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投稿ログ165 (No.2973 - No.2980)

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board4 - No.2973

Re:人口学的に正しい銀河英雄伝説

投稿者:Ken
2002年10月05日(土) 07時11分

SAIさん、こんにちは。(今回は長文です。)

これまでの経緯を整理させてください。

始まりは、3000億あった帝国の人口が、250億になったことを説明できるか、でした。このとき、

SAIさん:説明はつかない。これでは文明が崩壊し、帝国を維持できない。
Ken:現在の先進国並みの低い出生率が持続すれば、可能。

これらの主張の背後には、

SAIさん:人類全体の出生率は下がらない。
Ken:人類全体の出生率が下がることはありうる。

という、認識の違いがありました。この時、中世初期に起こった世界人口の減少が問題になり、

Ken:人間が大量に死ぬ要因が、他の時代に比べて、この時代により多いわけではない。
SAIさん:人間が大量に死ぬ要因が、他の時代に比べて、この時代には集中して発生した。

という点が、現在の論点になっています。(誤りがあれば、ご指摘ください)

始めに、私が発言した内容をどこからもってきたかですが、典拠は堺屋太一著「知価革命」にあります。少し長文の引用をお許しください。

[引用:第2章]
  ところが、紀元前一世紀はじめからは、先進地域で人口が急減、周辺の後進地域で増加する逆現象が起こる。世界人口は紀元後一世紀の小さな谷を経て再び増加、同二世紀に二番天井を築くが、内容的にはこんな入れ替わりがあったのだ。そしてそのあとは約四百年間、猛烈な減少を続ける。
(中略)
  技術の進歩と資源供給の拡大に限りない信頼があれば、物財の豊富さを求める人々も人口の増加を厭いはしない。より多くの働き手はより多くの余剰生産を生むと無邪気に信じることができるからだ。しかし、資源供給の限界を感じ出すとそうはいかない。限られた資源供給の中で、自分自身がより豊かな物財に恵まれるためには、分配してやらねばならない家族を少なくするのが手っ取り早い。
  こんな発想から、モノの豊かさを求める思想のもとでは、フロンティアが失われると共に産児制限が流行する。
[引用終り]

[引用:第3章]
  古代文明を崩壊消滅させたのは、北方蛮族の無知と凶暴さによる文明破壊などではない。それ以前に進行していた人々の美意識と倫理観の変化なのだ。だからこそ、巨大な経済力と高い文明と圧倒的な人口を誇った大帝国が、貧しく野蛮な北方民族などに打ち負かされたのである。
[引用終り]

(私はこれらの箇所を読むたびに、「銀河系史概略」の、「やがてガン細胞が増殖を開始した。人類社会の上に、いわゆる「中世的停滞」の影が落ちかかってきたのだ。」「生命を軽視し、モラルを嘲笑する傾向は深まるいっぽうだった。」という記述を思い出します。)

ここから自前の検証をしてゆきます。

「蛮族による殺戮」
SAIさんは、蛮族による侵略が、人口減少の「原因」(の一つ)であると、言っておられます。私は堺屋氏に同調し、蛮族の侵略は、むしろ先進地域における人口減少の「結果」であると思います。鮮卑族やヴァンダル族は、千年後の蒙古のような、数に勝る敵を圧倒する軍事的切り札を持っていたわけではありません。漢軍もローマ軍も、鮮卑軍もヴァンダル軍も、主力は歩兵で、弓矢と剣と矛と楯で武装していたはずです。してみると、長期的な勝敗を決するのは、動員力のはずです。その基礎になるのは人口であり、徴兵システムですが、この点で、蛮族に対する帝国の優位性が「あらかじめ」失われたからこそ、帝国が敗れたのではないでしょうか?

もう一つ。20人の集団が80人を殺して50人に増えるシナリオを挙げていただきましたが、中世初期に起こったことがそうだと言われているのでしょうか?私は、この時期に入れ替わったのは、一部の支配層だけだと思っていますが、人口の大半を占める庶民の構成にまで、変化があったのでしょうか?それにしては奇妙な現象がありませんか?征服者たる北方民族は、言語や文化に関しては、自分たちが倒した帝国のそれにたちまち同化しましたが、殺しつくした相手の言語を話し、文化を採用するでしょうか?対立する民族を殺しつくすというのは、鮮卑族やヴァンダル族よりはるかに圧倒的な力を持っていた、後世の蒙古ですらやっていません。それをやったのは、(中世初期がそうでないとすれば)新大陸を征服したヨーロッパ人だけです。SAIさんの言われるとおりなら、スペイン人がアズテク語を学び、カソリックを捨ててケツアルクワトル信仰に転向するようなものではないでしょうか?

「寒冷化」
ヨーアンネス、プロコピオス、カッシオドース、北史、南史、日本書紀の記述を紹介いただきありがとうございました。いずれも私が知らなかったものです。ちなみに「南京」というのは、現在の中華人民共和国南京市のことですが?中世初期には「建業」または「建康」と称したはずですが。

この中で、北史、南史、日本書紀の三つは気候の寒冷化に直接言及していませんので、検証対象から除かせていただきます。そうではなく、「平均気温が下がった」ことを言っているのでしたら、今少し直接的に関連した記述を紹介いただけませんでしょうか?

ヨーロッパ側の三つの記述ですが、太陽が4時間しか照らないとか、月のように暗くなったとか、こんなことが本当に数世紀も続いたのですか?当時の記述以外に、何か科学的な証拠をご存知でしょうか?数百年の単位で、しかもワールドワイドに、気温が下がったのなら、植物相の変化に現われ、(例えば、イネの生育地域が全体に南下するとか、)放射性炭素を用いて検証できるかと思いますが、そういうことに言及した資料はありますでしょうか?

私のもう一つの疑問は、寒冷化の原因です。短期かつ局地的な寒冷化なら、地球の対流圏の微妙な変動でも起こりうると思います。「エル・ニーニョ」は一部の海面温度が上昇する現象ですが、それによって冷夏になる地域もあるのですから。しかし世界中が数世紀にわたって寒くなるとすると、考えうる理由は一つしかありません。成層圏まで飛ばされた粉塵が大気中を浮遊し、日光をさえぎることです。(「本物」の氷河期は、地球の公転と自転の歳差運動で起こりますが、数十万年に一度の現象で、一度起こると一万年ほど続くので、ここでは該当しません。)1991年のピナトゥボ火山(フィリピン)の噴火では、3年近くにわたって世界の平均気温が0.5度低くなったという観測結果があります。(ttp://wrgis.wr.usgs.gov/fact-sheet/fs113-97/)逆に言えば、ピナトゥボ級の噴火でも3年で0.5度ですから、数世紀にわたって世界人口を減らすほどの寒冷化をもたらす噴火(隕石でも結構ですが)とは、どのようなものでしょう。ピナトゥボ級数百回ではないでしょうか?当時の記録は、日照時間に言及する前に、この火炎地獄の現出について悲鳴を上げているはずではないでしょうか?

なぜこんな疑問を延々と述べたかというと、ご紹介いただいた古典の記述が、いかにも中世的な誇大表現のように思われるからです。「三国志」や「太平記」では、呉を攻めた曹操軍や千早城を攻めた鎌倉幕府軍は「百万」だそうですが、吉良国さんあたりから「そんなに動員できるはずがない!」と声がかかりそうです。同様に、ヨーアンネスやプロコピオスが述べたような現象が数ヶ月続いたというなら、まだ分かりますが、数百年では・・・・・・

あまりの長文になったので、一旦はここで失礼します。

board4 - No.2974

春の魔術を読みました

投稿者:トキオ
2002年10月05日(土) 09時28分

社会批評がないだけでも(多少はありましたが)こんなにも読みやすいものかと関心しました。
シリーズ完結とあって期待していましたが・・・・。う~ん。
ラストがあまりにも、あっさりしすぎて残念でした。はっきり言うと、いまいちの出来だと思います。がっくし。

やっぱり田中芳樹作品は初期の頃が面白いです。

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board4 - No.2975

Re:人口学的に正しい銀河英雄伝説

投稿者:Ken
2002年10月05日(土) 15時31分

続きです。

>高度に文明化された社会は実は損害に対して弱いんです。なぜなら人間も含めてあらゆる社会の機能は微細かつ限定的になり、さらに他のあらゆる機能と依存しあうようになるからです。そしてどの機能が一つ失われただけでもシステム全体が麻痺することがあります。先進地帯の文明国の人口はシステムが正常に作動することのみで維持できます。

これは鋭い指摘ですね。このような先進文明の対極にあるのが、村落ごとに自給自足する社会でしょう。ただ、漢やローマの場合は、当時の先進国といっても、私たちに馴染みの産業革命以後の社会ではなく、あくまでも人口の大半が農民の農業社会です。経済的には各農村は自立しており、ただ生産力が増大したので、余剰分を供出して帝国を維持していたのではないでしょうか?帝国の存在理由は、防衛と労働力確保(奴隷狩り)と新たな耕作地(領土)の獲得で、人民の生活を助けるサービスやインフラ整備をしていたわけではないだろう、というのが私の考えです。そうではないなら、実際に、どのような「機能が一つ失われ」てシステム全体が麻痺したのか、具体例を挙げることは可能でしょうか?

銀河帝国はどうか?各機能が微細かつ限定的になった社会なのでしょうか?科学技術の結晶たる宇宙艦隊を有することからして、確かにそのようです。ただ、大半の人民を「農奴」にしたという記述は気になります。農奴が実際に「農業」奴隷だとすれば、圧倒的に多数の人民が農業に従事するわけですから、産業革命以前の社会と同じになり、各村(各惑星)は経済的に自立し、一、二の機能が失われても帝国のシステム自体の崩壊にはつながらず、せいぜいオーディンの帝室と門閥貴族が没落する程度で、別の皇帝が後に座るだけでしょう。その程度のことなら、ローマだって何度も皇家は変わったし、中国でも前漢から新、新から後漢への変化がありました。

もう一つの可能性は、実際にSAIさんが言われるような文明の崩壊が進行していた、というものです。

>万の単位の宇宙艦隊というものは存在できないと思います

と、言われましたが、例えば銀河連邦時代や帝国の初期には、数十万の単位の艦隊が存在したかもしれません。それが激減して、数万単位の艦隊しか作れなくなり、新技術の開発も停滞した・・・。ただ、過去に開発された艦艇製造技術はどうにか継承されている、という状況が考えられます。古代帝国が消滅し中世になったとき、エネルギ危機もあって、鉄の生産量は減ったでしょうが、精錬・鋳造・鍛造技術自体が忘れられ、青銅時代に逆戻りしたわけではありません。

さらなる可能性として、人間の減少を自動化が少なからず補い、文明の崩壊を食い止めたことも考えられます。SAIさんは、

>まず機械を作らねばならず、作るにしても資源を掘り出し、資源を輸送し、加工して、組み立ててはじめて収集が可能になるわけです。ここまで莫大な資源とエネルギーが必要なわけです。できることといえば、人間がやればすぐ終わるような仕事です。こんな資源的、エネルギー的に非効率なこと社会全体ではできません。さらに機械ですから不断のメンテナンスが必要です。メンテナンスも機械にやらせるにしてもメンテナンスをやる機械のメンテナンスはどうするのかということになります。

と書かれましたが、いくらなんでも暴論ではないでしょうか?ひょっとして、世界一のロボット技術を誇る日本が、人件費の安い中国に、負けつつあることから出された結論でしょうか?しかし実際には、日本でも中国でも、工場へ行けば人間の数百倍の速さで働く自動機が仕事をしているし、輸送手段は車や列車や飛行機だし、日々大量の情報処理をしているのはコンピュータです。機械のメンテナンスは人間がやりますが、それに必要な工数は、その機械の仕事を人間にさせる場合の比ではありません。

以前に、銀英伝の艦艇は乗務員が多すぎる、という議論がここでありましたが、自動化技術の進歩で、帝国の初期よりは少なくなったのかもしれないのです。あの時、私と古典SFファン様は、射撃制御を自動化できるかを議論し、結局、「前提条件次第でどちらの結論も出る」という結論に終わりました。しかし、人間を介在させることの大切さを説かれた古典SFファンさんも、自動化技術が無意味だなどと主張されたわけではありません。(もし無意味なら、私も古典SFファンさんもとっくに失業です。:-)

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board4 - No.2976

銀英伝第2部・ジーク2世VSユリアン

投稿者:イッチー
2002年10月05日(土) 17時50分

八木あつしさま・佐々木公彦さま・ソルジャー大佐さま、レスありがとうございます。

 ラインハルトの実子が誕生した時点で、アレク大公が皇位継承第1位に就任。ジーク2世(仮)は皇室の藩屏としてアレクの予備と位置づけられる可能性が高いでしょうね。これで、ローエングラム王朝は安泰で、めでたし、めでたし・・・。ただし、みなさんご指摘されているように、ロイエンタールがジーク2世をかつぐという可能性はありますが・・・。

 ただ、ジーク2世が存在した場合、ラインハルトがバーミリオンで戦死した可能性が高いと思います。ラインハルトが死んでもジーク2世とユリアンを主人公として、作者は物語を続けることが出来ることが理由です。もう一つは、ヤンが無条件停戦命令に従った理由の一つにラインハルトが死んだ場合、帝国が混乱状態に陥り、帝国人民が塗炭の苦しみを負うことになるという危惧があったと思われるからです。しかし、ラインハルトが死んでも、ジーク2世を中心に帝国は団結を保つだろう→しかし、新体制を確立するために帝国軍は一時撤退するだろう→帝国・同盟は実質的に休戦状態となるだろうという判断から、ヤンは一斉攻撃を命じると思います。
 そして・・・。帝国暦490年、バーミリオンにおけるラインハルトの戦死をうけて、帝国軍は一時的に撤退する。首都オーディンでラインハルト陣営の提督たちによる会議が開かれた結果、ジーク2世を中心に彼らは団結し、同盟に復讐することを誓い合う。ラインハルトの後を継いで帝国宰相に就任したロイエンタールはカザリン・ケートヘンが帝位をジークフリード・グリューネヴァルト伯爵に譲ったと宣言した。ここにゴールデンバウム王朝は崩壊し、グリューネヴァルト王朝が成立した。ロイエンタールは軍務尚書ミッターマイヤー・宇宙艦隊司令長官ミュラーなど他の提督たちの助けを借りながら、ラインハルトの改革路線をすすめ、帝国の国力を充実させていった。
 一方、同盟ではトリューニヒトが失脚し、アイランズが議長に就任した。アイランズ議長はビュコックを統合作戦本部長、ヤンを宇宙艦隊司令長官に任命し、帝国再侵攻に備えた。ヤンはアッテンボローに策を授けて、イゼルローン要塞を再奪取させ、防備をかためた。しかし、同盟はそれ以上帝国に侵攻する力もなく、また帝国も新体制の確立に時間がとられ、帝国・同盟の関係はこう着状態に陥った。そして、20年後。
 有能な青年に成長した銀河帝国皇帝ジーク2世は同盟再侵攻の意志を固め、副官で盟友のフェリックス・ロイエンタール少将とともに優秀な人材を周りに集めていた。一方、同盟では軍を退役したのち、やむなく政界入りしたヤンが最高評議会議長となり、アッテンボローが統合作戦本部長、ユリアンが宇宙艦隊司令長官となっていた。ジーク2世の動向に注目していたユリアンもまた対帝国戦争の準備をすすめる。かくして、同盟と帝国の間に再び戦乱の予感が・・・ということになるでしょうか?

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board4 - No.2977

Re:銀英伝第2部・ジーク2世VSユリアン

投稿者:ソルジャー大佐
2002年10月05日(土) 23時09分

イッチー様
ソルジャー大佐です。
「銀英伝第2部・ジーク2世VSユリアン」の構想、拝読しました。

>  ただ、ジーク2世が存在した場合、ラインハルトがバーミリオンで戦死した可能性が高いと思います。ラインハルトが死んでもジーク2世とユリアンを主人公として、作者は物語を続けることが出来ることが理由です。もう一つは、ヤンが無条件停戦命令に従った理由の一つにラインハルトが死んだ場合、帝国が混乱状態に陥り、帝国人民が塗炭の苦しみを負うことになるという危惧があったと思われるからです。しかし、ラインハルトが死んでも、ジーク2世を中心に帝国は団結を保つだろう→しかし、新体制を確立するために帝国軍は一時撤退するだろう→帝国・同盟は実質的に休戦状態となるだろうという判断から、ヤンは一斉攻撃を命じると思います。

充分ありうることと思います。ラインハルトの身持ちの堅さは超弩級ですから、御落胤騒動もあり得ません。血縁の男子はジークⅡ世だけですので、彼が何の問題もなく盟主に擁立されることになります。
(ラインハルトがロイエンタール、シェーンコップ、ポプラン級のプレーボーイだったら真贋含めて「御落胤1個大隊」。帝国は分裂し、さながら銀英伝版「五胡十六国時代」に突入?したのかも・・・(^^;)

>  そして・・・。帝国暦490年、バーミリオンにおけるラインハルトの戦死をうけて、帝国軍は一時的に撤退する。首都オーディンでラインハルト陣営の提督たちによる会議が開かれた結果、ジーク2世を中心に彼らは団結し、同盟に復讐することを誓い合う。

提督たちの会議がシュワルツェンの館で開催されれば、後世の歴史家は「シュワルツェンの盟約」と呼ぶことになるでしょう。

ラインハルトの後を継いで帝国宰相に就任したロイエンタールはカザリン・ケートヘンが帝位をジークフリード・グリューネヴァルト伯爵に譲ったと宣言した。ここにゴールデンバウム王朝は崩壊し、グリューネヴァルト王朝が成立した。ロイエンタールは軍務尚書ミッターマイヤー・宇宙艦隊司令長官ミュラーなど他の提督たちの助けを借りながら、ラインハルトの改革路線をすすめ、帝国の国力を充実させていった。

こちらのサイト様で時折物議になる「オーベルシュタインが生き残ったら?」から推測しますと、オーベルシュタインはバーミリオンでラインハルトと伴に戦死した公算が大と思われます。ミュラーが生き残ったかは微妙だと思います。バーミリオン会戦に間に合えばラインハルトに殉じて戦死する可能性があります。あるいは、旗艦を5回(史実は4回)も移してしぶとく生き延びるのか? 生き残った場合でも、先の「イゼルローン要塞戦」の敗戦もありますので「宇宙艦隊司令長官就任」の可能性はかなり低いと思いますが。

>  一方、同盟ではトリューニヒトが失脚し、アイランズが議長に就任した。アイランズ議長はビュコックを統合作戦本部長、ヤンを宇宙艦隊司令長官に任命し、帝国再侵攻に備えた。ヤンはアッテンボローに策を授けて、イゼルローン要塞を再奪取させ、防備をかためた。しかし、同盟はそれ以上帝国に侵攻する力もなく、また帝国も新体制の確立に時間がとられ、帝国・同盟の関係はこう着状態に陥った。

トリューニヒトは一旦は失脚するでしょうが、政治生命を絶たれるようなヘマはしないと思います。停戦受諾の件も「確かに短慮だったかもしれない。しかし、ヴェスターラントの例もある。数億のハイネセン市民を守るため、あの場合、停戦受諾もやむを得なかったのだ」とマスコミを動員して政治生命の保全をはかり、しばらくは雌伏するかもしれません。アイランズは健康上の理由(気の毒に、半身不随で寝たきり)から、評議会議長就任は辞退すると思われます。となると、残る候補はレベロかホワン(ウィンザー女史(銀英伝版・某国社民党党首?)など問題外!)・・・。同盟側政界の人材不足は深刻です。やはりレベロの度量ではヤンがやりにくいでしょうから、とりあえずは、ホワンは評議会議長に、レベロには財務委員長に復職してもらい、新たな人材発掘と育成に努めて頂きましょう。
(やはり、トリューニヒト=地球教団の動向が気になるところ)

そして、20年後。
>  有能な青年に成長した銀河帝国皇帝ジーク2世は同盟再侵攻の意志を固め、副官で盟友のフェリックス・ロイエンタール少将とともに優秀な人材を周りに集めていた。一方、同盟では軍を退役したのち、やむなく政界入りしたヤンが最高評議会議長となり、アッテンボローが統合作戦本部長、ユリアンが宇宙艦隊司令長官となっていた。ジーク2世の動向に注目していたユリアンもまた対帝国戦争の準備をすすめる。かくして、同盟と帝国の間に再び戦乱の予感が・・・ということになるでしょうか?
>
歴史の徒花・銀河帝国正統政府も、おそらくは首相レムシャイド伯がハイネセンで客死した時点で自然消滅することでしょう。史実どおりエルウィン・ヨーゼフⅡ世が「山猫」のような性格だと、ホームレスになって野垂れ死に?する公算大。しかし、小官想定の「絵を描くことの好きな、純真な少年皇帝」だったら、「皇帝退位、正統政府解散」を宣言し、ゴールデンバウム姓を捨て母方の姓を名乗り、「市井の一庶民」として、穏やかで平凡な生涯(キャゼルヌ家の次女と結婚?)をおくると良いですね。

それでは、
勝手気儘なレスで恐縮ですが
今回の投稿はここ迄にいたしとう御座いまする<(_ _)>
>

board4 - No.2978

続・続・経済学的に正しい銀英伝

投稿者:准提督
2002年10月06日(日) 05時29分

SAIさま、ご質問いただき誠に有難うございます。それでは及ばずながらお答え申し上げましょう。

まず結論から申し上げましょう。2964番の書きこみは拝見いたしましたが、私は2958番で説明した自説を訂正する必要を全く認めません。理由を以下に示します。

その前提として、「法的・政治的差別」と「社会的差別」を分けた上で論を進めることを改めて申し上げます。

まず冒頭の
>この4つを頭にいれておいてください
ですが、無論のこと存じております。私の書きこみもそれらの事柄を当然の前提として進めたのですが、伝わっていないようですね。



では続いて、640年のダゴン星域会戦直後の同盟における差別立法の成立過程を考察して見たいと思います。
まず法案が議会に提出されるに至った理由は「民主主義を知らない帝国出身者に政治的権利を付与すると同盟の民主政そのものが損なわれる」というものです。従ってこの法案(亡命者人権制限法)によって制限される人権は、参政権と表現の自由が想定されます(他の人権も制限されるというなら、その制限される人権とその法的理由付けを提示して下さい)。
さて、この法案について「元々の同盟市民」は諸手をあげて賛同するでしょうか?答えは「ノー」です。理由は二つあります。一つは同盟の民主主義教育を受けて育った人々の良識。もちろんこれだけでは充分ではありませんが、この要素を無視する事はできません。二つ目は、SAIさま好みの「利己的」な理由、即ち立法の暴走に対する恐怖です。今回はたまたま規制されるのが亡命者だからいいものの、これで味を占めた立法者たちが今度は自分たちの人権を制限しようとするのではないか、と考えるのです。
結果、議会は大荒れに荒れるでしょう。「亡命者は不気味」という不安、「自分たちは民主主義の継承者である」という良識、「次に立法は自分たちの人権にも牙を剥くのではないか」という恐怖、の三つが「元々の同盟市民」の間に複雑な葛藤を生じるでしょう。
それゆえ、亡命者人権制限法は、亡命者の参政権のみを制限した形で修正可決される、そんなところでしょう。
亡命者に対する「法的・政治的差別」は、利己的・利他的双方の心理的要因から制約を受けるのです。



では続いて、「640年組」の子供の世代、680年前後の社会情勢について分析してみましょう。
ここでの論点は3つ、
1.同盟における教育はどのように行われているか
2.亡命者人権制限法は違憲判決を受けるか
3.人口政策上、亡命者差別は問題ないか
です。では順に考察しましょう。

1.同盟における教育はどのように行われているか
まず一般的な教育権の主体に関する議論から説き起こしましょう。
教育権の主体は3つ、「親」「教師・私学」そして「国家」です。前二者を重視する立場を「国民教育説」、後者を重視する立場を「国家教育説」といいます。どちらも極端で、通説は折衷説です。
では同盟においてはどうなるか。帝国との戦争を前提として国家が形成されているため、国家教育説が有力であると考えられます。国民全体の意思統一が重視されるからです。
無論SAIさまのように国民教育説の立場から反発する動きはあるでしょう。だから「半」洗脳教育。完全な洗脳教育にはなりえないでしょう。
さて、このスレをご覧になっている皆様(いれば、ですが)はおそらく疑問に思っているのではないでしょうか?「この問題と差別問題と、どう関係しているのだ」と。
要するに、同盟国民は「640年組」の子女も含めてみな、民主主義礼賛の教育を受けている、という当たり前の事を延々と証明して見せただけです。

2.亡命者人権制限法は違憲判決を受けるか
まず、亡命者人権制限法の効力が存続している状態とは、亡命者の子女にまで同法が適用されている状況を指します。従って、このような状況で違憲審査の対象となるのは、同法の存在そのものよりも、まず亡命者の子女への適用となるでしょう。
この場合、制限法の立法理由が「帝国出身者が民主主義を破壊するのを阻止するため」である以上、同盟において生まれ育った「640年組」の子女に対する適用の理由は存在しません。従って司法府は少なくとも適用違憲判決を出すでしょう(ひょっとすれば差別法そのものの違憲判決も)。
>合憲判決が出るでしょう。
とおっしゃるならSAIさま、逆にお尋ね申し上げますが、その場合同盟の司法府はいかなる法的理論によって合憲判決を下すのでしょうか?それを提示して頂かない事には、あなたの説は全く説得力がありません。
また、違憲判決を出さざるを得ない、SAIさまお待ちかねの「利己的」理由も存在します。極めて簡単な話で、もし合憲判決が出たらどうなるかをちょっとばかり想像して見ればよいのです。同盟全土で亡命者が大暴動を起こすでしょう。労働力の圧倒的多数を占める亡命者が全土で無期限のゼネストに移行するでしょう。結果、経済と社会は大混乱に陥ります。帝国軍はこの絶好の機会を逃さず大挙侵攻してくるでしょう。そしてそれを阻止すべき同盟軍は、やはり将兵の圧倒的多数を占める「640年組」のほとんどが士気喪失して、まともな勝負にならないでしょう。この点、2638番のKenさまの見識に私は全面的に賛同します。
以上、少なくとも「640年組」の子女に対する亡命者人権制限法の適用については、違憲判決が出る事が証明されました。

3.人口政策上、亡命者差別は問題ないか
この点についてSAIさまから
<彼ら(亡命者)はこの時代、拡大期にある同盟にゆき一旗あげたいのであって、それができるなら差別など気にしません。>
との反論を頂きました。
これは暴論ですね。理由は二つ。まず、亡命者がみな一旗組であるなどと決めつけるのは極めて乱暴な話です。亡命者が帝国において一定の社会経済的地位を有する階層の出身であろう、というSAIさまの2915番での説に対し、私は2925番の書きこみで賛同しました。従ってこれを前提とします。であるならば、高い教育水準(社会経済的地位が高ければ教育水準も高い、ということは一々証明しなくてもいいですよね?)をほこる彼らには共和主義にかぶれた者も少なくないはずです。共和主義者の亡命者は控えめに見積もって、一旗組と同数はいるでしょう(違う、というならその証明をどうぞ)。そこに「同盟には亡命者に対する差別が強く存在する」などということが報じられれば、共和主義者たちは幻滅し、亡命してこないでしょう。第二に、一旗組についても、彼らは一定の社会経済的地位を有する以上、同盟においてもそれと同等、いやそれ以上の地位を得ようとするでしょう(それが「一旗挙げる」ということでしょう?)。ところが同盟では亡命者は差別される、亡命者は高い地位になれないシステムにされている、と知れば、彼らはやってくるでしょうか?わざわざ帝国でのそれよりも低い扱いを受けるために地位をなげうち密航のリスクを犯してまで亡命しようとするでしょうか?もちろんそんなわけありませんね。
共和主義者たちにアピールし、一旗組に成功の機会が埋まっているように見せるためには、少なくとも「法的・政治的差別」を消し去る必要があります。さもないと、同盟は亡命先として全く魅力がありません。
以上、人口確保政策上からも、差別(「法的・政治的」「社会的」双方の意味で)を撤廃し同盟を理想的民主政国家に仕立て上げなければならないことが証明されました。
大体一旗組だけなら、同盟よりもフェザーンに取られてしまうに決まっているではありませんか(あ、もちろんフェザーン建国後の話ですが)。

以上で、同盟政府が「法的・政治的差別」を撤廃することが証明されました。



では、今度は「社会的差別」について分析してみましょう。(以下、続く)

親記事No.2910スレッドの返信投稿
board4 - No.2979

Re:初お目見えのご挨拶

投稿者:ソルジャー大佐
2002年10月06日(日) 06時31分

IK様、イワン様、イッチー様、不沈戦艦様
レスをありがとう御座います。

IK様
こちらのサイト様の正式名称がよくわからなかったもので(^^;)、検索途中で断念しておりました。
今後ともよろしくお付き合いくださいませ。

イワン様
ドイツ系の名前に限定すると、もうあらかた使い尽くされた感があります。たしかに、ルクセンブルグの名を見たとき、一瞬、神聖ローマ帝国(ドイツ第1帝国)のルクセンブルグ王朝の引用かと思いましたが、ローザ・ルクセンブルグだったんですね(^^;
社会主義は専制君主制の対極の思想の一つです。その点をクリアしようとするなら、ルクセンブルグ王朝の領地から引用するのはいかがでしょう。旗艦の名を「プラーグ」(プラハのドイツ名)か「ベーメン」(チェコ(ボヘミア)のドイツ名)などになさてみては? ドイツ社会主義の印象が多少なりとも薄れると愚考しますが。

イッチー様
ユーゼフ・ヤルゼルスキ法秩序委員長閣下の想定。お見事!!です。
原作者・田中芳樹氏の思想云々はさておき、帝国・同盟の人材のアンバランスさは、目を覆わんばかりです。できれば、もう一人同盟版シルヴァーベルヒのようなテクノクラートの大家も欲しいところですね(しかし、同盟政府に工部省のような省庁があったかな?)。

不沈戦艦様
お見それいたしました。小官のフォン・ロートリンゲン公爵など出る幕は御座いません(^^;;;;
フォン・タンネンベルク侯に於かれては、このまま銀英伝版ワーテルロー或いは銀英伝版関ヶ原の合戦並みの大勝利を収められることをお祈りしております(ご武運を!!!)
こうなってきますと、リップシュッタト戦役の帰趨とその後も気になるところ。
そこで、浅学非才の身なれど、小官が推測いたしますところを述べさせていただきます。

・オーディーン会戦
当初は艦艇数に優るローエングラム艦隊がタンネンベルク艦隊を圧倒。姉グリューネワルト伯爵夫人の復讐の怨念に燃えるラインハルトやキルヒアイスが陣頭に立ち、タンネンベルク侯の本隊に肉薄すること数度に及んだ。しかし、タンネンベルク侯側の粘り強い戦術に尽く阻まれてしまう。戦闘開始から数時間後、互いの艦艇数の半ばを失ったところへ、メルカッツ提督率いるガイエスブルグ艦隊がようやく来援。半月陣をもってローエングラム艦隊を後方から半包囲した。
ローエングラム艦隊はミッターマイヤーらの奮戦虚しく大混乱に陥った。結局はキルヒアイスが殿部隊を指揮し、自分の生命と引き替えにラインハルトらをガイエスブルグ方面へ落ち延びさせた。
タンネンベルク侯の言動から、ミッターマイヤーの助命が絶望的と判断したロイエンタールはミッターマイヤーの両親と妻エヴァンゼリンを伴い帝都を脱出し、一路フェザーンへ亡命を図る。その間もロイエンタールは親友の安否を気遣い、ガイエスブルグに籠城中のミッターマイヤーと合流するため、単身ガイエスブルグへ向かう。

・ガイエスブルグ要塞攻防戦
ガイエスブルグ要塞へ逃げ込んだラインハルトのもとにキルヒアイス戦死の報が届き、さらに復讐心を燃え上がらせる。
オーベルシュタインはタンネンベルク侯の後方を攪乱するため、埋伏しておいた工作員に一斉に破壊工作を行うように命令した。タンネンベルク侯の腹心の部下が何人か犠牲になったが、タンネンベルク侯の歓心を得ようとするラング社会秩序維持局長の活躍で、オーベルシュタインの工作員のほとんどを逮捕または射殺することに成功した。
戦況は籠城側ローエングラム軍と攻城側タンネンベルグ軍の睨み合いが数日に及んだ。ロイエンタールはガイエスブルグ入城の秘策を練っていたが、またしてもタンネンベルク侯に捕らえられてしまう。ミッターマイヤーの助命を条件にタンネンベルク侯の配下に加わることを承諾したロイエンタールだが、タンネンベルク侯が約束を守るつもりはないことを見破っていた。
ローエングラム軍の内部を攪乱させる任務を命じられたロイエンタールは、タンネンベルク軍に追われるという偽装をしながら、ようやくガイエスブルグ入城をはたした。

・ガイエスブルグ落城
冷静さを失ったラインハルトに部下たちは動揺しはじめる。もはやこれまでと、ロイエンタールはミッターマイヤーにローエングラム軍からの離脱と同盟への亡命を勧める。苦悩するミッターマイヤーの気も知らず、ラインハルトは全軍に最後の決戦を命じた。
「やはり、金髪の儒子は儒子のままか・・・。所詮は覇者の器ではなかったか・・・」
オーベルシュタインは冷ややかにそう呟くと、ガイエスブルグをシャトルで脱出し同盟へ亡命していった。
最後の決戦を挑んだラインハルトの軍は予想以上に善戦し、タンネンベルク侯の本隊へ三度も突き崩した。しかし、結局は寡衆敵せず、ついにローエングラム軍は壊滅した、ラインハルトは旗艦ブリュンヒルトと運命を伴にし、後世まで語りぐさになるような華々しい最期をとげた。
ブリュンヒルト撃沈の報を手にしたミッターマイヤーは、親友ロイエンタールの勧めもあり、同盟への亡命を決意。タンネンベルク軍の執拗な追撃を振り切ってイゼルローン要塞のヤン・ウェンリー提督のもとに身をよせることになった。

いかがなものでしょう?
あとはマキャベリズムの使徒たるタンネンベルク侯のことです。邪魔になったリッテンハイム公を暗殺して、その罪をブランシュワイク元公爵或いはミッターマイヤーらローエングラムの残党に擦り付けることなど造作もないことと推察します。
(ほんとにリッテンハイム公が、ブランシュワイク元公爵或いはミッターマイヤーらローエングラムの残党に暗殺されたら「超ラッキー」ものですな(^^;;;;)


かくして、摂政、帝国宰相及び帝国軍最高司令官になられた我らがタンネンベルク公爵は反銀英伝版「神々の黄昏」作戦を発動し、皇父リッテンハイム公の仇討ちを大義名分にフェザーン及び同盟へ大挙侵攻する。そして、寡勢のヤンたち同盟軍を嘲笑うかのような一大物量作戦を展開し、各地の同盟軍基地を攻略しながら、一挙に首都ハイネセンを目指して突き進んだ。ヤンはタンネンベルク公を得意の戦場心理作戦で迎撃しようとするが、そのような手に引っかかるようなタンネンベルク公ではなかった。
結局、ヤンはバーラート星系外縁部でタンネンベルク公の大部隊と決戦する羽目に陥るが、何とかタンネンベルク公の大部隊と持久戦に持ち込むことに成功した。しかし、タンネンベルク公の別動部隊がハイネセンに殺到し、トリューニヒト政権は無条件降伏して同盟は滅亡してしまう。
ヤンもミッターマイヤーら亡命者とともに降伏。タンネンベルク公はヤンたち一党の奮戦にいたく感じ入り、罪一等を減じて辺境へ流罪とした。
帝都へ凱旋したタンネンベルク公は正式にサビーネ女帝と結婚し、単に女帝の夫としてだけでなく、共同統治者として帝位に登り「帝国中興の名君・啓蒙帝エーリッヒⅢ世」として史書に記されることになた・・・。

以上が、小官が想定しました反銀英伝「啓蒙帝エーリッヒⅢ世年代記」(仮名)です。

ところで、小官も柘植久慶氏の「逆撃!」シリーズは愛読しております。
やたら綺麗事を並べるだけ(国際政治は修羅道のはずです!)の「○○の艦隊」シリーズよりは、外国の傭兵部隊に身を置き、軍事的な知識と豊富な経験に基づく柘植氏の作品の方が、よほど読み応えがあると愚考いたします。

レスが少々長めになってしましましたが
今回の投稿はここ迄にいたしとう御座いまする<(_ _)>
どなた様も失礼いたしました(^_^)ノ

親記事No.2978スレッドの返信投稿
board4 - No.2980

Re:続・続・経済学的に正しい銀英伝

投稿者:准提督
2002年10月06日(日) 06時40分

では、今度は「社会的差別」について分析してみましょう。
この点につきSAIさまは
<「元々の同盟市民」が安楽で見かえりの多いいわば日の当たる仕事を独占します。決して渡しません。人間既得権益を自分から手放す事などないのです。無論同盟のためにはなりませんが、資本主義は利己主義ではなかったですか?利己的に行動するのが良いとしている状況で利他的な行動を求めるのは矛盾しています。>
とおっしゃいました。
おかしいですねぇ。私は何も「元々の同盟市民」が良識と自己犠牲の崇高さに満ち満ちていて嬉々として日の当たる仕事を明渡すだろう、などとは一言も申し上げておりませんよ。
物理的に不可能なのです。人数差が圧倒的過ぎて。
例えば、モデルケースとして惑星オシアナ(仮称)を考えて見ましょう。この惑星は640年のダゴン星域会戦直前には人口100万人(「元々の同盟市民」)、内公務員が4万人(日の当たる職の一例として)だったとしましょう。ところが会戦後、あっという間に900万人がここに亡命してきました。人口1000万人、この社会を維持するためには公務員は40万人必要です。では、この40万人をすべからく100万人の「元々の同盟市民」から出せるでしょうか?もちろん無茶です。それまで惑星開発企業で鉄骨運びをしていたにーちゃんにある日突然「君は『元々の同盟市民』だから明日から惑星地方裁判所の検事に任命する」とかいっても無理でしょう?
従って職差はあっさり消滅するでしょう。
よって職差を根拠とする「社会的差別」は発生し得ないのです。



では、今度は「後期亡命者」について論じて見ましょう。
まずこの時期の「法的・政治的差別」ですが、亡命者人権制限法がもし存続していれば、亡命してきた帝国出身者には以前として適用されているでしょう。しかし少なくともその子女に対する法律上の人権制限は存在しません。むしろ、「反差別法」が制定されているでしょう。これは(SAIさんのおっしゃるところの)一旗組に対して成功の機会が法的にも保障されているとアピールするためのアファーマティヴ・アクションを定めたものです。同盟に行っても地位の高い職業が俺達を待っている、と彼らに思わせ、また共和主義者には同盟が差別と闘っていることをアピールするためのものです。
何しろ795年頃ですら同盟の人口は帝国の半分ですから、同盟滅亡のその日まで亡命者を呼び寄せるための政策が高い優先順位を与えられていたはずです。
このように、同盟政府はこの「後期亡命者」とその子女に対する差別について熱心に取り組まざるを得ないのです。
それにこの頃には同盟の権力者たち内かなりが「640年組の子女」となっているでしょう。彼らは自分たちの若い頃の経験から「差別は間違っている」との認識に立ち、「後期亡命者」とその子女が法律上有している職業選択の自由を現実に行使できるよう、力を尽くすでしょう。人間は少なくとも自分に損が生じない限りにおいては利他的になるのです。
大体SAIさまのおっしゃる通りであれば、今アメリカの議会に黒人議員は一人もいないことになりますよ。



では最後に
>資本主義だから効率的なわけではありませんよ。
百も承知です。私も平成不況の中で生活している日本人ですから。
私が申し上げているのは、「資本主義経済と封建的経済、どちらが効率的(or非効率的)ですか」という点です。

SAIさまは2964番の書きこみにおいて2658番で私が指摘したところのⅠ.についてはあれこれ述べておられますが、結局Ⅱ.Ⅲ.については全く言及がありませんでした。同盟側と資本主義の話に終始し、ここでの最重要論点である「帝国との比較」という視点が完全に欠如しておられます。

Kenさまとの間に人口学についての論争をお抱えのようですので、二正面作戦を強いられて厳しいのは解りますので、その点については今回はこれ以上突っ込みません。
では、お時間がおありでしたら反論を期待します。
もちろん、このスレをご覧の他の方の飛び入り参戦も、もちろん私は大歓迎です。

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