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- board2 - No.908
Re: 石原発言
- 投稿者:小村損三郎
- 2000年05月21日(日) 12時37分
平松重之さんは書きました
> 今朝の朝日新聞を見たら、台湾訪問中の石原都知事が、「江沢民が台湾を併合したらヒトラーだ」とか、「そのうち必ず中国は分裂国家になる。アジア東洋の平和のために、共産主義独裁政権が崩壊する事を熱願する」などと発言したという記事が社会面に小さく載っていました。なんとも相変わらず歯に衣を着せないというか、懲りない人というか、と思うと同時に、いかにも創竜伝に出てくる極端なタカ派のキャラクターが言いそうなセリフとも思いました。田中氏が喜んで(怒って?)ネタに使いそうだ(でも批判する対象をヒトラーに例えるのって、田中氏も創竜伝の中とかでよくやっているんですよねえ…)。
石原さんはまたまたかましてくれましたね。
横暴な大国相手にガツンと言ってくれて小気味良いと思う反面、小市民的には
「核持ってる相手をあんまり刺激しないでよ~。」
とビビッちゃったりもしますが(^^;)。
まあ、あくまで台湾の行く道は台湾の人たちが決めることですから、日本人がとやかく言うことではないとも思います。
もっとも田中芳樹の言う所によると
「台湾は必ず中国に『復帰』する」
らしいんですけどね(^^;;)。
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- board2 - No.909
台湾が復帰?
- 投稿者:新Q太郎
- 2000年05月21日(日) 18時59分
> もっとも田中芳樹の言う所によると
> 「台湾は必ず中国に『復帰』する」
> らしいんですけどね(^^;;)。
さすがにそんな馬鹿なことは言ってないと思うんですが・・・・・・いや、そう信じたいですね。
ひょっとして、病気の江沢民の前に武装した陳水扁が殴りこみ、「閣下、(実効性のある)憲法をお作りください」と迫り和平成立。
そして江沢民逝去直前、イチかバチかのテロを仕掛けた法輪功と陳たちが戦う。そのあおりを食って、朱溶基が江の後を追うように死ぬ…といった展開じゃないだろうな。
(たんなる感想に、いちいち長いネタ振りすんなよ⇒俺)
-
- board2 - No.910
地震加藤
- 投稿者:平松重之
- 2000年05月22日(月) 03時43分
少し前ですが、冒険風ライダーさんの「私の創竜伝考察31」を読んでいて思った事がありました。
>創竜伝7巻 P88下段~P89上段
<近畿地方から瀬戸内海にかけては火山が存在せず、地震もすくない。関東大震災の直後、兵庫県加古川一帯への遷都が真剣に検討されたことがある。この地域が、日本でもっとも地質が安定し、大地震の恐怖がなかったからである。この事実は歴史学的にも興味を持たれるところで、
「中国大陸にも朝鮮半島にも、有史以来、火山活動はない。そこから古代日本に渡来した人々は、見慣れぬ火山を恐れた。だから火山のない大和・難波の一帯に王朝の中心を置いたのだ」
という説がある。>
>周知のようにこの主張はその後の阪神大震災によって見事に否定されてしまいましたが、あの社会評論の論理に従うのであれば、当然の事ながら田中芳樹はこの事を反省して「私の創竜伝における地震に関する主張は大はずれでした。皆さん、お騒がせしてすみません」とでも言って謝罪しなければならないはずなのですけど、当然の事ながらそんな事は全く行っておりません(笑)。「ローマ・クラブ」に予知能力がなかった事がそこまで非難に値するのであれば、自分の主張を一貫させるためにも、田中芳樹はこの件について自ら率先して謝罪しなければならないはずなのですけどね~。
自分の知る限りでは、豊臣時代の1586年と1596年の二度にわたって秀吉を震え上がらせた『伏見大地震』と呼ばれる大地震が関西地方で発生しています。その二度目の時、朝鮮出兵の際の不手際で謹慎を命じられていた加藤清正は真っ先に秀吉のもとに馳せ参じ、その功に喜んだ秀吉に許されています。
この「地震加藤」の話は結構有名なはずなのですが、田中氏は郷里(熊本県)の英雄の逸話をご存じなかったのでしょうか?
>小林損三郎さんへ
レスありがとうございます。それにしても、森首相の『神の国』発言にすら不快感を示した中国政府、この過激なる石原発言From台湾(笑)に対してどんな反応を示すのか楽しみというか恐いというか…。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.912
Re: 銀英伝考察2 ~ヤンが殉じたシビリアン・コントロールの実態~
- 投稿者:優馬
- 2000年05月22日(月) 06時17分
優馬です。
>
> 銀英伝7巻 P194下段~P195上段
> <「ユリアン、吾々は軍人だ。そして民主共和政体とは、しばしば銃口から生まれる。軍事力は民主政治を産み落としながら、その功績を誇ることは許されない。なぜなら民主主義とは力を持った者の自制にこそ真髄があるからだ。強者の自制を法律と機構によって制度化したのが民主主義なのだ。そして軍隊が自制しなければ、誰にも自制の必要などない」
> ヤンの黒い瞳が次第に熱を発した。ユリアンにだけは理解してほしかったのだ。
> 「自分たち自身を基本的には否定する政治体制のために戦う。その矛盾した構造を、民主主義の軍隊は受容しなくてはならない。軍隊が政府に要求してよいのは、せいぜい年金と有給休暇をよこせ、というくらいさ。つまり労働者としての権利。それ以上はけっして許されない」>
昔、これを読んだときは「なるほど、ふむふむ」と思ってしまいました。ああ恥ずかしい。
私も、昔は青かった(笑)。
こういう、いじけた、ひねこびた軍隊観というのは、日本独特のものでしょうねえ。一歩日本の外に出ると、軍人という職業は、尊敬されていますもの。
ところで、いつぞや日本海海戦の話題がありましたが、米国アナポリスの海軍士官学校には、東郷平八郎の等身大の肖像画が飾ってあるとか。世界中の海軍士官は、「海戦の完勝例」として日本海海戦を習っています。またその歴史的価値については、いうまでもなし。
- 親記事No.891スレッドの返信投稿
- board2 - No.913
Re: 『森喜朗都市』
- 投稿者:たまきち
- 2000年05月22日(月) 11時43分
>↑ ひょっとして5巻?(『蜃気楼都市』)に登場した
「日本海側の地方都市」と、そこを支配する一族のモデルなんてことは・・・(^^;;)。
>政界で森首相と言えば、「存在感がない」ことで有名で、「もり・きろう」ではなくて「しんきろう」と呼ばれています。
そして、日本海側のご出身、と来れば、ひょっとしてひょっとすると、とも思いますが、5巻刊行時にはこの渾名はポピュラーではなかったと思いますので、偶然の一致でしょう。もし、意識して書いたのだったらけっこうスゴイぞ。)
いや、これは違いますね。全国規模ではどこまで名前が知られているか不明なのですが、2年ほど前に亡くなった奥田敬和氏との選挙時の「森・奥戦争」が地元では有名です。しかも石川県の中心都市である金沢では奥田氏のほうが勢力が強かったのです。しかも最近の選挙区制度では森総理は金沢が地盤ではなく、もっと県南部の選挙区からのでています。ちなみに故奥田氏は自民党時代は郵政大臣などをやっておりましたが、新進党や太陽党へと所属を次々に変えていった人物です。
森喜朗と書いて「しんきろう」と読むのは大爆笑させていただきました。これは今まで知らなかったのですが大変おもしろかったです。しかし1つ訂正させていただくと本名は「もり・きろう」ではなく「もり・よしろう」です。
>ところで、再来年のNHK大河ドラマが『利家とまつ』に決まったそうなんですが、大河ファンの間からも
貧困な企画」
七番・八番煎じ」
「『おんな太閤記』裏バージョン」
「なんで『葵』の放送中に同時代のネタを発表するんだ」
と非難囂々です。
で、一説によると森サンが
「前田利家を大河ドラマに」
というのを選挙公約に掲げたそうでして(爆死)。
>観光都市・金沢の地盤沈下へのテコ入れの為無理矢理NHKにねじ込んだのでは、なんて邪推する声もあります。
これについては選挙公約云々については、初耳ですのでたぶん単なるデマだと思います。公約としては聞いたことがないです。大体公約されてもごく1部にしかメリットがないですからね。しかも直接の選挙民には全くといっていいほど無いでしょう。でも無理矢理NHKにねじ込んだのではという話については、噂として地元でも陰では少々出たりしているので、完全否定するつもりはありません。
この大河ドラマ誘致については去年あたりから急に一部の人間が騒ぎだしたことで、一般市民としては「だから何?」という反応が多いです。この一部の人間の中には先述した新聞社も含んでおります。6月の百万石祭での武者行列の前田利常役の公募でも、応募者10人というようなところです。しかも選ばれた人を見ると前田利家を奉った神社の宮司だったりする状況で、冷めているというか無関心と言うか…。ただし応募者が少なかった理由は、応募条件に「乗馬ができる」というのがあったせいも否めませんが。
まあ金沢が観光都市という発想はせいぜいで20年ほど前に出たものだからなのでしょう。昭和40年代には歴史的な町名を非合理的という名目で次々に廃止したり、まだ実施こそされてませんが武家屋敷をつぶして大きな道路を造ろうという計画を作ったりしたくらいですから。
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- board2 - No.914
Re912:日本における軍隊蔑視思想その他
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年05月22日(月) 16時30分
<昔、これを読んだときは「なるほど、ふむふむ」と思ってしまいました。ああ恥ずかしい。
私も、昔は青かった(笑)。
こういう、いじけた、ひねこびた軍隊観というのは、日本独特のものでしょうねえ。一歩日本の外に出ると、軍人という職業は、尊敬されていますもの。>
日本における軍隊蔑視思想というのは昔からあるもののようで、その起源ははるか平安時代にまでさかのぼる事ができます。平安時代の政府は直属の軍隊を廃止してしまいましたし、鎌倉幕府が元寇を2度にわたって退けた時も「我々がひたすら天に祈ったおかげで神風が吹いて元寇が防げたのだから、武士に恩賞をくれてやる必要はない」などと主張していた公卿(北畠親房でしたっけ?)がいましたし。
現代日本の政治家や官僚の中にも「自衛隊はすぐに鉄砲を撃ちたがるから危ない」などと公言したり、自衛隊の司令官に面と向かって「政治家はお前達よりよっぽど偉いんだ」などと堂々と主張したりする人物がいるようですけど、こんなことをしていたら自衛隊員の士気を削ぎ、自衛隊の運営に支障をきたすだけで百害あって一理なしです。
このような自衛隊に対する偏見まじりな被害妄想もいいかげんにしてほしいものなのですが。
<ところで、いつぞや日本海海戦の話題がありましたが、米国アナポリスの海軍士官学校には、東郷平八郎の等身大の肖像画が飾ってあるとか。世界中の海軍士官は、「海戦の完勝例」として日本海海戦を習っています。またその歴史的価値については、いうまでもなし。>
まあ田中芳樹にしてみれば、日露戦争において日本が勝利した事自体が気にいらないのでしょうから(何しろ「日露戦争でロシア帝国に『勝利してしまった』」などと言っているのですから)、日本海海戦の歴史的価値などどうでも良いのでしょう(笑)。
秦檜評価論の時も、直接金との和平を結び、南宋に平和と経済的繁栄をもたらした秦檜に対してひたすら罵倒と誹謗中傷を浴びせ、それこそ単なる「一局地戦の指揮官」でしかなかった岳飛をやたらと礼賛していましたからね~。ひょっとすると田中芳樹は、地道に戦略的・政治的勝利をおさめる人の活躍などよりも、派手でマニアックな戦術的勝利しか勝ち取れない人の方に魅力を感じるのかもしれません(笑)。政治は結果が全てなのですけどね~。
そう言えば確かヤンも最後まで「一局地戦の指揮官」であり続け、何らの戦略的・政治的勝利をおさめることができなかった人でしたね。そのヤンが銀英伝における主役的存在なのですから、ひょっとすると口で何やかやと言っておきながら、銀英伝の頃からすでにこの方針は一貫されていたのかもしれません。
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- board2 - No.916
Re: 『森喜朗都市』
- 投稿者:新Q太郎
- 2000年05月22日(月) 16時49分
>いや、これは違いますね。全国規模ではどこまで名前が知られているか不明なのですが、2年ほど前に亡くなった奥田敬和氏との選挙時の「森・奥戦争」が地元では有名です。
-----------------
地方ボスが複数いると、お互い醜聞をバクロしあってけっこう風通しがよくなるのかもしれませんな。二虎なんたらで。
ところで、今度その奥田ジュニア氏を蹴落とすべくヒットマンになったのがアマレス五輪経験者・プロレスラー馳浩参院議員ですわな。
彼のプロレスラーとしてのセンスは非凡なものがあるが、女性問題は親分に劣らずあるのにそのへん大丈夫なんかね(参院議員なら「芸人」ノリで許してもらえたが)。
ところでたまきちさんが紹介された、森の地元における地方紙との癒着ということですが、それこそ「インターネット」がある以上、地元紙は良かれあしかれ「外部の目」にさらされていくから、これからはあまり無茶はできなくなるでしょう。所詮、地方王国は物理的な「狭さ」という防護壁によって成り立つものです。
例えば他県に「○○新聞を撃つ!」といったサイトがあっても、潰すことはもはや不可能でしょうね。
でも結構、「町全体が有力者に牛耳られてる」という設定のアクション小説って多いよね。どら息子とかいて、正義のジャーナリストや市会議員がいて、とかいう話。
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- board2 - No.917
Re: 地震加藤
- 投稿者:優馬
- 2000年05月22日(月) 19時59分
平松重之さんは書きました
> レスありがとうございます。それにしても、森首相の『神の国』発言にすら不快感を示した中国政府、この過激なる石原発言From台湾(笑)に対してどんな反応を示すのか楽しみというか恐いというか…。
>
最近、こういう中国の反応を見るにつけ「中国政府はそれほど日本が怖いのだ」と思うようになりました。政治家の失言にいちいち外相や首相が反応する過敏さは、ただごとではない。江沢民訪日のときの「歴史認識」問題に見える「度量のなさ」は、彼ら共産党政府が深刻な正統性危機にあるため、と見ます。臆病で弱いから、対外的に虚勢を張らざるをえないのです。とても、おつき合いしづらい性格の方たち。
さて、我が国の外交当局はこのへんの機微がわかっているのかしらん。
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- board2 - No.918
Re914:中国における軍隊蔑視思想
- 投稿者:優馬
- 2000年05月23日(火) 00時46分
冒険風ライダーさんは書きました
> 日本における軍隊蔑視思想というのは昔からあるもののようで、その起源ははるか平安時代にまでさかのぼる事ができます。平安時代の政府は直属の軍隊を廃止してしまいましたし、鎌倉幕府が元寇を2度にわたって退けた時も「我々がひたすら天に祈ったおかげで神風が吹いて元寇が防げたのだから、武士に恩賞をくれてやる必要はない」などと主張していた公卿(北畠親房でしたっけ?)がいましたし。
おっしゃるとおりですね。
でも、考えてみると、中国こそ「武官蔑視思想」の本場なのでは?「良い鉄は釘にならない。良い人間は兵隊にならない」という諺があるぐらいです。日本の「軍隊嫌い」は日本独特の宗教感覚によるものと思いますが、中国の「武官蔑視」は政治的なものです。
歴史的には、宋代に科挙制度と皇帝専制が確立してからこっち、「文官優位」の原則が確立します。それはいいのですが、「武官蔑視」もまた確立して、以来中華「正統」王朝は、異民族に戦争で負けっ放し。王朝の創業者とその孫くらいまでの世代は何とか頑張りますが、その後はからっきし。戦争に負け、亡国を何度繰り返しても「武官蔑視」を修正できない中国人。どうしてなんでしょうね。
そう考えると、ヤンの徹底的に間違った「シビリアン・コントロール」の概念って「伝統的中国の発想」に近いのかもしれませんね。そう言えば、あの国には「政府の暴走」をチェックするシステムは、歴史的に存在していないなぁ・・・。
「銀英伝」の「帝国」と「同盟」というのは、実はどちらも中国伝統政治システムに酷似していて、単に「勃興期の王朝」と「衰退期の王朝」の差でしかないのでは?!
ヤンのいじけた政治的怠慢は、「武官蔑視」に対する意趣返しなのかも。
ひょっとして、田中氏の中では、ヤン=岳飛なのでしょうか??
- 親記事No.907スレッドの返信投稿
- board2 - No.919
紹介の仕方を間違えていたようです
- 投稿者:魚肉
- 2000年05月23日(火) 08時37分
ttp://www.j-world.com/usr/sakura/japan/index.html
人権思想とキリスト教と日本との関係がわかりやすくなっています。
参考になるかもしれません。私の論点がずれていたらすみません。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.920
Re918:軍隊蔑視思想の起源
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年05月23日(火) 15時39分
<考えてみると、中国こそ「武官蔑視思想」の本場なのでは?「良い鉄は釘にならない。良い人間は兵隊にならない」という諺があるぐらいです。日本の「軍隊嫌い」は日本独特の宗教感覚によるものと思いますが、中国の「武官蔑視」は政治的なものです。
歴史的には、宋代に科挙制度と皇帝専制が確立してからこっち、「文官優位」の原則が確立します。それはいいのですが、「武官蔑視」もまた確立して、以来中華「正統」王朝は、異民族に戦争で負けっ放し。王朝の創業者とその孫くらいまでの世代は何とか頑張りますが、その後はからっきし。戦争に負け、亡国を何度繰り返しても「武官蔑視」を修正できない中国人。どうしてなんでしょうね。>
それはおそらく中国における軍隊の質そのものに原因があるのでしょう。
日本の場合は殺生行為や動物の皮を剥ぐ仕事などを異端視し、排除しようとする「穢れ」という考え方が軍隊蔑視思想の元になっていて、これは神道に基づいてできたものです。この伝統的な考え方に基づく偏見によって日本では軍隊が蔑視されているので、その軍隊の実態が公明正大であろうが何だろうが関係ないわけです。自衛隊に対する非難なども、その大半は偏見と誤解に基づくものです。
それに対して中国の場合は伝統的に軍隊の質そのものが非常に劣悪で、昔から中央政府の軍隊以外にも宗教的秘密結社や地方軍閥による大小無数の武装集団が存在し、それらが村落レベルに至るまで慢性的な闘争をやっている上、それらの雑軍的な武装集団の統制をとるために司令官自らが兵士の略奪や婦女暴行を奨励している事が、軍隊に対するイメージを大きく悪化させているという事情があります。何しろ中国では軍隊が略奪行為を行うのは当然であると考えられていて、それがない軍隊は特筆大書されるというありさまですからね。これでは軍隊が民衆や政府から好意的に見られるわけがありません。
いずれにせよ、このような軍隊蔑視思想や政治的思惑に基づく無理矢理な軍隊統制の行きつく先は「政府の暴走」か「軍部の反動」かのいずれかであって、どちらにしてもロクでもない結末をむかえる事は歴史が証明しています。ヤンはこの辺りを考えた事はなかったのですかね~。
<ヤンの徹底的に間違った「シビリアン・コントロール」の概念って「伝統的中国の発想」に近いのかもしれませんね。そう言えば、あの国には「政府の暴走」をチェックするシステムは、歴史的に存在していないなぁ・・・。
「銀英伝」の「帝国」と「同盟」というのは、実はどちらも中国伝統政治システムに酷似していて、単に「勃興期の王朝」と「衰退期の王朝」の差でしかないのでは?!>
同盟の政治システムは表面だけを見ればアメリカの大統領制そのものなのですけどね。ただひとつ違う所は議会の存在が希薄であるというところで、このためにシビリアン・コントロールが「伝統的中国の発想」に近くなってしまっていると考えるべきでしょう。
それにしても、民主主義国家だというのであれば議会の存在は必要不可欠であるはずなのに、なぜ銀英伝世界の民主主義国家には議会が存在しないのでしょうかね? どうも銀英伝世界の民主主義とは、立法府の力が全く無力で行政権力が強大な力を持つ「独裁制民主主義」とでもいうべきシロモノであるようにすら思えるのですが、ヤンはこんなものを守るために戦っていたのでしょうか?
<ヤンのいじけた政治的怠慢は、「武官蔑視」に対する意趣返しなのかも。
ひょっとして、田中氏の中では、ヤン=岳飛なのでしょうか??>
だとすると、トリューニヒト=秦檜ということになりますね(笑)。
実際、トリューニヒトは「ハイネセンの10億の市民を救う」という名目で帝国に降伏していますし、バーラトの和約を結んでとにもかくにも同盟の存続を帝国に認めさせています。それに帝国の政官界に人脈と金脈を広げて、帝国に立憲体制を確立しようとしていました。途中で暗殺されてしまいましたけど。
何とも皮肉な話ですね。エゴイストで「民主主義の裏切り者」であるはずのトリューニヒトの方が民主主義の存続に貢献していて、「民主主義をなんとか存続させよう」としていたはずのヤンとレベロの方が支離滅裂な行動で同盟を破滅に追いやり、戦争を長引かせていたわけなのですから。
歴史は案外、トリューニヒトの方をこそ「民主主義の擁護者」と評価するのかもしれません。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.921
Re: Re918:軍隊蔑視思想の起源
- 投稿者:宣和堂
- 2000年05月23日(火) 22時34分
優馬様曰く
> 歴史的には、宋代に科挙制度と皇帝専制が確立してからこっち、「文官優位」の原則が確立します。それはいいのですが、「武官蔑視」もまた確立して、以来中華「正統」王朝は、異民族に戦争で負けっ放し。王朝の創業者とその孫くらいまでの世代は何とか頑張りますが、その後はからっきし。戦争に負け、亡国を何度繰り返しても「武官蔑視」を修正できない中国人。どうしてなんでしょうね。
清以降、民国、共和国では決して軍人は蔑視の対象にはならなかったと思います。
> ヤンの徹底的に間違った「シビリアン・コントロール」の概念って「伝統的中国の発想」に近いのかもしれませんね。そう言えば、あの国には「政府の暴走」をチェックするシステムは、歴史的に存在していないなぁ・・・。
諫官と言う制度は唐代からありますから(太宗と魏徴はその理想として書かれる)、日本に比べれば政治の暴走をチェックする機関は発達しています。
でもソレで却って政治的停滞を巻き起こす結果にはなると思います(皇后の冊立問題や叔父→甥の相続の時によく起こる祭礼、名称問題など)。
> 「銀英伝」の「帝国」と「同盟」というのは、実はどちらも中国伝統政治システムに酷似していて、単に「勃興期の王朝」と「衰退期の王朝」の差でしかないのでは?!
>
再び優馬様曰く
> <ヤンのいじけた政治的怠慢は、「武官蔑視」に対する意趣返しなのかも。
> ひょっとして、田中氏の中では、ヤン=岳飛なのでしょうか??>
ソレはないでしょう。ヤンの性格はそれほど悪くないです。岳飛は有能ですが、同僚としたら非常にイヤな存在ですし、何よりもうるさい…。その点は『紅塵』を読めば分かりますよね。どちらかと言えば韓世忠の方が近いです。モデルはもっと他にいますが…。
冒険風ライダー様曰く
> だとすると、トリューニヒト=秦檜ということになりますね(笑)。
コレはおそらくモデルの一人だとは思います。両方ともとらえどころが無くて、いつの間にか権力の中枢にいて失脚しない…。おっかないです。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.924
三権分立
- 投稿者:平松重之
- 2000年05月25日(木) 04時14分
Re918で冒険風ライダーさんの意見に、
> それにしても、民主主義国家だというのであれば議会の存在は必要不可欠であるはずなのに、なぜ銀英伝世界の民主主義国家には議会が存在しないのでしょうかね? どうも銀英伝世界の民主主義とは、立法府の力が全く無力で行政権力が強大な力を持つ「独裁制民主主義」とでもいうべきシロモノであるようにすら思えるのですが、ヤンはこんなものを守るために戦っていたのでしょうか?
とありました。実は自分も銀英伝の記述を鵜呑みにしていた口なので、(^_^;)あまり偉そうな事は言えないのですが、立法・行政といえば司法についても言及しなければならないでしょう。銀英伝の第6巻では、銀河帝国の高等弁務官であったレンネンカンプのヤン逮捕の勧告に屈したレベロが、ヤンを逮捕するように処置を下していますけど、レベロはあくまで行政府の長であって、司法に対しての権限は持っていないはずなのではないでしょうか? これは行政の司法への不当な介入といえるのでは? そして司法側も行政側の命令にあっさり従ってヤンを逮捕しています。これはすなわち司法が行政側に主導権を握られていると解釈出来ます。
司法・立法・行政の三権が鼎立していない自由惑星同盟とは、果たしてまともな近代(近未来?)国家なんでしょうか?
>冒険風ライダーさん
投稿方法に関してのご指摘ありがとうございます。ネットにはまだ慣れていないのでこの様な無知な事をしでかし、ご迷惑をおかけしました。以後注意いたします。m(__)m
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- board2 - No.925
失礼しました
- 投稿者:平松重之
- 2000年05月25日(木) 04時28分
前の書き込みで『小村』を『小林』と間違えていました。m(__)m
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.926
Re921/924:ヤンと岳飛の共通項と三権分立について
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年05月25日(木) 09時28分
>宣和堂さん
<ソレはないでしょう。ヤンの性格はそれほど悪くないです。岳飛は有能ですが、同僚としたら非常にイヤな存在ですし、何よりもうるさい…。その点は『紅塵』を読めば分かりますよね。どちらかと言えば韓世忠の方が近いです。モデルはもっと他にいますが…。>
これはどうでしょうか。ヤンと岳飛とでは、性格においても政治的立場においても結構共通項があるように思えるのですが。
岳飛もヤンも、その現実無視かつ支離滅裂な政治的スローガンはともかく、自分が仕えていた政治体制の維持にすくなからぬ貢献をしていたにもかかわらず、政府に疎んじられた挙句、時の政府から不当な冤罪にかけられたという点では共通項がありますし、それにヤンも岳飛と同じように、自分が気に入らない相手に対しては相当に不遜な態度を取っています(特に政治家に対して)。さらに自軍の中や民衆における名声が高かったことや、政治家に憎しみの目を向けられていたこともまた共通しています。
したがって、ヤン=岳飛という解釈は立派に成立するのではないでしょうか。
<コレはおそらくモデルの一人だとは思います。両方ともとらえどころが無くて、いつの間にか権力の中枢にいて失脚しない…。おっかないです。>
しかし結果的にどちらがより現実的な政策が行えたか、といえば間違いなく秦檜タイプの人間でしょう。すくなくともヤンや岳飛はまともな政治的構想や運用方法が全くできていません。理想ばかりを追うあまり、現実が全く見えていなかったのですから。
「政治は結果が全てである」という観点から見れば、どちらがよりまともであるかは一目瞭然なのではないでしょうか。
>平松重之さん
いえいえ、こちらこそお手数をおかけして申し訳ありません。m(__)m
それでは改めて、はじめまして。
<立法・行政といえば司法についても言及しなければならないでしょう。銀英伝の第6巻では、銀河帝国の高等弁務官であったレンネンカンプのヤン逮捕の勧告に屈したレベロが、ヤンを逮捕するように処置を下していますけど、レベロはあくまで行政府の長であって、司法に対しての権限は持っていないはずなのではないでしょうか? これは行政の司法への不当な介入といえるのでは? そして司法側も行政側の命令にあっさり従ってヤンを逮捕しています。これはすなわち司法が行政側に主導権を握られていると解釈出来ます。>
これは違います。レベロが警察あたりに権力を行使して容疑者を逮捕させる処置を下すこと自体は正当な行政権力の行使にあたります。
法律に従って判決を下したり、刑を執行したりするのは司法の役目ですが、容疑者を逮捕し、証拠を集め、法廷で被告の有罪を主張する検察は、実は司法ではなく行政権力として位置づけられています。そして司法はこの強大な行政権力から被告の権利を守るために存在しているものであって、だからこそ検察は被告の犯罪行為を完璧に立証しなければならないわけです。
実は「三権分立」の意義とは、強大な権限を行使する行政権力を立法と司法が監視するというところにあるのであって、それほどまでに行政権力とは暴走すると恐ろしいものであるということです。しかし行政権力が強大な権限を持つこと自体は政治運営において非常に重要なことですから、行政権力を効率良く運用し、その暴走を防ぐためのチェック機能を確立するひとつの方法論として「三権分立」の思想は生まれたわけです。
話を戻しますと、あの逮捕命令でレベロが責められるべき点は、逮捕を命じたことそれ自体ではなく、その逮捕命令を何の物的証拠もなしに行ったことです。これは行政権力の濫用にあたり、法治主義の観点から言っても弁護の余地はありません。
まあもともとレベロはヤンを裁判にかけて有罪判決にもっていこうと考えていたわけではなく、最初から謀略によってヤンを犠牲にすることが目的だったのですから、最初から司法の事など眼中にはなかったのでしょう。こういうことを防ぐためにも、行政権力に対するチェック機能は必要不可欠なはずなのですが。
それにしても、レベロがヤンを逮捕させようとするのであれば、別に「事後法」などを使わずとも合法的にできる方法なんていくらでもあったのに、何でそれを行わなかったのか、私はそちらの方が不思議でなりませんね。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.927
Re: Re921/924:ヤンと岳飛の共通項と三権分立について
- 投稿者:平松重之
- 2000年05月25日(木) 10時16分
>冒険風ライダーさんへ
こちらこそ改めてはじめまして。
なるほど。自分は三権分立に対して誤解していましたね。またもや無知をさらけ出してしまいました(^^;)。
一方ヤンと岳飛の共通項に付いてですが、敵対勢力への対応についての主張はまったくの正反対であると思います。ヤンが同盟の国力低下を危惧し、民力休養の為に銀河帝国との和平と共存を考えていたのに対し、岳飛はあくまで金との和平に反対し、主戦派としての態度を一貫して保っていました。同盟滅亡後もヤンは銀河帝国との共存を前提とした政戦両略しか立てていません。
また、ヤンが批判しつつも自分の上位にいる同盟政府に従ったのに対して、岳飛は上位にいる秦檜の主張する和平に真っ向から異論を唱えています。いわばヤンに比較して、岳飛の方が強硬である様に思え、理念や気質的にはヤンの面影は感じられないと思うのですが…
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.928
はじめまして と Re:ヤンと岳飛の共通項
- 投稿者:しんご
- 2000年05月25日(木) 11時32分
みなさん
どうも初めまして。
特に! 冒険風ライダーさん。楽しく「考察シリーズ」読ませていただいてます。
最近ネットを初め、検索するものも思いつかず、ふと「田中芳樹」と打ったのが、幸か不幸かわかりませんが、このページにたどり着きました(笑)。
もちろん「幸」というのは、久しぶりに田中作品を思い出せたことと、みなさんの詳細な検証、鋭い論旨等の批判に出会えたことであります。そして「不幸」というのは、膨大な過去ログを読むために睡眠時間を削り、寝不足であるということです。(不幸とは言わんか・・・)
もうすぐ三十路となります。「ああ、銀英伝を読み始め、田中作品と出会ってから10年近くも経つのか」と、彼と出会ったのが遅めの私は昔を思います。
「創竜伝」のせいで冷めてしまった田中氏への思いを皆さんのようにうまく処理(失礼。誤解のないように。)できなかったもので、なんだか羨ましく思います。もう一度彼の作品を読み、機会があれば書き込みますね。
それと「ヤンと岳飛の共通項」ですが、私は岳飛をあんまり知らないのでなんとも言えませんが、
ヤン=岳飛 ではなく ヤン⊃岳飛
すなわち、モデルの一人でしょうから、このまま、イコールかノットイコールかの流れではしんどいのではないかと思います。
どのあたりが似ていて、どのあたりが決定的に違うのか、をまとめて教えていただければ分かり良いのですが・・・(贅沢な奴や)
なにしろ、田中芳樹 中国もの 読んでません・・・。
では、長文失礼。尚、議論に邪魔であれば、レスは無理しないで下さい。
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- board2 - No.929
はじめまして
- 投稿者:Magari
- 2000年05月25日(木) 17時23分
以前からちょくちょく覗かしては頂いてました。過去ログもやっと読み終わりましたんで(面白かったけど……しんどかった(^^;)、取り敢えずご挨拶をさせて頂きます。
私が最初にハマッたのは、銀英伝でした。ノベルズがまだ全巻でていない頃で、続きが出るのが待ち遠しくて仕方なかったのを覚えています。それから暫くは、田中芳樹モノをかなり無節操に漁ってました。あの悪名高き(笑)創竜伝さえ、途中までは結構面白く読んでいた様な気がします。社会評論も、気にもしていませんでしたし……。ある意味、皆さんほど真剣に読んでなかったのかも知れません。テンポ悪いなぁとか、くどいなぁとか、感じてはいましたが。最初に不快感を感じたのは夢話で一冊埋められた時で、11巻でキレて全巻売り払ってしまいました。
しかし、私にとって田中芳樹最悪の小説といえば何と言っても隋唐演義です。なにしろ高い。しかもつまらない。金庸の武侠小説を差し置いて買っただけに怒りも倍増です(それはヤツアタリだ(^^;)。まあ編訳って事だから仕方無いとも言えるんでしょうけど、中国古典の伝道師たろうとした人物がそれでいいのか……。以前どなたか仰ってましたが、『それはあんたの仕事じゃないだろ』『もっとフカシをコかんかい!』といった気分です。シリーズ化にも失敗しているみたいですし……それとも遅いだけ? よく分かりません。『ハクづけ大作戦』にしくじったらしき事は分かるのですが:-)
それでも、私はまだ彼を見捨ててないんです。何となく、老境に入って今の変な脂が抜けたら、すっごい面白い小説を書くんじゃないかと、そんな気がしてまして……。一度は心酔した者の未練かも知れませんが、是非ともそうであって欲しいものです。
……もちろん、脂ぎってる内に初心に返ったり悟りを開いたりしてくれてもいいんですが。いやむしろそうなれ(笑)