2代目掲示板過去ログ

mixiチェック

投稿ログ75 (No.1215 - No.1231)

親記事No.1201スレッドの返信投稿
board2 - No.1215

Re: 要最低限のこととは?

投稿者:本ページ管理人
2000年07月24日(月) 15時30分

仮想田中芳樹さんは書きました
> >私は別に田中芳樹に特別を要求しているわけではありません。
>
>  フィクション作品中に論理性を求めるというのはかなり特殊な要求ですよ。
>
> >作家として、必要最低限の事は守ってくれと言いたいだけです。
>
>  その作家として最低限必要なこととはなにで規定されているものなのですか?
>
>  現在の日本でフィクション作品中に売れるために嘘をいれることは法律上、文壇倫理上何ら問題はないです。
>
> >現に、私やここの常連の方の反応は、「何故創竜伝や薬師寺シリーズがあんなに売れているのか」ですから。
>
> 美少年、美少女を出せば売れますし、政治批判をすれば若者に受けます。主人公が悪玉を倒せば欲求不満の解消になります。日本は(儒教の影響でしょうか、韓国もですが)民族批判系がもてはやされる国です。
>
>  登場人物がすべてどうということのない容貌と能力の持ち主、政治家や官僚の苦悩を丹念に書き、主人公が問題の解決に選挙や討論をつうじて何年もかける。そんな作品はあまり読みたくないのではないですか?
> なぜならそれは現実そのものなのですから
>
>  そもそも石井さんやHPの常連の方はそこらへんを分かっていてあえておもしろいからここでいろんな主張をされているのでしょうか。間違っていることを承知で。そうだとしたら私からはなにも言うことはありません。
>
> それではご返答をお待ちしております。

ご質問の答えですが、旧過去ログ1500番台周辺の議論などが参考になると思います。

次は一例です。

No. 1576
「小説」について
投稿者:石井由助
1999/7/18 01:22:59
>ココの「小説に作者の考えが入っちゃいけないって誰が決めた?」ってのは鋭い所突いてると思う

うーん、こんなこと言うまでもなく常識だと思ってたんですが。「管理人さんの主張が現在の価値観を下地にしたものなのですから、当然、。ココさんの考えも現在の価値観を下地にし
たものでなければならばなりませんよ、ココさんが過去に生きる人でない限りは」って仕立て屋さんが言っているように。
 あと、「作者の考えが入っちゃいけない」とは言っていません。言葉のあやだと思いますが、念為。




「原典」というのなら、国語辞典でも読んでもらえばいいと思います。以下は引用しやすいのでブックシェルフベーシックを使いました。

しょう‐せつ【小説】
文学形態の一つ。作家の想像力・構想力に基づき、人間性や社会のすがたなどを登場人物の心理・性格、筋の発展などを通して表現した散文体の文学。古代の伝説・叙事詩、中世の物語
などの系譜を受け継ぎ、近代に至って発達した。坪内逍遥がノベルという概念を翻訳するために、「小説」という古語に新生命を与えたもの。また、国文学史で、中世・近世の物語・草
子類の散文体文学をいう。
━しんずい【小説神髄】 文学理論書。九巻。坪内逍遥作。明治一八〜一九年成立。小説の改良をめざし、その新指標を示した。勧善懲悪主義など小説の功利的な見方を排し、世態、人
情、風俗などの写実を主張。

Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) Shogakukan 1988.国語大辞典(新装版)小学館 1988.

親記事No.1201スレッドの返信投稿
board2 - No.1218

個人的にですが

投稿者:本ページ管理人
2000年07月24日(月) 15時46分

>  登場人物がすべてどうということのない容貌と能力の持ち主、政治家や官僚の苦悩を丹念に書き、主人公が問題の解決に選挙や討論をつうじて何年もかける。そんな作品はあまり読みたくないのではないですか?
> なぜならそれは現実そのものなのですから

 これ、読みたいなぁ(笑)
 ビジネスハードカバー層が購買層になりそうですけど、ちゃんとしたデキであれば、結構売れるのでは?
 まあ、確かに創竜伝みたいな売れ方はしないでしょうし、購買層も違うでしょうけど。

 それはともかく、問題なのはチャンチャンバラバラのアクション伝奇小説であるか本格政治小説であるか、ということではありません。
 アクション伝奇小説でも素晴らしいものはあるし、本格政治小説でもどうしようもないモノがほとんどです。
 問われているのは、ジャンルではなく、小説の質そのものです。


余談
 最近、ふと、「殺し屋イチ」というマンガに竜堂兄弟が出てきて悪人を倒しまくったらなかなか爽快だろうな、と思いました。
 竜堂兄弟級の正当防衛を成立させるためにはアレくらいする必要があるように思えます。
 まあ、田中芳樹がそんなバイオレンス小説を書いてもしょうがないんですが、そうなる時点で作品の方向性が間違っているようにも思えますね。

親記事No.1213スレッドの返信投稿
board2 - No.1219

Re: 私の創竜伝考察32 

投稿者:本ページ管理人
2000年07月24日(月) 16時09分

>  あと、イギリスの博物館や美術館の入館料が無料である理由にも言及しておくと、イギリスの美術館や博物館は元々貴族や王族が所有していた貯蔵品を民衆に向けて公開するために設立されたという歴史的経緯から、国民に向けた啓蒙的・教育的芸術組織として無料であるべきだと考えられているためで、別に田中芳樹が主張するような「軍事力と資本力によって世界を制覇した大英帝国が、文化においては敗者におよばないことを自覚した証拠」などという「崇高な理由」に基づくものではありません。これはむしろ「文化や歴史の違い」という観点から論じるべき問題でしょう。

 どちらかというと、ノーブレス・オブリージ(貴族の義務)というヤツでしょうね。これは。
 民主主義云々というよりは、貴族制、封建制の美点というべきでしょう。
 むしろ、芸術のようなものに関してはパトロンが必要で、その意味では民主主義と芸術はかなり相性がよくないように思えますね。
 私は民主主義の芸術というと、どうしても「人民~」とか「市民~」という、それこそキッチュなものを連想してしまいます。


> 創竜伝10巻 P93下段~P94上段
> <四人はB&Bを出て、おおざっぱにテムズ川の方角へと向かった。一軒の店にはいって買い物をし、街角の旧式な時計を見ると九時半である。
>  始はデジタル時計よりアナログ時計のほうが好きだ。デジタル時計は「五時五七分」というように単一の基準と表現を押しつけてくるが、アナログ時計だと「五時五七分」「六時三分前」「もうすぐ六時」という風にさまざまな見かたができる。ゆとりと多様性を感じさせてくれるからなのだが、「緻密さと正確さとを欠く時代遅れのもの」といわれれば、たしかにそれまでである。だが万人が秒以下の単位まで厳密な時間に追われる必要はないだろう、とも始は思うのだ。そして、アナログ時計の心地よさをロンドンの街に感じる。古いビルを建てなおすときに、内装や設備は最新式にしても外見は古いままに保つ。日本橋の真上に高速道路をかぶせて建設し、醜悪な市街づくりに狂奔してきた日本では、泡沫経済がはじけて消えた後に、コンクリートの原野だけが残った。あらゆる亡命者を受け容れ、王室に対しても言論の自由を認めた大英帝国の度量を学びとらないまま、虚妄の繁栄を終わろうとしている。かつて「日本だけが永遠に繁栄する」とか「株と土地は永遠に値が上がりつづける」とか主張していた経済評論家たちは、いまごろどうしているのだろうか。>


 これは面白いですね(笑)。
 そもそも、デジタル=合理的、アナログ=非合理的という前提が間違っていますね。
 なぜ車のメーターがアナログ主流かというと、速度や回転数を一目で総合的に判断するには、アナログの方が合理的だからです。
 そもそも、「ゆとりや多様性」なんてデジタルかアナログかという問題じゃないでしょ(笑)
 デジタル時計に遊び心を見つける人もいれば、アナログ時計を四角張って見つめる人もいる。
 相変わらず、図式から帰納的に現実をこじつけているやり方ですね。
 これってトンデモ科学と同じ思考法なんですけれど……

親記事No.1201スレッドの返信投稿
board2 - No.1221

Re: 要最低限のこととは?

投稿者:モトラ
2000年07月24日(月) 18時40分

申し訳ありません。自分で読み返してみて、あまりに文章が滅茶苦茶だったので書き直しました。

>  フィクション作品中に論理性を求めるというのはかなり特殊な要求ですよ。
>  現在の日本でフィクション作品中に売れるために嘘をいれることは法律上、文壇倫理上何ら問題はないです。

なんですか文壇倫理って。
大体フィクションに論理性を求めることのどこが特殊ですか? 一度決めた大枠の設定を崩さないのは、作劇上当然のことでしょう。例えば「ガンダム」では、人型巨大ロボット兵器の存在する世界を成立させるために、レーダーを撹乱するミノフスキー粒子によって有視界戦闘が中心になり、白兵戦用MSが登場した、という設定がなされましたが、後のシリーズ「Zガンダム」で、対レーダー戦用MSを登場させてしまい「設定無視だ」と批判されたことがあります。

「創竜伝」の場合、例えば月面の大気の有無、いつの間にか劇中から消滅したソ連等、自ら初期設定(論理性)を次から次へとないがしろにしてしまっているからこそ、思想傾向を抜きにしても批判を受けるのでしょう。

> 美少年、美少女を出せば売れますし、政治批判をすれば若者に受けます。主人公が悪玉を倒せば欲求不満の解消になります。日本は(儒教の影響でしょうか、韓国もですが)民族批判系がもてはやされる国です。


美少年、美少女は別に構いません(私もオタクのはしくれなのでそのテのものには目が無いし)。政治批判も建設的なものならばよいでしょう。でも、創竜伝で繰り返されるそれは、戦後に台頭した左翼イデオロギーに端を発するものです。伝統を否定し、自国をあしざまに罵ることで自らが正義であるかのように錯覚する、歪んだ価値観を若い読者に対して提示するのは非常に危険なことです。

>  そもそも石井さんやHPの常連の方はそこらへんを分かっていてあえておもしろいからここでいろんな主張をされているのでしょうか。間違っていることを承知で。そうだとしたら私からはなにも言うことはありません。

「何を言っても、分からない人には分からない」か…

それから、いい加減、「仮想田中芳樹」を名乗るのはやめて、本名なりオリジナルのHNとメアドで勝負してください。擁護をしているつもりなのでしょうが、かえって逆効果ですよ。田中芳樹自身も迷惑でしょう。

親記事No.1005スレッドの返信投稿
board2 - No.1222

なんか今更ですけど

投稿者:機械仕掛けの珈琲
2000年07月26日(水) 11時46分

試験に追われて間を空けてしまいました
本ページ管理人さんは書きました

>
> 劣悪遺伝子排除法などというアナクロな制度を制定したルドルフのことですから、宗教排除法(仮)なんかがあっても違和感無さそうですが、オーディンとかトゥールとかを惑星や要塞の名前にしちゃっているくらいですから、それはないかと。
>  これって、国家神道みたいなものなのでしょうかね?

国家神道みたいなものだという事にしてください。ルドルフは銀河帝
国を造るにあたり国家のイメージというか縦の力を造るのに古ゲルマ
ンを理想としたみたいですから。オーディンやトールは言わずと知れ
た北欧神話の神様ですが、具体的に古ゲルマン民族は11世紀ぐらい
にキリスト教に改宗しているので神話だけを拝借したのではないかと。

>  ちなみに、これと同じ論理の宗教弾圧が現実にありまして、共産圏で、実際に宗教は抹殺されていました

どちらかというとマルクスは、プロレタリアートはブルジョアから搾
取されて不条理な状況に置かれている。プロレタリアートはこのよう
な現状を認識して来るべく革命に備えなくてはならないのに、宗教は
このような現状の不条理を覆い隠す役目を果たすので、宗教がいけな
いと考えたのに対し、私が思いついた通りにルドルフが弾圧したのなら、宇宙の摂理は弱肉強食だと考え、弾圧すると思います。社会ダー
ウィニズム的かも。

>  これで実際に宗教が抹殺できたかどうかは、現在の旧共産圏を見れば明らかだと思います。
>

そういえばそうですねロシア正教会なんか今でも現役ですし。だとす
ればルドルフが弾圧しても生き延びますね。

Merkatzさんは書きました
>カルトならともかく、既存の宗教はいわば社会道徳と相当部分一体となっている。
>信仰とは別の意味で社会の一部を成しているのに、そんなに簡単に崩壊するでしょうか?

既存の宗教と社会道徳が一体となっている部分を倫理学が引き剥がす
事も将来可能になると思います(それを信者が受け入れるかどうかは
別にして)。倫理学は宗教と異なり神とか天とか超越的な立場を導入
することなく個人や社会にとって善とは何かを考察する学問なので、
こういった学問が発達すれば社会道徳の基礎を宗教に置かなくても済
むのではないかと思います。

親記事No.1005スレッドの返信投稿
board2 - No.1223

Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(21)

投稿者:不沈戦艦
2000年07月26日(水) 15時33分

更に続き。

------------------------------------------------------------------------------

 タンネンベルク伯の名前は、敵にして将兵に不安を与えさせるに十分な威力を発揮することは間違いないのだ。



「よし、現時点にて戦闘終了。これより、我が艦隊は本隊を追従する!」

 シュタイナー少将の命令とともに、シュタイナー艦隊はキルヒアイス艦隊への牽制攻撃を中止し、踵を返しオーディンへと舳先を向け、全速前進を開始した。ルッツとワーレンが何とか追撃しようと試みたが、結局これも振り切られてしまってどうにもならない。最後まで、シュタイナー艦隊の機動力は、キルヒアイス艦隊にはどうすることもできなかった。

 実に、三日間にわたり、キルヒアイス艦隊を振り回し、足止め攻撃をし続けたシュタイナー艦隊である。機動力を生かして側方や後方に回り込み、、嫌がらせのような攻撃を連続的に行う。相手が本格的な戦闘に入る兆しを僅かでも見せると、距離を取って受け流してしまう。これを延々と繰り返したのである。キルヒアイスもルッツもワーレンも、何度も罠を構築してシュタイナー艦隊を誘い込もうとしたのだが、ついにシュタイナーは一度も引っかからなかった。時間ばかり掛かって戦果のあがらない、徒労のような戦闘を三日に渡って行った、いや行わさせられたキルヒアイス艦隊将兵の疲労は、相当色濃い。

 しかし、さすがのシュタイナー艦隊も、ビーム弾やミサイルの9割方を使い尽くし、補給を受けなければ、これ以上の戦闘継続は不可能という状態だった。だが、ここまでしぶとく戦いつつ、戦力的には一割弱程度しか失っていないのだ。貴重な時間を三日も稼いでおり、シュタイナー少将は過分なまでに任務を果たした、と言えよう。しかも、数量的には三倍以上の敵で、戦術指揮能力の高いキルヒアイス・ワーレン・ルッツが相手だった訳であるから、驚くべき戦果と言ってもいいだろう。


 高速で遠ざかっていくシュタイナー艦隊を、キルヒアイスは賞賛と困惑、焦燥が入り交じった複雑な心境で見つめていた。何度も仕掛けた罠、包囲殲滅作戦は悉く失敗し、逆に何かやるごとに出血を強要され続け、疲労困憊させられた相手である。三日間に渡ってそれをやり遂げた敵将の戦術手腕には、敵ながらあっぱれと賞賛する気持ちはもちろんあるのだが、今回懸かっているのはアンネローゼの安全である。さすがのキルヒアイスも、手放しで賞賛する気にはなれなかったのだ。

「我が艦隊も、直ちにオーディンへ向かいます!全艦、全速前進!!」

 キルヒアイスの命令で、艦隊は帝都へ向かって進撃を開始した。しかし、その歩みは遅々として進まない。何しろ、艦隊の規模が敵より大きい上に、高速艦で固められている訳でもない。しかも敵艦隊に散々引っかき回された後である。一旦陣型を立て直し、その後にオーディンへの進撃を開始したいところだが、今は一分一秒でも時間が惜しい。進撃しつつ、徐々に体勢を立て直すしかないだろう。その際、多少の脱落艦が生じるのはやむを得ない。

----------------------------------------------------------


<以下続く?>

親記事No.1201スレッドの返信投稿
board2 - No.1224

「架空歴史譚作家」田中芳樹

投稿者:優馬
2000年07月27日(木) 07時49分

優馬です。
今月は日本に「一時帰国」しておりまして、ネット環境から一時的に縁遠くなっておりました。物理的に近づいてもネット的には遠ざかるというフシギな経験でした。

さて、「やまだ」さんが「ばちがいかな?」とおっしゃりながら、疑問を呈しておられた本サイトの性格についてです。
おそらく私や「やまだ」さんを含めてだと思うのですが、ある特定の人々にとって、本サイトはとても魅力的です。過去ログをむさぼるように読んでしまうというような経験をさせてくれるサイトというものは、そうはあるものではありません。本サイトは少なからぬ人間を惹きつける力があります。
その魅力について私が本質的な部分と考えるのは、「自分の中でモヤモヤしていた疑問に対して、考え方のスタンスを与えてくれること」ということです。

つまり、多くの(もと)田中芳樹ファンにとって
「銀英伝大好き!」「アルスラーンも好き!」
「でもなんか創竜伝ってヘンだな。」
「なんか読んでいて不愉快になるぞ」(ここで本を買わなくなる者多し)
★「田中芳樹を撃つ!」との出会い。「そうか、そういうことか!」

・・・というような経過が、ここのサイトに集っておられる方々には、多かれ少なかれ、あるのではないでしょうか。
いわば「田中芳樹に裏切られたトラウマ」を共有する人々の「癒し」の場ではないかと(爆)。・・・すみません、あくまでも私の場合はそうだというだけで、みんながみんな、そのような「トラウマ持ち」ではないとは思いますが・・・。

私の好みとしては、「裏切られた元恋人」に対しては、理詰めで知的に苛めてあげたいですね。それも、できれば「正道」に立ち返っていただきたいという気持ちがどこかにあるもので、つまりまだまだ惚れている部分がどうしようもなくあるもので、我ながら「しょーがねーなー」と思うのですが、建設的な「忠告」をしてあげたい。あんまり露骨な「悪口」は不愉快に感じてしまいます。当てこすりや皮肉は、度を超さない限り可なんですが。

帰国中にアルスラーンの10巻「妖雲群行」を買いました。やっぱり、面白いです。ストーリーが薄いとか、キャラ造形が類型的とか、いろいろ批判はできるとは思いますが、久々の「田中芳樹節」を堪能いたしました。(結局、まだまだ「ファンの尻尾」を引きずっている私です。)

私は田中芳樹はレトリック(修辞)の作家だと思います。
「王朝は民衆の頭上を流れ去る川にすぎぬ。だが、どうせなら濁流よりは清流がよい。」(同書43頁)
というような「きいたふうな」気障なレトリックを面白いと思うかどうかで田中芳樹ファンになるかどうかが決まるような気がします。架空歴史物語の中での疑似名言集。どこかで聞いたような、でもちょっと新鮮な名言を、格好いいキャラに吐かせるという手法は、わかっていても魅力的です。そう、田中芳樹の架空歴史ものは、我々が歴史を読むときの「楽しみ」の部分だけを取り出してきて凝縮したような趣きがあります。そういう「架空歴史譚」という新規ジャンルを創設し、新しいマーケットを拓いたという点については、田中芳樹は日本の娯楽小説界において空前にして絶後の業績を上げたといえるのではないでしょうか。

架空世界であれば、自分に都合良く話を展開できるし、キャラの「薄さ」もあんまり気にならないのですが、これが我々の生きる「現代」となるとそうもいきません。
「創竜伝」の失敗は、「架空歴史譚」の手法を無自覚に現代に応用しようとしたことでしょう。生きている現代史は、一作家に都合良くは展開してくれませんし、作家よりも詳しい人が多くいて、疑似名言が「世迷い言」にしかならないという悲惨を招来しました。

なお「架空歴史譚」は、「架空戦記」とは抜本的に異なります。後者が基本的には戦争の勝ち負けのレベルの違いであるのに対して、前者は世界設定全体から作家の創作になるものです。
SFとの違いはもう少し微妙ですが、「異質なものとの出会う驚き」を本質とするSFと異なり、「架空歴史譚」の物語は我々が慣れ親しんだ人類の感性に立脚しています。「架空歴史譚」にはエキゾチズムはあっても、センス・オブ・ワンダーはない、といえるのではないでしょうか。

board2 - No.1225

過去ログ更新のお知らせ

投稿者:冒険風ライダー
2000年07月27日(木) 08時50分

 HP「過去ログ資料館」に、
「田中芳樹を撃つ!掲示板」の投稿997~1222番
「ノイエ・ラント light board掲示板」の投稿341~410番
までをアップデート致しました。
 また今回、煩雑になっていた「田中芳樹を撃つ!旧掲示板過去ログ」のHTMLファイル名となっているログ番号を全て4桁に統一し、2つの圧縮ファイルにまとめて再編集して掲載しております。
 過去ログをまとめて閲覧したいという方はこちらからどうぞ↓

ttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/5814/

親記事No.1005スレッドの返信投稿
board2 - No.1226

Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」まとめ(2)

投稿者:不沈戦艦
2000年07月28日(金) 17時19分

 また溜まりましたので、私のHPに纏めました。興味のある方は下記URLへどうぞ。


ttp://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/2681/sonota.html

親記事No.1005スレッドの返信投稿
board2 - No.1227

Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(22)

投稿者:不沈戦艦
2000年07月29日(土) 14時57分

更に続き。

------------------------------------------------------------------------------

「ようやくたどり着いたか。8日と20時間、キフォイザー近辺の辺境星域からであることを考えると、そこそこの記録だろう」

 タンネンベルク伯爵は、旗艦「カール・フォン・クラウゼヴィッツ」の艦橋で、一人呟いた。伯の眼下には、まごうことなき帝都オーディンの姿がある。9日目、タンネンベルク伯の率いる艦隊は、ようやくオーディンに到着したのだ。しかも、1000隻の艦隊に、脱落艦はない。これは、元々数としては少なかったことと、伯の卓越した艦隊指揮能力の賜物による、ということであろう。さっそく、降下作戦の指揮を取る、第5装甲擲弾兵連隊のギュンター・フォン・シュタウフェンベルク大佐の艦を呼び出す。

「即刻、降下作戦を開始するのだ。おそらく、敵はウォルフガング・ミッターマイヤー中将の率いる艦隊を差し向けていよう。彼らはまだ到着していないようだが、今こうしている間にも、先遣隊が現れる可能性が高い。一分一秒でも早く、オーディンの主要目標を制圧するのだ!最重要拠点は新無憂宮(ノイエ・サンスーシー)と、ローエングラム侯のシュワルツェンの館である。皇帝陛下とグリューネワルト伯爵夫人の身柄を、可及的速やかに確保するのだ。但し、両者とも絶対に傷つけてはならぬし、手荒な真似も許さぬぞ」

 タンネンベルク伯は、通信画面の中の大佐に告げた。シュタウフェンベルクは男爵の階位を持つ貴族で、タンネンベルク伯の閥の一人である。

「次位の目標は、帝国宰相府とリヒテンラーデ公の館である。リヒテンラーデ公爵閣下には、自裁をお勧めせよ。さすがに、帝国宰相ともあろうお方を、死刑には出来ぬからな。まあ、こちらは万一の場合は、逃がしてもよい。皇帝陛下とグリューネワルト伯爵夫人の身柄に比べれば、さしたる問題ではないのでな。あくまで最初の任務を果たしたのち、余力があれば、ということだ」

「諒解しました。ところで、降下部隊に随伴させる艦は、いかが程にしましょうか?制圧すべき地点が多い訳ではないので、無闇には必要ないとは思いますが」

「うむ、200隻ほどを充てる。オーディンの帝都地区を押さえるのには、その程度あれば充分だろう。残りの800隻は、上空援護に廻し私が指揮を執る。今すぐにでも、ミッターマイヤー艦隊が現れておかしくないのでな。こちらは私に任せて、卿は地上の制圧に専念せよ。一隻たりとも通さず、帝都地区制圧の妨害はさせぬので安心してよい」

「はっ。では、降下作戦を開始します!」

 シュタウフェンベルク大佐は敬礼し、通信が切られる。早速、タンネンベルク艦隊の中から、200隻がオーディンの帝都地区に向かって降下を開始した。本来、皇宮・帝国宰相府・各省庁などが並んでいる帝都地区に艦艇を降下させるなど、とんでもない話である。特に新無憂宮の上空に艦船が侵入した場合は、不敬罪で責任者は直ちに銃殺されるところだ。しかし、今回はそんな事を気にしている場合ではない。それ以上に不敬な行為である、皇帝エルウィン・ヨーゼフ二世の捕縛が目的なのだから。


 降下作戦が開始され、シュタウフェンベルク大佐が指揮する艦船が帝都地区に侵入を開始した。宇宙港の管制を無視した、200隻の帝国軍艦艇の帝都地区への降下により、時ならぬパニック状態が発生する。

「警告します、管制に従いなさい!帝都上空に侵入した艦船は、航路法を犯しています!帝都地区に関する航路法違反は、最高銃殺刑の重罪です!管制に従いなさい!!」

 通信機にがなり立てているオーディン帝都宇宙港管制官の警告と指示を無視して、降下してきた200隻の艦船の内半数の100隻は、次々と開けている場所に着陸した。中には、目測を誤って建物を押し潰した艦もある。艦船が着陸すると、エアロックが開くと同時に完全武装の兵士たちを吐き出す。艦から降りた兵士たちは、脱兎の如く駆け出すと、残り100隻の上空援護のもと、主要地区を制圧し始める。戦闘艇ワルキューレも発進し、帝都上空を乱舞し、ローエングラム侯側の警備兵力を発見すると攻撃を開始した。一隻から平均100人、約一万の兵力が降り立ち、地上制圧にあてられている。

「よし!先ずは皇宮の制圧だ!続け!!」

 帝都地区の警備には、モルト中将率いる三万の兵力があてられていたのだが、戦闘艇までも発進させて地上に睨みを効かせる制圧艦隊の前に、手も足も出ない。皇宮警備には一万ばかりの兵力があり、万全の体制で待ち構えていたのだが、上空から戦闘艦の砲撃とワルキューレの地上援護攻撃に、ハンドミサイルで若干の抵抗を行いはしたものの、簡単に叩き潰されてしまったのだ。皇宮に向かったシュタウフェンベルク大佐指揮の陸戦隊は、精々五千人程度で軽火器しか持っていなかったのだが、いかに倍の一万の兵力があるとはいえ、上空ががら空きでは何もなし得なかったのである。戦闘車両・迫撃砲・重砲・重機関銃など多数を装備していても、空爆で叩き潰されてしまってはどうにもならない。先ずは戦闘機タイプのワルキューレが飛んできて、対空火器を砲撃で叩き潰し、更に集束爆弾を積んだ地上攻撃機タイプのワルキューレが、広範囲の地上部隊を一瞬で劫火により焼き尽くし、掃討していく。更に生き残った戦力には、戦闘艦の砲撃が加えられる。もちろん、皇宮自体には損害を及ぼさないように、注意して攻撃しているのだ。皇宮の警備兵たちは、上空からの圧倒的な攻撃によって戦力も志気も崩壊させられた後、雪崩れ込んできた多数の陸戦隊にビーム銃を突きつけられ、武器を捨てて降伏する以外に取る道がなかったのだ。

----------------------------------------------------------


<以下続く?>

board2 - No.1228

2chで見つけた田中芳樹関係スレッド

投稿者:本ページ管理人
2000年07月29日(土) 15時33分

とりあえず目に付いたものをピックアップしてみましたが、結構楽しめますよ。
結構見たことのある人も多いのでしょうかね?

銀英伝
ttp://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=magazin&key=948879027
アルスラーン
ttp://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=magazin&key=955431433&ls=50
夏の魔術
ttp://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=magazin&key=963925209&ls=50
創竜伝
ttp://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=magazin&key=949064888

親記事No.1228スレッドの返信投稿
board2 - No.1229

Re: 2chで見つけた田中芳樹関係スレッド

投稿者:優馬
2000年07月29日(土) 20時55分

とりあえず「銀英伝」見てきました。
「新無憂宮のばら」という、「反銀英伝」ネタがあって、大笑いしました。発展が楽しみ。(主人公がアンネローゼというところが素晴らしい)

board2 - No.1230

お初にお目にかかります。

投稿者:松緒 耕治
2000年07月31日(月) 07時37分

こんにちは。初めまして。田中氏がらみのサイトでこんなに辛辣なところがあるとは思ってもみませんでした…実は「田中芳樹」で検索して最初に辿り着いたのがこのサイトなんです。三年ほど前に銀英伝に夢中になって以来、氏の作品はあらかた読み尽くしたのですが、最近氏の作風に疑問を抱くようになりまして。具体的には創竜伝のことですが。最初のうちはかなり面白いと思ってたんですが、次第に銀英伝と比較してしまいまして、するとどうしても卑小にみえるんですよね。「どんな作家も処女作を超えることはできない」という格言を思い出して自分なりに納得していたのですが、このサイトの方々の意見をみて氏の作風に違和感(もしくは反感)を抱いているのは自分だけやないことを知りました。で、創竜伝なんですけどあれは要は相関関係が破綻してるんですよね。話が進むにつれてどんどん混乱していってたんですけど、問題は自分の読解能力でなくあの無意味な社会評論にあったんですね。日本と西洋では西洋が善、竜種と牛種では牛種が悪。で、善の西洋と悪の牛種がかぶっているのでああいう分かりにくい話になるんですね。ということは物語一本に絞ればそれなりに面白く-銀英伝の足元にも及ばないにしても-なるかもしれませんね。まあかなり軽めの娯楽小説としてでしょうが。

親記事No.1005スレッドの返信投稿
board2 - No.1231

Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(23)

投稿者:不沈戦艦
2000年08月01日(火) 15時21分

更に続き。

------------------------------------------------------------------------------

 武器を捨てて降伏する以外に取る道がなかったのである。


「皇帝陛下。申し訳ありませぬが、以後新無憂宮は、我々の支配下に入ります。軽挙妄動はお慎みになられるよう、謹んで言上つかまつります」

 ずかずかと居室にまで入り込んできて、それでも深く一礼しながら言うシュタウフェンベルクに、幼帝は興味なさそうに、一度目をやっただけだった。知らん顔で、大きな熊のぬいぐるみを振り回しており、シュタウフェンベルクの存在自体無視しているようだ。侍従や女官たちの姿は見えない。取り敢えず纏めて一部屋に監禁した為ではあるが、突然の軍隊の乱入に、怯えている者ばかりなので、危険性はなさそうだった。その内、監禁状態から解放して、また皇帝の世話をさせることになるだろう。もちろん、陸戦隊の監視の下で、ということにはなるのだが。

 三時間弱で、帝都地区はほぼ制圧されてしまっていた。皇宮近辺で行われた戦闘の惨状に、さすがのモルト中将もこれ以上の抗戦を諦め、降伏を受け入れたからだ。まだ半数の一万五千程度の戦力は残っていたのだが、これも空爆の生け贄にするよりは、との中将の判断である。実際、クラスター爆弾による攻撃は、上空援護のない地上部隊にとっては、恐怖以外の何物でもなかったのである。アンネローゼが居住するシュワルツェンの館を警護していた陸上部隊も、降伏して武装解除されてしまう。最重要項目である、皇帝エルウィン・ヨーゼフ二世の身柄、及びグリューネワルト伯爵夫人の身柄は、完全に確保されたのだ。また、帝国宰相府ではなく、私邸にいたリヒテンラーデ公は完全に屋敷を包囲され、窮地に陥っていた。

「グリューネワルト伯爵夫人、お気の毒ですが、貴女は我々貴族連合軍の虜囚となりました。無論、先帝陛下の寵姫たる貴婦人に、手荒な真似などはいたしませぬが、しばらくは我々の監視下にてある程度は不自由な生活をおくっていただくことになります。悪しからずご了承下さい」

 皇宮を辞したシュタウフェンベルクは、次にシュワルツェンの館に向かい、アンネローゼに面会した。シュタウフェンベルクの通告に、アンネローゼは悲しそうな顔をして黙っているだけで、何も返事をしようとはしない。先帝の死によって囚われの身から解放され、ようやく弟とその親友との平穏な生活を得られたと思った矢先に、再度虜囚の運命である。アンネローゼならずとも、運命の過酷さに悲しみを得ずにはいられないだろう。

「監視は怠らないようにしろ。自殺でもされたらことだ」

 アンネローゼのもとを退去する時、シュタウフェンベルクはシュワルツェンの館を制圧した部隊の指揮をとる、若い中尉にそう告げた。何しろ、アンネローゼが無事に生きていないと、人質としての価値がない。帝都を制圧したとはいえ、差し当たっては、タンネンベルク伯の戦力はたかだか1000隻しかないのだ。リッテンハイム侯の本隊が到着するまで、何とか持ちこたえなければならない。その為には、アンネローゼは最重要の人質である。ローエングラム侯爵が総司令官である以上、人質となったアンネローゼを無視して、タンネンベルク艦隊に攻撃を開始するなど、到底あり得ないことだろう。それで、リッテンハイム艦隊が到着するまでの時間は、充分稼げるはずだ。

----------------------------------------------------------


<以下続く?>

mixiチェック