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- board2 - No.1124
よほど好きなんですね^^;
- 投稿者:霜剣
- 2000年07月01日(土) 22時16分
偶然このBBSに辿りついた者ですが
なんというか・・・
よほど田中芳樹さんのこと好きなんですね^^;
愛情がひしひし伝わってきます(笑)
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1126
Re1106: ヤンは本当に出来る範囲で精一杯やっていたか?
- 投稿者:Merkatz
- 2000年07月01日(土) 23時48分
かっつさん、こんにちは。
>Merkatzさんが例にあげるこの時期は、独裁者であるヒトラーが、既に国防軍最高司令官、
>陸軍最高司令官などを兼任しており、集団軍司令官であるマンシュタインの直接の
>上司だった(直属していた)ということは重要です。
はい、もちろんそのことは知っています。
あの投稿には書きませんでしたが、マンシュタインは直接ヒトラーに諫言する以外にも、ツテを頼りに上申するということもしており、おそらくヒトラーがただの政治家だったとしても、同じように努力を惜しまなかったであろうと思ったからです。
それにマンシュタインの忠告内容は、たんに戦場の一局面に限らず、戦争全体のことまで及んでいます。これは政治家としてのヒトラーを意識していたからではないでしょうか。
いずれにしてもマンシュタインは、ヒトラーが軍における上司であり、かつ軍部の上に立つ政治家でもあるからこそ、なおのこと自身の責任の重大さを痛感し、必死になってそれを果たそうとしたのでしょう。
仮にマンシュタインの熱意が、軍事に限定されるものであったとしても、ヤンと充分比較できると思います。特に酷いと思うのがヤンの第二艦隊作戦参謀時代ですね。
ヤンは一度は進言しますが、それが却下されると「まあいい。給料分の仕事はしたさ」であっさり引っ込んでしまいます。しかし、それで済むことでしょうか?一介の作戦参謀とはいえ、彼は何十万もの将兵の命に関わる仕事をしているのですよ。それを「給料分の仕事はしたさ」で片づけられては、下っ端の兵士は堪りませんよ。
もし、もっと強硬に進言していたら、つまりヤンが「給料分以上の」仕事をしていたら、死ななくてよかった兵士がいるかもしれない。アスターテなどは特にそう思いますね。
そう考えると、ヤンは軍人としての責務を一体何と考えていたのかと疑問に思います。
ヤンは地位と責任という観念が、根本的に欠落しているか、もしくは希薄であるとしか思えないのです。
冒険風ライダーさんの指摘といくらかは重なりますが、
>ヤンはその地位の制約の中で、手続きを踏んで民主主義の擁護に努めていると思います。
というのは、私も到底そうは思えません。
クーデターの時は、私的にビュコックに会うという形でしたが、公的に問題にした方が、遥かに効果が高かったのではないですか?
問題が公になればクーデター派も動きにくくなるでしょうし、辺境の軍指令官とはいえ、同盟の英雄ですよ。その言動にはそれなりの政治効果が付随するのではないですか?
もしヤンが本気で民主主義の擁護に努めるならば、そういった己の虚像を利用することすら考慮すべきだったのではないでしょうか。
>それを考えると、ヤンも人間ですから不完全なところはありましたが、出来る範囲で精一杯やっていたと
>認めてもいいのではないかと思います。
冒険風ライダーさんご指摘のように、同盟の政治システムが不明のため言及できない部分はありますが、
少なくとも「出来る範囲で精一杯やっていた」とは到底思えません。
ヤンの地位、名声などを考慮すれば、彼はその意志さえあればより多くの命を救えたと思います。
彼は故意に「前線の一軍人」という枠を自分に嵌めて、余計な努力をしなくていいように回避した、
言い換えれば、わざと「給料分の仕事だけしていればよい」状態にしていたのではないでしょうか。
軍に限定するとしても、ヤンがマンシュタイン並の熱意をもって、直接の上司は言うに及ばず、ありとあらゆる軍関係者、およそ自分が手の届きうる範囲すべてに、働きかけていたら、同盟はもっと違った歴史を歩んでいたかもしれないと思うのは間違っているのでしょうか?
- 親記事No.1124スレッドの返信投稿
- board2 - No.1127
Re: よほど好きなんですね^^;
- 投稿者:優馬
- 2000年07月02日(日) 06時54分
霜剣さんは書きました
> なんというか・・・
> よほど田中芳樹さんのこと好きなんですね^^;
>
> 愛情がひしひし伝わってきます(笑)
ご明察(笑)
でも一ひねりも二ひねりも屈折しておりますでしょ?
純情な初恋時代はとうに終わり、こちらも大人になってみると、かつての恋人のアラやら性格の悪いところやらが、ぼろぼろ見えてしまってしまって・・・
ここはそういう、結晶化作用から醒めてしまった「覚醒せる不幸な元・純情ファン」の集う場であると私は思っています。
・・・作者の髪の毛が寂しくなるのは歳月のいたすところで仕方がありませんが、創作力の方まで寂しくなる一方というのは、これこそ寂しい限り。わしらひねこびた読者がビックリするような名作を書いてくれれば、当サイトは挙げて絶賛するでしょうに。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1128
Re1122:智司氏への論争終結宣言
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年07月02日(日) 09時33分
<①は、軍部を行政の下部組織と考えた場合ですが、軍部の独立性を理由に説明されました。それゆえ行政・立法・軍部をプレイヤーとして見なす(②)のであれば、官僚が議会を動かすのと同様に、軍部が議会を動かす、つまり官僚政治に習っていえば軍部政治になる可能性があるということです。これは優馬さんの言葉を借りてもいえることだといったまでですし、軍部を諮問機関と捉えるのであれば、当然のことではないですか。だからこそ行政・立法・軍部の相互牽制は、おかしいのだと主張しているのですよ。①は私の印象が誤りのためですし、②=③でしょう。
あくまでも私は「相互牽制」という言葉から受ける印象(軍部の恣意を許しかねないというもの)に関して述べていた訳ですし、それに対して、冒険風ライダーさんは軍部独自の判断に基づく行動を認めると主張してきた訳でしょう。この対立構造は、一貫して変わっていませんよね。>
ウソをついてはイケマセン。そもそも一番最初に「立法府と行政府との癒着」なるシロモノを「論点」として持ち出し、私の反論に合わせて論点を変えてきたのはそちらですし、「軍部が独自の意見を立法府に対して述べようと全ての決定権は立法府にあるから『軍部が独自に動く動かない』は全く関係ない」と私が主張したのに対して、全然関係のない「相互牽制の表現による誤解」を持ち出してきたのもそちらです。最初からこれが問題だったのであれば一番始めにそう言っていれば良かったのです。そうすればここまで論点がこじれる事もなかったでしょうに。
そもそもあなたは自分の反論の主旨が間違っていたと判断した時点で自分の過ちを全面的に認め、その上で自分の論点を改めて整理した上で反論すべきではなかったのですか? にもかかわらず、あなたは私の反論を「取ってつけたような形で」肯定したばかりか、まるで私の反論を自分自身で展開していたかのように論調を進めた上で「別の論点」を持ち出しているではないですか。これが「論点のスリカエ」でなくて何だというのでしょうか。
<つまり、自分が関心のない意見は、どうでもいいという訳ですね。政治学は細分化されているとはいえ、代表されるものと代表するものの関係は、重要なテーマの一つなんですが、そう思うなら御自由に。でも私の意見はアレントやハイデッガーがまさに述べている事なんですけどね。もともとはマルクス?だったかな。いずれもファシズム研究の第一人者ですが、たぶん彼らよりも冒険風ライダーさんの方が賢いのでしょうね。>
それで? アレントやハイデッガーやマルクスがファシズム研究の第一人者だからといって、それが私の主張とどのように関わると言うのですか? まさかアレントやハイデッガーやマルクスについて何も知らなければ、独裁性誕生やファシズムについて言及してはイケナイとでも言うのではないでしょうね。
第一、政治学における「代表されるものと代表するものの関係」というのは本来「独裁性誕生の理由」という論点に基づいて出されただけのものであり、独裁性誕生の過程における双方の主張内容がほとんど同じである事を確認した以上、勝手に持ち出されたそちらの主張にそれ以上付き合う理由など当方には全くありません。
どうしてもその課題について述べたいと言うのであれば、新たにスレッドを作り、万人に自分の正しさを訴えてみればいかがです? やったとしても私は参加しませんけど。何しろ全然関心がないもので。
<おやおや、冒険風ライダーさんが、ファシズムは議院内閣制からしか生じていないということを受けて、行政府の権限が弱いと言及し、行政府の権限が強いものとして大統領制をあげていた訳でしょう。だからそれにのって議論したのですよ。だいたい「行政府の権限が強くなければならないからこそ、立法府のチェックシステムは確立されるべきである」というのは、私が大統領制だから(行政の権限が強いから)といって必ずしもいいとは限らないと指摘してからの言説です。それで、この矛盾をどう説明してくれるのかなと思った訳です。>
だから私は「大統領制と議院内閣制」には一言半句も言及していないと何度言ったら理解していただけるのでしょうかね。何度も言いますけど私は「行政権力が強い弱い」としか言っていませんし、その理想を一番実現している例としてアメリカ大統領制を挙げたまでの話です。それが「大統領制と議院内閣制」に結びつくのはあなたの頭の頑迷な公式論の中だけの話でしょう。私はあなたの考えに基づいて発言しているわけではないのでそういう意味には取っていないのです。自分だけで考えている公式論をムリヤリ論争相手の主張に当てはめて考えるクセはやめましょう。
それに「行政府の権限が強くなければならないからこそ、立法府のチェックシステムは確立されるべきである」という意見はNo.998ですでに述べていますし、最初の論争の時にこの投稿番号を指摘してもいたのですけど、残念ながら全く読んではいただけなかったようですね(T_T)。あなたは他人と論争をする前に、まずは論争相手の投稿を全て読むという事から始めた方が良いのではないですか?
<という前に、私の意見を決め付けて、似非民主主義者呼ばわりした人に言われてもね。私は、少なくとも間違っていると思えば、その都度訂正していたけれど、冒険風ライダーさんにいたっては、何一つ訂正しないし、中傷までするのですから。>
アレはあなたの「行政府が暴走したらそれまで」という主張に対し、私がそれなりの根拠をつけて評価してさし上げただけの話なのですけど。そしてその評価に対して「あれは私の解釈違いでした」と逃げた挙句、またしても論点のスリカエを行ったのはどこのどなたでしたっけ?
あなたの致命的な間違いは、そもそも私がこのスレッドにおいて一体何を言っているのかを全然把握しようとすらせずに私に論争を挑んだ事にあります。何しろ私の投稿を全然読んでいないというのですから。したがって、
<この問題に関しては、これ以上の議論は無駄だと思います。>
という意見に私も全面的に賛成です。論争の基本が全然なっていないような相手と議論するなど労力の無駄でしかないですしね。
というわけで私はあなたとの議論を打ち切り、このスレッド内におけるあなたからの以後のレスにも一切応じない事を宣言しておきましょう。今まで御付き合いくださり、どうもありがとうございました。
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1129
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(10)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年07月02日(日) 15時58分
更に続き。
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シュタイナー別働隊の突進力を破壊力が、いかに優れていたか、キルヒアイス艦隊がいかに混乱したか、を如実に現していよう。
「いいようにやられてしまいましたね。リッテンハイム侯の幕下に、かように有能な人物がいるとは・・・・・」
キルヒアイスは正直驚いていた。無能と堕落の見本市のような大貴族連合軍に、このような鮮やかな手並みを見せる者がいるとは、考えてもいなかったからだ。メルカッツ上級大将クラスでも、ここまで見事な戦術手腕を発揮できるかどうか、と思える程である。
「提督、先ほど通り抜けて行った敵艦隊の先頭集団の中に、とんでもない艦を見かけたのですが・・・・」
ビューロー准将が、半分以上青ざめた顔で、キルヒアイスに告げた。
「どうしたのです?ビューロー准将。とんでもない艦とは一体?」
キルヒアイスは不思議そうな顔をする。ビューローが何を言いたいのか、解らなかったからである。
「高速戦艦『ダンツィヒ』です、閣下」
「ダンツィヒ?」
艦名を聞かされても、キルヒアイスはそれが何を意味するのか、直ぐには理解できなかった。
「何年か前の第何次かのティアマト会戦において、抜群の働きを見せた、エーリッヒ・フォン・タンネンベルク准将に、少将への昇進と同時に、前皇帝陛下から下賜された艦です。何しろ、その戦いでタンネンベルク准将は、1000隻の分艦隊を率いて敵4000隻余りを破壊したのみならず、最後はワルキューレ隊の出撃にあたり、自ら戦闘艇に乗り込んで陣頭指揮を行い、自分でも一機を撃墜したのみならず、出撃機数の三倍の敵機を屠ってきた、という程です。『ダンツィヒ』の下賜は、その功績に対する恩賞でした。本来、大将にしか下賜されない個人旗艦を、昇進して少将になったとはいうものの、准将の位にて受けた、と当時たいそう評判になったのです。しかも、タンネンベルク少将は、一応艦の下賜は受け、しばらく乗艦として使用したものの、そのあとすぐに竣工した、タンネンベルク伯爵家が費用を負担して発注した新造艦『カール・フォン・クラウゼヴィッツ』に乗り換え、『ダンツィヒ』は部下に任せてしまったということです。さすがに前皇帝陛下も、これには苦笑されたそうですが、『クラウゼヴィッツ』の建造が進んでいることは承知で『ダンツィヒ』を下賜されたそうなので、タンネンベルク少将は、特にそれ以上咎められるようなことはなかったそうですが」
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<以下続く?>
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1130
Re: Re1097/1101:銀英伝の世界設定における人口と大量亡命の関係その他
- 投稿者:新Q太郎
- 2000年07月02日(日) 16時46分
> であって、大統領制と議院内閣制で思い出したことがあるけど、むかし『朝まで生テレビ』でフランス人のコリーヌ・ブレが、「自民党政権がずっと続いている日本は民主主義国家じゃない」といったとき、西部進と栗本慎一郎が、「何を言ってるんだ、今の先進国のシステムで、構造的に一番ファシズムに近いのはフランスだ」と言ってました。「ドゴールもミッテランも、およそ日本その他では考えられないような強力な権力をもち、さらにそれによって強引な政治行動を行ったことも何度もある」とか。
アルジェリアとかの話なんだろうか?
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1131
半可通の若い衆へ
- 投稿者:優馬
- 2000年07月02日(日) 19時16分
智司さんへ。
> つまり、自分が関心のない意見は、どうでもいいという訳ですね。政治学は細分化されているとはいえ、代表されるものと代表するものの関係は、重要なテーマの一つなんですが、そう思うなら御自由に。でも私の意見はアレントやハイデッガーがまさに述べている事なんですけどね。もともとはマルクス?だったかな。いずれもファシズム研究の第一人者ですが、たぶん彼らよりも冒険風ライダーさんの方が賢いのでしょうね。
・・・貴兄は、ご自分の知人や先輩に対しても、このような非礼なものの言い方をされる人物か?
1883年没のマルクスが「ファシズム研究の第一人者」であるかどうかという「瑣末な」ことは置いといても、極めて礼儀を失したものの言い方です。このような言説を読ませられるのは、迷惑であるのでハッキリ申し上げる。
ネット上で匿名の議論をする場合だからこそ、礼儀と相手に対する配慮が必要です。
貴兄の元気が良いのは認めるが、言っておられることは「生かじりの半可通」に過ぎません。客観的に見ると、貴兄はとっくに論破されていますよ。
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1132
貴族制度が正当である世界ならば
- 投稿者:本ページ管理人
- 2000年07月03日(月) 13時45分
銀英伝で私が疑問なのが、あの世界で何故に共産主義が存在しないのか、ということです。
もちろん、世界に二つしかない体勢が専制主義vs共産主義では、希望も何もない究極の選択ですから、物語的にはいささかマズいということはあるでしょう。
しかし、そういう「都合」を廃して考えてみれば、実際に「階級」があって「出生により人生が決まる」世界にあっては、共産主義は毒薬のように浸み広がるものではないでしょうか。その麻薬性は共和主義よりも大きいと思われます。
「共産主義ははるか昔に克服された(それこそ、この現実社会のように)」という向きもあるかもしれませんが、共産主義が民主主義の原理主義派である以上、民主主義が存在する限り(マルクス的かどうかは別にして)、休火山のように突然爆発する可能性を持っています。
そもそも、ハイネセン一行の共和主義者が判を押したようにアメリカ型(?)の民主主義者というのも奇妙な話です。戦後日本のみに限定しても「アメリカ型」「ソ連型」の民主主義があるのですから、「民主主義の箱船」である彼らは、なおさらもっといろいろあっても良いように思いますね。
個人的にはヤンファミリーに「民主主義のために、この犠牲は必要です」といったような『民主主義のために死ね』的キャラがいると、(「民主主義」がヤン的であればあるほど、このキャラがオーベルシュタインのように無私であればあるほど)ヤンのモラトリアム性を刺激して物語の深みが増すと思います。
ヤンファミリーというのがポイントで、トリューニヒトの演説や救国軍事クーデターのように「異端」として片付けさせないで矛盾を克服してもらいたいものです。
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1133
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(11)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年07月03日(月) 15時31分
更に続き。
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タンネンベルク少将は、特にそれ以上咎められるようなことはなかったそうですが」
エーリッヒ・フォン・タンネンベルクの名前を出されて、キルヒアイスの体には電流が走った。幼年学校の頃、「金髪の孺子」を、面識もないのにわざわざ訪ねて来た士官学校生の事を、思い出したからである。いかにも「金髪の孺子の見物に来た」と言わんばかりの来訪だったが、エーリッヒ・フォン・タンネンベルクにはキルヒアイスらを莫迦にした風情は全く見受けられず、大いに興味を持った風であった。ラインハルトは「大貴族出身のエリート士官学校生」に反感を持ったようだったが、キルヒアイスはその士官学校生に、ただ者ではないものを感じていたのだ。
「タンネンベルク伯爵?し、しかし、彼の名は我々が入手した『リップシュタット盟約』の名簿の中には、無かったはずですが・・・・・」
キルヒアイスが知る限り、今回の内戦に関するタンネンベルク伯の態度は、領地に引っ込んで大人しくしていただけの筈だった。「リップシュタット盟約」の中に、タンネンベルク伯爵家の名がない事で、エーリッヒ・フォン・タンネンベルクについては完全にマークを外していたのである。
「そうおっしゃられましても・・・・先ほどの艦は間違いなく『ダンツィヒ』でした。あれに伯爵自身が乗っていたかどうかはともかく、少なくとも彼に近しい人物以外が使用できるとは思えませぬ」
その通りだった。「ダンツィヒ」はタンネンベルク伯個人に下賜された艦である。伯本人の意思なしに、使用できる者はいないのだ。実際のところ、タンネンベルク伯爵は、公然とリップシュタット戦役に参加した訳ではない。とにかく目立たないように、細心の注意を払っていたのである。盟約に参加せず、戦役が勃発すると、知らぬ顔をして咎められる事もなく、悠々とオーディンから自領に帰っていたのだが、実はとうの昔にブラウンシュヴァイク公、リッテンハイム侯ら有力貴族には根回しを終えていた。「ローエングラム侯らに悟られぬよう、ある時点までは黒子として活動したい。敵の油断を誘う為に」と、内意を告げて。その後、自領からタンネンベルク伯爵家の手持ち艦隊を率いて、極秘で迂回コースを通り、貴族連合軍に参加したのである。相手に警戒させず、意表を突いた用兵を行い、一気に戦役の勝敗を決すること。それが、今回タンネンベルク伯が狙っていた戦略であった。
「では・・・・・・先ほどの艦隊の中に『クラウゼヴィッツ』の姿はあったのだろうか?」
「エーリッヒ・フォン・タンネンベルク」の名を聞いて、ベルゲングリューン准将の顔色も変わっている。ある程度軍歴が長い者なら、当然知っている名だからだ。
「いや、『クラウゼヴィッツ』の姿はなかったようだ。ローエングラム侯爵閣下の『ブリュンヒルト』ほどではないが、『クラウゼヴィッツ』も特徴的な艦だったから、見間違えてはいないと思う。もし、タンネンベルク伯がいるのなら、リッテンハイム侯の本隊に参加しているのだろうな」
そこまで聞いて、キルヒアイスの顔色も変わった。一つの可能性に思い至ったからである。
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<以下続く?>
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1135
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(12)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年07月04日(火) 15時37分
更に続き。
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そこまで聞いて、キルヒアイスの顔色も変わった。一つの可能性に思い至ったからである。
「リッテンハイム侯の本隊の中に、その『クラウゼヴィッツ』の姿は確認していますか?」
キルヒアイスの質問に、誰も直ぐには答えられない。
「少々お待ちを。小官が調査しますので」
ベルゲングリューン准将が、調査する為の時間を求めた。確認した艦艇の記録は残っている筈なので、調べれば解る事だ。但し、リッテンハイム艦隊は四万隻からの規模なので、多少は時間はかかる。
程なく、調査結果は出た。リッテンハイム艦隊の中に、タンネンベルク伯の「クラウゼヴィッツ」の姿はなかった。
「『ダンツィヒ』の姿があるのに、『クラウゼヴィッツ』がいない、というのはどういうことだ?例えば『クラウゼヴィッツ』は整備中で使用できず、伯本人が『ダンツィヒ』に乗っているいうことなのだろうか?」
ビューロー准将は首を捻っている。
「いや、更に別の伏兵がいるのではないだろか?もう一隊、迂回機動を掛けてくる部隊があって、それをタンネンベルク伯が率いているのでは?」
ベルゲングリューンの意見は、あながち的外れでもなかった。「迂回機動」を掛ける相手が、キルヒアイス艦隊ではない、というだけである。ベルゲングリューンの発言を受けて、キルヒアイスはすぐに先程の考えが、真実をついていた事を悟った。
「しまった!おそらくタンネンベルク伯は、別働隊を率いてオーディンに急行しています!少数の高速部隊で!!」
キルヒアイスは、顔面蒼白となり叫ぶ。どう考えても最悪の事態だ。ほぼ空のオーディンに、タンネンベルク伯が快速部隊を率いて、すでに急行している。帝都が陥落した場合は言うまでもなく、エルウィン・ヨーゼフ二世とグリューネワルト伯爵夫人=アンネローゼを捕縛されてしまう。それだけは何としても阻止しなければならない。皇帝はまだしも、アンネローゼが敵の手中に陥るなど、キルヒアイスにとっては考えたくもない事態だ。
キルヒアイスの結論に、ビューローとベルゲングリューンは驚いた。とはいえ、その結論がもっとも妥当なのは、今更言うまでもあるまい。
「とにかく、先ずはローエングラム侯に連絡を。それと、リッテンハイム侯の艦隊も逃してはなりません」
キルヒアイスは、差し当たっての対処指示を出した。
「先ほどの敵艦隊、一旦は射程外に逃れたものの、反転して再度攻撃してくる模様!」
キルヒアイス艦隊の真っ直中を突き抜け、甚大な損害を与えていったシュタイナー艦隊は、更に反転して再度攻撃を掛けてくる。もちろん、正面からではなく、今度は右側方からの攻撃だ。
「おのれ、いつまでもやられてばかりいるとは思うなよ!」
迎撃の指示を出しつつ、ビューローが毒づいた。
「なるほど。あの部隊は我が艦隊の足止めをする、ということですか。タンネンベルク伯が快速部隊で先行し、リッテンハイム本隊がそれより遅れてオーディンに進撃。あの艦隊が、我が艦隊の追撃を阻止する、ということのようです。なかなか見事な作戦です。タンネンベルク伯は、やはりかなり切れる人物のようですね」
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<以下続く?>
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1136
Re: Re1122:論争終結宣言受諾
- 投稿者:智司
- 2000年07月04日(火) 21時20分
結局、冒険風ライダーさんは、議論とは最初の争点をはずしてはいけないという教条主義者だったのですね。相互牽制という言葉から生じた疑問が、議論していく中で誤解だったと分かったからこそ、相違点は軍部の能動的行為を認めるか否かだけでしかないと訂正したのですよ。訂正と受け取ってもらえなかったのは、こちらの不手際かもしれませんが、代表されるものと代表するものの関係を、民主主義的理想と決め付けた方なのだから、そちらの読解力の無さも間違いなくありますよね。でも、相互牽制という言葉から、「軍部が独自の意見を立法府に対して述べようと全ての決定権は立法府にあるから『軍部が独自に動く動かない』は全く関係ない」という意見を想定することなどできないですけど。これは、過去ログを良く読まなかった私のせいですが。
>政治学における「代表されるものと代表するものの関係」というのは本来「独裁性誕生の理由」という論点に基づいて出されただけのものであり、独裁性誕生の過程における双方の主張内容がほとんど同じである事を確認した以上、勝手に持ち出されたそちらの主張にそれ以上付き合う理由など当方には全くありません。
この件に関しては、冒険風ライダーさんに非がありますよ。過去ログを読んだらどうですか? 一旦、認めておきながら、私が確認すると、そんなこと認めていないと言ったのをお忘れになったんですか? あなたの主張する政治的問題に対処できなかったということが二次的要因であり、代表されるものと代表するものの関係が一時的要因であるという私の指摘のことですよ。政治的問題への対処が一時的要因でないのなら、これを理由に行政府の権限を強くするべきだとは、必ずしもいえないということなんですけどね。自分だけいい子ぶるのはやめませんか? スターウォーズ計画の例をあげて、何が言いたかったのかという質問にもレスをしてくれませんでしたし、都合の悪いことを無視するのは、あなたもですよね。
「行政府の権限が強くなければならない」ということに対して、大統領制の例を挙げて必ずしも強いことがいいとは限らないと指摘したのに対し、反論しなかったのはあなたでしょう。それなのに、こんな発言をするのは何故なのかわからないんですよ。イラクの大統領制を例に挙げましたよね。だから、権力の弱いとされる議院内閣制でも必ずしもいいとはいえないのだということで、行政府の権限の強弱はどちらがいいとは一概には、いえないと指摘したのですよ。あなたが受け入れやすいようにね。それに政治学ではこの図式は当然のものですよ。私だけではないのですよ。いい加減、自分の都合の悪いことを、相手の一人よがりと決め付けるのは、止めたらどうですか?
「立法府のチェックシステムは確立されるべきである」といのは、当たり前でしょう。三権のバランスを保つためには必要です。しかし、これって、行政府の権限の強弱とは関係ないんですけどね。この文脈だと、行政府の権限が弱ければ、立法府のチェックバランスは確立されなくてもいいと受け取られても仕方ないですしね。
>あなたは他人と論争をする前に、まずは論争相手の投稿を全て読むという事から始めた方が良いのではないですか?
これは、甘んじて受けましょう。相互牽制という言葉に引きずられたのは、確かなわけですから。しかし、私も忠告しましょう。意見を述べる際に、誤解されやすい表現は止めるべきですよ。実際、相互牽制に関して、優馬さんも誤解されると指摘していましたよね。そうそう、頑迷な公式論と言い張らなければ、自分の正しさをいえないなんてね… 反論するなら、別の見解を示したらどうですか? あなた自身が、私の議論のあり方について文句を述べたようにね。まるで、小中学生と議論しているようでしたよ。絶対に自分の非は認めないところなんかは、特にね。
そうそう、意思決定のスピードの問題も、政治システム全体の問題だから、当然視されていますね。これも行政権力の強弱とは関係ないんですが。このあたりを結び付けようとする、訳のわからなさが、あなたの特徴でしょう。頑迷な公式論にさえならないのだから、醜悪とさえいえないほどヒドイですね。
それから、誹謗中傷することが相手を評価することなのであれば、人格を疑われますよ。似非民主主義者呼ばわりするのではなく、例えば、そう呼ばれかねないと思われますが…という言い方でも良い訳ですから。感情が剥き出しになるところなんかは、笑わしてもらいました。まあ、何にせよ、議論が終わることは良いことです。議論の必要無しと指摘した事柄に、延々と愚痴をこぼすあなたが、終了宣言してくれたので、ホッとしてます。議論相手が厨房だったなんて思わなかったし、いい加減、面倒になってたので。では、さようなら。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1137
Re: Re1122:論争終結宣言受諾
- 投稿者:モトラ
- 2000年07月04日(火) 22時20分
「教条主義者」「自分だけいい子ぶる」都合の悪いことを無視する」
…よくもまぁ。優馬さんの書き込みを読んでなお、それらの無礼な物言いが全て自分に”だけ”跳ね返ってくることに気づかないのですか?
何を言ってもわからない人にはわからないもんですが(昔の私がそうだった)、一言。
「もっと謙虚になりなさい」
1131番に優馬さんが書き込まれたことは、傍聴されている方の大半が、あなたに対して、だいぶ前から感じていたものを代弁されています。
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1138
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(13)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年07月05日(水) 15時50分
更に続き。
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タンネンベルク伯は、やはりかなり切れる人物のようですね」
まもなく、シュタイナー艦隊が再接近してくると、右翼のワーレン隊との交戦が始まった。さすがに、短時間でもワーレン提督は先ほどの混乱から陣型を立て直しており、今度は一方的に蹂躙されるようなことはない。互角に戦っている。
「この間に、リッテンハイム侯艦隊の追撃を!」
敵の別働隊はワーレンに任せ、キルヒアイスの本隊とルッツ隊は、オーディンを目指すリッテンハイム艦隊の追撃を行おうとする。しかし、シュタイナー艦隊の動きは、それを許さない。逆進してワーレン隊から離れ、射程外に逃れた後、進路を変えて今度はキルヒアイス隊の追撃に移った。あっという間に追いつくと、キルヒアイスの本隊とルッツ隊の後方を横切り、高速で通過しつつ砲撃を加える。シュタイナー隊が高速戦艦・巡航艦・駆逐艦のみで編成されている利点がここで出たようだ。ワーレン隊は簡単に振り切られてしまって、シュタイナー隊を引きつけるどころではない。ようやくワーレンが追いついて来て、あと少しでキルヒアイス本隊・ルッツ隊との間にシュタイナー隊を追い込み、挟撃できると思った時には、シュタイナー隊は左翼に抜けてしまっている。今度は左翼のルッツ隊が、シュタイナー隊に側面から攻撃される始末だった。
「どうやら、簡単には行かせてくれないようですね」
キルヒアイスは、今度はルッツとワーレンの戦力を結集し、正面から敵部隊を半包囲体勢に追い込もうとする。だが、これも徒労だった。シュタイナー隊は攻撃を中止し、あっさり反転すると脱兎の如く駆け出し、距離を取ってしまって近づいて来ない。半包囲陣の中に艦隊を晒す気など、さらさら無いようだった。シュタイナー少将に、9000隻の戦力で、三万隻からの艦隊戦力に半包囲され袋叩きにされる趣味などはないので当然である。また、キルヒアイスが追撃を考えても、シュタイナーは優速を利してひょいひょい逃げてしまい、まるで捕捉できない。キルヒアイス艦隊が、高速艦だけで構成されている訳ではない以上、シュタイナー艦隊を捕捉するのは、所詮無理な話なのだ。
全くもって、キルヒアイス艦隊の将兵たちにとっては、苛立ちばかりが募るばかりの戦いになってしまった。兵士だけではなく、司令官も例外ではない。シュタイナー艦隊の意図が「時間稼ぎ」と判っているだけに、尚更のことだ。追い掛ければ逃げ、無視してオーディンへ向かおうとすれば小癪にも追撃してきて、側方や後方から嫌がらせのような攻撃を加えてくる。囮で引きつけてから包囲殲滅しようにも、意図をすぐに読まれてしまい、囮に打撃を与えられたあと、包囲網からするりと逃げられてしまう。シュタイナー少将の戦術手腕は確かなもので、キルヒアイス・ルッツ・ワーレンほどの名将と雖も、完全に振り回され、辟易させられてしまっていた。有能な敵に対する賞賛は惜しまない、優れた性質を持つ三人の提督だが、ここまで窮させられてしまっていては、賞賛よりも、悪態や面罵も先に出ようというものだ。
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<以下続く?>
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- board2 - No.1139
無理矢理理屈を付けると
- 投稿者:北村賢志
- 2000年07月06日(木) 12時57分
本ページ管理人さんは書きました
> 銀英伝で私が疑問なのが、あの世界で何故に共産主義が存在しない
>のか、ということです。
理屈をつけるとすると元来「キリスト教の『天国』を地上に造る」という発想から共産主義の大元である空想的社会主義が生まれたわけであり、キリスト教が滅び去ってしまったらしい(ご存じのように1巻において「13が不吉である」理由が伝わってませんでしたね)銀英伝世界では共産主義的な発想が生まれなかったのではないでしょうか。
> そもそも、ハイネセン一行の共和主義者が判を押したようにアメリ>カ型(?)の民主主義者というのも奇妙な話です。
これは恐らくハイネセン一行のいた流刑地が「アメリカ型民主主義者」を集めたところだったということなんでしょう。
だとすると帝国内には各種民主主義者別の流刑地が有ることになりますね。アムリッツァの時に同盟とかけ離れた民主主義者の流刑地を解放して『しまった』 という話が出来そうです。