- 親記事No.2910スレッドの返信投稿
- board4 - No.2948
Re:初お目見えのご挨拶
- 投稿者:不沈戦艦
- 2002年10月02日(水) 15時33分
さすがに、この話題については私が何か付けるべきでしょう。「フォン・タンネンベルク伯爵」は、最初に北村賢志さんが「リップシュタット戦役の大貴族方が今ひとつなので、こんなキャラクターが居た方が、もっと面白くなったのではないか」という意見を出したことに対して、私が勝手に命名(元ネタは柘植久慶氏の架空戦記「逆撃」シリーズからですが)したものですから。そして、この後に平松重之氏のストーリーの提案があったので、その後をどんどん膨らませてしまうような話を、調子に乗って書いてしまっていますもので。「大逆転!リップシュタット戦役」というタイトルで、こちらのURLに掲載しています。興味がある方はどうぞ。
ttp://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/2681/han-gineiden1.html
>
>前口上が長くなりましたが、本題に入らせて頂きます。
>・「銀英伝」の敵キャラが役不足では?
>こちらのサイト様では、随分前から議論がなされているようですので、「何を今更?」と思われるでしょうが、少々お付き合いください。
>貴族連合側の人材不足は、確かに間違いなく敵役としては「不適格」です。小官も「フォン・タンネンベルク伯爵」的な人物を想定して「思考実験」を繰り返してみましたが、彼1人だけでは、まだまだ役不足では?という結論に至らざるを得ません(ウ~ムッ)。
むー、そうでしょうか。私の設定では、「タンネンベルク伯」は、かなりの「スーパー軍師」扱い(ラインハルトを戦術的に手玉に取ってしまうような、ヤンと同等以上級)にして、一応「大貴族の理念」も語っているキャラクターにしてますけど。これじゃ役不足ですかね?
>作者の依怙贔屓のためか、「金髪の儒子」にはキルヒアイスだけでなく「帝国軍の双璧」やオーベルシュタインのような曲者もいることですし(笑)。
さすがに、タンネンベルク伯一人では、綺羅星の如く幕僚が揃っているラインハルト陣営には敵わないので、「大逆転!リップシュタット戦役」では、タンネンベルク伯にも優秀な幕僚多数を付けてしまいました。例えば、その中の一人のシュタイナー少将などが大活躍してます。それに関しては、こちらのURLをどうぞ。タンネンベルク伯爵陣営だけでなく、「大逆転!リップシュタット戦役」の登場人物について、冒険風ライダー氏がまとめてくれたものです。
ttp://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/2681/encyclopedia-character.html
>それに、小官としましては、約500年も続いたゴールデンバウム王朝を(建前として)支えてきた「理念」とやらの具現者がリップシュタット戦役の時点にも登場しても良いのでは?と勝手に思いこんでいます。
>「肉体的はオフレッサーが、権力者としてブランシュヴァイク、リヒテンラーデがいるではないか!」とも思ったのですが、いかんせん、3人とも単なるやられ役・引き立て役でしかありません(釈迦に説法でしたな)。
>そこで、良くも悪くも「ミニ・ルドルフ」的な人物が好敵手となれば、物語に多少なりとも深みが増すのでは、と思います(たしか、ルドルフ的な父性に対する克服もテーマの一つだったはずでは?)。
「ミニ・ルドルフ」までは、私は考えなかったですね。でも、この設定も面白そうです。というか、タンネンベルク伯より、こちらが主役でしょうね。
>
>小官の身勝手(?)設定キャラ
>氏名:カール・フォン・ロートリンゲン
>性別:男性
>家門:公爵(あるいは侯爵)
> ただし、「臣下」の貴族ではなく、傍系の「皇族」出身であるところ
> がミソです。しかし、幼帝エルウィンちゃんの叔父や従兄弟のような
> 近親者では単なる皇室内部の「お家騒動」となってしまい、底が見え
> てしまいます。皇族とはいえ、もはや皇位継承など望むべくもない傍
> 流の「ルドルフ大帝の第二~四皇女の子孫」あたりが面白いのでは?
>階級:上級大将(内戦勃発時は退役または予備役なのはタンネンベルク
> 伯と同じ)
ちなみに、タンネンベルク伯も、一応血統的には皇族からの出自と設定しています。「清和源氏・桓武平氏」のようなものと言えば、分かりやすいかな?それと、ロートリンゲン公爵にも、自分たちの「皇帝候補」を持っているべきではないでしょうか。というのは、皇帝候補がいないと、理念としては弱いし陣営に対する求心力もないでしょうから(いくら何でもロートリンゲン公爵とタンネンベルク伯爵だけでは、勢力として少なすぎます。また、傍流過ぎるロートリンゲン公爵自身が皇帝候補だというのでは、刎頸の友のタンネンベルク伯爵はともかく、血統万能主義の他の貴族たちが付いてこないでしょう)。ペクニッツ子爵の娘の、本筋では第38代皇帝となった「カザリン・ケートヘン1世」でも持ってきませんか?
> 軍人・政治家としての手腕は未知数ながら「端倪すべかざるものあ
> り」とメルカッツあたりに言わしめている(出来過ぎか?)。
>年齢:20台後半から30台前半
タンネンベルク伯の設定は25歳にしてますので、それよりちょっと上くらいですか。30代の方が良い(34~35くらい)と思います。ちなみに、何でタンネンベルク伯を25歳にしたかと言うと、敵手のラインハルトが「20歳の元帥」ですからね。バランスから言ってラインハルトより若干上、こんなもんで適当だろう、というところです。ヤンは30に手が届くような年ですから、それよりは若くしたかったもので。
> 狭い貴族社会のことですので、オーベルシュタインかロイエンタール
> あたりと「同級生」とするのも面白いのでは? 知己同士ですから、
> お互いの「心理の裏の裏」を探り合う駆け引きは見物のはずです。
>スタンス:帝国内部の「第三勢力」の領袖。
> 皇族出身ということで「ゴールデンバウム王朝擁護」。ただし、無条
> 件の礼賛者ではなく、正統な「王朝原理主義者」。
> 第2代ジギスムント1世以後の皇室本宗家の乱脈・廃退ぶりに疑念と
> 反感を持ち、内心「この俺が何とかせねば!」と使命感に燃える知性
> 派の熱血漢(笑)。ついでに王朝護持のためなら、自ら簒奪も厭わぬ
> 「図太さ」も欲しいところ(結局はラインハルトと同じ?)。
第三勢力ですか・・・・・結構苦しそうですね。ラインハルト陣営はかなり強いですし、貴族連合はこのロートリンゲン公爵陣営には簡単には靡きそうにありません。兵力的には、他の二者より少なくなるのでは。ガイエスブルグなみの強力な要塞でも根拠地にしていないと、かなり厳しそうな気がします。それと、簒奪を言っちゃうと拙いかも知れませんね。「反逆者」のレッテルを貼られてしまいますから。ラインハルトの場合は確信犯ですからそれでいいんですけど、貴族側としては拙いと思います。ロートリンゲン公爵陣営としては、ブラウンシュヴァイク公爵陣営を切り崩して、自分の勢力を拡大せねばならなくなるでしょうから、反逆者呼ばわりされる訳にはいかんでしょう。仮に簒奪の意志があったとしても、ロートリンゲン公爵とタンネンベルク伯爵二人だけの絶対の秘密にして、そんなことはおくびにも出さない必要があるのでは。
>登場人物との相関関係:タンネンベルク伯の士官学校の先輩・上官。
> 義兄弟(タンエンベルク伯の姉の夫)とする手もありますが、ありき
> たりな設定になってしまうかも? 「肝胆相照らす」「刎頸の交わ
> り」という言葉はこの二人の為にあり、と後世の史家が絶賛するほど
> の信頼関係がないとダメでしょうね(笑)
> ブランシュヴァイクあたりとは、一線を画す「良識派」であることは
> 言わずもがなですかな。
まあ、私もタンネンベルク伯については、一応「良識派」のつもりで設定しましたけど。とは言っても、オーベルシュタインもどきも平気で実行するような、ヤな性格してますが。例えばですが、人質に取ったアンネローゼを、兵士で取り囲んで怯えさせている映像を、艦隊戦が始まる直前にキルヒアイスとミッターマイヤーに送りつけて、怯ませておいてから一方的に攻撃する、とか。
>容姿:一応は良い意味での「若き日のルドルフ大帝」を思わせる筋肉質
> な美丈夫。やっぱ、オフレッサーのような「熱血筋肉髭オヤジ」やフ
> レーゲルくんのような「貧相を絵に描いたようなひ弱なボンボン」で
> は誰も付いてきませんわな(笑)
やっぱり、怒号は雷に例えられるんでしょうか?
>その他:帝国の腐敗に嫌気がさしてタンネンベルク伯と伴に進級すると
> 直ちに退役した。ミッターマイヤー拘禁事件の直前に領地へ隠遁して
> いたため、帝都で決定的な権力を振るえず、このことがロイエンター
> ルをしてラインハルトを頼らしむることになった。逃した大魚(帝国
> 軍の双璧)はあまりにも大きすぎたため、ロートリンゲン公爵殿下の
> 行く末に暗い影を落とすことになった・・・。
> ところで、旗艦を「シュトラスブルグ」とするのは出来過ぎでしょう
> か?(笑)
>
「シュトラスブルグ」は、今はフランスですよね。旗艦にするより、ロートリンゲン陣営の根拠地の要塞名にしてしまった方が良くありませんか?ガイエスブルグ要塞に対して、シュトラスブルグ要塞ということで。ロートリンゲン公爵の旗艦は「エルザス」にしましょうよ。ま、それにあまりロートリンゲン公爵には、前線で戦って貰わなくてもいいと思いますし。それはタンネンベルク伯爵に担当させれば良いので。
>と、何だか何処かのファンサイトのようになってしまいましたが、どなたか小官の設定で思考実験をしていただけますと有り難く思います。
「タナウツ」は、銀英伝に関してはファンサイトの要素がかなりありますから、それは気にするようなこともないでしょう。しかし、この設定で何か考えるにしても、即興では出てきませんね。どうしましょうか?
>
>それでは、今回の投稿はここ迄にいたしとう御座いまする<(_ _)>
あらま、懐かしい。「武田信玄」でしたっけ?
- 親記事No.2944スレッドの返信投稿
- board4 - No.2949
Re:銀英伝版「平家物語」&「フランダースの犬」
- 投稿者:ソルジャー大佐
- 2002年10月02日(水) 15時36分
> ソルジャー大佐さん、こんばんわ。
> お話の「純真な少年皇帝エルウィン・ヨーゼフ二世」面白かったです。
> その設定ならばこちらで時折物議をかもす「何故あんなクソガキを同盟市民は迎えいれたのか?」が無理なく説明できますね。
> 御質問の帝国サイドの反応としてはこんな処でいかがでしょう。
> まずランズベルク伯の遺言にオーベルシュタインが、「神々の黄昏」作戦発動に際して臣下と民草にラインハルトが同じ科白を言う事で「子供殺し」の汚名はかなり薄れます。
> その科白とは「では皇帝エルウィン・ヨーゼフ二世陛下の純真と慈愛をもって過去400年のゴールデンバウム王朝の生贄たる多くの血にいかなる償いができるのか問おう。皇帝陛下に罪はない、ゴールデンバウム王朝の存続を許す事が人類への大罪なのだ」という所でしょうか(ルイ十六世処刑を決めたサン・ジュストの演説の剽窃ですが)。
> さらにラインハルトが孤独に深酒に浸りながら「キルヒアイスの命と姉上の心で購った銀河だ、子供一人への情けと引き換えられるものか……」とワイングラスでも握りつぶせば完璧でしょう。
> 「歴史の改変」にはならないでしょうが銀英伝の改良案として良いと思います。
S.K様
早速のご意見・ご感想、有り難う御座います。
原作者・田中芳樹氏なら、ご意見のような「口実」を設けて、依怙贔屓してでもラインハルトの「簒奪」を正当化するでしょうな(笑)。
それでも、小官としては、ラインハルトの「ゴールデンバウム王朝打倒」が「過剰報復」のような気がしてならないのです。
アンネローゼを奪った皇帝フリードリヒⅣ世は既に鬼籍に名を連ね、アンネローゼ自身もラインハルトのもとに帰ってきました。
恨み重なるブランシュヴァイク公ら門閥貴族も敗亡しています。
キルヒアイスを失った「悲哀と空虚を埋め合わせる」といった「個人的感情」のために「多くの人命を損なうこと、度が過ぎる」と思うのですが・・・。
これでは「ゴールデンバウム王朝の悪政」と何ら変わらないのでは?
この点も原作者の(かなり悪質な?)ダブルスタンダードのような気がします。
ところで、先の投稿ではランズベルク伯を「糾弾者」としましたが、
「臣も、・・・どこまでもお供いたしまする・・・(泣)」と言って
エルウィン・ヨーゼフⅡ世と伴に自決する可能性が大きいですね。
(いかん! 投稿者自身が破綻しとる!!)
「糾弾者」は、やはりもう一人の「誘拐実行犯」シューマッハの方が妥当だったのでは? と反省(?)するソルジャーでした(笑)
(やっぱ、ロイエンタールは、これくらいでは謀叛を起こさないのかな??)
それでは、今回の追加投稿は
ここ迄にいたしとう御座いまする<(_ _)>
- 親記事No.2914スレッドの返信投稿
- board4 - No.2950
Re:人口学的に正しい銀河英雄伝説
- 投稿者:Ken
- 2002年10月02日(水) 23時11分
おはようございます。
イッチー様、
直接には、#2947(Re:続・経済学的に正しい銀英伝)へのレスですが、人口論議ですので、イッチー様が立てられたスレッドの方へ書き込みます。
>ダゴン以後、大量の亡命者の流入で同盟建国者の子孫たちの無理な人口拡大政策もとりやめになり、出生率は大幅に低下するでしょうから、ヤン登場のときの同盟建国者の子孫は1億にも満たないでしょう。
人口増減の「複利計算」そのものに疑問を持つ方もおられることは承知の上で、あえて続けさせていただきます。
結論からいえば、宇宙暦640年のダゴン会戦時に3150万の人口があったのなら、796年のアスターテ会戦時に130億に達するための増加率はぐっと低くなり、もはや大量の亡命者をあてにする必要もなくなります。
[計算プロセス]
1.3150万から130億は、413倍の増加
2.S.E.640年から796年までは、156年
3.ゆえに、年間の増加率は413の1/156乗で1.0394、1000人あたり39.4人
4.新生児の親の平均年齢が25歳と仮定すると、女性一人が産む子供の数は
1.0394の25乗で2.63
注:3から4、つまり増加率から女性一人当たりの産児数は、直接には計算できません。(あるいは、できるのかもしれませんが、私には思いつきません。)よって、ここでは全女性が25歳のとき一斉に出産し、しかもその世代の出産はその一回きり、という仮定をしています。年々の詳細な推移を問題にする場合には、こんな仮定は馬鹿げていますが、数世紀の長期的傾向を予測するためなら使えるのではないかと思います。
同盟の存在が帝国に知られて後は、帝国が亡命を妨害するでしょうし、イゼルローン回廊とフェザーン回廊のみ見張っておれば、人民が同盟へ逃げるのを防げますので、帝国人の同盟への大量流入は難しいのではないでしょうか?(銀英伝に亡命者の数に関する具体的な記述はあったでしょうか?)
- 親記事No.2914スレッドの返信投稿
- board4 - No.2951
Re:人口学的に正しい銀河英雄伝説
- 投稿者:Ken
- 2002年10月03日(木) 00時02分
すみませーーーーーん!
まちがえましたああ!!!!
> 4.新生児の親の平均年齢が25歳と仮定すると、女性一人が産む子供の数は1.0394の25乗で2.63
すべての人間が子供を産むのなら、この計算でよいのですが、それができるのは、もちろん人類の半分ですからね。Total Fertility Rateは
5.26
でなければなりません。(前に私自身がやった計算結果と違いすぎるのでおかしいと思った。)さらに、10人に1人が子供を作る前に死ぬと仮定すると、さらに増えて5.79・・・・
やっぱり移民が必要かな?
- 親記事No.2878スレッドの返信投稿
- board4 - No.2952
Re:はじめまして。
- 投稿者:千星
- 2002年10月03日(木) 00時28分
レスありがとうございました。
中学生(中1)には「中国の歴史」はあまり関係ないようです。
(ちなみに私は中3です)
読み終わった後の「あー楽しかった」という充実感が最重要らしいです。
・・・・・・勘違いレスでしたら削除してください。
- 親記事No.2910スレッドの返信投稿
- board4 - No.2953
Re:初お目見えのご挨拶
- 投稿者:イワン
- 2002年10月03日(木) 13時48分
ご機嫌いかがですか不沈戦艦さん。ちょっとだけここに書かせていただきます。
そういえばタンネンベルク伯は弱冠25歳だったんですね。てっきり三十路に届いているかと思っていました。OVAか何かで見た若き日のルドルフのような偉丈夫で。
サビーネとの年齢比較で、彼が25歳だ、という記憶はあったのですが感覚としてぜんぜん結びついていませんでした。
- 親記事No.2914スレッドの返信投稿
- board4 - No.2954
Re:人口学的に正しい銀河英雄伝説
- 投稿者:SAI
- 2002年10月03日(木) 15時08分
Kenさん、それでは今日もいきますか。
>歴史的に見て、それはこの時代に限ったことでしょうか?
一つ一つを見ればこの時代に限ったことではありませんが、これら全てが先進地域=人口過密地帯全域で起こったのは今のところこの時代だけです。
「蛮族による殺戮」
後の時代に比べれば少なかったかも知れませんが、高度に文明化された社会は実は損害に対して弱いんです。なぜなら人間も含めてあらゆる社会の機能は微細かつ限定的になり、さらに他のあらゆる機能と依存しあうようになるからです。そしてどの機能が一つ失われただけでもシステム全体が麻痺することがあります。先進地帯の文明国の人口はシステムが正常に作動することのみで維持できます。後の時代よりも破壊の度合がすくなくてもダメージそのものははるかに大きいわけです。
「ペストの流行」
確かに史上最悪のペスト禍に人類が襲われたのは14世紀ですがこの時代もそれはそれはひどいものです。
社会秩序の崩壊
この時代においては当時の先進地域全てが崩壊してしまいました。
それは唐や明が滅んだときも、百年戦争や三十年戦争のときとは違います。
「寒冷化」
西暦535年の後の数年間の当時の伝承はそれはそれはすさまじいものです。
太陽から合図があったが、あのような合図は、いままでに見たこともないし、報告されたこともない。太陽が暗くなり、その暗さが1年半も続いたのだ。太陽は毎日4時間くらいしか照らなかった…」
『教会史』エフェソスのヨーアンネス
「日光は一年中、輝きを失って月のようだった」
東ローマの歴史家プロコピオス
春は穏やかではなく、夏も暑くなかった。作物が生育すべき何ヶ月間かは、北風で冷え冷えとしていた。雨は降らず、農民は、また寒気に襲われるのではと恐れている
カッシオドース
旱魃のため勅令が下された。死体は埋葬すべしという内容だった。…当局は、市門で水を配ることとした
北史
南京に黄砂が押し寄せ「黄色い塵が手一杯すくいあげられた」
南史
食は天下の本である。黄金が満貫あっても飢えを癒すことができない。真珠が一千箱あっても、どうして凍えるのを救えようか」。
日本書紀
535年に続く数十年間は小氷期も含めて過去2000年間の中で最悪でした。この異常気候のなか疫病、飢餓、戦争により人口が激減しました。そのなかでインフラが崩壊し、生産性が低下し養える人口の絶対数が減ってゆきます。
人々が大量に死ぬ原因はあるのです。
さらにいえばこの時代は人間は大量に生まれました。少なく生むとういうのは少なく死ぬ時代の話であって、子どもが大勢死ぬ時代には多く生まれます。
また確実に北方の蛮族達の数は増加しました。古代では西方ではライン河の向うにしかいなかったゲルマン人達が中世にはヨーロッパ全域に住み着いてました。
東方では五胡十六国から唐と中国に異民族が大量に流入した時代です。
ではなぜ北方の蛮族の人口が増えたにもかかわらず世界人口が減ったかというと、蛮族達の人口はもともと少なかったからです。先進地域の文明国はKenさんのいうとおり唯一のエネルギー源であった木を切りすぎて、山という山を丸禿げにしてしまい、インフラを維持できなくなり自壊してゆきます。飢え、戦争、疫病でどんどん人は死んでゆきます。その数は蛮族たちの増える数の比ではありません。
崩壊する古代帝国、勃興する蛮族たち、人口増加直線と人口減少直線がクロスしたのが7世紀だったのでしょう。
付録
全部で100人養える土地があるとします。ここにAからEまでの集団があり、それぞれの集団には20人ずついるとします。この状況で50人しか養えなくなればどうなるか?なおこの問題は数学の問題でありません。生物学の問題です。
答え
どれか一つの集団が残りの集団全てを滅ぼして50人に増える。
これは一つのモデルですが現実でも環境が悪化すれば同じようなことが起きます。全体として数は減ってもある特定の集団だけはふえるということが。
人類社会全てで出生率が下る事は過去にも無かったし、これからも無いと思います。
それに3世紀から7世紀にかけて人口が減った時代に古代帝国は亡び、高度な技術で武装した巨大な軍隊は維持できなくなりました。
東ローマ帝国の軍隊も蛮族の傭兵軍団です。
それと同じ事が起きているなら銀河帝国は崩壊し、万の単位の宇宙艦隊というものは存在できないと思います。宇宙艦隊に必要な技術と経済力は膨大な人口が無くては無理でしょう。なお黒旗軍の時代
はもっと少なかったと言うでしょうが、あのときとは社会の維持コストそのものが違います。3000億から減少してゆく過程で社会機能のいくつが失われ社会全体が麻痺し、維持コストが払えなくなり、後は人口減少、インフラ崩壊、生産性低下、技術力後退、財政破綻と艦隊維持のための条件が崩壊してしまいます。
人口にあわせるなら状況が矛盾しているし、状況にあわせるなら人口が矛盾していると思います。
- 親記事No.2914スレッドの返信投稿
- board4 - No.2955
Re:人口学的に正しい銀河英雄伝説
- 投稿者:イッチー
- 2002年10月03日(木) 16時29分
Kenさま
確かに計算上は16万人が130億まで増えるのも可能でしょうが、実は私は「エンサイクロぺディア 銀河英雄伝説」でユリアンの祖母の説明が「ミンツ家が長征1万光年以来続く名家であることを誇りとし、息子(すなわち、ユリアンの父)が帝国からの亡命者と結婚したことを生涯許さなかった」というようなことが書いてあり、同盟建国者の子孫であることが「名家」であり「誇り」となるくらい、同盟では希少価値があると思ったのです。ならば、ユリアンの父が結婚した時点で同盟建国者の子孫は少数派となり、移民が多数派となっていると思ったのですが・・・。
- 親記事No.2944スレッドの返信投稿
- board4 - No.2956
Re:銀英伝版「平家物語」&「フランダースの犬」
- 投稿者:八木あつし
- 2002年10月03日(木) 17時54分
どうもソルジャー大佐さん。八木と言います。
ソルジャー大佐さんが考えた、素直で心優しく健気な少年エルウィン・ヨーゼフⅡ世。(本物からは想像できない(笑)) 私もそれに便乗させてもらいシミュレートしてみました。
そこで最初にすみません。私は新キャラを造り、登場させるというのが苦手なので、ソルジャー大佐さんの純心エルウィンをどのようにしたら既存から造れるかを考えてみました。
~~~以下想像~~~
リヒテンラーデ侯「皇帝陛下、残念なお知らせです。皇太子ルードヴィヒ殿下がお亡くなりになりになられました」
フリードリヒⅣ世「そうか。ルードヴィヒも父より先に逝ったか……」
リヒテンラーデ侯「陛下。ルードヴィヒ殿下は、陛下の孫であるエルウィン・ヨーゼフ様を残されています。既に皇太子妃さまも亡くなられており、1人になられたエルウィン様をいかがなされます。新無憂宮へ引き取りますか」
フリードリヒⅣ世「そうだな……。1人なら新無憂宮へ連れてくるしかあるまい」
リヒテンラーデ侯爵「は。では早速、新無憂宮内でお世話を行う乳母の人選を宮内省に命じます」
フリードリヒⅣ世「いや、それには及ぶまい。アンネローゼに余の孫の世話をさせるがよい。アンネローゼも子供の世話でもしていれば、退屈も紛れるだろう……」
リヒテンラーデ侯爵「な、陛下! それはお止めになった方がよろしいかと。ブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム侯がどう思うか分かりませぬぞ。いらぬ疑いを与えるだけでは」
フリードリヒⅣ世「よいのだ。どうせアンネローゼは、余の子供を生めぬのだ。ならば余の孫の世話をさせ、形だけでも母親の真似をさせてやるがよい……」
リヒテンラーデ侯「…………かしこまりました」
このフリードリヒⅣ世の気まぐれにより、2歳になったばかりのエルウィン・ヨーゼフは、グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼがその世話をすることになった。それはラインハルトにとって、非常に不愉快であり苦痛なことであった。しかし皇帝の命令に逆らうわけにもいかず、姉と皇帝の実の子供でないだけマシだと自分を慰めるのだった。
それから3年後。
アムリッツア星域で自由惑星同盟軍に完勝し、帝都に帰還したラインハルトは皇帝崩御の報を聞く。そこでラインハルトはリヒテンラーデ候と手を組み、強力な外戚を持たないエルウィン・ヨーゼフを皇帝に擁立することで帝国の権力を奪取を目指すのだった。
門閥貴族の反感が強まる中、エルウィン・ヨーゼフⅡ世の即位式典が挙行された。ラインハルトは、その式典で不快なものを目の当たりにする。彼の名目上の支配者となる少年は、玉座に自分の姉、アンネローゼに抱きかかえられ座っていたのだ。そしてエルウィンは、皇帝の証である皇帝冠をアンネローゼの手でその頭に載せたのだった。
エルウィン・ヨーゼフⅡ世は、アンネローゼに育てられ素直で心優しく健気な少年に育っていた。年相応のあどけなさもあり、宮廷での評判は大変に良かった。しかし、エルウィン・ヨーゼフにも唯一の欠点があった。育ての親であるアンネローゼに執着の度合いがやや強く、常に一緒にいようとする点であった。
特にラインハルトやキルヒアイスがアンネローゼと団らんを時間をもつと、2~3回に一度はエルウィン少年がやって来て、それをぶち壊しアンネローゼをさらっていくのだ。他の面では素直に言うことを聞くエルウィンだが、この点だけはアンネローゼが叱ってもなかなか聞きつけなかった。ラインハルトだけでなくキルヒアイスでさえも正直なところ非常に不愉快だったのだが、皇族でありそして皇帝になった少年に逆らうことは出来ない。そして何といってもアンネローゼが、自分で育てたエルウィンを可愛がっているのである。二人は、政治・軍事以上にこの問題に悩むのだった。
帝国歴489年。ラインハルトは、リップシュタット戦役で貴族連合軍を打ち倒し、返す刀でリヒテンラーデ侯一族を処刑した。キルヒアイスを失うという、ラインハルトにとって大きすぎる損失もあったが、もはや皇帝位簒奪への大きな障害は消えた……かに見えた。しかし、最後に1つ残っていたのである。むしろこれが一番大きい障害かもしれなかった。
キルヒアイス死後、アンネローゼが向ける愛情はラインハルトとエルウィンへの2つに分けられていた。そしてラインハルトにとって信じられないことに姉の愛情が、実の弟と皇帝とにほぼ等分だということだった。しかもエルウィン・ヨーゼフⅡ世の素直で健気な性格から、宮廷内には大勢のシンパが生まれていた。また帝都の臣民の間には、幼い皇帝を若く有能な宰相とその姉が支えている、というイメージが定着しつつあったのだ。
ラインハルトは姉の目と国民の目を振り払い、皇帝簒奪という野望を実現できるのか。フェザーンの皇帝誘拐の陰謀に乗るのか、それとも乗らないのか? 銀河帝国正統政府皇帝にエルウィンが担がれたとき、国民の反応は、アンネローゼの反応はいかに!
~~~以上終わり~~~
ここまで長々と書きましたが「皇帝の気まぐれから、アンネローゼがエルウィン・ヨーゼフを育てたら」というシミュレートでした。
これなら何とかソルジャー大佐さんの考えた、純心エルウィンが出来上がる気がします。しかしエルウィン・ヨーゼフが、アンネローゼに育てられたなら絶対にアンネローゼになつくと思います。上記にもありますが、ラインハルトやキルヒアイスのアンネローゼとの団らんをぶち壊しそうです。
その時のラインハルトを考えると、ゴールデンバウム王朝への怒りが全てエルウィン・ヨーゼフに向かい、エルウィン・ヨーゼフは相当に悲惨な死に方を迎えそうな気が……。(-_-;)
今回はこのあたりで。それでは!(^-^)/~~
- 親記事No.2896スレッドの返信投稿
- board4 - No.2957
Re:続・経済学的に正しい銀英伝
- 投稿者:倉本
- 2002年10月04日(金) 02時14分
実際に亡命者がどれくらい同盟で差別されてるかはわかりませんが。
私としては在日韓国人くらいだろうと思います。
基本的に亡命者たちは同盟の国籍を持っておらず国籍取得を希望する場合は同盟政府による審査を受けてそれに合格する必要がある。
国籍を取得したらあらゆる面で一般の同盟国民と同じ扱いを受けることができる。
そうでない場合は選挙権被選挙権公務員になる権利などに制約を受ける。
基本的にそれ以外では普通に生活をしている限りでは特に問題はない。
ただ一般の同盟国民の中には亡命者と知ると嫌な顔をしたり露骨な差別をする人間もいる。
もちろん何も気にしない人間もいる。
とまあこんな感じではないでしょうか。
- 親記事No.2896スレッドの返信投稿
- board4 - No.2958
Re:続・経済学的に正しい銀英伝
- 投稿者:准提督
- 2002年10月04日(金) 07時40分
さて、色々議論が出てきていますが、整理する必要がありそうですね。
まず、これまでの議論は
Ⅰ.同盟においては亡命者に対する差別意識が発生する
Ⅱ.その差別意識は帝国における農奴・奴隷階級に対するそれに匹敵するほどに強度のものである
Ⅲ.その結果、同盟経済も帝国経済と同様の硬直に陥っている
というSAIさまの2915番の見解に対し、私こと准提督が2925版の書き込みにおいて政治面からⅠ.Ⅱ.を否定し、それゆえⅢ.の結論には達しない、との意見を表明して進んでまいりました。
つまり、この議論はⅠ.Ⅱ.の政治学的・社会学的考察とⅢ.の経済学的考察が結びついて初めて意味のあるものになるのです。スレタイも「経済学的に見た銀英伝」ですしね。
ところが2946においては、SAIさまはⅠ.の成立を政治学的に証明しようとしたものの、今度は経済的な視点、即ちⅢ.に関する考察がすっぱり抜け落ちてしまっているのです。
このことは図らずもSAIさまご自身が2946の書きこみの末尾において
>今回は経済学じゃなかったですね。
とおっしゃっていることからも明らかです。
ここでの論点は差別問題そのものではありません。差別問題が同盟経済にどのような影響を及ぼしたか、です。
現段階における私のスタンスは
「亡命者差別は発生した可能性は認められる。しかしその程度は決して苛烈なものではなく時間の経過と共に解消に向かったであろう。従って身分制による経済の硬直は発生しない。」
です。理由は、要約するなら、
1.同盟の民主政国家としての風潮
2.同盟憲章を頂点とする立憲民主政
3.貴重な人口確保のため差別政策は有害
4.亡命者は人数が圧倒的
の4点です。以下、詳しく見て行きましょう。
なお、考察を簡明にするため、「法的・政治的差別」と「社会的差別」を分けて進めます。この二つが密接に関連している事は言うまでもありませんが、混同する事によって議論が不分明になることを避ける必要があるのです。
まず同盟への亡命者の流入の時期ですが、私はダゴン星域会戦直後の宇宙歴640年からの約10年間に集中したと考えています。理由は二つ、この時期が同盟の存在のインパクトが最も激しく帝国に伝わり(大勝利ゆえ)、かつ帝国も発見と大敗の衝撃から立ち直っておらず亡命阻止の各種措置も充分ではないはずだからです。従って、この時期同盟は「元々の同盟市民」とは比較にならない圧倒的な数の亡命者を受け入れたものと思われます。これを仮に「640年組」と呼びます。
さて、かかる状況においてSAIさまとイッチーさまは、この亡命者に一定の「法的・政治的差別」が課されるとしています。これは私もありえると考えました。従ってこの部分については私は謹んで自説を修正させていただきます。
問題は、その「法的・政治的差別」の程度です。この点につき私は相当限定された差別になると考えます。何故なら、まずこの時期の同盟は「古きよき民主主義」の時代であって、「元々の同盟市民」の国民性は安易な差別を許容しないと考えられるからです。アーレ・ハイネセン以来の伝統に従って自由と平等の素晴らしさを教育されてきた彼らには、全く後ろめたさ無く亡命者を差別することは出来ないでしょう。さらに重要な点は、同盟が憲法(憲章)を持っていることです。そこには当然自由・平等が銘記されているでしょう(民主主義を称しているのですから)。従って亡命者に「法的・政治的差別」を課すためには、その差別が帝国出身である事による合理的な差別であるとの論理構成が取られる事になるでしょう。しかし、この種の差別立法を無制限に制定する事には「元々の同盟市民」の間からも猛烈な反発が出ると思われます。このような立法の暴走を許せば、次は何時自分たちに降りかかってくるか判ったものではない、同盟憲章が骨抜きにされてしまう、とね。アーレ・ハイネセン一派の子孫である彼らにはその恐ろしさは解るはずです、自分たちの先祖が何故自由惑星同盟を建設しなければならなかったかくらいは理解しているはずですから。議会でも大問題になります。従って立法によって制限される人権はせいぜい参政権のみであって、場合によっては表現の自由に一定の制限が加わるかもしれませんが(帝国的な言論・思想の伝播を阻止するため、と称して)、経済的自由や人身の自由、社会権などは同盟市民と全く同程度が保障されると思われます。しかも立法の根拠は「帝国出身であるから」ですから、この差別立法の効力は一世代のみに限定されるでしょう。
もし限定されなかったら大変なことになります。その点も含めて時代を進めてみましょう。
「640年組」の亡命者達の子供の世代、即ち同盟で生まれ育った彼らは同盟の民主主義礼賛の教育を受けて育っています。親が亡命者であるだけに「元々の同盟市民」の子弟が受けるそれよりもさらに激しい、洗脳とすら言ってよいほどの自由・平等教育です。それゆえに彼らは自分たちが何故参政権を持っていないのかについて、強い不満を抱くようになります。圧倒的な人数の彼らの不満は当然「法的・政治的差別」の全廃を求める運動を全同盟において引き起こすでしょう。
そして同盟の立法当局は彼らの要求を拒否できません。何しろ差別立法の根拠となった「帝国出身」という理由が存在しませんから。立法府が頑なに拒否しても、司法サイドから違憲判決がでるのがセキのヤマです。
それにもまして重要なのが、人口確保という観点から見た時の差別政策です。もし堂々と「法的・政治的差別」が同盟において亡命者に課されていた場合、それは帝国にどう伝わるでしょうか?「見ろ、奴らは奇麗事を口にしているが実際は差別主義者だ」と帝国政府が喧伝するに決まっています。その結果亡命者が減ってしまったらどうなります?ただでさえ圧倒的に不利な人口差を埋める最大の手段が大幅に効果を減ずることになります。同盟政府は帝国から亡命者を呼びつづけるため、同盟を理想的な民主政国家という体面を維持しなければならないのです。
従って、初期の最大勢力を誇る「640年組」の亡命者一族に対する「法的・政治的差別」は、その子供の世代には完全に消滅しているはずです。
で、これまで議論してこなかった「社会的差別」も、時を同じくして大幅に解消します。SAIさまはこの「社会的差別」につき、職差と文化・慣習の差を根拠として発生するとしていますが、同盟においてはこれは長続きしないでしょう。何しろ人数が圧倒的ですから、ありとあらゆる職種が亡命者と子孫達を必要としています。職差など一瞬で消滅してしまいます。それに文化的な違いについては、そもそもそれほど存在するとは思えません。これについては文化面の記述が本編に少ないので言い出したら水掛け論になりますが、少なくとも1619年のピルグリム・ファーザーズの子孫達と1714年のジョージア植民地建設者達の間に重大な文化的差異があって対立抗争が発生したという話は聞いた事がありません。それと同じことでしょう。そして仮にあったとしても、「法的・政治的差別」が上記のように解消されますから、亡命者子孫組は参政権を回復します。圧倒的な票数を有する亡命者子孫組に対し「元々の同盟市民」は勝ち目がありません。「亡命者を排除せよ」と呼号するハイダーのような人物は選挙で確実に負けます。結局、「元々の同盟市民」の方が亡命者サイドに歩み寄らなくてはならなくなるのです。「社会的差別」など、圧倒的な数の差で逆にカウンターされます。
次の問題は、「640年組」以外の亡命者(「後期亡命者」と仮称)についてです。彼らは圧倒的な人数を有しているわけではありません。おそらく、マンフレート二世のような開明的な指導者が帝国に登場した時に出入国の自由が若干緩和され、そこに集中するでしょう。彼らに対しては「法的・政治的差別」が加えられるでしょうが、既に慣習化した一世代のみの参政権制限措置だけです。それですら、もはや民主主義を知っている人数(「元々の同盟市民」と「640年組の子孫」)が揺るぎ無い以上、以前のような「民主主義を転覆される」という危機感に満ちたものではなくなります。彼ら「後期亡命者」は少数派で、それこそ一般同盟国民のいやがる仕事に集中するでしょう。職差が生じます。しかし、その子孫には同盟市民と同様の人権が保障されているわけですから、職業選択は自由ですし、「社会的差別」を受ければ参政権・表現の自由を駆使してその撤廃を求めればよろしい。SAIさまはアファーマチヴ・アクションの効果を疑問視されていましたが、現実に今全世界で拡大しつつある事から見ても全く効果を否定する事はできないと思います(この点恥ずかしながら私の知識は不充分なので、残念ながら明言はできません)。いずれにせよ、彼らとて差別され放題ではありません。
以上のように、同盟では差別は一定の範囲で発生し、また残留するものと考えられます。ではここで、Ⅱ.「同盟における差別は帝国並か?」を考えて見ましょう。明らかに「ノー」ですね。参政権や表現の自由はおろか、経済的自由もない帝国の農奴とは、「後期亡命者」ですら雲泥の差です。
従ってⅢ.「同盟経済も帝国経済と同様に硬直している」という命題は完全に否定できます。職業選択の自由を有する全同盟市民は労働者を必要とする業界に柔軟に移動しますし、その結果充分なサラリーをもらって同盟各産業の財・サーヴィスを消費します。農業に縛り付けられ最低限の給料すら手に出来ない帝国の農奴とは経済主体としての価値がかけはなれています。供給サイドにしても、必要に応じていくらでも労働者を雇用・解雇できる同盟の企業と、いくら好況の時でも労働力を貴族が抱えていておかげで生産を拡大できない帝国の企業では雲泥の差です。同盟資本主義経済は帝国封建的経済に圧勝するでしょう。
さて、これが経済学的に正しい銀英伝です。
そもそも現実世界において民主政が何故これほどまでに全世界に広がっているかと言えば、その一つに「他国に勝てるから」ということが挙げられると思います。戦争でも経済でも、民主政国家は、その柔軟性故に、非民主政国家に対し優位に立っているのです。
もちろんこの優位は絶対ではなく、従って例外もあります。例えば1940年にナチス・ドイツに負けた民主政フランスとかね。
しかし、日本とアメリカの戦時体制を比較して見れば、日本の敗北が単なる国力の差であったなどとは口が裂けても言えなくなります。またアメリカとソヴィエト、1945年には対等にすら近かった両国のうち、今一極的に世界に覇を唱えているのは果たしてどちらでしょうか?
田中先生は、民主主義を礼賛しながら、その民主主義が有する最大の長所「民主政国家は強い」という真実を理解していなかったのではないでしょうか。
- 親記事No.2896スレッドの返信投稿
- board4 - No.2959
Re:続・経済学的に正しい銀英伝
- 投稿者:准提督
- 2002年10月04日(金) 08時18分
> 私もそうであってほしいと思いますが・・・
> 例えば、インドの下級カーストや中国の客家なども、同一民族内差別の犠牲者ではないでしょうか?ジプシーは、その起源は異郷からの流民ですが、すでに数百年にわたって、「差別する側」と同じ顔になり、同じ言語を話しているのではないでしょうか?
・・・またやってしましました。誠に恥ずかしい。自分の差別問題に関する無神経さに穴があったら入りたい心境です。いずれにせよ、ここでの議論は差別問題について考えるいい機会になりました。勉強してきます。