- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1232
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(24)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年08月03日(木) 15時29分
更に続き。
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それで、リッテンハイム艦隊が到着するまでの時間は、充分稼げるはずだ。
「所属不明の艦隊が接近中。数、およそ1000隻!」
ピケットラインに配置された駆逐艦からの報告が、「クラウゼヴィッツ」に入ってきた。リッテンハイム侯の艦隊が、このように早く到着する訳はない。それに数も少なすぎる。
「遂にやってきたか。さすがに早い。『疾風ウォルフ』、ウォルフガング・ミッターマイヤー中将直率の艦隊に間違いないだろう。ピケット艦は退却して本隊に合流しろ。全艦戦闘配備!」
感心したような物言いではあるものの、正直タンネンベルク伯は「冷や汗ものだ」と思っていた。何と、タンネンベルク伯がオーディンに到着してから、たったの二時間後に、ミッターマイヤー艦隊の先遣隊は現れたのだ。まだ地上はシュタウフェンベルク大佐が制圧行動中で、ことは終わっていない。
出現した敵艦隊は、これも1000隻ほどである。可能な限り急行してきたであろうから、脱落艦多数が出ているはずだ。つまり、敵は時間が経てば経つほど、到着する艦が増え、戦力が向上していく訳である。最終的には、一個艦隊一万数千隻が現れるだろう。もちろん、タンネンベルク伯の方にも、時間が経てばリッテンハイム侯の友軍艦隊四万隻、シュタイナー艦隊9000隻の増援戦力が現れる。とはいえ、それはミッターマイヤー艦隊が勢揃いするより、後のことになるのは間違いない。しばらくは、1000隻の戦力で、一個艦隊に対処せねばならないのである。物理的に抵抗するのはさすがに不可能であるから、グリューネワルト伯爵夫人の命を盾に、相手を下がらせるしか方法がない。ところが、まだ地上の制圧は終わっていないのだ。とすれば、交戦を開始して、少しでも時間を稼ぐしかないだろう。
しかし、今のところでも、艦隊の数量的には、タンネンベルク伯の方が少ない。地上制圧作戦に200隻を回しているので、伯の手持ち戦力は800隻である。しかし、タンネンベルク隊1000隻のうち、600隻以上を高速戦艦で固めてある、ということは伯の艦隊の強みだった。100隻は地上制圧に回したので、残るは500隻。巡航艦と駆逐艦は300隻である。これに対し、ミッターマイヤーの方は高速戦艦・巡航艦・駆逐艦がほぼ三分の一ずつ。しかも若干高速戦艦が少な目で、300隻あるかないか、というところだ。現状では、ほぼ互角といったところだろうか。
「前方、オーディン上空に、所属不明艦隊発見!およそ800隻!!」
「やはりか。タンネンベルク伯には、先を越されてしまったようだな」
ミッターマイヤーは、予想通りの結果に頷く。
「敵は戦闘隊形を整えつつ、徐々に接近してきます!」
「敵艦隊中央に、戦艦『カール・フォン・クラウゼヴィッツ』の姿を確認!」
「クラウゼヴィッツ」の存在が明らかになったことにより、「人狼(ベイオウルフ)」の艦橋内にはどよめきが起こった。ミッターマイヤーはマイクを取り、全艦に放送する。
「その通りだ。オーディン上空の敵艦隊の指揮官は、エーリッヒ・フォン・タンネンベルク伯爵である。彼の名は、知っている者も多かろう。我らは、彼を撃ち破り、帝都を取り戻さねばならない。それが適わぬ場合、我らが逆賊になってしまうだろう。それに、強大な敵との一戦は、まさに武人の誉れである。私は、我が艦隊将兵の奮闘に、期待すること大である!」
ミッターマイヤーの檄により、艦隊将兵の動揺は取り敢えず収束した。しかし、ミッターマイヤー自身、楽ではない事は承知している。何しろ相手が悪い。タンネンベルク伯と同兵力で正面からやり合って、勝てるという自信はミッターマイヤーにはなかった。しかし、今回は一刻でも早く敵を帝都から駆逐すべく、積極的に攻勢を掛けざるを得ないのだ。
ミッターマイヤーは、そのまま艦隊をタンネンベルク艦隊に向けて突撃させた。
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<以下続く?>
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- board2 - No.1233
初めまして こんにちは
- 投稿者:妹尾真紀
- 2000年08月03日(木) 16時48分
こんにちは、妹尾と申します。
インターネット上を彷徨っていたらここにたどり着いてしまいました。もともとこういうページが存在することは聞き知っていたんですが、このホームページを読んで私が思ったことは、皆さんかなり田中芳樹作品をよみこんでいるんだな~ってことです。私にはとてもじゃないけど、銀英伝をあそこまで読み込んで、しかも矛盾点を指摘するほどの根性はありません。
ただ、私も一言だけ言いたいことがあります。
実現不可能な新刊予告ならするべきではないし、作品を休止させるならさせるでインフォメーションをするべきだということです。
小説のないように関しては、私は批判をする気はありませんが、これだけは批判したい。田中芳樹はちょっと読者をコケにしすぎだとおもいます。
- 親記事No.1233スレッドの返信投稿
- board2 - No.1234
つけたしです
- 投稿者:妹尾真紀
- 2000年08月03日(木) 20時48分
書き忘れた事があったのでつけたします。
小説の内容に関しては私は前に書いたとうり批判はしません。少なくとも今は。ただ、他の方でおっしゃっていた方も居たんですが、批判と悪口は全くの別物です。そして、このホームページも一般に公開されていて誰でも読めるのですから、多少の影響力があるとおもうのです。だから、ここに投稿する方もこれは承知しておいたほうがいいと思うんです。ちょっとこれはいき過ぎでは…?と思うものもあったので。
あと、私はネット初心者なので、何か失礼がありましたらどうかご指摘ください。
- 親記事No.1230スレッドの返信投稿
- board2 - No.1235
はじめまして
- 投稿者:本ページ管理人
- 2000年08月05日(土) 04時11分
>松緒 耕治さん
こんにちは。
もともと、このサイトを設立した目的は、その当時、田中芳樹関連のサイトと言えば、ほとんど礼賛的なファンサイトしか見当たらなかった事への違和感によるものが大きくあります。
このサイトにこれだけの人が集まっているというのは、そもそもの需要(つまり、潜在的な不満層)があってのことだと思います。
- 親記事No.1233スレッドの返信投稿
- board2 - No.1236
はじめまして
- 投稿者:本ページ管理人
- 2000年08月05日(土) 04時12分
>妹尾真紀さん
こんにちは。
> 実現不可能な新刊予告ならするべきではないし、作品を休止させるならさせるでインフォメーションをするべきだということです。
実は、これが数ある田中芳樹批判の中でも、最も重要な部分だと思います。仮に(本当に「仮に」なのが悲しいことですが…)田中芳樹が小説中で展開している評論が正しかったとしても、それ以前の問題で、彼は批判されるべきなんですね。
それにしても、銀英伝のあとがきで、ファンの間で10巻で終わるかどうか疑問が出ていたとき、信用されなかったのは残念だ、と正論を吐いていた人間が、自らその正論をコケにする行動をとると言うことはどういうことでしょうか。
更に、そういう恥ずべき行動をとる恥ずべき人間の分際のくせに、わざわざ小説を犠牲にして社会批判を行うということが、どれだけ作家として、否、それ以前に人間として最低なことであるか、田中芳樹本人は理解しているのでしょうか?
田中芳樹を批判することは、決して田中芳樹をバカにすることではないと思います。むしろ、彼の支離滅裂で恥ずべき行動を盲目的に肯定することこそ、田中芳樹を貶めることだと思います。
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1237
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(25)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年08月05日(土) 07時42分
更に続き。
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ミッターマイヤーは、そのまま艦隊をタンネンベルク艦隊に向けて突撃させた。
「敵艦隊、曲線軌道を描きつつ接近中!間もなく射程内に入ります!!」
「敵艦隊先頭集団に、戦艦『人狼(ベイオウルフ)』の姿を確認!敵将はミッターマイヤー中将に間違いありません!!」
「クラウゼヴィッツ」艦橋のタンネンベルク伯に報告がもたらされる。「人狼(ベイオウルフ)」の姿も確認し、想定通りミッターマイヤー艦隊であることが判明したのだ。
さすがにミッターマイヤーは練達の指揮官だけあって、直線的に接近して来るような真似はしない。曲線的な軌道を描きつつ、オーディンを目指して突き進んでくる。タンネンベルク艦隊を突破できれば、そのまま帝都の殺到できる寸法だ。しかし、タンネンベルク伯もそれは折り込み済みで、すでにミッターマイヤーの突撃に対処すべく、防御陣型を整えつつある。
「よし。こちらは斜型陣にて応戦する。敵の圧力を受け流しつつ、敵が前進する方向を逸らすように交戦するのだ。決して短期決戦を求めてはならぬが、敵を帝都へは到達させないことは注意せよ。シュタウフェンベルク大佐による帝都の制圧が成功すれば、戦闘は一時中断するからな。我が方の目的は、時間稼ぎだ」
タンネンベルク伯は、最初に全艦隊にはっきりと戦闘目的を指示した。決戦とは考えていない、時間稼ぎの戦闘を行え、と明確にである。行う事も、ミッターマイヤー艦隊の帝都への到達を妨害することのみだ。麾下の将兵に目的意識を持った戦闘行動をさせる。但し、複雑かつ複数の戦術目的は求めず、単純な方針を指示、とこれが、エーリッヒ・フォン・タンネンベルク一流の戦闘指揮だった。
「撃て!」
「撃て!」
双方の艦隊指揮官の口から同じ言葉が発されると同時に、砲戦が開始された。ミッターマイヤーの曲線的な突撃を、タンネンベルクが斜に構えて若干後退し受け流しつつ、前進圧力をオーディン方向から逸らそうとする。
「糞(シャイセ)!このままでは、オーディンを目指すことは適わぬ」
二十分ほどの戦闘の後、ミッターマイヤーは舌打ちした。タンネンベルク艦隊の方が全体の数は若干少ないものの、高速戦艦の数が多いので、受け身に廻った時にはその高い防御力と砲撃力が相当な強みを発揮する。ミッターマイヤーの突進は、敵の砲撃の圧力に負けて、じわじわとオーディンの方向から逸らされていってしまった。強力な防御砲火の前に、進路を変えざるを得なかったのだ。そのままの軌道で無理矢理にでもタンネンベルク艦隊の突破を図った場合、包囲された後、集中砲火を喰らって壊滅に近い損害を受ける事は目に見えている。
「やむを得ぬ。艦隊は右翼方向に進路を変えつつ、一旦敵から遠ざかれ。距離を取ってから陣型を再編し、もう一度突破を図る!」
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<以下続く?>
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- board2 - No.1238
ちょっと気になった記事など
- 投稿者:本ページ管理人
- 2000年08月05日(土) 16時18分
ttp://news.yahoo.co.jp/headlines/jij/000803/int/10531901_jijintx394.html
思うに、田中氏はこういう話を聞いてどう思うのでしょうか。
確かに、アドルフ・ヒトラーがやったことは何があっても裁かれるべき事だし、仮に彼自身が八つ裂きにされようが二週間かかって殺されようが私は別にどうこういうつもりはありません。
しかし、田中氏が無造作・無検証で尻馬に乗っているような「ヒトラー=悪、ユダヤ人=善」という価値観の揺り戻しが、全く無実な、この三人の親戚に起こっているように思えます。
- 親記事No.1238スレッドの返信投稿
- board2 - No.1240
Re: ちょっと気になった記事など
- 投稿者:松緒 耕治
- 2000年08月06日(日) 05時54分
本ページ管理人さんは書きました
> しかし、田中氏が無造作・無検証で尻馬に乗っているような「ヒトラー=悪、ユダヤ人=善」という価値観の揺り戻しが、全く無実な、この三人の親戚に起こっているように思えます。
ナチスの元関係者(ほとんど関係ない人も含めて)を糾弾する人々は、自分たちが現在ではその批判する対象より強い立場にあることを自覚していないのでしょう。でなければ件の歴史家のようなマネをできるはずはありません。思うにあの歴史家は田中氏と同じ人種ではないかと。
- 親記事No.1238スレッドの返信投稿
- board2 - No.1241
余談
- 投稿者:小村損三郎
- 2000年08月06日(日) 14時49分
本ページ管理人さんは書きました
> ttp://news.yahoo.co.jp/headlines/jij/000803/int/10531901_jijintx394.html
>
↑関係ないけど、この異母兄アロイス・ヒトラーJrの息子(おそらくこの3人の父親)も『レッドサンブラッククロス』に登場してますね。(米海軍の駆逐艦の艦長やってる)
本名での登場かどうかは知らんけど。
で、『レッドサン』ついでにもう一つ。
先日、「野中五郎は本編には登場してない」と書きましたが、最近読み返したらちゃんと登場してました。m(_ _)m
派手な戦闘場面ではありませんが。
この人はそのキャラクター故かいろんな架空戦記に引っ張り出されていろんな役をやらされているのでもう訳分からん(^^;;)。
上記の米のヒトラー一族と同様、あまり安易な使い方はやっぱり問題かなあ・・・。
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1242
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(26)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年08月07日(月) 15時40分
更に続き。
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「やむを得ぬ。艦隊は右翼方向に進路を変えつつ、一旦敵から遠ざかれ。距離を取ってから陣型を再編し、もう一度突破を図る!」
ミッターマイヤーは最初の突撃が失敗したことを素直に認め、戦術デザインのやり直しを命じる。やや右翼方向に進路を逸らされつつあったミッターマイヤー艦隊は、右への旋回を早めると、タンネンベルク艦隊との交戦距離から離れていった。
「深追いするな。こちらの目的は防御と時間稼ぎだ。敵の戦術機動に付き合って、派手なステップでダンスを踊る必要はない。あくまで、こちらが選択した戦場で戦うことを、敵に強要するのだ」
タンネンベルク伯は、射程外に離脱したミッターマイヤー艦隊を追い掛けようとする麾下の艦隊を制し、再度防御の為の体勢を取らせる。今度は、敵が右翼から真っ直ぐ突入してくる事を予測し、艦隊全体の向きを右に回転させた上、中央がやや凹んだV字隊形に再編した。しかし、中央部の厚みは十分とるようにしているので、これを突破するのはかなり難しいだろう。
約二十分後、紡錘陣型に艦隊を再編したミッターマイヤーは、遮二無二タンネンベルク艦隊への突撃を開始した。しかし、これも上手くいかない。タンネンベルク伯が構築したV字陣型は、中央部の厚みが他の部分の2倍はある。砲火を集中して突破を図ろうにも、艦列に開けた穴をすぐに塞がれてしまい、さしものミッターマイヤーと雖もどうにもならない。すぐに膠着状態に陥ってしまった。戦況は一進一退で、このままではどちらにとっても有利とは言えない。
「フフフ、さすがのミッターマイヤー中将も、苦戦のようだな。まあ、こちらは防御一点張りでいいのだから、そう簡単には突破されんぞ」
戦いの最中でも、余裕を持って臨むタンネンベルク伯である。第三者として論評するような口調で呟いていた。
「しかし、こちらがそれだけの対応しかしない訳ではないぞ。膠着状態のままでは芸もないし、消耗戦になってしまっては不本意だからな。私の仕掛けも受け取ってくれたまえ」
タンネンベルク伯は、ミッターマイヤー艦隊と交戦しつつ、中央部他から戦隊単位で徐々に兵力を引き抜いていたのだ。それらをV字陣型の左翼先端部に迂回させ、横撃の準備を整えさせている。いくら防御のみに専心しているとは言っても、それだけでは上手くはいかない。守るにしても、多少の逆襲を行い、敵に損害を与え退かせることは必要なのである。全体的に艦列の厚みが減るので、突破される危険性は高くなるが、「戦争とは、形を変えた賭博行為である」という、「戦争論(フォム・クリーゲ)」の著者、カール・マリア・フォン・クラウゼヴィッツの理論を、タンネンベルク伯は完全に理解している。切った張ったの鉄火場が嫌ならば、戦闘行為などに首を突っ込まないことだ。「クラウゼヴィッツ」を、自分の旗艦の艦名にするくらいであるから、タンネンベルク伯がそれくらい弁えていても当然だろう。
「左翼横撃部隊、攻撃開始!」
タンネンベルク伯の命令とともに、横撃が開始された。たかだか100隻ほどの戦力だが、戦っているのは両軍合わせても2000隻ないのだから、状況を転換させるには十分な戦力である。横撃部隊は、すぐさまミッターマイヤー艦隊の側面に取り付き、攻撃を開始した。たちまちミッターマイヤー艦隊の右翼部隊が突き崩され、艦列がバラバラになってしまう。横撃部隊のうち、80隻までを高速戦艦で固めた効果があったようだ。何しろ、ミッターマイヤー艦隊主力の高速戦艦は、中央部へ圧力をかける為に、集中的に投入されていたのである。巡航艦と駆逐艦が主力の右翼側面に、高速戦艦主体の部隊が攻撃を掛けてきた訳だから、ひとたまりもない。主力のミッターマイヤー艦隊の右翼部隊は、混乱の渦に巻き込まれていった。
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<以下続く?>
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1243
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(27)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年08月08日(火) 15時12分
更に続き。
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ミッターマイヤー艦隊の右翼部隊主力は、混乱の渦に巻き込まれていった。
「くっ、右翼は後退!中央への攻勢も中止する!全艦隊、後退して体勢を立て直せ!!」
ミッターマイヤーは攻勢を中断させると、艦隊の後退を命じた。どうにもこうにも上手くいかない。攻勢を中断させられたばかりか、したたかな逆撃まで受けてしまった。それでも、目的を果たした後、さっさと撤収する敵の横撃部隊に反撃しようとしたのだが、更に撤収を支援する部隊の攻撃を受け、損害が増すばかりとなってしまっている。エーリッヒ・フォン・タンネンベルク相手の戦いは楽ではないとは思っていたが、ここまでの難行だというのは、さすがのミッターマイヤーにも想像の埒外であったようだ。小一時間の戦闘で、結局ミッターマイヤー艦隊の損害は200隻にも達しており、対してタンネンベルク艦隊の損害は20隻ほどである。彼我の損失が1対10では、ミッターマイヤーの負けと言う以外に、表現のしようがない。
「くそっ、このままでは完全に負けだ。何とか反撃して、帝都を奪還しなければならぬ・・・・・」
ミッターマイヤーの焦りの色は刻一刻と濃くなっていく。敵が抵抗を続けているということは、先ず間違いなくオーディンの地上はまだ制圧されていない、ということだ。今の内にタンネンベルク艦隊を排除してオーディン上空を制圧すれば、帝都の奪還は可能である。皇帝やアンネローゼを無傷で庇護する為にも、一刻も早くタンネンベルク伯を敗北させねばならない。
焦燥感に駆られるミッターマイヤーだが、そこへ朗報がもたらされた。
「ミッターマイヤー提督、味方からの入電です!ドロイゼン隊800隻、たった今到着しました!!」
通信担当士官の歓喜の声が、「人狼(ベイオウルフ)」の艦橋に響いた。到着したドロイゼン隊と、ミッターマイヤー隊の残存艦と合わせると1600隻。前より多い兵力で、消耗した敵に当たれるのである。今度は戦力比が倍開くので、前より有利な条件で戦えることは間違いない。ミッターマイヤーの戦術指揮能力なら、普通にやれば楽勝できるはずである。
「ミッターマイヤー閣下。遅くなって申し訳ありません。差し当たっては大した数ではないのですが、以後も増援は来ますので、ご寛恕願います」
通信画面に現れたドロイゼンに、ミッターマイヤーは無言で頷いた。一刻たりとも無駄な時間はないのである。直ちに突っかける、そう思って艦隊を敵に向けようと思ったその時だった。
「敵からの通信です!これは・・・・タンネンベルク伯爵自らが出るようです!!」
「つなげ」というミッターマイヤーの指示と同時に、「人狼(ベイオウルフ)」艦橋の通信用スクリーンに、黒と銀で彩られた銀河帝国軍大将の軍服を纏う、タンネンベルク伯爵が現れた。
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<以下続く?>
- 親記事No.1005スレッドの返信投稿
- board2 - No.1244
Re: 反銀英伝 「大逆転! リップシュタット戦役」(28)
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年08月09日(水) 15時04分
更に続き。
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「つなげ」というミッターマイヤーの指示と同時に、「人狼(ベイオウルフ)」艦橋の通信用スクリーンに、黒と銀で彩られた銀河帝国軍大将の軍服を纏う、タンネンベルク伯爵が現れた。
「久しいな、ミッターマイヤー提督。卿とは何度か前線で邂逅したことがあったな。私は、『疾風ウォルフ』との手合わせが適い、光栄だと思っているよ」
「いや、タンネンベルク伯爵閣下。閣下と手合わせが願えて、光栄なのは小官の方でしょう。先ほどの迎撃戦闘と側背からの逆撃はお見事でした。しかし、以後はそうは行かぬとご覚悟願いたいところですな」
両者ともに、相手を褒め称えるような挨拶から始めた。実際、偽善などではなく、相手の軍事的能力に敬意を持っているのは、両者とも同様である。
「まったくだ。卿を相手に手抜きなどできぬよ。楽に勝たせてくれる訳はないのでな」
「それは、お互い様と言うものでしょう。仰ぐ旗が違う以上、全力を尽くして戦うのは当然のこと」
挨拶のようなやりとりが終わったところで、タンネンベルク伯は本題に入った。
「ところで相談なのだがな、卿には退いてもらいたいと思うのだが。ここでこれ以上、戦闘を継続するのは、私にとっては本意ではない。まだまだ処理せねばならぬ事が、山ほどあるのでな」
タンネンベルク伯の申し出を、ミッターマイヤーは言下に拒絶する。
「それはできませぬな。帝都を閣下に渡す訳には参りません。小官は閣下にこそ、帝都から退去していただきたいと考えます。今後、我が麾下の戦力、一個艦隊分一万数千隻が続々と到着しますから、閣下の艦隊だけで抵抗するのは不可能であると思うのですが。ご覧のように、我が方は増援も到着し始めています。伯爵閣下には、その程度のことは、とうにご承知の筈では」
逆に、そちらが帝都から退去しろ、というミッターマイヤーの要求である。
「無論、私も何の担保もなく、このような提案はせぬよ。僅かな戦力で一個艦隊と戦うのでは、堪ったものではないのでね。これをご覧いただこうか」
画面が切り替わり、シュワルツェンの館のアンネローゼの姿が映し出される。寂しげな目で下を向いているアンネローゼの姿に、ミッターマイヤーは息を飲んだ。画面はまた直ぐに切り替わり、再度スクリーンに現れたタンネンベルク伯が畳みかける。
「もちろん、グリューネワルト伯爵夫人には危害を加えてはおらぬ。大事な人質だからな。しかし、卿が退かぬと言うのならそういう訳にもいかない。まことに不本意ながら、伯爵夫人には、不愉快な目に遭っていただく必要が生じるだろう」
アンネローゼの命を盾に取った脅迫以外の何物でもない、タンネンベルク伯の言いようであった。
「・・・・・・・・・・伯爵閣下。か弱き女性を人質に取るなど、そこまでの卑劣な行為に、武人としての矜持が傷つくとはお考えにはなりませぬか?」
言い方は静かなものの、「女を人質に取るような卑怯者め!」という怒気の籠もったミッターマイヤーの非難に、タンネンベルク伯は平然と答える。
「卿は何か勘違いをしてはおらぬか?我々が行っているのは、互いの破滅を賭けた闘争だ。勝てば全てを手に入れ、逆に負ければ全てを失うことになる。勝つ為の手段に、綺麗も汚いもありはせぬ。卿の陣営のパウル・フォン・オーベルシュタイン中将なら、私の言う事を即座に肯定すると思うがな。この際、騎士道精神を発揮しようなどとは、少なくとも私は思わぬよ。もちろん、それで卿が自縄自縛に陥るのは勝手なので、好きにするがよいとは思うが」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
それこそ、オーベルシュタインが乗り移ったとしか思えないようなタンネンベルク伯の言いように、ミッターマイヤーは返す言葉を失った。
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<以下続く?>
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- board2 - No.1245
どうにもこうにも変?ロイエンタール元帥の叛乱
- 投稿者:不沈戦艦
- 2000年08月09日(水) 15時21分
自分の掲示板でちょいっと言ったんですが、こっちに持ってきても面白い話題だと思いますので、やってみます。
1.ロイエンタールが叛乱を起こす動機
私としては、な~んにもないと思います。動機は支離滅裂ですよ。「オーベルシュタインに頭を下げることになる」って、ロイエンタールの上司はラインハルトだけでしょう。何でオーベルシュタインに取り調べられるようなことになる、とロイエンタールが思い込んだのかまるで解らない。ラングに至っては、格下もいいところですので、ロイエンタールがフェザーンに出頭して申し開きをした場合、ラングの出る場面があるとも思えません。ラインハルトの性格からしても、ロイエンタールが申し開きをする相手はラインハルトだけの筈でしょう。それが解らないロイエンタールとも思えませんね。「皇帝の健康状態が・・・・」と、私の掲示板の方で冒険風ライダー氏の意見を貰いましたけど、そうなら何でそんな半病人が、ブリュンヒルトに乗ってウルヴァシーまでやって来られたのか、さっぱり解りません。少なくとも健康状態に問題があるのに、火急の用でもない皇帝の新領土巡幸が必要な訳ないでしょう。どう考えても無茶苦茶じゃないかと思いますわ。また、他人の筋書きで勝手に叛乱の主役にさせられてしまって、その自分勝手な演出家どもの思惑通りに踊ってやろう、という趣味がロイエンタールにあるというのも、いかにも解せません。そんな正直素直なキャラクターでしたっけ?ロイエンタールは。
2.叛乱が成功する可能性
これは、ほとんどゼロです。兵力が少ない、というのが致命的ですね。どっちにしてもランテマリオで迎え撃って、消耗戦になればおしまい、ですから。距離と補給の問題がある、と冒険風ライダー氏の意見でしたけど、帝国軍は一度は10万隻以上の戦力で、少なくともハイネセンに近いガンダルヴァ星系までは来ましたよね。それだけの兵力運用能力と補給能力がある相手を、一体どうしろと言うのでしょうか。仮にイゼルローンが帝国軍の通過を許さなくても、ロイエンタールに勝ち目などないと思いますわ。また、帝国軍がロイエンタールを叩いている間に、イゼルローン軍が暴れた場合ですけど、放っておきゃいいんじゃないですかね。どうせ小兵力ですから、こそ泥程度の話です。ロイエンタールが片づいてから切り返せば、尻尾を巻いてイゼルローンに退散するしかなくなります。結局どうやっても勝ち目はないでしょう。
どう考えたって不可能な条件ばかりなのに、それでも「叛乱」に酔ってそちらに邁進してしまうロイエンタール元帥ってのは、一体何なのでしょうか。これは、到底「名将」の成す業ではないと思いますわ。これでは、単なる阿呆にしか思えません。結局、田中芳樹が「ロイエンタールには叛乱させる」と最初から決めていて、合理的な理由を思いつかず、無理がある筋書きにしてしまった、というだけではないでしょうか。
- 親記事No.1245スレッドの返信投稿
- board2 - No.1246
Re: どうにもこうにも変?ロイエンタール元帥の叛乱
- 投稿者:モトラ
- 2000年08月10日(木) 02時28分
謀反の嫌疑をかけられたこと自体を恥じる武人の気分と、生来の破滅志向が頭の中で化学反応を起こして、あのような行動に出た…初めて読んだ時はそのように解釈しておりました。
しかし付き合わされる部下はいい迷惑ですな。ロイエンタールへの信頼は厚いものがあるにせよ、それは皇帝ラインハルトの下、帝国の双璧としてのものであろうし。なによりカリスマ性では、遠く及ぶべくもない。己の心情と部下の将来秤にかけて、自害する程度の理性?はあるのでは…などと、浮沈戦艦さんの書き込みからそんなことを思ったり。
…ただ、「帝都物語11 戦争編」で、それまでの展開で直接利害関係の生じていない加藤とトマーゾを戦わせるため、大谷光瑞のルーズベルト呪殺作戦を妨害しようとするトマーゾを「日本は敗戦間近なので、アメリカに対してパワーバランス的に不利だから、トマーゾに邪魔をさせては面白くない。だから俺が奴を倒す」などと、むちゃくちゃな理由をでっち上げた荒俣宏よりはましだと思います…って例えが悪すぎるか。
-
- board2 - No.1249
公約違反の受け止め方
- 投稿者:モトラ
- 2000年08月10日(木) 05時57分
直接田中芳樹とは関係ありませんが、「創竜伝」に取り上げられそうなニュース&人物の話題に思えたので。
愛知万博反対を唱えて当選した国会議員が、一転賛成に転じ、おまけに政権党に鞍替えした件に対して、支持者から「公約違反によって精神的ダメージを受けた」と訴えられていた裁判で、先日、当の議員が勝訴という判決が下りました。
私もこのような議員は信頼するに値しませんが、ふと疑問が。
マスコミは基本的に判決に対しては批判的でした。しかし、もしこれが全く逆、万博賛成から反対に転じ、政権党から野党に(もしくは無所属に)鞍替え…という事態だとしたら、マスコミの反応はどうだったのか。支持者に対する背信行為という点では同じでも、ニュース23やNステあたりは当の議員を英雄扱いしていたのでは?
ちょっと田中芳樹の意見が聞いてみたいものです。
また、「判決」に対して「報道」の中でキャスターが批判をするというのも疑問ですね。当事者でもないのに、一方に肩入れするというのはマスコミにふさわしくない(ニュース23のことです)。木村太郎のように、個人的なコラムを番組中に設けて、キャスター個人の意見として述べるのなら構いませんが。
- 親記事No.1245スレッドの返信投稿
- board2 - No.1250
Re1245:論争に至るあらすじ(不沈戦艦さんの掲示板より転載)
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年08月10日(木) 15時09分
不沈戦艦さんの掲示板のURLは
ttp://www66.tcup.com/6605/battleship01.html
ですが、Tcup掲示板って流れが速い上にログが残らないんですよね。
そんなわけで、記録用として一連の投稿をこちらに全て転載したいと思います
―――――――――――――以下転載――――――――――――――――
元帥級を連発 投稿者:水城 投稿日: 8月 8日(火)00時10分29秒
どんな犯罪でも免責されるような地位にいて
唯一極刑な内乱罪とかを犯した元帥ってどうなんでしょう双璧の片割れ。
ん? 投稿者:不沈戦艦(管理人) 投稿日: 8月 8日(火)01時25分57秒
>双璧の片割れ。
銀英伝の話ですか?どうも「ロイエンタール元帥の反乱」事件に関しては、訳が解らんので。大体、何もやっていないロイエンタールが、策謀を起こした連中の思惑通り、反乱路線そのままに突っ走らなければならんのか、意味不明ですよ。いくらグリルパルツァーが野心を持ったとしても、ロイエンタールは実際何もしていない訳です。ウルヴァシーの皇帝襲撃事件については。別にオーベルシュタインに頭を下げる訳じゃなし、陰謀家どもの作曲と振り付けに合わせてダンスを踊るより、皇帝の前に出て自らの無実を訴えるのが普通でしょう。何でロイエンタールが反逆に向かって突っ走るのか、どうもよく解りません。それに、普通に考えれば、いくら新領土総督麾下の兵力が大きくても、フェザーンの本国の戦力にはかなう訳もないですしね。その程度の客観的判断力がないロイエンタールの訳もないし。どうも、彼が反乱に邁進して、結局死んでしまうのは、あまりに無理がある筋ではないか、と思ってますけど。
ロイエンタールの叛乱について 投稿者:冒険風ライダー 投稿日: 8月 8日(火)13時39分34秒
どうも、こちらでははじめまして。
ここは今までずっとROMしていたのですが、銀英伝ネタが出てきたので、今回投稿してみる事にしました。
<どうも「ロイエンタール元帥の反乱」事件に関しては、訳が解らんので。
大体、何もやっていないロイエンタールが、策謀を起こした連中の思惑通り、反乱路線そのままに突っ走らなければならんのか、意味不明ですよ。いくらグリルパルツァーが野心を持ったとしても、ロイエンタールは実際何もしていない訳です。ウルヴァシーの皇帝襲撃事件については。別にオーベルシュタインに頭を下げる訳じゃなし、陰謀家どもの作曲と振り付けに合わせてダンスを踊るより、皇帝の前に出て自らの無実を訴えるのが普通でしょう。何でロイエンタールが反逆に向かって突っ走るのか、どうもよく解りません。>
これについては銀英伝の記述の中に一応の背景事情は書かれています。
まず、ラングがロイエンタールに対して「カイザーが原因不明の発熱を繰り返し、それに乗じてオーベルシュタインとラングが専横をほしいままにしている」という流言を自ら流し、それをオーベルシュタインにたいする偏見と反感からロイエンタールが信じ込んでしまい、この思いこみのために「不始末を起こしたらオーベルシュタインに頭を下げなければならない」とロイエンタールが考えるようになってしまったことがまずひとつ。
さらにこれを補強したものとして「オーベルシュタインがロイエンタールを危険視し、始末したがっている」とロイエンタールが思いこんでいたという事情もあるでしょう。つまり、ロイエンタールがオーベルシュタインを過度に意識し、危険視していたことが、ロイエンタールの叛逆の最大の原因なのです。
あと結果的にとは言え、ルッツが地球教徒によるラインハルト襲撃の際に死んでしまい、その責任をラインハルトにではなくオーベルシュタインに問われる事を嫌った事、そしてグリルパルツァーがウルヴァシー襲撃における重要な情報をロイエンタールに渡さなかった事なども、叛乱を勃発させた原因のひとつに数えられます。
まああの地球教徒の陰謀はあまりにもお粗末なものですから、ウルヴァシーを調査していたグリルパルツァーが背反行為を起こしていなかったら確実に失敗していたとは思うのですけどね。
<普通に考えれば、いくら新領土総督麾下の兵力が大きくても、フェザーンの本国の戦力にはかなう訳もないですしね。その程度の客観的判断力がないロイエンタールの訳もないし。どうも、彼が反乱に邁進して、結局死んでしまうのは、あまりに無理がある筋ではないか、と思ってますけど。>
やりようによってはある程度の勝算があると考えていたのではないですか? 具体的には、
1. 二正面作戦を避ける
2. 長期戦に持ちこみ、相手側の補給の限界を待つ
ということを実行していけば、すくなくともある程度の勢力を確立する事ができると考えていたのではないでしょうか?
それとロイエンタールの叛乱というのは、ロイエンタール個人の矜持や誇り、それに乱世志向などといった「性格的な要素」もかなり含まれていますから、理論では説明しにくい部分も大きいのではないでしょうか?
reロイエンタールの叛乱について 投稿者:キラーカーン 投稿日: 8月 9日(水)22時55分29秒
ロイエンタールの叛乱
は、作者の都合ではないでしょうか。と言っては元も子もないですが
はい 投稿者:不沈戦艦(管理人) 投稿日: 8月 9日(水)23時58分23秒
>ロイエンタールの叛乱
>は、作者の都合ではないでしょうか。と言っては元も子もないですが
私もそう思いました。
>まず、ラングがロイエンタールに対して「カイザーが原因不明の発熱を繰り返し、それに乗じてオーベルシュタインとラングが専横をほしいままにしている」という流言を自ら流し、それをオーベルシュタインにたいする偏見と反感からロイエンタールが信じ込んでしまい、この思いこみのために「不始末を起こしたらオーベルシュタインに頭を下げなければならない」とロイエンタールが考えるようになってしまったことがまずひとつ。
それほど病弱な皇帝に、新領土への来訪を要請するロイエンタールもロイエンタールだし、受けてやってくる皇帝も皇帝なのでは?ブリュンヒルトに乗って旧同盟領奥深くまでやって来る事が出来た、という事自体が、皇帝の健康には差し当たって問題がないことを現してはいませんか?それでロイエンタールが皇帝は病弱で、ラングとオーベルシュタインが専横を欲しいままにしていると思い込んだ、というのは無理があると思いますけど。しかも、皇帝の側には、ロイエンタールとしては信用できる、ミッターマイヤーもいるのに。
> あと結果的にとは言え、ルッツが地球教徒によるラインハルト襲撃の際に死んでしまい、その責任をラインハルトにではなくオーベルシュタインに問われる事を嫌った事、そしてグリルパルツァーがウルヴァシー襲撃における重要な情報をロイエンタールに渡さなかった事なども、叛乱を勃発させた原因のひとつに数えられます。
> まああの地球教徒の陰謀はあまりにもお粗末なものですから、ウルヴァシーを調査していたグリルパルツァーが背反行為を起こしていなかったら確実に失敗していたとは思うのですけどね。
その責任、オーベルシュタインが問うようなことになりますかね。卑しくも帝国元帥にて新領土総督たるロイエンタールに、同格のオーベルシュタインが好きなように処置する、ってことに。ラインハルトの性格を考えても、皇帝自らロイエンタールに問い質す、ってことになるのでは。それくらいの事が解っていないロイエンタールとも思えませんし。
> やりようによってはある程度の勝算があると考えていたのではないですか? 具体的には、
>1. 二正面作戦を避ける
>2. 長期戦に持ちこみ、相手側の補給の限界を待つ
>ということを実行していけば、すくなくともある程度の勢力を確立する事ができると考えていたのではないでしょうか?
一度は同盟領奥深くまで、大軍を率いてやってきた帝国軍ですから、 同盟側に位置して少ない兵力で迎え撃つのは、どう考えても無理筋では。二正面作戦でなくても、勝てはしませんよ。それと、一体どうやって長期戦に持ち込むのか、です。方法がないのでは。相手が大兵力を押し立てて、素直に正面から攻めてきたら、どうやっても長期戦に持ち込めないと思いますが。決戦に応じざるを得ないので。ヤンみたいに、正規軍を使用した不正規戦(バーミリオン会戦前)を、ロイエンタールが実行する事が可能でしょうか。補給を絶つには、長期戦に持ち込んだ上、遊撃戦を展開する必要がありますけど、それを任せられる信頼すべき人材もいないでしょうし。
また、今は従っているにしても、本来ロイエンタールの麾下にいる戦力は、「皇帝の軍」であって、ロイエンタールの私設軍ではありません。忠誠心も疑問です。100に一つも勝てる可能性などないと思いますね。その程度の事が解らず、単に「反乱をやってみたかった」で反乱した、としたらロイエンタールは名将との評判はトンデモで、実は単なる阿呆ではないかとは思いませんか?名将だとすると、こんな馬鹿な反乱に乗る訳もないでしょうし。どうも、ロイエンタール元帥の反乱事件は、単に田中芳樹が「コイツには反乱させる」と最初から決めていて、動機が支離滅裂になってでも無理矢理に反乱するという方向に持っていっただけ、としか思えないんですけど。
新領土戦役は 投稿者:水城 投稿日: 8月10日(木)00時27分50秒
ストーリー的にロイエンタールの性格とかなんとか延々と
伏線張られまくりで、くるぞくるぞくるぞくるぞほらきたぁ!!
・・・って感じでした。エピソードとしては好きなんですよねぇ。
戦う相手が皇帝じゃなく、ミッターマイヤーだったって所まで
ある種お約束な展開ですが、・・・双璧ファンでしたから私
>冒険風ライダーさん
はじめまして。私もロイエンタールの反乱は彼の性格的な要素を
重視した結果だと思います。純軍事的な勝算に関しても、
たとえば長期戦がロイエンタールに似合うか!(笑)というどこまでも
キャラの性格重視な展開だったんじゃないかと。
新領土戦役 投稿者:不沈戦艦(管理人) 投稿日: 8月10日(木)00時58分08秒
いや、ロイエンタールが叛乱起こす、って田中芳樹が決めていて書いたのでも別にいいんですよ。問題は、ストーリーが無茶苦茶だ、っつーだけです。もうちょっと、勝てそうな条件で、読者として納得できそうな話にして貰いたい、ってことで。誰かに謀られて、行き当たりばったりでそのまま乗っただけ、では「これ、ホントにロイエンタールのやったことか?」と思いたくもなりますわ。もうちょっと主体的に叛乱を起こした方が、ロイエンタールらしいのではないかと思うもので。
- 親記事No.1245スレッドの返信投稿
- board2 - No.1251
Re1245/1250:叛乱の動機と勝算について
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2000年08月10日(木) 15時14分
<それほど病弱な皇帝に、新領土への来訪を要請するロイエンタールもロイエンタールだし、受けてやってくる皇帝も皇帝なのでは?ブリュンヒルトに乗って旧同盟領奥深くまでやって来る事が出来た、という事自体が、皇帝の健康には差し当たって問題がないことを現してはいませんか?それでロイエンタールが皇帝は病弱で、ラングとオーベルシュタインが専横を欲しいままにしていると思い込んだ、というのは無理があると思いますけど。しかも、皇帝の側には、ロイエンタールとしては信用できる、ミッターマイヤーもいるのに。>
一応ロイエンタールがラインハルトに対して新領土への来訪を要請する招請状を送った理由については、銀英伝において次のように記述されています。
銀英伝9巻 P106上段~下段
<いずれにしても、ロイエンタールは、オーベルシュタインやラングの風下に立つ意思は皆無であったし、そうであれば当然、自分の未来に対して楽観的ではいられなかった。
フェザーンに流れる不愉快な噂を知りながら、あえて皇帝に招請状を送ったのも、ひとつには皇帝の反応が知りたかったからである。皇帝がフェザーンを動かぬ、となれば、皇帝は噂を信じ、ロイエンタールを疑っている、ということになる。ロイエンタール自身に言わせれば、「皇帝はオーベルシュタインやラングの木偶になりさがった」というわけだ。不愉快ではあるが、事態は明確になる。ところで、皇帝が招請に応じて新領土へ行幸すれば、それはロイエンタールに対する信頼を証明する事になるのだろうか。残念ながらそうではない。ロイエンタールを油断させておいて、にわかに彼を捕縛し、処断するつもりかもしれぬではないか。これは皇帝ラインハルトらしからぬ詭計ではあるが、オーベルシュタイン、ラングあたりなら弄しかねない。>
というわけで、ロイエンタールはラインハルトの反応を見てみたかったがためにあえて招請状を送ったという事が書かれています。したがって、ロイエンタールが招請状を送ったのは「流言が正しいかどうかを確認する」という意味合いが強かったのではないでしょうか。
また、これに応じたラインハルトにはまた別の事情があります。ロイエンタールに流言(ちなみにこの「流言」というのはラングが流したウソです)が流れていたのと同じ時期に、フェザーンでもまた「ロイエンタールが皇帝に対して叛意を抱いている」という逆の流言が流れており、そんな時にロイエンタールの招請状が来てしまったため、ラインハルトの性格からいっても立場からしても、ラインハルトはそれに応じざるをえなくなってしまったのです。ロイエンタールに対する噂が流れている状況下でラインハルトが招請状を拒絶したら臆病者呼ばわりされますし、噂の信憑性を証明する事になってしまいますから。
それにロイエンタールには、以前にリヒテンラーデ公の一族を身辺においていたために叛逆の疑いをかけられた前科があります。その疑いを再現させないためにも、あえてラインハルトは新領土へ行幸する必要性を感じていたのでしょう。
そういうわけで、ロイエンタールがラインハルトを誘い出させるというところまでは、地球教徒の陰謀はそれなりに筋が通っていたのではないでしょうか。もっとも、ウルヴァシー襲撃あたりの構想は私も相当に支離滅裂だと思うのですけど。
<その責任、オーベルシュタインが問うようなことになりますかね。卑しくも帝国元帥にて新領土総督たるロイエンタールに、同格のオーベルシュタインが好きなように処置する、ってことに。ラインハルトの性格を考えても、皇帝自らロイエンタールに問い質す、ってことになるのでは。それくらいの事が解っていないロイエンタールとも思えませんし。>
おそらくロイエンタールは「流言が完全に事実である」という「ロイエンタールにとって最悪の場合の想定」に基づいて行動してしまったのではないでしょうか。結局のところ、ロイエンタールはラインハルトがオーベルシュタインとラングの傀儡になっているかどうかを確認する事ができなかったのですから、最悪の事態に備えてオーベルシュタインを警戒しなければならなかったわけです。
そしてその傾向を助長したのが、ロイエンタールのオーベルシュタインに対する偏見と反感、それにロイエンタールの乱世志向の性格ですね。したがって、ロイエンタールの性格がかなり判断力を狂わせてしまった可能性も高いのではないかと思います。
それとロイエンタールがラングの流言に簡単に引っかかってしまった件についても、一応銀英伝の中にそれなりの理由が明記されています。
銀英伝9巻 P103上段~下段
<ロイエンタールは、かなり辛辣な政略的観察のできる男ではあったが、ラングがロイエンタールに「知らせる」ため、誇張と捏造をおこなっているとは気づかなかった。彼は本来、武人であって、叛乱が支配者にとってはマイナス要因であるという観念があった。最初から鎮定を条件とした叛乱の誘発――という発想はなじみにくいのである。そもそも、ロイエンタールは用兵には自信があったし、皇帝と自分との信頼関係を損ねようとする動きに平静でいられようもない。さらには、ラングという人物に対する先入観もある。ラングは皇帝を内心で尊敬してもおらず、ロイエンタールに対して害意をいだいている、という先入観である。しかも、その先入観は正しかった。ラングの策に、結果としてロイエンタールが乗せられたゆえんであった。>
このように、ロイエンタールの発想的に陰謀を見抜く事ができなかったという要素も大きく、まさに「結果として」ロイエンタールは叛乱を起こすに至ったのではないでしょうか。
<一度は同盟領奥深くまで、大軍を率いてやってきた帝国軍ですから、同盟側に位置して少ない兵力で迎え撃つのは、どう考えても無理筋では。二正面作戦でなくても、勝てはしませんよ。それと、一体どうやって長期戦に持ち込むのか、です。方法がないのでは。相手が大兵力を押し立てて、素直に正面から攻めてきたら、どうやっても長期戦に持ち込めないと思いますが。決戦に応じざるを得ないので。ヤンみたいに、正規軍を使用した不正規戦(バーミリオン会戦前)を、ロイエンタールが実行する事が可能でしょうか。補給を絶つには、長期戦に持ち込んだ上、遊撃戦を展開する必要がありますけど、それを任せられる信頼すべき人材もいないでしょうし。>
これについては、一応ロイエンタールもそれなりの対処法を考えてはいたようです。
銀英伝9巻 P171上段~下段
<ロイエンタールが最初、立案し実行しようとした作戦の大略は、つぎのようなものであった。
一、ミッターマイヤー軍の進行にあたっては、新領土各所に配置した兵力を持って、幾重にも防御線をつくり最大限の損害を強要し、その前進速度を鈍化させる。
二、敵主力を深く惑星ハイネセンまで引きずりこみ、その後方を遮断する、もしくはそれをよそおって敵の後退をさそう。
三、敵の後退に際しては、各所に配置した兵力を再結集して要路をさえぎり、ハイネセンよりの主力と呼応しつつこれを前後より挟撃して敗北にみちびく。
右のような基本的計画であった。
ロイエンタールの戦略的構想と戦術的技量の双方を後世に知らしめる、壮大で緻密な作戦であったといえる。ただし、この作戦が完全な成功をおさめるには、ふたつの条件が必要であった。ひとつは、この作戦が完了するまで、イゼルローン方面からの敵兵力の侵入がなく、二正面作戦を強いられないこと。いまひとつは、新領土各地に配置された兵力を運用し、再結集する指揮官に人材をえること、である。>
これって不沈戦艦さんが主張している作戦とほぼ同じものなのではないでしょうか。そして2つの難題のうち、前者はムライをイゼルローンに派遣する事によって解決を図り、後者はロイエンタールがもっとも信頼を寄せていたベルゲングリューン大将をその任に当てています。
また、叛乱を長期化させてしまえば、新領土において民主共和主義者による暴動が発生し、それがロイエンタールの味方につくという計算もあったかもしれません。
もっとも、この作戦はミッターマイヤー軍が神速のスピードで進行してきたために実行に移す事ができず、ロイエンタールとしては時間的余裕が与えられることなく短期決戦を行わざるをえなくなってしまったのですが、これは泥縄式に叛乱に追いやられてしまい、入念な準備ができなかったという要素も大きかったでしょう。
<また、今は従っているにしても、本来ロイエンタールの麾下にいる戦力は、「皇帝の軍」であって、ロイエンタールの私設軍ではありません。忠誠心も疑問です。100に一つも勝てる可能性などないと思いますね。その程度の事が解らず、単に「反乱をやってみたかった」で反乱した、としたらロイエンタールは名将との評判はトンデモで、実は単なる阿呆ではないかとは思いませんか?名将だとすると、こんな馬鹿な反乱に乗る訳もないでしょうし。>
これはロイエンタールもその危険性は考えていて、とりあえず「君側の奸を討つ」という論法で一応将兵達を繋ぎ止めていたようです。そして一度でも敗北したら将兵が離反していく事もまたロイエンタールは知っていたように見えます。
しかしロイエンタールの叛乱はそもそも「自発的に起こした」ものではなく「他者に乗せられた」ものですから、すくなくとも「ロイエンタールの主観的には」他に選択肢がなかったといえるものなのではないでしょうか。
<また、帝国軍がロイエンタールを叩いている間に、イゼルローン軍が暴れた場合ですけど、放っておきゃいいんじゃないですかね。どうせ小兵力ですから、こそ泥程度の話です。ロイエンタールが片づいてから切り返せば、尻尾を巻いてイゼルローンに退散するしかなくなります。結局どうやっても勝ち目はないでしょう。>
まさにそう思ったからこそ、イゼルローン勢力はロイエンタールの叛乱に加担しなかったのでしょう。そしてロイエンタールにしても、とりあえず時間稼ぎさえしてくれれば良いという程度にしか考えていなかったようで、だからこそ「協力してくれたら旧同盟領全部とトリューニヒトの身柄をくれてやる」という、非常に気前の良い条件を提示していたように思うのですけど。