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- board2 - No.1016
Re: 新掲示板過去ログ・公開のお知らせ
- 投稿者:Merkatz
- 2000年06月13日(火) 01時03分
Thank you!!
私の間抜けでログを10個ばかり失ってしまいましたが。(^^;;
私のHPからもリンクしておきます。
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- board2 - No.1017
Re: レベロの矛盾とヤンの矛盾
- 投稿者:Merkatz
- 2000年06月13日(火) 01時05分
3巻の記述を読み返してみたら、面白い言葉が出てきました。
レベロ曰く、
「私にはわからん。ただ祈るだけだ。君が自分の身を守るためにルドルフの道をた
どらざるをえなくなる---そういう日が来ないことを」
かつてヤン自身にこう語った彼が、自分の行動がまさにヤンが「自分の身を守るためにルドルフの道をたどらざるをえなくなる」事だと気付かなかったのは皮肉です。
私はレベロがヤンを除こうとしたのは、ヤンの能力による危険性よりもその存在ゆえの危険性ではなかったのかと。
ヤン自身にそのつもりが無くとも、周りに担ぎ出されたらという不安。
また、ヤンが存在するだけで、今後も帝国から難癖が付けられるという不安。
それがレベロの「言い分」だったのでしょう。
しかし、彼の「ヤンの存在そのものが国家の維持に危険」という観点を押し広げてゆけば、
軍隊の存在そのものが・・・ということになりませんかね?
まあレベロは小説内でも「悲観的な男」と書かれていましたから、
やっぱり彼は厳守になるべき時期を間違えたとしか言いようがありません。
それから、当のヤンですが、
ふと思ったんですが、彼は「シャーウッドの森」をどのように活用するつもりだったのでしょうか?
同盟の存続を前提とするなら、まったくの無用の長物ですね。
むしろ実際に風聞が流れてやばくなったように、危険なだけです。
そんなことするよりは政治家と協力した方が遥かに効率が良い。
レベロは決して協力できない相手ではなかったはずです。
(もっともあの時点では誰が後継者になるかは分かりませんでしたが)
同盟の崩壊を前提とするなら、
誰をして政治の中枢に据えるつもりだったんでしょうか。
ヤン自身は頑なに政治の中枢となることを拒んでいます。
ですが、「シャーウッドの森」は民主主義の火を消さないための物であったはず。
ならば政治的求心力がなければ、単なる武力集団、それこそ海賊か何かと大差ありません。
政治的指導者がシャーウッドの森を率いてこそ、意味が出てくる。
ヤンもその下で軍事責任者という地位で手腕を振るえばよい。
ヤン自身が政治的指導者となるつもりがなかったくせに、
シャーウッドの森を民主主義の火を残す物だとは、これは酷い。
まったく粗雑な、行き当たりばったりの考えとしか思えません。
実は銀英伝って、「政治家と軍人の相互理解の欠如」という裏テーマがあったりして!?
以下、その他のこと。
>地球政府と地球軍
両者のコントロール云々よりも、
政府の考えを軍部が実行していたと見る方が自然ではないでしょうか。
つまり、政府の横暴の実行部隊が軍だったわけで、
両者は一体の関係だったわけです。
だから掣肘とか肥大とか関係なかったのでは?
>ジークマイスターのスパイ網
相棒が零落貴族のミヒャールゼンですから、「帝国国内の共和主義者との連携」とは言い切れないでしょう。
しかもスパイ網を実際に作ったのはミヒャールゼンの方ですし。
無論、思想的支柱であるジークマイスターに共鳴した人間もいたでしょうが、
寄り合い所帯であった可能性が高いですね。
発案者のジークマイスターが共和主義者で、
帝国を滅ぼし共和制によって宇宙を統一する目的で作ったものではあっても、
だからといってそれが「帝国国内の共和主義者との連携」である必要はないですね。
何故ならスパイは組織のより中枢に潜り込んでいればいるほど有利なわけで、
そのような要職に着ける、あるいは接近できるためには、
共和主義者であることの方が却って都合が悪いですね。
むしろごく普通の帝国人をスパイに仕立てた方が手っ取り早いと思います。
実際のスパイ網構築がミヒャールゼンだったということで、
なおさらそういったことが推測されます。
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- board2 - No.1018
リンクを張らせていただきました
- 投稿者:本ページ管理人
- 2000年06月13日(火) 14時01分
過去ログ集にリンクを張らせていただきました。
ついでにザ・ベストも少々更新していますので、興味があればどうぞ。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1019
Re1014/1017:亡命問題とヤンの支離滅裂な行動
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年06月13日(火) 16時51分
>平松さん
<ですが、いくらなんでも100人~1000人単位の亡命者を乗せた船が横行すれば、帝国政府は当然フェザーン自治政府に対して規制するように圧力をかけるでしょう。自治政府としてはそれを少なくとも表面的には受け入れてある程度の規制や罰則を制定せざるを得ないはずです。また、五巻(トクマノベルズ)のP124には、30隻の船から200人を越す非合法の客が「神々の黄昏」作戦でフェザーンを占拠していた帝国軍に拘束されたとあり、1隻あたりに密かに乗せられる人数には限度があると思われます。船を動かす乗組員以外の余剰人員が500~1000人を超えるとなると、かなり大きな客船でもない限り不自然でしょうし、それらの客の素性を書類操作や賄賂・演技でごまかすにしても、その様な事が度重なれば不審の目を向けられるのは確実です。500~1000人も亡命者を無事に輸送し続けるのは無理があるのでは?>
「神々の黄昏」作戦における「非合法な客の拘束」の場合は「亡命者の件」とは少し違うケースでしょう。あの時は帝国軍がフェザーンを占領していた上、そのフェザーン占領政策の必要上、フェザーンからの脱出を図ろうとする者(特に同盟政府や軍の要人)を逃がしてはならなかったため、徹底的かつ本格的に調べ上げた結果、非合法な客がアレだけ捕まったのです。
しかし大量の亡命者が同盟に向かう際に、帝国側がそれを妨害する必然性がそもそもどこにあるというのでしょうか? 帝国政府や門閥貴族にしてみれば、共和主義者や不平分子が同盟に逃亡していってもそれほど痛痒を感じるものではないでしょうし、逃げるに任せていれば彼らを逮捕・投獄していく手間も省けますし、何もせずに危険分子が勝手に減少していく事にもなります。だから大量の亡命者の続出は、彼らの感覚では「いい厄介払い」程度にしか思っていなかったのではないでしょうか。
それに亡命者の中には帝国の貴族や皇族なども多数存在しており、彼らが逃亡してこれる事自体、帝国側の亡命に対する監視が相当に緩やかなものであったという証明になるでしょう。逃がしたらマズイはずの彼らですら簡単に逃げてこられるのですから、共和主義者や民衆が大量に帝国側から同盟側へと亡命するのはそれほど難しいものではないように見えるのですけど。
ちなみにこれは銀英伝2巻に書いてあったのですが、貨物船で客を「貨物」として登録・輸送すれば、客船の十分の一以下の旅費で宇宙船に乗れるのだそうです(その代わり、人命補償なども一切ありませんが)。そのようなテを使えば、値段の方もそれほどはかからなかった事でしょう。
<レンネンカンプはヤンの逮捕を「要請」したのではなく、「勧告」したのです(六巻P131)。勧告とは「説いて勧める事」ですから、強制ではありません(レンネンカンプにとって事実上の強制ではあったでしょうが)。ですから、内政干渉には(少なくとも表面的には)該当しないのでは?問題なのは、レベロがその「勧告」を受け入れてしまった事でしょう。表面的にはあくまで勧告なのですから、「確実な証拠がないのに逮捕は出来ない」と突っぱねれば、レンネンカンプは二の句が告げなかったはずなのですが。>
これは違います。政府の高官が他国の内政について発言すれば、たとえそれが「勧告」という形を取っていても立派に「内政干渉」とみなされます。「内政干渉」というのは要するに「一国の政治家が他国の内政について発言・干渉する」ということですから「勧告」や「忠告」という衣を纏っていても全く意味がありません。だからレンネンカンプが行った行為は立派に「内政干渉」に該当します。
まあ平松さんの言う事にも一理ありますね。いくら内政干渉であったとはいえ、まさに「表面的」には所詮「勧告」でしかなかったのですし、そもそも「バーラトの和約」にも高等弁務官が同盟の内政に対して「勧告」する権限なんて全く明記されていなかったのですから、レベロはレンネンカンプの「勧告」なんて無視すれば良かったのですよ。相手がウダウダ言ってきたら「バーラトの和約」を持ち出せば良いだけの事だったのですし。
<一応、六巻のP142には、「ヤンの逮捕に伴い、奪還に備えヤン艦隊の旧幹部を監視せよ」と言う通達について書かれています。最小限の兵力は動員していたみたいで、シェーンコップとアッテンボローにはジャワフ大佐率いる二個中隊がロックウェル大将によって差し向けられていました。彼らを早い段階で押さえつける自信があったという事でしょう。ローゼンリッターが全員寝返ったとまでは思っていなかったので、この打算は見事に崩れましたが、それにしても一個連隊の動きに気付かなかったとは間抜けな連中ですな(^_^;)。>
全くですね(笑)。
しかし「ヤンの逮捕に伴い、奪還に備えヤン艦隊の旧幹部を監視せよ」とまで命令しておきながら、どうして「ローゼンリッター」が暴走する可能性を全く考慮しなかったのでしょうか? 彼らがヤンに心酔していたのは最初から分かりきっていた事だったのに。
<第二次ティアマト会戦には、貴族出身の将官だけではなく、コーゼル大将という平民出身の将官もいました。こういった平民出身の将官も皆無ではなかったと思われるので、帝国内の共和主義勢力は彼らを抱き込む政治的な活動をすべきだったのでは?>
しかし一方では、平民階級出身だからといって帝国に対して反発しているとも限らないわけです。コーゼル大将は確かに貴族嫌いではありましたが、スパイ網の主犯格であるミヒャールゼンを逮捕しようとしていた例に見られるように、彼はゴールデンバウム王朝と帝国に対しては忠誠を誓っていたのではないでしょうか。
むしろゴールデンバウム王朝に対して忠誠を誓っていたからこそ、それを食い荒らしているように見える貴族階級を毛嫌いしている、という事だってありえるわけです。そして帝国政府の方も、第二次ティアマト会戦あたりまでは、そういった忠誠心を持っている人間のみを優先的に昇進させていく余裕もあったのでしょう。だから共和主義者の内部分裂策もあまり成功しなかったのではないか、と私は考えるのですが。
>Merkatzさん
<私はレベロがヤンを除こうとしたのは、ヤンの能力による危険性よりもその存在ゆえの危険性ではなかったのかと。
ヤン自身にそのつもりが無くとも、周りに担ぎ出されたらという不安。
また、ヤンが存在するだけで、今後も帝国から難癖が付けられるという不安。
それがレベロの「言い分」だったのでしょう。
しかし、彼の「ヤンの存在そのものが国家の維持に危険」という観点を押し広げてゆけば、
軍隊の存在そのものが・・・ということになりませんかね?
まあレベロは小説内でも「悲観的な男」と書かれていましたから、
やっぱり彼は厳守になるべき時期を間違えたとしか言いようがありません。>
レベロの最大の不幸は「他人を全く信頼せず、ひたすら自分ひとりで重荷を背負い込んでいた」という事にあるのではないでしょうか? 比較的親しい関係であったはずのホワンでさえ、末期には退けてしまっていますし。
結局のところ、レベロはそもそも政治家の器ではなかったようにすら思えるのですけど。
<当のヤンですが、
ふと思ったんですが、彼は「シャーウッドの森」をどのように活用するつもりだったのでしょうか?
同盟の存続を前提とするなら、まったくの無用の長物ですね。
むしろ実際に風聞が流れてやばくなったように、危険なだけです。
そんなことするよりは政治家と協力した方が遥かに効率が良い。
レベロは決して協力できない相手ではなかったはずです。
(もっともあの時点では誰が後継者になるかは分かりませんでしたが)
同盟の崩壊を前提とするなら、
誰をして政治の中枢に据えるつもりだったんでしょうか。
ヤン自身は頑なに政治の中枢となることを拒んでいます。
ですが、「シャーウッドの森」は民主主義の火を消さないための物であったはず。
ならば政治的求心力がなければ、単なる武力集団、それこそ海賊か何かと大差ありません。
政治的指導者がシャーウッドの森を率いてこそ、意味が出てくる。
ヤンもその下で軍事責任者という地位で手腕を振るえばよい。
ヤン自身が政治的指導者となるつもりがなかったくせに、
シャーウッドの森を民主主義の火を残す物だとは、これは酷い。
まったく粗雑な、行き当たりばったりの考えとしか思えません。>
おそらくヤンはメルカッツ提督を帝国の手から隠し、戦力を温存するという考えに固執していたあまり、政治的にどう利用するかについてまで考えが及んでいなかったのでしょう。第一、あの「シャーウッドの森」なるシロモノ自体、ヤンのシビリアン・コントロールの逸脱行為に基づいて成立したものですから「民主主義の火を残す物」としては論外なシロモノですらあるのですけど。
さらに「シャーウッドの森」は、やっている事もまた支離滅裂ですね。彼らはユリアンを介したヤンの進言に基づいて、レサヴィク星系で破壊される予定だった1820隻の艦と4000名の乗員を奪取しましたが、こんな事をすれば、すぐにヤンに結びつかなくとも「一体誰がこんな事を企てたのだ」と同盟政府や帝国高等弁務官府に怪しまれるに決まっているではないですか。いくら戦力が欲しいからって、これは「同盟ないしは民主主義思想を保全する」という政治的観点から見ても大きなマイナスです。とりあえず同盟の国力と軍事力を再編するためにも、最低5年ほどは平穏を保っておくべきでしょう。
ましてや、ヤンはまたしても同盟政府に無断でこんな事を画策しているのですから、ヤンのシビリアン・コントロールに対する認識と態度にはホントに疑問を覚えざるをえませんね。まさかヤンは同盟政府を「敵」と認識していたとでもいうのでしょうか。
戦艦や宇宙母艦を秘密裏に温存するにしても、軍部の実権を掌握して同盟政府と手を組んでしまえば比較的簡単にできたのではないかと思うのですけど。実際、宇宙艦隊総参謀長でしかなかったチュン・ウー・チェンがかなりの兵力を隠蔽できていたようでしたし。
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- board2 - No.1020
Re1019:亡命の看過の是非と共和主義勢力の活動
- 投稿者:平松重之
- 2000年06月14日(水) 03時14分
冒険風ライダーさん
> 「神々の黄昏」作戦における「非合法な客の拘束」の場合は「亡命者の件」とは少し違うケースでしょう。あの時は帝国軍がフェザーンを占領していた上、そのフェザーン占領政策の必要上、フェザーンからの脱出を図ろうとする者(特に同盟政府や軍の要人)を逃がしてはならなかったため、徹底的かつ本格的に調べ上げた結果、非合法な客がアレだけ捕まったのです。
いや、自分としてはこの場合一隻の船にどれだけ密かに亡命者を乗せられるかという事を問題にしていて、「神々の黄昏」作戦当時のフェザーンからの脱出者の例を参考までに出しただけなのですが。
> しかし大量の亡命者が同盟に向かう際に、帝国側がそれを妨害する必然性がそもそもどこにあるというのでしょうか? 帝国政府や門閥貴族にしてみれば、共和主義者や不平分子が同盟に逃亡していってもそれほど痛痒を感じるものではないでしょうし、逃げるに任せていれば彼らを逮捕・投獄していく手間も省けますし、何もせずに危険分子が勝手に減少していく事にもなります。だから大量の亡命者の続出は、彼らの感覚では「いい厄介払い」程度にしか思っていなかったのではないでしょうか。
> それに亡命者の中には帝国の貴族や皇族なども多数存在しており、彼らが逃亡してこれる事自体、帝国側の亡命に対する監視が相当に緩やかなものであったという証明になるでしょう。逃がしたらマズイはずの彼らですら簡単に逃げてこられるのですから、共和主義者や民衆が大量に帝国側から同盟側へと亡命するのはそれほど難しいものではないように見えるのですけど。
それでも帝国の高級官僚達にとっては、大量の亡命者を出してしまう事自体国家の威信に関わる事でしょうし、みすみす同盟に政治的な宣伝材料を与えてしまう事になります(情報の操作や隠蔽にも限度があるでしょうし)。大量の共和主義者の亡命を許せば社会秩序維持局などにとっては自身の存在意義を疑われる事にもなりかねませんから懸命に亡命しようとする共和主義者の摘発に努めたのではないでしょうか。
貴族や皇族などは、彼らは個人レベルで資金やコネなどの点で著しく有利な立場に置かれていたでしょうから、共和主義者と比較の対象にはならないのでは?
> しかし一方では、平民階級出身だからといって帝国に対して反発しているとも限らないわけです。コーゼル大将は確かに貴族嫌いではありましたが、スパイ網の主犯格であるミヒャールゼンを逮捕しようとしていた例に見られるように、彼はゴールデンバウム王朝と帝国に対しては忠誠を誓っていたのではないでしょうか。
> むしろゴールデンバウム王朝に対して忠誠を誓っていたからこそ、それを食い荒らしているように見える貴族階級を毛嫌いしている、という事だってありえるわけです。そして帝国政府の方も、第二次ティアマト会戦あたりまでは、そういった忠誠心を持っている人間のみを優先的に昇進させていく余裕もあったのでしょう。だから共和主義者の内部分裂策もあまり成功しなかったのではないか、と私は考えるのですが。
しかしそれでも固有の武力を持てない共和主義者にとって、実戦部隊の中に政治的な同志を作る事は不可欠だったでしょう。軍の中にも、平民、貴族を問わず不平分子が存在したでしょうから、彼らを慎重に抱き込む策略を弄するべきだったでしょう。大きな武力を持てないのですから、その分だけ謀略や詐術を充分に行使すべきだったと思うのですが。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1021
Re: 銀英伝考察2 ~ヤンが殉じたシビリアン・コントロールの実態~
- 投稿者:小牧 哲治
- 2000年06月14日(水) 06時56分
反対意見の一つとして聞き流してくれれば幸いです
シビリアンコントロールは日本語で文民統制と訳されています。
ではその文民というのは誰のことでしょうか?
政治家だけなのでしょうかそれは違うはずです。
文民というからには民衆も入ってるはずです。
となると政治の腐敗を正すには軍人でなく、政治家や民衆が
正さなくてはいけないはずです。
ではヤンウェンリーはなぜ政治に関与しなかったか。
地位と名声を得ている軍人が民衆を扇動するような行為は
かのヨブ・トリューニヒト議長となんら変わりもせず
それに軍人が政治を正すという名目で権力を握ることは
軍事独裁政治を引き起こす一因になりかねないのではないでしょうか。
あくまでも政治の腐敗は民衆が正さなくてはいけないと思います。
たとえ軍人が軍隊に関することを要求してもそれは一意見として
とれえることしかできないと思います。
軍部の要求を際限なく取り入れればそれは軍事力の肥大化となり
国家予算の大半をつぎ込むことになりしいては国家を崩壊させかねないということです。
ではなぜ政府から無謀な要求でもそれを是正できなかったかといえば
それは最高会議で決定されたことであり、そこにいたるところで
軍部が(フォーク准将が)私的ルートで要求したことを政治的
判断で決めてしまったことであり、軍部としては今更変えることが
できなかったということがあるはず。
そこでいかにヤンウェンリーであろうとも、ビュコック提督でも、出兵を
拒否することはできないはずです。
それは民意(多分に政治家の思惑があるが)が決めたことを
軍部が無視できないということです。
そこでできることは、戦場の戦術レベルで最低限の被害ですむように
しなければならなかったのにそれを怠り、あまつさえ負担ばかりを増やして
結局のところ帝国に焦土作戦を成功させた一因であるでしょう。
それにラインハルトがフェザーン回廊から攻めてくることを予測して
ビュコック提督にその旨を伝え、ユリアンに対してはフェザーンで
帝国軍がくるだろうといっていたのにもかかわらず、フェザーンの政治的思惑から
それはつぶされることになった。
それにヤン一人に責任を負わすには余りにもそれはお門違いということではないでしょうか
同盟からすればヤンは辺境の一軍人でしかないのに、しかも与えられている
権限なんてものはたかが知れている程度で、上官たる宇宙艦隊司令長官や、
統合作戦本部長以上の権限などはありはしない筈です。
政府の暴走を止める手だては軍部でなくそれは民衆でなくては
いけない筈です。出なくては民主主義ではなくなったしまいます。
軍部の暴走を止めるのは政府でなくてはいけませんが、その反対の
政府の暴走を止めるのに軍部が手を出してはいけないのです。
必ずしもヤンの行動が民主主義の行為に沿っているとは言い難い部分もありますが
それでも今ある、政治形態を守るために戦ったことは
これまた事実であります。それに同盟が崩壊した原因は何もヤン一人の
責任ではない筈。なぜならそこまでにいたる中で腐敗してきてそれに追い討ちを
かけていたのですから、民主制は独裁と違いどんなことでも変えるためには
時間がかかるものなのです。ですから一人がその国を崩壊させた
というのはあきらかに間違えではないでしょうか
独裁であれば一人の行動が国を滅ぼしたということは多々あります。
それとエル・ファシルやイゼルローン共和政府は
時間が無さすぎでした。(イゼルローンはその後がわからんが)
民主制というものは時間がかかるものなのです。自由惑星同盟でさえ
最初は、民衆の意志でなく指導者がトップに立ちました。
ですからその後民主制に移行することはできる筈です。
最初に民主制でないからといって、そこに木がないからといって緑がない
といっているのと同じではないでしょうか。
あえて言わせてもらえればヤンは矛盾の固まりの人でした
それはいろんな意味で矛盾しているとシェーンコップが
いっていたとおりです。
ですがヤンの中にいろいろな葛藤があった筈で、その中でも
シビリアンコントロールのこともあったでしょう。ですが
彼もいったとおり手の届く範囲しか人は活動できないのです。
ですから彼が軍人である以上軍人の枠を超えて政治に関与することは
絶対にしてはならないのです。
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1022
Re1020:亡命問題の本質
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年06月14日(水) 08時24分
<自分としてはこの場合一隻の船にどれだけ密かに亡命者を乗せられるかという事を問題にしていて、「神々の黄昏」作戦当時のフェザーンからの脱出者の例を参考までに出しただけなのですが。>
「神々の黄昏」作戦当時の脱出者の場合は「フェザーン自治政府や同盟の要人」といったような「政府高官の地位」についている人が多かったのでしょうから、一般の亡命者と並べて論じるのは少し無理があるでしょう。それにフェザーン占領行政と亡命者に対する統制とでは「有事」と「平時」の格差がありますから政策の徹底度も統制の内容も全く違いますし、第一、ゴールデンバウム王朝時代の軍隊と異なり、軍規が厳しいラインハルト率いる帝国軍は買収や賄賂がほとんど効きません。
だから平松さんが出した例は亡命問題の比較としてはあまり参考にならないのでは?
<それでも帝国の高級官僚達にとっては、大量の亡命者を出してしまう事自体国家の威信に関わる事でしょうし、みすみす同盟に政治的な宣伝材料を与えてしまう事になります(情報の操作や隠蔽にも限度があるでしょうし)。大量の共和主義者の亡命を許せば社会秩序維持局などにとっては自身の存在意義を疑われる事にもなりかねませんから懸命に亡命しようとする共和主義者の摘発に努めたのではないでしょうか。
貴族や皇族などは、彼らは個人レベルで資金やコネなどの点で著しく有利な立場に置かれていたでしょうから、共和主義者と比較の対象にはならないのでは?>
共和主義者や平民階級の不平分子が亡命していく事自体は、帝国にとってもそれほどのマイナスポイントにはならないでしょう。「所詮は下賎な平民や叛逆者どもだから」と帝国の首脳部は考えるでしょうし、彼らを「処分」する手間も省けますしね。むしろ彼らが帝国内部で同盟と呼応した民主運動を展開される事のほうがはるかに危険です。だから帝国の内部を固めるためにも、不穏な分子は同盟に追いやってしまった方が却って良いと帝国政府は考えたのでしょう。ちょうど今の北朝鮮と同じような考え(国家基盤を固めるためには人口を1000万辺りまで減らす必要がある、と某首領様はのたまったとか)であったと考えれば分かりやすいでしょうか。
むしろ「亡命を食い止めなければならない」という観点から見れば、帝国の貴族や皇族といった「帝国の支配階級者」の亡命の方がはるかに帝国の支配体制にとっては有害なものでしょう。支配階級でさえ亡命してくるという事実は、同盟側にとって帝国の支配体制が磐石なものではない事を宣伝するための絶好な好材料となりえるからです。現実世界でも、北朝鮮の政府高官や要人が外国へ亡命してくる事が話題になるたびに、北朝鮮の支配体制に対する疑問の声が出てくるという事例があります。
亡命問題で特に重要視されるのは「亡命者の質」であって、すくなくとも逃亡される側にとって「数」は全く問題ではないのです。どれほど多くの亡命者が出たとしても、政治的に何ら影響を受けないのであれば放任されるし、逆に「一人の亡命者」が政治的に大きな影響を与えるというのであれば、たとえどんな無理をしてでも妨害しようとするでしょう。亡命問題というのはそういうものなのですよ。
<しかしそれでも固有の武力を持てない共和主義者にとって、実戦部隊の中に政治的な同志を作る事は不可欠だったでしょう。軍の中にも、平民、貴族を問わず不平分子が存在したでしょうから、彼らを慎重に抱き込む策略を弄するべきだったでしょう。大きな武力を持てないのですから、その分だけ謀略や詐術を充分に行使すべきだったと思うのですが。>
これは全くその通りなんですけど、帝国内における共和主義者たちは常に社会秩序維持局あたりからマークされていたでしょうから、謀略や詐術がまともに使える余地があったのかどうかさえも怪しいんですよね。そもそもそんな環境下では資金集めにも相当苦労することでしょうし、まともな内部工作自体が現実問題としてできたかどうか……。
そんな状態では、いっそ帝国にたいして忠誠を誓った方が良いと考える平民階級もいたでしょう。貴族階級に対する嫌悪感を持った人が多かったのは間違いなかったでしょうけど、そこから「帝国打倒」にまで持っていくには、相当に現実性の高い政治的構想と強大なカリスマ性をもった政治的指導者が必要です。そして共和主義者の間には、ついにそのような人物が現れる事はなかったのでしょう。
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- board2 - No.1023
軍人と政治家の関係の参考として
- 投稿者:Merkatz
- 2000年06月14日(水) 13時17分
民主主義(シビリアンコントロール)とは違いますが、
軍人と政治家の在り方として、WWIIのドイツにおける、ヒトラーに対するマンシュタインの態度は興味深いものがあります。
軍の中にはナチスに傾倒するものもいましたが、
多くのドイツ軍人は職業軍人として時の政府(すなわちナチス党)に従ったまでで、
特別、ヒトラーの思想に敬服していたわけではありません。
その最たる例がマンシュタイン元帥です。
彼はプロフェッショナルとしてヒトラーに度々進言しています。
有名な「マンシュタイン作戦」(アルデンヌの森を突破しフランスを電撃的に陥落させた)にしても、
軍事的見地から「決戦を求めずに最終的勝利は得られない」と言い続け、
博打的要素を恐れるヒトラーに了承させることに成功しています。
また、対ソ戦においてもドン軍集団司令官としてその責任を全うしようと度々ヒトラーと衝突しています。
しかしヒトラーの不興を買い、解任されました。
彼の回想録を読んで印象深いのは、まず熱心に手紙を書いているという点です。
ヒトラー宛に何通も、作戦に関する自分の見識やどのようにすれば最善であるか、また、さしあたり必要な処置などを懇切丁寧に書き送っています。
さらに部下や自分自身がヒトラーの元に赴き説明をすることもしばしばで、
なんと半日もヒトラーの説得に費やすこともありました(結局、そのような説得が功を奏したことは一度とて無かったが)。
マンシュタイン自身、そのような作戦外の「手間」にウンザリしていることを書き記していますが、
それでも彼は最後まで、自分の責任を放擲することはありませんでした。
果たして、たとえ相手が独裁者と雖も自分に負わされた将兵達の運命に対して最後まで諦めなかったマンシュタインと、
民主国家の軍人でありながら、「給料分の仕事はしたさ」で簡単に諦めてしまうヤンとでは、
どちらが「与えられた責任を投げ出そうとしない」(byフレデリカ)と言えるのでしょうね。
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- board2 - No.1024
Re1022:亡命問題の疑問と共和主義運動の停滞
- 投稿者:平松重之
- 2000年06月15日(木) 03時09分
冒険風ライダーさん
> 「神々の黄昏」作戦当時の脱出者の場合は「フェザーン自治政府や同盟の要人」といったような「政府高官の地位」についている人が多かったのでしょうから、一般の亡命者と並べて論じるのは少し無理があるでしょう。それにフェザーン占領行政と亡命者に対する統制とでは「有事」と「平時」の格差がありますから政策の徹底度も統制の内容も全く違いますし、第一、ゴールデンバウム王朝時代の軍隊と異なり、軍規が厳しいラインハルト率いる帝国軍は買収や賄賂がほとんど効きません。
> だから平松さんが出した例は亡命問題の比較としてはあまり参考にならないのでは?
なるほど。ですが30隻の中で200人が摘発されたという事は、1隻あたり6、7人ということですから、これから考えれば平時の時でも亡命の際に密かに載せられる人数もあまり大した数ではないと思いますが。いくら平時でもこの100倍以上の数を看過してしまうとは考えにくいのでは?
> 共和主義者や平民階級の不平分子が亡命していく事自体は、帝国にとってもそれほどのマイナスポイントにはならないでしょう。「所詮は下賎な平民や叛逆者どもだから」と帝国の首脳部は考えるでしょうし、彼らを「処分」する手間も省けますしね。むしろ彼らが帝国内部で同盟と呼応した民主運動を展開される事のほうがはるかに危険です。だから帝国の内部を固めるためにも、不穏な分子は同盟に追いやってしまった方が却って良いと帝国政府は考えたのでしょう。ちょうど今の北朝鮮と同じような考え(国家基盤を固めるためには人口を1000万辺りまで減らす必要がある、と某首領様はのたまったとか)であったと考えれば分かりやすいでしょうか。
> むしろ「亡命を食い止めなければならない」という観点から見れば、帝国の貴族や皇族といった「帝国の支配階級者」の亡命の方がはるかに帝国の支配体制にとっては有害なものでしょう。支配階級でさえ亡命してくるという事実は、同盟側にとって帝国の支配体制が磐石なものではない事を宣伝するための絶好な好材料となりえるからです。現実世界でも、北朝鮮の政府高官や要人が外国へ亡命してくる事が話題になるたびに、北朝鮮の支配体制に対する疑問の声が出てくるという事例があります。
> 亡命問題で特に重要視されるのは「亡命者の質」であって、すくなくとも逃亡される側にとって「数」は全く問題ではないのです。どれほど多くの亡命者が出たとしても、政治的に何ら影響を受けないのであれば放任されるし、逆に「一人の亡命者」が政治的に大きな影響を与えるというのであれば、たとえどんな無理をしてでも妨害しようとするでしょう。亡命問題というのはそういうものなのですよ。
それにしても、惑星上なら亡命者も散り散りになって身一つで逃げれますから、逃がした側も「やむを得ない」と諦められるでしょうが、宇宙船以外に逃亡の手段もなく、航路もある程度限定されている宇宙空間で、それだけ大量の亡命を許してしまうと言うのは、国家の税関や入国管理などのチェックシステムの衰弱・腐敗をあからさまに露呈してしまう事になりますから、少しまずいのでは?
> これは全くその通りなんですけど、帝国内における共和主義者たちは常に社会秩序維持局あたりからマークされていたでしょうから、謀略や詐術がまともに使える余地があったのかどうかさえも怪しいんですよね。そもそもそんな環境下では資金集めにも相当苦労することでしょうし、まともな内部工作自体が現実問題としてできたかどうか……。
> そんな状態では、いっそ帝国にたいして忠誠を誓った方が良いと考える平民階級もいたでしょう。貴族階級に対する嫌悪感を持った人が多かったのは間違いなかったでしょうけど、そこから「帝国打倒」にまで持っていくには、相当に現実性の高い政治的構想と強大なカリスマ性をもった政治的指導者が必要です。そして共和主義者の間には、ついにそのような人物が現れる事はなかったのでしょう。
ほんとに、彼らはゴールデンバウム王朝成立以来の500年間何をしていたんでしょう?
- 親記事No.906スレッドの返信投稿
- board2 - No.1025
Re1021/1024:民主主義国家における軍人の責務と亡命問題
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年06月15日(木) 07時44分
>小牧 哲治さん
一連の「反対意見」なるものを読んでみたのですが、どうも私の主張の内容を正確に把握してはいらっしゃらないようで、引用にも反論内容にも「?」と考えてしまう個所が多数見うけられます。
まず、私がこのスレッドの最初でアレほどまでに強調しておいたはずの「立法府(議会)」の存在が反論文の中から完全に欠如しています。私が主張したシビリアン・コントロールの基本概念について反論するには、この「立法府」の存在を無視してもらっては困るのですけど。
私がこのスレッドで何度も主張したように、民主主義国家におけるシビリアン・コントロールというものは、立法府・行政府・軍部の3つによる「相互牽制(3すくみ)」によって成り立っているものです。そして私は軍部以上に行政府が構造的に暴走しやすいものであるとも言ってきました。その暴走しやすい行政府に対して、軍部が立法府を介して軍事的見地に立った意見を主張する事は、国家存続のためにも、ひいては健全な民主主義を守るためにも必要不可欠な事であると述べたわけです。
したがって、
<地位と名声を得ている軍人が民衆を扇動するような行為は
かのヨブ・トリューニヒト議長となんら変わりもせず
それに軍人が政治を正すという名目で権力を握ることは
軍事独裁政治を引き起こす一因になりかねないのではないでしょうか。>
という類のことを私は別に一言も述べていませんから、反論としては見当ハズレなシロモノですね。
<あくまでも政治の腐敗は民衆が正さなくてはいけないと思います。
たとえ軍人が軍隊に関することを要求してもそれは一意見として
とれえることしかできないと思います。
軍部の要求を際限なく取り入れればそれは軍事力の肥大化となり
国家予算の大半をつぎ込むことになりしいては国家を崩壊させかねないということです。>
あの~、私が言っているのは「軍部は軍事専門家として、議会に対して軍事的見地に立った意見を主張しなければならない」ということであって、それを聞いた側が軍部の意見を全面的に受けいれるべきである、とは一言も言っていないのですけど。
議会が軍部の意見を採用するか、行政府の政策を支持するかは、結局のところ議会の判断に委ねられているのです。軍部の意見が愚かであると議会が結論づけたならば軍部の意見は却下されるでしょうし、行政府の政策の方が不当であると認識すれば軍部の意見が採用され、行政府の政策は是正される事になるのです。議会だってバカではないのですから、軍部の意見を100パーセント受けいれて行政府を掣肘するなんて事はありえないでしょう。
ただ、行政府は構造的に強大な権力を掌握している事が多いですから、その権限を利用して軍部に対して様々な政治的介入を過剰に行う可能性が極めて高く、だからこそ、行政府の暴走を食い止め、行政府に対する軍部の反発を抑えるためにも、軍部が議会に対して軍事的見地に立った意見を述べる事が、シビリアン・コントロールの観点からも必要になってくるわけです。
これでもまだ、軍部が国防問題に関して意見を述べる事は不当であると言うのですか?
<なぜ政府から無謀な要求でもそれを是正できなかったかといえば
それは最高会議で決定されたことであり、そこにいたるところで
軍部が(フォーク准将が)私的ルートで要求したことを政治的
判断で決めてしまったことであり、軍部としては今更変えることが
できなかったということがあるはず。
そこでいかにヤンウェンリーであろうとも、ビュコック提督でも、出兵を
拒否することはできないはずです。
それは民意(多分に政治家の思惑があるが)が決めたことを
軍部が無視できないということです。
そこでできることは、戦場の戦術レベルで最低限の被害ですむように
しなければならなかったのにそれを怠り、あまつさえ負担ばかりを増やして
結局のところ帝国に焦土作戦を成功させた一因であるでしょう。>
この帝国領侵攻作戦こそ、行政府が何らの歯止めもなしに暴走してしまった典型例のひとつであると私は主張してきたはずなのですけど。そもそもあの帝国領侵攻作戦は「最高評議会幹部の選挙目当て」で強行されたものであり、実は何ら民意に基づいたものでもなければ、国家や国民の利益を考えて実行されたものですらないのです。それを食い止めるためにも、軍部はそのような遠征が軍事的見地からしていかに無謀なものである事を述べなければならないし、議会もまたそのような愚行を強行する行政府を掣肘しなければならなかったはずです(同盟で立法府がまともに機能していたかどうかは疑わしいものですが)。
それに帝国領侵攻作戦においては戦術レベルの末端に至るまで政治が過剰なまでに介入していました。帝国軍が撤退した地域の住民に食糧を与えるなどという愚行は、同盟軍の軍事行動に非常に悪い意味での政治的・人道的配慮がかなり混入していた何よりの証拠です。つまり軍部は自分達が管轄しているはずの戦略・戦術レベルに至るまで軍事的利益と相反する政治的要素に束縛されていたわけで、こんな惨状では負けて当たり前ではないですか。
これでも軍部は政府の命令に異議を唱えず、ただひたすら黙って従っていなければならないと言うのでしょうか。
<必ずしもヤンの行動が民主主義の行為に沿っているとは言い難い部分もありますが
それでも今ある、政治形態を守るために戦ったことは
これまた事実であります。それに同盟が崩壊した原因は何もヤン一人の
責任ではない筈。なぜならそこまでにいたる中で腐敗してきてそれに追い討ちを
かけていたのですから、民主制は独裁と違いどんなことでも変えるためには
時間がかかるものなのです。ですから一人がその国を崩壊させた
というのはあきらかに間違えではないでしょうか>
あのですね、ヤンが同盟の軍人としての責任を果たさなかったために発生してしまった「同盟崩壊の原因」というのが結構あるのですよ(特に銀英伝6巻の騒動に至っては「ヤンの行動が全ての元凶」であると言っても過言ではない)。私はこのスレッドの最初にそれについて言及しておいたはずなのですけど、そこら辺はきちんと読んでいただけたのでしょうか?
ヤンは自分のなすべき軍人としての義務を果たさず、そのために同盟が滅亡してしまった以上、同盟崩壊におけるヤンの責任は非常に大きなものであったという考えは別に不自然なものではないでしょう。第一、同盟崩壊の原因に「腐敗」という非常に抽象的な概念を持ち出していますが、これは一体何のことを指しているのですか? 私はこの「腐敗」についてもこのスレッドの論争で言及していたはずなのですけど。
それに「民主制は独裁と違いどんなことでも変えるためには時間がかかるもの」というのは明らかに大ウソですね。アメリカなどは代表的な民主主義国家のひとつですが、あの国は政治的決断を下すスピードが非常に速いではないですか。これは行政府の権限が強いからです。そして「行政府の権限が強い」ということと「民主主義」とは何ら矛盾するものではありません。むしろ「権力の弱い民主主義」なるシロモノの方が、却って強大な権力を行使できる独裁制を招来させる危険な体制なのです。
「権力が弱い=民主主義」という思想がいかに間違ったものであったか、ヤンは少し考えてみるべきだったと思うのですけど。
<エル・ファシルやイゼルローン共和政府は
時間が無さすぎでした。(イゼルローンはその後がわからんが)
民主制というものは時間がかかるものなのです。自由惑星同盟でさえ
最初は、民衆の意志でなく指導者がトップに立ちました。
ですからその後民主制に移行することはできる筈です。
最初に民主制でないからといって、そこに木がないからといって緑がない
といっているのと同じではないでしょうか。>
ではなぜヤンは、バーミリオン会戦における同盟政府の無条件停戦命令に「政府の命令に従う事がシビリアン・コントロールだから」という理由で黙って従ってしまったのでしょうか? あの場合で選べる選択肢のひとつのしては、政府の命令にあえて背いてラインハルトを吹き飛ばし、同盟政府を解体してしまった上で一時的に独裁体制を築き上げ、然る後に「民主制」に移行するという方法だってあったはずなのですけど。
「最後に民主制が確立すればそれで良い」というのであれば、ヤンやヤン・ファミリー一党はいくらでも非常手段が取れたはずなのですけどね~。
それにエル・ファシル独立政府にせよ、イゼルローン共和政府にせよ、民主主義国家として独立し、帝国と戦うというのであれば、せめてその事の是非について問う国民投票ぐらいはやっても良かったのではないですか? 特に独立問題の方は国家体制を確立するためにも非常に重要な事項ではありませんか。現実世界においても、カナダのケベック州がカナダからの分離独立の是非を、ケベック州住民による国民投票で決めたという事例があるのです(過去に2回投票が行われて2回とも独立反対派が勝利しましたが)。「民主共和政体」を自称するのであれば、せめて国家体制の確立の是非を問う国民投票ぐらいは当然行って然るべきでしょう。ましてや、わざわざ平和の道を捨ててまで独立し、帝国と対立する道を選ぶというのであればなおの事です。帝国の支配下における平和を望む人だって大勢いるのかもしれないのですから。彼らの「民意」は無視してかまわないのですか?
イゼルローン共和政府に至っては、ヤン・ファミリーをはじめとする首脳部が帝国との戦いを継続する事を何ら民意を問わずに決めたばかりか、それに反対する連中は出ていってかまわないとまで放言する始末です。これのどこが自称「民主共和政体」のやる事なのでしょうか? 私にはイゼルローン共和政府が「排他的な独裁体制」にすら見えるのですけど。アレほどまでに「民主主義の理念」にこだわったヤンの遺志を継ぐというのであれば「民主主義的な手続き」を無視してはならないでしょう。
「民主主義の理念」に基づいて同盟を崩壊に追いやったヤンやヤン・ファミリー一党が、「民主主義の理念」を何ら実現していないエル・ファシル独立政府やイゼルローン共和政府のために戦い、しかもその事に何ら疑問を覚えないというのは少しおかしいのではないかと思うのですけど。
>平松さん
<ですが30隻の中で200人が摘発されたという事は、1隻あたり6、7人というこ とですから、これから考えれば平時の時でも亡命の際に密かに載せられる人数もあまり大した数ではないと思いますが。いくら平時でもこの100倍以上の数を看過してしまうとは考えにくいのでは?>
居住性をあまり考慮しないでよいのであれば、ひとつのコンテナに人をたくさん詰め込み、「貨物」になりすまして乗船するという方法もあります。これは日本に流れてくる不法入国者達がよく使う手なのだそうですけど。
他にも船をすこし改造して亡命者を匿うための専用の部屋を作り、それに対熱・対赤外線探知装置などの防御対策を施して偽装するとか、帝国の捜査網をかいくぐる手段は結構色々とあるものです。そして帝国の方も、それほど本気になって同盟への亡命者を取り締まろうとはしなかったのでしょう。帝国軍の軍規も相当乱れていたでしょうから、賄賂や買収もかなりの効果があったでしょうし、貴族に対して反感を覚えていた平民階級の兵士や将校が亡命者を匿い、亡命に協力したという事情もあったかもしれません。
フェザーン占領時の時は帝国軍が駐留して逃亡者が出ないよう徹底的に監視していましたから、そもそもよほどの事情がないかぎり、そんな時期にフェザーンから逃亡しようと考える人間はまずいないでしょう。フェザーンから出ていくにしても、普通はまず帝国の占領政策がそれなりに緩んでくる時期を待つはずで、だからフェザーン占領時の時はそんな余裕がなかった200人「しか」拘束されなかったのでは?
<それにしても、惑星上なら亡命者も散り散りになって身一つで逃げれますから、逃がした側も「やむを得ない」と諦められるでしょうが、宇宙船以外に逃亡の手段もなく、航路もある程度限定されている宇宙空間で、それだけ大量の亡命を許してしまうと言うのは、国家の税関や入国管理などのチェックシステムの衰弱・腐敗をあからさまに露呈してしまう事になりますから、少しまずいのでは?>
帝国は建前上「人類社会における唯一絶対の支配国家」であると自称していますし、ダゴン星域会戦で同盟に敗北するまではその建前が完全に事実であると信じこんでいたのですから、そもそも「国家の税関」だの「入国管理などのチェックシステム」なんて存在していなかったのではないでしょうか。そして、そのような事情もあったからこそ同盟に亡命しやすかったという事情もあったのかもしれません。
そして何よりも帝国側は亡命者の検挙にそれほど熱心ではなかった、これが大量の亡命者が同盟に逃げ込めた一番大きな理由だったでしょうね。