に渡来した人々は、見慣れぬ火山を恐れた。だから火山のない大和・難波の一帯に王朝の中心を置いたのだ」
という説がある。>
そして「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のことわざを地で行ったのか、それとも完全に開き直ったのか、その後の創竜伝では逆に阪神大震災をネタにこんな日本罵倒論が披露されていますし↓
創竜伝10巻 P211上段~下段
<静かにふけゆく京都の夜に全身でひたっていると、平穏そのものに思われた。だが、日本国内にかぎっても、京都に近い神戸で大地震がおこり、東海大地震に富士山大噴火と、暴走する地殻エネルギーの前に数万人の市民が生命を失っているはずだ。そもそも政府というものは、個人の力で対処しようのない巨大な大災害から市民を守るために存在するのだが、
「どうせ現場の努力を無にするようなことばかりしているでしょうよ」
と、続が無情に評価を下した。蜃海は苦笑する。大災害時における日本政府の無策ぶりは世界各国の失笑を買っているのだった。>
創竜伝13巻 P84下段
<一九九五年、阪神・淡路大震災の直後、アメリカ軍は病院船マーシーを派遣したいと日本政府に申しこんだ。マーシーは最新式の手術室一二とベッド一〇〇〇以上をそなえていたが、日本政府はなぜかせっかくの厚意を拒絶した。そのため、多くの被災者が緊急治療を受けることができず、死に至った。>
かくのごとく、過去の己の言動に対する反省も総括も全く垣間見られない愚劣で醜悪で滑稽な上に卑劣以外の何物でもない変節漢を演じた挙句に、「いつ大地震が来るかわからない危険な都市」などと東京を罵ることについて、田中芳樹は何ら良心の呵責を感じなかったのでしょうかね~(>_<)。「いつ大地震が来るかわからない危険な都市」は何も東京に限った話ではなく、どこの都市にも当てはまるものである、という事例を他ならぬ自分自身で明示してしまっているというのに。
さらに例を挙げれば、近畿地方と並んで地震の記録が少なく、かつ東京と同じように「オリンピックの開催都市候補」として名乗りを上げていた福岡県福岡市もまた、2005年3月20日に震度5強~6弱の福岡県西方沖地震に見舞われ、最も強い揺れを観測した玄海島を中心に大きな被害を出していますし、その1ヶ月後の4月20日にも震度5強の地震が観測されています。福岡県西方沖地震は「過去に地震の記録が少ない都市でも例外なく、地震はいつ起こるか分からない」という命題を、阪神大震災の事例に続き、またもや実地で証明するものとなってしまったわけです。
日本国外に目を向けても、1932年と1984年にオリンピックが開催されたアメリカのロサンゼルス市では、1994年1月17日にノースリッジ地震が発生して大きな被害を受けていますし、2008年のオリンピック開催都市となった中国の北京市でも、1976年7月28日に約150㎞離れた唐山市で発生した地震の余波を被っています。しかし、この唐山地震を盾に北京市を「いつ大地震が来るかわからない危険な都市」と規定して「オリンピックは開催すべきではない」などと評価する主張があったとしたら、偉大なる中国サマに心服していらっしゃる田中芳樹御大は発狂したのではありませんかね(笑)。
また、近代オリンピックの第一回開催国となったギリシアは、ヨーロッパで一番地震が多い国として知られていますし、その初代開催都市となったアテネ市も、1999年9月7日に発生して大きな被害を出したアテネ地震を筆頭にしばしば地震が発生する都市です。しかもアテネ市は1999年の地震発生後の2004年にもオリンピック開催都市になっている上、何とオリンピック【開催期間中】の8月24日にもオリンピック会場から48㎞の近郊を震源とするマグニチュード4.6の地震が発生しています。これらの事例を見ても「いつ大地震が来るかわからない危険な都市」という口実は、オリンピック開催を辞退しなければならない理由になどならないのです。
むしろ「いつ大地震が来るかわからない危険な都市」でオリンピックを開催しようと考える【からこそ】、常日頃の耐震対策および訓練を万全なものにし、いつ地震に見舞われても大丈夫なようにすることが何より重要となるのです。前述の2004年のアテネオリンピックも、オリンピック開催期間中に地震に見舞われながら、オリンピック会場の耐震対策を万全なものとしていたことで、各種競技を滞りなく進行させ、成功裏に閉幕までもっていくことができたわけです。この事例から考えれば、地震の備えを呼びかけつつオリンピックの誘致を考える東京都および日本政府の方針は、「よくわからない」どころか、一目瞭然かつ当然のことをやっているだけでしかないのです。
こういう都市地震およびオリンピックの歴史、さらには己の過去の経験および教訓について何ら検証も考慮もすることなく、しかも己の仕事に対する不平不満からここまで飛躍的に妄想を膨らませる形で、「お役所の考えていることは、よくわからない」などと平気でほざき倒すことができる泉田準一郎(=田中芳樹)の無知蒙昧かつ厚顔無恥な頭の構造は、余人には到底理解不能なシロモノである、と私は断言せざるをえないのですけどね(笑)。
薬師寺シリーズ7巻「霧の訪問者」 講談社ノベルズ版P26下段~P27上段
<「GATの宗旨って、どういうのですか」
「あんまりよく知らないけど、極端なキリスト教の原理主義よ。もうすぐ世界の終わりが来て、その際、イエス・キリストが生身でよみがえり、異教徒を皆殺しにするっていうんだから」
私は耳をうたがった。
「イエス・キリストが生身の姿で生き返るっていうんですか!?」
「そうよ」
「いや、しかし、それは、あまりに……」
あまりに非科学的ではないか。
「そう、あんまりよね。でも、じつは、GATだけじゃないのよ。イエス・キリストが生身でよみがえるって信じてるのは。ま、信教の自由っていうやつだけどね」
もし仮にイエス・キリストが生き返ったとして、そう名乗る人物が本物だと、どうやって証明するのだろう。イエス・キリストの写真など存在しないし、指紋も歯型もDNAも残されていない。>
また「非科学的」ですか。1巻「魔天楼」の頃からそれこそ「非科学的」な怪物や妖怪、さらにはそれらを生成する魔術や妖術の類が頻出している上、4巻「クレオパトラの送葬」でその存在が全世界に公開されるにまで至っている薬師寺シリーズの世界で、ある事象を「非科学的」と全否定して切り捨てる行為が如何なる意味を持っているのか、既存の世界観を根底から覆した張本人である薬師寺涼子と泉田準一郎には是非とも一から説明して頂きたいところなのですが。
そもそも、薬師寺シリーズのような「非科学的」な事象が実在し、しかもそれが人類共通の認識となりえる世界では、科学が現実世界ほどの影響力を行使できない一方で、オカルトや宗教が現実世界以上の力を保持しえる可能性が充分に存在します。科学が説明できない事象を、オカルトや宗教が万人を納得させる形で説明しえることが現実世界以上に多数発生しうるのですから、これは当然のことです。
その可能性について考えれば、「現実世界では」狂信的かつ迷妄に満ちた団体の主張していることが「薬師寺シリーズの世界では」ある程度筋の通った説明になっていたり、その団体が「現実世界では非科学的とされている力」を行使し、影響力を振るっていたりする事例も「薬師寺シリーズの世界では」ありえるかもしれない、ということを、作中で一番その手の「非科学的」な事象と多大に付き合ってきた連中が全く気づかないなどというのは、それこそ「薬師寺シリーズの世界では」極めて【非科学的】な話以外の何物でもないでしょう。薬師寺シリーズも7巻まで話が進んでいながら、未だにこんな簡単な話さえも理解できないとは、何度も述べてきたことですが、連中の現実認識能力および知能の徹底した欠陥ぶりはその手の専門医に診せなくて本当に大丈夫なのでしょうか?
この「オカルトに依存しながらオカルトを全否定する」という薬師寺シリーズ全体を蝕む悲惨な現状を解消する方法があるとすれば、作中に登場する全ての「非科学的」な事象全てを科学的検証の名の下に洗い直し、明確な科学的解答を与えた上で、「現実世界レベルの」オカルトに対する科学の圧倒的な地位を回復させるか、オカルトの存在を全面的に受け入れた上で、科学とは全く別の新たなオカルト体系理論を構築するくらいしかないはずなのですが、薬師寺シリーズは前者も後者も全く行う気配がありません。オカルトの跳梁跋扈という「薬師寺シリーズ世界の作中事実」に目を背けながら「現実世界の常識」をいくら振り回したところで、そんなものには何の説得力もありはしないのですけどね。
オカルト問題に限ったことではありませんが、田中芳樹は現実とフィクションの区別をきちんとつけた上で、自分が構築したフィクション世界に、それとは全く相容れることのない現実世界の常識を持ち込まないように努めるべきでしょう。それは現実世界にフィクション世界でしか通用しない理論や概念を持ち込むのと同じくらいにトンデモなシロモノでしかないのですから。
薬師寺シリーズ7巻「霧の訪問者」 講談社ノベルズ版P27上段~下段
<原理主義というと、すぐイスラム教の過激派を想いおこすが、キリスト教にだって排他的な原理主義者はいる。じつはアメリカという国は、その種の連中の巣窟だし、意外なところでそういったものに出くわすこともあるのだ。
『ナルニア国物語』というイギリスの有名なファンタジー小説があって、映画にもなった。この作品はかなり保守的なキリスト教的世界観にもとづいて書かれたもので、あきらかにイスラム教を敵視したり女性に対して偏見を持った記述がある。その点に対する批判が欧米社会にはあるのだが、日本ではまったく問題にされなかった。日本は宗教に対して、よくいえば鷹揚だし、悪くいえば鈍感なので、『ナルニア国物語』も単なる異世界ファンタジーとして受容されたのだ。『指輪物語』の作者トールキンが『ナルニア国物語』をきらっていたとか、アメリカのキリスト教右派がこの本を政治的に利用したとかいう事実は、日本人には関係ないことだった。まあ実際、物語としてはおもしろいから、単にそれだけですませておくほうがオトナな態度かもしれない。>
……あの~、これって「アメリカという国」に「キリスト教の排他的な原理主義者」が多数存在し、「意外なところでそういったものに出くわす」ことを提示するための文章のはずですよね? それで出した事例が何故「【イギリスの】有名なファンタジー小説」になるのでしょうか?
「ナルニア国物語」は、イギリスの作家C・S・ルイスが1950年~1957年にかけて刊行したシリーズ作品であり、映画はともかく、原作の製作過程にアメリカ人が関わっているわけではありませんし、作品中の舞台もイギリス+異世界ナルニア国がメインで、これまたアメリカの登場する余地は全くありません。そしてこの社会評論は「ナルニア国物語」の作者および作品の思想批判がメインで展開されており、かろうじてアメリカが関わっていると見做せる記述は「アメリカのキリスト教右派がこの本を政治的に利用した」という、作者の思想および作品の内容とはおよそ何の関係もない記述だけです。
作家がどのような思想を持ち、作品がどのような内容であるかということと、そのような作家および作品にどのようなファンがついているかは全く関係のない事象ではありませんか。「アメリカのキリスト教右派」とやらがC・S・ルイスに積極的な協力を行い「ナルニア国物語」を出版させた、という前提でもない限り、C・S・ルイスの思想および「ナルニア国物語」の内容に対する評価に「アメリカのキリスト教右派」の存在は関連のつけようがないでしょうに。
第一、こんな評価ができるのであれば、田中芳樹の銀英伝や創竜伝なども、かつてオウム真理教の陰謀論的な教義のために利用された黒歴史があるのですから、田中芳樹およびそれらの作品についても「オウム真理教の排他的な原理主義者」だの「陰謀論的世界観で描かれている」だの「日本は宗教に対して、よくいえば鷹揚だし、悪くいえば鈍感なので、銀英伝や創竜伝も単なるSF&ファンタジー小説として受容されたのだ」だのといったことが言えてしまうわけなのですが、自分が直接関わったわけでもないことを元に、自分および自分の作品にそのような評価が下されて、田中芳樹は平然としていられるのですかね? ここで田中芳樹が「ナルニア国物語」について言っていることはまさにそういうことなのですが。
それと、「女性に対して偏見を持った記述がある」って、それを田中芳樹が他人に対して言える立場にあるのですかね? 「ナルニア国物語」は1950年代に書かれた作品ですから、当時のスタンダードな価値観を忠実になぞった結果として【現代的価値観から見れば】女性差別的に見える、という時代的な制約も当然あるでしょうし、何よりもそれによって作品を致命的な破綻に追いやるようなことはなかったわけですが、田中芳樹の、特に薬師寺シリーズ以降の女性描写は、金と権力に固執して他者を罵りまくるバカで電波な自己中心的権力亡者ばかり描きまくった挙句、作品構成の質もキャラクターの魅力も著しく減殺するようなシロモノにしかなっていないではありませんか。原作版キング・コングのアン・ダロウを「前近代的だ」という口実でもって、見るも無残な薬師寺涼子的電波怪人に性格設定を改竄してしまった己の所業を、まさか忘れてしまったわけではありますまい?
他人の作家および作品について見当外れなタワゴトをほざく前に、田中芳樹も作家なのですから、少しは「物語としてはおもしろい」作品を「自分が」執筆するように努めては頂けないものなのですかね。創竜伝や薬師寺シリーズは、「ナルニア国物語」などよりもはるかに「指輪物語」の作者トールキンからボロクソに罵られかねない超駄作なシロモノでしかないのですから(苦笑)。