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投稿ログ208 (No.3560 - No.3569)

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board4 - No.3560

Re:銀英伝ってSF?

投稿者:八木あつし
2003年02月03日(月) 13時29分

> 銀英伝ってSFなんですか?
> みんな設定とかにこだわっているようですが….
> 設定の穴とか多くて明らかにSFの範疇から外れていると思うんです.

おこしやす、ぴあのさん。最近書き込みが増えている八木と言います。
銀河英雄伝説は、1988年第27回日本SF大会にて第19回雲賞賞日本長編部門を受賞しております。つまり日本のSF作品への評価で(多分)一番価値のある星雲賞というお墨付きをもらったわけです。
また、新書版1巻カバーのあらすじでは「壮大な規模で展開する本格スペースオペラ」と宣言しています。だから「SF」かどうかはともかく「スペースオペラ」ではありますね(笑)。

SFは「サイエンスフィクション」です。漫画家藤子・F・不二雄先生は「すこしふしぎ」とも言っていますが(笑)。
辞典によるとサイエンスフィクションとは、
[science fiction]
通常の時間と空間の枠組みを超えた出来事を科学的仮想に基づいて描いた物語。ジュール=ベルヌ・ H = G =ウェルズなどを草分けとする。SF 。空想科学小説。
となっています。
SFは幅が広いです。SFはとりようによっては、何だってSFと言えてしまいます。
「ドラえもん」だってSFですし、「仮面ライダー」もSFでしょう。「竹取物語」だって言おうと思えばSFと言えますね。銀英伝がSFかどうか考えても、時間の無駄ですよ。作品をそのまま楽しみ、宇宙に想いを馳せましょう。
もし、ぴあのさんがどうしても銀英伝を「SF」として認めたくないのなら、「空想科学小説」だと考えたらどうでしょう。「空想」から生まれ「科学」っぽい設定が出てくる「小説」(笑)。
それでは失礼します。

親記事No.3524スレッドの返信投稿
board4 - No.3561

Re:無茶苦茶だな

投稿者:ニダ
2003年02月03日(月) 13時33分

六三って人は別に科学がどうとはいってないっしょ?
ざーっと見たけど人材に無限はないでしょうって論だよね?
捻じ曲げてんのはあんたにしか見えないけど?
議論して楽しんでるとこに自分が嫌だからって理由で茶々いれて、それを正当化しようとしてるだけじゃん。怖いなあ、こういう人。マジで。

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board4 - No.3563

Re:銀英伝世界の科学技術について

投稿者:平松重之
2003年02月03日(月) 15時10分

少し見ない間にまた移動要塞関連の話題で盛り上がっていますね。
自分はヤン一党による移動要塞戦略の実現性や有用性に関しては政治情勢・経済事情・技術問題・人的資源などの様々な面から考えて否定的と言うより懐疑的な立場です。しかし、話題になっている「自給自足システム」や「燃料問題」に関しては、原作の記述を自分なりに尊重及び検証した結果としては、冒険風ライダーさんに軍配を上げます。

1、自給自足システムについて

銀英伝8巻 P204下段~P205上段

<「ヤン提督がいつもおっしゃっていたことはイゼルローン回廊の両端に、異なる政治的・軍事的勢力が存在してこそ、イゼルローン要塞には戦略的価値が生じる、ということでした」
「うん、それはおれも聞いたことがある」
「いまイゼルローンが安泰でいられるのは、皮肉なことに、その戦略的価値を失ってしまったからです。価値が回復されるとき、つまり帝国に分裂が生じるとき、イゼルローンにとって転機がおとずれるでしょう」
「ふむ……」
「どのみち、急速に事態が変わるとは思っていません。国父アーレ・ハイネセンの長征一万光年は五〇年がかりでした。それぐらいの歳月は覚悟しておきましょうよ」
「五〇年後には、おれは九〇歳になってしまうな、生きていれば、だが」>


 上は冒険風ライダーさんが「無限の自給自足システム」の存在の根拠として最初に1726で挙げられていたユリアンとキャゼルヌの会話ですが、これについて「単なる身内の間の冗談話ではないのか」という意見がありました。それについて1896で冒険風ライダーさんは、

銀英伝9巻 P75下段~P76上段

<「正しい判断は、正しい情報と正しい分析の上に、はじめて成立する」
 とも、ヤン・ウェンリーは言っていた。
(中略)
 したがってユリアンは、自分の思案と、補佐役たちの助言のおよぶ範囲で、より多くの情報をえるため、さまざまな手を打っていた。いつかイゼルローン回廊の両端で政治的・軍事的な変動がおとずれるだろう。いま皇帝ラインハルトは、イゼルローン回廊を無視した新しい宇宙の秩序を構築しつつある。変動は、彼の権威の華麗な甲冑に亀裂が生じたときにこそ、おとずれるにちがいない。>


銀英伝9巻 P133上段~下段

<ユリアンは、かつてアレックス・キャゼルヌに言明したことがあった。イゼルローン回廊の両端に、ことなる政治的・軍事的勢力が存在するときにこそ、イゼルローン要塞に戦略的価値が生じる。ただそれは半世紀ほど将来のことになるかもしれない、と。
半世紀どころか、ヤン・ウェンリーの不慮の死から、まだ半年もたっていない。タイム・スケールは一〇〇分の一以下にまで縮小されてしまった。だが、考えてみれば、皇帝ラインハルトがローエングラム伯爵として歴史に登場してから、まる五年もたってはいないのだ。歴史はいま悠々たる大河としてではなく、万物を飲みつくす巨大な滝として姿をあらわしつつあるのだろうか。>


 といった他の記述を用いて反論なさっていますが、他にも帝国側の人物が「イゼルローンには孤立しても何百万もの人口を数十年という単位で維持出来る自給自足システムが存在する」事を肯定している描写があります。

銀英伝8巻 P110下段

<ミッターマイヤーは単なる戦術家ではなく、戦略家としての識見をそなえていたから、イゼルローン要塞およびエル・ファシル星系に旧同盟の残党が結集すれば彼ら自身に不利な事実が増大する一面があることを承知していた。帝国としては、最初から敵の結集地が判明しており、攻撃は困難でも封鎖は容易なのである。いま、すくなからぬ犠牲をはらって軍事力による勝利に固執する必要があろうとは思えないのだった。
さらにこれらの勢力は、現在のところヤン・ウェンリーを中心とした強固な人格的結合によって統一されているのであり、ヤンが存在しなくなれば雲散霧消してしまうかもしれない。この時点でミッターマイヤーにはそのような見解もあった。もっとも極端にいえば、ヤンを回廊にとじこめてその死を待つという気長な方法すら最終的にはとりえるのだ。>


 1巻P162上段でシトレ元帥が二九歳のヤンを「医学上の平均寿命の三分の一もきてない」と評している事、更に7巻P178下段で七三歳(P144上段)で戦死したビュコックが「医学上の平均寿命になお一五年以上もとどいてはいなかった」と評されている事から考えて、銀英伝における平均寿命は九十歳前後と考えられます。つまりあの時点(宇宙暦八〇〇年)で三三歳(8巻P136上段)であるヤンが平均寿命で老衰死するには六十年近い時間がある事になります。
帝国軍の重鎮であるミッターマイヤーは、無論イゼルローンの生産能力を熟知しているでしょう。その彼が「ヤンを回廊にとじこめてその死を待つ方法すら最終的にはとりえる」と冗談ではなく真面目に考えているのですから(事故死などの不確定な要因を考慮に入れるとは考えにくい)、やはり「イゼルローンには孤立しても平時なら何百万もの人口や軍備を数十年という単位で維持出来る効率のよい自給自足システムが存在する」という設定になっているのではないでしょうか。
 ただ、このシステムも決して余裕のあるものではないらしく、「補給物資をととのえるにはイゼルローンの生産力では時間を必要とする」(8巻P113下段)そうですし、ヤン自身も「『どうにか』自給自足出来る」(8巻P216下段)と言っています。また、ラグナロック作戦時に同盟の国防調整会議は、イゼルローンからの要請があれば軍需物資の輸送を即行できるよう準備をする決定を下しています(四巻のP194上段)。ユリアンが脱落者に倉庫を開放したのは(8巻P203上段)、皮肉にも脱落者が続出して残留人員が百万人に満たなくなったので(8巻P205下段)生産力に余裕が出来たからでしょう。
という訳で、イゼルローンに効率のよい自給自足能力はあるものの、さすがに「無限の」と形容するには程遠く、基本的に戦時中において数百万の人口や軍備を支えるには外部からの補給がないと、いささか苦しいのではないかと思います。
ただ、これは「移動要塞を駆使したゲリラ戦術」の障害にはならないでしょう。物資が足りなくなったら準備が整うまで移動要塞ごと隠れるなり逃げ回るなりするか、いざとなれば移動要塞で帝国軍の補給基地を襲って強奪すれば解決する事ですので(8巻P216下段でヤン自身もイゼルローンに籠城する策の他、充分な兵力があればガンダルヴァの帝国軍基地を急襲して物資を得て方向を転ずるという構想を持っていました)。

2、燃料問題について

 自分が調べた限りでは、確かに軍艦に関しては燃料の不足が問題になったという記述は存在しません。この辺りの事実はちゃんと受け止めた方が良いでしょう。
 銀英伝世界の艦船は核融合炉で動いているので、銀英伝世界の核融合の技術が現在より遥かに進歩しているでしょうし、プルトニウムより遥かに効率のよい核燃料となりうる元素が発見されている可能性もあります。
 しかし、軍艦以外では3巻P28上段では単座式戦闘艇スパルタニアンで出撃したユリアンがスパルタニアン本体と中性子ビームの双方のエネルギーが残り少なくなって母艦に帰投するという描写がありますし、外伝『白銀の谷』でもラインハルトとキルヒアイスが搭乗した機動装甲車の水素電池がヘルダー大佐の陰謀により途中で切れるという話があります。この辺りから考えて、上記の様な核融合炉が存在したとしてもコンパクト化には限界があり、搭載するには少なくとも軍艦並の大きさが必要である様です。

ところで、一六〇〇年後(以前間違えて三〇〇〇年と書いてしまいました‐‐;)の銀英伝世界では、果たして現代物理学がどこまで通用するのでしょうか?現代の物理学は未完成の段階だそうで、物理学の研究が進めば質量保存則などもその制約が著しく緩くなるかも知れませんし、質量保存則に反しない意外な抜け道も発見されるかも知れません。銀英伝世界の物理学や技術がどこまで進歩しているのか不明な以上、個人的には議論を行なう上では現代物理学の定義より原作の記述に重きを置いた方が確実なのではないかと思います。

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board4 - No.3564

ギブアップ寸前(笑)

投稿者:八木あつし
2003年02月03日(月) 15時25分

さすがタナ撃つが誇る論客の1人、冒険風ライダーさん。今までとは比べものにならない打撃戦です。

<八木さんが運営されているサイト自体は大分前から閲覧していたのですが、忙しかったのと、これまで八木さんと掲示板で一度も会話を交わしたことがなかったこと、どういうテーマの投稿を行えば良いのかがちょっと思い浮かばなかったのとで、気がついたらすっかり投稿しないままになってしまっていましたね(^^;;;)。>

ううううう(T_T)。みんなによく言われています。八木のサイトはBBSに何を書けばいいか解らないって(涙)。やはり「萌え」はともかく、「共産趣味」は理解されないのでしょう。学生運動・新左翼運動自体があまり知られていませんし。権力と反権力に挟まれた、危ない趣味です(笑)。

<IKさんのところもほぼ同じ時期からROMっていたのですが、こちらも同じ理由と、あと「全角2000字以上の投稿を受けつけないTcup掲示板の制約」が長文志向の私には結構きつかったので、やはり投稿せずじまいでした。>

2000字ですか! タナ撃つの投稿から感じていましたが、確かに長文志向ですね。私には無理です。(^^;)
しかし怖いような見てみたいような……。IKさんと冒険風ライダーさんの1対1の論戦。私にまで飛び火をしたら火傷ではすまなそうです(笑)。

>  まあせっかくこうやって会話する機会が得られたことですし、いずれ暇を見て一度ご挨拶には伺わせて頂きます。今はちょっと難しいので(^-^;;)。

お待ちしています。最初の書き込みから2000字を超えるサイトの主張の疑問・批判文だったらどうしましょう。ヽ(^ ^ヽ

<これは考えにくいのではないでしょうか。銀英伝5巻における「神々の黄昏」の最中にラインハルトが「フェザーン遷都」の構想を考えていた時、すでにラインハルトはフェザーン回廊の両端に「イゼルローン要塞のような軍事拠点」を設置する構想を考えていましたし、実際、フェザーン遷都後に「シャーテンブルク」と「三元帥の城(ドライ・グロスアドミラルスブルク)」の2つの要塞の建造が決定しているからです。また銀英伝10巻P62~63では、ミッターマイヤーが帝国本土の防衛を強化するために、イゼルローン回廊帝国側出口付近に「三元帥の城」級の要塞を建設する構想を考えている描写が存在します。>

え~、敢えて反論をするとすれば、それはあくまでも5巻では構想にすぎず、遷都後は計画の段階であり、要塞の建造は開始していません。ミッターマイヤーら軍幹部も拠点の設置場所の視察をしたぐらいです。
フェザーン遷都初期は、強大な艦隊戦力で首都を防衛します。そして自由惑星同盟、ヤン・ウェンリー一党、その後のイゼルローン共和政府を討ち滅ぼし、銀河が統一され全艦隊の維持が薄れてきた時点で、艦隊削減と同時に要塞建設の開始かもしれません。

< 「帝国における最後の要塞建造がイゼルローンである」という八木さんの想定が仮に正しいとするならば(そんな作中記述は私の記憶にはないのですけど)、帝国における要塞建造は30年以上も行われていなかったことになるわけですが、かくのごとく、要塞建造が作中でもごく当然の選択肢のひとつとして語られていることを考えれば、要塞の生産ラインは壊滅していないか、もしくはいつでも復活させられる類のものでしかなかったと見るのが妥当でしょう。>

イゼルローンが最後というのは、私の仮説です。まぁ可能性があるかも程度ですね。上記で書いたとおり、まだ構想・計画の段階であり、すぐさま着工できない可能性も捨て切れませんよ。しかしこれでは水掛け論になってしまいますが。

< そして、何度も述べているように、移動要塞の潜在的脅威は既存の戦争概念を吹き飛ばすほどの大きな可能性を秘めているのですから、ラインハルトはその可能性に絶対着目するべきだったのですし、仮に生産ラインがなくなっていたのであれば、多少の無理を伴ってでも復活させるべきだったのではないでしょうか。そしてそれは、要塞建造に関するキャラクターの言動を見る限り、ラインハルトの権力であればいともたやすく実現させられるであろう程度の問題でしかないのですからなおのことです。>

ここは、最後の返答と被ってしまうので最後に回します。

< リップシュタット戦役後の戦力増強に関しては、「貴族連合軍の残存戦力を吸収して再編成した」で、建造すべき新造艦をかなり減らす事ができるのではないでしょうか。そもそも、貴族連合軍の推定総戦力16~17万隻のことごとくが、ラインハルト軍によって全て消滅させられているとはとても考えられませんし。
>  現にキフォイザー星域会戦時には、惨敗したリッテンハイム侯軍5万隻の内、完全破壊された艦艇や逃亡した艦艇などを除くと、約2万4000隻あまりがキルヒアイス艦隊に捕獲されたり降伏したりしており、普通に考えれば、これらの艦艇は遅くても戦後にはラインハルト軍にそのまま編入されたものと見るのが妥当です。元々は同じ帝国軍艦艇ですぐに流用が効くのに、それをわざわざ破壊しなければならない理由などどこにも存在しないのですから当然でしょう。
>  そして、このようなケースでラインハルト軍に投降した貴族連合軍の艦艇は他にも数多く存在すると思われますし、ファーレンハイト麾下の艦隊のように戦後降伏してラインハルト麾下に加わった艦隊などもいますので、リップシュタット戦役全体では、最低でも5~6万隻以上の貴族連合軍麾下の戦力がそのままラインハルト軍の増強戦力となって加わっているものと考えられます。>


艦隊決戦の数的描写が出たのは、キフォイザー星域会戦とミッタマイヤーとシュターデンの初戦だけです。
キフォイザー星域会戦での大量の捕獲艦こそ特別であり、他の全ての会戦では貴族連合軍は敗北したものの、残存艦は全てガイエスブルクに撤退し、最終決戦で戦力のほぼ全てが壊滅したと考えても、具体的な数字が出ていない以上、間違いではありません。
またファーレンハイトにはごく少数の分艦隊のみ残され、残りは決戦に投入されたかもしれません。

< また、ラインハルト麾下の将帥の内、3巻以降のケスラーは憲兵総監と帝都防衛司令官の任にあって艦隊を保持してはいませんので、彼は艦隊戦力として考える必要はありません。そして一方、2巻まで彼が指揮していた艦隊は、そのまま別の人間に委ねてしまうことができるのです。>

あ~、ここで白旗を揚げます。ヽ(  ̄д ̄;)ノ
リップシュタット戦役でラインハルト軍の総兵力を10万隻として、その損害が例え3割だとしても3万隻。キフォイザー星域での捕獲艦が2万4000隻もあれば、ほとんど戦力は回復してしまいますね。
ここは私の考察不足であり、完全なミスです。この論域では降伏します。冒険風ライダー閣下の寛大な処置を願います。

< これも前2者で説明したように、フェザーン遷都の際に要塞建造が決定されていることや、実際に5個艦隊分もの艦艇を建造する必要もなかったことで、すでに論の前提条件自体が崩壊しています。帝国が要塞を大量に建造するのは決して難しいことではないと結論しても良いのではないかと。>

第1次ラグナロック作戦において帝国軍の損失艦艇は、4~5個艦隊相当になるでしょう。そのためバーラトの和約後、帝国軍の軍事生産能力にかなりの負担を与えたのは間違いありません。しかし元々の前提条件だった、内戦終結後の艦隊戦力の回復に加えた2重負担がなければ、理由としては弱いです。

> >ラインハルトの「戦争したい病」
> >ガイエスブルク要塞への怨み(笑)
< この2つでは、ラインハルトが移動要塞の潜在的脅威を全く顧みなかった理由の説明にはなっても、移動要塞を使わなかったラインハルトの愚劣さと先見性のなさを否定するどころか、むしろその補強にすらなってしまうのではないでしょうか。
>  それどころか、あれらの説明だと「移動要塞の潜在的脅威を知っていながら、ラインハルトはたかが個人的な事情でそれを使おうとしなかった」ということになりますので、私が評価した以上にラインハルトは頑迷かつ悪質な低能ということにもなりかねません。自分の個人的なプライドと矜持などのために移動要塞の潜在的脅威を顧みず、結果として自軍や将兵達を危機に陥れ、多くの部下や将兵達を死地に追いやるラインハルトは、かつて自分が否定したルドルフや門閥貴族達とどこが違うというのでしょうか。
>  たかだかラインハルトの個人的・感情的な事情程度の話では、ラインハルトが移動要塞の潜在的脅威を全く活用しようとしなかった行為を擁護することはできないでしょう。特に、そんなもので危機に陥ったり、死地に追いやられたりしたラインハルト麾下の部下や将兵達にしてみればたまったものではないでしょうしね。>


え~、ラインハルトという設定ではなく人物的側面から、なぜ移動要塞を造らなかったかを考えた結果があの2つでした。
確かにこれでは移動要塞を造らなかった理由にはなっても、冒険風ライダーさんの主張するラインハルトの愚劣さと先見性のなさを更に悪化させるだけですねぇ。

ここで私は1つだけ究極的最終奥義の考えがあります。これは前レスでは使いませんでした。しかし敗北寸前の私としては、敢えてこれを使います。皆さんの批判は覚悟の上です。
人間誰だって、ちょっとしたことに気づかないことはあるでしょう。例えば眼鏡をかけているのに探したり。値段を見てあちらの店が安いのに、なぜか高い店でものを買ってしまったり。
それと同じで、作中のラインハルトでも、ちょっとしたことに気づかなかったり、普通の人では理解できるのに、よく理解できないことがありました。天才と言ってもラインハルトも人間です。たまにはミスがあったのです。そのミスこそが、移動要塞の戦略的価値に気づかなかったことだったのです(爆)。
すでにラインハルトは政治的解決を軍事的解決を行うなどのミスもありました。これは本人の性格的なミスです。批判はいくらでもしてもいいですし、それは批判されるべきです。
しかし、「ウッカリミス」の全てを責めるのはどうでしょうか。ラインハルトが移動要塞を造らなかったばかりに、銀河帝国が滅びましたか? 自由惑星同盟が力を盛り返しましたか? バーミリオンこそ事実上の敗北でしたが、その他の会戦では勝利か引き分けであり、結果同盟は滅び、イゼルローンとの講和もなり、銀河は統一されました。
どうせ兵士はどんな戦いであっても死ぬのです。それが多少の多い少ないで論じるのは、この際どうでもいいではないですか。(負けた開き直り) 例えどのような指導者にとっても、死者は数字でしかないのですから……。
むしろラインハルトが気づかなかった、移動要塞の戦略的価値(戦術的価値は私は認めません)を発見した冒険風ライダーさんの着眼点を評価しましょう。

え~~~~~~~、私の帝国側での移動要塞考察はこのレスで終了します。ここらが限界でしょう。この話題で冒険風ライダーさんと全面戦争をしたら、私の戦力が持ちません。
私のこれまでの説(3508・3546・本レス)と冒険風ライダーさんの説のどちらを支持?するかは、皆さんにお任せします。

フフフフフ、帝国側だけですよ。まだ同盟側が残っていますからねぇ。(+ ̄ー ̄)キラーン

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board4 - No.3566

Re:Re3546/3547:いろいろレス

投稿者:Ken
2003年02月03日(月) 17時31分

冒険風ライダー様、

非常に力の入った回答をいただき、ありがとうございます。私の理解力が足りないために、ライダーさんにしてみれば、同じことを何度も言わせられている、という感想をお持ちかもしれません。はじめに、その点をお詫びします。

さて、

>基本的に私は、最悪でも「移動要塞論は成立する可能性は『ゼロではない』」ということさえ証明できれば、
>それで自分の論は充分に成立すると考えています。
>「できるかできないか分からない」でも、「できるかもしれないのだから移動要塞の潜在的脅威や可能性
>について検討するべきだった」という理論が導き出せることによって、「アレほどまでに補給問題を重要視
>していながら、移動要塞の潜在的脅威を『全く顧みなかった』ヤンやラインハルトは愚かである」

この部分は、またしても私の説明力不足が招いた誤解のようで、謹んで訂正します。あらためて説明をさせていただきますが、反動で、今度は説明が冗長になることがありましたら、どうかご容赦ください。

私が、「移動要塞ができるかできないか、分からない」といったのは、ヤンやラインハルトのような作中人物にとってではなく、私たちのような銀英伝の読者にとってであり、作中人物は知っているだろう、と意味だったのです。そのように明確に書かなかったのは、私の落ち度でした。

「読者はしらなくても、作中人物は知っているはず」という設定は、珍しくないかと思います。

たとえば、外伝3を読んだだけの私たちには、エリザベートの婚約者を殺したのが、本当にリューネブルグだったのか、決定的に判断できる材料はありません。しかし、リューネブルグ本人は知っていたはずです。あるいは、ロイエンタールの実の父親が、ロイエンタール家の当主だったか、「黒い目の愛人」だったか、これも私たちには分かりませんが、彼の母親は知っていたでしょう。この掲示板でも、いろいろな「疑問」が論じられてきました。私自身が深く関わったものでは、「艦船の乗務員は何をしているのか」「帝国の人口減はなぜ起こったのか」などというのもありました。それらは私たち読者にとっては「疑問」でも、作中の人物たちは、当然その答えを知っている、というのが前提になっているかと思います。

同様に、移動要塞を恒久的に使用するアイデアが検討に値するのか、それとも問題外の話だったのか、私たち読者に判断させてくれる直接的な材料は、銀英伝の記述の中にないのでは、ということを言いたかったのです。記述にない以上、読者が一方的に「検討しなかったヤンやラインハルトは愚かである」と断定することはできない、ということです。

もっとも、冒険風ライダーさんはこの点に関して、「少なくとも検討する程度の可能性はあった」と私たち読者が断言できる、と言われているのだと思います。そして、実際に移動したガイエスブルグと、数十年にわたって持ちこたえられるイゼルローンを「断言できる証拠」として挙げておられると思いますので、この点を考察したいと思います。つまり、

1.移動要塞を駆って同盟領まで侵攻する
2.イゼルローンを完全な自給能力を持つ移動要塞として活用する

ことに「検討すべき可能性がある」と断言できるかどうかを、ライダーさんの言われるとおり、「銀英伝の記述にのみ基づいて」検討してみます。銀英伝世界がどのような物理法則に従うかという話題は、冒険風ライダーさんとの議論に限っては、以後もちだしません。

1.移動要塞を駆って同盟領まで侵攻する

銀英伝の記述に従うと、たしかに宇宙船は無補給で長期間行動できることを示す「実績」があるかと思います。

しかし、要塞に関しては、銀英伝の記述では、「40兆トンの質量を帝国本土からイゼルローン要塞の所在地まで移動させた」という「実績」があるだけです。その「実績」から「同盟領までの到達も可能である」という結論へ至るには、銀英伝の記述は不十分ではないでしょうか?艦船と要塞が異なる運用を必要とする、という記述は銀英伝にはありません。しかし、「同じである」という記述もないのです。ですから、

「要塞の航続力では同盟領へは到達できないことが、ラインハルトには明白であり、よって詳しい検討の必要もなかった」

という事情があったことを、「記述」にのみ基づいて、私たち読者が完全に否定することはできないのではないでしょうか?

もしも、私たちの世界の物理法則を判断材料に使えるなら、「艦船も要塞も移動の原理は同じはず」「いや、質量が異なる」等の考察も可能でしょうが。

イオン・ファゼカスに関しては、次のような事情があったかもしれないことを、銀英伝の記述にのみ基づいて、私たち読者が完全に否定できるでしょうか?

* アーレ・ハイネセンの時代は、銀河連邦の遺産がかなり残っていた。
* だから240兆トンの質量を移動させることが、逃亡奴隷にさえも可能だった。
* その後の三世紀に、連邦の技術遺産がどんどん失われた。
* ラインハルトの時代には、40兆トンを、帝国本土からイゼルローン要塞へ航行させる程度の技術は残っている。
* しかし、40兆トンを同盟領まで送り込むほどの技術力は失われている。


2.イゼルローンを完全な自給能力を持つ移動要塞として活用する

銀英伝の記述に従うと、たしかにイゼルローン要塞は無補給で数十年間活動できることを示す「実績」があるかと思います。

しかし、要塞機能の維持と60兆トンの移動を同時に行えることを証明する「実績」は、私が知る限りで、銀英伝の記述にはありません。静止状態と移動状態で、要塞が置かれた条件が異なるという「記述」はたしかにないでしょう。しかし、「同じである」という記述もないのです。ですから、

「要塞を無補給で移動させれば、要塞機能の寿命が短くなることが、ヤンには明白であり、よって詳しい検討の必要もなかった」

という事情があったことを、「記述」にのみ基づいて完全否定することはできないのではないでしょうか?

もしも、私たちの世界の物理法則を判断材料に使えるなら、「機能維持のための燃料を星間物質から取れるなら、移動のための燃料だって時間をかければ取れるはず」「いや、取り込むのに必要なエネルギーの方が大きくなる」等の考察も可能でしょうが。

繰り返しますが、私自身の理解力不足、説明力不足はどうかご容赦ください。

これからもよろしくお願いします。

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board4 - No.3567

ここまで読んだところ

投稿者:IK
2003年02月03日(月) 19時58分

幾つかの争点があるようですね。
①移動要塞の実現性について。現代物理学上の考察。
②無限自給の可能性について。
③ラインハルト・フォン・ローエングラムの軍略の妥当性

①については物理は門外漢なので物理学上での正否を論じる能力がありませんが、Kenさんが示してくれた数字を見る限り、どうも物理上、かなり難しいものがあるようです。ただ、作品中ではガイエスブルク要塞は跳躍しているので、ここは「そういうものである」として読んでいます。
無理を承知で「銀英伝」を聖典(カノン)と見なす立場から言えば、もし同じ立場から論じられるのだとすれば、物理学上の正否論は「実際に動いたのだし」で覆されると思われます。
聖典という視点から離れて見れば、ここは田中芳樹さんのあるいは手落ちかも知れませんが、物理上の設定にそこまで精通することを要求することが(しかも本質的には歴史小説に)、妥当かどうかという別の議論が生じるかと思います。

②について言えば、高速増殖炉がまがりなりにも存在するので、まったく不可能とは言えないのではないでしょうか。技術的なことに立ち入る能力はないのであくまで素人の感想ですが、生物学なども応用すればかなりの程度自給が可能だと考えます。もちろんその場合、すべての有機物を最大限に利用することが前提になりますが。

③については余り触れられていないようですが、①を正とすれば自ずと生じる疑問です。ラインハルトが「政戦両略の天才」と規定されているのだとすれば、ここは「歴史小説」である「銀河英雄伝説」の本質にも関わってくる問題だと思います。
①を正とすり限り、そして私は前述の意見のように「正とみなすしかない」とする考えですが、そうであれば、ここのところでラインハルトが見せた判断は、「天才」の看板が泣く、極めて未熟なものだったと評するしかないように思われます。
ここを合理的に説明するのは精神的疾患などに原因を求めるしかないように感じますが、そうだとしたらすべての責任を「結果として」、かの技術大佐とケンプ提督に押し付ける形になったラインハルトは為政者として、この点、失政を犯したということになるのではないでしょうか。

ここはおそらく実際には田中芳樹さんの「筆の誤り」なのだと思いますが、要塞対要塞の場面は、ヤンの査問委員会から、ミュラーの「大神オーディーンもご照覧あれ!」に到るまで、銀英伝でも有数の見せ場ですね。
「誤るだけの価値はあった」というのが私の感想です。

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board4 - No.3568

冒険風ライダーさんへ質問

投稿者:a-ru
2003年02月03日(月) 21時43分

IKさんはじめまして、横レス失礼します。

IKさんが仰った①②は聖典に書いてある以上文句は言えないでしょうね。補給の重要性を説きながら…という思いは残りますけど。
そこで、冒険風ライダーさんへお聞きしたいのですけれども、
「移動要塞の潜在的脅威は既存の戦争概念を吹き飛ばすほどの大きな可能性を秘めている」と言ってますが、私にはその論拠がいまいち弱く感じられるんです。
例えば、
・移動要塞が提言された時点で、帝国が移動要塞をどのように戦略的に運用するのか?
・戦術で運用するとなると要塞の攻撃性能で大量の戦艦を殲滅できるのか、防御性能は核ミサイルでも大きなダメージは受けないのか、機動力は戦艦と比較してどうか?また、広大な宇宙空間では、使用実績が極端に少ないですよね。また、
・製造コストで考えると、戦艦が数え切れないほど製造されているのに、要塞は数えるほどしかないことから考えても、かなりの費用がかかると考えるべきでは?
などなど、の検討は帝国でもされたと思うんですけど。
その結果、今はもう同盟侵攻では不要となったのでは?

また、イゼルローンを移動させるとして、どういう目的で、どういう戦略で運営して行くのでしょうか…?
民主主義を広めるというのなら、腰を据えて浸透させなければならないでしょう。
しかし、ただでさえ、戦艦や要塞という兵器を持っているのならば、脅威とみなされ発見され次第追跡を受けるでしょう。うまく逃げおおせても、その後に残った住民たちはどうなるでしょうか?見捨てられた、信用できないとなると思いますがどうでしょうか?。

私の意見としては、修正を加える必要がありますが3524、3532に述べています。返信していただければ嬉しく思います。
いろいろお忙しいと思いますが宜しくお願いします。

親記事No.3468スレッドの返信投稿
board4 - No.3569

証明責任

投稿者:Ken
2003年02月03日(月) 23時32分

私の文章力の貧困さが新たな誤解を生む恐れがあるので、少し捕捉をします。

私は、この論争が、

A:移動要塞の可能性は無視できるものではなく、検討を怠ったラインハルトやヤンは愚かである

という主張と、

B:恒久的な移動要塞が真剣な検討に値する案だったと、読者が断定する証拠はない

という主張の対立であると認識しています。もしも、この議題設定自体が、冒険風ライダーさんの認識と異なるのであれば、どうかご指摘ください。

このような命題定義を持ち出したのは、「証明責任」がどちらの側にあるか、という点を明らかにしたかったからです。例えば、犯罪容疑者と司法(警察・検察)の関係で言いますと、司法の側には容疑者が犯罪者であることを証明する責任がありますが、容疑者には自分の無実を証明する責任はありません。容疑者は、司法側が提出する論理に瑕瑾があり、「突っ込み」の余地があることを示せばよいのです。

私は、冒険風ライダーさんの指摘(鋭い指摘であることは重々承知しています)によって、いわば「被告席」に立たされている二人の「英雄」の弁護を引き受けた弁護士であると、今回の議論における自分を位置付けています。厳密に言いますと、被告席に立たされているのはラインハルトとヤンではなく、「彼ら二人が戦略・戦術の天才である」という、銀英伝を構成する最も基本的な設定の一つです。その設定と、「銀英伝は補給を重要視する」というもう一つの基本設定を両立させるべく、両立を崩す論理に瑕瑾を見つけ出し、そこを「突っ込む」のが、今回のジョブであると考えます。

一方冒険風ライダーさんのジョブは、あらゆる「突っ込み」をことごとく論破して、ラインハルトたちが愚かであると証明する記述が、銀英伝の読者に与えられていると立証することである、と認識しています。その意味では、

>苛烈なまでに厳しい超高難易度

の論証を求められているのは、冒険風ライダーさんの方であります。

*ガイエスブルグは実際に移動したのだから、移動要塞のラグナロックへの応用には検討価値がある。
*宇宙船は無補給で長期に航行できるのだから、同じことは要塞に適用できる。

という主張は、科学的な「命題」としては、非常に優れたものです。(田中氏を含めて)誰も気づかなかった、この命題に思い至ったのはライダーさんの思考の深さと性格の緻密さをあらわすものです。

しかし、命題はそれ自体が証明ではありません。

先の投稿で書いたように、銀英伝には、

*ガイエスブルグはイゼルローン回廊を通って、イゼルローン要塞の所在地まで達した

という、まぎれもない「事実」が書かれています。しかし、この事実をもって直ちに、移動要塞が同盟領まで到達できるとか、少なくともそれを真剣に検討すべき理由が、作中人物たるラインハルトに存在した、と読者が「証明」することはできません。特に、帝国から同盟までの距離が、帝国からイゼルローンまでの距離より大きい場合は、です。

もしも、移動要塞をラグナロックに使うことを、ラインハルトが真剣に検討を重ねるべきであった、と主張するのであれば、移動要塞の航続距離が、充分に同盟領まで達するほどのものであった、という証明が必要です。例えばのはなしですが、

1.イオン・ファゼカスは、ラインハルトの時代の帝国本土-イゼルローン要塞間よりも大きな距離を航行した
2.イオン・ファゼカスを動かしたテクノロジーは、ラインハルトの時代にも残っていた

という二点を、銀英伝の記述に基づいて証明できれば、ラインハルトが移動要塞をラグナロックに投入することを、少なくとも検討すべきであった、と主張する有力な根拠となりえます。

さらに言えば、

ラインハルトは、真実、ライダーさんの案を全く検討しなかったのでしょうか?そのことを銀英伝の記述にのみ基づいて、読者が証明できるでしょうか?

小説が、例え主役といえども、彼が行ったすべての思考活動をことごとく読者の前に開示してくれない限り、「書かれていない部分」について、読者は想像はできても証明はできません。その意味では、読者が作中人物を、

「彼はこういうことをやったから」
「彼はこういうことをやらなかったから」
「彼はこういうことを考えたから」

ゆえに彼は愚かである、と言うことはできても、

「彼はこういうことを考えなかったから」

という理由で、愚かであると決めるのは、「考えなかった」と小説中に明記されていない限りは、ほとんど不可能だと思います。

冒険風ライダーさんが言われるとおり、銀英伝では「補給」というものが非常に重要視されています。それでは、輸送部隊の指揮をゾンバルトではなくミッターマイヤーに任せなかったことも、ラインハルトの愚かさなのでしょうか?

そうかもしれません。しかし、そうではないかもしれません。ミッターマイヤーが最前線を離れられるような状況であったかどうかで、反対の結論が出ます。そして、それを判断する材料は、読者には与えられておりません。

カール・マチアス・フォン・フォルゲンの殺害に関してヘルマン・フォン・リューネブルグが「有罪」であると(あるいは、そうではないと)証明することは、「千億の星、千億の光」の続編が書かれない限り、不可能です。同様に、ラインハルトやヤンの「愚かさの罪」も。

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